【実施例】
【0029】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
【0030】
実施例の試料1〜3で用いた圧力弁は、上述の実施形態の圧力弁10と同じ構成であり、
図3(c)に示すように、寸法については、R1(作動部11の直径)=6mm、R2(本体12aの外径)=12mm、D0(本体12aの厚み)=2mm、D1(厚肉部11bの薄肉部11aに対する上方への突出量)=0.45mm、D2(厚肉部11bの薄肉部11aに対する下方への突出量)=0.45mm、D3(薄肉部11aの厚み)=0.3mmである。また、リブ12bの突出量は0.5mm、リブ12bのアールの半径は0.5mmである。
【0031】
比較例の試料1〜3で用いた圧力弁は、
図4に示す圧力弁50と同じ構成である。
圧力弁50は、略円盤状であり、作動部51、および、作動部51を当該作動部51の外縁から支持する環状の支持部52を含む。
圧力弁50は、ガス透過性および可撓性を有する材料(シリコンゴム等)からなり、作動部51および支持部52が一体になるよう形成されている。
作動部51は、作動部51の厚み方向(
図4(a)の紙面に垂直な方向)から見て、円形であり、一定の厚みを有する。
支持部52は、本体52aおよびリブ52bを含む。本体52aの厚みは、一定であり、作動部51の厚みよりも大きい。リブ52bの厚みは、作動部51の厚みよりも大きく、本体52aの厚みよりも小さい。
リブ52bは、本体52aの外周端面から外側に突出している。リブ52bの角部には、アールが設けられている。
図4(b)に示すように、寸法については、R1(作動部51の直径)=6mm、R2(本体52aの外径)=12mm、D0(本体52aの厚み)=2mm、D3(作動部51の厚み)=0.45mmである。また、リブ52bの突出量は0.5mm、リブ52bのアールの半径は0.5mm、作動部51と支持部52との境界に設けられたアールの半径は0.2mmである。
【0032】
実施例の試料1〜3および比較例の試料1〜3は、直径76mm・高さ140mm・定格電圧450Vの電解コンデンサに上記の圧力弁を設けたものである。当該電解コンデンサを周囲温度115℃で定格電圧を印加放置し、信頼性試験を行った。放置する試験前(初期)と2000時間放置した後(2000時間後)とにおける、各パラメータを表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
「作動部の状態」は、目視により判断した。作動部が破断したもの(比較例の試料1,3)では、内部ガスの放出により、電解コンデンサの重量が大きく減少しているのが分かる。一方、実施例の試料1〜3では、作動部が破断せず、電解コンデンサの重量の変化量は薄肉部を介したガス透過分の−3.5g〜−3.0g程度に抑えられている。
【0035】
表1に示すように、実施例の試料1〜3では圧力弁が破断しなかったが、比較例の試料1〜3のうち2/3(比較例の試料1、3)において圧力弁が破断した。これにより、本発明に係る圧力弁は、比較例に係る圧力弁に比べ、高圧に耐えることができ、長寿命化を実現できることが分かる。
【0036】
以上に述べたように、本実施形態の圧力弁10および電解コンデンサ1によれば、内部ガス放出用の弁として1の圧力弁10を用いて、通常使用時と急激な内圧上昇時との両方に対応することができる。
具体的には、通常使用時には、動作電流等によってケース3a内部に発生したガスを、薄肉部11aを介して外部に放出することができる一方、急激な内圧上昇時には、薄肉部11aが破断し、圧力弁10を作動させることができる。
これは、薄肉部11aが、ガス透過性を有する材料からなるとともに、通常使用時等の比較的低い内圧では破断し難い構成(即ち、薄肉部11aの外縁が、薄肉部11aの内側に向かって凸となる複数の第1円弧a1を有する形状であり、丸みを帯びた形状であるため、薄肉部11aの外縁の角部に局所的に応力が集中することを回避でき、内圧上昇時に、薄肉部の11a外縁に応力が集中せず、効果的に応力が分散される構成)を有するためである。一方、急激な内圧上昇時には、応力が集中する薄肉部11aの中心部分が破断し、圧力弁10を作動させることができる。
したがって、本実施形態によれば、内部ガス放出用の部品の点数を抑えつつ、電解コンデンサ1の長寿命化を実現することができる。
【0037】
作動部11の厚み方向から見て、薄肉部11aの外縁が、薄肉部11aの外側に向かって凸となる複数の第2円弧a2をさらに有する形状である。この構成によれば、薄肉部11aの外縁がさらに丸みを帯びた形状になることから、薄肉部11aの外縁の角部に局所的に応力が集中することをより確実に回避でき、内圧上昇時に、薄肉部11aの外縁に応力が集中せず、より効果的に応力が分散される。
【0038】
作動部11の厚み方向から見て、薄肉部11aの外縁が、薄肉部11aの中心Oに関して対称な形状である。この構成によれば、薄肉部11a全体において応力をより効果的に分散することができる。
【0039】
作動部11の厚み方向から見て、薄肉部11aが十字状である。この構成によれば、薄肉部11aの構成の複雑化を回避しながら、内部ガス放出用の部品の点数を抑えつつ電解コンデンサ1の長寿命化を実現するという効果を得ることができる。また、この構成によれば、加工し易いうえ、薄肉部と厚肉部との境目が長くなり破断部分が増えるので、破断が確実に行われる。
【0040】
作動部11の厚み方向から見て、作動部11が円形である。この構成によれば、作動部11全体において応力をより効果的に分散することができ、電解コンデンサ1のさらなる長寿命化を実現することができる。
【0041】
圧力弁10は、厚肉部11bよりも厚みが大きく、作動部11を当該作動部11の外縁から支持する環状の支持部12をさらに備えている。この構成によれば、支持部12を介して圧力弁10をケース3aに確実に固定することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0043】
圧力弁において、作動部および支持部は、一体になるよう形成されていることに限定されず、別々に形成された後に接合されてもよい。
圧力弁は、支持部を有さず、作動部のみを有してもよい。
作動部の形状は、円形に限定されず、任意の形状(楕円形等)であってよい。
薄肉部の形状は、十字状であることに限定されず、大字状、Y字状、T字状、X字状、K字状、放射状、多角形状、十字状または上記形状を複数組み合わせた形状等、任意である。
また、薄肉部の外縁は、上述の実施形態では、作動部の厚み方向から見て、薄膜部の中心線(中心を通る線)に関して線対称な形状であり、且つ、薄膜部の中心Oに関して点対称な形状であるが、薄膜部の中心線または中心に対して対称な形状で有ることに限定されない。
厚肉部は、上述の実施形態では薄肉部に対して厚み方向の両方向に同じ量だけ突出しているが、各方向への突出量は任意である。
圧力弁、および、電解コンデンサの各部を構成する材料は、上述したものに限定されない。