【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1) 本発明は、符号化処理の単位ブロックサイズが異なる圧縮方式間での映像圧縮フォーマットの変換を行う映像圧縮フォーマット変換装置(例えば、
図1の映像圧縮フォーマット変換装置1や、
図10の映像圧縮フォーマット変換装置1Aに相当)であって、変換後における符号化処理の単位ブロックである変換後単位ブロックごとに、当該変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法(例えば、
図6〜9のIntra8×8、Intra16×16、Inter8×8、およびInter16×16に相当)の中から、1つ以上を予測方法候補として選択する予測方法候補決定手段(例えば、
図4の予測方法候補決定部212や、
図12の予測方法候補決定部212Aに相当)と、前記変換後単位ブロックごとに、前記予測方法候補を適用した結果を求める適用結果算出手段(例えば、
図4や
図12の単位予測値生成部213およびコスト値算出部214に相当)と、前記変換後単位ブロックごとに、前記適用結果算出手段により求められた結果に基づいて、前記予測方法候補の中から当該変換後単位ブロックに最適な予測方法を決定する予測方法決定手段(例えば、
図4や
図12の予測方法決定部215に相当)と、を備えることを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、符号化処理の単位ブロックサイズが異なる圧縮方式間での映像圧縮フォーマットの変換を行う映像圧縮フォーマット変換装置に、予測方法候補決定手段、適用結果算出手段、および予測方法決定手段を設けた。そして、予測方法候補決定手段により、変換後における符号化処理の単位ブロックである変換後単位ブロックごとに、この変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法の中から、1つ以上を予測方法候補として選択することとした。また、適用結果算出手段により、変換後単位ブロックごとに、予測方法候補を適用した結果を求めることとした。また、予測方法決定手段により、変換後単位ブロックごとに、適用結果算出手段により求められた結果に基づいて、この変換後単位ブロックに最適な予測方法を予測方法候補の中から決定することとした。
【0013】
このため、予測方法候補として、変換処理である符号化処理において高い符号化性能が期待される予測方法を選択することで、変換後単位ブロックごとに、符号化処理において高い符号化性能が期待される予測方法を適用できる。したがって、変換の前後で符号化処理の単位ブロックサイズが異なる圧縮方式間であっても、画質の低下を抑制しつつ、映像圧縮フォーマットを変換できる。
【0014】
また、適用結果算出手段により予測方法候補を適用した結果を求め、この結果に基づいて、予測方法決定手段により変換後単位ブロックに最適な予測方法を決定する。このため、適用結果算出手段は、適用結果を、変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法について求めるのではなく、これら予測方法のうちの一部である予測方法候補についてのみ求めることになる。したがって、変換の前後で符号化処理の単位ブロックサイズが異なる圧縮方式間において、変換に要する処理コストを低減できる。
【0015】
(2) 本発明は、(1)の映像圧縮フォーマット変換装置について、前記変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法と、変換前における符号化処理の単位ブロックである変換前単位ブロックのうち当該変換後単位ブロックに対応するもので適用し得る全ての予測方法(例えば、
図6〜9のIntra4×4、Intra8×8、Inter4×4、およびInter8×8に相当)と、の組み合わせごとに、変換の前後での予測方法の遷移を遷移率で評価する遷移率算出手段(例えば、
図4の予測方法候補決定部212や、
図12の予測方法候補決定部212Aに相当)を備え、前記予測方法候補決定手段は、前記遷移率に基づいて、前記予測方法候補を選択することを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0016】
ここで、変換前単位ブロックにおける予測方法と、変換後単位ブロックにおける予測方法と、の間には、相関性が存在する場合がある。
【0017】
そこで、この発明によれば、(1)の映像圧縮フォーマット変換装置に遷移率算出手段を設けた。そして、遷移率算出手段により、変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法と、変換前における符号化処理の単位ブロックである変換前単位ブロックのうち変換後単位ブロックに対応するもので適用し得る全ての予測方法と、の組み合わせごとに、変換の前後での予測方法の遷移を遷移率で評価することとした。また、予測方法候補決定手段により、遷移率に基づいて、予測方法候補を選択することとした。
【0018】
このため、変換後単位ブロックにおける予測方法の決定に、変換前単位ブロックにおける予測方法を反映させることができる。したがって、画質の低下をさらに抑制できる。
【0019】
(3) 本発明は、(2)の映像圧縮フォーマット変換装置について、前記変換後単位ブロックごとに、当該変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像の特徴量解析を行う画像解析手段(例えば、
図4の画像解析部211に相当)を備え、前記遷移率算出手段は、前記画像解析手段による特徴量解析の結果に基づいて、前記遷移率を算出することを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0020】
ここで、変換前単位ブロックにおける予測方法と、変換後単位ブロックにおける予測方法と、の間には、テクスチャの複雑さやオブジェクトの追従性などの、映像の特徴量に応じた相関性が存在する場合がある。
【0021】
そこで、この発明によれば、(2)の映像圧縮フォーマット変換装置に画像解析手段を設けた。そして、画像解析手段により、変換後単位ブロックごとに、この変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像の特徴量解析を行うこととした。また、遷移率算出手段により、画像解析手段による特徴量解析の結果に基づいて、遷移率を算出することとした。
【0022】
このため、変換後単位ブロックにおける予測方法の決定に、この変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像の特徴量に応じて、変換前単位ブロックにおける予測方法を反映させることができる。したがって、画質の低下をさらに抑制できる。
【0023】
(4) 本発明は、(3)の映像圧縮フォーマット変換装置について、前記画像解析手段は、前記特徴量解析を行って、変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像についてテクスチャの複雑さを評価し、前記遷移率算出手段は、前記テクスチャの複雑さの評価結果に基づいて前記遷移率を算出し、前記予測方法候補決定手段は、前記遷移率に基づいて、前記テクスチャの複雑さが高くなるに従って高精度になる予測方法を、前記予測方法候補として選択することを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0024】
この発明によれば、(3)の映像圧縮フォーマット変換装置において、画像解析手段により、特徴量解析を行って、変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像についてテクスチャの複雑さを評価し、遷移率算出手段により、テクスチャの複雑さの評価結果に基づいて遷移率を算出することとした。また、予測方法候補決定手段により、遷移率に基づいて、テクスチャの複雑さが高くなるに従って高精度になる予測方法を、予測方法候補として選択することとした。
【0025】
このため、変換後単位ブロックにおける予測方法の決定に、この変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像のテクスチャの複雑さに応じて、変換前単位ブロックにおける予測方法を反映させることができる。したがって、画質の低下をさらに抑制できる。
【0026】
(5) 本発明は、(3)または(4)の映像圧縮フォーマット変換装置について、前記画像解析手段は、前記特徴量解析を行って、変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像についてオブジェクトの追従性を評価し、前記遷移率算出手段は、前記オブジェクトの追従性の評価結果に基づいて前記遷移率を算出し、前記予測方法候補決定手段は、前記遷移率に基づいて、前記オブジェクトの追従性が低くなるに従ってイントラ予測を前記予測方法候補として選択する度合いを高くすることを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0027】
この発明によれば、(3)または(4)の映像圧縮フォーマット変換装置において、画像解析手段により、特徴量解析を行って、変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像についてオブジェクトの追従性を評価し、遷移率算出手段により、オブジェクトの追従性の評価結果に基づいて遷移率を算出することとした。また、予測方法候補決定手段により、遷移率に基づいて、オブジェクトの追従性が低くなるに従ってイントラ予測を予測方法候補として選択する度合いを高くすることとした。
【0028】
このため、変換後単位ブロックにおける予測方法の決定に、この変換後単位ブロックに対応する変換前単位ブロックにおけるデコード映像のオブジェクトの追従性に応じて、変換前単位ブロックにおける予測方法を反映させることができる。したがって、画質の低下をさらに抑制できる。
【0029】
(6) 本発明は、(1)の映像圧縮フォーマット変換装置について、前記予測方法候補決定手段には、前記予測方法候補として選択すべき予測方法を示す情報(例えば、
図10や
図11の予測方法候補情報pに相当)が入力され、前記予測方法候補決定手段は、前記情報に基づいて前記予測方法候補を選択することを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0030】
この発明によれば、(1)の映像圧縮フォーマット変換装置において、予測方法候補決定手段には、予測方法候補として選択すべき予測方法を示す情報が入力され、この予測方法候補決定手段により、上述の情報に基づいて予測方法候補を選択することとした。
【0031】
このため、上述の情報に基づいて、適切な予測方法を予測方法候補として選択することができる。
【0032】
(7) 本発明は、(1)〜(6)のいずれかの映像圧縮フォーマット変換装置について、予測ブロックサイズと、符号化方法と、イントラ予測方向と、動きベクトルと、の少なくともいずれかを、前記予測方法として用いることを特徴とする映像圧縮フォーマット変換装置を提案している。
【0033】
この発明によれば、(1)〜(6)のいずれかの映像圧縮フォーマット変換装置において、予測ブロックサイズと、符号化方法と、イントラ予測方向と、動きベクトルと、の少なくともいずれかを、予測方法として用いることとした。これによれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0034】
(8) 本発明は、予測方法候補決定手段(例えば、
図4の予測方法候補決定部212や、
図12の予測方法候補決定部212Aに相当)、適用結果算出手段(例えば、
図4や
図12の単位予測値生成部213およびコスト値算出部214に相当)、および予測方法決定手段(例えば、
図4や
図12の予測方法決定部215に相当)を備え、符号化処理の単位ブロックサイズが異なる圧縮方式間での映像圧縮フォーマットの変換を行う映像圧縮フォーマット変換装置(例えば、
図1の映像圧縮フォーマット変換装置1や、
図10の映像圧縮フォーマット変換装置1Aに相当)における映像圧縮フォーマット変換方法であって、前記予測方法候補決定手段が、変換後における符号化処理の単位ブロックである変換後単位ブロックごとに、当該変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法(例えば、
図6〜9のIntra8×8、Intra16×16、Inter8×8、およびInter16×16に相当)の中から、1つ以上を予測方法候補として選択する第1のステップ(例えば、
図5や
図13の予測方法候補決定処理に相当)と、前記適用結果算出手段が、前記変換後単位ブロックごとに、前記予測方法候補を適用した結果を求める第2のステップ(例えば、
図5や
図13の予測値生成処理およびコスト値算出処理に相当)と、前記予測方法決定手段が、前記変換後単位ブロックごとに、前記第2のステップにおいて求められた結果に基づいて、前記予測方法候補の中から当該変換後単位ブロックに最適な予測方法を決定する第3のステップ(例えば、
図5や
図13の予測方法決定処理に相当)と、を備えることを特徴とする映像圧縮フォーマット変換方法を提案している。
【0035】
この発明によれば、予測方法候補決定手段により、変換後における符号化処理の単位ブロックである変換後単位ブロックごとに、この変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法の中から、1つ以上を予測方法候補として選択することとした。また、適用結果算出手段により、変換後単位ブロックごとに、予測方法候補を適用した結果を求めることとした。また、予測方法決定手段により、変換後単位ブロックごとに、適用結果算出手段により求められた結果に基づいて、この変換後単位ブロックに最適な予測方法を予測方法候補の中から決定することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0036】
(9) 本発明は、予測方法候補決定手段(例えば、
図4の予測方法候補決定部212や、
図12の予測方法候補決定部212Aに相当)、適用結果算出手段(例えば、
図4や
図12の単位予測値生成部213およびコスト値算出部214に相当)、および予測方法決定手段(例えば、
図4や
図12の予測方法決定部215に相当)を備え、符号化処理の単位ブロックサイズが異なる圧縮方式間での映像圧縮フォーマットの変換を行う映像圧縮フォーマット変換装置(例えば、
図1の映像圧縮フォーマット変換装置1や、
図10の映像圧縮フォーマット変換装置1Aに相当)における映像圧縮フォーマット変換方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記予測方法候補決定手段が、変換後における符号化処理の単位ブロックである変換後単位ブロックごとに、当該変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法(例えば、
図6〜9のIntra8×8、Intra16×16、Inter8×8、およびInter16×16に相当)の中から、1つ以上を予測方法候補として選択する第1のステップ(例えば、
図5や
図13の予測方法候補決定処理に相当)と、前記適用結果算出手段が、前記変換後単位ブロックごとに、前記予測方法候補を適用した結果を求める第2のステップ(例えば、
図5や
図13の予測値生成処理およびコスト値算出処理に相当)と、前記予測方法決定手段が、前記変換後単位ブロックごとに、前記第2のステップにおいて求められた結果に基づいて、前記予測方法候補の中から当該変換後単位ブロックに最適な予測方法を決定する第3のステップ(例えば、
図5や
図13の予測方法決定処理に相当)と、をコンピュータに実行させるためのプログラムを提案している。
【0037】
この発明によれば、コンピュータを用いてプログラムを実行することで、予測方法候補決定手段により、変換後における符号化処理の単位ブロックである変換後単位ブロックごとに、この変換後単位ブロックで適用し得る全ての予測方法の中から、1つ以上を予測方法候補として選択することとした。また、適用結果算出手段により、変換後単位ブロックごとに、予測方法候補を適用した結果を求めることとした。また、予測方法決定手段により、変換後単位ブロックごとに、適用結果算出手段により求められた結果に基づいて、この変換後単位ブロックに最適な予測方法を予測方法候補の中から決定することとした。このため、上述した効果と同様の効果を奏することができる。