(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016480
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】洗面ボウル付き天板の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20161013BHJP
A47B 96/18 20060101ALI20161013BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20161013BHJP
E03C 1/33 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
A47K1/00 Q
A47B96/18 H
B29C39/10
E03C1/33 B
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-148271(P2012-148271)
(22)【出願日】2012年7月2日
(65)【公開番号】特開2014-8315(P2014-8315A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100698
【氏名又は名称】アイカ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】真野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】村木 友彦
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−033551(JP,A)
【文献】
特開2012−000263(JP,A)
【文献】
特開昭59−177433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 1/00
A47B 96/18
B29C 39/10
E03C 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(e)のステップに基づくことを特徴とする洗面ボウル付き天板の製造方法。
(a)芯材(1)に開口部(2)を設け、一方の面に表面材(3)を貼着するステップ、(b)前記表面材(3)の中央付近を上方に持ち上げ、前記開口部(2)の周縁に接着剤(5)を塗布するステップ、
(c)洗面ボウル(6)の上端部(6a)の内端(6b)を前記表面材(3)に当接せしめ、前記内端(6b)を支点として、前記上端部(6a)の外端(6c)に前記表面材(3)との隙間(x)を生じせしめて、前記洗面ボウル(6)を、載置するステップ、
(d)前記洗面ボウル(6)と前記芯材(1)との空隙(7)に合成樹脂(8)を充填するステップ、
(e)前記洗面ボウル(6)の内径に倣い、表面材(3)を除去し、仕上げるステップ。
【請求項2】
前記表面材(3)がメラミン化粧板であることを特徴とする請求項1記載の洗面ボウル付き天板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗面ボウル付き天板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天板に洗面ボウルを取り付ける方法として、洗面ボウルの上端が天板より低い位置にあるアンダーシンク型、洗面ボウルの上端が天板より高い位置にあるオーバーシンク型が知られている。
アンダーシンク型はオーバーシンク型に比べ、水分が自然に落ち、滞ることがないため外上縁の付近の水密性が充分保たれる、また、汚れの堆積がなくカビが発生しにくいといった長所がある。
【0003】
このアンダーシンク型の洗面ボウル付き天板の製造に関する先行技術として、特許文献1、2に出願人は水はけが良く、清掃しやすいもの洗面ボウルの取り付け方法を開示している。
【特許文献1】特開2004−33551号公報
【特許文献2】特開2002−248059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光沢度が高く、色調が濃い表面材を用いると
図3に示すように洗面ボウルの上縁部分の輪郭が見る角度により目立ち、一体感にやや劣る印象を与えることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、
下記(a)〜(e)のステップに基づくことを特徴とする洗面ボウル付き天板の製造方法である。
(a)芯材(1)に開口部(2)を設け、一方の面に表面材(3)を貼着するステップ、
(b)前記表面材(3)の中央付近を上方に持ち上げ、前記開口部(2)の周縁に接着剤(5)を塗布するステップ、
(c)洗面ボウル(6)を載置するステップ、
(d)前記洗面ボウル(6)と前記芯材(1)との空隙(7)に合成樹脂(8)を充填するステップ、
(e)前記洗面ボウル(6)の内径に倣い、表面材(3)を除去し、仕上げるステップ。
【発明の効果】
【0006】
本発明の洗面ボウルの取り付け方法によれば光沢度が高く、濃い色調の表面材を用いても洗面ボウルの上縁が目立ちにくいものとなり、一体感があり、見栄えのするものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の製造方法を示す断面図である。先ず、
図1(a)に示すように表面材(3)と、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)などの芯材(1)に開口部(2)を設けた天板基材(4)とを接着する。
【0008】
本発明では表面材(3)としてメラミン樹脂表面材を用いているが、意匠性、耐水性、耐熱性があれば特に限定はされず、ジアリルフタレ−ト樹脂表面材、塩ビシート、オレフィンシートなどの表面材が適用できる。望ましくは、耐汚染性、耐摩耗性にも優れた性能を有し、傷がつきにくい成形品や、メラミン樹脂表面材を用いるのが好ましい。表面材の厚みは、耐衝撃性、耐熱性を考慮して、概ね0.3〜1.2mm程度であればよい。
【0009】
次に、
図1(b)に示すように表面材(3)の中央部分を持ち上げ、開口部の周縁に接着剤(5)を塗布する。持ち上げる方法としては表面材(3)の中央部分の下側に桟材を敷けばよいが、方法は特に限定はない。接着剤(5)としては、水性ビニルウレタン系の接着剤、ウレタン系の接着剤、酢酸ビニル系の接着剤、エポキシ系の接着剤、合成ゴム系の接着剤、第二世代アクリル樹脂接着剤(SGA)などが挙げられる。これらの中でもとりわけ、第二世代アクリル樹脂接着剤(SGA)や、エポキシ系の接着剤など充填性のあるものが適し、本発明ではSGAを用いている。
【0010】
次に、
図1(c)に示すように接着剤(5)を塗布した箇所に洗面ボウル(6)の上端(6a)が当接するように洗面ボウル(6)を載置する。
【0011】
次いで、
図1(d)に示すように芯材(1)と洗面ボウル(6)との空隙(7)に合成樹脂(8)を充填して洗面ボウル(6)の脱落を防止する。注入する合成樹脂としては、熱硬化性樹脂、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などの常温硬化型で高固形分液状の合成樹脂を用いる。本発明では発泡ウレタン樹脂を用いている。
【0012】
最後に
図1(e)に示すように洗面ボウルの開口側を仕上げる。仕上げの方法は、不要な樹脂や表面材(3)をトリーミングし、種々の粗さのサンドペーパー、スチールタワシあるいはコンパウンドワックス等を適宜組み合わせてその表面を研摩し、切削加工によって生じるナイフマークや地肌の荒れなどを修整し、滑らかで美観を呈する表面に仕上げる。
【0013】
図2は
図1(c)の要部拡大断面図である。表面材(3)の中央部を持ち上げると、洗面ボウル(6)の上端部(6a)の内端(6b)は表面材(3)に接し、表面材(3)が湾曲しているため内端(6b)を支点として、上端部(6a)の外端(6c)に表面材(3)との隙間(x)が生じて、接着剤(5)の塗布量が増えて、接着剤(5)が硬化した後には洗面ボウル(6)の上端(6a)の輪郭が表面材の表面に現れなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の洗面ボウル付き天板の製造方法を示す模式断面図。
【符号の説明】
【0015】
1 木質系基材
2 開口部
3 表面材
4 天板基材
5 接着剤
6 洗面ボウル
6a 上端
6b 内端
6c 外端
7 空隙
8 合成樹脂
30 洗面ボウル付き天板
35 洗面ボウルの輪郭