【実施例】
【0038】
以下に実施例、比較例及び試験例を示して本発明の特徴を一層明確にする。但し本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。
【0039】
実施例1
密度0.91g/cm
3のポリエチレン樹脂100kgに、酸化チタン粒子25kgを添加し、十分に混練してLLDPE(線状低密度ポリエチレン)樹脂組成物を調製した。このLLDPE樹脂組成物を押出機で押出して厚み50μmの内層基材を作製した。
【0040】
電気絶縁性に優れる中間層基材として厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製:東洋紡エステルフィルムE5102)を用意した。
【0041】
外層基材としてPVFフィルム(デュポン社製、38μm)を用意した。
【0042】
接着剤としては、ヘンケルジャパン社製アクリルポリオールLexp10−3(5重量部のアクリロニトリルと、水酸基を有する単量体及びその他の単量体とを含む混合物と、を重合して得られたアクリルポリオールであり、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランと、オクチル酸錫を添加したもの。アクリルポリオールのガラス転移温度は0℃であり、OH価は15mgKOH/gである。)を100g重量部(乾燥重量)に対して、ヘンケルジャパン製イソシアネート化合物Lexp11−1(キシリレンジイソシアネートモノマーが30重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が70重量部を含み、NCO基の割合が28.7%である。)7.8重量部を混合してウレタン樹脂を得た。ここで、上記アクリルポリオールに由来する水酸基に対する、上記キシリレンジイソシアネートモノマーと、上記ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体に由来するイソシアネート基の当量比は2.0である。
【0043】
上記の外層基材、中間層基材、内層基材を順に上記の接着剤を7g/m
2を介して、ラミネート加工により貼り合わせた。これにより、太陽電池裏面保護シートを得た。
【0044】
実施例2
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−4(Lexp10−3のアクリロニトリルを5重量部から10重量部に変更したもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0045】
実施例3
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−5(Lexp10−3のアクリロニトリルを5重量部から15重量部に変更したもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0046】
実施例4
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−7(Lexp10−4のガラス転移温度が0℃から−10℃に変更したもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0047】
実施例5
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−8(Lexp10−4のガラス転移温度が0℃から10℃に変更したもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0048】
実施例6
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−9(Lexp10−4のガラス転移温度が0℃から−15℃に変更したもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0049】
実施例7
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−10(Lexp10−4のガラス転移温度が0℃から15℃に変更したもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0050】
実施例8
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−11(Lexp10−4のOH価を15mgKOH/gから5mgKOH/gに変更したもの)を用い、アクリルポリオール100重量部に対するイソシアネート化合物Lexp11−1の混合量を7.8重量部から5.2重量部に変更したものを用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0051】
実施例9
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−12(Lexp10−4のOH価を15mgKOH/gから30mgKOH/gに変更したもの)を用い、アクリルポリオール100重量部に対するイソシアネート化合物Lexp11−1の混合量を7.8重量部から15.6重量部に変更したものを用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0052】
実施例10
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−13(Lexp10−4のOH価を15mgKOH/gから3mgKOH/gに変更したもの)を用い、アクリルポリオール100重量部に対するイソシアネート化合物Lexp11−1の混合量を7.8重量部から2.6重量部に変更したものを用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0053】
実施例11
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−14(Lexp10−4のOH価を15mgKOH/gから40mgKOH/gに変更したもの)を用い、アクリルポリオール100重量部に対するイソシアネート化合物Lexp11−1の混合量を7.8重量部から20.9重量部に変更したものを用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0054】
実施例12
外層基材として難接着性フィルムである、耐加水分解性を有するポリエステルフィルム(東レ社製X10s 50μm)を用いて、中間層基材を用いずに、外層基材/接着剤/内層基材とした以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0055】
比較例1
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−1(Lexp10−3のアクリロニトリルを5重量部から0重量部に変更したもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0056】
比較例2
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−2(Lexp10−3のアクリロニトリルを5重量部から3重量部に変更したもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0057】
比較例3
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−6(Lexp10−3のアクリロニトリルを5重量部から25重量部に変更したもの)を用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0058】
比較例4
イソシアネート化合物にヘンケルジャパン社製Lexp11−2(キシリレンジイソシアネートモノマーが10重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が90重量部を含み、NCO基の割合が24.1%である。)を用い、アクリルポリオール100重量部に対するイソシアネート化合物Lexp11−2の混合量を9.3重量部とした以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0059】
比較例5
イソシアネート化合物にヘンケルジャパン社製Lexp11−3(キシリレンジイソシアネートモノマーが50重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体が50重量部を含み、NCO基の割合が33.3%である。)を用い、アクリルポリオール100重量部に対するイソシアネート化合物Lexp11−3の混合量を6.7重量部とした以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0060】
比較例6
アクリルポリオールLexp10−4を100重量部に対してイソシアネート化合物Lexp11−1の混合量を3.1重量部、上記アクリルポリオールに由来する水酸基に対し、上記キシリレンジイソシアネートモノマーと、上記ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体に由来するイソシアネート基の当量比を0.8とした以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0061】
比較例7
アクリルポリオールLexp10−4を100重量部に対してイソシアネート化合物Lexp11−1の混合量を13.7重量部、上記アクリルポリオールに由来する水酸基に対し、上記キシリレンジイソシアネートモノマーと、上記ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体に由来するイソシアネート基の当量比を3.5とした以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0062】
比較例8
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−15(Lexp10−4に、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを添加しなかったもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0063】
比較例9
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−16(Lexp10−4に、水酸基を有する単量体を用いなかったもので、OH価は15mgKOH/gから0mgKOH/gとなったもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0064】
比較例10
アクリルポリオールをヘンケルジャパン社製Lexp10−17(Lexp10−4に、オクチル酸錫を添加しなかったもの)を用いた以外は、実施例2と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0065】
比較例11
接着剤に、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン含まない、タケラックA−315とタケネートA−50を100:10の割合で混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0066】
比較例12
外層基材として、難接着性フィルムである、耐加水分解ポリエステル(東レ社製X10s 50μm)を用い、中間層基材を用いずに、外層基材/接着剤/内層基材とした以外は、比較例11と同様にして太陽電池裏面保護シートを得た。
【0067】
下記の表1及び表2に各実施例及び比較例で用いたLexp10−1〜Lexp10−17及びLexp11−1〜Lexp11−3の物性のまとめを示す。
【0068】
【表1】
【0069】
〔表1中、AN量はアクリロニトリル含有量を示す。〕
【0070】
【表2】
【0071】
試験例1
<測定方法>
剥離強度試験は東洋精機社製VGS−1−Eを用い、室温24℃、湿度50%の環境において、中間層基材を固定し、中間層基材/内層基材間を剥離する場合には内層基材を、外層基材/中間層基材間を剥離する場合には外層基材を180度剥離方向に引っ張り、剥離強度を測定した。剥離片は、ダブルブレードカッターにより、幅15mmのものを作成した。剥離速度は100mm/minとし、剥離距離は7/mmで測定したものの凸平均の値を測定値とした。
【0072】
また、劣化試験はPCT(プレッシャークッカー試験)を用いて行った。PCTの環境は温度121度、湿度100%、気圧は2atmの条件を用いた。
【0073】
初期の剥離強度が10N/15mm以上のものを◎、10N/15mm未満8N/15mm以上のものを○、8N/15mm未満7N/15mm以上のものを△、7N/15mm未満を×とし、PCT後の剥離強度が、8N/15mm以上のものを◎、8N/15mm未満7N/15mm以上のものを○、7N/15mm未満6N/15mm以上のものを△、6N/15mm未満を×とした。
【0074】
ジッピングについては、剥離強度の測定において、剥離強度が一定の強度に達した瞬間に剥離強度が一定の値に達したときに、フィルムの急激な剥離が観測できる状態をジッピングと定義し、一度の測定は観測されない場合もあるため、6回測定を行って、前記のようなジッピングが見られたものをジッピングありと判定した。
<測定結果>
測定結果を下記の表1に示す。表3に示すように、実施例1〜12のいずれにおいても、初期剥離強度及びPCT後剥離強度は△、○、◎のいずれかであった。詳細には、実施例1〜5、8、9では良好な接着性を備えていた。実施例6では、仮想EVA接着性能が若干低下していたものの、良好な接着性を備えていた。実施例7、10では、各種基材に対する接着性能が実施例1〜5、8、9よりは若干低下したものの、良好な接着性を備えていた。実施例11では、初期及び耐熱試験後の接着性能が若干低下したものの、良好な接着性を備えていた。また、ジッピングはいずれの実施例においても確認されなかった。
【0075】
一方、比較例1〜12では、初期剥離強度及びPCT後剥離強度において×が1つ以上、および/またはジッピングが確認された。詳細には、比較例1、2、9では、各基材に対する接着性能が低下しており、比較例3では初期の貼り込み性の低下、比較例4ではPVF/PET間でのジッピングの発生、比較例10では反応率の低下が、さらに見られた。また、比較例5では発泡により初期の外観不良が発生し、比較例6では各基材に対して初期の接着性能と耐熱試験後の接着性能の低下がみられ、比較例7でも耐熱試験後の接着性能の低下がみられた。比較例8ではPVF/PET間でのジッピングの発生が生じた。
【0076】
さらに、実施例12と比較例12を比較して分かる様に、太陽電池用裏面保護シートに難接着性の耐加水分解ポリエステルを用いても、実施例12の太陽電池用裏面保護シートでは初期およびPCT後の双方で高い接着性を維持していることがわかる。
【0077】
【表3】