特許第6016384号(P6016384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016384
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】開閉体制御システム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   E06B9/68 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-50917(P2012-50917)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-185355(P2013-185355A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】尾登 宏幸
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−311361(JP,A)
【文献】 特開平10−112930(JP,A)
【文献】 特開2000−248863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/68
E05F 15/60−15/603
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に設けられた開閉手段と、
開閉停の各押しボタンスイッチを備えたスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の操作状態に応じて前記開閉手段の動作を制御する制御手段と、
前記開閉手段が上限位置に停止している状態で前記スイッチ手段の開スイッチ所定時間以上オン状態にあると判断した場合及び前記開閉手段が下限位置に停止している状態で前記スイッチ手段の閉スイッチが所定時間以上オン状態にあると判断した場合に前記スイッチ手段の異常を報知する報知手段と、
前記スイッチ手段の操作による前記開閉手段の操作を無効化すると共に前記報知手段が異常を報知している状態で前記スイッチ手段の停止スイッチが長押しされた場合に前記開スイッチ及び前記閉スイッチの不具合が解除されたか否かを判定し、前記不具合が解除されている場合には前記報知手段による報知を停止し、前記開閉手段の動作を有効化する操作制御手段と
を備えたことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体制御システムにおいて、
前記報知手段は、前記スイッチ手段の停止スイッチが不具合によってオフ状態が所定時間継続している場合に、前記スイッチ手段の異常を報知することを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の開閉体制御システムにおいて、
前記報知手段は、LED手段及び/又はブザー手段を用いて異常を報知することを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の開閉体制御システムにおいて、
前記開閉手段が前記上限位置に停止中であるときに前記閉スイッチのオン状態を検出した場合、前記開閉手段の閉動作を開始すると共に不具合判定を行うことを特徴とする開閉体制御システム。
【請求項5】
請求項1、2又は3に記載の開閉体制御システムにおいて、
前記開閉手段が前記下限位置に停止中であるときに前記開スイッチのオン状態を検出した場合、前記開閉手段の開動作を開始すると共に不具合判定を行うことを特徴とする開閉体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押しボタンスイッチの操作に応じて開閉体の動作を制御する開閉体制御システム係り、特に押しボタンスイッチの不具合に対応した安全性を確保することのできる開閉体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置され、その開閉部材を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。開閉体装置は、開口部の上部から開閉部材であるシャッターカーテンを徐々に繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖する。この開閉体装置は、開閉停の押しボタンスイッチの各操作に対応して、シャッターカーテンの開閉動作を制御する。このような開閉体装置として、特許文献1に記載のようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−200745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉停の各押しボタンスイッチの接点は、開スイッチ及び閉スイッチがa接点、停止スイッチがb接点で一般的に構成されている。開スイッチのa接点が溶着し上限停止した状態にある場合、閉スイッチが操作されてもシャッターカーテンが下降動作しないこと、又は閉スイッチが操作されるとそれに応じてシャッターカーテンが一旦下降動作を開始するが、シャッターカーテンが下限に達した後反転して上昇することがあった。また、閉スイッチのa接点が溶着し下限停止した状態にある場合、開スイッチが操作されてもシャッターカーテンが上昇動作しないこと、又は開スイッチが操作されるとそれに応じてシャッターカーテンが一旦上昇動作を開始するが、シャッターカーテンが上限に達した後反転して下降することがあった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、押しボタンスイッチに接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合が発生した場合に、押しボタンスイッチの操作を無効化することのできる開閉体制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉体制御システムの第1の特徴は、 開口部に設けられた開閉手段と、開閉停の各押しボタンスイッチを備えたスイッチ手段と、前記スイッチ手段の操作状態に応じて前記開閉手段の動作を制御する制御手段と、前記開閉手段が上段位置又は下限位置に停止している状態で前記スイッチ手段の開スイッチ又は閉スイッチが所定時間以上オン状態にあると判断した場合に前記スイッチ手段の異常を報知する報知手段と、前記スイッチ手段の操作による前記開閉手段の操作を無効化する操作制御手段とを備えたことにある。スイッチ手段は、開スイッチ、停止スイッチ及び閉スイッチの3点の押しボタンで構成されており、人為的に操作されるものである。このようなスイッチ手段の開スイッチ又は閉スイッチに接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合が存在する場合、開閉手段が上段位置又は下限位置に停止するので、この発明では、停止後も継続的に所定時間(例えば約5秒間)以上オン状態が継続することを検出した場合は、スイッチ手段に不具合が発生したものとして報知手段にて異常を報知すると共に操作制御手段にてスイッチ手段による操作を無効化した。
【0007】
本発明に係る開閉体制御システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体制御システムにおいて、前記報知手段が、前記スイッチ手段の停止スイッチが不具合によってオフ状態が所定時間継続している場合に、前記スイッチ手段の異常を報知することにある。通常、停止スイッチはb接点で構成されている。そこで、この発明では、b接点の停止スイッチのオフ状態が所定時間継続している場合、停止スイッチに不具合が発生したと判断して、停止スイッチの異常を報知するようにした。
【0008】
本発明に係る開閉体制御システムの第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体制御システムにおいて、前記報知手段が、LED手段及び/又はブザー手段を用いて異常を報知することにある。この発明は、報知手段がLED及び/又はブザーで構成される点を明確にしたものである。報知するLEDは、開閉停の各押しボタンスイッチに対応してそれぞれ色、大きさ等を異ならせた3種類のLEDを設け、開閉停のどの押しボタンスイッチに不具合が発生したかを容易に認識可能としてもよいし、単純に1種類のLEDを用いて不具合を表示するようにしてもよい。また、ブザーも各押しボタンスイッチに対応して3種類の発音を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の開閉体制御システムによれば、押しボタンスイッチに接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合が発生した場合に、押しボタンスイッチの操作を無効化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の開閉体制御システムに係るシャッター装置の概略構成を示す図である。
図2】本発明の開閉体制御システムの概略構成を示す図である。
図3】本発明の開閉体制御システムが実行する押しボタンスイッチ異常処理の詳細を示す図である。
図4】本発明の開閉体制御システムの制御回路がシーケンス回路で構成される場合の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下添付図面に従って本発明に係る開閉体制御システムの好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉体制御システムとして上下に開閉制御されるシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の開閉体制御システムに係るシャッター装置の概略構成を示す図である。このシャッター装置は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース1、シャッターカーテン2、ガイドレール3,4、巻取シャフト5、チェーン6、モータ7、制御装置8及び押しボタンスイッチ9から構成される。このシャッター装置は、通常時には、押しボタンスイッチ9の操作に応じて開閉機であるモータ7が動作して開閉制御するようになっている。このシャッター装置では、シャッターカーテン2が巻取シャフト5に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持している。
【0012】
ガイドレール3,4は、シャッターカーテン2の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテン2は、このガイドレール3,4の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。巻取シャフト5は、シャッターケース1の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン2を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン6は、モータ7の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト5の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ7の回転駆動力はチェーン6を介して巻取シャフト5側に伝達され、モータ7が回転すると、チェーン6を介して巻取シャフト5が回転し、シャッターカーテン2の開閉動作が制御されるようになっている。
【0013】
図2は、本発明の開閉体制御システムの概略構成を示す図である。制御装置8は、マイクロコンピュータ80を備えて構成されており、モータ7を駆動制御するモータドライブ回路81、操作者に異常を報知するLED82及びブザー83を備えている。制御装置8には、電源ラインACを介して電力が供給されている。制御装置8は、押しボタンスイッチ9上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号に基づいてモータドライブ回路81にてモータ7の回転を制御する。
【0014】
押しボタンスイッチ9は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、開スイッチ9A、停止スイッチ9B、閉スイッチ9Cを有し、それぞれのボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置8のマイクロコンピュータ80に出力する。開スイッチ9A及び閉スイッチ9Cはa接点で構成され、停止スイッチ9Bはb接点で構成されている。上限用リミットスイッチ8A及び下限用リミットスイッチ8Bは、モータ7の回転位置に応じてオン・オフ状態を維持するものであり、シャッターカーテン2が上限又は下限位置に達すると、上限用リミットスイッチ8A又は下限用リミットスイッチ8Bの接点が閉じて、シャッターカーテン2がこの上限位置又は下限位置に達したことを制御装置8のマイクロコンピュータ80に通知する。制御装置8のマイクロコンピュータ80は、シャッターカーテン2が上限又は下限位置に達すると、シャッターカーテン2を上限又は下限位置で停止させる。
【0015】
図3は、本発明の開閉体制御システムが実行する押しボタンスイッチ異常処理の詳細を示す図である。以下、このフローチャートを用いて開閉体制御システムの動作を説明する。
ステップS31では、押しボタンスイッチ9の停止スイッチ9Bの接点がオフ状態にあるか否かを判定する。停止スイッチ9Bはb接点で構成されているので、オフ状態でない(no)、すなわちオン状態であると判定された場合は、停止スイッチ9Bが操作されていない状態であることを意味するので、ステップS34に進む。一方、オフ状態である(yes)と判定された場合は、停止スイッチ9Bが操作されたことを意味するので、ステップS32に進む。
ステップS32では,停止スイッチ9Bが操作されたとしてシャッターカーテン2の停止処理を行って、ステップS33に進む。なお、シャッターカーテン2が既に停止状態であればそのまま停止状態を継続させる。
【0016】
ステップS33では、停止スイッチ9Bが何らかの不具合によってオフ状態になっているか否かを判定するとともに、何らかの不具合が発生していると判定した場合には不具合が発生しているとして、例えば、制御盤に設けられたLEDを点灯すると共にブザーを鳴動させ、停止スイッチ9Bに何らかの不具合(接点溶着,スイッチ引っ掛かりなど)が発生していることを報知する。何らかの不具合が発生しているか否かを判定する処理としては、例えば、所定時間以上(例えば5秒以上)停止スイッチ9Bがオフ状態を継続しているか否かを判定したり、停止スイッチ9Bがオフ状態になっていることを所定時間間隔毎に回数カウントして、この回数が所定回数以上になっているか否かを判定したりする。この判定処理中に停止スイッチ9Bがオン状態になったことを検出した場合、ステップS34に進む。なお、この判定処理中に開スイッチ9Aや閉スイッチ9Cがオン状態になったことを検出した場合、これらのスイッチの指示に基づくシャッターカーテン2の開動作や閉動作を行ってもよい。
【0017】
ステップS34では、シャッターカーテン2が上限位置に停止中か否かを判定し、停止中(yes)の場合はステップS35に進み、上限位置に停止中でない(no)の場合はステップS36に進む。ステップS35では、押しボタンスイッチ9の開スイッチ9Aがa接点で構成されているので、接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合によってオン状態が5秒以上経過しているか否かを判定し、5秒以上オン状態が続いている(yes)の場合はステップS38に進み、そうでない(no)場合はステップS3Cに進む。
【0018】
ステップS36では、シャッターカーテン2が下限位置に停止中か否かを判定し、停止中(yes)の場合はステップS37に進み、下限位置に停止中でない(no)の場合はステップS3Cに進む。ステップS37では、押しボタンスイッチ9の閉スイッチ9Cがa接点で構成されているので、接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合によってオン状態が5秒以上経過しているか否かを判定し、5秒以上オン状態が続いている(yes)の場合はステップS38に進み、そうでない(no)場合はステップS3Cに進む。
【0019】
ステップS38では、押しボタンスイッチ9の開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cが接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合によって接点が閉じた状態にあるので、押しボタンスイッチ9の操作に対応したシャッターカーテン2の開閉動作が行えないように無効とする。ステップS39では、制御盤に設けられたLEDを点灯すると共にブザーを鳴動させ、開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cに何らかの不具合(接点溶着,スイッチ引っ掛かりなど)が発生していることを報知する。
【0020】
ステップS3A,S3Bでは、開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cに何らかの不具合(接点溶着,スイッチ引っ掛かりなど)が発生し、それを報知している状態が続いているので、押しボタンスイッチ9の停止スイッチ9Bを5秒以上長押しすることによって解除できるようにしたものである。ステップS3Aでは、押しボタンスイッチ9の停止スイッチ9Bのオフ状態すなわち停止スイッチ入力が5秒以上継続しているか否かを判定し、5秒以上オフ状態が継続している(yes)場合はステップS3Bに進み、そうでない場合はステップS38にリターンする。
【0021】
ステップS3Bでは、開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cに発生していた何らかの不具合が解除されたか否かを判定するために、開スイッチ9A及び閉スイッチ9Cのスイッチ入力がキャンセルすなわちスイッチオフ状態にあるか否かを判定し、オフ状態にある(yes)場合はステップS3Cに進み、オフ状態にない(不具合が解除されていない)場合(no)はステップS38にリターンし、不具合が解除されるまで報知を継続する。
【0022】
ステップS3Cでは、押しボタンスイッチ9の開スイッチ9A、停止スイッチ9B及び閉スイッチ9Cに不具合が存在しないので、押しボタンスイッチ9の操作に対応したシャッターカーテン2の開閉動作が行えるように有効状態とする。ステップS3Dでは、制御盤に設けられたLED82が点灯している場合はそれを消灯すると共にブザー83が鳴動している場合は停止させ、ステップS31にリターンする。
【0023】
なお、図3の処理では示されていないが、図3の処理に追加して、シャッター上限停止中であるとき(ステップS34でyesと判定されたとき)に、閉スイッチ9Cの不具合状態を判定するステップを追加してもよい。すなわち、閉スイッチ9Cがオン状態であれば、この時点では正常な閉スイッチ操作によるものなのか不具合発生によるものなのかは不明であるので、一応、正常な閉スイッチ操作であるとしてシャッターカーテン2の閉動作を開始させ、これに引き続いて不具合判定を行う。すなわち、具体的な処理としては、ステップS35と似たような処理であり、所定時間以上(例えば5秒以上)閉スイッチ9Cがオン状態を継続しているか否かを判定したり,閉スイッチ9Cがオン状態になっていることを所定時間間隔毎に、この回数が所定回数分になったか否かを判定したりすることによる。何らかの不具合が発生していると判定した場合には不具合が発生しているとして、例えば、制御盤に設けられたLEDを点灯すると共にブザーを鳴動させ、開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cに何らかの不具合(接点溶着,スイッチ引っ掛かりなど)が発生していることを報知する。この報知とともに、必要に応じて、閉動作を停止させ、ステップS38〜ステップS3Bと同様の処理を行ってシャッター開閉操作を無効化してもよい。なお、閉動作を継続してもシャッターが下限位置に達したときには停止するので、ステップS34以降の処理で示されるように下限位置で閉スイッチ9Cの不具合状態を判定できるため、閉動作を停止させなくて閉動作を継続させるようにすることもできる。
【0024】
同様にして、図3の処理に追加して、シャッター下限停止中である(ステップS36でyesと判定されたとき)に開スイッチ9Aの不具合状態を判定してもよい。すなわち、開スイッチ9Aがオン状態であれば、一応、正常な開スイッチ操作であるとしてシャッターカーテン2の開動作を開始させ、閉スイッチ9Cの不具合判定処理と同様、所定時間以上(例えば5秒以上)開スイッチ9Aがオン状態を継続しているか否かを判定したり、開スイッチ9Aがオン状態になっていることを所定時間間隔毎にこの回数が所定回数分になったか否かを判定したりすることによる。何らかの不具合が発生していると判定した場合には不具合が発生しているとして閉スイッチ9Cの場合と同様の報知を行い、必要に応じてシャッター開閉操作の無効化を行う。なお、上限または下限ではなくて途中位置で停止中に(必要に応じて、開閉動作中でも)、上述した処理と同様、開スイッチ9Aや閉スイッチ9Cのオン状態が所定時間以上や所定回数分になっていると判定した場合には不具合発生の旨の報知やシャッター開閉操作の無効化を行うこととしてもよい。
【0025】
本実施の形態においては、開スイッチ及び閉スイッチがa接点、停止スイッチがb接点で構成されていることとして説明したが、これに限定されず、開スイッチ及び閉スイッチがb接点、停止スイッチがa接点として構成する等、a接点、b接点どちらで構成するかは任意であり、押しボタンスイッチ異常処理等もこの構成に準じてオン、オフ状態の判定を行えばよい。
【0026】
図4は、本発明の開閉体制御システムの制御回路がシーケンス回路で構成される場合の変形例を示す図である。この開閉体制御システムは、商用電源であるAC200[V]の3相交流(R相,S相,T相)を駆動源とするものである。3相交流の各電源ラインは、モータ7に接続され、その途中に上昇(開放)用のリレー接点OM、あるいは下降(閉鎖)用のリレー接点CMがそれぞれ設けられている。逆相防止回路APRは、R相,S相,T相の3相交流が正しく供給されている場合にR相の電圧をモータプロテクタ20経由にて押しボタンスイッチ9に供給している。
【0027】
逆相防止回路APRは、R相,S相,T相の3相交流が逆相になっている場合は、電圧の供給を押しボタンスイッチ9に行わないようになっている。モータプロテクタ20は、モータ7に設けられた加熱検出スイッチであり、モータ7が加熱した場合にR相電圧の供給を停止するものである。従って、これらの逆相防止回路APR及びモータプロテクタ20が動作することによって、押しボタンスイッチ9に電力が供給されなくなるので、開閉体制御システムは動作しなくなる。
【0028】
3相交流駆動源とモータ7との間に設けられた各リレー接点OM又はCMが閉じると、それによってモータ7は、その閉じた接点に対応した方向の電力(AC200[V]の3相交流)が供給され、シャッターカーテン2の上昇(開放)又は下降(閉鎖)が制御されるようになっている。これらリレー接点OM,CMは、上昇用の駆動リレー21,下降用の駆動リレー22の通電時に接点が閉じるようになっている。
【0029】
電磁ブレーキBCは、モータ7に連結された制動手段であり、モータ7の回転中はブレーキング動作を解除し、モータ7の停止中はブレーキング動作を実行するようになっている。この電磁ブレーキBCは、整流器RF及びカウンタCOを介してリレー接点OM,CMに接続されている。整流器RFは、電磁ブレーキBCに供給される電流を整流するものであり、カウンタCOは、電磁ブレーキBCの動作回数、すなわちシャッターカーテン2の開閉動作回数をカウントするものである。
【0030】
開スイッチ9Aが操作されると、開放用の駆動リレー21にAC200[V]の商用電源が通電される。この通電によってモータ7の電源ラインに設けられたリレー接点(OM)が閉じられて、モータ7が開放方向に駆動され、シャッターカーテン2は上昇するようになる。そして、駆動リレー21の通電により自己保持用のリレー接点21Aが閉じるため、一旦開スイッチ9Aが押された後は、この開スイッチ9Aを押し続けなくても自己保持用のリレー接点21Aを介して駆動リレー21の通電状態が維持され、シャッターカーテン2の上昇動作が継続される。押しボタンスイッチ9は、このような自己保持回路を具備している。そして、シャッターカーテン2が上限位置に達すると、上限用リミットスイッチ8Aの接点が開くので、駆動リレー21への通電が断たれ、シャッターカーテン2はこの上限位置で停止する。
【0031】
同様に閉スイッチ9Cが操作されると、閉鎖用の駆動リレー22にAC200[V]の商用電源が通電され、モータ7の電源ラインに設けられたリレー接点(CM)が閉じられて、モータ7が閉鎖方向に駆動され、シャッターカーテン2は下降するようになる。そして、駆動リレー22の通電により自己保持用のリレー接点22Aが閉じるため、自己保持用のリレー接点22Aを介して駆動リレー22の通電状態が維持され、シャッターカーテン2の下降動作が継続される。そして、シャッターカーテン2が下限位置に達すると、下限用リミットスイッチ8Bが接点を開くので、駆動リレー22への商用電源の通電が断たれ、シャッターカーテン2はこの下限位置で停止する。
【0032】
また、停止スイッチ9Bが操作されると、自己保持回路が開放され、上昇及び下降のいずれの動作も停止される。エマーゼンシスイッチ25は、シャッターカーテン2が上限用リミットスイッチ8Aを通過して異常に上昇した場合の緊急停止用のスイッチである。
【0033】
タイマT1及びリレー接点28は、開放用の駆動リレー21及び上限用リミットスイッチ8Aに対して並列に設けられている。タイマT2及びリレー接点29は、閉鎖用の駆動リレー22及び下限用リミットスイッチ8Bに対して並列に設けられている。シャッターカーテン2が上限又は下限位置に達し、上限用リミットスイッチ8A又は下限用リミットスイッチ8Bの接点が開くことによって、シャッターカーテン2の動作が停止すると共に駆動リレー21,22への通電が断たれ、自己保持用のリレー接点21A,22Aが開放し、リレー接点28,29が閉じる。このときに、開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cに接点溶着やスイッチ引っ掛かりなどの不具合が発生していると、タイマT1又はタイマT2へ通電が開始され、タイマT1又はタイマT2が計時を開始する。タイマT1又はタイマT2は、通電開始から所定の時間(約5秒間)が経過すると、その時点で制御盤に設けられているLEDを点灯すると共にブザーを鳴動させ、開スイッチ9A又は閉スイッチ9Cに何らかの不具合(接点溶着,スイッチ引っ掛かりなど)が発生していることを報知する。
【符号の説明】
【0034】
1…シャッターケース、
2…シャッターカーテン、
20…モータプロテクタ、
21,22…駆動リレー、
21A,22A…リレー接点、
25…エマーゼンシスイッチ、
28,29…リレー接点、
3,4…ガイドレール、
5…巻取シャフト、
6…チェーン、
7…モータ、
8…制御装置、
80…マイクロコンピュータ、
81…モータドライブ回路、
82…LED、
83…ブザー、
8A…上限用リミットスイッチ、
8B…下限用リミットスイッチ、
9…押しボタンスイッチ、
9A…開スイッチ、
9B…停止スイッチ、
9C…閉スイッチ、
T1,T2…タイマ
図1
図2
図3
図4