特許第6016517号(P6016517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000002
  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000003
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  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000009
  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000010
  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000011
  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000012
  • 特許6016517-空調換気ダクトの取付構造。 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016517
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】空調換気ダクトの取付構造。
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20161013BHJP
   E04B 5/48 20060101ALI20161013BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   E04B5/58 S
   E04B5/48 D
   F24F13/02 F
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-181996(P2012-181996)
(22)【出願日】2012年8月21日
(65)【公開番号】特開2014-40701(P2014-40701A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(72)【発明者】
【氏名】生天目 泰
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−073639(JP,U)
【文献】 特開2008−275204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
E04B 9/18
E04B 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
野縁受けに一端を固定し、他端を天井スラブに固定した耐震補強部材の側面に空調換気ダクトの外面を貼着することを特徴とする空調換気ダクトの取付け構造。
【請求項2】
前記耐震補強部材と前記空調換気ダクトとを貼着部材で固定することを特徴とする請求項1記載の空調換気ダクトの取付け構造。
【請求項3】
前記空調換気ダクトは段ボール製であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空調換気ダクトの取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井裏に空調換気ダクトを取り付ける構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井構造は、図11のように天井仕上げ材5が野縁4に固定され、その野縁4は野縁受け3に懸っている。野縁受け3には吊り部材2が掛けられており、吊り部材2は天井スラブ1に固定されている。
【0003】
また、空調換気ダクト6は、ダクト受け7に固定され、前記ダクト受け7が天井スラブ1から吊り下げ支持されている。
【0004】
そのため、空調換気ダクト6と天井仕上げ材5が、それぞれ別々に天井スラブ1に吊り下げられるようになっている。
【0005】
このように、天井仕上げ材を吊り下げた構造では、地震等の振動により吊り下げ部材が揺動し、天井仕上げ材同士、天井仕上げ材と壁面、あるいは、空調換気ダクトの吹き出し口と天井仕上げ材とが衝突し落下するおそれがある。
【0006】
そのため、吊り下げ部材の他に野縁受けに耐震補強部材を取付け、吊り下げ部材の揺動を防止している(特許文献1)。
【0007】
この耐震補強部材は、地震応力の集中等を避けるために、天井仕上げ材の平均荷重に対して均等に配置することが必要である。
【0008】
また、空調換気ダクトは居住空間に対して吹き出し口から新鮮な空気を均等に供給するように配置することが求められる。
【0009】
そのため、空調換気ダクト及び耐震補強部材の配置計画は、共に天井仕上げ材に対して均等な配置をすることになるが、従来のように吊り部材を避けて空調換気ダクトの配置計画は適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−267737号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したような耐震補強部材を取付た天井空間内に空調換気ダクトを取付けるには次のような問題がある。
<1>
天井仕上げ材の吊り下げ支持とは別に空調換気ダクトの吊り部材を取り付ける作業が必要である。
<2>
天井仕上げ材の吊り下げ作業と空調換気ダクト取付作業は別々に行われ、作業者が異なる場合が多く、互いの作業の調整が必要である。
<3>天井仕上げ材に吊り下げ支持材の他に耐震補強部材が取り付けられるため空調換気ダクトを配置する空間が狭められることになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決する本発明の空調換気ダクトの取付構造は、野縁受けに一端を固定し、他端を天井スラブに固定した耐震補強部材の側面に空調換気ダクトの外面を貼着することを特徴とする空調換気ダクトの取付け構造である。
また、前記耐震補強部材と前記空調換気ダクトとを貼着部材で固定することを特徴とするものである。
また、前記空調換気ダクトは段ボール製であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の空調換気ダクトの取付構造は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1>
耐震補強部材に空調換気ダクトを取付けるから天井仕上げ材の取付と同時に空調換気ダクトを取付けることができる。
<2>
同じ作業員が天井仕上げ材と空調換気ダクトを取付けるから、作業調整が不要であることから、コスト削減を図ることができる。
<3>
天井仕上げ材の耐震補強部材と吊り部材とで囲まれる空間領域に空調換気ダクトを配置するので、天井仕上げ材の吊り部材や耐震補強部材の配置位置を考慮することなく空調換気ダクトを配置できる。
<4>
軽量な空調換気ダクトを使用することにより耐震補強部材への荷重負担がなく耐震性に影響がでない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の空調換気ダクトの取付図。
図2】断面三角形状の空調換気ダクトの取付図。
図3】(a)は他の断面形状の空調換気ダクトの取付図。(b)は野縁受け補強部材にも貼着した空調換気ダクトの取付図。
図4】1本の耐震補強部材に取り付ける空調換気ダクトの取付図。
図5】1本の耐震補強部材に取り付ける空調換気ダクトの他の取付図。
図6】逆V字状の耐震補強部材における空調換気ダクトの取付図。
図7】逆V字状の耐震補強部材における空調換気ダクトの取付図の他の取付図。
図8】逆V字状の耐震補強部材における空調換気ダクトのさらに他の取付図。
図9】耐震補強部材を交差した固定構造における空調換気ダクトの取付図。
図10】耐震補強部材を交差した固定構造における他の空調換気ダクトの取付図。
図11】従来の天井仕上げ材及び空調換気ダクトの吊り下げ状態を示す斜視図。
図12】耐震補強状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照にしながら本発明の空調換気ダクトの取付構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0016】
<1>全体の構成。
本発明の空調換気ダクト6の取付構造は、耐震補強部材8に空調換気ダクト6を貼着固定支持する構造である。
【0017】
<2>天井仕上げ材の吊り下げ。
天井仕上げ材に野縁を取付け、その野縁に野縁受けを懸ける。
床スラブに固定して垂下させた吊り部材を野縁受けに固定する。
【0018】
<3>耐震補強部材8の取付。
耐震補強部材8は、二方向(例えば、野縁受け方向と野縁受け方向に直交する方向、あるいは、野縁受け方向に対し45°平面回転させて互いに直交する方向)について取り付けられる。
【0019】
耐震補強部材8の一端を野縁受け3に固定し、他端を天井スラブ1に対し斜め上方に取り付けられ、一方向について耐震補強部材を略V字状もしくは逆ハ字状に固定する。
【0020】
なお、耐震補強部材8の取付方向により野縁受け3に直接固定できない場合は、野縁受け3に野縁受け補強部材31を設けて、その野縁受け補強部材31に耐震補強部材8を固定してもよい。
【0021】
また、耐震補強部材8は、野縁受け3の振動を抑止するためのものであり、野縁受け3よりも強度を有する角形鋼管や山形鋼あるいは溝型鋼が好適である。
【0022】
<4>空調換気ダクトの取付。
図1に示すように、空調換気ダクト6の側面と耐震補強部材8の側面とを貼着部材9で固定する。
【0023】
貼着部材9として面ファスナーを使用する場合は、空調換気ダクト6の側面に雌型面ファスナーを貼りつけ、耐震補強部材8に雄型面ファスナーを貼りつけ、雌型面ファスナーと雄型ファスナーとを係合固定する。
【0024】
空調換気ダクト6は耐震補強部材8に取り付けられることから、耐震補強部材8に荷重負担のかからない材料で作成されたダクトが好ましく、段ボール製ダクトが最適である。
【0025】
また、面ファスナーを用いることによりダクト内の気流により軽量な段ボール製の空調換気ダクト6が微振動することも想定されるが、面ファスナーが防振性を有することから、耐震補強部材8に伝達することがなく、天井仕上げ材1の振動を防ぐ効果もある。
【0026】
<5>空調換気ダクト6の断面形状。
また耐震補強部材8に取り付けられたときの空調換気ダクト6の断面形状は、図2又は図3に示すような四角形以外の三角形、五角形、あるいはそれ以外の多角形の形状でもよく、空調換気性能を保持できる形状であれば、断面形状に拘るものではない。
【0027】
また、野縁受け3に野縁受け補強部材31を設けたときには、野縁受け補強部材31に空調換気ダクト6を貼着するような断面形状であってもよいことはもちろんである。(図3b)
【0028】
空調換気ダクト6から天井仕上げ材1に開口され居室空間に吹き出すための吹き出し口へは、空調換気ダクト6の斜め下面あるいは、空調換気ダクト6の上面からの分岐が対応することできる。
【0029】
<6>他の空調換気ダクトの取付。
空調換気ダクト6の取付位置は、V字状又は逆ハ字状の挟角部に限るものではなく、図4又は図5のように、1本の耐震補強部材8に取り付けることも可能である。
【0030】
耐震補強部材8と吊り部材2の配置計画により、空調換気ダクト6の取付位置を決定すればよい。
【0031】
<7>逆V字状の耐震補強部材8への取付。
耐震補強部材8の固定構造は逆V字状又はハ字状に取付ることも可能とするのであり、その際、空調換気ダクト6を図6に示すように、天井スラブ1付近に耐震補強部材8が形成する挟角部に固定することができる。
なお、空調換気ダクト6の下面側を保持する保持部材を耐震補強部材8に取り付けてもよい。
【0032】
また、図7又は図8に示すように空調換気ダクト6を1本の耐震補強部材8に取付ることも可能である。
【0033】
<8>交差形状の耐震補強部材8への取付構造。
耐震補強部材8の固定構造はV字状、又はハ字状に限らず交差した略X字状に固定する構造も可能であり、この場合の空調換気ダクト6は、図9又は図10に示すように耐震補強部材8が形成する挟角部に取り付けが可能である。さらに、1本の耐震補強部材だけに取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 天井スラブ
2 吊り部材
3 野縁受け
4 野縁
5 天井仕上げ材
6 空調換気ダクト
8 耐震補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12