(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016495
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】走査型顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
G02B21/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-157449(P2012-157449)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-21184(P2014-21184A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 誠
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 文紀
(72)【発明者】
【氏名】澤田 廉士
(72)【発明者】
【氏名】森田 晃
(72)【発明者】
【氏名】河村 幸則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健
(72)【発明者】
【氏名】石河 範明
(72)【発明者】
【氏名】工藤 高裕
【審査官】
瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−186060(JP,A)
【文献】
特表2001−522479(JP,A)
【文献】
特開平09−197280(JP,A)
【文献】
特開2002−090631(JP,A)
【文献】
特開2002−098901(JP,A)
【文献】
特開2011−123142(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0256342(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 − 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を照射する光源と、
前記照明光を観察対象物の表面上で移動させる走査手段と、
前記走査手段と前記観察対象物との間に配置され、前記照明光を透過する透過板であって、その表面にスケールパターンを有する透過板と、
前記観察対象物からの反射光を検出する検出器と、
前記検出器および前記走査手段からの情報から画像を生成する画像処理装置であって、当該画像処理装置によって生成した画像中の前記スケールパターンの画像に基づいて、前記走査手段の前記照明光の移動を制御する画像処理装置と
を備えた走査型顕微鏡。
【請求項2】
前記スケールパターンが、前記走査手段の前記照明光の移動方向である走査軸に対して平行または直交する模様である請求項1に記載の走査型顕微鏡。
【請求項3】
前記スケールパターンが、前記透過板において、前記観察対象物が観察される視野の中心部分を回避した模様である請求項1に記載の走査型顕微鏡。
【請求項4】
前記画像処理装置が、前記生成した画像中の前記スケールパターンの画像について、この画像の濃淡分布の中心位置を求める請求項1に記載の走査型顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型顕微鏡として、例えば、共焦点顕微鏡では、光源から照射されたレーザ等の光は、対物レンズで集合されて観察対象物の表面で焦点を結ぶ。焦点を結んだ光は、観察対象物からの反射光となり、スリット(ピンホール)で選択された光のみ検出器へと伝達される。走査手段によって、光源からの光を観察対象物の表面上で二次元方向に移動させることで、二次元画像を取得することができる。
【0003】
このような走査型顕微鏡の走査手段として、特許文献1には、光源である光ファイバの先端を電磁誘導共鳴振動によって走査を行い、この振動を機械的走査と確実に同期させるために、圧電センサにより位置フィードバックを行う電磁誘導共鳴振動と油圧運動との組み合わせが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、光源である光ファイバの走査方法として電磁石による方法や、振動の検知にセンサコイルを使用する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−87804号公報
【特許文献2】特開2008−116922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように走査型顕微鏡の走査手段として、圧電センサやセンサコイルなどの機器を使用すると、そのために部品が追加されることとなり、走査型顕微鏡が大型化し、またコストも増加するという問題がある。
【0007】
本発明は、特別な機器を用いることなく、走査手段の制御することができ、小型化やコスト削減を図ることができる走査型顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、走査型顕微鏡であって、照明光を照射する光源と、観察対象物の表面に前記照明光を集光する対物レンズと、前記対物レンズと前記観察対象物との間に配置され、前記照明光を透過する透過板であって、その表面にスケールパターンを有する透過板と、前記観察対象物からの反射光を検出する検出器と、前記照明光を前記観察対象物の表面上で移動させる走査手段と、前記検出器および前記走査手段からの情報から画像を生成する画像処理装置であって、この生成画像中の前記スケールパターンの画像に基づいて、前記走査手段の前記照明光の移動を制御する画像処理装置とを備えるものである。
【0009】
前記スケールパターンは、前記走査手段の前記照明光の移動方向である走査軸に対して平行または直交する模様であることが好ましい。また、前記スケールパターンは、前記透過板において、前記観察対象物が観察される視野の中心部分を回避した模様であることが好ましい。
【0010】
前記画像処理装置は、前記生成画像中の前記スケールパターンの画像について、この画像の濃淡分布の中央値を求めることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、このように観察対象物と対物レンズとの間にスケールパターンを有する透過板を配置することで、生成画像中に生じるスケールパターンの画像の大きさ等に基づいて、走査手段の照明光の移動の幅を求めることができるので、走査手段の照明光の移動を制御することができる。よって、従来のような特別な機器を用いることなく、走査手段を制御することができ、走査型顕微鏡の小型化やコスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る走査型顕微鏡の一実施の形態を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図1に示す走査型顕微鏡のガラス窓の透過面を示す平面図である。
【
図3】
図2に示すスケールパターンの画像化の例を示す図である。
【
図4】
図3に示すスケールパターン画像と振幅量の関係を示すグラフである。
【
図5】ガラス窓に描画されたスケールパターンの他の例を示す平面図である。
【
図6】
図2に示すスケールパターンの画像化において、スケールパターン画像の濃度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る走査型顕微鏡の一実施の形態について説明する。なお、本実施の形態では走査型顕微鏡の一例として共焦点顕微鏡を用いるが、以下の説明を読めば、他の形式の走査型顕微鏡であっても本発明を適用できることが理解できよう。
【0014】
図1に示すように、共焦点顕微鏡100は、照明光20を照射する光源1と、光源からの照明光を偏向する半透明ミラー3と、偏向された照明光を観察対象物2に集光する対物レンズ5と、観察対象物から発する反射光20sを集光する接眼レンズ4と、接眼レンズ4の焦点位置に配置される検出器8とを主に備える。また、共焦点顕微鏡100は、半透明ミラー3の振動を制御する制御装置15と、この制御装置15と検出器8とからの情報に基づき二次元画像を作成する画像処理装置9とを備える。
【0015】
光源1としては、例えば、レーザ光源や、水銀ランプ、ハロゲンランプ等を用いることができる。半透明ミラー3としては、光源1から照射された照明光20を反射するとともに、観察対象物からの反射光20sを透過するビームスプリッタである。
【0016】
半透明ミラー3を振動するミラー軸7が、接眼レンズ4と対物レンズ5の中心を通る中心軸21上において、これらの間に配置される。半透明ミラー3は、照射光の焦点2sが観察対象物2の表面を二次元走査(すなわち、X軸方向とY軸方向の2軸方向に移動)するように、ミラー軸7を基点にして振動できるように固定されている。例えば、半透明ミラー3の表面と中心軸21との角度θが変化するように振動すると、観察対象物2の表面上の焦点2sがY軸方向に移動する。
【0017】
また、共焦点顕微鏡100は、観察対象物2と対物レンズ5との間に位置するように配置されたガラス窓10を備える。ガラス窓10は、照明光20を透過するものであれば、材質は特にガラスに限定されるものではない。ガラス窓10は、
図2に示すように、その表面に、スケールパターン11を有する。スケールパターン11は、本実施の形態では、正方形の模様としている。すなわち、スケールパターン11は、走査軸であるX軸およびY軸に対して平行かつ直交し、また、観察可能な視野領域の中心部分を回避するように、ガラス窓10に形成されている。
【0018】
接眼レンズ4と検出器8との間には、中央部にスリット12sを有するスリット板12を、板面が中心軸21に対して直交するように配置される。
【0019】
制御装置15は、半透明ミラー3の振動を制御するとともに、この振動情報の信号を画像処理装置9に送るように、これらと電気的に接続されている。また、検出器8は、検出した反射光20sの情報を画像処理装置9に送るように電気的に連結されている。
【0020】
このような構成を備えた共焦点顕微鏡100によれば、先ず、
図1に示すように、光源1から照射光20を発射する。照明光20は、半透明ミラー3で偏向され、中心線21上に位置する対物レンズ5に向かう。対物レンズ5により照明光20は屈折、集光され、ガラス窓10を通って、観察対象物2の表面上に焦点2sを結ぶ。
【0021】
焦点を結んだ照明光20は、今度は、観察対象物2からの反射光20sとなり、照明光20の経路とは逆の経路でガラス窓10および対物レンズ5を通過し、さらに半透明ミラー3を透過する。半透明ミラー3を透過した反射光20sは、接眼レンズ4にて屈折され、スリット板12のスリット12sで選択された光のみが、検出器8で検出される。そして、反射光20sは、検出器8で電気信号に変換され、画像処理装置9に送られる。
【0022】
また、二次元走査を行うために、ミラー軸7を基点にして半透明ミラー3を振動させる。これにより、照明光20の焦点2sが観察対象物2の表面上をX軸方向およびY軸方向に移動し、よって、それらの反射光20sを検出器8で検出することができる。半透明ミラー3の振動信号は、画像処理装置9から制御装置15に送られる。よって、画像処理装置9で、この振動信号と同期させることで、観察対象物の二次元画像を作成することができる。
【0023】
この二次元画像には、スケールパターン11が、多少ぼやけた形で取得されることとなる。例えば、スケールパターン11は、
図3に示すように、取得画像30中に大きく見えるスケールパターン画像11aや、小さく見えるスケールパターン画像11c、その中間のスケールパターン画像11c等のように画像化されたり、又は、スケールパターン11が取得画像30に全く画像化されなかったりする。
【0024】
これは、半透明ミラー3の振動の幅の違いによるものである。振動の幅が非常に小さい場合、照明光20がスケールパターン11内しか移動しないため、取得画像中にスケールパターンの画像は形成されない。振動の幅が大きくなり、照明光20がスケールパターン11の枠外に移動すると、取得画像中にスケールパターンの画像が形成される。振動の幅が大きい程、照明光20がスケールパターン11の枠外に大きく移動することとなり、よって、取得画像30中に形成されるスケールパターン画像は小さくなる。
【0025】
この関係を
図4に示す。
図4に示すように、振動の幅(振幅)AがAa、Ab、Acと大きくなる程、取得画像中のスケールパターン画像の大きさは11a、11b、11cと小さくなる。すなわち、取得画像中のスケールパターン画像の大きさから、半透明ミラー3の振幅量を求めることができる。所望するスケールパターン画像の大きさは、ガラス窓10に描画したスケールパターン11の大きさに起因する。例えば、スケールパターン画像11bのような所定の大きさとなるように、半透明ミラー3の振幅量を制御する。
【0026】
ガラス窓10に描画するスケールパターン11は、
図2の模様に限定されず、例えば、
図5に示す模様であってもよい。走査軸であるX軸およびY軸に平行かつ垂直する模様に加え、X軸およびY軸にメモリの模様を加えることもできるし、ガラス窓10の外縁よりも小さい同心円の模様を加えることもできる。
【0027】
なお、スケールパターン11は、走査軸であるX軸およびY軸と、平行かつ直交する模様が望ましいが、平行や直交する模様ではない場合でも、取得画像中のスケールパターン画像が、X軸またはY軸に平行または直交するように、取得画像を回転させることで、同様に半透明ミラー3の振幅量を制御することができる。
【0028】
このように、観察対象物2と対物レンズ5との間にスケールパターン11を有するガラス窓10を配置することで、半透明ミラー3の振動の幅を制御することができるので、従来のような特別な機器を用いることなく、よって、走査型顕微鏡の小型化やコスト削減を図ることができる。
【0029】
また、ガラス窓10のスケールパターン11は、焦点2sが位置する観察対象物2の表面よりも対物レンズ5側に位置するため、取得画像中では、焦点が合わずにピンボケの画像となる。例えば、
図6に示すように、ガラス窓10のスケールパターン11は細い線でも、線Sにおいて得られるスケールパターン画像は、その中心を最大濃度として広がりを持つことになる。よって、画像処理装置9で、得られたスケールパターン画像の濃度分布11tを算出し、濃度分布の中心を求めることができる。この濃度分布の中心位置が、スケールパターン11の位置である。このように、スケールパターン11に焦点が合わなくても、スケールパターン画像から、スケールパターン11の正確な位置を求めることができ、よって、半透明ミラー3の振幅量を正確に求めることができる。
【0030】
なお、上記の実施の形態では、スケールパターン11を、観察対象物2と対物レンズ5との間に位置するガラス窓10に設けたが、本発明
はこれに限定されず、画像処理装置9で得られる
2次元画像にスケールパターン画像が形成される場所であれば良い。例えば、
図1に示す共焦点顕微鏡100であれば、走査手段である半透明ミラー3と観察対象物2との間にスケールパターンを有するガラス窓を設けることで、半透明ミラー3の振幅の量によって、得られるスケールパターン画像の大きさが異なることから、同様に半透明ミラー3の振幅量を制御することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 光源
2 観察対象物
2s 焦点
3 半透明ミラー
4 接眼レンズ
5 対物レンズ
7 ミラー軸
8 検出器
9 画像処理装置
10 ガラス窓
11 スケールパターン
12 スリット板
12s スリット
15 制御装置
20 光
20s 反射光