特許第6016454号(P6016454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016454
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】農業機械のセキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/01 20130101AFI20161013BHJP
   B60R 25/04 20130101ALI20161013BHJP
   B60R 25/06 20060101ALI20161013BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20161013BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20161013BHJP
   G08B 13/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B60R25/01
   B60R25/04
   B60R25/06
   F02D29/02 K
   E05B49/00 B
   G08B13/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-115770(P2012-115770)
(22)【出願日】2012年5月21日
(65)【公開番号】特開2013-241103(P2013-241103A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】田村 智志
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−068164(JP,A)
【文献】 特開2006−232193(JP,A)
【文献】 特開2010−180697(JP,A)
【文献】 特開2003−082708(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0095603(US,A1)
【文献】 特開2003−182528(JP,A)
【文献】 特開2005−254975(JP,A)
【文献】 特開2009−274632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00 − 99/00
G08B 13/00 − 15/02
B62D 25/00 − 25/08
B62D 25/14 − 25/22
F02D 29/00 − 29/06
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の鍵を所持する使用者に対して、農業機械の使用を許可するセキュリティ装置と、
所定の制御を行う制御部と、
所定の制御に係る設定操作を行う設定操作装置と、を備える農業機械において、
前記制御部に、
農業機械の使用開始に際し、設定操作装置を用いて使用者に所定のセキュリティ解除情報を入力させるセキュリティ解除情報入力手段と、
入力されたセキュリティ解除情報が予め登録された登録情報と一致しないとき、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御の制御内容を、セキュリティ解除情報が予め登録された登録情報と一致したときに複数の使用条件の中から選択された使用条件に制限されるよう一時的に変更して農業機械の使用を制限する使用制限手段と、を設けて第二のセキュリティ機能を構成したことを特徴とする農業機械のセキュリティシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
複数の使用者毎に、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御に係る設定内容を記憶する設定内容記憶手段と、
複数の使用者毎に異なる登録情報を記憶し、入力されたセキュリティ解除情報にもとづいて使用者を特定する使用者特定手段と、を備え、
特定した使用者の設定内容を用いてエンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の農業機械のセキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタなどの農業機械のセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタなどの農業機械には、機械の盗難防止などを目的としてセキュリティ装置が設けられている。農業機械のセキュリティ装置としては、所定の鍵を所持する使用者に対して、農業機械の使用(例えば、エンジン始動)や農業機械への乗車(例えば、キャビンのドア開閉)を許可するものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−173384号公報
【特許文献2】特開2008−105527号公報
【特許文献3】特開平9−50584号公報
【特許文献4】WO2006/038290号公報
【特許文献5】特開2007−269204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、農業機械のセキュリティ装置は、コストを抑えるために、一機種における鍵の種類を数種類に制限しているので、セキュリティレベルが低いという問題があった。一方、建設機械や自動車には、農業機械に比して高度なセキュリティを実現可能なセキュリティ装置(例えば、特許文献1〜5参照)が搭載されているが、このようなセキュリティ装置は高価であり、農業機械への適用が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、所定の鍵を所持する使用者に対して、農業機械の使用を許可するセキュリティ装置と、所定の制御を行う制御部と、所定の制御に係る設定操作を行う設定操作装置と、を備える農業機械において、前記制御部に、農業機械の使用開始に際し、設定操作装置を用いて使用者に所定のセキュリティ解除情報を入力させるセキュリティ解除情報入力手段と、入力されたセキュリティ解除情報が予め登録された登録情報と一致しないとき、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御の制御内容を、セキュリティ解除情報が予め登録された登録情報と一致したときに複数の使用条件の中から選択された使用条件に制限されるよう一時的に変更して農業機械の使用を制限する使用制限手段と、を設けて第二のセキュリティ機能を構成したことを特徴とする農業機械のセキュリティシステムである。
請求項2の発明は、前記制御部は、複数の使用者毎に、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御に係る設定内容を記憶する設定内容記憶手段と、複数の使用者毎に異なる登録情報を記憶し、入力されたセキュリティ解除情報にもとづいて使用者を特定する使用者特定手段と、を備え、特定した使用者の設定内容を用いてエンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の農業機械のセキュリティシステムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、既存のセキュリティ装置に加え、第二のセキュリティ機能が構成されるので、農業機械のセキュリティレベルを高めることができる。しかも、第二のセキュリティ機能は、既存の制御部や設定操作装置を利用して構成されるので、コストの上昇も抑えることができる。
また、請求項2の発明によれば、入力されたセキュリティ解除情報にもとづいて使用者を特定し、特定した使用者の設定内容を用いてエンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御を行うので、使用者が変わる毎に設定をやり直す面倒を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トラクタの側面図である。
図2】トラクタのメータパネル周辺を示す正面図である。
図3】トラクタの制御構成を示すブロック図である。
図4】(A)〜(E)はセキュリティチェック画面を示す説明図である。
図5】(A)〜(E)はセキュリティ設定画面(セキュリティ機能の有効/無効設定、動作制限設定、報知設定)を示す説明図である。
図6】(A)〜(D)はセキュリティ設定画面(セキュリティコード変更設定)を示す説明図である。
図7】制御部のメインルーチンを示すフローチャートである。
図8】セキュリティチェックの制御手順を示すフローチャートである。
図9】セキュリティ設定の制御手順を示すフローチャートである。
図10】各種制御の制御手順を示すフローチャートである。
図11】エンジン制御の制御手順を示すフローチャートである。
図12】報知制御の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はトラクタの走行機体であって、該走行機体1は、エンジン(図示せず)が搭載されるエンジン搭載部2、エンジン動力を変速する変速部3、作業機4が連結される作業機連結部5、運転席6や各種の操作具が配置される操縦部7、前輪8及び後輪9からなる走行部10、各種の制御を行なう制御部11などを備えて構成されている。
【0009】
エンジン搭載部2には、エンジンの他、ラジエータ、スタータなどが設けられている。使用者が所定の鍵12(図2参照)を操縦部7のキースイッチ13(セキュリティ装置)に挿し込み、所定のエンジン始動操作を行なうと、スタータがエンジンを始動させる。これにより、エンジン動力が変速部3を介して作業機4や走行部10に供給され、トラクタによる農作業が可能になる。なお、セキュリティ装置としては、所定の鍵12を所持する使用者に対して、トラクタの使用やトラクタへの乗車を許可するものであれば、上記のキースイッチ13に限定されない。例えば、キャビンを備えるトラクタであれば、キャビンの乗降用のドアに設けられる施錠装置もセキュリティ装置に相当する。
【0010】
変速部3は、エンジンから入力される動力を変速して作業機4や走行部10に供給するように構成される。例えば、作業動力伝動経路には、PTOクラッチ機構、PTO変速機構などが設けられ、走行動力伝動経路には、走行クラッチ機構、主変速機構、副変速機構、前後進切換機構などが設けられている。
【0011】
作業機連結部5は、走行機体1の後部に作業機4を昇降自在に連結するための昇降リンク機構14、左右一対のリフトロッド15を介して昇降リンク機構14を吊持するリフトアーム16、該リフトアーム16を油圧動力で上下揺動させるリフトシリンダ17、左右いずれか一方のリフトロッド15に介設されるリフトロッドシリンダ18などを備えて構成されており、リフトアーム16の上下揺動に応じて作業機4を昇降させたり、リフトロッドシリンダ18の伸縮に応じて作業機4を左右に傾斜させることができる。
【0012】
操縦部7は、運転席6や各種の操作具の他に、走行機体1や作業機4の各種状態表示を行なうメータパネル19を備えている。本実施形態のメータパネル19には、図2に示すように、エンジン回転数を表示するエンジン回転計20や各種のモニタランプに加え、設定操作装置21が組み込まれている。設定操作装置21は、液晶パネル22と、複数の操作スイッチ23〜26と、設定制御部27とを備えて構成されており、制御部11が行なうエンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御などの制御に係る設定操作を行うことができる。
【0013】
例えば、メニュースイッチ23を押下して液晶パネル22に設定メニューを表示させた後、上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で設定項目を選択し、決定スイッチ24の押下操作で当該設定項目に係る設定操作画面を表示させることにより、各種の制御に係る設定操作を行なうことが可能になる。そして、エンジン制御の設定項目としては、アイドリング回転数設定、最大出力設定などが含まれ、走行制御の設定項目としては、最低速設定、最高速設定などが含まれ、作業機制御の設定項目としては、作業機昇降速度設定、作業機上昇限度設定、耕深自動制御のON/OFF設定、耕深自動制御の耕深設定、水平自動制御のON/OFF設定、水平自動制御の角度設定などが含まれ、報知制御の設定項目としては、各種報知制御のON/OFF設定などが含まれている。
【0014】
制御部11は、マイコン(CPU、ROM、RAM、I/Oなどを含む)などを用いて構成されており、図3に示すように、制御部11の入力側には、キースイッチ13などの操作具類や、車速センサ、リフトアームセンサ、リフトロッドセンサ、耕深センサ、傾斜センサなどのセンサ類が接続される一方、制御部11の出力側には、スタータ、燃料ポンプ、ガバナなどのエンジン系作動装置、変速機構、ブレーキ機構などの走行系作動装置、リフトシリンダ17、リフトロッドシリンダ18、PTO変速機構、PTOクラッチ機構などの作業機系作動装置、ブザー、ホーン、前照灯、方向指示器、作業灯などの報知系作動装置などが接続されている。また、制御部11は、前述した設定操作装置21と通信可能に接続されると共に、設定操作装置21で設定された設定内容を記憶するための記憶部28(設定内容記憶手段)としてEEPROMなどの不揮発性メモリを備えている。
【0015】
本発明の実施形態に係るトラクタには、既存の制御部11や設定操作装置21を利用して第二のセキュリティ機能が構成されている。以下、第二のセキュリティ機能について、図4図12を参照して説明する。なお、以下の説明における各種の手段は、制御部11を構成するハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能的な構成である。
【0016】
本発明の実施形態に係るトラクタでは、トラクタの使用開始に際し、設定操作装置21を用いて使用者に所定のセキュリティコード(セキュリティ解除情報)を入力させるセキュリティ解除情報入力手段と、入力されたセキュリティコードが予め登録された登録情報と一致しないとき、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御の制御内容を一時的に変更してトラクタの使用を制限する使用制限手段と、を制御部11に追加することによって、第二のセキュリティ機能を構成している。
【0017】
例えば、キースイッチ13がON操作されたら、図4の(A)に示すように、設定操作装置21の液晶パネル22に、セキュリティコードの入力を要求する画面を表示する。図4の(A)に示す例では、セキュリティコードを4桁の英数字とし、上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で英数字を選択し、選択した英数字を決定スイッチ23の押下操作で確定させる。
【0018】
セキュリティコードが入力されたら、入力されたセキュリティコードが予め登録された登録情報と一致するか否かを判断する。ここで一致すると判断した場合は、図4の(B)に示すように、液晶パネル22においてセキュリティコードが一致した旨のメッセージを表示した後、通常の状態で各種の制御を起動させる。
【0019】
一方、入力されたセキュリティコードが予め登録された登録情報と一致しない場合は、図4の(C)、(D)に示すように、液晶パネル22においてセキュリティコードが一致しない旨のメッセージを表示した後、セキュリティコードの再入力を要求する。ここで、正しいセキュリティコードが入力された場合は、図4の(B)の表示を行ない、通常の制御状態へ移行するが、誤ったセキュリティコードが再度入力された場合は、図4の(E)に示すように、「販売店の相談ください」などのエラーメッセージを表示した後、前述した使用制限を行なう。
【0020】
このような第二のセキュリティ機能によれば、既存の制御部11や設定操作装置21を利用して構成することができるので、コストの上昇を抑えつつトラクタのセキュリティレベルを向上させることができる。
【0021】
また、本発明の実施形態に係る制御部11には、第二のセキュリティ機能の有効/無効を選択的に切換える第二セキュリティ切換手段が設けられている。例えば、図5の(A)に示す例では、設定操作装置21の液晶パネル22に、第二のセキュリティ機能の有効/無効を切換える設定画面を表示すると共に、有効/無効を上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で選択し、その選択を決定スイッチ23の押下操作で確定させる。
【0022】
このようにすると、第二のセキュリティ機能の有効/無効を選択的に切換えることができるので、第二のセキュリティ機能を無効とした従来通りの使用方法も選択することが可能になる。
【0023】
第二セキュリティ切換手段は、設定操作装置21を用いて使用者に所定のセキュリティコードを入力させ、入力されたセキュリティコードが予め登録された登録情報と一致したとき、第二のセキュリティ機能の有効/無効の切換えを許可することが好ましい。
【0024】
このようにすると、第二のセキュリティ機能の有効/無効の切換えに際し、セキュリティコードの入力を要求するので、第二のセキュリティ機能の有効/無効が不正に切り換えられることも防止できる。
【0025】
また、本発明の実施形態に係る制御部11には、使用制限手段が行う使用制限を、複数種類の使用制限のなかから選択させる使用制限選択手段が設けられている。例えば、図5の(B)に示す例では、設定操作装置21の液晶パネル22に、エンジン制御に係る複数種類の使用制限を表示すると共に、適用する使用制限を上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で選択し、その選択を決定スイッチ23の押下操作で確定させる。ここで、エンジン制御に係る複数種類の使用制限としては、エンジンの始動を規制する「停止」、エンジン回転数を低回転に制限する「アイドリング」などが例示される。
【0026】
また、図5の(C)に示す例では、設定操作装置21の液晶パネル22に、走行制御に係る複数種類の使用制限を表示すると共に、適用する使用制限を上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で選択し、その選択を決定スイッチ23の押下操作で確定させる。ここで、走行制御に係る複数種類の使用制限としては、機体走行を規制する「停止」、走行速度を最低速に制限する「最低速」などが例示される。
【0027】
また、図5の(D)に示す例では、設定操作装置21の液晶パネル22に、作業機制御に係る複数種類の使用制限を表示すると共に、適用する使用制限を上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で選択し、その選択を決定スイッチ23の押下操作で確定させる。ここで、作業機制御に係る複数種類の使用制限としては、リフトアーム動作を規制する「リフトアーム停止」、PTOクラッチ機構の入りを規制する「PTO停止」などが例示される。
【0028】
また、図5の(E)に示す例では、設定操作装置21の液晶パネル22に、報知制御に係る複数種類の使用制限を表示すると共に、適用する使用制限を上スイッチ25及び下スイッチ26の押下操作で選択し、その選択を決定スイッチ23の押下操作で確定させる。ここで、報知制御に係る複数種類の使用制限としては、ブザー音を発生させる「ブザー」、前照灯、方向指示器、作業灯などのライトを点灯・点滅させる「ライト」などが例示される。
【0029】
このようにすると、入力されたセキュリティコードが予め登録された登録情報と一致しないときに行なわれる使用制限を、複数種類の使用制限のなかから選択することができるので、セキュリティレベルなどに応じて適切な使用制限を設定することができる。
【0030】
また、本実施形態の使用制限選択手段は、複数種類の使用制限のなかから複数の使用制限の組み合わせを選択可能としている。このようにすると、使用制限を多様化して高度なセキュリティを実現することができる。
【0031】
また、本実施形態では、第二のセキュリティ機能のセキュリティレベルを維持するために、セキュリティコードの更新を可能にしている。例えば、図6の(A)に示すように、設定操作装置21の液晶パネル22に、セキュリティコード変更画面を表示させ、ここで「はい」が選択された場合、図6の(B)に示すように、現在のセキュリティコードの入力を要求し、ここで、正しいセキュリティコードが入力された場合は、図6の(C)に示すように、新しいセキュリティコードの入力を要求する。そして、新しいセキュリティコードが入力されたら、記憶部28に記憶されている現在のセキュリティコードを新しいセキュリティコードに書き換えると共に、図6の(D)に示すように、セキュリティコードが変更された旨のメッセージを液晶パネル22に表示させる。
【0032】
また、本発明の実施形態に係る制御部11は、複数の使用者毎に、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御に係る設定内容を記憶する設定内容記憶手段と、複数の使用者毎に異なる登録情報を記憶し、入力されたセキュリティ解除情報にもとづいて使用者を特定する使用者特定手段と、を備え、特定した使用者の設定内容を用いてエンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御を行う。このようにすると、使用者が変わる毎に設定をやり直す面倒を解消することができる。
【0033】
つぎに、制御部11が実行する制御の手順について、図7図12を参照して説明する。ただし、制御部11の記憶部28には、複数の使用者毎に設定されたセキュリティコードと、複数の使用者毎に設定された各種制御の設定情報(設定内容)が関連付けられた状態で予め記憶されているものとする。
【0034】
図7に示すように、制御部11は、キースイッチ13のON操作に応じて起動すると、所定の初期設定(S11)及びセキュリティチェック(S12)を実行した後、セキュリティ設定(S13)及び各種制御(S14)を繰り返し実行する。
【0035】
図8に示すように、セキュリティチェックでは、まず、セキュリティ機能フラグが有効か否かを判断する(S21)。この判断結果がNOである場合は、セキュリティ状態フラグに「正常」をセットして上位ルーチンに戻る(S22)。一方、セキュリティ機能フラグが有効であると判断した場合は、設定操作装置21を用いてセキュリティコードの入力を要求する(S23:セキュリティ解除情報入力手段)。セキュリティコードが入力されたら、入力されたセキュリティコードが予め登録されたセキュリティコードと一致するか否かを判断し(S24)、この判断結果がNOの場合は、セキュリティ状態フラグに「異常」をセットして上位ルーチンに戻る(S25)。一方、入力されたセキュリティコードが予め登録されたセキュリティコードと一致すると判断した場合は、入力されたセキュリティコードにもとづいて使用者を特定すると共に、特定した使用者の設定情報を読み込み(S26:使用者特定手段)、その後、セキュリティ状態フラグに「正常」をセットして上位ルーチンに戻る(S22)。
【0036】
図9に示すように、セキュリティ設定では、まず、セキュリティ設定をするか否かを判断し(S31)、この判断結果がNOの場合は、直ちに上位ルーチンに戻る。一方、判断結果がYESの場合は、設定操作装置21を用いてセキュリティコードの入力を要求すると共に(S32)、入力されたセキュリティコードが予め登録されたセキュリティコードと一致するか否かを判断する(S33)。この判断結果がNOの場合は、直ちに上位ルーチンに戻るが、判断結果がYESの場合は、設定操作装置21の液晶パネル22に、第二のセキュリティ機能の有効/無効を切換える設定画面(図5の(A))を表示し、第二のセキュリティ機能の有効/無効の切換えを許可する(S34:第二セキュリティ切換手段)。
【0037】
つぎに、設定操作装置21の液晶パネル22に、エンジン制御、走行制御及び作業機制御に係る使用制限の設定画面(図5の(B)〜(D))を表示し、エンジン制御、走行制御及び作業機制御に係る使用制限の設定変更を許可する(S35:使用制限選択手段)。
【0038】
つぎに、設定操作装置21の液晶パネル22に、報知制御に係る使用制限の設定画面(図5の(E))を表示し、報知制御に係る使用制限の設定変更を許可する(S36:使用制限選択手段)。
【0039】
つぎに、設定操作装置21の液晶パネル22に、セキュリティコードの登録変更画面(図6の(A)〜(D))を表示し、セキュリティコードの登録変更を許可する(S37)。
【0040】
図10に示すように、各種制御では、エンジン制御(S41)、走行制御(S42)、作業機制御(S43)及び報知制御(S44)を順次実行する。例えば、エンジン制御では、図11に示すように、セキュリティ状態フラグが正常か否かを判断し(S51)、この判断結果がYESの場合は、通常の設定内容を用いて通常の動作を行う一方(S52)、判断結果がNOの場合は、通常の設定内容を一時的に変更して使用制限(使用者が選択した使用制限を適用)を行う(S53:使用制限手段)。また、報知制御では、セキュリティ状態フラグが異常であるか否かを判断し(S61)、この判断結果がYESの場合は、使用者が選択した報知方法で異常報知を行う(S62)。なお、走行制御及び作業機制御の内容は、エンジン制御の内容と同様であるため、フローチャートの図示及び説明は省略する。
【0041】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、所定の鍵12を所持する使用者に対して、トラクタの使用を許可するキースイッチ13と、所定の制御を行う制御部11と、所定の制御に係る設定操作を行う設定操作装置21と、を備えるトラクタにおいて、制御部11に、トラクタの使用開始に際し、設定操作装置21を用いて使用者に所定のセキュリティコードを入力させるセキュリティ解除情報入力手段と、入力されたセキュリティコードが予め登録された登録情報と一致しないとき、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御の制御内容を一時的に変更してトラクタの使用を制限する使用制限手段と、を設けて第二のセキュリティ機能を構成したので、コストの上昇を抑えつつ、トラクタのセキュリティレベルを高めることができる。
【0042】
また、制御部11は、複数の使用者毎に、エンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御に係る設定内容を記憶する設定内容記憶手段と、複数の使用者毎に異なる登録情報を記憶し、入力されたセキュリティコードにもとづいて使用者を特定する使用者特定手段と、を備え、特定した使用者の設定内容を用いてエンジン制御、走行制御、作業機制御、報知制御のうち少なくともいずれか一つの制御を行うので、使用者が変わる毎に設定をやり直す面倒を解消することができる。
【0043】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、前記実施形態では、本発明をトラクタに適用した例を示したが、本発明はトラクタ以外の農業機械(例えば、コンバイン、田植機など)にも適用することができる。
【0044】
また、本発明の要旨は、農業機械に第二のセキュリティ機能を構成することにあるが、さらに第三、第四のセキュリティ機能を追加してもよい。この場合、コストの上昇を抑えるために、既存の部品・装置を利用することが好ましい。例えば、農業機械の使用に支障をきたす部品・装置(例えば、制御部のメモリ)を着脱自在に構成し、農業機械の使用時にのみ上記部品・装置を装着するようにしたり、普及率の高い携帯電話などの携帯機器と通信する安価な通信機器(赤外線通信モジュール)を追加し、携帯機器との間でセキュリティコードを自動的に送受信する等、様々なセキュリティ機能の追加が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 走行機体
11 制御部
12 鍵
13 キースイッチ
21 設定操作装置
28 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12