特許第6016497号(P6016497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016497
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】イオン発生装置および電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01T 19/04 20060101AFI20161013BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H01T19/04
   H01T23/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-160536(P2012-160536)
(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公開番号】特開2014-22216(P2014-22216A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−034957(JP,A)
【文献】 特開2009−146676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 19/04
H01T 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正イオンを発生する正イオン発生部と、
負イオンと前記正イオンを中性原子に変換させるための電子とを発生する負イオン発生部と、
前記負イオンおよび前記中性原子に加えて、前記正イオンをそのまま外部に放出させるための放出手段とを備え
前記放出手段は、前記正イオン発生部と前記負イオン発生部との間に設けられ、前記正イオン発生部から前記負イオン発生部へ向かう送風経路を、前記負イオン発生部の近傍を通る経路と前記負イオン発生部の近傍を通らない経路とに分ける仕切り壁である、イオン発生装置。
【請求項2】
mを任意の自然数とするとき、前記正イオンは、H(HO)mであり、
nを零または任意の自然数とするとき、前記負イオンは、O(HO)nである、請求項1に記載のイオン発生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のイオン発生装置と、
前記正イオン発生部から前記負イオン発生部に向かう空気の流れを発生させる送風装置とを備えた電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正イオンと、負イオンと、正イオンを中性原子にするための電子とを発生するイオン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−34957号公報(特許文献1)には、正イオンを発生するセラミックプレートと、負イオンと正イオンを中性原子にするための電子とを発生する針状電極とを含むイオン発生装置が開示される。
【0003】
このイオン発生装置は、セラミックプレートで発生した正イオンを送風手段等によって針状電極に向かって流通させることで、針状電極で発生する電子で正イオンを中和させて中性原子に変換させる。そのため、無極性の中性原子と負極性の負イオンとを外部に放出して、対象物(たとえば空気中に浮遊する物質など)に付着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−34957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に開示されたイオン発生装置は、中性原子と負イオンとを外部に放出して対象物に付着させる。しかしながら、対象物が負極性を帯びている場合には、クローン斥力によって負イオンが対象物に付着し難くなってしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、対象物の負極性を中和して負イオンを対象物に付着し易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るイオン発生装置は、正イオンを発生する正イオン発生部と、負イオンと正イオンを中性原子に変換させるための電子とを発生する負イオン発生部と、負イオンおよび中性原子に加えて、正イオンをそのまま外部に放出させるための放出手段とを備える。
【0008】
好ましくは、放出手段は、正イオン発生部を作動させ負イオン発生部を停止させることで正イオンを外部に放出させる第1制御と、正イオン発生部および負イオン発生部を同時に作動させることで負イオンおよび中性原子を外部に放出させる第2制御とを選択的に実行する制御装置である。
【0009】
好ましくは、制御装置は、第1制御と第2制御とを周期的に切り替えて実行する。
好ましくは、制御装置は、始動開始から所定期間が経過するまでは第1制御を実行し、所定期間が経過した後は第1制御と第2制御とを周期的に切り替えて実行する。
【0010】
好ましくは、放出手段は、正イオン発生部と負イオン発生部との間に設けられ、正イオン発生部から負イオン発生部へ向かう送風経路を、負イオン発生部の近傍を通る経路と負イオン発生部の近傍を通らない経路とに分ける仕切り壁である。
【0011】
好ましくは、正イオンは、H(HO)m(mは任意の自然数)である。負イオンは、O(HO)n(nは零または任意の自然数)である。
【0012】
この発明の別の局面に係る電気機器は、上記のイオン発生装置と、正イオン発生部から負イオン発生部に向かう空気の流れを発生させる送風装置とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、対象物の負極性を中和して負イオンを対象物に付着し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】イオン発生装置を備えた空気清浄機の外観を示す図である。
図2図1のB−B断面を示す図である。
図3】イオン発生装置の斜視図(その1)である。
図4】イオン発生装置の内部構造を示す図である。
図5】第1モードおよび第2モードを説明するための図である。
図6】第1モードと第2モードとの切替態様の一例を示す図(その1)である。
図7】第1モードと第2モードとの切替態様の一例を示す図(その2)である。
図8】イオン発生装置の斜視図(その2)である。
図9】正イオンの流通経路を模式的に示す図(その1)である。
図10】イオン発生装置の斜視図(その3)である。
図11】正イオンの流通経路を模式的に示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態は説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係るイオン発生装置を備えた電気機器の一例である空気清浄機1の外観を示す図である。なお、本実施の形態に係るイオン発生装置は、空気清浄機以外に、イオン発生機、エアコンディショナ(車両搭載用を含む)、換気装置、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、乾燥機、加湿機、除湿機、ヘアドライヤー、セラミックファンヒータ、扇風機等の電気機器に備えられていてもよい。
【0016】
図1に示すように、空気清浄機1には、正面から視て(図1の矢印Aの方向から視て)中央上部に第1吹出口2が設けられる。空気清浄機1の背面には、吸込口(図2参照)が設けられる。空気清浄機1の内部には、電力の供給を受けて作動する、送風装置とイオン発生装置(図2参照)とが設けられる。空気清浄機1の作動時においては、送風装置により吸込口から取り込まれた空気は、イオン発生装置で発生したイオンとともに、第1吹出口2から吹き出される。
【0017】
図2は、図1の空気清浄機1のB−B断面を示す図である。図2に示すように、空気清浄機1は、筺体3と、送風装置5と、イオン発生装置10と、ダクト11とを含む。
【0018】
筺体3の上面は、背面側に傾斜して形成される。筺体3の上面には、第2吹出口4が設けられる。筺体3の背面の中央よりも下側には、送風装置5を配置するための空間を確保するために他の面よりも背面側に突出した突出面が形成され、当該突出面に吸込口6が形成される。
【0019】
吸込口6には、樹脂製の格子状のグリル7が設けられる。グリル7の内側には網目状の薄いフィルタ8が貼り付けられている。フィルタ8の奥(送風装置5側)には、送風装置5に異物やユーザの指が入り込まないようにファンガード9が設けられる。
【0020】
送風装置5は、筺体3内の下側に設けられ、吸込口6から吸い込まれた空気をダクト11内に送る。送風装置5は、たとえば、クロスフローファンであるが、特にこれに限定されるものではない。
【0021】
ダクト11は、筺体3の内部に上下方向に沿って設けられる。ダクト11の下端の開口部は、吸込口6に対向して設けられる。また、ダクト11の下端の開口部には、送風装置5が設けられる。ダクト11の上端は、第1吹出口2および第2吹出口4の各々に接続される。
【0022】
イオン発生装置10は、図2の破線枠に示すように、ダクト11の上端と下端との間の中央部に設けられる。イオン発生装置10は、直方形状のケース12と、正イオン発生部13と、負イオン発生部14とを含む。正イオン発生部13と負イオン発生部14とは、ケース12の複数の面のうちのいずれか一つの面(以下「イオン発生面」という)に設けられる。正イオン発生部13と負イオン発生部14とは、予め定められた距離だけ離隔するように設けられる。なお、ケース12は、正イオン発生部13と負イオン発生部14との相対的な位置関係を規制できればよく、特に直方形状に限定されるものではない。
【0023】
ダクト11の中央部にはイオン発生装置10を取り付けるための開口部が形成される。イオン発生装置10は、ダクト11の開口部を塞ぐように取り付けられる。このとき、ケース12のイオン発生面がダクト11の内壁面と一体になるようにイオン発生装置10がダクト11に取り付けられる。イオン発生装置10がダクト11に取り付けられた状態である場合には、正イオン発生部13の位置は、負イオン発生部14の位置よりも風上側(ダクト11内を流れる空気の流れの上流側)の位置になる。
【0024】
図2の白抜き矢印に示すように、送風装置5が作動することによって吸込口6から吸い込まれた空気は、送風装置5を経由してダクト11の下端に送られる。ダクト11の下端に送られた空気は、ダクト11内のイオン発生装置10で発生したイオンとともにダクト11の上端に向けて流通する。ダクト11の上端に流通した空気とイオンとは、第1吹出口2から空気清浄機1の正面に向けて放出されるとともに、第2吹出口4から空気清浄機1の斜め後ろに向けて放出される。
【0025】
イオン発生装置10の正イオン発生部13には、正電圧が印加された結果、沿面放電により空気中の水分が電離されてH(HO)m(mは自然数)(以下、単に「正イオン」という)が発生する。一方、負イオン発生部14には、負電圧が印加された結果、放電により電子と、O(HO)n(nは零または自然数)(以下、単に「負イオン」という)とが発生する。
【0026】
送風装置5が作動すると、正イオン発生部13で発生した正イオンは、ダクト11内を流れる空気とともに、負イオン発生部14に向かって流通する。負イオン発生部14に向かって流通する正イオンは、負イオン発生部14で発生した電子と結びつくと水素原子(中性原子)に変換される。水素原子は、負イオン発生部14で発生した負イオンとともに第1吹出口2または第2吹出口4から空気清浄機1の外部に放出される。
【0027】
図3は、イオン発生装置10の斜視図である。図3において、矢印Xは、イオン発生装置10がダクト11に取り付けられた状態における送風方向を示す。矢印Yは、送風方向と略直交する方向を示す。以下の説明では、矢印Xが示す方向を単に「X方向」、矢印Yが示す方向を単に「Y方向」とも記載する。
【0028】
正イオン発生部13は、ケース12のイオン発生面上の風上側中央部に配置される。正イオン発生部13は、第1誘電体15と、放電電極16とを含む。第1誘電体15は、板形状に形成されるセラミック等の絶縁体である。放電電極16は、正電圧が印加されることによって正イオンを発生する電極である。放電電極16は、たとえば、第1誘電体15の上面に印刷される印刷電極であるが、特に印刷電極に限定されるものではない。
【0029】
放電電極16は、たとえば、全体として長方形の形状を有するように形成される。なお、図では、放電電極16の長方形状の長手方向がY方向に対して平行であるが、放電電極16の長方形状の長手方向がX方向に対して平行になるようにしてもよい。
【0030】
放電電極16は、尖鋭形状を有する複数の放電部位17と、複数の放電部位17間を接続する導電部位18とを含む。なお、放電部位17や導電部位18の形状、数、配置パターンは図3に示すものに特に限定されるものではない。
【0031】
放電電極16に正電圧が印加されると、複数の放電部位17の尖鋭形状の先端において特に多くの正イオンが発生する。放電部位17で発生した正イオンは、空気とともにX方向に流通する。
【0032】
負イオン発生部14は、ケース12のイオン発生面上の風下側中央部に配置される。負イオン発生部14は、針状電極21と、保護カバー22とを含む。保護カバー22は、空気清浄機1の製造時あるいは修理時等において作業者による針状電極21への接触を抑制する。保護カバー22は、針状電極21に対してX方向に位置する部分が開口した形状を有する。さらに、保護カバー22は、針状電極21の先端と対向する部分が開口した形状を有する。
【0033】
図4は、イオン発生装置10の内部構造を示す図である。正イオン発生部13は、上述した第1誘電体15および放電電極16に加えて、第2誘電体19と、誘導電極20とをさらに含む。第2誘電体19は、セラミック等の絶縁体を用いた第1誘電体15と同サイズの板形状に形成される。誘導電極20は、たとえば、第2誘電体19の上面に印刷される印刷電極であるが、特に印刷電極に限定されるものではない。誘導電極20はグランドレベルの部位に接続される。
【0034】
負イオン発生部14は、針状電極21に加えて対向電極23をさらに含む。対向電極23は、グランドレベルの部位に接続される。
【0035】
さらに、イオン発生装置10は、放電電極16および針状電極21に印加する電圧を制御する制御装置30を備える。制御装置30は、放電電極16に正電圧(グランドレベルに対してたとえばプラス3kV程度の電位)を印加することによって、正イオン発生部13を作動させる。これにより、正イオン発生部13から正イオンが発生する。制御装置30は、針状電極21に負電圧(グランドレベルに対してたとえばマイナス3kV程度の電位)を印加することによって、負イオン発生部14を作動させる。これにより、負イオン発生部14から電子と負イオンとが発生する。
【0036】
以上のような構成を有する空気清浄機1において、正イオン発生部13と負イオン発生部14とを同時に作動させると、中性原子と負イオンとを外部に放出して対象物(たとえば空気中に浮遊する物質)に付着させることができる。しかしながら、対象物が負極性に帯電していると、クローン斥力によって負イオンが対象物に付着し難くなってしまう。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、イオン発生装置10の制御モードとして、正イオンを外部に放出させるモード(以下「第1モード」という)と、中性原子と負イオンとを外部に放出させるモード(以下「第2モード」という)とが設けられる。そして、制御装置30は、第1モードと第2モードとを選択的に実行する。
【0038】
図5は、第1モードおよび第2モードを説明するための図である。制御装置30は、第1モードと第2モードとを周期的に切り替えて実行する。
【0039】
第1モードの実行中、制御装置30は、正イオン発生部13を作動させ負イオン発生部14を停止させる。これにより、正イオン発生部13で発生した正イオンは、負イオン発生部14の近傍を通過しても中和されることなくそのまま外部に放出される。この正イオンによって、負極性に帯電している対象物を電気的に中和することができる。
【0040】
第2モードの実行中、制御装置30は、正イオン発生部13および負イオン発生部14の双方を作動させる。これにより、正イオン発生部13で発生した正イオンは負イオン発生部14の近傍で中和され中性原子となるとともに、負イオン発生部14で負イオンが発生する。したがって、第2モード中は、中性原子と負イオンとが外部に放出される。この際、対象物が負極性に帯電していると負イオンが対象物に付着し難くなるが、本実施の形態においては、上述したように第1モード実行中に対象物の負極性が中和されるため、負イオンと対象物との間に作用するクローン斥力が弱まる。そのため、第2モード実行中に放出された負イオンを対象物に付着し易くすることができる。
【0041】
図6は、第1モードと第2モードとの切替態様の一例を示す図である。制御装置30は、第1モードと第2モードとを予め定められた周期T1で切り替える。具体的には、図6に示すように、制御装置30は、正イオン発生部13を常時作動させ、負イオン発生部14の作動と停止とを周期T1で切り替える。このようにすると、正イオンが周期的に外部に放出されるため、対象物の負極性を周期的に中和させることができる。
【0042】
以上のようにして、本実施の形態では、正イオンを外部に放出させる第1モードと、中性原子と負イオンとを外部に放出させる第2モードとを周期的に切り替える。これにより、第1モード中に放出された正イオンで対象物の負極性が中和されるため、第2モード中に放出された負イオンを対象物に付着させ易くすることができる。
【0043】
なお、第1モードと第2モードとの切替態様は、図6に示した態様に限定されるものではない。たとえば、図7に示すように、イオン発生装置10の始動開始後、初期期間T0(T0>T1)が経過するまでは第1モードを選択し、初期期間T0の経過後は第1モードと第2モードとの切替を周期T1で行なうようにしてもよい。このようにすると、初期期間T0において集中的に対象物の負極性を中和させることができる。
[実施の形態2]
上述の実施の形態1では、第1モードを周期的に選択する制御を行なうことで、正イオンを外部に放出させる期間を確保していた。
【0044】
これに対し、本実施の形態2では、正イオン発生部13から負イオン発生部14へ向かう送風経路を、負イオン発生部14の近傍を通らない送風経路と負イオン発生部14の近傍を通る送風経路とに分ける仕切り壁を設けることによって、中性原子と負イオンと正イオンとを同時に外部に放出させる。
【0045】
図8は、本実施の形態によるイオン発生装置10Aの斜視図である。イオン発生装置10Aは、上述の実施の形態1によるイオン発生装置10に対して、仕切り壁24を追加したものである。そして、本実施の形態によるイオン発生装置10Aの作動中は、正イオン発生部13および負イオン発生部14の双方が作動される。その他の構造、機能、処理は、前述の実施の形態1と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
【0046】
仕切り壁24は、負イオン発生部14の近傍を通る送風経路の両側に設けられる長方形状の2枚の平板で構成される。2枚の平板の内側を通る経路(2枚の平板に挟まれた経路)が負イオン発生部14の近傍を通る送風経路となり、2枚の平板の外側を通る経路が負イオン発生部14の近傍を通らない送風経路となる。2枚の平板の間隔は、放電電極16のY方向の幅よりも短く設定される。そのため、複数の放電部位17には、Y方向において、2枚の平板の内側に配置されるものと外側に配置されるものとが存在する。
【0047】
図9は、正イオンの流通経路を模式的に示す図である。Y方向において2枚の平板の外側に配置される放電部位17で発生した正イオンの多くは、2枚の平板の外側を通るため、負イオン発生部14の近傍を通過しない。そのため、中性原子に変換されずに正イオンのまま外部に放出される。この正イオンによって対象物の負極性が中和される。
【0048】
一方、Y方向において2枚の平板の内側に配置される放電部位17で発生した正イオンの多くは、2枚の平板の内側を通って負イオン発生部14の近傍を通過し、中性原子に変換される。そのため、2枚の平板の内側を通る経路からは、中性原子と負イオンとが外部に放出される。この際、2枚の平板の外側を通って放出された正イオンによって対象物の負極性が中和されるため、2枚の平板の内側を通って放出された負イオンを対象物に付着し易くすることができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態では、送風経路を負イオン発生部14の近傍を通らない経路と負イオン発生部14の近傍を通る経路とに分ける仕切り壁24を設ける。そのため、中性原子と負イオンと正イオンとを同時に外部に放出させることができる。これにより、正イオンで対象物の負極性を中和して、負イオンを対象物に付着し易くすることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、仕切り壁24が長方形状の2枚の平板で構成される場合について説明したが、仕切り壁は必ずしもこのような形状に限定されない。たとえば、図8に示す仕切り壁24を備えたイオン発生装置10Aに代えて、図10に示す仕切り壁25を備えたイオン発生装置10Bに変更してもよい。
【0051】
図10に示すイオン発生装置10Bの仕切り壁25は、負イオン発生部14の近傍を通る送風経路を覆うトンネル構造を有する。なお、仕切り壁25のY方向の幅は、正イオン発生部13に近いほど大きくなるが、放電電極16のY方向の幅よりも短く設定される。そのため、複数の放電部位17には、Y方向において、仕切り壁25の内側に配置されるものと外側に配置されるものとが存在する。
【0052】
このようにしても、図11に示すように、仕切り壁25の外側を通る正イオンは負イオン発生部14の近傍を通過せず、そのまま外部に放出される。一方、仕切り壁25の内側を通る正イオンは負イオン発生部14の近傍を通過し、中性原子に変換される。そのため、中性原子と負イオンと正イオンとを同時に外部に放出させることができる。これにより、正イオンで対象物の負極性を中和して、負イオンを対象物に付着し易くすることができる。
【0053】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 空気清浄機、2 第1吹出口、3 筺体、4 第2吹出口、5 送風装置、6 吸込口、7 グリル、8 フィルタ、9 ファンガード、10,10A,10B イオン発生装置、11 ダクト、12 ケース、13 正イオン発生部、14 負イオン発生部、15 第1誘電体、16 放電電極、17 放電部位、18 導電部位、19 第2誘電体、20 誘導電極、21 針状電極、22 保護カバー、23 対向電極、24,25 仕切り壁、30 制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11