特許第6016486号(P6016486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016486
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ガソリンを製造するシステム又は方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20161013BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   C10G3/00 B
   C01B3/38
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-152451(P2012-152451)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-15508(P2014-15508A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】吉山 隆士
(72)【発明者】
【氏名】平山 晴章
(72)【発明者】
【氏名】清木 義夫
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−179591(JP,A)
【文献】 特開2005−336076(JP,A)
【文献】 特開2001−097906(JP,A)
【文献】 本田康博,稼働を始めたニュージーランドのGTG(Gas-To-Gasoline)プロジェクト,ペトロテック,1986年11月 1日,Vol.9, No.11,pp.986-991
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 3/00
C07C 29/151
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造するシステムであって、
水を利用して天然ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する水蒸気改質装置と、
前記水蒸気改質装置で生成した改質ガスから粗メタノールを合成するメタノール合成装置と、
前記メタノール合成装置で合成した粗メタノールを精製する蒸留塔と、
前記蒸留塔で精製したメタノールからガソリンと水を生成するガソリン合成装置と、
前記ガソリン合成装置で生成した水を、天然ガスの水蒸気改質に利用するために前記水蒸気改質装置に供給するラインと、
前記水蒸気改質装置で発生する改質ガスの一部が凝縮した水を、水蒸気として前記水蒸気改質装置に再び供給して、水蒸気改質反応に利用する水蒸気戻りラインと、
前記蒸留塔で分離した蒸留水を、前記水蒸気改質装置に供給して水蒸気改質反応に利用する蒸留水回収ラインと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記水蒸気改質装置で発生する排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、前記二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を前記水蒸気改質装置に供給するラインとを更に備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造する方法であって、
水を利用して天然ガスを水蒸気改質して、改質ガスを生成するステップと、
前記改質ガスから粗メタノールを合成するステップと、
前記粗メタノールを蒸留して粗メタノールを精製するとともに、蒸留水を得るステップと、
前記精製したメタノールからガソリンと水を生成するステップと、
前記ガソリン合成の際に生成した水を、前記天然ガスの水蒸気改質に再利用するステップと、
前記改質ガス中の水蒸気を前記天然ガスの水蒸気改質に利用するために、前記改質ガスの一部が凝縮した水水蒸気として、前記改質ガスを生成するステップに戻すステップと、
前記蒸留水を、前記天然ガスの水蒸気改質に再利用するステップと
を含む方法。
【請求項4】
前記天然ガスの水蒸気改質で発生する排ガスから二酸化炭素を回収するステップと、この回収した二酸化炭素を前記天然ガスの水蒸気改質に加えるステップとを更に含む請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンを製造するシステム又は方法に関し、さらに詳しくは、天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造するシステム又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスからガソリンを製造する方法として、特公昭62−41276号公報には、天然ガスを水蒸気処理して合成ガスを生成し、この合成ガスからメタノールを合成し、さらにこのメタノールからガソリンを合成する方法が記載されている。メタノールからガソリンを合成する反応では、ガソリンの他、多量の水が生成するが、この水の利用方法については従来、研究されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭62−41276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造する際に、ガソリンの合成の際に生成する水を有効に利用することができる、ガソリンの製造システム又は方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、その一態様として、天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造するシステムであって、水を利用して天然ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する水蒸気改質装置と、前記水蒸気改質装置で生成した改質ガスからメタノールを合成するメタノール合成装置と、前記メタノール合成装置で合成したメタノールからガソリンと水を生成するガソリン合成装置と、前記ガソリン合成装置で生成した水を、天然ガスの水蒸気改質に利用するために前記水蒸気改質装置に供給するラインとを備える。
【0006】
本発明に係るシステムは、前記水蒸気改質装置で発生する排ガスから二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置と、前記二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を前記水蒸気改質装置に供給するラインとを更に備えてもよい。
【0007】
本発明は、別の態様として、天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造する方法であって、水を利用して天然ガスを水蒸気改質して、改質ガスを生成するステップと、前記改質ガスからメタノールを合成するステップと、前記メタノールからガソリンと水を生成するステップと、前記ガソリン合成の際に生成した水を、前記天然ガスの水蒸気改質に再利用するステップとを含む。
【0008】
本発明に係る方法は、前記天然ガスの水蒸気改質で発生する排ガスから二酸化炭素を回収するステップと、この回収した二酸化炭素を前記天然ガスの水蒸気改質に加えるステップとを更に含んでもよい。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明によれば、ガソリン合成の際に生成した水を、天然ガスの水蒸気改質に再利用することで、天然ガスの水蒸気改質に多量に必要な水蒸気を賄うことができる。特に、天然ガスの産出地は砂漠や洋上であることが多く、このような場所では水蒸気改質に使用可能な真水を得るのは困難であることから、系内で利用可能な水を賄うことは非常に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造するシステムの一実施の形態を示す模式図である。
図2】本発明に係る天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造するシステムの別の実施の形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造するシステムおよび方法の一実施の形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態に係るシステムは、水蒸気を発生するためのボイラ10と、天然ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成するスチームリフォーマ20と、スチームリフォーマで生成した改質ガスからメタノールを合成するメタノール合成塔30と、メタノール合成塔で合成したメタノールからガソリンを合成するガソリン合成塔50と、ガソリン合成塔で生成した水をスチームリフォーマで再利用するために回収する水回収ライン61とを主に備える。
【0013】
ボイラ10は、水を水蒸気にまで沸騰させる装置であれば特に限定されない。ボイラ10は、ボイラ用の水が供給される水供給ライン11と、ボイラで発生する排水を排出する排水ライン12と、ボイラで発生した水蒸気をスチームリフォーマ20に供給する水蒸気供給ライン13とを備える。
【0014】
スチームリフォーマ20は、水蒸気改質用触媒が充填された反応管(図示省略)を備え、この反応管では、以下に示す反応によって、メタンを主成分とする天然ガスから水素、一酸化炭素および二酸化炭素を生成する。水蒸気改質用触媒としては、例えば、ニッケル系触媒などの公知の触媒を用いることができる。
CH+HO→3H+CO・・・(式1)
【0015】
スチームリフォーマ20の反応管の入口側には、ボイラからの水蒸気供給ライン13の他、天然ガスが供給される天然ガス供給ライン21を接続する。また、反応管の出口側には、水蒸気改質反応により生成した水素、一酸化炭素および二酸化炭素を主成分として含む改質ガスをメタノール合成塔30に供給する改質ガス供給ライン22を接続する。
【0016】
改質ガス供給ライン22には、ライン内で改質ガスの一部が凝縮した水を水蒸気としてスチームリフォーマ20に戻す水蒸気戻りライン23を設ける。また、改質ガス供給ライン22には、この凝縮した水を、水として一端回収する水回収ライン61aを設ける。
【0017】
メタノール合成塔30は、以下に示す反応により改質ガスからメタノールを合成する装置である。
3H+CO→CHOH+H・・・(式2)
【0018】
メタノール合成塔30は、その内部に充填されたメタノール合成触媒を備える。メタノール合成触媒としては銅系触媒などの公知の触媒を用いることができる。メタノール合成塔30には、その入口側に、改質ガス供給ライン22を接続し、その出口側に、メタノール合成塔30で合成した粗メタノールを蒸留塔40に供給する粗メタノール供給ライン31を接続する。
【0019】
粗メタノールは、メタノールの他に水を含む。蒸留塔40は、蒸留によってこの粗メタノールから水を分離する装置である。蒸留塔40には、精製したメタノールをガソリン合成塔50に供給するメタノール供給ライン41と、メタノールから分離した蒸留水を回収してスチームリフォーマ30に供給する蒸留水回収ライン42を接続する。
【0020】
ガソリン合成塔50は、以下の式に示す反応によってメタノールからガソリンを合成する装置である。
nCHOH→n(CH)+nHO・・・(式3)
【0021】
このようにメタノールは、式3で示すように、1対1のモル比のガソリンと水が生成する。なお、メタノールからガソリンの合成は、メタノールからジメチルエーテル(DME)の合成反応を経てから、DMEからガソリンへの合成反応が起こる。よって、ガソリン合成塔50内には、DME合成用触媒とガソリン合成用触媒との2種類の触媒を2段階に設け、2つの反応を段階的に進めることができる。DME合成用触媒としては、例えば、アルミノシリケート型ゼオライト系触媒などの公知の触媒を用いることができる。また、ガソリン合成用触媒としても、アルミノシリケート型ゼオライト系触媒などの公知の触媒を用いることができる。
【0022】
ガソリン合成塔50には、ガソリン合成塔で合成したガソリンを貯蔵設備など(図示省略)に供給するガソリン供給ライン51を接続する。なお、ガソリン合成塔50では、ガソリンの他、液化天然ガス(LPG)が副生することから、別途、LPG供給ライン52を接続してもよい。また、ガソリン合成塔50では、式3に示すように、多量の水が発生することから、この水を回収する水回収ライン61bを接続する。なお、ガソリン合成塔50では、ガソリンと水の混合物が得られるが、これらは比重により水相と油相の2相を形成することから、油水分離器(図示省略)を設けることで、容易に分離することができる。水回収ライン61bを流れる排水性状は、例えば、メタノール濃度1wt%以下、エタノール10wtppm以下、他のアルコール類1wtppm以下、油分1wt%以下となる。
【0023】
ガソリン合成塔50の水回収ライン61bは、スチームリフォーマ20後段の水回収ライン61aとともに、脱塩装置60に接続する。脱塩装置60は、回収した水をボイラ10で使用可能にするため、回収した水中の不純物を除去する装置である。ボイラ水としては、JIS B8223 2006「ボイラの給水及びボイラ水の水質」に記載の基準を満たす組成にすることが好ましい。当該組成については以下の表に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
このような基準を満たすため、例えば、脱塩装置60は、主に有機系不純物を除去するための活性炭や、主にイオン系不純物を除去するためのイオン交換樹脂、主に液中のガス成分を除去するための脱ガスドラムなどを備えることができる。脱塩装置60には、脱塩装置で処理した処理水を水蒸気改質用の水蒸気として再利用するため、ボイラ10の水供給ライン11へ供給する水再利用ライン62を接続するとともに、脱塩装置での処理で発生した排水を排出する排水ライン63を接続する。
【0026】
以上の構成によれば、先ず、水供給ライン11を介してボイラ10に水を供給する。ボイラ10で発生した水蒸気を、水蒸気供給ライン13を介してスチームリフォーマ20に供給するとともに、天然ガス供給ライン21を介して天然ガスをスチームリフォーマ20に供給する。スチームリフォーマ20では、所定の高温度下において、上記の式1の反応によって、天然ガスが水蒸気改質され、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を主成分とする改質ガスに転換される。この改質ガスは、改質ガス供給ライン22を介してメタノール合成塔30に供給される。
【0027】
改質ガス供給ライン22では、改質ガスの一部が、水蒸気として水蒸気戻りライン23によってスチームリフォーマ20に戻され、水蒸気改質反応に利用される。スチームリフォーマ20に供給される水蒸気のうち、水蒸気戻りライン23から水蒸気の割合は、例えば、10〜30%が好ましい。また、天然ガス中のメタンに対する水蒸気の割合は、式1に示すように、理論上は1対1のモル比であるが、水蒸気改質反応を効率良く行うため、過剰の水蒸気を供給することが好ましい。例えば、天然ガス中の炭素分1モルに対して2.5〜3.5モルの水蒸気を供給することができる。また、改質ガス供給ライン22では、改質ガスの一部が水として水回収ライン61aを介して脱塩装置60へ供給される。
【0028】
メタノール合成塔30では、上記の式2の反応により、改質ガスからメタノールが合成される。メタノール合成塔30で合成したメタノールは、水を含有する粗メタノールとして、粗メタノール供給ライン31を介して蒸留塔40に供給される。蒸留塔40で精製されたメタノールは、メタノール供給ライン41を介してガソリン合成塔50に供給される。また、蒸留塔40で粗メタノールから分離された蒸留水は、蒸留水回収ライン42を介して水蒸気戻りライン23を経て、スチームリフォーマ20に供給される。
【0029】
ガソリン合成塔50では、前記の式3の反応により、メタノールからガソリンが合成される。ガソリンはガソリン供給ライン51を介して所定の貯蔵設備に貯蔵され、副生するLPGはLPG供給ライン52を介して所定の貯蔵設備に貯蔵される。また、ガソリン合成塔50で生成した水は、水回収ライン61bを介して脱塩装置60へ供給される。
【0030】
脱塩装置60では、水回収ライン61で回収した水をボイラ10で利用可能な程度まで不純物を除去する処理を行う。処理水は、水再利用ライン61を介して水供給ライン11を経て、ボイラ10に供給する。また、脱塩装置60で生じた排水は、排水ライン62を介して排出する。
【0031】
このように、天然ガスからメタノールを経由してガソリンを製造する方法では、前記の式1〜式3に示すように、インプットの水の量とアウトプットの水の量が同一であり、ガソリン合成塔50で生成した水をスチームリフォーマ20の水蒸気改質の水として再利用することで、水の量はバランスする。よって、天然ガスの産出地である砂漠や洋上などの場所では、水蒸気改質に使用可能は真水を得るのは困難であるが、本発明では、系内で容易に水蒸気改質に使用可能な水を賄うことができる。
【0032】
次に、図2に示す実施の形態について説明する。図1に示すシステムと同一の構成については同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。本実施の形態のシステムは、図1に示すシステムに加えて、スチームリフォーマ20の排ガスを再利用する構成を加えたものである。
【0033】
図2に示すように、スチームリフォーマ20は、水蒸気改質を行うために所定の温度に加熱するための燃焼装置(図示省略)からの燃焼排ガスを煙突72から排気するための排ガス路71と、排ガス路71からガスの一部を抜き出す排ガス抽出ライン74と、抜き出したガス中の二酸化炭素を回収するCO回収装置73と、回収した二酸化炭素を天然ガス供給ライン21に加えるCO再利用ライン75とを更に備える。
【0034】
CO回収装置73としては、燃焼排ガス中の二酸化炭素を分離、回収することができる装置であれば特に限定されないが、例えば、二酸化炭素吸収液を用いた方式の装置を使用することができる。
【0035】
このような構成によれば、スチームリフォーマ20を所定の温度に加熱するための燃焼装置(図示省略)から、排ガス路71を介して排ガスが排出される。この排ガスの一部は、排ガス抽出ライン74を介してCO回収装置73に供給され、二酸化炭素が分離、回収される。そして、回収した二酸化炭素は、CO再利用ライン75を介して天然ガス供給ライン21を経て、スチームリフォーマ20に供給される。このようにして回収された二酸化炭素は、スチームリフォーマ20では一部が一酸化炭素となり、メタノール合成塔30に供給される。メタノール合成塔30では、式2の反応に加え、二酸化炭素の存在により、以下の式4の反応も起こる。
3H+CO→CHOH+H・・・(式2)
+CO→CHOH+HO・・・(式4)
【0036】
このようにメタノール合成塔30では、余剰の水素が二酸化炭素と反応し、メタノールと水を生成する。すなわち、図1に示す実施の形態に比べて、水を更に多く生成することができる。この水は、蒸留塔40で粗メタノールから分離され、蒸留水回収ライン42を介してスチームリフォーマ20で再利用される。また、本実施の形態では、インプットの水の量に比べてアウトプットの水の量が増えることから、スチームリフォーマ20への再利用の他、ボイラ10のメイクアップ水として再利用することもできる。
【0037】
本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、図1及び図2では、メタノール合成塔30とガソリン合成塔50との間に蒸留塔40を配置したが、式3に示すようにガソリン合成で水が副生することから、メタノールに水が含まれていてもよく、よって、メタノール合成塔30で得られる粗メタノールを蒸留せずに、そのまま粗メタノール供給ライン22でガソリン合成塔50に供給するように構成してもよい。
【実施例】
【0038】
図1に示す実施の形態について、水バランスのシミュレーションを行った。その結果を表2に示す。なお、シミュレーションは、メタノールの生産量を1日当たり2500トンの場合で行った。原料は、天然ガスを使用する条件とした。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、スチームリフォーマに供給する水蒸気は、天然ガスの供給量に比べて過剰に供給する必要があり、約200トン/hの水蒸気(水蒸気供給ラインと水蒸気戻りラインの合計)が必要であった。そのうちの約25%はスチームリフォーマから排出した水蒸気を戻し、残りはガソリン合成塔などで生成した水を回収して使用することで、スチームリフォーマに供給するほとんどの水蒸気を系内から賄うことができた。なお、ガソリンの生産量は1日当たり8135バーレル、LPGの生産量は1日当たり122トンであった。
【0041】
次に、図2に示す実施の形態について、CO回収装置を設置した場合の系内の水の増加量について、シミュレーションを行った。シミュレーションは、上記と同様に、メタノールの生産量を1日当たり2500トンとし、原料は天然ガスを使用する条件とした。その結果、CO回収装置からスチームリフォーマに添加する二酸化炭素の流量は42.6トン/hとなり、式4によりメタノール合成塔で得られる水の流量は17.4トン/hとなる。また、メタノール合成塔では、式4により、水とともに31.0トン/hのメタノールも生成することから、ガソリン合成塔では、原料であるメタノールがこの分増加し、よって、ガソリンが増加するとともに、水も17.4トン/h増加する。したがって、二酸化炭素を42.6トン/h添加することで、水が34.8トン/h増加する。これはボイラのメイクアップ水として十分な量である。
【符号の説明】
【0042】
10 ボイラ
11 水供給ライン
12 排水ライン
13 水蒸気供給ライン
20 スチームリフォーマ
21 天然ガス供給ライン
22 改質ガス供給ライン
23 水蒸気戻りライン
30 メタノール合成塔
31 粗メタノール供給ライン
40 蒸留塔
41 メタノール供給ライン
42 蒸留水回収ライン
50 ガソリン合成塔
51 ガソリン供給ライン
52 LPG供給ライン
60 脱塩装置
61 水回収ライン
62 水再利用ライン
63 排水ライン
71 排ガス路
72 煙突
73 CO回収装置
74 排ガス抽出ライン
75 CO再利用ライン
図1
図2