特許第6016474号(P6016474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016474
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】開き建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   E06B7/36 C
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-141655(P2012-141655)
(22)【出願日】2012年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-5640(P2014-5640A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2014年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
(72)【発明者】
【氏名】坂口 征弘
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−153174(JP,U)
【文献】 特開2011−153425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体の吊元側縦部を開口部の吊元側縦部にヒンジで連結し、その開閉体を面外方向に回動自在とした開き建具であって、
前記開口部の吊元側縦部と開閉体の吊元側縦部は、開閉体が閉じ位置のときに面内方向に対向して最も接近し、かつ開閉体が開き位置に向けて回動するにつれて順次離れる固定側カバー部と可動側カバー部をそれぞれ有し、かつ前記固定側カバー部、可動側カバー部よりも前記ヒンジの回動中心寄りの固定側支持部と可動側支持部をそれぞれ有し、
前記固定側カバー部と固定側支持部の間と、前記可動側カバー部と可動側支持部の間に渡って前記開閉体が最大角度回動した開き位置のときに、前記固定側カバー部と可動側カバー部との間を挿通する幅で、前記開閉体の吊元側縦部の長手方向ほぼ全長に渡る長さのカバー部材が設けられ、
前記固定側支持部と可動側支持部は、前記カバー部材を前記固定側支持部と可動側支持部に取り付ける取付部材を長手方向と直角方向から挿入可能な取付部材挿入部分を有し、
前記取付部材は、前記取付部材挿入部分に挿入された状態において前記固定側支持部と可動側支持部に沿って長手方向に移動可能であり、
前記カバー部材は、前記取付部材が前記固定側支持部と可動側支持部に沿って長手方向に移動した状態において、面外方向に回動可能に固定側支持部と可動側支持部に渡って係合して設けられ、
前記カバー部材の外周面は、前記ヒンジの回動中心を中心とする略円弧形状で、開閉体の回動時に前記カバー部材が、その外周面が固定側カバー部に沿って移動するように回動し、かつ可動側カバー部がカバー部材の外周面に沿って移動するようにしたことを特徴とする開き建具。
【請求項2】
前記カバー部材に取付部材が長手方向に移動自在に取り付けられ、
前記カバー部材の長手方向のスリットを通して操作部材が取付部材に連結され、その操作部材により取付部材をカバー部材の長手方向に移動できるようにした請求項1記載の開き建具。
【請求項3】
前記カバー部材の端部には長手方向にスリットが設けられた端部キャップが取り付けられ、この端部キャップのスリットに沿って取付部材をカバー部材の長手方向に移動可能とした請求項1又は2記載の開き建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関ドア、勝手口ドア、室内ドア、開き窓などの枠体に扉、障子などの開閉体をヒンジで開き位置と閉じ位置とに渡って回動自在に取り付けた開き建具に関する。
【背景技術】
【0002】
枠体の吊元側縦枠と扉の吊元側縦框をヒンジで面外方向に回動自在に連結した開きドアにおいては、その扉を開閉する際に扉の吊元側縦框と枠体の吊元側縦枠との間に、手の指をはさむことがあるので、例えば、特許文献1に開示したように、ヒンジ中心を吊元側縦框内に設けると共に、吊元側縦枠にシール材を設けることで、手の指をはさむことがないようにした開きドアが提案されている。
また、指はさみを防止できるようにした折戸が提案されている。
例えば、特許文献2に開示したように、左右の扉の縦框を略コ字状断面とし、その後側の壁同士を軸受部材で回動自在に連結し、この軸受部材にカバー部材(連結材)を取り付け、各縦框の前側の壁をカバー材の円弧面に沿って移動するようにすることで、左右の扉の縦框間に指がはさまれないようにした折戸が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3650914号公報
【特許文献2】特開2009−275409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開きドアにおいては扉を閉じ位置から180°回動するのが一般的であるが、前述した開きドアであると、扉を閉じ位置から90°回動すると吊元側縦框が吊元側縦枠に接するので、扉を90°以上回動することができず、扉の回動角度に制限がある。
前述した折戸であれば、左右の扉を相対的に180°回動できるから、本発明者等は、この折戸の左右の扉の連結構造を開きドアに適用して指はさみを防止できると共に、扉の回動角度の制限がない開きドアとすることを試みたが、前述の折戸ではカバー部材を縦框の長手方向からスライドして取り付ける構成であるため、開きドアとすることに問題があった。
つまり、折戸は左右の扉を連結した状態で取り付ける、取り外しできるので、カバー部材を縦框の長手方向からスライドして取り付けるようにしても問題がないが、開きドアの場合には扉を取り付けた状態でカバー部材を取り付けることになるので、床や天井が邪魔になってカバー部材の取り付けが大変面倒で、実際には取り付けできないことがある。
カバー部材を取り外す場合も同様である。
【0005】
本発明の目的は、指はさみを防止できると共に、開閉体の回動角度の制限がなく、しかも開閉体を取り付けた状態でカバー部材を簡単に取り付け、取り外しできるようにした開き建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、開閉体の吊元側縦部を開口部の吊元側縦部にヒンジで連結し、その開閉体を面外方向に回動自在とした開き建具であって、前記開口部の吊元側縦部と開閉体の吊元側縦部は、開閉体が閉じ位置のときに面内方向に対向して最も接近し、かつ開閉体が開き位置に向けて回動するにつれて順次離れる固定側カバー部と可動側カバー部をそれぞれ有し、かつ前記固定側カバー部、可動側カバー部よりも前記ヒンジの回動中心寄りの固定側支持部と可動側支持部をそれぞれ有し、前記固定側カバー部と固定側支持部の間と、前記可動側カバー部と可動側支持部の間に渡って前記開閉体が最大角度回動した開き位置のときに、前記固定側カバー部と可動側カバー部との間を挿通する幅で、前記開閉体の吊元側縦部の長手方向ほぼ全長に渡る長さのカバー部材が設けられ、前記固定側支持部と可動側支持部は、前記カバー部材を前記固定側支持部と可動側支持部に取り付ける取付部材を長手方向と直角方向から挿入可能な取付部材挿入部分を有し、前記取付部材は、前記取付部材挿入部分に挿入された状態において前記固定側支持部と可動側支持部に沿って長手方向に移動可能であり、前記カバー部材は、前記取付部材が前記固定側支持部と可動側支持部に沿って長手方向に移動した状態において、面外方向に回動可能に固定側支持部と可動側支持部に渡って係合して設けられ、前記カバー部材の外周面は、前記ヒンジの回動中心を中心とする略円弧形状で、開閉体の回動時に前記カバー部材が、その外周面が固定側カバー部に沿って移動するように回動し、かつ可動側カバー部がカバー部材の外周面に沿って移動するようにしたことを特徴とする開き建具である。
【0007】
本発明においては、前記カバー部材に取付部材長手方向に移動自在に取り付けられ、
前記カバー部材の長手方向のスリットを通して操作部材取付部材に連結され、その操作部材により取付部材をカバー部材の長手方向に移動できるようにできる。
このようにすれば、カバー部材とともに取付部材を長手方向と直角方向に移動し、操作部材で取付部材を長手方向に移動して固定側支持部と可動側支持部とに渡って設けることで、カバー部材を取り付けできるから、そのカバー部材を上下に移動しなくとも良いので、上枠に干渉等することがなく、カバー部材の取り付け、取り外しが容易である。
【0008】
本発明においては、前記カバー部材の端部には長手方向にスリットが設けられた端部キャップが取り付けられ、この端部キャップのスリットに沿って取付部材をカバー部材の長手方向に移動可能とすることができる。
このようにすれば、操作部材によって取付部材を端部キャップのスリットに沿って移動できるから、その取付部材は正しい姿勢を維持して長手方向に移動するので、固定側支持部と可動側支持部に渡って確実に設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開閉体が回動するときにカバー部材が、その外周面が固定側カバー部に沿って移動するように回動し、可動側カバー部がカバー部材の外周面に沿って移動するので、指はさみを防止できると共に、開閉体の回動角度の制限がない。
【0010】
また、開閉体を最大角度回動した開き位置とすることで、カバー部材とともに取付部材を長手方向と直角方向に移動して固定側カバー部と可動側カバー部との間から固定側支持部、可動側支持部の取付部材挿入部分に挿入、抜き出しできるから、開閉体を取り付けた状態でカバー部材を簡単に取り付け、取り外しでき、ヒンジ取付部分を容易に清掃できると共に、開閉体の交換やヒンジの調整が可能で、メンテナンス性が向上する。
【0011】
また、開閉体の回動時にカバー部材が回動するので、そのカバー部材の外周面の角度を開閉体の最大回動角度よりも小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】開きドアの正面図である。
図2図1のA−A拡大断面図である。
図3】扉を90°回動した状態の断面図である。
図4】扉を180°回動した状態の断面図である。
図5】吊元側縦枠と吊元側縦框、取付部材とカバー部材の拡大横断面図である。
図6】吊元側縦枠と吊元側縦框の正面図である。
図7】カバー部材と取付部材と端部キャップの分解斜視図である。
図8】カバー部材の取付動作を示す斜視図である。
図9】端部キャップの正面図である。
図10】端部キャップの平面図である。
図11】外開き窓の横断面図である。
図12】障子を90°回動した状態の横断面図である。
図13】障子を180°回動した状態の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、枠体1内に開閉体、例えば扉2がヒンジ3で回動自在に取り付けて開き建具、例えば開きドアとしてある。
この枠体1は上枠10と吊元側縦枠11と戸先側縦枠12と下枠13で方形状で、扉2は上框20と吊元側縦框21と戸先側縦框22と下框23を方形状に連結し、その内部にパネル24が取り付けてある。なお、枠体1は下枠13を備えずに、設置する床面などを下枠とするようにしても良い。
ヒンジ3は吊元側縦枠11と吊元側縦框21とに渡って連結されて戸先側縦框22を戸先側縦枠12に対して面外方向に回動自在としている。
【0014】
例えば、ヒンジ3は、図2に示すように一側羽根30と他側羽根31を軸32で回動自在に連結した丁番で、吊元側縦枠11の面内方向の内側面11aに一側羽根30を固着し、吊元側縦框21の面内方向の外側面21aに他側羽根31を固着し、扉2を図2に示す閉じ位置から図3に示す90°回転した開き位置、図4に示す180°回転した開き位置まで回動できるようにしてある。
この軸32がヒンジ3の回動中心3aである。
この実施の形態では図1に示すように、ヒンジ3は上下一対設けてあるが、これに限ることはない。
そして、戸先側縦框22に取り付けたハンドル4を持って扉2を図2に示す閉じ位置と図3図4に示す開き位置とに渡って回動する。
【0015】
図2に示すように、吊元側縦枠11の内側面11aには面内方向に向かう固定側支持部15と面内方向に向かう固定側カバー部16が、固定側支持部15がヒンジ3の回動中心3a寄りとなるように面外方向に間隔を置いて設けてあると共に、吊元側縦框21の外側面12aには面内方向に向かう可動側支持部25と面内方向に向かう可動側カバー部26が、可動側支持部25がヒンジ3の回動中心3a寄りとなるように面外方向に間隔を置いて設けてある。
そして、図2に示すように扉2が閉じ位置のときに、固定側支持部15と可動側支持部25が面内方向に相対向すると共に、固定側カバー部16と可動側カバー部26が面内方向に相対し、かつ最も接近し、扉2が図3図4に示すように開き位置に向けて回動するにつれて順次離れるようにしてある。
【0016】
この固定側支持部15と可動側支持部25とに渡って、後述するカバー部材を取り付けるための取付部材5が扉2とともに面外方向に回動するように設けてある。
この取付部材5にカバー部材6が、その取付部材5を覆うように取り付けてある。
このカバー部材6は、ほぼ半円形(つまりほぼ180°)の外周面6aを有し、その外周面6aはヒンジ3の回動中心3aを中心とするほぼ円弧状で、カバー部材6は吊元側縦框21の長手方向全長に渡る長さである。
そして、扉2の回動時にカバー部材6が、その外周面6aが固定側カバー部16に沿って移動するように回動し、可動側カバー部26がカバー部材6の外周面6aに沿って移動するように隙間を有して対向している。
【0017】
このようであるから、扉2が閉じ位置、90°回動した開き位置、180°回動した開き位置に渡って回動するときに、カバー部材6の外周面6aと固定側カバー部16、可動側カバー部26との間に手の指を入れることができないので、指はさみを防止できる。
また、カバー部材6の外周面6aの角度を扉2の最大回動角度よりも小さくできる。
【0018】
取付部材5は、吊元側縦框21の長手方向と直角方向の所定の取付位置から長手方向に移動することで固定側支持部15と可動側支持部25とに渡って回動可能で、かつ長手方向と直角方向に外れないように係止して設けることができる。
そして、図4に示すように扉2を180°回動した開き位置のときに、固定側カバー部16と可動側カバー部26との間隔Sがカバー部材6の幅Hよりも若干大きく、カバー部材6を固定側カバー部16と可動側カバー部26との間を挿通できるようにしてある。
扉2の最大開き角度は180°に限ることはない。
そして、扉2が最大開き角度のときに前述の間隔Sが幅Hよりも大きくすれば良い。
【0019】
このようであるから、取付部材5を上下寸法が短いピース状とし、固定側支持部15と可動側支持部25に取付部材5が長手方向と直角方向から入り込む切欠き部などの取付部材挿入部分を形成することで、取付部材5にカバー部材6を取り付けた状態で、扉2を180°回動した開き位置とし、取付部材5を長手方向と直角方向に移動して取付部材挿入部分に挿入し、取付部材5を長手方向に移動して取付部材5を固定側支持部15と可動側支持部26に渡って前述のように係合して設けることで、カバー部材6を取り付けできる。
また、前述と反対の動作をすることでカバー部材6を取り外すことができる。
【0020】
前述のようにすることで、扉2を枠体1に取り付けた状態で、カバー部材6を取付部材5とともに取り付けたり、取り外すことができるから、吊元側縦枠11、吊元側縦框21のヒンジ取付部分をカバー部材6、取付部材5を外して容易に清掃できるし、扉2の交換やヒンジ3の調整が可能となり、メンテナンス性が向上する。
【0021】
次に、各部を詳細に説明する。
図2に示すように、吊元側縦枠11と吊元側縦框21における扉2が閉じ位置のときに面内方向に対向する面、例えば前述した面内方向の内側面11a,外側面21aに固定側支持部15、可動側支持部25、固定側カバー部16、可動側カバー部26がそれぞれ対向して設けてあり、その支持部、カバー部の面外方向の間にヒンジ3の一側羽根30、他側羽根31がそれぞれ固着してある。
【0022】
図5図6に示すように、固定側支持部15は、内側面11aにおける面外方向一端寄
り(室外側寄り)に面内方向内側に向けて設けられ、先端部に円弧面15aを有した基片15bと、この基片15bの先端部に設けられた内側面11aに向かう鉤片15cを備え、その基片15bの円弧面15aと鉤片15cとで面内方向の外側(つまり、吊元側縦枠11の内側面11a)に向かう固定側凹部15dを有している。
固定側カバー部16は、吊元側縦枠11の内側面11aにおける面外方向の中間に面内方向の内側に向けて設けられた基片16aと、この基片16aの先端部に設けた先片16bを有し、この先片16bは基片16aの先端部から前述の鉤片15cに向けて斜めで、固定側カバー部16は、ほぼくの字形状である。
そして、図2に示すようにヒンジ3の一側羽根30は固定側支持部15と固定側カバー部16との間に固着され、固定側支持部15の切欠き部15eを通して突出している。
【0023】
可動側支持部25は前述の固定側支持部15とヒンジ3の回動中心3aを境として面内方向に対称形状で、外側面21aにおける面外方向一端寄りに設けられ円弧面25aを有した基片25bと、鉤片25cとで面内方向の内側(つまり、吊元側縦框21の外側面21a)に向かう可動側凹部25dを有している。
【0024】
可動側カバー部26は固定側カバー部16とヒンジ3の回動中心3aを境として面内方向に対称形状で、外側面21aの面内方向他端寄りに設けられた基片26aと斜めの先片26bを有したほぼくの字形状である。
そして、図2に示すようにヒンジ3の他側羽根31は可動側支持部25と可動側カバー部26との間に固着され、可動側支持部25の切欠き部25eを通して突出している。
【0025】
図6に示すように、固定側支持部15、可動側支持部25の長手方向両端寄りには前述した取付部材挿入部分となる切欠き部15f,25fがそれぞれ形成されている。例えば、鉤片15c,25cと円弧面15a,25aとが切欠きされている。
【0026】
取付部材5は図2図5図7に示すように、幅広く、高さが低い基片50の幅方向両側に一対の鉤形状の係止片51を有し、この係止片51と基片50とで相対向した内向きの凹部52を形成すると共に、基片50の幅方向中間に内向きの突片53と外向きの突部54を有し、その突部54に係合凹部54aを有している。
取付部材5を長手方向と直角方向に移動して図6に示す切欠き部15f,25fに挿入することで、取付部材5は所定の取付位置となる。
そして、取付部材5を下方に移動することで図2に示すように、一対の係止片51が固定側支持部15の固定側凹部15d、可動側支持部25の可動側凹部25dに入り込むと共に、鉤片15c,25cが凹部52に入り込み、かつ鉤片15c,25cと係止片51が係止して長手方向と直角方向には外れないように支持されると共に、突片53が固定側支持部15の鉤片15cと可動側支持部25の鉤片25cとの間に入り込む。
【0027】
そして、扉2が図2に示す閉じ位置のときには、係止片51が円弧面15a,25aと離れ、鉤片15c,25cの先端と接しているから、この状態から扉2が開き位置に向けて回動すると、可動側支持部25の鉤片25cの先端が取付部材5の係止片51の先端の裏面を押し取付部材5は回動はする。扉2がさらに回動すると、その鉤片25cが一方の凹部52の底面に接し、扉2の回動により取付部材5がカバー部材6とともに回動する。図3に示すように扉2が90°回動するとカバー部材6は45°回動する。
【0028】
この状態(図3の状態)から扉2が開き位置に向けて回動すると、前述と同様にして取付部材5とともにカバー部材6が回動し、扉2が図4に示すように180°回動するとカバー部材6は90°回動し、鉤片15c,25cの基端が取付部材5の基片50の裏面に接する。
【0029】
図4に示す状態から扉2を閉じ位置に向けて回動すると、可動側支持部25の鉤片25cの基端が取付部材5の基片50を押し、取付部材5とともにカバー部材6が回動し、扉2がさらに回動すると鉤片25cの基端が基片50の裏面と離れ、これと同時に鉤片25cの先端が凹部52の底面を押して回転する。扉2が90°回転位置まで回動するとカバー部材6は45°回動し、扉2がさらに回動すると扉2が図2に示す閉じ位置となると共に、カバー部材6は90°回動する。
【0030】
このように、扉2が180°回動する際に可動側支持部25により取付部材5を扉2の回動角度よりも小さい角度回動するので、カバー部材6の回動角度は扉2の回動角度よりも小さい(この実施の形態では1/2)ので、取付部材5、カバー部材6をコンパクトにでき、ヒンジ3による連結部に容易に取り付けできる。
【0031】
カバー部材6は、図7に示すように、幅方向に向けてほぼ円弧形状に湾曲し、その内周面6bの幅方向中央にはビスホール60が長手方向に連続して有していると共に、幅方向両端部には突片61が相対向して有し、外周面6aと内周面6bに貫通して縦長のスリット62を有している。
そして、図5に示すようにカバー部材6内に取付部材5が入り込み、突部54が内周面6bに接して取付部材5の外周面5aとカバー部材6の内周面6bとの間に、ほぼ半円形の空洞部6cを形成している。
図7に示す操作部材63の連結部である係合片64をスリット62を挿通して突部54の係合凹部54aに係合して連結し、その操作部材63を上下に動かすことで取付部材5がカバー部材6に対して上下(長手方向)に移動するようにしてある。この移動する距離は、係合片64の上下方向の寸法とスリット62の上下寸法の差である。
【0032】
このようであるから、図8に示すように扉2を180°回動した開き位置とし、取付部材5を取り付けたカバー部材6を長手方向と直角方向に移動、つまり水平方向に平行移動し、その取付部材5を固定側支持部15の切欠き部15f、可動側支持部25の切欠き部25fに挿入し、その状態で操作部材63を下方に移動することで取付部材5を下方に移動して一対の係合片51を各鉤片15c,25cに係止し、カバー部材6を取り付ける。
カバー部材6を取り外す場合は、操作部材63を上方に移動して取付部材5を各切欠き部15f,25fに合致させ、カバー部材6を水平方向に平行移動して取り外す。
【0033】
前述のようであるから、カバー部材6を上下に移動せずに取り付けしたり、取り外すことができるので、上枠10が邪魔にならないから、カバー部材6の取り付け、取り外しがより一層簡単である。
【0034】
この実施の形態ではカバー部材6の長手方向両端部に端部キャップ7が取り付けてある。
この端部キャップ7は図7図9図10に示すように、覆板70と、この覆板70に設けた一対の取付片71を備え、その覆板70はカバー部材6の端面形状に合致した平面形状で、取付片71は円弧形状に湾曲していると共に、スリット72を置いて対向し、その対向面の覆板70と反対側に突部73が相対向して設けてある。
覆板70には前述のスリット72に開口した透孔74が形成してある。
そして、図5に示すように一対の取付片71が前述の空洞部6cに挿入してカバー部材6の突片61と取付部材5の段部55に係合して支持されると共に、覆板70がカバー部材6の端面に接し、透孔74からビス75をカバー部材6のビスホール60に螺合して端部キャップ7がカバー部材6の長手方向の端部に取り付けられる。
【0035】
図5に示すように、取付部材5の突部54は端部キャップ7の一対の取付片71間のスリット72をガイドとして上下方向に移動するので、取付部材5は正しい姿勢を維持して上下に移動し、固定側支持部15と可動側支持部25とに渡って確実に挿入して設けることができる。
そして、取付部材5の突起54が突部73に当たることで、取付部材5が端部キャップ7から長手方向に抜け落ちることを防止している。
つまり、組立、取り付けの際に、端部キャップ7のスリット72をビスホール60に沿って移動して端部キャップ7をカバー部材6に取り付け、取付部材5の突起54をスリット72に挿入し、そのスリット72に沿って移動して突起54をカバー部材6のスリット62と対向させ、係合片64を突起54の係合凹部54aに係合して操作部材63を取付部材5に連結するが、操作部材63を連結するまでは、端部キャップ7から取付部材5が抜け落ちることがあるので、端部キャップ7に突部73を設け、この突部73に突起54を当接して取付部材5の抜け落ちを防止している。
一方、端部キャップ7の覆板70が固定側支持部15、可動側支持部25の長手方向の端面に接し、取付部材5、カバー部材6が固定側支持部15、可動側支持部25に沿って下方に落下しないように保持している。
【0036】
取付部材5はカバー部材6の上下寄りにそれぞれ取り付けてあるので、カバー部材6をしっかりと支持して回動することができる。
端部キャップ7はカバー部材6の上下部に取り付けてあるので、カバー部材6の見栄えが良い。
【0037】
前述の実施の形態では、ヒンジ3を丁番としたが、ピボットヒンジでも良い。
また、吊元側縦枠11は建物開口部の縦内面でも良いし、扉2はフラッシュドアのようにパネル一体タイプでも良い。つまり、ヒンジ3で連結するのは開口部の吊元側縦部と扉2の吊元側縦部であれば良い。
【0038】
前述の実施の形態では開き建具として開きドアを説明したが、開き建具は開き窓であっても良い。
例えば、図11に示すように、外開き窓の枠体1の一方の縦枠80に固定側支持部15と固定側カバー部16を設ける。
この外開き窓の障子(開閉体)81の一方の縦框82に可動側支持部25と可動側カバー部26を設ける。
そして、縦枠80と縦框82を開きドアの場合と同様にヒンジ3で回動自在に連結すると共に、取付部材5、カバー部材6を開きドアの場合と同様に取り付ける。
【0039】
このようにすることで障子81を90°回動したときには取付部材5、カバー部材6が図12に示すように開きドアの場合と同様に回動し、障子81を180°回動したときには取付部材5、カバー部材6が図13に示すように開きドアの場合と同様に回動するから、外開き窓においても指はさみを防止できる。
【符号の説明】
【0040】
1…枠体、2…扉(開閉体)、3…ヒンジ、5…取付部材、6…カバー部材、7…端部キャップ、11…吊元側縦枠(開口部の吊元側縦部)、15…固定側支持部、15f…切欠き部(取付部材挿入部分)、16…固定側カバー部、21…吊元側縦框(扉の吊元側縦部)、25…可動側支持部、25f…切欠き部(取付部材挿入部分)、26…可動側カバー部、62…スリット、63…操作部材、64…係合片(連結部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13