(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施例の情報処理システムでは、NAS機能とレコーダ機能とを備えたストレージ装置を提案する。1台のストレージ装置がNASおよびPVRとして動作できることで、設置場所の省スペース化やメンテナンスの柔軟性を高められる。ストレージ装置は、レコーダ用のユーザインタフェースをもたず、ストレージ装置にアクセスするクライアント装置に専用のアプリケーションをインストールして、クライアント装置がレコーダ用のユーザインタフェースを提供するようにする。これにより、ネットワークに接続するストレージ装置の台数を増やすことで、システム全体の記録容量を簡単に増やせるとともに、レコーダ用ユーザインタフェースがクライアント装置から提供されることで、ユーザは、ストレージ装置の台数にかかわらず、同じユーザインタフェースを用いて、ストレージ装置を操作できるようになる。
【0015】
本実施例の情報処理システムにおいて、ストレージ装置は、NAS機能を有することを利用して、レコーダ機能により録画したコンテンツをクライアント装置に提供するメディアサーバ機能と、汎用的なファイルサーバ機能とを有している。ユーザがストレージ装置をファイルサーバとして利用する場合、ユーザは、録画されているコンテンツにアクセスできないように制限され、ユーザがストレージ装置をメディアサーバとして利用する場合に、ユーザは、録画コンテンツを視聴できる。このようにストレージ装置では、録画コンテンツとそれ以外のコンテンツとが区別されて記録されている。
【0016】
以上のように本実施例のストレージ装置は各種機能を有している。これらの機能をユーザが適切に設定するために、ストレージ装置は機能設定用のWebアプリケーションを有して構成され、ユーザは、情報処理装置からWebアプリケーションを実行することで、ストレージ装置における各種機能を設定できる。本実施例において、機能設定用のWebアプリケーションは、ストレージ装置におけるクライアント装置の登録状況や、ストレージ装置とクライアント装置の間の接続関係などを、ユーザが直観的に把握できるユーザインタフェースを提供する。
【0017】
図1は、実施例にかかる情報処理システム1の概略構成を示す。情報処理システム1では、クライアント装置20a、20b(以下、特に区別しない場合には「クライアント装置20」とよぶ)と、ストレージ装置10a、10b、10c(以下、特に区別しない場合には「ストレージ装置10」とよぶ)とがネットワーク3に接続する。なお
図1では、複数のクライアント装置20a、20bと、複数のストレージ装置10a、10b、10cとが示されているが、情報処理システム1においてクライアント装置20およびストレージ装置10は、それぞれ1台存在していればよい。
【0018】
ストレージ装置10は、NAS機能とレコーダ機能を備える。ストレージ装置10は、ハードディスクドライブを備え、ハードディスクドライブはたとえば300GBを超える記録容量を有する。なおストレージ装置10は、ハードディスクドライブ以外の記録メディア、たとえばフラッシュメモリを備えて構成されてもよい。またストレージ装置10はディスプレイ装置には接続されていないが、動作状態などをユーザに提示するためのLEDを搭載する。情報処理システム1において、ストレージ装置10は、静止画像、動画像、音楽などの複数種類のコンテンツを保存し配信するメディアサーバとして機能し、DLNA(Digital Living Network Alliance)対応機器であるクライアント装置20は、ストレージ装置10にアクセスして、記録されたコンテンツを取得し、再生できる。なおストレージ装置10は、汎用的なファイルサーバとしても機能できる。
【0019】
レコーダ機能を実現するために、ストレージ装置10はアンテナ2に接続し、地上波デジタル放送波、BSデジタル放送波、CSデジタル放送波の3波チューナを備える。なお
図1に示すネットワーク環境の概略構成では、アンテナ2からの放送信号が分岐して、各ストレージ装置10a〜10cに入力されているが、各ストレージ装置10がアンテナ入力端子およびアンテナ出力端子を備え、たとえばストレージ装置10aのアンテナ入力端子をアンテナ2に接続し、ストレージ装置10aのアンテナ出力端子とストレージ装置10bのアンテナ入力端子を接続し、ストレージ装置10bのアンテナ出力端子とストレージ装置10cのアンテナ入力端子を接続して、ストレージ装置10a、10b、10cが放送信号を受信できるようにしてもよい。
【0020】
本実施例においてストレージ装置10は、シングルチューナのPVRとして動作し、1番組の録画を可能とする。情報処理システム1では、ストレージ装置10を1台、ネットワーク3に接続すると、シングルチューナのPVRとして機能し、2台ネットワーク3に接続すると、ダブルチューナのPVRとして機能し、3台ネットワーク3に接続すると、トリプルチューナのPVRとして機能する。ストレージ装置10の接続台数を増やすごとに、同時録画できる番組数が増えるとともに、情報処理システム1における記録容量も増加する。このように本実施例では、単純にストレージ装置10を増設するだけで、チューナ数および記録容量を増やすことのできる拡張性の高い情報処理システム1を提供する。なおストレージ装置10は、通常のファイルサーバとしても動作するため、記録容量を簡単に増やせることは、NASシステムとしての柔軟性を高めることにもつながる。
【0021】
クライアント装置20は、ディスプレイ装置に接続し、またはディスプレイを有して構成される情報処理装置である。クライアント装置20は、ディスプレイ装置に接続する据置型のゲーム機やデスクトップ型のパーソナルコンピュータであってよく、またディスプレイと一体に構成された携帯型のゲーム機やノート型パーソナルコンピュータであってよい。
【0022】
クライアント装置20は、ストレージ装置10のメディアサーバ機能にアクセスして、録画されたコンテンツファイルを取得して再生する。クライアント装置20は、ケーブルで中継装置4を介してネットワーク3に接続してもよく、また中継装置4を介して無線でネットワーク3に接続してもよい。中継装置4は、ネットワーク3上の機器間で情報を中継するハブまたはスイッチであってよく、また外部のネットワークと接続するルータであってもよい。中継装置4がルータ機能をもつことで、外部ネットワークに接続するクライアント装置が、ストレージ装置10にアクセスすることが可能となる。なお本実施例の中継装置4は、無線LAN通信機能およびルータ機能を備えた、いわゆる無線LANルータとして構成されている。
【0023】
クライアント装置20は、ユーザがPVRとして動作するストレージ装置10を操作するためのユーザインタフェースを提供するべく、ストレージ装置10のレコーダ機能を制御するための専用のアプリケーションをインストールする。これによりユーザは、ストレージ装置10をレコーダとして利用でき、番組の録画予約や、録画番組の視聴などの操作を、クライアント装置20が提供するユーザインタフェースを利用して行うことができる。
【0024】
複数台のストレージ装置10がネットワーク3に接続される場合、各ストレージ装置10の管理は、クライアント装置20にインストールされたレコーダ操作アプリケーションにより実現される。ストレージ装置10がレコーダ用のユーザインタフェースをもたないために、ストレージ装置10はビデオ出力をもつ必要もなく、製造コストを安価に抑えることができる。またユーザは、ストレージ装置10をネットワーク3に接続するだけで、情報処理システム1における記録容量および同時録画できる番組数を簡単に増やすことができ、非常に柔軟性の高い情報処理システム1を提供できる。
【0025】
図2は、ストレージ装置10の機能ブロックを示す。ストレージ装置10は、登録処理部30、情報提供部32、アイコン情報保持部34、録画処理部36、コンテンツ配信部38および記憶部50を備える。登録処理部30は、メディアサーバに接続可能なクライアント装置20を記憶部50に登録する。録画処理部36は、放送番組の録画を行い、コンテンツ配信部38は、録画したコンテンツをクライアント装置20に配信する。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0026】
図3は、ストレージ装置10による情報処理装置の登録処理および情報取得処理のフローチャートを示す。メディアサーバとして機能するストレージ装置10において、登録処理部30は、DLNA対応の情報処理装置とのあいだで、以下の登録処理および情報取得処理を実行する。
【0027】
DLNAでは、UPnP(Universal Plug and Play)プロトコルが採用されている。情報処理装置がネットワーク3に接続されると(S10)、DHCPによってIPアドレスが付与される。次にSSDP(Simple Service Discovery Protocol)を用いたディスカバリ処理が実行され、情報処理装置が探索パケット(M-Search)をマルチキャスト送信して問い合わせを行うと(S12)、ストレージ装置10が問い合わせに応答して、通知パケット(Notify)を返信する(S14)。通知パケットを受けて、情報処理装置はストレージ装置10に対して、デバイスデスクリプションファイルを要求するパケット(Request)を送信する(S16)。この要求パケットには、情報処理装置に関する情報が含まれ、少なくとも情報処理装置の種別を特定するための情報(種別特定情報)、情報処理装置を特定するための情報(機器特定情報)が含まれている。
【0028】
種別特定情報は、情報処理装置の名称を表現する情報であり、具体的には情報処理装置の商品名を表現するテキスト情報であってよい。なお種別特定情報は、情報処理装置の名称を間接的に表現する情報であってもよく、たとえば、情報処理装置に設定された商品コードであって、ストレージ装置10が情報処理装置の名称に変換できるものであってよい。情報処理装置の名称は、商品名を特定するものであり、同種の情報処理装置を互いに識別するための役割は有していない。
【0029】
一方で機器特定情報は、種別特定情報とは異なり、情報処理装置を特定するための情報である。機器特定情報は、情報処理装置を識別する識別子であり、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスであってよい。このように機器特定情報は情報処理装置固有の情報であることが好ましいが、これとは別に、情報処理装置の利用状況などに関連して、ユーザが情報処理装置を識別可能な情報であってもよい。たとえば機器特定情報は、情報処理装置がストレージ装置10にアクセスした最新日時(最新アクセス日時)であってよい。また情報処理装置に、ユーザが設定した名称(たとえばニックネーム)が割り当てられている場合には、機器特定情報は、そのニックネームであってもよい。
【0030】
ストレージ装置10は、リクエストパケットを受け取ると、情報処理装置が既にクライアントとして登録済みであるか判定する(S18)。情報処理装置がクライアントとして登録されていなければ(S18のY)、ストレージ装置10は、その情報処理装置をクライアント登録して(S20)、リクエストパケットに含まれる種別特定情報および機器特定情報などを、登録情報として記憶部50に記憶する。情報処理装置は、ストレージ装置10においてクライアント登録されることで、メディアサーバにアクセスして、コンテンツファイルをできるようになる。
【0031】
一方で、情報処理装置が既にクライアント登録済みであれば(S18のN)、リクエストパケットに含まれる情報のうち、変更のあった情報を更新登録する(S22)。これにより、クライアント装置20の登録情報は、最新の状態に維持される。ストレージ装置10は、ストレージ装置10が提供できる機能や情報を記述したファイル(Device Description)をクライアント装置20に送信する(S24)。このようにしてストレージ装置10は、クライアント装置20に関する情報を取得できる。
【0032】
以上のように登録処理部30は、メディアサーバとして機能するストレージ装置10に新規に接続した情報処理装置をクライアント登録し、また登録済みのクライアント装置20から、最新の情報を取得する。登録処理部30は、以上の登録処理および/または情報取得処理を、DLNA対応機器であるクライアント装置20がネットワーク3に接続されるたびに実行する。これによりユーザが新規にDLNA対応の情報処理装置を購入し、ネットワーク3に接続すると、登録処理部30がそのDLNA対応機器を、自動的にクライアント登録し、ユーザは、その情報処理装置から、すみやかに録画コンテンツを閲覧できるようになる。なお自動登録するか、または手動(マニュアル)で登録するかは、後述するメディアサーバ設定画面において、ユーザが適宜設定することができる。
【0033】
既述したように、本実施例のストレージ装置10は、レコーダ用のユーザインタフェースをもたず、非常にシンプルな構造でNAS機能とレコーダ機能とを実現している。以下、ストレージ装置10のNAS機能の設定方法、具体的にはファイルサーバ機能とメディアサーバ機能の設定方法について説明する。各機能の設定に際して、ユーザインタフェースとなる設定画面がユーザに提供され、ユーザは設定画面をみて、入力、確認および変更等の作業を行う。
【0034】
本実施例のストレージ装置10は、設定(セットアップ)用のWebアプリケーションを有している。ユーザは、自身が操作する情報処理装置から、ストレージ装置10に保持されている機能設定用Webアプリケーションを起動する。ユーザは、ブラウザ経由で設定用Webアプリケーションにアクセスすることで、ストレージ装置10の設定操作を行えるようになる。なおユーザが操作する情報処理装置は、既にメディアサーバに登録されているクライアント装置20であってよいが、それ以外の端末装置であってもよい。
【0035】
たとえば、ユーザが操作する情報処理装置がパーソナルコンピュータ(PC)である場合、ユーザは、PCのファイルサーバ機能を利用して、ネットワーク3に接続するストレージ装置10を検索できる。具体的にユーザは、ファイルサーバ機能が提供する検索機能を利用し、検索ウィンドウに、ファイルサーバとして機能するストレージ装置10の名称(ファイルサーバ名)を検索ワードとして入力すると、PCのファイルサーバ機能が、該当するストレージ装置10をネットワーク3上で探索して、ストレージ装置10のフォルダをブラウザに表示する。
【0036】
情報処理システム1において、ストレージ装置10のファイルサーバ名はユニークに設定されている。たとえばストレージ装置10の筐体には、ユーザが認識できるように、識別コードを記したシールが貼り付けられている。識別コードは、ストレージ装置10の筐体に刻印されていてもよく、また販売時にストレージ装置10に同梱されている書類などに記述されていてもよい。本実施例では、ファイルサーバ名をユニーク値とするために、識別コードに、当該ストレージ装置10のMACアドレスの一部(たとえば下六桁)を追加した文字列を、ファイルサーバ名とするルールが予め定められている。ストレージ装置10は、決められたルールにしたがって、ネットワーク上で、自身のファイルサーバ名を公開しており、したがってユーザが入力する検索ワードも、そのルールにしたがっている必要がある。
【0037】
図4(a)は、情報処理装置のウェブブラウザによりディスプレイに表示される検索結果を示す。ユーザが、検索ウィンドウに、文字列「storage123456」を入力すると、情報処理装置のファイルサーバ機能が、「storage123456」の名称でネットワーク3に接続しているストレージ装置10を検出する。これは、ストレージ装置10の識別コードが「storage」であり、MACアドレスの下六桁が「123456」であった場合の例である。
【0038】
この検索結果から、ユーザは、ストレージ装置10のファイルサーバ機能によりネットワーク3上で公開されている3つのフォルダの存在を確認できる。フォルダ“share1”は、ストレージ装置10に内蔵されたHDDに形成されており、またフォルダ“share2”は、外付けHDD(USB HDD)に形成されている。フォルダ“setup”は、機能設定用Webアプリケーションの導線としての役割をもち、このフォルダに含まれるファイル(index.html)を開くと、設定用Webアプリケーションにリダイレクトする。
【0039】
図4(b)は、インデックスファイルを示す。このインデックスファイルにおいて、“192.168.XXX.XXX”は、ストレージ装置10のIPアドレスを示す。ネットワーク3において、ストレージ装置10のIPアドレスは、様々な場面で変更されることがある。たとえばストレージ装置10の電源が一度オフされると、次にオンされたときにブロードバンドルータなどにより、新たなIPアドレスが割り当てられる。またブロードバンドルータの電源がオフされた場合も、ブロードバンドルータが再起動したときに、新たなIPアドレスが割り当てられる。
【0040】
そのため、ストレージ装置10の機能設定用Webアプリケーションは、ストレージ装置10に割り当てられたIPアドレスに変更があると、
図4(b)に示すインデックスファイルにおけるIPアドレスを更新する。このようにストレージ装置10がWebサーバとして、自身のIPアドレスをインデックスファイルに埋め込むことで、ユーザは、ストレージ装置10のIPアドレスを意識することなく、容易にストレージ装置10のWebアプリケーションにアクセスして、起動できる。
【0041】
図5は、情報処理装置58の機能ブロックを示す。情報処理装置58は、ブラウザ機能を有する端末装置であって、ストレージ装置10におけるWebアプリケーションを起動する。情報処理装置58は、検索処理部60、情報取得部62および表示処理部64を備え、情報取得部62および表示処理部64は、ブラウザ機能を実現する。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。情報処理装置58は、メディアサーバに登録されたクライアント装置20であってもよい。
【0042】
検索処理部60は、ユーザからの入力に基づいて、ネットワーク3上でストレージ装置10を検索する。検索処理部60は、ストレージ装置10を検出すると、ストレージ装置10におけるファイルサーバ機能のフォルダ構成をディスプレイに表示する(
図4参照)。この表示画面において、ユーザが“index.html”を選択すると、検索処理部60は、
図4(b)に示すHTMLファイルを読み込み、URLで示される領域にアクセスして、Webアプリケーションを起動する。
【0043】
図2に示すストレージ装置10において、情報提供部32の機能は、Webアプリケーションにより実現される。情報処理装置58によりWebアプリケーションが起動されると、情報提供部32は、情報処理装置58に対して、ユーザインタフェース画面を構成するための情報を提供する。具体的に情報提供部32は、ストレージ装置10における各機能の設定画面を生成するための情報を情報処理装置58に提供する。
図5に示す情報処理装置58において、情報取得部62は、情報提供部32から画面構成情報を受け取り、表示処理部64は、設定画面を生成して、情報処理装置58に接続するディスプレイに表示する。
【0044】
図6は、基本設定画面の一例を示す。「IPアドレス設定」の項目が「自動取得」となっている場合、ストレージ装置10は、自動でIPアドレスを自動取得する。「IPアドレス設定」の項目が「手動」となっている場合、ユーザがIPアドレスを手動で入力する。なお既述したように、IPアドレスが変更されると、ストレージ装置10は、SetupフォルダのHTMLファイルに含まれるIPアドレスを自動更新する必要がある。基本設定画面では、ユーザが、時刻、省電力モードの有無などの設定処理を手動で行う。
【0045】
図7は、ファイルサーバ設定画面の一例を示す。ここでは、ファイルサーバ名として、「storage123456」が設定されている。既述したように、情報処理装置58からストレージ装置10を検索する際には、このファイルサーバ名を検索ワードとすることで、ストレージ装置10を検出することができる。なお、たとえばゲーム装置など、PCとは異なる情報処理装置58においては、ファイルサーバを検出するための独自のアプリケーションが組み込まれて、簡易にストレージ装置10を検出できる仕組みが構築されていてもよい。
【0046】
図8は、メディアサーバ設定画面の一例を示す。ストレージ装置10において、情報提供部32(
図2参照)は、メディアサーバ設定画面を構成する情報を情報処理装置58に提供する。この画面構成情報(表示用データ)には、メディアサーバにおいて登録されているクライアント装置20に関する情報(クライアント情報)が含まれる。ここでクライアント情報は、クライアント装置20の種別を特定するための情報(種別特定情報)およびクライアント装置20を特定するための情報(機器特定情報)を少なくとも含んでいる。機器特定情報は、クライアント装置20をユーザが一意に識別できる情報であることが好ましい。
【0047】
具体的に情報提供部32は、記憶部50において登録されている複数のクライアント情報を読み出し、クライアント装置20ごとに種別特定情報と、機器特定情報とを対応付けて表示するための表示用データを生成して、情報処理装置58に提供する。
【0048】
ストレージ装置10において、アイコン情報保持部34は、DLNA対応機器と、そのDLNA対応機器のアイコン情報とを対応付けて保持しており、換言すると、クライアント装置20の種別特定情報と、そのクライアント装置20のアイコン情報とを対応付けて保持している。アイコン情報は、アイコン画像を記録している記憶部50のURLであってもよく、また画像情報そのものであってもよい。情報提供部32は、アイコン情報保持部34を参照して、クライアント装置20の種別特定情報からアイコン情報を抽出し、種別特定情報、機器特定情報とともに、アイコン情報を、クライアント情報として情報処理装置58に提供する。なお、メディアサーバに複数のクライアント装置20が登録されている場合には、情報提供部32は、複数のクライアント情報を情報処理装置58に提供する。情報処理装置58において、情報取得部62は、クライアント情報を取得し、表示処理部64は、取得したクライアント情報を表示する。
【0049】
本実施例において、Webアプリケーションは、クライアント装置20のディスプレイにおいて、メディアサーバであるストレージ装置10をルートノードとするツリー構造により、ストレージ装置10とクライアント装置20との接続関係を表示するための画面構成情報を生成する。
図8に示すツリー構造200では、メディアサーバ名96が「storage」であるストレージ装置10のアイコン画像94が起点となり、アイコン画像94が、クライアント装置20の情報を表示するためのクライアント情報表示領域100a、100b、100c、100d(以下、特に区別しない場合には、「クライアント情報表示領域100」とよぶ)と線で結ばれている。アイコン画像94とクライアント情報表示領域100を結ぶ線は、ネットワーク3において両者が接続可能であることを表現している。機器特定情報98は、ストレージ装置10のMACアドレスを示す。
【0050】
クライアント情報表示領域100aには、種別特定情報104aが「GameConsoleDevice」であり、機器特定情報106aが「MACアドレス 00.22.CF.4B.0D.69」であるクライアント装置20の情報が表示されている。クライアント情報表示領域100aの左端側には、クライアント装置20のアイコン画像102aが表示されている。
【0051】
図8に示すクライアント情報表示領域100aにおいて、種別特定情報104aは、装置種別を特定するための一般的な情報を表現しているが、装置の名称(商品名)が表示されてもよい。また機器特定情報106としてMACアドレスが示されているが、クライアント装置20にニックネームが設定されている場合には、そのニックネームであってもよい。さらに装置自体の固有の情報だけでなく、クライアント装置20がストレージ装置10にアクセスした最新日時(最新アクセス日時)が、機器特定情報106として表示されてもよい。装置固有の情報または装置の動作履歴などのように、ユーザがクライアント装置20を特定するための情報が、機器特定情報106aとしてクライアント情報表示領域100aに表示される。
【0052】
情報取得部62が、情報処理装置58から、種別特定情報、機器特定情報およびアイコン情報などを含むクライアント情報を取得すると、表示処理部64は、クライアント装置20ごとに、アイコン画像102a、種別特定情報104aおよび機器特定情報106aを、クライアント情報表示領域100aに表示する。なお、情報取得部62が複数のクライアント装置20に関する情報を取得すると、表示処理部64は、クライアント装置20ごとに、アイコン画像102、種別特定情報104および機器特定情報106を、各クライアント情報表示領域100内に表示する。
【0053】
クライアント情報表示領域100bには、クライアント装置のアイコン画像102b、種別特定情報104b(「MobileGameMachine」)および機器特定情報106b(MACアドレス)が表示される。同様に、クライアント情報表示領域100cには、クライアント装置のアイコン画像102c、種別特定情報104c(「TV」)および機器特定情報106c(MACアドレス)が表示され、クライアント情報表示領域100dには、クライアント装置のアイコン画像102d、種別特定情報104d(「PC」)および機器特定情報106d(MACアドレス)が表示される。なお、
図8に示すメディアサーバ設定画面において、種別特定情報104は、ゲーム機、TVなどの一般的な装置種別として示されているが、それぞれ商品名など、ユーザがどの装置であるかを直観的に把握できる情報が表示されてよい。
【0054】
図3に示すように、ストレージ装置10において情報処理装置をクライアント登録する際、情報処理装置からストレージ装置10に送信できる情報には制限がある。情報処理装置は、S16におけるリクエストパケットに、情報処理装置を特定するための情報を含ませるが、UPnPプロトコル上では、その際にアイコン画像を含ませることはできない。そこで、ストレージ装置10がアイコン情報保持部34を有して、クライアント装置20の種別特定情報からアイコン情報を抽出可能としたことで、情報提供部32が、情報処理装置58に対して、登録されたクライアント装置20のアイコン情報を提供できるようにしている。アイコン画像は、DLNA機器ごとに用意され、ユーザが一目みて、クライアント装置20の種別を把握できるような絵やテキストで作成されている。クライアント情報表示領域100において、種別特定情報104とともに、アイコン画像102を表示することで、ユーザは、直観的に装置種別を認識することが可能となる。
【0055】
また本実施例のメディアサーバ設定画面においては、クライアント装置20に関する情報として、機器特定情報106を表示する。これにより、たとえば同種のクライアント装置20がストレージ装置10に登録されている場合であっても、ユーザは、それぞれのクライアント装置20を区別できる。たとえば家庭内に複数の同じ携帯型ゲーム機が存在する場合、クライアント情報表示領域100に表示されている携帯型ゲーム機がどれであるかを特定するためにも、最新アクセス日時情報などの機器特定情報106を表示することは重要な意味をもつ。
【0056】
なおストレージ装置10は、機器特定情報106として、利用ユーザに関する情報を提供してもよい。特にクライアント装置20がゲーム機である場合、ゲーム機は、複数のユーザによりシェアされることがある。そのため、メディアサーバへのアクセス権限をユーザごとに設定できるように、ストレージ装置10における登録処理部30は、ユーザごとに情報処理装置のクライアント登録を行う。たとえば1台のゲーム機に、ユーザA,Bのアカウントが設定されている場合、登録処理部30は、そのゲーム機を、ユーザAのゲーム機、ユーザBのゲーム機としてクライアント登録し、情報提供部32が、それぞれのクライアント情報を表示するための画面構成情報を生成して、情報処理装置58に提供する。情報処理装置58では、表示処理部64が、それぞれのユーザのクライアント情報表示領域100を含むメディアサーバ設定画面を表示する。たとえば、ユーザAが親、ユーザBが子であって、ユーザAがユーザBのメディアサーバへのアクセスを禁止しようと考えた場合、ユーザAは、ユーザBのクライアント情報表示領域100の右側にある削除ボタンを押すことで、ユーザBがゲーム機を通じて録画コンテンツを視聴することを禁止できる。
【0057】
また上記例では、メディアサーバ設定画面において「DLNAクライアント自動登録」機能が「自動」に設定されている場合について説明したが、「手動」に設定されている場合には、ユーザAが、ユーザBが使用するゲーム機をクライアント登録しないことで、ユーザBがゲーム機を通じて録画コンテンツを視聴することを禁止できる。
【0058】
なお、設定画面を表示している情報処理装置58がクライアント装置20である場合、表示処理部64は、情報処理装置58のクライアント情報を、他のクライアント装置20とは異なる態様で表示してもよい。これにより、設定画面を操作しているユーザは、クライアント一覧のなかで、自分が使用している情報処理装置58を認識できる。たとえば、情報処理装置58のクライアント情報表示領域100や、クライアント情報の表示色を変更したり、またクライアント情報表示領域100自体を点滅させたりすることで、ユーザは、自分が使用している情報処理装置58を容易に認識できる。
【0059】
図9(a)は、メディアサーバ設定画面においてメディアサーバとクライアント装置との接続関係を表示するツリー構造の一例を示す。このツリー構造200は、
図8に示すメディア設定画面のものを模式化したものである。ツリー構造200では、起点となる1つのルートノードから、そのルートノードに接続するノードに対して線が引かれる。ツリー構造は、ルートノードと、複数のノードが線で接続されるため、本実施例のように、メディアサーバを起点としたクライアント装置20の接続関係をユーザが確認するためには、非常に優れた表現手法である。
【0060】
情報処理装置58において、情報取得部62が、ストレージ装置10から複数のクライアント情報を取得すると、表示処理部64が、取得したクライアント情報を用いて、ストレージ装置10をルートノードとするツリー構造で、ストレージ装置10と複数のクライアント装置20との接続関係をディスプレイに表示する。
【0061】
具体的に、Webアプリケーションにより実現される情報提供部32(
図2参照)は、記憶部50において登録されている複数のクライアント情報を読み出し、読み出したクライアント情報を用いて、メディアサーバをルートノードとするツリー構造によりサーバとクライアント装置との接続関係を表示するための表示用データを生成する。情報提供部32は、生成した表示用データを、メディアサーバ設定画面を構成する画面構成情報として情報処理装置58に提供する。情報取得部62が表示用データを取得すると、表示処理部64は、ブラウザ機能により、メディアサーバをルートノードとするツリー構造で、クライアント装置20の情報を表示する。ここではストレージ装置10のアイコン画像94を起点として、各クライアント装置20に接続線が引かれている。メディアサーバとクライアント装置20との接続関係がツリー構造で表現されることで、ユーザが接続関係を直観的に把握可能な好適なユーザインタフェースを実現できる。
【0062】
図9(b)は、ツリー構造の別の例を示す。
図9(a)のツリー構造200と比較すると、
図9(b)のツリー構造200aでは、アイコン画像94とクライアント情報表示領域100bとの間の接続線202bが点線であることが相違する。なお、アイコン画像94とクライアント情報表示領域100a、100c、100dの間の接続線202a、202c、202dは実線である。
【0063】
ストレージ装置10は、情報処理装置のクライアント登録に際して、クライアント装置20から、接続種別を示す情報を受け取り、登録情報として記憶部50に記憶する。ここで接続種別を示す情報は、有線接続であるかまたは無線接続であるかを特定する情報である。ストレージ装置10において、情報提供部32は、接続種別を示す情報に応じて、アイコン画像94とクライアント情報表示領域100との間の接続線202の種類を定めた表示用データを生成する。これにより情報処理装置58において、表示処理部64が、メディアサーバとクライアント装置20との間の接続種別に応じた線で、メディアサーバを示すアイコン画像94とクライアント装置20を示すクライアント情報表示領域100とを結ぶことができる。ここではサーバ−クライアント間が有線で接続されていれば、接続線を実線とし、無線で接続されていれば、接続線を点線としている。なお、ユーザが線の違いで接続種別の違いを認識できればよく、たとえば線色を異ならせることで、接続種別を表現してもよい。
【0064】
図10は、ツリー構造の別の例を示す。
図9(b)のツリー構造200aと比較すると、
図10のツリー構造200bでは、アイコン画像94とクライアント情報表示領域100との間に、中継装置4のアイコン画像92が挿入されている。つまり、
図10に示すツリー構造200bでは、中継装置4までも含めたネットワーク環境が表現されている。
【0065】
本実施例の中継装置4は、無線LAN通信機能およびルータ機能を備えた、いわゆる無線LANルータとして構成されている。この無線LANルータは、自身に接続されている機器の情報を取得するとともに、その機器と有線で接続されているか無線で接続されているかを特定する接続種別情報も取得する機能を有している。無線LANルータは、機器情報および接続種別情報のリストをストレージ装置10に提供する。これにより情報提供部32は、
図10に示すツリー構造200bの表示用データを生成できる。このように無線LANルータに、接続機器の情報を取得し、ストレージ装置10に通知する機能をもたせることで、中継装置4も含めたネットワーク環境を表現するツリー構造を表示することが可能となる。
【0066】
なおストレージ装置10が、ネットワーク3上の各機器にIPの生存時間フィールドを1〜nで変化させたパケットを送信し、各機器の応答状況を調べることで、ルータの存在を推測してもよい。
【0067】
ストレージ装置10は、クライアント装置20a、20b、20cに、様々な生存期間を設定したパケットを送信する。まず、生存期間を2とするパケットを送信する。このとき、クライアント装置20aは応答パケットを返し、クライアント装置20b、20cは応答パケットを返さないとする。これによりストレージ装置10は、クライアント装置20aとストレージ装置10との間に、ルータが1つ存在していることを推測する。
【0068】
次にストレージ装置10が、生存期間を3とするパケットを送信する。このときクライアント装置20a、20bは応答パケットを返し、一方クライアント装置20cは応答パケットを返さないとする。これによりストレージ装置10は、クライアント装置20bとストレージ装置10との間に、ルータが2つ存在していることを推測する。
【0069】
また、次にストレージ装置10が、生存期間を3とするパケットを送信する。当然、クライアント装置20a、20bは応答パケットを返すが、クライアント装置20cも応答パケットを返したとする。これによりストレージ装置10は、クライアント装置20cとストレージ装置10との間に、ルータが3つ存在していることを推測する。
【0070】
このようにストレージ装置10は、生存期間を含めたパケットをネットワーク3上の各機器に送信し、その応答パケットを受信することで、自身と各機器との間のルータ数を推測できる。このようにしてストレージ装置10がネットワーク環境を検出することで、Webアプリケーションが、メディアサーバ、ルータおよびクライアント装置20との接続関係を、ツリー構造で表現することが可能となる。
【0071】
なお、情報処理システム1では、複数のストレージ装置10がネットワーク3に接続することができる。その場合、ルートノードとなるストレージ装置10以外のストレージ装置10については、クライアントではないが、クライアント情報表示領域100と並列する領域に、そのストレージ装置情報が表示されてもよい。
【0072】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。