(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の詳細説明は事実上の例えであり、本発明、又は本発明の実施形態の応用及び使用を限定するものではない。特定の装置、技術及び用途の説明は、実施例としてのみ提供されている。本明細書に記載された実施例への変更は当業者には容易に明らかとなるものであり、本明細書に定義された一般的原理を、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、他の実施例及び用途に応用することができる。さらに、前述の分野、背景、概要又は下記の詳細説明に記載された全ての表された又は暗示された理論に制約されるものではない。本発明は、請求項と範囲が一致したものであり、本明細書に記載し示した実施例に限定されるものではないとみなされるべきである。
【0011】
本発明の実施形態は、機能及び/又は論理ブロックコンポーネント及び様々な処理ステップの観点から本明細書に説明されている場合がある。当然ながら、上記ブロックコンポーネントは、特定機能を行うように構成された任意の数のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアコンポーネントによって実現することができる。簡潔にするために、増幅器、サンプルホールド回路、テレメトリー、バッテリーセル電圧の測定、及びシステムの他の機能性の態様(及びシステムの個々の作動コンポーネント)に関連する従来技術及びコンポーネントは本明細書に詳細に説明されていない場合がある。加えて、当業者は、本発明の実施形態を様々な回路とともに実行することができ、本明細書に記載された実施形態は本発明の単なる例示的な実施形態であることを理解するであろう。
【0012】
本発明の実施形態は、実際の非限定的な用途、すなわち、リチウムイオンバッテリーセルの電圧測定において本明細書に記載されている。本発明の実施形態はしかしながら、上記リチウムイオンバッテリーに限定されず、本明細書に記載された技術は他の用途に用いることもまた可能である。例えば、非限定的に、実施形態はリチウムイオンバッテリーセル、リチウムポリマーバッテリーセル、リチウム硫黄バッテリーセル、燃料セル、他の種類のバッテリー、他の再充電可能な種類のバッテリー等に適用可能である。
【0013】
この説明を読んだ後に当業者には明らかになることであるが、下記は本発明の実施例及び実施形態であり、これらの実施例に従って行われることに限定されない。他の実施形態を用いることができ、本発明の例示的実施形態の範囲から逸脱することなしに、構造的な変更を行うことができる。
【0014】
サンプルホールド回路は、変動するアナログ信号の電圧を測定するのに一般に使用する電子機器である。サンプルホールド回路は、変動するアナログ信号をサンプリングして電圧サンプルを取得し、測定用に電圧サンプルを保持する。サンプルホールド回路は低エネルギー電子信号を測定するためにアナログ/デジタルコンバーターにおいて一般に使用される。この発明の実施形態は、高電源、例えば非限定的にリチウムイオンバッテリーセルからの電圧を正確に測定するために使用可能なサンプルホールド回路を提供する。
【0015】
図1は本発明の実施形態による、例示的セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム100(システム100)の機能ブロック図である。システム100はサンプリング変圧器102、パルス駆動スイッチ104、電圧クランプ機構106、ドライバー手段108、同期サンプリングスイッチ110、及び駆動回路112を含む。
【0016】
サンプリング変圧器102は外部電源、例えば非限定的に、バッテリーセル116、他のバッテリーセル140等に連結されている。バッテリーセル116及び他のバッテリーセル140は、例えば非限定的に、リチウムバッテリー等を含むことができる。サンプリング変圧器102はまた、例えば非限定的に、サンプリング変圧器102によって測定される電圧を使用するのに使用可能な外部回路(図示せず)にも連結されている。サンプリング変圧器102によって測定される電圧はサンプリングコンデンサ118に蓄えられる。外部回路は、例えば非限定的に、リチウムイオンバッテリー等のセルの電圧を平衡化させるのに使用されるセル平衡化回路を含むことができる。サンプリング変圧器102はまた、パルス駆動スイッチ104、電圧クランプ機構106、及び同期サンプリングスイッチ110にも連結されている。パルス駆動スイッチ104、電圧クランプ機構106、及び同期サンプリングスイッチ110の制御下において、サンプリング変圧器102はサンプリング変圧器の出力122の第1バッテリーセル出力120(すなわち、120及び128間の電圧)の電圧を、実質的に高い精度と、サンプリング変圧器102を通る最小電流で表す。このように、バッテリーセル116の電圧は、
図3の説明においてさらに詳しく説明するように、サンプリング変圧器102の出力を測定することにより、正確に制御/測定することができる。
【0017】
パルス駆動スイッチ104は、共通ノード124によって電圧クランプ機構106及びサンプリング変圧器102に連結されている。パルス駆動スイッチ104はまた、ドライブライン126を介してドライバー手段108に連結されて、これにより駆動される。パルス駆動スイッチ104は、クロック114の第1フェーズによる起動及び動作停止にしたがって、電流が第1バッテリーセル出力120(サンプリング変圧器102の入力120)からサンプリング変圧器102を通って第2バッテリー出力128まで流れるのを選択的に可能にする。
【0018】
電圧クランプ機構106は、共通ノード124によってパルス駆動スイッチ104及びサンプリング変圧器102に連結されている。電圧クランプ機構106はまた、ドライブライン142を介してドライバー手段108に連結されて、これにより駆動される。電圧クランプ機構106は第2バッテリー出力128に接地されている。電圧クランプ機構106は、ボルト秒を平衡化させ、サンプリング変圧器102の平均磁化電流を約ゼロアンペアにするように作動可能である。
【0019】
ドライバー手段108は、ドライブライン126を介してパルス駆動スイッチ104に連結され、ドライブライン142を介して電圧クランプ機構106に連結されている。ドライバー手段108は、クロック114の第1フェーズによる起動及び動作停止に従って、サンプリング変圧器102を制御するためにパルス駆動スイッチ104を駆動する。クロック114の第2フェーズは、クロック114の第1フェーズと実質的にフェーズにずれがある。ドライバー手段108は、例えば非限定的に、駆動回路112の第1出力130と共通接地132との間に連結された一次巻線(第1誘導コイル)(図示せず)と、ドライブライン126と第2バッテリー出力128との間に連結された少なくとも一つの二次巻線(第2誘導コイル)(図示せず)を含む変圧器を含むことができる。少なくとも一つの二次巻線はまた、ドライブライン142と二次バッテリー出力128との間に連結することもできる。あるいは、少なくとも一つの二次巻線のうちの2つの二次巻線のうちの一つを、ドライブライン142を介して電圧クランプ機構106に連結させることもできる。
【0020】
同期サンプリングスイッチ110は、駆動回路112の第2出力134と、サンプリング変圧器102の第2コイル出力136に連結されている。同期サンプリングスイッチ110はまた、共通接地132に接地されている。同期サンプリングスイッチ110は、クロック114の第1フェーズによる起動及び動作停止にしたがって、サンプリングコンデンサ118にサンプリング変圧器102を電気的に結合させる又は電気的結合を解除する。同期サンプリングスイッチ110がクロック114の第1フェーズによって起動されると、同期サンプリングスイッチ110はサンプリング変圧器102を共通接地132に連結させ、電流がサンプリング変圧器102の第2コイル出力136を介し、第2コイル出力136の制御下で共通接地132へ/から流れ、またサンプリングコンデンサ118へ/から流れることができる。このように、サンプリング変圧器102はサンプリングコンデンサ118に電気的に結合される。同期サンプリングスイッチ110がクロック114の第1フェーズによって動作が停止されると、同期サンプリングスイッチ110はサンプリング変圧器102を共通接地132から連結解除し、電流はサンプリング変圧器102の第2コイル出力136を介して共通接地132へ/から流れることができなくなり、サンプリングコンデンサ118へ/から流れることができなくなる。このように、サンプリング変圧器102はサンプリングコンデンサ118から連結解除される。
【0021】
駆動回路112はドライバー手段及び同期サンプリングスイッチに連結されており、クロック114の第1フェーズによる起動及び動作停止にしたがって、パルス駆動スイッチ104及び同期サンプリングスイッチ110を同時に「オン」に切り替えると同時に、電圧クランプ機構106を「オフ」に切り替えるように作動可能である。さらに、駆動回路112は、クロック114の第2フェーズによる起動及び動作停止にしたがって、パルス駆動スイッチ104及び同期サンプリングスイッチ110をほぼ同時に「オフ」に切り替えると同時に、電圧クランプ機構106を「オフ」に切り替えるように作動可能である。駆動回路112は、リード線138を介してクロック114に連結され得る。
【0022】
クロック114は、例えば非限定的に、単相クロック、二相クロック等を含むことができる。二相クロックは、信号が2つの異なる信号相において有効であるクロックである。例えば、単相クロック信号は、例えば非限定的に、信号をCMOSの予備ゲートに連結させる、単相クロックを変圧器に連結させて代替極性接続を使用する等によって、クロック信号の立ちあがりエッジ及び立ち下がりエッジの両方を使用して、二相クロックとして使用することができる。クロック114は、例えば非限定的に、単相クロックを含むことができ、二相機能性は、
図3の説明に関連して後に説明するように、ドライバー手段TX1に連結された接続部を介して生成される。
【0023】
図2は本発明の実施形態による、例示的セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム200の図である。このセルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム200は、セルテレメトリー用サンプルホールドアンプ回路202(S/H回路202)、バッテリーシリーズ204、及びクロック回路206を含む。
【0024】
クロック回路206は、例えば非限定的に、約5%、約10%、約20%等のデューティサイクルを含むことができる。
【0025】
バッテリーシリーズ204は、例えば非限定的に、一連の約100Vの結合電圧等の電圧のバッテリーセルを含む。バッテリーシリーズ204は、一連のバッテリーセルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステムを表す2つの電源を含む。第1電源は、S/H回路202によって測定されるセルのVcellを表す。第2電源Vcmは、一連の25直列接続セルを表す。セルのVcellは、例えば非限定的に、約4V等の電圧を含むことができる。セルのVcellは、リード線208/210によってS/H回路202に連結することができ、各リード線208/210は、それぞれ例えば非限定的に約1オーム等の抵抗R1及びR10を含む。
【0026】
S/H回路202は、サンプリング変圧器(TX2)、パルス駆動スイッチ(FET Q10)、電圧クランプ機構(Q11及びC1)、パルス駆動スイッチ(FET Q10)を駆動するドライバー手段(TX1)、同期サンプリングスイッチ(Q9)、及び駆動回路(Vclk)を含む。S/H回路202は、
図1に示す実施形態と同様の機能、材料、及び構造を有していてよい。したがって、共通の特徴、機能、及び要素は本明細書に重複して説明していない場合がある。
【0027】
駆動回路Vclkからの狭クロックパルスはドライバー手段TX1によってQ10及びQ11にトランス結合され、ほぼ同時にQ10を「オン」に、そしてQ11を「オフ」に切り替える。狭クロックパルスはQ9に容量(すなわちC3を介して)結合され、DC再生(すなわち、R14、R8及びQ4を介して)され、Q9に駆動電圧を印加することにより、Q9がQ10と同時に「オン」に切り替わる。Q9とQ10の両方が「オン」に切り替わると、セル電圧がサンプリング変圧器TX2の一次巻線P1に印加される。サンプリング変圧器TX2の二次巻線S1はコンデンサC5に連結されて、セルテレメトリー電圧CELL_TMがセル電圧Vcellと等しい電圧となるまで充電する。
【0028】
クロックパルスが低い時はQ9とQ10は「オフ」に切り替わり、Q11が「オン」に切り替わる。(多数の狭クロックパルスの後の)安定状態では、コンデンサC1を横切る平均電圧が、サンプリング変圧器TX2の一次巻線P1に印加されたボルト秒をほぼぴったり平衡化させる電圧まで増加する。このボルト秒の平衡化が起きると、サンプリング変圧器TX2の磁化電流はほぼゼロの電流に安定する。したがって、平均的には磁化電流はゼロであるため、バッテリーセルからサンプリング変圧器TX2の一次巻線までの「オン」の時間経路に関連する様々な寄生抵抗を流れる磁化電流によるエラーの発生は無視できる。
【0029】
コンデンサC1の電圧はほぼ「ゼロ」の磁化電流を維持するように自動調整されるため、エラーが、サンプリング変圧器TX2のインダクタンス、開閉頻繁度、セル電圧Vcellの大きさに大きく影響されることはない。さらに、Vcellはわずかにマイナス、又はプラスのいずれかであってよく、精度に影響はない。
【0030】
各FETQ9、Q10、Q11は、それぞれのゲートからDCバイアスを除去するための回路を含むことができる。例えば非限定的に、Q9を抵抗器R8及びR14、及びFET Q4に連結させて、Q9とC3からDCバイアスを除去することにより、Q9がクロック回路206からのクロック信号に適切に応答できるようになる。例えば非限定的に、Q10を抵抗器R9及びR11、及びFET Q8に連結させてDCバイアスを除去することにより、Q10が変圧器TX1の二次巻線S1からのクロック信号に適切に応答できるようになる。例えば非限定的に、Q11を抵抗器R2及びR6に連結させてDCバイアスを除去することにより、Q11が変圧器TX1の二次巻線S1からのクロック信号に適切に応答できるようになる。
【0031】
S/H回路202の抵抗器R1、R2、R3、R6、R8、R9、R10、R11、及びR14は例えば非限定的に下記:R1は約1オーム、R2は約1キロオーム、R3は約100オーム、R6は約100キロオーム、R8は約100キロオーム、R9は約20キロオーム、R10は約1オーム、R11は約10オーム、及びR14は約10キロオームの抵抗を有することができる。S/H回路202のコンデンサC1、C2、C3、C4、C5、C6、及びC7は例えば非限定的に下記:C1は約470nF、C2は約100pF、C3は約500pF、C4は約1nF、C5は約100nF、C6は約470nF、及びC7は約10uFのキャパシタンスを有することができる。
【0032】
図3は本発明の実施形態による、例示的セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム300の図である。セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム300は、セルテレメトリー用サンプルホールドアンプ回路302(S/H回路302)、バッテリーシリーズ304、及びクロック回路306を含む。
【0033】
クロック回路306は例えば非限定的に、約5%、約10%、約20%等のデューティサイクルを有することができる。クロック回路306はコンデンサC6及び抵抗器R3を介して変圧器TX1の一次巻線P1に容量結合されている。コンデンサC6及び抵抗器R3は例えば非限定的にそれぞれ、470nFのキャパシタンスと100オームの抵抗を有することができる。
【0034】
変圧器TX1の二次巻線S2は、変圧器TX1の一次巻線P1に同調結合され、パルス駆動スイッチ(FET Q10)にゲートQ10G及びソースQ10Sを介して同調結合される。このように、変圧器TX1の二次巻線S2は、クロック信号とほぼ同じフェーズ(第1フェーズ)で、クロック回路306からパルス駆動スイッチ(FET Q10)にクロック信号を実質的に伝達するように作動可能である。
【0035】
変圧器TX1の二次巻線S1は、変圧器TX1の一次巻線P1に同調結合され、ゲートQ11G及びソースQ11Sを介して電圧クランプ機構(Q11及びC1)に逆相結合されている。このように、変圧器TX1の二次巻線S1は、クロック信号と同様に実質的に逆相(第2フェーズ)で、クロック回路306からのクロック信号を電圧クランプ機構(Q11及びC1)に実質的に伝達するように作動可能である。
【0036】
クロック回路306はまた、変圧器TX2の二次巻線S1(すなわちドレインQ9D)と接地の間に連結されたFET Q9にも(同調)結合されている。このように、パルス駆動スイッチ(FET Q10)は両方ともクロック回路306からのクロック信号と同調して駆動されることにより、サンプリング変圧器TX2がクロック回路306からのクロック信号と同調して作動することが可能になる。例えば非限定的に、約10%の短いデューティサイクルを有することにより、クロック回路306からのクロック信号は、サンプリング変圧器TX2を実質的に短時間駆動させるパルスを含むことができる。
【0037】
バッテリーシリーズ304は、例えば非限定的に約100Vの結合電圧等の電圧の、直列バッテリーセルを含む。バッテリーシリーズ304は、直列バッテリーセルに相当する2つの電源を含む。第1電源はS/H回路302によって測定されるセルのVcell1で表される。第2電源Vcell2は、一連の25直列接続セルを表す。セルのVcell1は、例えば非限定的に、約4V等の電圧を含むことができる。
【0038】
S/H回路302は、サンプリング変圧器(TX2)、パルス駆動スイッチ(FET Q10)、電圧クランプ機構(Q11及びC1)、パルス駆動スイッチを駆動するためのドライバー手段、同期サンプリングスイッチ(Q9)、及び駆動回路を含む。S/H回路302は、
図1〜2に示す実施形態と同様の機能、材料及び構造を有していてよい。したがって、共通の特徴、機能、及び要素は本明細書に重複して説明していない場合がある。パルス駆動スイッチ(FET Q10)及び電圧クランプ機構(Q11及びC1)はノードQ10Dにおいてサンプリング変圧器(TX2)に連結されている。
【0039】
サンプリングは、駆動クロックCLKの駆動クロックパルスが高い時に起こる。CLKの駆動クロック信号はTX1を介してトランス結合され、駆動クロック信号をQ10及びQ11へ送る。駆動クロックパルスは(すなわちC3を介して)容量結合され、(すなわちR14、R8及びQ4を介して)DC再生されてQ9に駆動電圧を印加する。
【0040】
高い駆動クロックパルスによって、Q9及びQ10は「オン」に切り替わる。Q10が「オン」の時、Vcell1はサンプリング変圧器TX2の一次巻線P1に連結されている。サンプリング変圧器TX2の二次巻線S1の出力電圧は、TX2の一次巻線P1に印加された電圧と比例する。Q9はこの時点で「オン」に切り替わるため、コンデンサC5はセル電圧Vcell1に比例する電圧まで充電する。サンプリング変圧器TX2の比率が1:1の場合、出力電圧VTMはcell+とcell−の間のセル電圧とほぼ同一である。
【0041】
CLKのクロック出力がゼロに達した時に、Q9及びQ10は「オフ」に切り替わる。Q9が「オフ」であるため、コンデンサC5はCLKの駆動クロックパルスにおいて確立された電圧に充電されたままである。
【0042】
また、クロック出力がゼロになった時、Q11は「オン」に切り替わり、cell+と、これもまたC1のプラス側であるQ11Sとの間のサンプリング変圧器TX2が接続される。多数のサイクル経過後に、Q11Sの電圧はVcell1の電圧よりも高い電圧まで充電され、これにより、サンプリング変圧器TX2全体の平均電圧がゼロボルトとなる。サンプリング変圧器TX2の一次巻線P1全体の平均電圧がゼロボルトであるため、サンプリング変圧器TX2の磁化インダクタンスの平均電流もまたゼロとなる。したがって、出力電圧は温度又は耐用期間において、サンプリング変圧器TX2のパラメータの変動によって大きな影響を受けることはない。さらに、S/H回路302はクロックCLKの周波数の変化又はパルス幅の変化に大きく影響されることはない。
【0043】
FETQ9、Q10、Q11はそれぞれ、各ゲートからDCバイアスを除去するための回路を含むことができる。例えば非限定的に、Q9は、抵抗器R8及びR14、及びFET Q4に連結されて、Q9及びC3からDCバイアスを除去することにより、Q9がクロック回路306からのクロック信号に適切に応答する。例えば非限定的に、Q10は抵抗器R1、R3及びR4、及びFET Q8に連結されて、DCバイアスを除去することにより、Q10が変圧器TX1の二次巻線S2からのクロック信号に適切に応答する。例えば非限定的に、Q11は抵抗器R2及びR5、及びダイオード D3に連結されて、DCバイアスを除去することにより、Q11が変圧器TX1の二次巻線S1からのクロック信号に適切に応答する。
【0044】
S/H回路302の抵抗器R1、R2、R3、R4、R5、R8、及びR14は、例えば非限定的に下記:R1は約1キロオーム、R2は約10キロオーム、R3は約100オーム、R4は約1キロオーム、R5は約100オーム、R8は約100キロオーム、R14は約10キロオームの抵抗を有することができる。S/H回路302のコンデンサC1、C2、C3、C4、C5、C6、及びC7は例えば非限定的に下記:C1は約470nF、C2は約100pF、C3は約500pF、C4は約1nF、C5は約100nF、C6は約470nF、及びC7は約10uFのキャパシタンスを有することができる。
【0045】
図4は本発明の実施形態による、TM電圧出力対セル電圧を示すセルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム200の例示的利得曲線のグラフ400である。
図4は、TM電圧出力404の線形性を示す。セル電圧が−0.2Vから+5Vに変動すると、TM電圧出力404は較正曲線402(Y=0.99989×+0.0012、直線式)の+/−0.2%以内に適合される。較正が行われない場合、TM電圧出力404はそれでも、後に表500で示すように、セル電圧の約−0.2〜4.3mV以内に適合する。
【0046】
図5は本発明の実施形態による、セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム200のTM電圧解析結果の例示的な表500である。表500はセル電圧502、解析結果504、計算利得506、計算オフセット508、計算出力510、較正エラー512、及び未較正エラー514を示す。
【0047】
図6は本発明の実施形態による、セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステム200の例示的エラー解析表600である。表600は、4Vに等しいVcellでの入力パラメータ602に対する出力電圧の変化620を示す。磁化インダクタンス604の変化によりVcell606が変動し、その結果、出力電圧の変化620が<0.1mVになる。同様に、サンプリング周波数608の変化により、Vcell610が変動し、その結果、出力電圧の変化620が<0.1mVになる。デューティサイクル612の変化により、Vcell614が変動し、その結果、出力電圧の変化620が<0.2mVになる。ハーネス抵抗616の変化により、Vcell618が変動し、その結果、出力電圧の変化620が<1mVになる。
【0048】
根二乗和(RSS)エラー622は約1.0488である。中心極限定理によれば、RSSは幾つかの構成パラメータの統計的分布を、電圧変化の変動性を特徴づける単一のガウス分布に結合させる。最悪の場合の性能は、結合電圧分布の3σ(3標準偏差)として定義することができる。
【0049】
極値解析(EVA)エラー624は約1.6mVである。EVAエラー解析は、データコーナー(例えば、標準値、最小値、及び最大値)でのパラメータの組み合わせを解析して、最悪の場合の性能尺度を得る。
【0050】
図7は本発明の実施形態による、セルテレメトリープロセス700を示す例示的フロー図である。プロセス700に関連して実施される様々なタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組合せによって機械的に実施することができる。当然ながら、プロセス700は任意の数の追加又は代替タスクを含むことができ、
図7に示すタスクは図示した順番で行う必要はなく、プロセス700は本明細書に詳しく説明していない追加の機能性を有するさらに包括的な手順又はプロセスに組み込むことができる。説明するために、プロセス700の下記説明は
図1〜6に関連して上述した要素を参照する場合がある。実際の実施形態では、プロセス700の一部を例えば:サンプリング変圧器102、パルス駆動スイッチ104、電圧クランプ機構106、ドライバー手段108、同期サンプリングスイッチ110、駆動回路112等のシステム100(
図1)の異なる要素によって実施することができる。プロセス700は、
図1〜6に示す実施形態と同様の機能、材料及び構造を有してよい。したがって、共通の特徴、機能、及び要素は本明細書に重複して説明していない場合がある。
【0051】
プロセス700は、電圧クランプ機構106を使用してボルト秒を平衡化させることによって、サンプリング変圧器102の平均磁化電流を約ゼロアンペア近くにすることによって開始することができる(タスク702)。
【0052】
プロセス700はパルス駆動スイッチ104及び同期サンプリングスイッチ110を起動させ、ほぼ同時に電圧クランプ機構106の動作を停止させることによって継続することができる(タスク704)。
【0053】
プロセス700は、パルス駆動スイッチ104と同期サンプリングスイッチ110の動作を停止させ、ほぼ同時に電圧クランプ機構106を起動させることによって継続することができる(タスク706)。
【0054】
プロセス700は、サンプリング変圧器102の入力120においてバッテリーセル116からの電流を受け取ることによって、継続することができる(タスク708)。
【0055】
プロセス700は、サンプリング変圧器102の出力において電圧を測定して測定電圧を得ることによって継続することができる(タスク710)。
【0056】
プロセス700は、測定電圧に基づいてバッテリーセル116のセルの電圧平衡を制御することによって、継続することができる(タスク712)。
【0057】
図8は、本発明の実施形態による、セルテレメトリー用サンプルホールドアンプシステムを使用したプロセス800を示す例示的フロー図である。プロセス800に関連して実施される様々なタスクは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組合せによって機械的に実施することができる。当然ながら、プロセス800は任意の数の追加又は代替タスクを含むことができ、
図8に示すタスクは図示した順番で行う必要はなく、プロセス800は本明細書に詳しく説明していない追加の機能性を有するさらに包括的な手順又はプロセスに組み込むことができる。説明するために、プロセス800の下記説明は
図1〜7に関連して上述した要素を参照する場合がある。実際の実施形態では、プロセス800の一部を例えば:サンプリング変圧器102、パルス駆動スイッチ104、電圧クランプ機構106、ドライバー手段108、同期サンプリングスイッチ110、駆動回路112等のシステム100(
図1)の異なる要素によって実施することができる。プロセス800は、
図1〜7に示す実施形態と同様の機能、材料及び構造を有してよい。したがって、共通の特徴、機能、及び要素は本明細書に重複して説明していない場合がある。
【0058】
プロセス800は、サンプリング変圧器102の入力120においてバッテリーセル116からの電流を受け取ることによって、開始することができる(タスク802)。
【0059】
プロセス800は、電圧クランプ機構106を使用してボルト秒を平衡化させることによって、サンプリング変圧器102の平均磁化電流を約ゼロアンペア近くにすることによって継続することができる(タスク804)。
【0060】
プロセス800は、パルス駆動スイッチ104及び同期サンプリングスイッチ110を起動させ、ほぼ同時に電圧クランプ機構106の動作を停止させることによって継続することができる(タスク806)。
【0061】
プロセス800は、パルス駆動スイッチと同期サンプリングスイッチ110の動作を停止させ、ほぼ同時に電圧クランプ機構106を起動させることによって継続することができる(タスク808)。
【0062】
プロセス800は、サンプリング変圧器102の出力において電圧を測定して測定電圧を得ることによって継続することができる(タスク810)。
【0063】
プロセス800は、測定電圧に基づいてバッテリーセル116のセルの電圧平衡を制御することによって、継続することができる(タスク812)。
【0064】
このようにして、高電源からの電圧が正確に測定される。
【0065】
上の説明は、互いに「接続され」又は「連結され」ている要素又はノード又は機構を指している。本明細書で使用されている「接続された」は、特に明記しない限り、一つの要素/ノード/機構が別の要素/ノード/機構に直接接合されている(又は直接連通している)ことを指すが、これは必ずしも機械的なものではない。同様に、特に明記しない限り、「連結された」は、一つの要素/ノード/機構が別の要素/ノード/機構に直接あるいは間接的に接合されている(又は直接あるいは間接的に連通している)ことを指すが、これは必ずしも機械的なものではない。このため、
図1〜3は要素の例となる配置を図示しているが、本発明の実施形態には追加の介在要素、装置、機構、又はコンポーネントが存在し得る。
【0066】
本明細書に使用された用語及び表現、またこれらの変形は、特に明記しない限り、限定とは反対に制約がないものとして解釈されるべきである。前述の例として:用語「含む」は、「限定なしに含む」等として解釈すべきであり;用語「実施例」は対象の品目の事例を提供するのに使用され、これらのリストを網羅する又は限定するものではなく;「従来の」、「伝統的な」、「通常の」、「標準の」、「既知の」及び同様の意味を持つ用語等の形容詞は、説明する品目を所定の時間間隔に又は現時点で利用可能な品目に限定するものとして解釈するべきではなく、むしろ、現在あるいは将来の任意の時点で利用可能な、又は知られている可能性のある従来の、伝統的な、通常の、または標準の技術を包含するものとして解釈するべきである。同様に、接続詞「及び」でつながる品目グループは、そのグループ内にそれらの各品目又は全ての品目が存在することが要求されると解釈するべきではなく、特に明記しない限り、「及び/又は」として解釈すべきである。同様に、接続詞「又は」でつながる品目グループは、そのグループ内で相互排他性が要求されると解釈するべきではなく、特に明記しない限り、「及び/又は」として解釈すべきである。さらに、本発明の品目、要素又はコンポーネントは、単数のものとして説明され得るあるいは請求され得るが、単数であることが明白に記載されていない限り、複数も本発明の範囲内にあると考えられる。例えば「一又は複数の」、「少なくとも」、「非限定的に」、又はある場合の同様な表現等の広がりのある単語及び表現の存在は、上記広がりのある表現がない場合に、範囲が狭い事例が意図される又は要求されるという意味に解釈するべきではない。