(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、使用時にシート止めスリットに保持してあるシートを引っ張り出す際、使用者が常に一定の方向に引っ張るとは限らず、様々な方向に引っ張ることがある。
【0007】
特許文献1、2では、シート止めスリットが、セット用開口部からシートのセット方向に延びる縦スリットと、この縦スリットに直交して延びる横スリットとで十字状に形成されている。このように縦スリットがシートのセット方向に延びていると、シート止めスリット内のシートが例えばセット用開口部側へ引っ張られた場合には縦スリットを通ってセット用開口部まで移動し、容器本体部内に落ち込んでしまう恐れがある。
【0008】
また、シート止めスリット内のシートをセット用開口部側へ引っ張らずに、例えばシート止めスリットの真上に向けて引っ張ったとしても、引っ張られたシートの動きは複雑であり、その動きによってはシートがセット用開口部へ向けて移動していき、容器本体部内に落ち込んでしまう恐れがある。
【0009】
シートが容器本体部内に落ち込むと、使用者は容器本体部内のシートを取り出してセット用開口部から再びシート止めスリットにセットしなければならず、煩雑な作業が必要になる。
【0010】
また、シート止めスリットにセットしてあるシートを使用者が引っ張り出す際には、引っ張り出すのに要する力はできるだけ小さくしてシートを取り出しやすくしたいという要求がある。
【0011】
これに対して、例えば、シート止めスリットの幅を拡大することが考えられる。ところが、スリットの幅を拡大すると、シートを止めておく作用が弱まるので、シート止めスリットにセットしてあるシートを引っ張った際にシートがセット用開口部へ向けて移動しやすくなり、シートが容器本体部内に落ち込む頻度が高まるおそれがある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シートをセットするためのセット用開口部と、シートを止めておくためのシート止めスリットとを設ける場合に、シートの取り出しやすさを良好にしながら、シートが容器本体部内に落ち込む頻度を大幅に低減して使いやすい容器とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では、シート止めスリット内のシートがセット用開口部に達しないようにスリットの形状を設定した。
【0014】
第1の発明は、複数のシートが連なった状態で収納される容器本体部と、
上記容器本体部を閉塞するキャップ部とを備えたシート収納用容器において、
上記キャップ部には、上記シートを挿入して保持しておくためのシート止めスリットと、上記容器本体部に収容された上記シートを取り出して上記シート止めスリットに挿入してセットするためのセット用開口部とが設けられ、
上記シート止めスリットは、上記セット用開口部に連続し、該セット用開口部から離れる方向に延びる第1スリットと、該第1スリットに
おける上記セット用開口部から離れた部分に連続して上記セット用開口部に向かって該セット用開口部に達しないように延びる第2スリットとを有して
おり、上記シートは上記第1スリット内に挿入されることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、使用開始時には、容器本体部内のシートをセット用開口部からシート止めスリットの第1スリットに挿入することにより、第1スリットで保持することが可能になる。
【0016】
第1スリットに保持されたシートを使用する際、シートを引っ張ると、セット用開口部へ向けて第1スリット内を移動する場合がある。このとき、第1スリットには第2スリットが連続しており、その第2スリットはシートの移動方向と同じ方向、即ちセット用開口部側へ向かって延びていることから、シートのうち、特に辺縁部が第2スリットに入り込み易くなる。辺縁部が第2スリットに入り込んだシートは、セット用開口部へ向けて移動しにくくなるので、セット用開口部から容器本体部内に落ち込む頻度が大幅に低減する。
【0017】
また、第2スリットが第1スリットに連続してセット用開口部へ向けて延びていることから、キャップ部における第1及び第2スリット近傍が変形し易くなる。これにより、第1スリットに挿入されているシートを引っ張った際にその近傍の変形によってシートが取り出しやすくなる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、
上記第2スリットは、上記第1スリットの幅方向両側へそれぞれ延びていることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、第1スリットに保持されたシートが第1スリットの幅方向のどちら側に引っ張られても、第2スリットに入り込むようになるので、容器本体部内に落ち込む頻度がより一層低減する。
【0020】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記キャップ部には、上記第1スリットのセット用開口部とは反対側の端部に連続して延びる第3スリットが形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
この構成によれば、キャップ部におけるシート止めスリット近傍が変形しやすくなる。これにより、シートを引っ張った際に、シートが第2スリットに入り込みやすくなるとともに、シートの取り出しが容易に行えるようになる。
【0022】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記第1スリットは、直線状に延びており、
上記第1スリットと上記第2スリットとのなす角度は、10度以上80度以下に設定されていることを特徴とするものである。
【0023】
この構成によれば、第1スリットに保持されているシートを様々な方向に引っ張った際に、シートが第2スリットに入り込みやすくなる。
【0024】
第5の発明は、複数のシートが連なった状態で収納されるシート収納容器に設けられるキャップにおいて、
上記シートを挿入して保持しておくためのシート止めスリットと、
上記シート収納容器に収容された上記シートを取り出して上記シート止めスリットに挿入してセットするためのセット用開口部とを備え、
上記シート止めスリットは、上記セット用開口部に連続し、該セット用開口部から離れる方向に延びる第1スリットと、該第1スリットに
おける上記セット用開口部から離れた部分に連続して上記セット用開口部に向かって該セット用開口部に達しないように延びる第2スリットとを有して
おり、上記シートは上記第1スリット内に挿入されることを特徴とするものである。
【0025】
この構成によれば、第1の発明と同様な作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0026】
第1の発明によれば、シート止めスリットが、セット用開口部に連続する第1スリットと、第1スリットに連続してセット用開口部側に向かって延びる第2スリットとを有しているので、シートの取り出しやすさを良好にしながら、シートが容器本体部内に落ち込む頻度を大幅に低減して使いやすい容器とすることができる。
【0027】
第2の発明によれば、第2スリットが第1スリットの幅方向両側へそれぞれ延びているので、シートが容器本体部内に落ち込む頻度をより一層低減させることができ、使いやすい容器とすることができる。
【0028】
第3の発明によれば、キャップ部に、第1スリットの端部に連続して延びる第3スリットを形成したので、シートを引っ張った際にシートが第2スリットに入り込みやすくなり、シートが容器本体部内に落ち込む頻度をより一層低減させることができ、また、シートをより一層取り出しやすくすることができる。
【0029】
第4の発明によれば、第1スリットと第2スリットとのなす角度を10度以上80度以下に設定したので、本発明の作用効果がより一層顕著なものとなる。
【0030】
第5の発明によれば、本発明にかかるキャップをシート収納用容器に設けることで、シートの取り出しやすさを良好にしながら、シートが落ち込む頻度を大幅に低減して使いやすい容器とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるシート収納用容器1を示す図である。シート収納用容器1には、例えば複数枚のウェットシートが連なった状態で収納されるようになっている。使用者はシート収納用容器1内のシートを1枚ずつ取り出して使用することができるようになっている。
【0033】
シート収納用容器1は、容器本体部10と、キャップ部20とを備えている。容器本体部10及びキャップ部20は共に弾性を有する樹脂材で構成されている。
【0034】
尚、この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、容器1を使用者が持って使用する際に、使用者の左になる側を単に「左」といい、また、右になる側を単に「右」といい、また、使用者の手前になる側を単に「手前」といい、また、使用者の奥になる側を単に「奥」というものとする。
【0035】
容器本体部10は、有底の略円筒形状となっており、上端は略全体が開口している。容器本体部10の外周面の上部には、キャップ部20が係合する係合部(図示せず)が形成されている。この係合部にキャップ部20を係合させることでキャップ部20が容器本体部10に取り付けられて該容器本体部10の上端開口が閉塞される。一方、キャップ部20を容器本体部10の係合部から外すことで容器本体部10の上端開口が開放される。
【0036】
複数のシートはロール状に巻かれており、その軸線が容器本体部10の軸線方向に延びる姿勢とされて容器本体部10に収納される。また、シートとシートとの境界部分には、シートを容易に分離させるためのミシン目が形成されている。
【0037】
図2及び
図3に示すように、キャップ部20は、本体部21と、大蓋30と、小蓋40とを備えている。本体部21は、略円形に形成された閉塞板部22と、閉塞板部22の周縁部から下方へ延びる周壁部23とが一体成形されてなるものである。
【0038】
閉塞板部22は、容器本体部10の上端開口を閉塞するためのものである。周壁部23は、容器本体部10の外周面の上部を覆うように形成されている。周壁部23の内周面には、容器本体部10の係合部に係合する被係合部(図示せず)が設けられている。
【0039】
閉塞板部22の上面における外周側には、溝22aが形成されている。溝22aは、円環状に延びており、閉塞板部22の中心と同心状に位置している。この溝22aは、閉塞板部22を下方へ膨出させることによって形成されている。
【0040】
閉塞板部22の上面における溝22aよりも内側には、略円形に窪む凹部22bが形成されている。凹部22bは閉塞板部22の略中央部に位置している。
【0041】
凹部22bの底壁部には、上方へ膨出する膨出部22cが形成されている。膨出部22cは、凹部22b内において閉塞板部22の手間側に変位している。
図4にも示すように、膨出部22cは平面視で略矩形状となっている。膨出部22cの上壁は、閉塞板部22の上壁と連なるとともに、該上壁と同一面上に位置している。
【0042】
凹部22bの底壁には、膨出部22cの左側壁と凹部22bの周壁とを連結する左側リブ24aと、膨出部22cの右側壁と凹部22bの周壁とを連結する右側リブ24bとが形成されている。左側リブ24a及び右側リブ24bは、左右方向に延びている。さらに、凹部22bの底壁には、膨出部22cの奥側の側壁に連なる一対の奥側リブ24c,24cが左右方向に間隔をあけて形成されている。奥側リブ24c,24cは互いに略平行である。上記リブ24a、24b、24cの形成により、膨出部22c近傍の剛性が高められている。
【0043】
膨出部22cの上壁には、シートを挿入して保持しておくためのシート止めスリット25が形成されている。一方、凹部22bの底壁部には、容器本体部10に収容されたシートを取り出してシート止めスリット25に挿入してセットするためのセット用開口部26が形成されている。セット用開口部26は、閉塞板部22の中央部近傍において、シート止めスリット25よりも奥側に位置するように開口している。セット用開口部26の形状は、閉塞板部22の中心部近傍を中心した略扇型とされている。セット用開口部26の手前側は、膨出部22cの奥側に達しており、シート止めスリット25と連続している。
【0044】
セット用開口部26の開口面積及び形状は、例えば、使用者が指を容器本体部10内に差し込んで内部のシートを摘んで取り出すことができるように大型に設定されている。これにより、キャップ部20を容器本体部10から取り外すことなく、容器本体部10内のシートをシート止めスリット25にセットすることが可能になる。
【0045】
シート止めスリット25は、第1スリット25aと、第1スリット25aに連続する左側及び右側第2スリット25b,25cと、第1スリット25aに連続する左側及び右側第3スリット25d,25eとを有している。
【0046】
第1スリット25aは、セット用開口部26の手前側の左右方向中央部に連続して手前側(セット用開口部26から離れる方向)に向かって略直線状に延びている。第1スリット25aのセット用開口部26側(奥側)は、セット用開口部26に近づくほど幅が広くなるように形成されている。これにより、セット用開口部26内のシートを第1スリット25a内へ挿入しやすくしている。
【0047】
第1スリット25aの手前側は略円形となるように幅が広くなっており、幅広部25fとなっている。この幅広部25f内にシートが挿入されるようになっている。また、幅広部25fの周囲には、薄肉部22dが形成されている。この薄肉部22dは、閉塞板部22の肉厚を薄くして弾性変形しやすくした部分である。
【0048】
左側第2スリット25bは、幅広部25fの左奥側からセット用開口部26側に向かって該セット用開口部26には達しないように直線状に延びている。この左側第2スリット25bと第1スリット25aとのなす角度は、10度以上80度以下に設定されている。
【0049】
右側第2スリット25cは、幅広部25fの右奥側からセット用開口部26側に向かって該セット用開口部26には達しないように直線状に延びている。この右側第2スリット25cと第1スリット25aとのなす角度は、10度以上80度以下に設定されている。
【0050】
左側第3スリット25dは、幅広部25fの左手前側からキャップ部20の左手前(セット用開口部26から離れる方向)に向かって直線状に延びている。また、右側第3スリット25eは、幅広部25fの右手前側からキャップ部20の右手前に向かって直線状に延びている。
【0051】
左側及び右側第2スリット25b,25cの幅と、左側及び右側第3スリット25d,25eの幅とは、第1スリット25aの幅のうち、最も狭い部位の幅と略同じに設定されている。
【0052】
左側及び右側第2スリット25b,25cの長さは、左側及び右側第3スリット25d,25eよりも長く設定されている。
【0053】
また、上記大蓋30は、閉塞板部22の略全体を覆うことができる円形の板状に形成されている。この大蓋30はヒンジ31を有している。大蓋30の奥側の縁部がヒンジ31により閉塞板部22の奥側の縁部に連結されている。ヒンジ31は、樹脂の持つ弾性を利用して屈曲するように構成された、いわゆる薄肉ヒンジであり、大蓋30の本体部分及び閉塞板部22に一体成形されている。ヒンジ31による大蓋30の開方向は手前から奥に向かう方向であり、閉方向はその反対の奥から手前に向かう方向である。
【0054】
図5に示すように、大蓋30には、シート止めスリット25に対応する部位に、取出用開口部32が形成されている。この取出用開口部32は、シート止めスリット25を露出させて該シート止めスリット25に保持されているシートを取り出すためのものである。この実施形態では、取出用開口部32を略矩形状に形成しているが、これに限らず、例えば円形であってもよい。
【0055】
図2に示すように、大蓋30の裏面の外周側には、略円環状に延びる突条部33が形成されている。突条部33は、キャップ部20の閉塞板部22の溝22aに嵌入するようになっている。突条部33を溝22aに嵌入させることにより大蓋30が閉状態で保持される。
【0056】
大蓋30の手前側の縁部には、突起35が形成されている。この突起35は閉状態にある大蓋30を開方向に操作する際に指を引っかけるためのものである。
【0057】
図1に示すように、小蓋40は、大蓋30の取出用開口部32を閉塞するためのものであり、取出用開口部32の形状と略同じ形状とされている。小蓋40は連結バンド41を有している。小蓋40の手前側の縁部は連結バンド41により周壁部23の外周面に連結されている。連結バンド41は柔軟性を有しており、小蓋40の本体部分及び周壁部23に一体成形されている。小蓋40の開方向は奥前から手前に向かう方向であり、閉方向はその反対の手前から奥に向かう方向である。すなわち、大蓋30と小蓋40とは開閉方向が異なっている。
【0058】
小蓋40が取出用開口部32を閉塞した状態で小蓋40の周縁部が取出用開口部32の周縁部に係合して小蓋40の閉状態が維持されるようになっている。この小蓋40は周壁部23に連結されていて大蓋30に係合した状態で閉状態となるので、小蓋40が閉状態にあるときには大蓋30を開方向に操作することができない。一方、小蓋40を開状態にすると小蓋40が大蓋30から離れるので大蓋30を開方向に操作することが可能になる。
【0059】
つまり、小蓋40の連結バンド41は、大蓋30を開かないようにロックするためのロック部であり、連結バンド41は、小蓋40が閉状態にあるときに大蓋30をロック状態とする一方、小蓋40が開状態になったときに大蓋30のロックを解除するロック解除状態になる。
【0060】
次に、上記のように構成されたシート収納用容器1を使用する場合について説明する。容器本体部10の内部には、ロール状に巻かれたシートが、その軸線を容器本体部10の軸線方向に向けた状態で収納されている。尚、シートはウェットシートである。
【0061】
容器本体部10内のシートをシート止めスリット25にセットする際には、まず、
図2〜
図4に示すように、大蓋30及び小蓋40を開状態にする。そして、使用者がセット用開口部26内に指を差し込んで1枚目のシートを掴み、セット用開口部26内まで引き上げる。その後、1枚目のシートを摘んだまま、キャップ部20の手前側に移動させていき、シート止めスリット25の第1スリット25aに挿入していく。このとき、
図4に示すように、第1スリット25aのセット用開口部26側が幅広に形成されているので、シートをスムーズに第1スリット25a内に導くことが可能になる。
【0062】
第1スリット25a内に挿入したシートは第1スリット25a内を手前側に移動させていき、第1スリット25aの幅広部25f内に位置付ける。シートは第1スリット25aの周縁部により挟まれた状態で保持されるので容器本体部10内に落ち込むことはない。これにより、シートがシート止めスリット25にセットされた状態となる。
【0063】
シートのセットが終了すると、
図5に示すように大蓋30をヒンジ31周りに手前側へ回動させ、大蓋30の突条部33をキャップ部20の閉塞板部22の溝22aに嵌入して閉状態にする。これにより、セット用開口部26が閉状態になり、外部の空気等が容器本体部10に侵入し難くなるので、シートを清潔に維持できるとともに、シートの乾燥を抑制できる。
【0064】
シートを使用しないときには、
図6に示すように、小蓋40を大蓋30の取出用開口部32に嵌めて該取出用開口部32の周縁部に係合させておく。これにより、小蓋40が閉状態で保持される。
【0065】
そして、シートを使用する際には、
図5に示すように小蓋40を開状態にする。小蓋40が開状態になる前には、連結バンド41によって大蓋30がロックされているので、大蓋30が誤って開状態になることはない。
【0066】
小蓋40を開状態にすると、シート止めスリット25が大蓋30の取出用開口部32から露出するので、1枚目のシートが取出用開口部32から外部に臨む。従って、使用者がシートを使用する際には、大蓋30を開けることなく、取出用開口部32内のシートを摘んで上方へ引っ張ることにより容器本体部10内から取り出して使用することができる。1枚目のシートを取り出した後、2枚目のシートが第1スリット25aに差し掛かるとミシン目の部分で1枚目のシートが2枚目のシートからちぎれる。そして、2枚目のシートが第1スリット25aの周縁部で挟まれた状態でシート止めスリット25に保持される。
【0067】
シートを引っ張る際には、シート止めスリット25の周縁部が上方へ撓むように変形し、このことで特に第1スリット25aの幅が広がるのでシートの取り出しに要する力が低減する。この実施形態では、左側及び右側第2スリット25b,25cがセット用開口部26に向かって第1スリット25aに対し斜めに延びているので、第1スリット25aと左側第2スリット25bとの間の部位、及び第1スリット25aと右側第2スリット25cとの間の部位の幅が狭くなり、それらの部位が変形し易くなる。このことにより、シートの取り出しに要する力がより一層低減する。
【0068】
また、シートを引っ張る際には、例えば左奥側や右奥側に引っ張られることがある。第1スリット25aの幅広部25fに保持されているシートが、例えば左奥側に引っ張られた場合には、第1スリット25aには左側第2スリット25bが連続していて、その左側第2スリット25bがシートの引っ張られる方向(左奥側)に延びているので、シートの辺縁部が左側第2スリット25bに入り込んでいく。これにより、シートが第1スリット25aの奥側へ向けて移動することによりセット用開口部26に達して容器本体部10内に落ち込んでしまう頻度が低減する。
【0069】
このとき、第3スリット25d,25eが形成されていることにより、シート止めスリット25近傍が変形し易くなっている。これにより、シートが第2スリット25b,25cに入り込みやすくなり、また、シートを取り出すのに要する力を低減することが可能になる。
【0070】
シートを右奥側に引っ張った場合にも同様に右側第2スリット25cが右奥側に延びているので、シートの辺縁部が右側第2スリット25cに入り込み、セット用開口部26に達して容器本体部10内に落ち込んでしまう頻度が低減する。
【0071】
さらに、シートを真上に引っ張る場合であっても、容器本体部10内のロールの位置等によっては、シートが第1スリット25aの幅広部25fから左奥側や右奥側に移動しようとする場合があるが、この実施形態では、シートの辺縁部が左側第2スリット25bや右側第2スリット25cに入り込むことによってセット用開口部26に達して容器本体部10内に落ち込んでしまう頻度が低減する。
【0072】
以上説明したように、この実施形態1にかかるシート収納用容器1によれば、シート止めスリット25が、セット用開口部26に連続する第1スリット25aと、第1スリット25aに連続してセット用開口部26に向かって延びる第2スリット25b,25cとを有しているので、シートの取り出しやすさを良好にしながら、シートが容器本体部10内に落ち込む頻度を大幅に低減して使いやすい容器1とすることができる。
【0073】
また、左側及び右側第2スリット25b,25cが第1スリット25aの幅方向両側へそれぞれ延びているので、シートが容器本体部10内に落ち込む頻度をより一層低減させることができ、使いやすい容器とすることができる。
【0074】
また、キャップ部20に、第1スリット25aの端部に連続して延びる第3スリット25d,25eを形成したので、シートを引っ張った際に第2スリット25b,25cに入り込みやすくすることができ、シートが容器本体部10内に落ち込む頻度をより一層低減させることができ、また、シートをより一層取り出しやすくすることができる。
【0075】
また、第1スリット25aと第2スリット25b,25cとのなす角度を10度以上80度以下に設定したので、上記作用効果がより一層顕著なものとなる。第1スリット25aと第2スリット25b,25cとのなす角度のより好ましい範囲は、40度から60度である。
【0076】
また、シート止めスリット25を開閉する小蓋40と、シートをシート止めスリット25にセットするためのセット用開口部26を開閉する大蓋30とを設ける場合に、小蓋40が閉状態にあるときに大蓋30をロック状態とする一方、小蓋40が開状態になったときにロック解除状態とするようにしている。これにより、小蓋40を開状態にする前に大蓋30が開いてしまうことがなくなるので、セット用開口部26が不要時に開放される頻度を低減して内部のシートを清潔に保つことができるとともに、シートがウェットシートである場合には乾燥を抑制でき、さらに、小蓋40のみを簡単に開くことができ、使用者にとって使用し易い容器とすることができる。
【0077】
また、小蓋40を大蓋30に係脱させるだけで、小蓋40の開閉と、大蓋30のロック及びロック解除とを同時に行うことができるので、利便性をより一層高めることができる。
【0078】
また、大蓋30と小蓋40との開閉方向を異なる方向にしたので、大蓋30が不意に開いてしまうのをより確実に防止できる。
【0079】
尚、上記実施形態1では、小蓋40の連結バンド41をキャップ部20に連結しているが、これに限らず、例えば、
図7に示す変形例のように、容器本体部10に連結するようにしてもよい。
【0080】
(実施形態2)
図8及び
図9は、本発明の実施形態2にかかるシート収納用容器1を示すものである。この実施形態2のシート収納用容器1は、大蓋及び小蓋の構成が実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じである。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0081】
すなわち、実施形態2の大蓋50は、ヒンジ51を有している。ヒンジ51は閉塞板部22の奥側の縁部に連結されている。大蓋50は、キャップ部20の閉塞板部22の奥側からセット用開口部26が形成された部位までを覆い、かつ、閉塞板部22のシート止めスリット25が形成された部位から手前側の縁部までは覆わないように形成されている。大蓋50には、閉状態のときにキャップ部20に係合する爪部(図示せず)が形成されている。
【0082】
小蓋55は、ヒンジ56を有している。ヒンジ56は閉塞板部22の手前側の縁部に連結されている。小蓋55は、閉塞板部22の手間側からシート止めスリット25が形成された部位までを覆うように形成されている。小蓋55には、閉状態のときにキャップ部20に係合する爪部(図示せず)が形成されている。小蓋55のヒンジ56と反対側の縁部は、大蓋50のヒンジ51と反対側の縁部を上方から覆うように形成されたロック部55aとされている。
【0083】
従って、大蓋50を閉状態にしてから小蓋55を閉状態にすると、小蓋55のロック部55aが大蓋50の縁部を覆うように位置することになるので、小蓋55を開かなければ大蓋50を開くことはできず、大蓋50がロック状態となる。一方、小蓋55が開状態にあるときには、ロック部55aが大蓋50から離れるので、大蓋50のロックが解除される。つまり、ロック部55aは、小蓋55が閉状態にあるときに大蓋50をロック状態とする一方、小蓋55が開状態になったときに大蓋50のロックを解除するロック解除状態となる。
【0084】
次に、シート収納用容器1を使用する場合について説明する。シートを使用しないときには、
図8に示すように大蓋50及び小蓋55を閉状態にする。
【0085】
そして、シートを使用する際には、小蓋55のみを開状態にする。小蓋55が開状態になる前には、大蓋50がロック部55aによりロックされているので、大蓋50が誤って開状態になることはない。
【0086】
小蓋55を開状態にすると、シート止めスリット25が露出するので、1枚目のシートが外部に臨む。従って、使用者がシートを使用する際には、大蓋50を開けることなく容器本体部10内から取り出して使用することができる。
【0087】
したがって、この実施形態2にかかるシート収納用容器1によれば、実施形態1と同様に、シートの取り出しやすさを良好にしながら、シートが容器本体部10内に落ち込む頻度を大幅に低減して使いやすい容器1とすることができる。
(実施形態3)
図10及び
図11は、本発明の実施形態3にかかるシート収納用容器1を示す図である。実施形態3のシート収納用容器1は、蓋が1つだけであり、また、セット用開口部26の形状等が実施形態1のものとは異なっている。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0088】
すなわち、
図11に示すように、シート収納用容器1のキャップ部21の閉塞板部22は、周縁部に比べて中央部が上に位置するように上方に膨出した形状となっている。この閉塞板部22には、凹部22eが形成されている。この凹部22eは、手前側から奥側に亘って延びている。閉塞板部22の凹部22eの底面には、手前側から奥側に向かって延びる略長円形のセット用開口部26が形成されている。このセット用開口部26に連なるようにシート止めスリット25が形成されている。このシート止めスリット25は、実施形態1のものと同じ構成であり、従って、同様な作用効果を奏するものである。
【0089】
また、凹部22eの底面には、環状リブ27が形成されている。環状リブ27は、セット用開口部26とシート止めスリット25とを囲むように形成されている。
【0090】
キャップ部21の蓋60は、手前側から奥側へ延びる略矩形状とされ、凹部22eの全体を覆う大きさとなっている。蓋60の奥側には、薄肉ヒンジからなるヒンジ61が設けられている。また、蓋60の手前側には、手前側に向かって突出する突出部62が形成されている。蓋60の両側縁部には、凹部22e内へ向けて突出する側板部63がそれぞれ設けられている。側板部63は、凹部22eの側面に沿って延びるように形成されており、蓋60が閉状態となったときに凹部22e内に収容されて凹部22eに嵌合するようになっている。また、蓋60が閉状態になると蓋60の手前側も凹部22eに嵌合する。さらに、蓋60が閉状態となったときに、蓋60の手前側は閉塞板部22の上面から突出するように形成されている。
【0091】
この実施形態3にかかるシート収納用容器1によれば、実施形態1と同じシート止めスリット25を設けているので、シートの取り出しやすさを良好にしながら、シートが容器本体部10内に落ち込む頻度を大幅に低減して使いやすい容器1とすることができる。
【0092】
尚、シート収納用容器1に収納するシートとしては、例えば、ティッシュや不織布等の薄いものであればよく、乾燥状態で収納してもよいし、除菌剤等の薬液を含浸させた状態で収納してもよい。また、シートはロール状に巻いた状態で収納してもよいし、折り畳んだ状態で収納してもよい。
【0093】
また、上記実施形態1、2では、シート止めスリット25が第3スリット25d,25eを有しているが、これら第3スリット25d,25eは省略してもよい。
【0094】
また、第1〜第3スリット25a、25b、25c、25d、25eの各々の幅は、一端から他端まで同一幅であってもよいし、次第に拡がるようにしてもよいし、一部のみ拡げ又は狭めてもよい。
【0095】
また、第1〜第3スリット25a、25b、25c、25d、25eは、直線状であってもよいし、湾曲していてもよいし、折れ曲がっていてもよい。