特許第6016505号(P6016505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016505
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/00 20060101AFI20161013BHJP
   A01D 75/18 20060101ALI20161013BHJP
   A01F 12/16 20060101ALI20161013BHJP
   A01F 12/10 20060101ALI20161013BHJP
   A01D 41/12 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   A01D69/00 302H
   A01D75/18 A
   A01F12/16 J
   A01F12/10 K
   A01D41/12 B
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-170575(P2012-170575)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-27912(P2014-27912A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】松川 雅彦
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−337116(JP,A)
【文献】 特開2005−119328(JP,A)
【文献】 特開2011−146257(JP,A)
【文献】 特開平07−067466(JP,A)
【文献】 特開2006−204171(JP,A)
【文献】 特開2000−004652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 69/00
A01D 41/12
A01D 75/18
A01F 12/10
A01F 12/16
H01H 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置(8)と、
緊急停止スイッチ(17)とを備え、
緊急停止スイッチ(17)の操作によってエンジン(19)を停止させるコンバインにおいて、
緊急停止スイッチ(17)によるエンジン停止を実行するうえで支障をきたした状態である故障状態を検出する故障検出手段(56)と、
該故障検出手段(56)によって上記故障状態が検出された場合に脱穀装置(8)の駆動を規制する規制手段(41a)とを設け
前記規制手段(41a)は、脱穀装置(8)の駆動中に故障検出手段(56)によって上記故障状態を検出した場合には、報知手段(52)により上記故障状態を報知するとともに脱穀装置(8)の駆動を停止させるように構成され、
エンジン(19)を停止させるエンジン停止手段(53)と、
脱穀装置(8)の駆動停止を検出する駆動停止検出手段(47)とを設け、
前記エンジン停止手段(53)を介したエンジン停止によって脱穀装置(8)の駆動を停止させるように規制手段(41a)を構成し、
該規制手段(41a)は、該駆動停止検出手段(47)によって脱穀装置(8)の駆動停止が検出されている最中に、故障検出手段(56)によって上記故障状態を検出した場合には、エンジン停止を行わずにエンジン(19)を駆動状態で保持して、報知手段(52)による報知のみを行う
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
脱穀装置(8)と、
緊急停止スイッチ(17)とを備え、
緊急停止スイッチ(17)の操作によってエンジン(19)を停止させるコンバインにおいて、
緊急停止スイッチ(17)によるエンジン停止を実行するうえで支障をきたした状態である故障状態を検出する故障検出手段(56)と、
該故障検出手段(56)によって上記故障状態が検出された場合に脱穀装置(8)の駆動を規制する規制手段(41a)とを設け、
前記規制手段(41a)は、脱穀装置(8)の駆動中に故障検出手段(56)によって上記故障状態を検出した場合には、報知手段(52)により上記故障状態を報知するとともに脱穀装置(8)の駆動を停止させるように構成され、
脱穀装置(8)への動力伝動を遮断する動力遮断手段(51)と、
機体の走行を検出する走行検出手段(49)と、
機体の走行を停止させる走行停止手段(53)とを設け、
前記動力遮断手段(51)によって脱穀装置(8)の駆動を停止させるように規制手段(41a)を構成し、
該規制手段(41a)が、走行検出手段(49)によって機体の走行を検出している最中であって且つ脱穀装置(8)の駆動中に、故障検出手段(56)によって上記故障状態を検出した場合には、走行停止手段(53)によって機体の走行を停止させる
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
緊急停止スイッチ(17)の入状態時に接続状態になるノーマルオープン接点(56b)と、切状態時に接続状態になるノーマルクローズ接点(56a)とを、該緊急停止スイッチ(17)に内装することにより、前記故障検出手段(56)を構成し、
ノーマルオープン接点(56b)とノーマルクローズ接点(56a)の両方が同時に接続状態又は切断状態となった場合に、上記故障状態を検知する
請求項1又は2の何れかに記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンを緊急停止させることができるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀装置と、緊急停止スイッチとを備え、脱穀装置側で作業者が手動で穀稈を導入して脱穀処理を行う手扱ぎ作業を行っている最中に、衣類が脱穀装置側に巻込まれる等のトラブルが発生した場合に、緊急停止スイッチの操作によってエンジンを停止させる特許文献1に示すコンバインが公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−244228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献のコンバインでは、緊急停止スイッチ自体の故障又は緊急停止スイッチからの配線のショートや断線によって、緊急停止スイッチを介したエンジン停止の実行が不可能又は困難になる場合がある。このような状態を放置しておくと、手扱ぎ作業等の最中にトラブル等が原因で、脱穀装置の駆動停止が求められる事態が発生しているにもかかわらず、エンジンが停止できないような事態が発生する。
【0005】
本発明は、緊急停止スイッチによってエンジンを緊急停止させるコンバインであって、緊急停止スイッチを介したエンジン停止の実行が不可能又は困難になる場合の対策が施されたコンバインを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1に、脱穀装置8と、緊急停止スイッチ17とを備え、緊急停止スイッチ17の操作によってエンジン19を停止させるコンバインにおいて、緊急停止スイッチ17によるエンジン停止を実行するうえで支障をきたした状態である故障状態を検出する故障検出手段56と、該故障検出手段56によって上記故障状態が検出された場合に脱穀装置8の駆動を規制する規制手段41aとを設け、前記規制手段41aは、脱穀装置8の駆動中に故障検出手段56によって上記故障状態を検出した場合には、報知手段52により上記故障状態を報知するとともに脱穀装置8の駆動を停止させるように構成され、エンジン19を停止させるエンジン停止手段53と、脱穀装置8の駆動停止を検出する駆動停止検出手段47とを設け、前記エンジン停止手段53を介したエンジン停止によって脱穀装置8の駆動を停止させるように規制手段41aを構成し、該規制手段41aは、該駆動停止検出手段47によって脱穀装置8の駆動停止が検出されている最中に、故障検出手段56によって上記故障状態を検出した場合には、エンジン停止を行わずにエンジン19を駆動状態で保持して、報知手段52による報知のみを行うたことを特徴としている。
【0007】
第2に、脱穀装置8と、緊急停止スイッチ17とを備え、緊急停止スイッチ17の操作によってエンジン19を停止させるコンバインにおいて、緊急停止スイッチ17によるエンジン停止を実行するうえで支障をきたした状態である故障状態を検出する故障検出手段56と、該故障検出手段56によって上記故障状態が検出された場合に脱穀装置8の駆動を規制する規制手段41aとを設け、前記規制手段41aは、脱穀装置8の駆動中に故障検出手段56によって上記故障状態を検出した場合には、報知手段52により上記故障状態を報知するとともに脱穀装置8の駆動を停止させるように構成され、脱穀装置8への動力伝動を遮断する動力遮断手段51と、機体の走行を検出する走行検出手段49と、機体の走行を停止させる走行停止手段53とを設け、前記動力遮断手段51によって脱穀装置8の駆動を停止させるように規制手段41aを構成し、該規制手段41aが、走行検出手段49によって機体の走行を検出している最中であって且つ脱穀装置8の駆動中に、故障検出手段56によって上記故障状態を検出した場合には、走行停止手段53によって機体の走行を停止させるたことを特徴としている。
【0008】
に、緊急停止スイッチ17の入状態時に接続状態になるノーマルオープン接点56bと、切状態時に接続状態になるノーマルクローズ接点56aとを、該緊急停止スイッチ17に内装することにより、前記故障検出手段56を構成し、ノーマルオープン接点56bとノーマルクローズ接点56aの両方が同時に接続状態又は切断状態となった場合に、上記故障状態を検知することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、緊急停止スイッチによるエンジン停止を実行するうえで支障をきたした状態である故障状態が検出された場合には、規制手段によって脱穀装置の駆動が規制される。このため、手扱ぎ作業等の最中、トラブル等が原因で、脱穀装置の駆動停止が求められる事態が発生しているにもかかわらず、上記故障状態によって、エンジンが停止できないような事態が未然に防止される。
【0010】
また、前記規制手段は、脱穀装置の駆動中に故障検出手段によって上記故障状態を検出した場合には、報知手段により上記故障状態を報知するするとともに脱穀装置の駆動を停止させるものによれば、オペレータや作業者等が緊急停止スイッチの故障を迅速に認識できる一方で、脱穀装置が駆動停止するため、エンジンを緊急停止できない状態で手扱作業が行われる事態の発生を防止できる。
【0011】
また、エンジンを停止させるエンジン停止手段と、脱穀装置の駆動停止を検出する駆動停止検出手段とを設け、前記エンジン停止手段を介したエンジン停止によって脱穀装置の駆動を停止させるように規制手段を構成し、該規制手段は、該駆動停止検出手段によって脱穀装置の駆動停止が検出されている最中に、故障検出手段によって上記故障状態を検出した場合には、エンジン停止を行わずにエンジンを駆動状態で保持して、報知手段による報知のみを行うものによれば、脱穀装置の駆動が停止してエンジンを停止させる必要がないような状態にもかかわらず、エンジンが不要に停止されることを防止できるとともに、オペレータや作業者等は、緊急停止スイッチの故障を迅速に認識できる。
【0012】
さらに、脱穀装置への動力伝動を遮断する動力遮断手段と、機体の走行を検出する走行検出手段と、機体の走行を停止させる走行停止手段とを設け、前記動力遮断手段によって脱穀装置の駆動を停止させるように規制手段を構成し、該規制手段が、走行検出手段によって機体の走行を検出している最中であって且つ脱穀装置8の駆動中に、故障検出手段によって上記故障状態を検出した場合には、走行停止手段によって機体の走行を停止させるものによれば、規制手段によって脱穀装置の駆動が停止したにもかかわらず、エンジン駆動によって機体が走行し続けて、穀稈を押倒す事態を未然に防止可能になる。
【0013】
なお、緊急停止スイッチの入状態時に接続状態になるノーマルオープン接点と、切状態時に接続状態になるノーマルクローズ接点とを、該緊急停止スイッチに内装することにより、前記故障検出手段を構成し、ノーマルオープン接点とノーマルクローズ接点の両方が同時に接続状態又は切断状態となった場合に、上記故障状態を検知するものによれば、故障検出手段の構成が比較的シンプルになり、コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図である。
図2】本発明を適用した自脱式のコンバインの平面図である。
図3】本コンバインの動力伝動系統図である。
図4】操縦部の平面図である。
図5】制御部のブロック図である。
図6】規制制御の構成を示す一覧表である。
図7】規制制御の別実施形態の構成を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図2は、本発明を適用した自脱式のコンバインの側面図及平面図である。本コンバインは、進行方向右(右)側に操縦部1を有する走行機体2と、前記走行機体2の前部側に昇降自在に連結された前処理部3とを備えている。
【0016】
本コンバインの機体を、前処理部3を下降させた状態で、走行機体2のクローラ式走行装置4,4によって前進走行させ、前処理部4の刈刃6によって圃場の穀稈を刈取る。刈取られた穀稈は、前処理部4の前処理搬送装置7によって、走行機体2の左部に設置された脱穀装置8側まで搬送され、該脱穀装置8の左側面側に設けられたフィードチェーン9側に渡される。
【0017】
フィードチェーン9側に渡された穀稈は、穂先側が脱穀装置8の図示しない扱胴側に向けられた状態で、株元側がフィードチェーン9と、該フィードチェーン9真上側に配された挟持レール11と間に挟持され、後方搬送される。扱胴は、前後方向に延びる筒状に形成されて自身の軸回りに回転駆動され、この扱胴の回転駆動によって、フィードチェーン9により後方搬送される穀稈が脱穀処理され、排藁になるとともに、脱穀処理された処理物は、扱胴の真下側の図示しない選別室に落下供給される。
【0018】
選別室に落下供給された処理物は、揺動選別及び風選によって、籾等の穀粒と、藁屑等の排出物とに選別され、排出物は、走行機体2の後端部から機外に排出される一方で、穀粒は走行機体2における脱穀装置8の右側且つ操縦部2の後方側に位置するグレンタンク12内に搬送収容される。
【0019】
一方、排藁は、フィードチェーン9から、該フィードチェーン9の後方に配された排藁搬送体13に渡されて後方搬送され、そのまま走行機体2の後端部から機外に排出されるか、或いは、切断処理された後に、機外に排出される。
【0020】
グレンタンク12内の穀粒は、走行機体2の後端部右側に基端部が支持されて全体が左右旋回するとともに上下揺動するオーガ14の先端部から機外に排出される。
【0021】
なお、上述した通り、走行機体2を前進走行させながら、前処理部3及び脱穀装置8を駆動させることにより、圃場の穀稈の刈取を行うが、この他、前処理部3を駆動させない状態で、フィードチェーン9と脱穀装置8内の扱胴等と排藁搬送体とを、機体の走行、走行停止に関係無く、駆動させる手扱ぎモードが本コンバインには設けられている。
【0022】
手扱ぎモード時には、走行機体2の外側側方において、作業者が穀稈をフィードチェーン9の前端部に手動で渡すことにより、該穀稈の脱穀処理を行う手扱ぎ作業を行う。このため、脱穀装置8の前部の外側側方が、手扱ぎ作業位置になる。
【0023】
この手扱ぎ作業時には、作業者の衣類がフィードチェーン9と挟持レール11との間に捲込まれるような事態も想定されるため、このような事態に備え、手扱ぎ作業位置において、エンジン19(図3参照)を緊急停止させることができるように本コンバインを構成する必要がある。
【0024】
このため、手扱ぎモードへの切換を行う手扱ぎスイッチ16と、エンジン19を緊急停止させる緊急停止スイッチ17とを、脱穀装置8の外側側面に設けている。具体的には、扱胴の上方側及び外側側方を覆うシリンダカバー(天板)18の外側側面の前部に、手扱ぎスイッチ16及び緊急停止スイッチ17が、左右に並べられた状態で、配設されている。
【0025】
このシリンダカバー18は、左右内側端部を支点に回動自在に脱穀装置8に支持されており、この回動によって、脱穀装置8の内部が開閉される。シリンダカバー18の外側側部の下端側に上述した挟持レール11が配設され、該シリンダカバー18の開状態時には、挟持レール11とフィードチェーン9とによる挟持が解除される。
【0026】
図3は、本コンバインの動力伝動系統図である。本コンバインでは、エンジン19からの動力によって各部が駆動される。エンジン19で発生させた回転動力は、出力軸21に出力され、該出力軸21には作業プーリ22と、走行プーリ23と、排出プーリ24とが一体回転するように設けられている。
【0027】
上記走行プーリ23に伝動された動力は、走行クラッチ26を介して、走行HST27に断続伝動される。走行HST27で無段階変速された動力は、走行トランスミッション28に伝動され、走行トランスミッション28で変速された動力は、左右のクローラ式走行装置4,4に伝動され、これによって機体が走行駆動される。
【0028】
上記排出プーリ24に伝動された動力は、排出クラッチ29を介して、排出装置31に断続伝動される。この排出装置31によって、グレンタンク12内の穀粒がオーガ14の先端側まで搬送され、機外に排出される。
【0029】
上記作業プーリ22に伝動された動力は、脱穀側伝動ベルト32を介して、脱穀装置8側に伝動される。この脱穀側伝動ベルト32には、テンションプーリからなる脱穀クラッチ(動力切断手段)33が設けられ、この脱穀クラッチ33によって、エンジン19から脱穀装置8側への動力伝動が断続される。
【0030】
脱穀装置8側に伝動される動力は、脱穀装置8内の扱胴等や選別室内の各種機器と、排藁搬送装置13等とを駆動する一方で、搬送HST34にベルト伝動される。搬送HSTで無段階変速された動力は、伝動ケース36内に伝動され、この伝動ケース36内で、フィードチェーン9用の動力と、前処理部3用の動力とに分岐される。
【0031】
フィードチェーン9用の動力は、フィードチェーン駆動軸37に出力され、フィードチェーン9を搬送駆動させる。一方、前処理部3用の動力は、刈取側伝動ベルト38を介して、前処理部3に伝動され、前処理部3を刈取及び搬送駆動させる。この刈取側伝動ベルト38には、伝動ケース36から前処理3への動力伝動を断続するテンションプーリからなる刈取クラッチ39が設けられている。
【0032】
上記伝動構造によって、脱穀クラッチ33は、その伝動下流側にある脱穀装置8、フィードチェーン9、排藁チェーン13及び前処理部3への動力伝動を断続するように構成されており、刈取クラッチ39は、前処理部3への動力伝動を断続するように構成されている。
【0033】
すなわち、機体を前進走行させながら、圃場の穀稈の刈取を行う場合には、脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ39の両方を接続状態に切換える。この際、前処理部3及びフィードチェーン9は、搬送HST34によって、機体の走行速度に応じた最適な駆動スピードに制御される。ちなみに、機体の走行速度が上昇した場合には、これに連動させて前処理部3及びフィードチェーン9の駆動速度を上昇させる。
【0034】
また、上述の手扱ぎモードでは、脱穀クラッチ33が接続切換えされ、搬送HST34の変速比も機体の走行速度に関係無い所定値に制御され、所定の速度で、フィードチェーン9が駆動される。
【0035】
以上のような制御を実現させるため、刈取クラッチ39及び脱穀クラッチ33は、マイコンからなる制御部41(図5参照)によって断続制御されるとともに、搬送HST34も制御部41によって変速制御される。具体的な構成は後述する。
【0036】
図4は、操縦部の平面図である。上記操縦部1は、オペレータが着座する座席42と、座席42の側方(図示する例では左側)に配置された主変速操作具である主変速レバー43と、座席42の前方に配置されたマルチステアリングレバー44と、主変速レバー43の後方側に配置されて脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ39の断続を操作するパワークラッチスイッチ(刈取・脱穀クラッチ入切操作手段)46を備えている。
【0037】
上記主変速レバー43は、走行HST27の変速軸であるトラニオン軸と機械的に連結され、ニュートラル位置で左右揺動可能に支持され、この主変速レバー43を、ニュートラル位置から左右一方に傾けた状態で前方へ揺動操作することによって、走行HST27を介して、機体の走行方向を前進側に切換える一方で、主変速レバー43を、ニュートラル位置から左右他方に傾けた状態で後方へ揺動操作することによって、走行HST27を介して、機体の走行方向を後進側に切換える。また、主変速レバー43の前後中立位置からの揺動操作量が大きい程、走行HST27を介した前進又は後進側への増速量が大きく(減速比が小さく)なる。
【0038】
上記マルチステアリングレバー44は、前後揺動によって前処理部3の昇降操作を行う一方で、左右揺動によって機体の操向操作を行う。
【0039】
上記パワークラッチスイッチ46は、左傾斜姿勢と、左右方向水平な中立姿勢と、右傾斜姿勢とを有するモーメンタリスイッチであり、該パワークラッチスイッチ46は、図示しない弾性部材によって、中立姿勢に付勢されている。
【0040】
このパワークラッチスイッチ46の左右何れかへの択一的な傾斜操作によって、脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ39が両方に切断状態となる停止状態と、脱穀クラッチが接続状態且つ刈取クラッチが切断状態になる脱穀状態と、脱穀クラッチ及び刈取クラッチが両方に接続状態となる刈取状態との何れかへの切換を行う。
【0041】
ちなみに、手扱ぎスイッチ16を、入操作にしている最中は、上記3つの状態に何れに切換えられているかに関係無く、脱穀クラッチ33が接続され且つ刈取クラッチ39が切断された状態になる。
【0042】
このような緊急停止スイッチ17及びパワークラッチスイッチ46による操作も、上述した制御部41を介して行う。
【0043】
図5は、制御部のブロック図である。制御部41の入力側には、上述したパワークラッチスイッチ46、緊急停止スイッチ17及び手扱ぎスイッチ16の他、脱穀クラッチ33の断続検出を行う脱穀クラッチ検出手段である脱穀センサ(駆動停止検出手段)47と、刈取クラッチ39の断続検出を行う刈取クラッチ検出手段である刈取センサ48と、機体の走行速度を検出する車速センサ(走行検出手段)49とが接続されている。
【0044】
一方、制御部41の出力側には、脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ39の断続操作を行う刈取・脱穀クラッチ駆動モータ(断続手段)51と、各種報知を行う報知手段52と、燃料供給をカットすることによってエンジン19を停止させる燃料カットソレノイドバルブからなるエンジン停止手段(走行停止手段)53と、搬送HST34の変速操作を行う変速モータ54とが接続されている。
【0045】
ちなみに、報知手段52は、鳴動するホーンと、操縦部1の座席42の前方に設置された図示しないモニタランプと、前処理部3の左右両端部にそれぞれ設置された方向指示用のランプ55,55と、走行機体2の後端部の左右両端部にそれぞれ設置された方向指示用のランプ55,55とによって構成されている。
【0046】
また、制御部41は、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって、脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ39の断続制御を行うが、この際、脱穀クラッチ33が切断状態では、刈取クラッチ33が接続状態にならないように規制されるとともに、脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ39の接続状態の場合に脱穀クラッチ33を切断作動させると、これに連動して刈取クラッチ39も切断作動する。
【0047】
制御部41は、手扱ぎスイッチ16、脱穀センサ47、刈取センサ48及び刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって、上述した手扱ぎモードのON・OFFを行い、この手扱ぎモード時には、変速モータ54によって、脱穀フィードチェーン9の駆動速度を機体の走行速度に関係無く、一定値に保持する。
【0048】
また、制御部41は、パワークラッチスイッチ46、脱穀センサ47、刈取センサ48及び刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって、上述した停止状態と脱穀状態と刈取状態との切換を行い、この刈取状態時には、車速センサ49及び変速モータ54によって、車速に前処理部3及びフィードチェーン9の駆動速度を連動させる制御を行う。
【0049】
さらに、制御部41は、緊急停止スイッチ17及びエンジン停止手段53によって、緊急時のエンジン19の停止を行う。
【0050】
ところで、本コンバインでは、上述した手扱ぎモード時や、場合によっては脱穀状態時に、手扱ぎ作業位置での手扱ぎ作業を行うことが可能になるが、この際の緊急事態に備えて、上述したように、緊急停止スイッチ17を設けている。
【0051】
しかし、この緊急停止スイッチ17によるエンジン19の停止ができない状態(故障状態)では、このような緊急時に対処できず、種々の不具合が生じる虞がある。このため、本コンバインでは、この故障状態を検出する故障検出手段56が設けられるとともに、制御部41は、故障検出手段56によって、上記故障状態が検出された場合には、脱穀装置8の駆動を停止(規制)する規制制御41aを実行するように構成されている。
【0052】
故障検出手段56は、図5に示すように、緊急停止スイッチ17の切状態時に接続になるノーマルクローズ接点56aと、緊急停止スイッチ17の切状態時に切断状態になるノーマルオープン接点56bとを有するC接点から構成され、このノーマルクローズ接点56a及びノーマルオープン接点56bは、各別に制御部41の入力側に接続されている。
【0053】
制御部41は、C接点56が内臓された前記緊急停止スイッチ17の入状態時には、エンジン停止手段53を介して、エンジン19を緊急停止させる一方で、前記緊急停止スイッチ17の切状態時には、エンジン停止手段53を介したエンジン19停止を行わない。
【0054】
緊急停止スイッチ17と制御部41との間の配線及び緊急停止スイッチ17が正常な場合、緊急停止スイッチ17の入状態時には、ノーマルクローズ接点56aはOFF状態になるとともに、ノーマルオープン接点56bはON状態になるとともに、緊急停止スイッチ17の切状態時には、ノーマルクローズ接点56aはON状態になるとともに、ノーマルオープン接点56bはOFF状態になって、両接点56a,56bのON・OFFが同一にはならない。
【0055】
逆に、ノーマルクローズ接点56aとノーマルオープン接点56bの両方がON状態になるか、或いは両方がOFF状態になる場合は、緊急停止スイッチ17と制御部41との間の配線、或いは緊急停止スイッチ17自体に断線又は短絡の異常が発生していることを意味するので、制御部41は、この状態を検知することにより、上記故障状態を検出できる。
【0056】
具体的には、緊急停止スイッチ17の切状態時に、ノーマルクローズ接点56a及びノーマルオープン接点56bが両方ともON状態になっている場合は、ノーマルオープン接点56b側が短絡している。また、緊急停止スイッチ17の切状態時に、ノーマルクローズ接点56a及びノーマルオープン接点56bが両方ともOFF状態になっている場合は、ノーマルクローズ接点56a側が切断している。
【0057】
一方、緊急停止スイッチ17の入状態時に、ノーマルクローズ接点56a及びノーマルオープン接点56bが両方ともON状態になっている場合は、ノーマルクローズ接点56a側が短絡している。また、緊急停止スイッチ17の入状態時に、ノーマルクローズ接点56a及びノーマルオープン接点56bが両方ともOFF状態になっている場合は、ノーマルクローズ接点56a側が切断している。この状態を制御部41が検知することにより、上記故障状態が検出される。
【0058】
制御部41は、規制制御41aの実行時、以上のような故障状態の検出によって、脱穀装置8の駆動を規制を行う。
【0059】
図6は、規制制御の構成を示す一覧表である。故障検出手段56によって前記故障状態が検出された際の規制制御41aの動作内容について、以下の3つのケース分けて説明する。1つ目のケースは、車速センサ49によって機体の停止が検出され、且つエンジン19の停止が判断される停止時検出ケースであり、2つ目のケースは、車速センサ49によって機体の停止が検出され、且つエンジン19の駆動中が判断されるエンジン駆動時検出ケースであり、3つ目のケースは、車速センサ49によって機体が走行駆動されていることが検出される走行時検出ケースである。ちなみに、エンジン19の駆動・駆動停止の判断は、制御部41からエンジン停止手段53へのエンジン停止信号の出力によって有無を確認することによって行う。
【0060】
停止時検出ケースの場合、故障検出手段56によって故障状態が検出された時には、制御部41の規制制御41aでは、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって脱穀クラッチ33を切断状態で維持して脱穀装置8(及び前処理部3)の駆動停止を保持させる他、エンジン停止手段53のエンジン駆動制御によってそれ以降のエンジン19の始動は許可する。
【0061】
一方、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の接続が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって脱穀クラッチ33を接続状態から切断状態に切換えて脱穀装置8(及び前処理部3)を強制的に停止駆動させる他、脱穀クラッチ33の切操作後は、エンジン停止手段53のエンジン駆動制御によってそれ以降のエンジン19の始動は許可する。
【0062】
エンジン駆動時検出ケースの場合、故障検出手段56によって故障状態が検出された時には、制御部41の規制制御41aでは、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって脱穀クラッチ33を切断状態で維持して脱穀装置8(及び前処理部3)の駆動停止を保持させる他、エンジン停止手段53からの停止信号は出力せずにエンジン19の駆動は保持し、その後にエンジン19を停止した後のエンジン19の始動も許可する。
【0063】
一方、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の接続が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって脱穀クラッチ33を接続状態から切断状態に切換えて脱穀装置8(及び前処理部3)を強制的に停止駆動させる他、エンジン停止手段53からの停止信号は出力せずにエンジン19の駆動は保持し、その後にエンジン19を停止した後のエンジン19の始動も許可する。
【0064】
走行時検出ケースの場合、故障検出手段56によって故障状態が検出された時には、制御部41の規制制御41aでは、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって脱穀クラッチ33を切断状態で維持して脱穀装置8(及び前処理部3)の駆動停止を保持させる他、エンジン停止手段53からの停止信号は出力せずにエンジン19の駆動は保持し、その後にエンジン19を停止した後のエンジン19の始動も許可する。
【0065】
一方、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の接続が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、刈取・脱穀クラッチ駆動モータ51によって脱穀クラッチ33を接続状態から切断状態に切換えて脱穀装置8(及び前処理部3)を強制的に停止駆動させる他、エンジン停止手段53から停止信号を出力してエンジン19の駆動を停止させ、脱穀クラッチ33を切断切換えた後は、エンジン停止手段53から停止信号は出力せず、それ以降のエンジン19の始動は許可する。
【0066】
以上、前記故障状態が検出された場合には、報知手段52による報知を行うが、この報知は、方向指示用のランプ55及びモニタランプを複数回点滅させる処理と、方向指示用のランプ55及びモニタランプを所定時間消灯させる処理とを交互に繰返すとともに、ホーンを所定時間鳴動させる処理と、無音にする処理とを交互に繰返すことによって行う。また、この報知は、エンジン19を始動させる図示しないキースイッチが切操作されて制御部41への電源供給が停止するまで、継続される。
【0067】
該構成のコンバインによれば、緊急停止スイッチ17又はその配線等に故障が生じた場合には、脱穀装置8の駆動中と駆動停止中の両ケースで、報知手段52によって報知を行うため、オペレータや作業者等に緊急停止スイッチ17の故障を迅速に知らせることが可能になり、この報知は、キースイッチを切操作するまで、継続されるため、気付かない内に、報知が停止することもない。
【0068】
また、前記故障状態が検出されている際に、脱穀クラッチ33が接続されていると、該脱穀クラッチ33を切断作動させて、脱穀装置8の駆動を停止させる。このため、緊急停止スイッチ17等の故障に気付かずに手扱ぎ作業等の作業を実行し、この状態で、フィードチェーン9と挟持レール11の間への衣類の巻込み等によって脱穀装置8を停止したい事態が発生し、緊急停止スイッチ17の入操作によって、脱穀装置8を停止しようとしても、脱穀装置8が停止できない事態が未然に防止される。
【0069】
さらに、この規制制御41aでは、機体の走行を車速センサ49で検出している最中、故障検出手段56によって前記故障状態を検出した場合には、エンジン停止手段53によってエンジン19を停止し、これによって機体を走行停止させる。脱穀装置8を駆動させて走行している状態は、刈取作業中と考えられ、この状態で、脱穀装置8のみを停止させると、圃場の穀稈を倒してしまう可能性があるため、この場合には、上記のようにして、機体の走行も停止させる。
【0070】
なお、緊急停止スイッチ17を、シリンダカバー18の側面図に設ける例について説明したが、緊急停止スイッチ17を、挟持レール11の前端部の外側側面に設けてもよく、この場合には、より低い位置に緊急停止スイッチ17が配されるため、エンジン19の緊急停止操作の操作性が向上する。
【0071】
また、緊急停止スイッチ17を、押し操作した後に一方側に回動操作する(入操作)ことにより、押し状態で維持され入状態を保持するとともに、入操作状態の緊急停止スイッチ17を1回押し操作することによって、弾性力により他方側に回動作動して押し解除され切状態に切換えられるように該緊急停止スイッチ17を構成してもよい。この場合、制御部41は、緊急停止スイッチ17の切状態時には、エンジン停止手段53を介して、エンジン19を緊急停止させる一方で、緊急停止スイッチ17の入操作状態時には、エンジン停止手段53を介したエンジン19の停止を行わない。
【0072】
このようにして、緊急停止スイッチ17が切状態で保持され、その信号が正常に入力されている間は、制御部41は、上記キースイッチが切操作されるまで、報知手段52によって、緊急な旨を報知し続ける。この際、前記故障状態時の報知の点滅パターンや、報知音のパターンと異なるものにし、両者を区別できるようにしてもよい。言換えると、キースイッチが、緊急時の報知を停止させる停止操作具として機能する。
【0073】
また、ホーンに代えて、電子ブザーを用いてもよく、この場合の音声出力パターンは、ホーンと同一にしてもよいし、異なるように設定してもよい。
【0074】
さらに、エンジン停止手段53への出力信号の有無によってエンジン19の駆動及び停止を判断しているが、エンジン19の駆動及び停止を検出するセンサ等からなるエンジン駆動検出手段57を、別途設け、これを制御部41の入力側に接続してもよい。ちなみに、エンジン駆動検出手段57は、出力軸21等の伝動軸に設けられた回転センサや、エンジン19に接続されたオルタネータのP端子や、エンジン19に内臓された回転センサ等によって構成しもよく、エンジン19がコモンレールエンジンの場合には、該エンジン19からの通信情報によってエンジン駆動検出手段74を構成しもよい。
【0075】
また、制御部41の規制制御41aによって、脱穀装置8の駆動を規制する規制手段を構成しているが、各種リレー回路等によって、規制手段を構成してもよい。
【0076】
次に、図7に基づいて、本発明の別実施形態について、上述した形態と異なる点を説明する。
【0077】
図7は、規制制御の別実施形態の構成を示す一覧表である。脱穀クラッチ33が、クラッチレバー等の操作具に機械的に連結され、該操作具よって、手動で脱穀クラッチ33の断続操作するコンバインに、本願発明を適用したものである。ちなみに、刈取クラッチ39は、上述した形態と同様に、脱穀クラッチ33の切断状態で、接続状態になることはない。
【0078】
停止時検出ケースの場合、故障検出手段56によって故障状態が検出された時には、制御部41の規制制御41aでは、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断状態が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、それ以降、エンジン停止手段53からエンジン19を停止させる停止信号を出力せずに、エンジン19の始動を許可する。
【0079】
一方、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の接続が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、それ以降、エンジン停止手段53からエンジン19を停止させる停止信号を出力し続けて、エンジン19の始動を禁止する。ちなみに、エンジン19の始動が禁止されている状態で、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断切換が検出されると、それ以降は、エンジン停止手段53からのエンジン停止信号の出力を停止させ、エンジン19の始動を許可する。
【0080】
エンジン駆動時検出ケースの場合、故障検出手段56によって故障状態が検出された時には、制御部41の規制制御41aでは、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、エンジン停止手段53からの停止信号は出力せずに脱穀装置8の駆動を保持し、その後にエンジン19を停止した後のエンジン19の始動も許可する。
【0081】
一方、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の接続が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、エンジン停止手段53から停止信号を出力してエンジン19の駆動を停止することにより、脱穀装置8の駆動を強制的に停止させる他、それ以降、エンジン停止手段53からの停止信号の出力を継続してエンジン19の再始動を禁止する。
【0082】
ちなみに、このようにして、エンジン19の始動が禁止されている状態で、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断切換が検出されると、それ以降は、エンジン停止手段53からのエンジン停止信号の出力を停止させ、エンジン19の再始動を許可する。
【0083】
走行時検出ケースの場合、故障検出手段56によって故障状態が検出された時には、制御部41の規制制御41aでは、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、エンジン停止手段53からの停止信号は出力せずに脱穀装置8の駆動を保持し、その後にエンジン19を停止した後のエンジン19の始動も許可する。
【0084】
一方、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の接続が検出されると、報知手段52によって前記故障状態を報知するとともに、エンジン停止手段53から停止信号を出力してエンジン19の駆動及び機体の走行を停止することにより、脱穀装置8の駆動を強制的に停止させる他、それ以降、エンジン停止手段53からの停止信号の出力を継続してエンジン19の再始動を禁止する。
【0085】
ちなみに、このようにして、エンジン19の始動が禁止されている状態で、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断切換が検出されると、それ以降は、エンジン停止手段53からのエンジン停止信号の出力を停止させ、エンジン19の再始動を許可する。
【0086】
該構成のコンバインによれば、緊急停止スイッチ17又はその配線等に故障が生じた場合には、脱穀装置8の駆動中と駆動停止中の両ケースで、報知手段52によって報知を行う。また、前記故障状態が検出されている際に、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33が接続されていることが検出されると、エンジン停止手段53によって、エンジン19を停止して脱穀装置8の駆動を停止させる。
【0087】
ただし、前記故障状態が検出されて、報知手段52による報知を行う際に、脱穀センサ47によって脱穀クラッチ33の切断状態が検出された場合、制御部41は、エンジン停止手段53によるエンジン停止は行わず、脱穀装置8の駆動を継続する。このため、エンジン19の駆動を不要に停止して、作業の効率が低下するのを防止する。
【符号の説明】
【0088】
8 脱穀装置
17 緊急停止スイッチ
19 エンジン
41a 規制制御(規制手段)
47 脱穀センサ(駆動停止検出手段,脱穀クラッチ検出手段)
49 車速センサ(走行検出手段)
51 刈取・脱穀クラッチ駆動モータ(動力遮断手段,断続手段)
52 報知手段
53 エンジン停止手段(走行停止手段)
56 C接点(故障検出手段)
56a ノーマルクローズ接点
56b ノーマルオープン接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7