【実施例】
【0016】
<1>全体の構成。
本発明の空調換気ダクト6の取付構造は、耐震補強部材8に空調換気ダクト6を貼着固定支持する構造である。
【0017】
<2>天井仕上げ材の吊り下げ。
天井仕上げ材に野縁を取付け、その野縁に野縁受けを懸ける。
床スラブに固定して垂下させた吊り部材を野縁受けに固定する。
【0018】
<3>耐震補強部材8の取付。
耐震補強部材8は、二方向(例えば、野縁受け方向と野縁受け方向に直交する方向、あるいは、野縁受け方向に対し45°平面回転させて互いに直交する方向)について取り付けられる。
【0019】
耐震補強部材8の一端を野縁受け3に固定し、他端を天井スラブ1に対し斜め上方に取り付けられ、一方向について耐震補強部材を略V字状もしくは逆ハ字状に固定する。
【0020】
なお、耐震補強部材8の取付方向により野縁受け3に直接固定できない場合は、野縁受け3に野縁受け補強部材31を設けて、その野縁受け補強部材31に耐震補強部材8を固定してもよい。
【0021】
また、耐震補強部材8は、野縁受け3の振動を抑止するためのものであり、野縁受け3よりも強度を有する角形鋼管や山形鋼あるいは溝型鋼が好適である。
【0022】
<4>空調換気ダクトの取付。
図1に示すように、空調換気ダクト6の側面と耐震補強部材8の側面とを貼着部材9で固定する。
【0023】
貼着部材9として面ファスナーを使用する場合は、空調換気ダクト6の側面に雌型面ファスナーを貼りつけ、耐震補強部材8に雄型面ファスナーを貼りつけ、雌型面ファスナーと雄型ファスナーとを係合固定する。
【0024】
空調換気ダクト6は耐震補強部材8に取り付けられることから、耐震補強部材8に荷重負担のかからない材料で作成されたダクトが好ましく、段ボール製ダクトが最適である。
【0025】
また、面ファスナーを用いることによりダクト内の気流により軽量な段ボール製の空調換気ダクト6が微振動することも想定されるが、面ファスナーが防振性を有することから、耐震補強部材8に伝達することがなく、天井仕上げ材1の振動を防ぐ効果もある。
【0026】
<5>空調換気ダクト6の断面形状。
また耐震補強部材8に取り付けられたときの空調換気ダクト6の断面形状は、
図2又は
図3に示すような四角形以外の三角形、五角形、あるいはそれ以外の多角形の形状でもよく、空調換気性能を保持できる形状であれば、断面形状に拘るものではない。
【0027】
また、野縁受け3に野縁受け補強部材31を設けたときには、野縁受け補強部材31に空調換気ダクト6を貼着するような断面形状であってもよいことはもちろんである。(
図3b)
【0028】
空調換気ダクト6から天井仕上げ材1に開口され居室空間に吹き出すための吹き出し口へは、空調換気ダクト6の斜め下面あるいは、空調換気ダクト6の上面からの分岐が対応することできる。
【0029】
<6>他の空調換気ダクトの取付。
空調換気ダクト6の取付位置は、V字状又は逆ハ字状の挟角部に限るものではなく、
図4又は
図5のように、1本の耐震補強部材8に取り付けることも可能である。
【0030】
耐震補強部材8と吊り部材2の配置計画により、空調換気ダクト6の取付位置を決定すればよい。
【0031】
<7>逆V字状の耐震補強部材8への取付。
耐震補強部材8の固定構造は逆V字状又はハ字状に取付ることも可能とするのであり、その際、空調換気ダクト6を
図6に示すように、天井スラブ1付近に耐震補強部材8が形成する挟角部に固定することができる。
なお、空調換気ダクト6の下面側を保持する保持部材を耐震補強部材8に取り付けてもよい。
【0032】
また、
図7又は
図8に示すように空調換気ダクト6を1本の耐震補強部材8に取付ることも可能である。
【0033】
<8>交差形状の耐震補強部材8への取付構造。
耐震補強部材8の固定構造はV字状、又はハ字状に限らず交差した略X字状に固定する構造も可能であり、この場合の空調換気ダクト6は、
図9又は
図10に示すように耐震補強部材8が形成する挟角部に取り付けが可能である。さらに、1本の耐震補強部材だけに取り付けることも可能である。