特許第6016504号(P6016504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6016504-車両用エアコンディショナの制御装置 図000003
  • 特許6016504-車両用エアコンディショナの制御装置 図000004
  • 特許6016504-車両用エアコンディショナの制御装置 図000005
  • 特許6016504-車両用エアコンディショナの制御装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016504
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】車両用エアコンディショナの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   B60H1/32 623M
   B60H1/32 623N
   B60H1/32 624Z
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-169487(P2012-169487)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-28549(P2014-28549A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】若狭 清貴
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−001015(JP,A)
【文献】 特開2006−298042(JP,A)
【文献】 特開2006−327394(JP,A)
【文献】 特開2002−172931(JP,A)
【文献】 特開2009−006921(JP,A)
【文献】 特開平01−278830(JP,A)
【文献】 特開2001−030748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加速の際に内燃機関のクランクシャフトから回転駆動力の伝達を受けるエアコンディショナ用のコンプレッサが駆動する容量をカットする車両用エアコンディショナの制御装置であって、
前記コンプレッサの負荷を推定又は算出し、コンプレッサの負荷が所定範囲内にあるときはアクセル開度がある基準開度となるタイミングでコンプレッサが駆動する容量をカットし、コンプレッサの負荷が前記所定範囲を超えているときはアクセル開度が前記基準開度となるタイミングよりも早いタイミングでコンプレッサが駆動する容量をカットし、コンプレッサの負荷が所定範囲を下回っているときはアクセル開度が前記基準開度となるタイミングよりも遅いタイミングでコンプレッサが駆動する容量をカットする車両用エアコンディショナの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のクランクシャフトから回転駆動力の伝達を受けるコンプレッサを有する車両用エアコンディショナを制御するための制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アクセル開度及び車速から加速を検知した際に、エアコンディショナに対する負荷が大きい高温時をはじめとする車両の状態によってはエアコンディショナ用のコンプレッサの容量をカットすることによりエンジンたる内燃機関に掛かる負荷を軽減し速やかな加速を優先し且つ実現しようとする車両用エアコンディショナの制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1に記載のものは、エバポレータの温度上昇勾配が所定値以上となった場合に、初回の加速時にエアコンディショナ用のコンプレッサを停止するというものである。
【0003】
しかしながら当該特許文献1に記載のものでは、エバポレータの温度上昇をコンプレッサの停止を決定する要因としているが、エバポレータの温度上昇はエアコンディショナが内燃機関に与える負荷を精確に反映しているものでは無いため、コンプレッサの停止が必ずしも速やかな加速に寄与していない場合もあると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−55119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、車両の状態に拘わらず速やかな加速を実現する車両用エアコンディショナの制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0007】
すなわち本発明に係る車両用エアコンディショナの制御装置は、車両の加速の際に内燃機関のクランクシャフトから回転駆動力の伝達を受けるエアコンディショナ用のコンプレッサが駆動する容量をカットする車両用エアコンディショナの制御装置であって、前記コンプレッサの負荷を推定又は算出し、コンプレッサの負荷が所定範囲内にあるときはアクセル開度がある基準開度となるタイミングでコンプレッサが駆動する容量をカットし、コンプレッサの負荷が前記所定範囲を超えているときはアクセル開度が前記基準開度となるタイミングよりも早いタイミングでコンプレッサが駆動する容量をカットし、コンプレッサの負荷が所定範囲を下回っているときはアクセル開度が前記基準開度となるタイミングよりも遅いタイミングでコンプレッサが駆動する容量をカットすることを特徴とする。
【0009】
また、前記コンプレッサの負荷を「推定又は算出」するとは、種々のパラメータからコンプレッサの負荷の実測値を精密に算出するような態様に限られるものではない。すなわち各種パラメータを勘案しつつ、予め記録されたマップから推定値を読み出す態様や、計算により実測値に相関する、コンプレッサの負荷をカットするために指標となる値を算出したり推定したりしたものであってもよい。
【0010】
このようなものであれば、内燃機関への直接の負荷であるコンプレッサの負荷を基に内燃機関の負荷を減じることにより、より精確に加速要求に応えることができる。また負荷が大きいときはコンプレッサの容量をより早いタイミングでカットするため、加速要求への反応をより早くすることができ、ドライバへ違和感を与えてしまうことを有効に回避することができる。
【0011】
また「コンプレッサが駆動する容量をカットする」とは、単にコンプレッサの駆動を停止する態様のみならず、可変容量コンプレッサを用い、当該コンプレッサが駆動する容量を段階的に減じたり、連続的に減じたりすると行った態様をも含まれる。
【0012】
さらに「タイミングを早くする」とは、コンプレッサの負荷が所定値を超えればさらに早い所定の別のタイミングとする態様のみならず、負荷の増大に応じて段階的或いは連続的にタイミングを早めていくという態様も含まれる概念である。また当該概念は、コンプレッサの負荷が小さいときには前記タイミングを遅らせる態様を排除するものではないことはいうまでもない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、車両の状態に拘わらず速やかな加速を実現する車両用エアコンディショナの制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用内燃機関の全体構成を示す図。
図2】同実施形態に係る制御装置を示す回路図。
図3】同実施形態に係る他の回路図。
図4】同実施形態に係るタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態における車両用内燃機関の概要を示す。
【0017】
本実施形態における内燃機関は、火花点火式ガソリンエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。点火コイルは、半導体スイッチング素子であるイグナイタとともに、コイルケースに一体的に内蔵される。
【0018】
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
【0019】
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
【0020】
図2に、本実施形態における発電システムの等価回路を示す。オルタネータ110は、ベルト及びプーリを要素とする巻掛伝動機構等を介して内燃機関のクランクシャフトに接続しており、クランクシャフトの回転に従動して回転し発電する。オルタネータ110は、ステータに巻回されたステータコイル111と、ステータの内側に配置され回転するロータに巻回されたフィールドコイル112とを有する。ステータコイル111は三相コイルであり、三相交流の誘起電流を発電する。この誘起電流は、レクティファイヤ(整流器)113によって直流電流とした上でバッテリ120に蓄電する。
【0021】
オルタネータ110が発電し出力する電圧の大きさは、レギュレータ130を介して制御される。レギュレータ130は、オルタネータ110に付帯するIC式の既知のものであり、オルタネータ110の出力電圧を少なくとも二段階に切り替えることが可能である。
【0022】
オルタネータ110は上記の通り、内燃機関のクランクシャフトから回転駆動力の供給を受けて回転し発電する。そのため、内燃機関から見ればオルタネータ110は機械負荷となる。その機械負荷は、オルタネータ110による発電量が大きいほど大きくなる。
【0023】
内燃機関の運転及び補機の制御を司るECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。
【0024】
入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフトの回転角度及びエンジン回転数を検出するエンジン回転センサから出力される回転数信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、外気温を検出するための図示しない外気温センサから出力される外気温信号d、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出する温度・圧力センサから出力される吸気温・吸気圧信号e、機関の冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号f、エアコンディショナの冷媒ガスの圧力の実測値を検出するための冷媒圧センサから出力される冷媒圧信号g、ドライバが居る車室内の温度を検出するための車室温センサから出力される車室温信号h、バッテリ120の充電状態(バッテリ電圧、バッテリ電流、バッテリ温度)を検出するセンサから出力されるバッテリ信号n、オルタネータ110の出力電圧を検出するセンサから出力される出力電圧信号p、並びに、照明灯、エアコンディショナ、ヒータ、デフォッガ、オーディオ機器、カーナビゲーションシステム等を稼働させることを要望するユーザの手によって操作される操作入力デバイス(操作スイッチ、ボタン、タッチパネル等)から与えられる信号o等が入力される。
【0025】
出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、レギュレータ130に対して出力電圧指令信号l、並びに、照明灯、エアコンディショナ、ヒータ、オーディオ機器、カーナビゲーションシステム等を稼働させるための制御信号等を出力する。制御信号には、内燃機関のクランクシャフトから冷媒圧縮用のコンプレッサへの回転駆動力の伝達を媒介するマグネットクラッチ5を断接切換するためのクラッチ接続信号m1や、ラジエタを冷却するためのファンモータ6を駆動するファン駆動信号m2の他、照明灯、ファンモータ6、ヒータ、デフォッガ、オーディオ機器、カーナビゲーションシステム等の各々への通電をON/OFFするための信号が含まれる。
【0026】
本実施形態ではエアコンディショナを冷房のために稼働させる際に冷媒圧縮用のコンプレッサを冷却するためのファンを、ラジエタを冷却するためのラジエタファンと共用してなる。すなわちエアコンディショナによって冷房を行なう際、上記制御信号のうちクラッチ接続信号m1とファン駆動信号m2とがECU0より出力される。
【0027】
具体的には図3に示すように、内燃機関のクランクシャフトとエアコンディショナのコンプレッサとの間を断接切換するグネットクラッチ5に対してクラッチ接続信号m1が出力されると、クラッチ接続信号m1は、マグネットクラッチ5に通電する電気回路を短絡/遮断するリレースイッチ51に入力され、このスイッチを短絡側に駆動する。同じくファン駆動信号m2が出力されると、ファンモータ6に通電する電気回路を短絡/遮断するリレースイッチに入力され、このスイッチを短絡側に駆動する。
【0028】
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関の運転を制御する。ECU0は、内燃機関の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、n、o、pを入力インタフェースを介して取得し、エンジン回転数を知得するとともに気筒1に充填される吸気量を推算する。また、バッテリ120の充電状態や、エアコンディショナ、照明灯その他の電気負荷の稼働状況を知得するとともに、オルタネータ110において供給するべき発電量を推算する。そして、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、オルタネータ110の出力電圧といった運転パラメータを決定する。運転パラメータの決定手法自体は、既知のものを採用することが可能である。ECU0は、運転パラメータ及びユーザの操作に対応した各種制御信号i、j、k、l、m1、m2を出力インタフェースを介して印加する。
【0029】
このECU0は、車両の状態により内燃機関のクランクシャフトと当該クランクシャフトから回転駆動力の伝達を受けるエアコンディショナ用のコンプレッサとのマグネットクラッチ5による接続をOFFとすることにより、コンプレッサの駆動容量をカットすべく所謂エアコンカットを行うものである。
【0030】
上記エアコンカットを行う条件とは、以下のような条件が挙げられる。例えば、冷却水温が設定値以上となったときに行われる他、吸気管圧力が回転数による設定値を超えるか或いはスロットルバルブ開度車速による設定値を超えたとき、さらには、回転数の降下が設定値より大きいとき等に行われる。
【0031】
しかして本実施形態では、上記の他に、ECU0は、アクセル開度信号cから得られるアクセル開度及び車速信号aから得られる車速から加速を検知した際に、コンプレッサの負荷Lが大きいときは、コンプレッサの負荷Lが小さいときよりも、マグネットクラッチ5による接続をOFFとするタイミングを早くするようにしている。
【0032】
本実施形態ではコンプレッサの負荷Lを以下のようにして算出している。コンプレッサの負荷Lは、コンプレッサ回転数Nc、設定冷媒ガス圧Pd、冷媒の比体積v、冷媒ガス圧の実測値Ps、コンプレッサ出入り口のエンタルピー差Δi、コンプレッサ容量Vcに加え、コンプレッサの体積効率ηc、同機械効率ηm及び同圧縮効率ηcを基に、以下の式を用いて算出するようにしている。なおA1は定数である。またコンプレッサはクランクシャフトに接続されていることから、コンプレッサ回転数Ncは上記回転数信号b、すなわち内燃機関の回転数を基に求めることができる。加えて冷媒の比体積v、コンプレッサ出入り口のエンタルピー差Δiは、設定冷媒ガス圧Pd、冷媒ガス圧の実測値Psより推定するか或いは近似値を求めることができる。
【0033】
【数1】
上記式を用いることによって、他のセンサ等の格別な設備を負荷することなく、コンプレッサの負荷Lを算出することができる。
【0034】
図4は、ドライバによる加速要求がなされた際の、アクセル開度(Ap)、マグネットクラッチ5の断続状況(Mgc)、内燃機関の駆動力(F)、上記の通り算出されたコンプレッサの負荷L及び車速(V)を示すタイミングチャートである。図示左側は例えば外気温が低くコンプレッサの負荷L(A/C負荷)が低い場合の態様、図示右側は例えば外気温が高くコンプレッサの負荷Lが高い場合の態様を図示している。
【0035】
しかして本実施形態では図4に示すように、コンプレッサをOFFとするタイミングを、コンプレッサ負荷とアクセル開度で決定するようにしている。コンプレッサ負荷が所定範囲内にあるときはアクセル開度が基準開度xとなる基準タイミングstdでマグネットクラッチ5を操作することによりコンプレッサをOFFとする制御を行っている。
【0036】
ここで本実施形態では、コンプレッサの負荷Lが所定範囲を超えて大きいときには、アクセル開度がxとなるタイミングstdよりも早いタイミングt2にてコンプレッサをOFFとするようにしている。換言すればアクセル開度が基準開度xよりも低い開度となったときにコンプレッサをOFFとするようにしている。
【0037】
一方、コンプレッサの負荷Lが所定範囲を下回った場合にはタイミングstdよりも遅いタイミングt1にてコンプレッサをOFFとするようにしている。換言すればアクセル開度が基準開度xよりも高い開度となったときにコンプレッサをOFFとするようにしている。
【0038】
以上のようにすることで、内燃機関への直接の負荷であるコンプレッサの負荷Lを基に内燃機関の負荷を減じることにより、より精確に加速要求が車速に反映し得るものとなっている。またコンプレッサの負荷Lが所定の範囲よりも大きいときはコンプレッサの容量をより早いタイミングでカットするため、外気温が高い場合をはじめとする斯かる場合の加速要求への反応すなわち駆動力、車速への反映がより早くなり、ドライバへ違和感を与えてしまうことを有効に回避している。
【0039】
特に本実施形態ではさらに、コンプレッサの負荷Lが所定範囲を下回ったときには遅いタイミングt2にてコンプレッサをOFFとすることにより、ドライバの加速要求に支障を来たさないときにはドライバビリィティを担保しつつ、車室の快適さの維持にも資するものとなっている。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0041】
まず、本実施形態の変形例としては、以下の態様を挙げることができる。すなわち、上記実施形態では外気温及びアクセル開度を基準にコンプレッサが駆動する容量をカットするタイミングを制御していたが例えば、加速要求があったときの車速をも勘案して前記タイミングを制御してもよい。具体的には、加速要求があったときの車速が低い程、コンプレッサが駆動する容量をカットするタイミングをより早く設定するものであってもよい。このようなものであれば、登坂時の低速からの加速要求や市街走行時での交差点の右折時といった、ドライバにとって加速要求が切に求められる機会においてより速やかに車速に反映させることで、ドライバにさらなる快適さを提供することができる。
【0042】
また他に挙げられる変形例としては、上記実施形態では内燃機関の負荷としてコンプレッサの負荷のみを算出していたが勿論、コンプレッサの負荷と併せてオルタネータの負荷を勘案し、コンプレッサが駆動する容量をカットするタイミングを設定してもよい。具体的には、コンプレッサの負荷が所定値以上であった場合には、コンプレッサの負荷が所定値を上回っていなくても当該コンプレッサが駆動する容量をカットするタイミングを早く設定する態様を挙げることができる。このようなものであれば、より実際の内燃機関の負荷が反映されることとなる。また勿論、コンプレッサが駆動する容量をカットするのに併せて、オルタネータの負荷をカットする他の制御を行うようにしても良い。
【0043】
さらに他には、加速要求時の吸気温や点火時期をも勘案してコンプレッサが駆動する容量をカットするタイミングを設定しても良い。具体的には、吸気温が所定の温度よりも高い場合やノックコントロールシステムの稼働により既に点火時期が遅角側に補正されている場合には、コンプレッサが駆動する容量をカットするタイミングをより早く設定することで、ノッキングを有効に回避した速やかな加速を実現するものとしても良い。
【0044】
このように、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態ではアクセル開度を基にコンプレッサが駆動する容量をカットするする態様を開示したが勿論、単純なアクセル開度のみならずアクセルの開き速度を基にコンプレッサが駆動する容量をカットするする態様としてもよく、さらにはアクセルペダルの踏込みによるスロットルバルブの開き速度や吸気圧又は吸気量を基にコンプレッサが駆動する容量をカットするものであってもよい。またコンプレッサが駆動する容量をカットする具体的なアクセル開度や外気温、車室の温度の具体的な数値等の態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0046】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は車両用エアコンディショナの制御装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
0…車両用エアコンディショナの制御装置(ECU)
L…コンプレッサの負荷
図1
図2
図3
図4