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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016520
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20161013BHJP
   H01M 8/24 20160101ALI20161013BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20161013BHJP
【FI】
   H01M8/04 Z
   H01M8/24 Z
   !H01M8/12
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-183198(P2012-183198)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-41751(P2014-41751A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】後藤 征司
(72)【発明者】
【氏名】眞竹 徳久
(72)【発明者】
【氏名】小阪 健一郎
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−218110(JP,A)
【文献】 特開2004−134264(JP,A)
【文献】 特開2010−282960(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0269052(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0184315(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0164069(US,A1)
【文献】 特開平02−309565(JP,A)
【文献】 特開昭63−010475(JP,A)
【文献】 特開昭60−044965(JP,A)
【文献】 特開2002−289249(JP,A)
【文献】 特開平03−040379(JP,A)
【文献】 特開昭60−109180(JP,A)
【文献】 特開平06−233927(JP,A)
【文献】 特開2004−087497(JP,A)
【文献】 特表2008−510277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器中心軸を中心として、容器中心軸方向に延びる円筒形状の圧力容器と、
前記圧力容器内に配置され、前記容器中心軸方向に延びる円筒状のセル集合体が複数組み付けられて、該容器中心軸方向に延びる柱状の形状を成す複数のカートリッジと、
前記圧力容器内に配置され、前記複数のカートリッジに接続されている配管と、
を備え、
前記複数のカートリッジは、前記容器中心軸に対して垂直な仮想面内の方向で互いに隣接してカートリッジ群を形成しており
前記カートリッジ群は、前記容器中心軸方向に並んで複数群配置されており、
前記容器中心軸方向で互いに隣接する2つのカートリッジ群のうち、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジには、前記配管として燃料ガス供給のための第一配管が接続され、
前記第一カートリッジ群と第二カートリッジ群の間には、前記第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジを通過して排出された燃料ガスを第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジに供給するための第二配管が配置されている
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項2】
容器中心軸を中心として、容器中心軸方向に延びる円筒形状の圧力容器と、
前記圧力容器内に配置され、前記容器中心軸方向に延びる円筒状のセル集合体が複数組み付けられて、該容器中心軸方向に延びる柱状の形状を成す複数のカートリッジと、
前記圧力容器内に配置され、前記複数のカートリッジに接続されている配管と、
を備え、
前記複数のカートリッジは、前記容器中心軸に対して垂直な仮想面内の方向で互いに隣接してカートリッジ群を形成しており、
前記カートリッジ群は、前記容器中心軸方向に並んで複数群配置されており、
前記容器中心軸方向で互いに隣接する2つのカートリッジ群のうち、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジと第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジとは、前記容器中心軸方向における向きが逆向きとなるように交互に配置されており、
これら向きが異なる2つのカートリッジ群の燃料ガス供給側である第1カートリッジヘッダが互いに対面しているカートリッジ群の間には、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジと第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジとに燃料ガスを供給するための一部が共有化された配管が配置されており、
前記向きが異なる2つのカートリッジ群の燃料ガス回収側である第2のカートリッジヘッダが互いに対面しているカートリッジ群の間には、前記2つのカートリッジ群から排出された燃料ガスを回収する一部が共有化された配管が配置されている
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記複数のカートリッジ群を形成している各カートリッジに酸化剤を供給するための酸化剤供給配管を備える、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記複数のカートリッジは、円柱形状を成す、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記複数のカートリッジは、正多角柱形状を成す、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記複数のカートリッジのそれぞれは、いずれも、前記仮想面内の方向で2以上のカートリッジと隣接する、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記複数のカートリッジは、前記容器中心軸に垂直な断面における内接円の直径寸法は、前記圧力容器の内径寸法の1/3未満である、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料電池モジュールにおいて、
前記容器中心軸方向は、上下方向である、
ことを特徴とする燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セル集合体が圧力容器内に収納されている燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、低公害で発電効率が高いため、近年、各種分野での利用が期待されている。燃料電池は、一般的に、水素や炭化水素系ガス等を含む燃料ガスを触媒作用により改質する燃料極と、空気等の酸化剤ガスから酸素イオンを生成する空気極と、この空気極で生成された酸素イオンを燃料極に移動させる固体電解質とを有する。燃料極と固体電解質との界面付近では、燃料極で改質された燃料ガスと固定電解質からの酸素イオンとが電気化学反応して発電が行われる。この燃料電池は、排気ガスがクリーンであることから、例えば、病院や工場等の分散電源として利用されている。
【0003】
このような燃料電池を備えた燃料電池モジュールの一例として、例えば、以下の特許文献1に開示されているものがある。
【0004】
この燃料電池モジュールは、上下方向に延びる円筒形状の圧力容器と、この圧力容器内に配置される複数のカートリッジと、各カートリッジに燃焼ガスや酸化剤ガスを供給等するための配管と、を備えている。カートリッジは、セル集合体であるセルチューブ(又はセルスタック)の束で、角柱形状を成している。セルチューブは、複数の電池セルと、多孔質材料で形成されている円筒形状の基体管とを有している。電池セルは、前述の燃料極、固体電解質及び空気極を有して構成されている。複数の電池セルは、円筒形状の基体管の外周面に形成されている。
【0005】
複数の角柱形状のカートリッジは、両端部が上下方向を向き、水平方向で互いに隣接して、圧力容器内に配置されている。水平方向で互いに隣接している複数のカートリッジは、カートリッジ群を形成している。このカートリッジ群は、カートリッジ自体と同様、角柱形状を成している。外部からの燃焼ガスや酸化剤ガスを各カートリッジに供給等するための配管は、圧力容器内であって、角柱形状のカートリッジ群の外周側を通っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4119724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の燃料電池モジュールは、事業用や商用の大規模な発電用のものとして極めて有効なものである。ところで、このような燃料電池モジュールは、都市部での設置が多くなることが想定されることから、圧力容器における単位体積当たりの発電量の増加が望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、単位体積当たりの発電量の増加を図ることができる燃料電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための発明の一態様としての燃料電池モジュールは、容器中心軸を中心として、容器中心軸方向に延びる円筒形状の圧力容器と、前記圧力容器内に配置され、前記容器中心軸方向に延びる円筒状のセル集合体が複数組み付けられて、該容器中心軸方向に延びる柱状の形状を成す複数のカートリッジと、前記圧力容器内に配置され、前記複数のカートリッジに接続されている配管と、を備え、前記複数のカートリッジは、前記容器中心軸に対して垂直な仮想面内の方向で互いに隣接してカートリッジ群を形成しており前記カートリッジ群は、前記容器中心軸方向に並んで複数群配置されており、 前記容器中心軸方向で互いに隣接する2つのカートリッジ群のうち、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジには、前記配管として燃料ガス供給のための第一配管が接続され、前記第一カートリッジ群と第二カートリッジ群の間には、前記第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジを通過して排出された燃料ガスを第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジに供給するための第二配管が配置されていることを特徴とする。
【0010】
当該燃料電池モジュールでは、容器中心軸に対して垂直な仮想面内の方向で互いに隣接している複数のカートリッジの相互間に、配管中の軸方向延在部を配置しているため、圧力容器内の空間を有効利用できる。この結果、当該燃料電池モジュールでは、圧力容器内に配置できるセル集合体の総容積を増加させることができ、圧力容器における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0011】
また、上記目的を達成するための発明の他の態様としての燃料電池モジュールは、容器中心軸を中心として、容器中心軸方向に延びる円筒形状の圧力容器と、前記圧力容器内に配置され、前記容器中心軸方向に延びる円筒状のセル集合体が複数組み付けられて、該容器中心軸方向に延びる柱状の形状を成す複数のカートリッジと、前記圧力容器内に配置され、前記複数のカートリッジに接続されている配管と、を備え、前記複数のカートリッジは、前記容器中心軸に対して垂直な仮想面内の方向で互いに隣接してカートリッジ群を形成しており、前記カートリッジ群は、前記容器中心軸方向に並んで複数群配置されており、前記容器中心軸方向で互いに隣接する2つのカートリッジ群のうち、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジと第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジとは、前記容器中心軸方向における向きが逆向きとなるように交互に配置されており、これら向きが異なる2つのカートリッジ群の燃料額供給側である第1カートリッジヘッダが互いに対面しているカートリッジ群の間には、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジと第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジとに燃料ガスを供給するための一部が共有化された配管が配置されており、前記向きが異なる2つのカートリッジ群の燃料ガス回収側である第2のカートリッジヘッダが互いに対面しているカートリッジ群の間には、前記2つのカートリッジ群から排出された燃料ガスを回収する一部が共有化された配管が配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、前記燃料電池モジュールにおいて、前記複数のカートリッジ群を形成している各カートリッジに接続されている配管には、燃料ガスを供給する配管の他に、酸化剤を供給するための酸化剤供給配管を有している。
【0013】
また、前記燃料電池モジュールにおいて、前記複数のカートリッジは、円柱形状を成してもよいし、正多角柱形状を成してもよい。
【0014】
また、前記燃料電池モジュールにおいて、前記複数のカートリッジのそれぞれは、いずれも、前記仮想面内の方向で2以上のカートリッジと隣接することが好ましい。
【0015】
当該電池モジュールでは、圧力容器内に配置されるカートリッジの数量が増加し、圧力容器における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0016】
この場合、前記複数のカートリッジのそれぞれは、いずれも、前記仮想面内の方向で2個のカートリッジと隣接し、互いに該仮想面内の方向で隣接し合う3個のカートリッジにおける各カートリッジ中心軸は、二等辺三角形の頂点上に位置していてもよい。
【0017】
また、前記燃料電池モジュールにおいて、前記複数のカートリッジは、前記容器中心軸に垂直な断面における内接円の直径寸法は、前前記圧力容器の内径寸法の1/3未満であることが好ましい。
【0018】
当該燃料電池モジュールでは、比較的多くの数量のカートリッジを容器内に配置することができるので、圧力容器における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0019】
また、前記燃料電池モジュールにおいて、前記圧力容器内には、前記仮想面内の方向で隣接している複数の前記カートリッジで構成される複数のカートリッジ群が、前記容器中心軸方向に並んで配置され、前記容器中心軸方向で互いに隣接する2つのカートリッジ群のうち、第一カートリッジ群を構成する複数のカートリッジには、前記配管として第一配管が接続され、第二カートリッジ群を構成する複数のカートリッジには、前記配管として前記第一配管と同じガスが流れる第二配管が接続されていてもよい。
【0020】
この場合、前記第一カートリッジ群を構成する複数の前記カートリッジと、前記第二カートリッジ群を構成する複数の前記カートリッジとは、前記容器中心軸方向における向きが逆向きであり、前記容器中心軸方向における前記第一カートリッジ群と前記第二カートリッジ群との間には、前記第一配管の一部と前記第二配管の一部とが配置され、前記第一配管の前記一部と前記第二配管の前記一部とは、互いに共有していることが好ましい。
【0021】
当該燃料電池モジュールでは、配管を部分的に共有化しているため、圧力容器を小型化することができる。このため、当該燃料電池モジュールでは、圧力容器における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0022】
また、前記電池モジュールにおいて、前記容器中心軸方向は、上下方向であることが好ましい。
【0023】
当該燃料電池モジュールでは、円筒状のセル集合体の長手方向が上下方向になり、セル集合体の長手方向に垂直な方向の撓みを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、圧力容器内の空間を有効利用できるので、圧力容器内に配置できるセル集合体の総容積を増加させることができ、圧力容器における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1参考例としての燃料電池モジュールの概略構成を示す模式図である。
図2】本発明に係る第一実施形態におけるセルスタックの要部断面図である。
図3】本発明に係る第一実施形態におけるカートリッジの断面図である。
図4】本発明に係る第一実施形態におけるカートリッジの斜視図である。
図5】本発明に係る第一実施形態における燃料電池モジュールの横断面である。
図6】本発明に係る第一実施形態における燃料電池モジュールの縦断面である。
図7】本発明に係る第一実施形態における燃料電池モジュールの要部斜視図ある。
図8】参考例としての燃料電池モジュールの横断面図である。
図9】本発明に係る第二実施形態における燃料電池モジュールの縦断面図である。
図10】本発明に係る第二実施形態の変形例における燃料電池モジュールの模式図である。
図11】本発明に係る燃料電池モジュールの第一変形例におけるカートリッジ群の断面図である。
図12】本発明に係る燃料電池モジュールの第二変形例におけるカートリッジ群の断面図である。
図13】本発明に係る燃料電池モジュールの第三変形例におけるカートリッジ群の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る燃料電池モジュールの各種実施形態及び各種変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
「第一実施形態」
まず、本発明に係る燃料電池モジュールの第一実施形態について、図1図7を参照して説明する。
【0028】
図1に示す参考例としての燃料電池モジュールMは、図1に示すように、容器中心軸Avを中心として容器中心軸方向Dvに延びる円筒形状の圧力容器10と、この圧力容器10内に配置されている複数のカートリッジ201及び複数の各種配管300と、を備えている。
【0029】
配管300としては、燃料ガス供給源1からの燃料ガスGfを圧力容器10内の各カートリッジ201に導く燃料ガス供給配管310と、各カートリッジ201を通過した燃料ガスGfを圧力容器10外に導く燃料ガス排出配管320と、酸化剤ガス供給源2からの酸化剤ガスGoを圧力容器10内の各カートリッジ201に導く酸化剤ガス供給配管330と、各カートリッジ201を通過した酸化剤ガスGoを圧力容器10外に導く酸化剤ガス排出配管340とがある。
【0030】
燃料ガスGfとしては、例えば、水素、一酸化炭素、メタン等の炭化水素系ガス、石炭等の炭素質原料のガス化により得られたガス、又は、これらの2以上の成分を含むガス等が利用される。また、酸化剤ガスGoとしては、例えば、酸素を15〜30vol%含むガス等が利用される。代表的な酸化剤ガスGoとしては、空気であるが、燃焼排気ガスと空気との混合ガスや、酸素と空気との混合ガスを利用してもよい。
【0031】
圧力容器10は、例えば、内部の圧力が0.1MPa〜約5MPa、内部の温度が大気温度〜約550℃で運用される。このため、この圧力容器10は、耐圧性を考慮して、円筒形状の胴部11と、胴部11の中心軸方向における両端部に形成されている半球状の鏡部12とを有している。この圧力容器10は、全体として円筒形状を成し、その容器中心軸Avが上下方向に延びるよう設置されている。また、この圧力容器10は、耐圧性と共に、酸化剤ガスGo中に含まれる酸素などの酸化剤に対する耐食性も要求されるため、例えば、SUS304などのステンレス系材で形成されている。
【0032】
次に、本発明の第一実施態様について説明する。本発明の第一実施態様は、先に説明した参考例と配管の仕方は異なるものの、圧力容器10やこの圧力容器内に配置されている複数のカートリッジ並びに配管を通して送られる燃料ガスGfや酸化剤ガスGoそのものは同じである。そして、前記圧力容器内に配置されているカートリッジ201は、複数のセルスタックの束で構成されている。図2に示すように、セル集合体であるセルスタック101は、円筒形状(又は管形状)の基体管103と、基体管103の外周面に形成されている複数の燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されているインターコネクタ107とを有する。燃料電池セル105は、燃料極112と固体電解質111と空気極113とが積層して形成されている。セルスタック101は、さらに、基体管103の外周面に形成されている複数の燃料電池セル105のうちで、基体管103の軸方向において最も端に形成されている燃料電池セル105の空気極113に、インターコネクタ107を介して電気的に接続されているリード膜115を有する。
【0033】
本実施形態では、この円筒形状(又は管形状)のセルスタック101の内周側に燃料ガスGfが通り、外周側に酸化剤ガスGoが通る。
【0034】
基体管103は、例えば、CaO安定化ZrO(CSZ)、Y安定化ZrO2(YSZ)、MgAl等のいずれかで形成されている多孔質体である。この基体管103は、燃料電池セル105とインターコネクタ107とリード膜115とを支持する役目を担っている。さらに、この基体管103は、内周側に供給された燃料ガスGfを基体管103の細孔を介して基体管103の外周面に形成される燃料電池セル105に拡散させる役目も担っている。
【0035】
燃料極112は、例えば、Ni/YSZ等、Niとジルコニア系電解質材料との複合材の酸化物で形成されている。この場合、燃料極112は、燃料極112の成分であるNiが燃料ガスGfに対して触媒として作用する。この触媒としての作用は、基体管103を介して供給された燃料ガスGf中に、例えば、メタン(CH)と水蒸気とが含まれている場合、これら相互を反応させ、水素(H)と一酸化炭素(CO)に改質する作用である。
【0036】
空気極113は、例えば、LaSrMnO系酸化物、又はLaCoO系酸化物で形成されている。この空気極113は、固体電解質111との界面付近において、供給される酸化剤ガスGo中の酸素を解離させて酸素イオン(O2−)を生成する。
【0037】
固体電解質111は、例えば、主としてYSZで形成されている。このYSZは、ガスを通しにくい気密性と、高温下での高い酸素イオン導電性とを有している。この固体電解質111は、空気極113で生成された酸素イオン(O2−)を燃料極112に移動させる。
【0038】
前述の燃料極112では、固体電解質111との界面付近において、改質により得られた水素(H)及び一酸化炭素(CO)と、固体電解質111から供給された酸素イオン(O2−)とが反応し、水(HO)及び二酸化炭素(CO)が生成される。この燃料電池セル105では、この反応過程で酸素イオンから電子が放出されて、発電が行われる。
【0039】
インターコネクタ107は、例えば、SrTiO系などのM1−xTiO(Mはアルカリ土類金属元素、Lはランタノイド元素)で表される導電性ペロブスカイト型酸化物で形成されている。このインターコネクタ107は、燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとが混合しないように緻密な膜で、酸化雰囲気と還元雰囲気との両雰囲気下で安定した電気導電性を有する。このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105において、一方の燃料電池セル105の空気極113と他方の燃料電池セル105の燃料極112とを電気的に接続する。つまり、このインターコネクタ107は、隣り合う燃料電池セル105同士を電気的に直列接続する。
【0040】
リード膜115は、電子伝導性を有すること、及びセルスタック101を構成する他の材料との熱膨張係数が近いことが必要であることから、例えば、Ni/YSZ等のNiとジルコニア系電解質材料との複合材で形成されている。このリード膜115は、インターコネクタ107により電気的に直列接続されている複数の燃料電池セル105で発電された直流電力をセルスタック101の端部付近まで導出する役目を担っている。
【0041】
カートリッジ201は、図3及び図4に示すように、複数のセルスタック101と、複数のセルスタック101の束の一方の端部を覆う第一カートリッジヘッダ220aと、複数のセルスタック101の束の他方の端部を覆う第二カートリッジヘッダ220bと、を有している。複数のセルスタック101は、互いに平行で且つその長手方向における互いの位置が揃って、全体として円柱形状を成している。また、第一カートリッジヘッダ220a及び第二カートリッジヘッダ220bは、円柱形状を成している複数のセルスタック101の束の外径よりわずかに大きな外径の円筒形状を成している。このため、カートリッジ201は、全体として、セルスタック101の長手方向に長い円柱形状を成している。
【0042】
第一カートリッジヘッダ220a及び第二カートリッジヘッダ220bは、いずれも、複数のセルスタック101の束の端部が開口228から内部に入り込む円筒形状のケーシング229a,229bと、ケーシング229a,229bの開口228を塞ぐ断熱体227a,227bと、ケーシング229a,229bの内部空間をセルスタック101の長手方向で2つの空間に仕切る管板225a,225bと、を有している。管板225a,225b等は、インコネル(ニッケル基合金に対するスペシャルメタルズ社の登録商標)等の高温耐久性のある金属材料で形成されている。管板225a,225b及び断熱体227a,227bには、複数のセルスタック101の端部のそれぞれが挿通可能な貫通孔が形成されている。管板225a,225bは、その貫通孔に挿通されたセルスタック101の端部をシール部材又は接着剤237を介して支持する。このため、この管板225a,225bには貫通孔が形成されているものの、この管板225a,225bを基準にしてケーシング229a,229b内の一方の空間に対する他方の空間の気密性が確保されている。断熱体227a,227bの貫通孔の内径は、ここに挿通されるセルスタック101の外径よりも大きく形成されている。つまり、断熱体227a,227bの貫通孔の内周面と、この貫通孔に挿通されたセルスタック101の外周面との間には隙間235a,235bが存在する。
【0043】
第一カートリッジヘッダ220aのケーシング229aと管板225aとで形成されている空間は、燃料ガスGfが供給される燃料ガス供給室217を形成している。このケーシング229aには、燃料ガス供給配管310(313a,313b)からの燃料ガスGfを燃料ガス供給室217に導くための燃料ガス供給孔231aが形成されている。この燃料ガス供給室217内には、複数のセルスタック101における基体管103の端部が位置し、ここで開放している。燃料ガス供給配管310から燃料ガス供給室217に導かれた燃料ガスGfは、複数のセルスタック101の基体管103の内部に流れ込む。この際、燃料ガスGfは、燃料ガス供給室217により、複数のセルスタック101の各基体管103に対してほぼ均等流量に配分される。このため、複数のセルスタック101における各発電量の均一化を図ることができる。
【0044】
第二カートリッジヘッダ220bのケーシング229bと管板225bとで形成されている空間は、セルスタック101の基体管103内を通過した燃料ガスGfが流れ込む燃料ガス排出室219を形成している。このケーシング229bには、燃料ガス排出室219に流れ込んだ燃料ガスGfを燃料ガス排出配管320(323a,323b)に導くための燃料ガス排出孔231bが形成されている。この燃料ガス排出室219内には、複数のセルスタック101における基体管103の端部が位置し、ここで開放している。複数のセルスタック101の各基体管103内を通過した燃料ガスGfは、前述したように、燃料ガス排出室219に流入した後、燃料ガス排出配管320を通って、圧力容器10外へ排出される。
【0045】
第二カートリッジヘッダ220bのケーシング229bと断熱体227bと管板225bとで形成されている空間は、酸化剤ガス供給室216を形成している。このケーシング229bには、酸化剤ガス供給配管330(333a,333b)からの酸化剤ガスGoを酸化剤ガス供給室216に導くための酸化剤ガス供給孔233bが形成されている。この酸化剤ガス供給室216内に導かれた酸化剤ガスGoは、断熱体227bの貫通孔の内周面と、この貫通孔に挿通されているセルスタック101の外周面との間の隙間235bから、第一カートリッジヘッダ220aと第二カートリッジヘッダ220bとの間の発電室215へと流出する。
【0046】
第一カートリッジヘッダ220aと第二カートリッジヘッダ220bとの間の発電室215には、複数のセルスタック101の燃料電池セル105が配置されている。このため、この発電室215では、燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとが電気化学的反応して、発電が行われる。なお、この発電室215で、セルスタック101の長手方向における中央部付近の温度は、燃料電池モジュールM201の定常運転時に、およそ700℃〜1100℃の高温雰囲気になる。また、この発電室215は、第一カートリッジヘッダ220aと第二カートリッジヘッダ220bとの間であって、外周側が後述の内側断熱材16で囲まれた空間である。
【0047】
第一カートリッジヘッダ220aのケーシング229aと断熱体227aと管板225aとで形成されている空間は、発電室215を通った酸化剤ガスGoが流入する酸化剤ガス排出室218を形成している。このケーシング229aには、酸化剤ガス排出室218に流れ込んだ酸化剤ガスGoを酸化剤ガス排出配管340(343a,343b)に導くための酸化剤ガス排出孔233aが形成されている。発電室215中の酸化剤ガスGoは、断熱体227aの貫通孔の内周面と、この貫通孔に挿通されているセルスタック101の外周面との間の隙間235aから酸化剤ガス排出室218内に流入した後、酸化剤ガス排出配管340を通って、圧力容器10外へ排出される。
【0048】
発電室215の高温化に伴って、各カートリッジヘッダ220a,220bの管板225a,225bが高温化する。第一カートリッジヘッダ220a及び第二カートリッジヘッダ220bの断熱体227a,227bは、この管板225a,225bが高温化による強度低下や酸化剤ガスGo中に含まれている酸化剤による腐食を抑える。さらに、この断熱体227a,227bは、管板225a,225bの熱変形も抑える。
【0049】
前述したように、発電室215中の酸化剤ガスGoと、この発電室215に配置されている複数のセルスタック101の内側を通る燃料ガスGfとは、セルスタック101における複数の燃料電池セル205で電気化学反応する。この結果、複数の燃料電池セル205で発電が行われる。
【0050】
複数の燃料電池セル205での発電で得られた直流電流は、複数の燃料電池セル205相互間に設けられているインターコネクタ107を経て、セルスタック101の端部側へ流れ、このセルスタック101のリード膜115に流れ込む。そして、この直流電流は、リード膜115から、集電板(不図示)を介して、カートリッジ201の集電棒(不図示)に流れ、カートリッジ201外部へ取り出される。複数の集電棒は、互いに直列及び/又は並列接続されている。集電棒のうち、最も下流側の集電棒は、例えば、図示されていないインバータに接続されている。カートリッジ201外部に取り出された直流電流は、直列及び/又は並列接続されている複数の集電棒を経て、例えば、インバータに流れ、ここで交流電流に変換されて、電力負荷へと供給される。
【0051】
セルスタック101の内周側を流れる燃料ガスGfとセルスタック101の外周側を流れる酸化剤ガスGoとは、このセルスタック101を介して熱交換する。この結果、燃料ガスGfは、酸化剤ガスGoにより加熱され、酸化剤ガスGoは、逆に燃料ガスGfにより冷却される。本実施形態では、これら燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとがセルスタック101の内周側と外周側とを対向して流れる。このため、燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとの熱交換率が高まり、燃料ガスGfによる酸化剤ガスGoの冷却効率、及び酸化剤ガスGoによる燃料ガスGfの加熱効率が高まる。よって、本実施形態において、酸化剤ガスGoは、第一カートリッジヘッダ220aを形成する管板225a等が座屈変形等しない温度に冷却されてから、この第一カートリッジヘッダ220aの酸化剤ガス排出室218に流れ込む。また、本実施形態において、燃料ガスGfは、発電室215内のセルスタック101内で、ヒーター等を用いることなく発電に適した温度に予熱昇温される。
【0052】
なお、本実施形態では、燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとがセルスタック101の内周側と外周側とを対向して流れる、つまり燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとが逆向きに流れるが、必ずしもこの必要はなく、例えば、燃料ガスGfと酸化剤ガスGoとがセルスタック101の内周側と外周側で同じ向きに流れてもよいし、酸化剤ガスGoが燃料ガスGfの流れに対して直交する方向に流れてもよい。
【0053】
円柱形状の複数のカートリッジ201は、図5図7に示すように、いずれも、カートリッジ中心軸Acが圧力容器10の容器中心軸Avと平行になるよう、圧力容器10内に配置されている。つまり、本実施形態では、カートリッジ中心軸Acは、容器中心軸Avと同様、上下方向に延びている。本実施形態において、所定数のカートリッジ201は、容器中心軸方向Dv(上下方向)における位置が互いに同じ位置になり、且つ容器中心軸Avに対して垂直な仮想面を含む方向で互いに隣接するよう配置されて、カートリッジ群200を構成している。本実施形態の燃料電池モジュールMは、このカートリッジ群200を2つ備えている。2つのカートリッジ群200は、圧力容器10内で容器中心軸方向Dvに並んでいる。
【0054】
1つのカートリッジ群200を構成するカートリッジ201の数量は、3以上であり、本実施形態の場合、7個である。7個のカートリッジ201のうち、一のカートリッジ201は、容器中心軸Av上に配置され、残りの6個のカートリッジ201は、一のカートリッジ201を囲むように、容器中心軸Avを中心として周方向に並んで配置されている。また、容器中心軸Av上に配置されている一のカートリッジ201を基準にして対称な位置に、残りの6個のカートリッジ201のうちの2個が配置されている。つまり、一のカートリッジ201を含む3個のカートリッジ201の各カートリッジ中心軸Acは、容器中心軸Avに対する放射方向に直線上に並んでいる。このように本実施形態では、容器中心軸Avに対する放射方向に3個のカートリッジ201が直線状に並ぶ関係上、円柱形状のカートリッジ201の直径(=カートリッジ201の内接円の直径)は、円筒形状の圧力容器10の内径の1/3未満である。また、互いに隣り合っているカートリッジ201の各カートリッジ中心軸Acの相互間隔は、いずれの組合せでも同一である。よって、本実施形態において、互いに隣り合っている3個のカートリッジ201の各カートリッジ中心軸Acは、正三角形の頂点上に位置している。
【0055】
2つのカートリッジ群200のうち、上側に配置されている第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201、及び下側に配置されている第二カートリッジ群200bを構成する複数のカートリッジ201は、いずれも、第一カートリッジヘッダ220aを上側に向け、第二カートリッジヘッダ220bを下側に向けて配置されている。
【0056】
燃料ガス供給配管310、燃料ガス排出配管320、酸化剤ガス供給配管330、酸化剤ガス排出配管340には、いずれも、図5、6に示すように第一カートリッジ群200a用の配管310a,320a,330a,340aと第二カートリッジ群200b用の配管310b,320b,330b,340bとがある。さらに、燃料ガス供給配管310、燃料ガス排出配管320、酸化剤ガス供給配管330、酸化剤ガス排出配管340は、いずれも、本管と、カートリッジ群200を構成する複数のカートリッジ201の数量分(又はこの数量の倍数分)だけ本管から分岐した分岐管とを有している。燃料ガス供給配管310、燃料ガス排出配管320、酸化剤ガス供給配管330、酸化剤ガス排出配管340における各本管は、本実施形態の場合、いずれも、圧力容器10の上部鏡部12から下方に延びている。
前記参考例では、この円筒形状(又は管形状)のセルスタック101の内周側に燃料ガスGfが通り、外周側に酸化剤ガスGoが通る。
【0057】
第一カートリッジ群200a用の燃料ガス供給本管311aは、図1に示す参考例と同様に圧力容器10の上部鏡部12(図1)から下方へ第一カートリッジ群200aの手前まで延びている。この燃料ガス供給本管311aの下端には、図5,6に示すように、7(又は7×n)本の燃料ガス供給分岐管313aが接続され、各燃料ガス供給分岐管313aは、第一カートリッジ群200aを構成する7個のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220a内の燃料ガス供給室217(図3)と連通している。
【0058】
また、第二カートリッジ群200b用の燃料ガス供給本管311bは、圧力容器10の上部鏡部12から下方へ第一カートリッジ群200aと第二カートリッジ群200bとの間の位置まで延びている。この燃料ガス供給本管311bで、第一カートリッジ群200aと第二カートリッジ群200bとの間の位置には、7(又は7×n)本の燃料ガス供給分岐管313bが接続され、各燃料ガス供給分岐管313bは、第二カートリッジ群200bを構成する7個のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220a内の燃料ガス供給室217(図3)と連通している。
【0059】
第一カートリッジ群200a用の燃料ガス排出本管321aは、圧力容器10の上部鏡部12から下方へ第一カートリッジ群200aと第二カートリッジ群200bとの間の位置まで延びている。この燃料ガス排出本管321aで、第一カートリッジ群200aと第二カートリッジ群200bとの間の位置には、7(又は7×n)本の燃料ガス排出分岐管323a(図6)が接続され、各燃料ガス排出分岐管323aは、第一カートリッジ群200aを構成する7個のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220b内の燃料ガス排出室219(図3)と連通している。
【0060】
また、第二カートリッジ群200b用の燃料ガス排出本管321bは、圧力容器10の上部鏡部12から下方へ第二カートリッジ群200bの下方の位置まで延びている。この燃料ガス排出本管321bの下端には、7(又は7×n)個の燃料ガス排出分岐管323b(図6)が接続され、各燃料ガス排出分岐管323bは、第二カートリッジ群200bを構成する7個のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220b内の燃料ガス排出室219(図3)と連通している。
【0061】
第一カートリッジ群200a用の燃料ガス排出本管321a中で、上下方向、つまり容器中心軸方向Dvに延びる軸方向延在部322aは、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201であって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。また、第二カートリッジ群200b用の燃料ガス供給本管311b中の軸方向延在部312b(図5図6)も、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201であって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。また、第二カートリッジ群200b用の燃料ガス排出本管321b中の軸方向延在部322b(図5図6)は、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201であって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。さらに、この軸方向延在部322bは、第二カートリッジ群200bを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201であって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。
【0062】
第一カートリッジ群200a用の酸化剤ガス供給本管331a及び酸化剤ガス排出本管341aは、いずれも図5〜7に示すように圧力容器10の上部鏡部12(図1)から下方へ第一カートリッジ群200aの手前まで延びている。酸化剤ガス供給本管331aの下端には、7(又は7×n)本の酸化剤ガス供給分岐管333aが接続されている。各酸化剤ガス供給分岐管333aは、第一カートリッジ群200aを構成する7個のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220b内の酸化剤ガス供給室216(図3)と連通している。また、酸化剤ガス排出本管341aの下端には、7(又は7×n)本の酸化剤ガス排出分岐管343aが接続されている。各酸化剤ガス排出分岐管343aは、第一カートリッジ群200aを構成する7個のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220a内の酸化剤ガス排出室218(図3)と連通している。
【0063】
第二カートリッジ群200b用の酸化剤ガス供給本管331b及び酸化剤ガス排出本管341bは、いずれも、圧力容器10の上部鏡部12から下方へ第一カートリッジ群200aと第二カートリッジ群200bとの間の位置まで延びている。酸化剤ガス供給本管331bの下端には、7本(又は7×n)の酸化剤ガス供給分岐管333b(図6)が接続されている。各酸化剤ガス供給分岐管333bは、第二カートリッジ群200bを構成する7個のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220b内の酸化剤ガス供給室216(図3)と連通している。また、酸化剤ガス排出本管341bの下端には、7(又は7×n)本の酸化剤ガス排出分岐管343b(図6)が接続されている。各酸化剤ガス排出分岐管343bは、第二カートリッジ群200bを構成する7個のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220a内の酸化剤ガス排出室218(図3)と連通している。
【0064】
第一カートリッジ群200a用の複数の酸化剤ガス供給分岐管333a中の軸方向延在部334a、及び、第一カートリッジ群200a用の複数の酸化剤ガス排出分岐管343a中の軸方向延在部344aは、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に、又は、容器中心軸Avに対する放射方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。
【0065】
また、第二カートリッジ群200b用の酸化剤ガス供給本管331b中の軸方向延在部332b、及び、第二カートリッジ群200b用の酸化剤ガス排出本管341b中の軸方向延在部342bも、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に、又は、容器中心軸Avに対する放射方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。
【0066】
また、第二カートリッジ群200b用の複数の酸化剤ガス供給分岐管333b中の軸方向延在部334b(図6)、及び、第二カートリッジ群200b用の複数の酸化剤ガス排出分岐管343b中の軸方向延在部344b(図6)は、第二カートリッジ群200bを構成する複数のカートリッジ201のうち、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に、又は、容器中心軸Avに対する放射方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。
【0067】
本実施形態の燃料電池モジュールMは、さらに、圧力容器10内の第一カートリッジ群200aを支える第一支持台14a(図6)と、圧力容器10内の第二カートリッジ群200bを支える第二支持台14b(図6)と、圧力容器10の内周面に沿い且つ第一カートリッジ群200a及び第二カートリッジ群200bの外周側に配置されている円筒形状の外側断熱材15(図5)と、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201の相互間及び第二カートリッジ群200bを構成する複数のカートリッジ201の相互間に充填されている内側断熱材16(図5)と、を備えている。各断熱材15,16は、例えば、アルミナシリカ系の材料で形成されている。
【0068】
本実施形態では、カートリッジ群200を構成する複数のカートリッジ201の相互間に配管300中の軸方向延在部を配置しているため、圧力容器10内の空間を有効利用できる。この結果、本実施形態では、圧力容器10内に配置できるセルスタック101の数量(又はセルスタックの総容積)を増加させることができ、つまり、圧力容器10内へのセルスタック101の装填率を高めることができ、圧力容器10における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0069】
なお、圧力容器10内へのセルスタック101の充填率を高める方法として、例えば、図8に示すように、円柱形状を成し、圧力容器10の内径よりも僅かに小さい外径の一つのカートリッジ201aを圧力容器10内に配置する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、圧力容器10の内周面と一つのカートリッジ201aの外周側との間に配管の軸方向延在部301aを配置する環状の空間を確保する必要がある。このため、この方法では、一つのカートリッジ201aの外径をあまり大きくすることができず、結果として、上記実施形態よりも、圧力容器10内へのセルスタック101の充填率が低くなる。さらに、この方法では、一つのカートリッジ201a中に含まれるセルスタック101の数量が多くなるため、各セルスタック101に対して均等にガスを供給することが難しい。
【0070】
したがって、圧力容器10内へのセルスタック101の装填率を高める方法として、本実施形態のように、複数のカートリッジ201の相互間に配管300中の軸方向延在部を配置させることが好ましい。但し、カートリッジ群200を構成する複数のカートリッジ201の数量は、3以上であることが好ましく、さらに、容器中心軸Avに対して垂直な一直線上に3以上のカートリッジ201が並ぶ数量であることがより好ましい。これは、カートリッジ201の数量が少ない場合、圧力容器10内で、カートリッジ201及び配管300が占める空間以外の余分な空間の体積が大きくなり、圧力容器10内へのセルスタック101の装填率が低くなるからである。
【0071】
「第二実施形態」
次に、本発明に係る燃料電池モジュールの第二実施形態について、図9を参照して説明する。
【0072】
本実施形態の燃料電池モジュールMcは、第一実施形態における圧力容器10と同一形状で同一サイズの圧力容器10と、第一実施形態におけるカートリッジ201と同一形状で同一サイズのカートリッジ201を備えている。さらに、本実施形態の燃料電池モジュールMcは、第一実施形態と同様、複数のカートリッジ201で構成される第一カートリッジ群200c及び第二カートリッジ群200dを備えている。
【0073】
但し、第一実施形態では、第一カートリッジ群200aを構成する複数のカートリッジ201と、第二カートリッジ群200bを構成する複数のカートリッジ201とは、容器中心軸方向Dv(上下方向)における向きが同じであるが、本実施形態では、第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201と、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201とは、容器中心軸方向Dvにおける向きが逆向きである。
【0074】
具体的に、第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201は、各カートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aを下側に向け、第二カートリッジヘッダ220bを上側に向けて配置されている。また、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201は、各カートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aを上側に向け、第二カートリッジヘッダ220bを下側に向けて配置されている。よって、本実施形態では、第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aと、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aとが、上下方向で対向している。
【0075】
また、本実施形態では、前述したように、第一実施形態と異なり、第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201と、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201とは、容器中心軸方向Dvにおける向きが逆向きであるため、圧力容器10内の各配管の取り回しも、第一実施形態と異なっている。
【0076】
具体的に、本実施形態では、上下方向で互いに対向している第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aと、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aとに接続される配管の一部を共有化している。
【0077】
本実施形態では、各カートリッジ群200c,200dを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aに接続される燃料ガス供給配管310cの一部を共有化している。さらに、各カートリッジ群200c,200dを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aに接続される酸化剤ガス排出配管340cの一部を共有化している。
【0078】
燃料ガス供給配管310cは、第一カートリッジ群200c及び第二カートリッジ群200dを構成する全カートリッジ201に供給する燃料ガスGfを供給する燃料ガス供給本管311cと、この燃料ガス供給本管311cの端部に接続され、一つのカートリッジ群を構成するカートリッジ201の数量分の本数分(7本)の第一燃料ガス供給分岐管315と、この第一燃料ガス供給分岐管315の端部に接続され、カートリッジ群200c,200dの数量分の本数分(2本)に分岐している第二燃料ガス供給分岐管313c,313dと、を有している。
【0079】
本実施形態における燃料ガス供給本管311cには、2つのカートリッジ群200c,200dを構成する全のカートリッジ201に供給する燃料ガスGfが通る。各第一燃料ガス供給分岐管315には、第一カートリッジ群200c中の一つのカートリッジ201に供給する燃料ガスGfと、この一つのカートリッジ201に対向する第二カートリッジ群200d中の一つのカートリッジ201に供給する燃料ガスGfとが通る。各第二燃料ガス供給分岐管313c,313dには、一つのカートリッジ201に供給する燃料ガスGfが通る。
【0080】
すなわち、本実施形態では、第一カートリッジ群200cの全カートリッジ201に燃料ガスGfを供給する配管と、第二カートリッジ群200dの全カートリッジ201に供給する配管とを共有化し、燃料ガス供給本管311cとしている。さらに、本実施形態では、第一カートリッジ群200cの一のカートリッジ201に燃料ガスGfを供給する配管と、第二カートリッジ群200dの一のカートリッジ201に供給する配管とを共有化し、第一燃料ガス供給分岐管315としている。
【0081】
酸化剤ガス排出配管340cは、第一カートリッジ群200c及び第二カートリッジ群200dを構成する全カートリッジ201から排出された酸化剤ガスGoが通る酸化剤ガス排出本管341cと、この酸化剤ガス排出本管341cの端部に接続され、第一カートリッジ群200c用の酸化剤ガス排出分岐管343cと、同じく、この酸化剤ガス排出本管341cの端部に接続され、第二カートリッジ群200d用の酸化剤ガス排出分岐管343dと、を有している。第一カートリッジ群200c用の酸化剤ガス排出分岐管343c、及び第二カートリッジ群200d用の酸化剤ガス排出分岐管343dは、いずれも、各カートリッジ群200c,200dを構成するカートリッジ201の数量(7個)分の本数(14)又はその倍数分の本数(14×n)分ある。
【0082】
本実施形態における各酸化剤ガス排出分岐管343c,343dには、一つのカートリッジ201から酸化剤ガスGoが排出される。酸化剤ガス排出本管341cには、全酸化剤ガス排出分岐管343c,343dからの酸化剤ガスGoが通る。
【0083】
すなわち、本実施形態では、第一カートリッジ群200cの全カートリッジ201からの酸化剤ガスGoが通る配管と、第二カートリッジ群200dの全カートリッジ201からの酸化剤ガスGoが通る配管とを共有化し、酸化剤ガス排出本管341cとしている。
【0084】
以上のように、本実施形態では、各種配管の一部を共有化しているため、各種配管の総配管全長を短くすることができ、各種配管の施工を含めたコストを抑えることができる。
【0085】
また、本実施形態でも、第一実施形態と同様に、複数のカートリッジ201の相互間に配管中の軸方向延在部を配置している。このため、本実施形態でも、圧力容器10内へのセルスタック101の装填率を高めることができる。
【0086】
さらに、本実施形態では、上下方向で互いに対向している第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aと、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aとの間に配置される配管の一部を共有化しているため、上下方向における第一カートリッジ群200cと第二カートリッジ群200dとの間隔を狭めることができる。このため、本実施形態では、圧力容器10の上下方向の寸法、つまり容器中心軸方向Dvの寸法を短くすることができ、結果として、第一実施形態よりも、圧力容器10における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0087】
なお、本実施形態では、第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aと、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201の第一カートリッジヘッダ220aとを上下方向で対向させている。しかしながら、第一カートリッジ群200cを構成する複数のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220bと、第二カートリッジ群200dを構成する複数のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220bとを上下方向で対向させてもよい。この場合、各カートリッジ群200c,200dを構成する複数のカートリッジ201の第二カートリッジヘッダ220bに接続される燃料ガス排出配管の一部が共有化されると共に、酸化剤ガス供給配管の一部が共有化されることになる。
【0088】
また、本実施形態では、2個のカートリッジ群200c,200dを容器中心軸方向Dvに並べ、一方のカートリッジ群200cを構成するカートリッジ201と他方のカートリッジ群200dを構成するカートリッジ201の向きを逆向きにしたものである。しかしながら、図10に示すように、3以上のカートリッジ群200e〜200hを容器中心軸方向Dvに並べ、容器中心軸方向Dvで互いに隣接する2個のカートリッジ群のうちで、一方のカートリッジ群を構成するカートリッジ201と他方のカートリッジ群を構成するカートリッジ201の向きを逆向きにしてもよい。この場合も、上記実施形態と同様に、容器中心軸方向Dvで互いに隣接する2個のカートリッジ群のカートリッジ201に接続される配管が共有化される。
【0089】
また、第一実施形態及び本実施形態の各種配管は、いずれも、圧力容器10の一方の鏡部12(図1)のみに接続されているが、いずれかの配管を他方の鏡部12に接続してもよいし、全ての各種配管又はいずれかの配管を圧力容器10の胴部11(図1)に接続してもよい。
【0090】
「カートリッジ群の第一変形例」
次に、図11を参照して、カートリッジ群の第一変形例について説明する。
【0091】
以上で説明した各実施形態のカートリッジ群を構成する各カートリッジ201は、セルスタックの長手方向に長い円柱形状を成しているが、本変形例のカートリッジ群200jを構成する各カートリッジ201jは、セルスタック101の長手方向に長い正六角柱形状を成している。
【0092】
正六角柱形状の複数のカートリッジ201jは、いずれも、上記各実施形態と同様、カートリッジ中心軸Acが容器中心軸Avと平行になるよう、圧力容器10内に配置されている。本変形例において、カートリッジ群200jを構成するカートリッジ201jの数量は、上記実施形態と同様、7個である。7個のカートリッジ201jのうち、一のカートリッジ201jは、容器中心軸Av上に配置され、残りの6個のカートリッジ201jは、一のカートリッジ201jを囲むように、容器中心軸Avを中心として周方向に並んで配置されている。また、容器中心軸Av上に配置されている一のカートリッジ201jを基準にして対称な位置には、残りの6個のカートリッジ201jのうちの2個が配置されている。つまり、一のカートリッジ201jを含む3個のカートリッジ201jの各カートリッジ中心軸Acは、容器中心軸Avに対する放射方向に直線上に並んでいる。このように本変形例でも、容器中心軸Avに対する放射方向に3個のカートリッジ201jが直線状に並ぶ関係上、正六角柱形状のカートリッジ201jの内接円の直径は、円筒形状の圧力容器10の内径の1/3未満である。また、互いに隣り合っているカートリッジ201jの各カートリッジ中心軸Acの相互間隔は、いずれの組合せでも同一である。よって、本変形例においても、互いに隣り合っている3個のカートリッジ201jの各カートリッジ中心軸Acは、正三角形の頂点に位置している。
【0093】
本変形例では、各種配管の軸方向延在部301jは、いずれも、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201jであって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201j間に配置されている。
【0094】
よって、本変形例でも、上記各実施形態と同様、圧力容器10内に配置できるセルスタック101の数量を増加させることができ、圧力容器10における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0095】
「カートリッジ群の第二変形例」
次に、図12を参照して、カートリッジ群の第二変形例について説明する。
【0096】
本変形例のカートリッジ群200kを構成する各カートリッジ201kは、セルスタック101の長手方向に長い正四角柱形状を成している。
【0097】
正四角柱形状の複数のカートリッジ201kは、いずれも、上記各実施形態及び第一変形例と同様、カートリッジ中心軸Acが容器中心軸Avと平行になるよう、圧力容器10内に配置されている。本変形例において、カートリッジ群200kを構成するカートリッジ201kの数量は、上記実施形態及び第一変形例と同様、7個である。7個のカートリッジ201kのうち、一のカートリッジ201kは、容器中心軸Av上に配置され、残りの6個のカートリッジ201kは、容器中心軸Av上に配置されている一のカートリッジ201kを囲むように、容器中心軸Avを中心として周方向に並んで配置されている。また、容器中心軸Av上に配置されている一のカートリッジ201kを基準にして対称な位置には、残りの6個のカートリッジ201kのうちの2個が配置されている。つまり、一のカートリッジ201kを含む3個のカートリッジ201kの各カートリッジ中心軸Acは、容器中心軸Avに対する放射方向に直線上に並んでいる。このように本変形例でも、容器中心軸Avに対する放射方向に3個のカートリッジ201kが直線状に並ぶ関係上、正六角柱形状のカートリッジ201kの内接円の直径は、円筒形状の圧力容器10の内径の1/3未満である。また、本変形例において、互いに隣り合っている3個のカートリッジ201kの各カートリッジ中心軸Acは、二等辺三角形の頂点に位置している。
【0098】
本変形例も、第一変形例と同様、各種配管の軸方向延在部301kは、いずれも、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201kであって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201k間に配置されている。
【0099】
よって、本変形例でも、上記各実施形態と同様、圧力容器10内に配置できるセルスタック101の数量を増加させることができ、圧力容器10における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0100】
なお、本変形例のカートリッジ201kの形状は、正四角柱形状であるが、断面が長方形の四角柱形状であってもよい。また、以上では、カートリッジの形状として、円柱形状、六角柱形状、四角柱形状を例示したが、セルスタック101の長手方向に長い柱形状であれば、基本的に、いかなる形状であってもよい。
【0101】
「カートリッジ群の第三変形例」
次に、図13を参照して、カートリッジ群の第三変形例について説明する。
【0102】
本変形例のカートリッジ群200mを構成する各カートリッジ201mも、第二変形例のカートリッジ20kと同様、セルスタック101の長手方向に長い正四角柱形状を成している。
【0103】
正四角柱形状の複数のカートリッジ201mは、いずれも、上記各実施形態及び上記各変形例と同様、カートリッジ中心軸Acが容器中心軸Avと平行になるよう、圧力容器10内に配置されている。本変形例において、互いに隣り合っている3個のカートリッジ201mの各カートリッジ中心軸Acは、いずれの組合せでも、直角二等辺三角形の頂点上に位置している。このため、本変形例では、上記各実施形態及び上記各変形例と異なり、容器中心軸Avに垂直な仮想面内の第一方向に複数のカートリッジ201mが直線状に隣接して並んでいると共に、この仮想面内で第一方向に垂直な第二方向にも複数のカートリッジ201mが直線状に隣接して並んでいる。なお、本変形例で第一方向に直線状に並んでいるカートリッジ201mの最大数量は4個であり、第二方向に直線状に並んでいるカートリッジ201mの最大数量も4個である。このため、正四角柱形状のカートリッジ201mの内接円の直径は、円筒形状の圧力容器10の内径の1/4未満である。
【0104】
本変形例も、上記各変形例と同様、各種配管の軸方向延在部301mは、いずれも、容器中心軸Avを基準として最も外側に配置されているカートリッジ201mであって、容器中心軸Avを基準として周方向で互いに隣接する2個のカートリッジ201間に配置されている。
【0105】
よって、本変形例でも、上記各実施形態と同様、圧力容器10内に配置できるセルスタック101の数量を増加させることができ、圧力容器10における単位体積当たりの発電量を増加させることができる。
【0106】
なお、本変形例のカートリッジ201mの形状は、正四角柱形状であるが、前述したように、セルスタック101の長手方向に長い柱形状であれば、基本的に、いかなる形状であってもよい。
【0107】
「その他の変形例」
上記各実施形態及び上記各変形例は、容器中心軸方向Dvが上下方向であるが、この容器中心軸方向Dvは他の方向、例えば、水平方向であってもよい。但し、圧力容器10内の全てのセルスタック101の長手方向が容器中心軸方向Dvと同じである関係上、容器中心軸方向Dvが水平方向である場合、セルスタック101の長手方向も水平方向になるため、セルスタック101は重力の影響により、その長手方向に対して垂直な方向に撓み易くなる。よって、セルスタック101の長手方向の寸法が比較的長い場合には、その長手方向に対して垂直な方向の撓みを抑えるために、容器中心軸方向Dvは上下方向であることが好ましい。
【符号の説明】
【0108】
1:燃料ガス供給源、2:酸化剤ガス供給源、10:圧力容器、15:外側断熱材、k16:内側断熱材、101:セルスタック(セル集合体)、103:基体管、105:燃料電池セル、200,200a〜200h,200j,200k,200m:カートリッジ群、201,201a,201j,201k,201m:カートリッジ、215:発電室、216:酸化剤ガス供給室、217:燃料ガス供給室、218:酸化剤ガス排出室、219:燃料ガス排出室、220a:第一カートリッジヘッダ、220b:第二カートリッジヘッダ、300:配管、310:燃料ガス供給配管、320:燃料ガス排出配管、330:酸化剤ガス供給配管、340:酸化剤ガス排出配管、301a,301j,301k,301m,312b,322a,322b,332b,334a,334b,342b,344a,344b:軸方向延在部
図1
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図13