特許第6016410号(P6016410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016410
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/02 20060101AFI20161013BHJP
   B43K 23/08 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B43K8/02 B
   B43K8/02 H
   B43K8/02 G
   B43K9/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-79118(P2012-79118)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-214049(P2012-214049A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年12月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-74785(P2011-74785)
(32)【優先日】2011年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】神瀬 芳臣
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−071371(JP,A)
【文献】 特開平09−109589(JP,A)
【文献】 実開平06−079586(JP,U)
【文献】 特開2006−056209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 8/02
B43K 23/08−23/12
A45D 34/00−34/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に先筒を装着するペン軸と、この先筒の先端に、軸方向に移動可能に嵌入されるペン芯とを備え、このペン芯が前記先筒に嵌入された状態で軸方向に押圧されることでペン軸内のインク室に貯留されているインクがペン芯に供給され、上記押圧が解除されることにより上記ペン芯へのインク供給が阻止される筆記具において、
ペン芯はペン軸の径より大きい幅かつ軸方向視で非円形状に形成されており、
前記先筒は二箇所以上の嵌合部によって前記ペン軸に着脱可能に装着されるものであると共に、
前記ペン芯を着脱可能に覆うキャップの内周部及び先筒の外周部に軸方向視で楕円形の部位が形成され、このキャップを先筒に装着する際には、当該楕円形の部位同士を嵌合するように形成されており、
前記先筒の嵌合部は、先筒外周面に周方向に間隔を置いて複数設けられ、該複数の嵌合部間を繋ぐように周方向に沿って前記キャップを嵌着するための環状段部が形成されることを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記先筒の楕円形の部位には、キャップとの嵌合時にキャップの内周面部に密接してペン芯をキャップ内に密封するためのゴム弾性材を保持する保持部と、キャップ内周面に嵌着してキャップを抜け止めする嵌合部とが設けられてシールされることを特徴とする請求項1記載の筆記具。
【請求項3】
前記ペン芯の誘導部と塗布部との間に、複数の開口部を形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペン先が軸筒より幅広な筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般の筆記具では、その描線の幅が軸筒より細くなっていた。
したがって、特に、ポスター製作等で幅の太い描線を一度で筆記することが求められた場合、筆記ペン先を太くし、併せて軸筒も太くしていたが、これでは、著しく持ちづらくなり一般の筆記の使用に耐えられない。
【0003】
そこで、下記の特許文献のように、従来の筆記具の軸筒のサイズを維持しながらペン芯を太くする技術が開示されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−155166号公報
【特許文献2】実開平07−26193号公報
【特許文献3】特開平06−134382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び2の筆記具は、ペン芯を保持した先筒がネジ式で軸本体に保持されており、インク(「インキ」とも称する)の補充の際、先筒を軸本体に対して回転させてネジを外す必要から、脱着に手間が掛かり容易でなかった。
【0006】
なお、特許文献3では、接着剤塗布用の吐出ヘッドに関して、接着剤収容体の先端側に装着するのに、螺合方式の他、嵌合方式、掛け止め方式でもよい旨が記載されるが、短い筒状の係止部に環状連結部を装着するので、収容体に対する吐出ヘッドの支持が弱くなりやすく、ぐらつく虞がある。
【0007】
本発明は、先筒のペン軸に対する脱着を容易かつ確実にでき、またキャップした際にシール性のある筆記具を提供する。さらにキャップを楕円形にすることで幅広なペン芯にしても収納体積を取らずかつデザイン性のある筆記具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、先端に先筒を装着するペン軸と、この先筒の先端に、軸方向に移動可能なように嵌入されるペン芯とを備え、このペン芯が前記先筒に嵌入された状態で軸方向に押圧されることでペン軸内のインク室に貯留されているインクがきペン芯に供給され、上記押圧が解除されることにより上記ペン芯へのインク供給が阻止される筆記具において、
ペン芯は軸筒の径より大きい幅かつ軸方向視で非円形状に形成されており、
前記先筒は二箇所以上の嵌合部によって前記ペン軸に着脱可能に装着されるものであることを特徴とする筆記具である。
【0009】
本発明において、ペン芯を着脱可能に覆うキャップ内周部及び先筒外周部に軸方向視で楕円形の部位が形成され、このキャップを先筒に装着する際には、当該楕円形の部位同士を嵌合するようにした筆記具であって、
前記先筒の楕円形部位には、キャップとの嵌合時にキャップの内周面部に密接してペン芯をキャップ内に密封するためのゴム弾性材を保持する保持部と、キャップ内周面に嵌着してキャップを抜け止めする嵌合部とが設けられてシールされることが好適である。
【0010】
本発明において、先筒の嵌合部は、先筒外周面に周方向に間隔を置いて複数設けられ、該複数の嵌合部間を繋ぐように周方向に沿ってキャップを嵌着するための環状段部が形成されることが好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の筆記具によれば、先筒が二箇所以上の嵌合部によってペン軸に着脱可能に装着されるものであるので、先筒のペン軸に対する脱着を容易かつ確実にでき、またキャップした際にシール性のある筆記具を提供できる。
【0012】
さらにペン芯を着脱可能に覆うキャップを楕円形にすることで幅広なペン芯にしても収納体積を取らずかつデザイン性のある筆記具を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態に係る筆記具の説明図であり、(a)が先筒の幅広側面の一側から見た図、(b)が先方から見た図、(c)が幅狭側面から見た図、(d)が後方から見た図、(e)が幅広側面の他側から見た図、(f)が前方斜視図、(g)側方斜視図、(h)が後方斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る筆記具の縦断説明図であり、(a)が先筒の幅狭方向に沿って縦断した図、(b)先筒の幅広側に沿って縦断した図である。
図3図1〜2の筆記具の先筒の説明図であり、(a)が前方斜視図、(b)が先方から見た図、(c)が幅狭側から見た図、(d)が幅広方向に沿う縦断図、(e)が幅広側面から見た図、(f)が後方斜視図、(g)が後方視図である。
図4】キャップを取った状態の図1の筆記具の説明図であり、(a)が先筒の幅広側面の一側から見た図、(b)が先方から見た図、(c)が幅狭側面から見た図、(d)が後方から見た図、(e)が幅広側面の他側から見た図、(f)が前方斜視図、(g)側方斜視図、(h)が後方斜視図である。
図5】キャップを取った状態の図1の筆記具の先筒の説明図であり、(a)が前方斜視図、(b)が先方から見た図、(c)が幅狭側から見た図、(d)が幅広方向に沿う縦断図、(e)が幅広側から見た図、(f)が後方斜視図、(g)が後方視図である。
図6】第2の実施形態に係る筆記具の先筒の説明図であり、(a)が先筒の先方側から見た斜視図、(b)が先方から見た図、(c)が幅狭側面から見た図、(d)が縦断面図、(e)が幅広側面の他側から見た図、(f)が後方斜視図、(g)が後方から見た図である。
図7】第3の実施形態に係る筆記具の先筒の説明図であり、(a)が先筒の幅広側面の一側から見た図、(b)が後方斜視図、(c)が幅広側面から見た図、(d)が断面図、(e)が幅狭側面から見た図、(f)が先方から見た図、(g)が前方斜視図である。
図8】第3の実施形態に係る筆記具のキャップの説明図であり、(a)がキャップの前方斜視図、(b)が先方から見た図、(c)が幅広い側面から見た図、(d)が(c)状態の断面図、(e)が後方から見た図、(f)が幅狭い側面から見た図、(g)が(f)状態の断面図である。
図9】第3の実施形態に係る筆記具のペン芯の説明図であり、(a)がペン芯の後方斜視図、(b)が別角度の斜視図、(c)が先方から見た図、(d)が幅広い側の側面図、(e)が幅狭い側の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1図5は、第1の実施形態に係る筆記具の説明図である。
【0016】
図1図5に示すように、第1の先端に先筒10を装着するペン軸(軸筒)12と、この先筒10の先端に、軸方向に移動可能なように嵌入されるペン芯14とを備え、このペン芯14が前記先筒10に嵌入された状態でペン軸12の後方向に押圧されることでペン軸12内のインク室16に貯留されているインクがペン芯14に供給され、上記押圧が解除されることにより上記ペン芯14へのインク供給が阻止される筆記具である。さらに詳しく説明すると、前記ペン芯14はペン軸12の径より大きい幅かつ軸方向視で非円形状に形成されている。
【0017】
第1の実施形態では、図4図5に示すように、ペン芯14は、先方から見て矩形を呈し、側面視で幅広の塗布部14aから一本足状に誘導部14bがインク室16側に延びており、概略T字形状を呈している。また、ペン芯14は、フェルトや多孔質体等のインクを含浸し毛細管力で誘導する材質のものである。ペン芯14には、繊維質のものや樹脂成形材等を適宜に選定して用いることができる。
【0018】
〔先筒10〕
また、前記先筒10は、ペン芯14を前後動可能に装着して側方へのガタツキを少なくして誘導支持する概略椀状の誘導支持部10aが先方部に設けられ、ペン軸12の先方部に外嵌して固定する連結筒部10bが後方部に設けられている。この連結筒部10bに形成された二箇所(本発明では三箇所以上でもよい)の嵌合部18によって前記ペン軸12に着脱可能に装着されるものである。
【0019】
〔ペン軸12〕
ペン軸12は、先端部が段状に細径になっており、その先端部に筒状の継手筒20が覆うように嵌着され一体化している。ペン軸12はその内部がインクを収容するインク室16になった先端開放かつ後端端閉鎖の軸方向に長い筒体構造のものである。
【0020】
この継手筒20は、後方部20r、中央部20c、先方部20fの順に段階的小径に形成された3段先細り構造の中空筒体構造のものである。継手筒20の後方部20rはペン軸12の先端部の外周面に嵌合または螺合(接着や融着でもよい)して固定される。前記継手筒20の中央部20cと後方部20rの段差をペン軸12の先端面に突き当てて、継手筒20をペン軸12に固定する。後方部20r後端とペン軸12肩部との間に凹みを設け、また、中央部20cの後方部20r側端の段差付近の外周に先筒10嵌合用の環状の凸部が形成されている。
【0021】
〔嵌合部18〕
図2図3に示すように、前記ペン軸12に先筒10を嵌合させる嵌合部18は、連結筒部10bに前記継手筒20の段状の外周面(後方部20r、中央部20c、先方部20fの各外周面)に対応した段状の内周面(後方部、中央部、先方部)を有し、かつ、段状の内周面の後方部の環状凸部からなる嵌合部18(18a)及び中央部の後方部寄りの位置の環状凸部からなる嵌合部18(18b)を設けている。嵌合部18aを継手筒20の後方部20r後端とペン軸12肩部との間で形成された凹みに嵌合させ、また、嵌合部18bを、継手筒20の中央部20cの後側端の段差付近の外周に形成された環状の凸部に乗り越えさせて嵌合させる。
【0022】
〔弁機構22〕
ペン軸12の先端部及び継手筒20の内部に弁機構22を設けており、弁機構22を開閉することによってペン軸12のインク室16の先方部にある供給開口からペン芯14先端部に供給するインクの量を調整するものである。
【0023】
上記弁機構22は、図2に示すように、後方窄まりの筒状の保持枠24を有し、この保持枠24の先方側の開口端に弁座部材26が嵌め込まれている。この保持枠24には、インク室16側と保持枠24内側にインクを流通させる図示しない流通孔が形成されている。
【0024】
前記弁座部材26の中央には弁体28が先後移動可能に装入された弁孔26aが形成されている。上記弁体28の弁孔26aに対峙する面が先窄まりのテーパー状の斜面に形成されている。そして、弁体28の斜面が弁孔26aの縁に当たることにより供給路を閉鎖し、弁体28の斜面が弁孔26aの縁から離れることにより供給路を開放するようになっている。
【0025】
上記弁体28には、一端がインク室16側に延びる長尺な支持杆28aが連設されている。また、弁体28の他端には上記ペン芯14側に突き出す筒部28bが連設されている。そして、筒部28bは弁座部材26の弁孔26aに間隙を置いて遊嵌されて、かつ、弁座部材26の外面から継手筒20内の通路30内に充分に突き出すように設けられている。筒部28bの突き出し先端縁部には一部切欠き形成した複数の通路30が形成されている。この通路30はペン芯14の誘導部14bに弁体28の筒部28bが当たった状態でも筒部28bの内側にもインクを廻り込ませ、誘導部12bに十分にインクを行き渡らせるものである。
【0026】
この支持杆28aは後方に延びた保持枠24の後部孔に進退可能に挿入されている。
前記保持枠24と支持杆28aとの間に付勢部材のスプリング32が緩く装着されて、弁体28が保持枠24に対して先方に閉鎖方向に付勢されている。通常、弁機構22は弁体28によって閉鎖する状態に保持される。
【0027】
上記筆記具では、ペン芯14を着脱可能に覆うキャップ34が設けられる。そのキャップ34内周部及び先筒10(の誘導支持部10a)の外周部に軸方向視で楕円形の部位(外周壁部36)が形成され、このキャップ34を先筒10に装着する際には、当該楕円形の部位同士を嵌合するようにしたものである。
【0028】
図4図5に示すように、前記先筒10の誘導支持部10aの楕円形部位には、キャップ34との嵌合時にキャップ34の内周面部に密接してペン芯14をキャップ34内に密封するためのO(オー)リング等のゴム弾性材38を保持する保持部40と、キャップ34内周面に嵌着してキャップ34を抜け止めする第2の嵌合部42とが設けられてシールされ、不用意にキャップ34が外れない構造になっている。
【0029】
誘導支持部10aは、全体が概略杯状を呈し、幅広のペン芯14を誘導装着する挿通孔が内周に形成された軸方向視で矩形の誘導壁部10a1が軸方向先方に立設している。誘導壁部10a1は、一定厚さに形成され先方視で内・外壁面が矩形に形成され、内壁面にペン芯14を支持誘導する複数のリブが軸方向に沿って形成されている。また、誘導支持部10aは外周に軸方向視で外周が楕円形を呈する前記外周壁部36が概略椀状に形成されており、誘導壁部10a1と外周壁部36との間に空間が形成され、その空間を埋めるように保持部40が嵌め込まれている。
【0030】
図5に示すように、保持部40は、誘導壁部10a1の矩形の外周と外周壁部36の楕円形の内周に対応してそれら密着する外周面及び内周面形状を呈した環状部材であり、その外周壁部36の先端部外周がフランジ状に形成されるものである。前記ゴム弾性材38は、前記外周壁部36の先端縁と保持部40のフランジ状先端部外周部の後端面とで挟み付けられて先筒10の誘導支持部10aから脱落しないように形成されている。
【0031】
上記のように、前記先筒10の外周の楕円形部位に、キャップ34との嵌合時にキャップ34の内周面部にゴム弾性材38が密接してペン芯14をキャップ34内に密封するようになっている。
【0032】
また、第2の嵌合部42は、誘導壁部10a1の周面に楕円形のほぼ長軸と短軸が一致する位置に凹凸構造によって形成される。第2の嵌合部42がキャップ34内周面の凹凸の構造の縦溝34aに嵌着してキャップ34を抜け止めして、キャップ34によってペン芯14をシールする構造になっている。
【0033】
なお、第2の嵌合部42とペン芯14との間には放射状に複数の梁部46が形成され、その梁部46同士の間にはインク受け部48が形成されている。インク受け部48はペン芯14から漏れ出た不要なインクを回収することができ、先筒10へのインク汚れを防止することができる。
【0034】
本実施形態の塗布具の作動について説明する。
【0035】
塗布具を使用しない保管時にはペン芯14及び先筒10の先端部にキャップ34を被せインクの揮発を防止し、また、弁機構22は閉鎖している。このため、インク室16からペン芯14にインクが供給されないので、ペン芯14を通じてキャップ34内に塗料が溢れ出すことがない。
【0036】
また、塗布器具を使用する場合はキャップ34をペン芯14及び先筒10から取り外し、ペン芯14を繰り返し押し込む。ペン芯14を押し込んだとき、ペン芯14が、弁機構22の弁体28を介して、スプリング32の付勢力に抗して、弁体28を押し込む。すると、弁体28が弁座部材26から離れ、弁孔26aを開口させ、弁機構22を開くので、インク室16からペン芯14先端部にインクが供給される。
【0037】
ペン芯14を押し込む操作を繰り返すことにより、多くのインクをペン芯14に供給することができる。この押し込む操作を繰り返すことによって、弁座部材26、弁体28、保持枠24等の弁機構22がポンピング作用を奏する。また、ペン芯14は繊維等の隙間の毛細管現象などにより吸液性と浸透性を示すように形成されているので、インクが全体に行き渡るようにしみ出る。
【0038】
このようにして、液状のインクがペン軸12から弁機構22を介してペン芯14全体に染み渡って使用できる状態になる。
【0039】
以上のように、本実施形態では先筒10が二箇所以上の嵌合部18(18a、18b)によってペン軸12に着脱可能に装着されるものであるので、先筒10のペン軸12に対する脱着を容易かつ確実にでき、またキャップ34と嵌めた際にシール性のある筆記具を提供できる。
【0040】
さらにペン芯14を着脱可能に覆うキャップ34を楕円形にすることで幅広なペン芯14にしても収納体積を取らずかつデザイン性のある筆記具を提供できる。
【0041】
次に、第2の実施形態に係る筆記具を説明する。図6は、この第2の実施形態に筆記具の説明図である。なお、図1図5と同様箇所に同一の符号を付している。また、ペン軸12や弁機構22は第1の実施形態のもの(図1図2図4に示す)と同様の構成、機能及び作用を有する。
【0042】
図6に示すように、この筆記具では、先筒10の第2の嵌合部42は、先筒10外周面に周方向に間隔を置いて複数設けられている。それらの複数の第2の嵌合部42、42…間を繋ぐように周方向に沿ってキャップ34を嵌着するための環状段部44が形成されている。環状段部44は、先方側より後方側がやや高く形成されて、キャップ34を拡径しながら嵌着する構成となっている。
【0043】
環状段部44によって、キャップ34を緊密に嵌着でき、かつ、気密も一層保てるためペン芯14からインクが蒸発するのをより確実に防止できる。
【0044】
次に、第3の実施形態に係る筆記具を説明する。図7〜9は、この第3の実施形態に係る筆記具の説明図である。なお、図7図9では、図1図6と同様箇所に同一の符号を付している。また、ペン軸12や弁機構22(図1図2図4に示される)は第1の実施形態、第2の実施形態のものと同様の構成、機能及び作用を奏する。
【0045】
第3の実施形態は、キャップ34天面に凹部34cを形成していること、ペン芯14にテーパー部14cと開口部14dを形成している点が前述の第1の実施形態及び第2の実施形態とで異なる。
この第3実施形態では、図7図8に示すように、キャップ34天面の凹部34cは、キャップ34の先方視で概略矩形または長円形の先端において、周囲が壁状に突出した部分に囲まれた中央部が相対的に凹んだ形態で凹部34cになっている。
【0046】
キャップ34天面に凹部34cを形成することにより、キャップ34天面でペン芯のポンピングをしてもインクがキャップ34から溢れることなく、また筆記前のポンピングを紙面で行う必要がなくなるため、紙面を不要に汚すことを避けることができる。
さらにペン芯は、図7図9に示すように、ペン芯14は、一本足状の誘導部14bと塗布部14a側(先端側)の間の幅方向側端部が、塗布部14a先端側に行くにつれて拡径するテーパー面のテーパー部14cが形成され、かつ、ペン芯14の正面から背面にかけて貫通する三角形状で複数の開口部14dが形成されている。複数の開口部14d同士は細い幅のブリッジ部14dで仕切られた形状を呈している。
【0047】
この構成にすることで、ペン芯14おいては、狭いインクの供給口からインクが誘導部14bから開口部14dの周囲の左右のテーパー部14c(及び複数の開口部14d同士を仕切るブリッジ部14e)を介して効率良く伝わって幅広の塗布部14aに対して均一に充填することができるので、インク供給効率を向上させることができる。また、ペン芯14の開口部14dがペン芯の体積が減少するためペン軸(軸筒)12内のインクが無くなった(終筆時の)場合にペン芯14に含まれるインク残りを少なくすることができる。さらに速書によるインク追従性も向上することができる。
なお、開口部14dは図面では三角形状のものが3つ空いているが、筆圧の強度に影響がなくインク供給性能が向上すれば、数や形状は特に指定しない。
【0048】
第1及び第2の実施形態のペン芯14では、中心部分には十分にインクが行き渡るが、インクの粘度や浸透圧によっては塗布部14aの両サイド部分に十分にインクを行き渡らせる要請があった。そこで、そのような要請にこたえるべく第3の実施形態の構成にすることで、インクがペン芯14全体にスムーズに行き渡るようになった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の筆記具は、塗布液を塗る塗布具としても利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 先筒
10a 誘導支持部
10a1 誘導壁部
10b 連結筒部
12 ペン軸
14 ペン芯
14a 塗布部
14b 誘導部
14c テーパー部(第3の実施形態)
14d 開口部(第3の実施形態)
16 インク室
18(18a、18b) 嵌合部
20 継手筒
20c 継手筒の中央部
20f 継手筒の先方部
20r 継手筒の後方部
22 弁機構
24 保持枠
26 弁座部材
26a 弁孔
28 弁体
28a 支持杆
28b 筒部
30 通路
32 スプリング
34 キャップ
34a 縦溝
34c 凹部(第3の実施形態)
36 外周壁部
38 ゴム弾性材
40 保持部
42 第2の嵌合部
44 環状段部
46 梁部
48 インク受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9