【実施例】
【0028】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
なお、実施例1〜8は参考例である。
【0029】
表1に実施例及び比較例で用いた溶剤紡糸セルロース繊維の変法濾水度、長さ加重平均繊維長、カナダ型標準濾水度を示した。カナダ型標準濾水度は、JIS P8121に準拠して測定した。比較例で用いたマニラ麻パルプ及びエスパルトパルプの長さ加重平均繊維長とカナダ型標準濾水度を示した。F1〜F9は、溶剤紡糸セルロース繊維(繊度1.7dtex、繊維長4mm、コートルズ社製)を原料とし、ダブルディスクリファイナーを用いて叩解し、叩解時間を変えて作製した。マニラ麻パルプ、エスパルトパルプもダブルディスクリファイナーを用いて叩解して作製した。
【0030】
【表1】
【0031】
表2に実施例及び比較例で用いた抄紙用スラリーを示した。表2中の「原料」の記号は、表1の「記号」に該当する。表2中の「原料」のB1とは、ベーマイト(平均一次粒子径0.5μm)を意味する。表2中の「原料」のM1とは、酸化マグネシウム(平均一次粒子径0.3μm)を意味する。実施例及び比較例で用いたベーマイト及び酸化マグネシウムの平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したときの、質量比で積算50%のときの粒子径、即ちD50を意味する。
【0032】
【表2】
【0033】
実施例1〜5、7、8
パルパーを用いてスラリー1〜5、6、7を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例1〜5、7、8のセパレータを作製した。
【0034】
実施例6
スラリー5に、紙力増強剤(荒川化学製、商品名:ポリストロン(登録商標)1250)を溶剤紡糸セルロース繊維に対して2質量%添加して所定時間攪拌し、長網抄紙機へ送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例6のセパレータを作製した。
【0035】
実施例9〜12
所定の溶剤紡糸セルロース繊維をパルパーで離解させながら、予めミキサーで分散させておいた所定量のベーマイトを添加し、凝集剤(三洋化成製、商品名:サンフロック(登録商標)C−009P)を溶剤紡糸セルロース繊維とベーマイトの合計質量に対して0.3質量%添加して所定時間攪拌し、さらに紙力増強剤(荒川化学製、商品名:ポリストロン(登録商標)1250)を溶剤紡糸セルロース繊維に対して2質量%添加して所定時間攪拌し、スラリー8〜11を調製した。スラリー8〜11を長網抄紙機へ送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例9〜12のセパレータを作製した。実施例9〜12のセパレータを指で擦ったとき、無機フィラーの粉落ちは生じなかった。
【0036】
実施例13
所定の溶剤紡糸セルロース繊維をパルパーで離解させながら、予めミキサーで分散させておいた所定量の酸化マグネシウムを添加し、凝集剤(三洋化成製、商品名:サンフロック(登録商標)C−009P)を溶剤紡糸セルロース繊維と酸化マグネシウムの合計質量に対して0.3質量%添加して所定時間攪拌し、さらに紙力増強剤(荒川化学製、商品名:ポリストロン(登録商標)1250)を溶剤紡糸セルロース繊維に対して2質量%添加して所定時間攪拌し、スラリー12を調製した。スラリー12を長網抄紙機へ送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、実施例13のセパレータを作製した。該セパレータを指で擦ったとき、無機フィラーの粉落ちは生じなかった。
【0037】
比較例1〜4
パルパーを用いてスラリー13〜16を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、比較例1〜4のセパレータを作製した。
【0038】
比較例5
マニラ麻パルプをパルパーで離解させながら、予めミキサーで分散させておいた所定量のベーマイトを添加し、凝集剤(三洋化成製、商品名:サンフロック(登録商標)C−009P)をマニラ麻パルプとベーマイトの合計質量に対して0.3質量%添加して所定時間攪拌してスラリー17を調製し、長網抄紙機に送液して抄紙し、150℃のヤンキードライヤーで乾燥させた。抄紙後、カレンダー処理して厚みを調整し、比較例5のセパレータを作製した。該セパレータを指で擦ったとき、無機フィラーの粉落ちは生じなかった。
【0039】
[評価]
実施例及び比較例のセパレータについて、下記の評価を行い、結果を表3に示した。表3中の「−」は該当なしを意味する。
【0040】
<転写性>
セパレータの抄紙時に抄紙網に繊維取られがほとんどなく、湿紙をフェルトに安定して転写できた場合を「◎」、抄紙網への繊維取られは少なく、安定して転写できた場合、又は、抄紙網への繊維取られがやや多い場合もあるが、安定して転写できた場合を「○」、抄紙網の全面又は大部分に連続的に繊維取られが発生して安定して湿紙をフェルトに転写することができなかった場合を「×」とした。
【0041】
<厚み>
JIS P8118に準拠して厚みを測定し、その平均値を算出した。
【0042】
<密度>
JIS P8124に準拠してセパレータの坪量を測定し、坪量を厚みで除して100倍した値を密度とした。
【0043】
<ピンホール>
セパレータの裏側から光を当て、セパレータにピンホールがあるかどうかを目視で判定した。ピンホールがある場合を「あり」、ない場合を「なし」とした。
【0044】
<空孔率>
セパレータの空孔率は、セパレータの比重からセパレータの密度を差し引いて得られる値をセパレータの比重で除した後100倍して算出した。実施例1〜8、比較例1〜4のセパレータの比重については、セルロース繊維の比重1.5とした。実施例9〜12、比較例5のセパレータの比重については、ベーマイトの比重を3.04として、セルロース繊維とベーマイトの配合率に従って計算した。実施例13のセパレータの比重については、酸化マグネシウムの比重を3.65として、セルロース繊維と酸化マグネシウムの配合率に従って計算した。
【0045】
<透気度>
外径28.6mmの円孔を有するガーレー透気度計を用いて、各セパレータにつき巾方向に10箇所のガーレー透気度を測定し、その平均値を示した。ガーレー透気度はJIS P8117に準拠して測定した。
【0046】
<引張強度>
セパレータを15mm幅、200mm長に切りそろえた。200mm長は紙の流れ方向とした。試験片の上下を卓上型材料試験機(オリエンテック製)のチャックに100mm間隔で固定し、100mm/minの一定速度で試験片が切断するまで引き上げていったときの最大荷重とした。1つのセパレータにつき、5本以上の試験片を測定し、その平均値を示した。
【0047】
<平均孔径>
孔径測定装置(PMI製、装置名:パームポロメーター(CFP−1500−A))を用いてセパレータの孔径分布を求め、得られた平均孔径を示した。
【0048】
<均一性>
セパレータの裏側から光を当てて目視で観察し、地合の均一性が極めて良好なものを「◎」、◎よりは劣るが、ピンホールがなく良好なものを「○」、ピンホールが生じるほどの地合のもこつきや粗密斑があるものを「×」とした。
【0049】
[リチウムイオン電池の作製]
正極シート、セパレータ、負極シートの順に積層し、これをアルミニウムラミネート袋に収容し、電解液を注入して袋を封口し、リチウムイオン電池を作製した。正極は、活物質のコバルト酸リチウム、導電助剤のアセチレンブラック、結着剤のポリフッ化ビニリデンを質量比率で90:5:5に混合したスラリーをアルミニウム集電体の両面に塗布したものを用いた。負極は、天然黒鉛、ポリフッ化ビニリデンを質量比率で95:5に混合したスラリーを銅箔集電体の両面に塗布したものを用いた。電解液には、LiPF
6を1モル/リットル溶解させた混合溶液を用いた。混合溶液は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを質量比率で3:7混合したものである。
【0050】
<充放電効率>
リチウムイオン電池を25℃、0.5mA/cm
2で4.2Vまで定電流充電し、さらに4.2Vで定電圧充電し、電流値が0.2mA以下に減衰するまで充電した。このとき得られた容量を初期充電容量とした。充電完了後、20分間休止し、0.5mA/cm
2で3.0Vまで放電した。このとき得られた容量を初期放電容量とし、初期充電容量に対する割合を算出し、充放電効率とした。充放電効率が高いほど好ましい。
【0051】
<放電容量維持率>
リチウムイオン電池を25℃、0.5mA/cm
2で4.3Vになるまで定電流充電し、さらに4.3Vを24時間印加し、過充電した。次いで、30分間休止し、定電流0.5mA/cm
2で3.0Vまで放電した。このとき得られた放電容量の初期放電容量に対する割合を放電容量維持率とした。放電容量維持率が高いほど好ましい。
【0052】
【表3】
【0053】
実施例1〜8のセパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維からなり、変法濾水度75〜250mlで、且つ、長さ加重平均繊維長0.80〜1.80mmであるため、湿紙のフェルトへの転写性が良く、抄紙安定性に優れていた。また、ピンホールがなく、薄くて均一性が高いセパレータが得られた。
【0054】
実施例9〜13のセパレータは、変法濾水度75〜250mlで、且つ、長さ加重平均繊維長0.80〜1.80mmの溶剤紡糸セルロース繊維と無機フィラーを含有してなるため、セルロース繊維同士の密着が抑制され、セルロース繊維間の空隙が保持されたため、電解液のイオン移動が円滑になり、実施例1〜8のセパレータよりも充放電効率が高く優れていた。さらに、過充電された場合も放電容量維持率が高く優れていた。
【0055】
比較例1のセパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維からなり、転写性は良好だったが、変法濾水度が250ml超で、且つ、長さ加重平均繊維長が1.80mm超であるため、太い繊維が多く含まれており、セルロース繊維同士の絡み合いが不十分であり、もこついた不均一な地合になり、厚みを薄くすることができず、ピンホールがあり、強度、充放電効率、放電容量維持率は何れも実施例1〜8(所定の溶剤紡糸セルロース繊維からなる紙)に比べて劣っていた。
【0056】
比較例2のセパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維からなるが、変法濾水度が75ml未満で、且つ、長さ加重平均繊維長が0.80mm未満であるため、抄紙網への繊維取られが多く、湿紙のフェルトへの転写が不安定となり、安定して抄紙することができなかったため、評価することができなかった。
【0057】
比較例3のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維と麻パルプからなるため、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れており、実施例1〜13より強度は強かったが、麻パルプの一部が皮膜を形成するなどして地合が不均一でピンホールがあり、充放電効率と放電容量維持率が実施例1〜13より劣っていた。
【0058】
比較例4のセパレータは、所定の溶剤紡糸セルロース繊維とエスパルトパルプからなるため、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れていたが、エスパルトパルプが堅く、繊維同士の絡み合いが少ないため、地合が不均一でピンホールがあり、溶剤紡糸セルロース繊維のみからなる実施例5よりも充放電効率、放電容量維持率が劣っており、同じ坪量に換算したときの強度も劣っていた。
【0059】
比較例5のセパレータは、溶剤紡糸セルロース繊維を含有せず、麻パルプと無機フィラーからなるため、湿紙の転写性は良好で抄紙安定性に優れており、強度は強かったが、地合が不均一でピンホールがあり、無機フィラーを含有する実施例9〜13より充放電効率と放電容量維持率が劣っていた。