(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年においては、昇圧トランスの小型化が進んでおり、イオン発生器において利用することが可能な小型の昇圧トランスとして、表面実装型のものが実用化されている。この表面実装型の昇圧トランスを利用した場合には、上述した電極ユニットと昇圧トランスとを一体化させた構成のイオン発生素子とすることが可能になるため、当該イオン発生素子とこれを駆動するための駆動ユニットとによってイオン発生器を構成することが可能になり、結果としてさらなる小型化が期待できる。
【0006】
しかしながら、この利点を最大限に生かしたイオン発生素子、イオン発生器およびイオン発生装置は未だ存在しておらず、その改善が求められているところである。
【0007】
したがって、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、従来に比して小型化が可能なイオン発生素子、イオン発生器およびイオン発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明
の第1の局面に基づくイオン発生素子は、放電によりイオンを発生させる第1放電電極および第1誘導電極と、放電によりイオンを発生させる第2放電電極および第2誘導電極と、外部から供給された駆動電圧を昇圧して上記第1放電電極および上記第2放電電極に印加する昇圧トランスと、上記第1放電電極、上記第1誘導電極、上記第2放電電極、上記第2誘導電極および上記昇圧トランスが設けられた回路基板とを備えている。上記第1放電電極および上記第1誘導電極は、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の所定方向における一端部側に配置されており、上記第2放電電極および上記第2誘導電極は、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の上記所定方向における他端部側に配置されている
。上記第1誘導電極に電気的に接続された第1ランド
は、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の上記一端部側に設けれて
おり、上記第2誘導電極に電気的に接続された第2ランド
は、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の上記他端部側に設けられている。
上記本発明の第1の局面に基づくイオン発生素子は、さらに、上記回路基板に設けられ、上記昇圧トランスに電気的に接続されることで外部から供給された駆動電圧に基づいて一時的に充電を行なってこれを上記昇圧トランスに供給するコンデンサと、上記回路基板に設けられ、上記昇圧トランスに電気的に接続されることで上記昇圧トランスの駆動を制御するトランジスタとを備えている。上記コンデンサを接地するための導電線は、上記第1ランドおよび上記第2ランドの一方に電気的に接続されており、上記トランジスタを接地するための導電線は、上記第1ランドおよび上記第2ランドの他方に電気的に接続されている。
【0010】
本発明の第2の局面に基づくイオン発生素子は、放電によりイオンを発生させる第1放電電極および第1誘導電極と、放電によりイオンを発生させる第2放電電極および第2誘導電極と、外部から供給された駆動電圧を昇圧して上記第1放電電極および上記第2放電電極に印加する昇圧トランスと、上記第1放電電極、上記第1誘導電極、上記第2放電電極、上記第2誘導電極および上記昇圧トランスが設けられた回路基板とを備えている。上記第1放電電極および上記第1誘導電極は、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の所定方向における一端部側に配置されており、上記第2放電電極および上記第2誘導電極は、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の上記所定方向における他端部側に配置されている。上記第1誘導電極に電気的に接続された第1ランドは、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の上記一端部側に設けれており、上記第2誘導電極に電気的に接続された第2ランドは、上記昇圧トランスから見て上記回路基板の上記他端部側に設けられている。上記本発明
の第2の局面に基づくイオン発生素子は、さらに、上記回路基板を収容するケーシングと、上記ケーシングの内部に液状樹脂を充填して硬化されることで上記昇圧トランスを絶縁封止する樹脂封止部とを備えている
。上記ケーシング
は、上記第1ランドが設けられた部分の上記回路基板を露出させる第1窓部と、上記第2ランドが設けられた部分の上記回路基板を露出させる第2窓部とを有
しており、これにより上記第1ランドおよび上記第2ランド
は、上記樹脂封止部によって覆われないように構成されている
。
【0011】
上記本発明
の第2の局面に基づくイオン発生素子は、さらに、上記回路基板に設けられ、上記昇圧トランスと上記第1放電電極との間においてこれらに電気的に接続された第1整流素子と、上記回路基板に設けられ、上記昇圧トランスと上記第2放電電極との間においてこれらに電気的に接続された第2整流素子とを備えていることが好ましい。その場合には、上記第1整流素子および上記第2整流素子が、上記樹脂封止部によって封止されていることが好ましい。
【0012】
上記本発明
の第1の局面および第2の局面に基づくイオン発生素子にあっては、上記第1放電電極および上記第2放電電極が、いずれも針状の形状を有していることが好ましい。
【0013】
本発明に基づくイオン発生器は、上記本発明
の第1の局面および第2の局面に基づくイオン発生素子
のいずれかと、
当該イオン発生素子を駆動するために駆動電圧を生成して上記昇圧トランスに供給する電源回路を含む駆動ユニットとを備えている。
【0014】
本発明に基づくイオン発生装置は、上記本発明に基づくイオン発生器と、上記第1放電電極および上記第2放電電極によって発生されるイオンを送出するための気流を発生させる送風機とを備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来に比して小型化が図られたイオン発生素子、イオン発生器およびイオン発生装置とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態におけるイオン発生器の概略斜視図である。また、
図2は、本実施の形態におけるイオン発生素子の回路構成を示す図である。まず、これら
図1および
図2を参照して、本実施の形態におけるイオン発生器1の構成およびその動作ならびに本実施の形態におけるイオン発生素子100の回路構成について説明する。
【0019】
図1に示すように、イオン発生器1は、イオン発生素子100と駆動ユニット200とを備えている。イオン発生素子100は、各種の電気部品が高電圧側回路基板130に実装されることで所定の電気回路を構成する回路モジュールからなり、駆動ユニット200は、各種の電気部品が低電圧側回路基板210に実装されることで所定の電気回路を構成する回路モジュールからなる。
【0020】
イオン発生素子100は、全体としておおよそ扁平な略直方体形状の外形を有するケーシング101によって覆われており、当該ケーシング101の内部に平面視略矩形状の高電圧側回路基板130が収容されている。一方、駆動ユニット200は、平面視略矩形状の低電圧側回路基板210が特に筺体等によって覆われることはなく、露出した状態とされている。
【0021】
イオン発生素子100は、少なくとも、放電によりイオンを発生させる放電電極と、駆動ユニット200から供給された駆動電圧を昇圧して上記放電電極に印加する昇圧トランスとを含む回路モジュールであり、本実施の形態においては、
図1および
図2に示すように、上述した高電圧側回路基板130と、放電電極としての第1放電電極(正電極)152aおよび第2放電電極(負電極)152bと、昇圧トランスとしての表面実装型の昇圧トランス140(
図7等参照)とを有している。
【0022】
また、本実施の形態においては、イオン発生素子100が、さらに、誘導電極としての第1誘導電極153aおよび第2誘導電極153bと、整流素子としての第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bと、コンデンサ161と、トランジスタ162と、複数のランド131〜134とを有している。
【0023】
一方、駆動ユニット200は、少なくともイオン発生素子を駆動するための電源回路を含む回路モジュールであり、本実施の形態においては、
図1に示すように、上述した低電圧側回路基板210と、当該低電圧側回路基板210に設けられた図示しない電源回路とを有している。
【0024】
また、本実施の形態においては、駆動ユニット200が、さらに、複数のランド211〜214と、図示しない昇圧トランス駆動回路と、コネクタ220とを有している。ここで、昇圧トランス駆動回路は、イオン発生素子100に設けられた昇圧トランス140の駆動を制御するためのものであり、コネクタ220は、たとえば外部の電源(本実施の形態においては乾電池や蓄電池といった直流電源、場合によっては商用電源等)にイオン発生器1を接続するための電源端子や、外部の制御機器等にイオン発生器1を接続するための信号端子等を含んでいる。
【0025】
図1に示すように、イオン発生素子100と駆動ユニット200とは、図示しないビス等によって近接配置されて物理的に固定されており、また、高電圧側回路基板130に設けられた上記複数のランド131〜134と、低電圧側回路基板210に設けられた上記複数のランド211〜214とが、これらの間の電気的な接続を実現する接続部材300によってそれぞれ対応づけて接続されることにより、電気的に接続されている。なお、接続部材300としては、特にその種類が限定されるものではないが、ボンディングワイヤや導電テープ、両端が半田付け等によってランドに接続される導電線(バスバ)等、公知の手段が利用可能である。
【0026】
本実施の形態におけるイオン発生器1においては、要約すると、駆動ユニット200に設けられた電源回路にて生成された駆動電圧が、イオン発生素子100に供給され、これが昇圧トランス140に供給されて昇圧されることで第1放電電極152aおよび第2放電電極152bに印加され、これにより第1放電電極152a−第1誘導電極153a間および第2放電電極152b−第2誘導電極153b間において放電を生じさせる。当該放電により、第1放電電極152aの近傍の空間において正イオンが発生し、第2放電電極152bの近傍の空間において負イオンが発生する。以下、この動作を実現する回路構成およびその動作について、
図1および
図2を参照してより詳細に説明する。
【0027】
上述した第1放電電極152a、第2放電電極152b、昇圧トランス140、第1誘導電極153a、第2誘導電極153b、第1ダイオード151a、第2ダイオード151b、コンデンサ161、トランジスタ162および複数のランド131〜134は、いずれもイオン発生素子100の高電圧側回路基板130に設けられており、当該高電圧側回路基板130に設けられた配線パターンにより、相互に電気的に接続されている。
【0028】
高電圧側回路基板130に設けられたランド131〜134のうち、ランド131は、電源入力端子であり、第1ランドとしてのランド132は、第1接地端子であり、ランド133は、信号入力端子であり、第2ランドとしてのランド134は、第2接地端子である。
【0029】
コンデンサ161は、ランド131を介して供給される駆動電圧に基づいて一時的に充電を行なってこれを昇圧トランス140に供給するものであり、一端がランド131に接続されており、他端がランド132に接続されている。コンデンサ161は、たとえばフィルムコンデンサからなり、高電圧側回路基板130に実装が可能な表面実装部品(
図8等参照)にて構成される。
【0030】
昇圧トランス140は、一次巻線141と二次巻線142とを含み、供給された駆動電圧を昇圧してこれを第1放電電極152aおよび第2放電電極152bに印加するためのものである。一次巻線141の一端は、ランド131に接続されており、一次巻線141の他端は、トランジスタ162を介してランド134に接続されている。二次巻線142の一端は、一次巻線141の上記一端に接続されるとともに、上述したランド131に接続されており、二次巻線142の他端は、第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bのそれぞれを介して第1放電電極152aおよび第2放電電極152bに接続されている。昇圧トランス140は、高電圧側回路基板130に実装が可能な表面実装部品(
図7等参照)にて構成される。
【0031】
トランジスタ162は、昇圧トランス140の駆動を制御するためのものであり、そのベースが昇圧トランス140の一次巻線141の上記他端に接続されており、そのソースがランド134に接続されており、そのゲートがランド133に接続されている。トランジスタ162は、たとえばパッケージ化されたMOSトランジスタからなり、高電圧側回路基板130に実装が可能な表面実装部品(
図8等参照)にて構成される。
【0032】
第1ダイオード151aは、電流を整流するためのものであり、そのアノードが昇圧トランス140の二次巻線142の上記他端に接続されており、そのカソードが第1放電電極152aに接続されている。第2ダイオード151bは、電流を整流するためのものであり、そのアノードが第2放電電極152bに接続されており、そのカソードが昇圧トランス140の二次巻線142の上記他端に接続されている。第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bは、いずれもディスクリート部品にて構成されており、高電圧側回路基板130に実装が可能なアキシャルタイプの実装部品(
図7および
図8等参照)にて構成される。
【0033】
第1放電電極152aは、放電を生じさせることで正イオンを発生させるためのものであり、第1ダイオード151aのカソードに接続されている。第2放電電極152bは、放電を生じさせるための電極であり、第2ダイオード151bのアノードに接続されている。第1放電電極152aおよび第2放電電極152bは、いずれもその一端が尖鋭状に加工された針状の形状を有しており、高電圧側回路基板130に実装が可能なピンタイプの部品(
図7および
図8等参照)にて構成される。
【0034】
第1誘導電極153aは、第1放電電極152aの近傍に配置されることで第1放電電極152aにて放電が生じるように誘導するためのものであり、ランド132に接続されている。第2誘導電極153bは、第2放電電極152bの近傍に配置されることで第2放電電極152bにて放電が生じるように誘導するためのものであり、ランド134に接続されている。第1誘導電極153aおよび第2誘導電極153bは、いずれも高電圧側回路基板130の表面に形成された導電パターン(
図7等参照)にて構成される。
【0035】
一方、駆動ユニット200の低電圧側回路基板210に設けられたランド211〜214のうち、ランド211は、電源出力端子であり、ランド212は、第3接地端子であり、ランド213は、信号出力端子であり、ランド214は、第4接地端子である。
【0036】
低電圧側回路基板210に設けられた電源回路は、上述したコネクタ220を介して外部の直流電源から入力された直流電源電圧を調整して所定の駆動電圧を生成し、ランド211を介するとともに、さらに接続部材300およびランド131を経由することで、これをイオン発生素子100に供給する。
【0037】
低電圧側回路基板210に設けられた昇圧トランス駆動回路は、トランジスタ162のオン/オフ動作を制御する信号を生成し、ランド213を介するとともに、さらに接続部材300およびランド133を経由することで、これをイオン発生素子100に導出する。
【0038】
また、低電圧側回路基板210には、接地電位に保持される接地パターンが設けられており、これがランド212,214に接続されている。当該ランド212,214は、それぞれ接続部材300を介してイオン発生素子100に設けられたランド132,134に接続されている。
【0039】
本実施の形態においては、上記回路構成とすることにより、コンデンサ161において繰り返し充放電が行なわれることになり、これに同期させてトランジスタ162のオン/オフ動作を切り替えることにより、昇圧トランス140の一次巻線141にインパルス電圧が発生する。これにより、昇圧トランス140の二次巻線142に正および負の高電圧パルスが交互に発生することになり、発生した正の高電圧パルスは、第1ダイオード151aを介して第1放電電極152aに印加され、負の高電圧パルスは、第2ダイオード151bを介して第2放電電極152bに印加される。これにより、第1放電電極152aおよび第2放電電極152bの先端でコロナ放電が発生し、それぞれ正イオンおよび負イオンが発生する。
【0040】
図3および
図4は、
図2に示すイオン発生素子をそれぞれ斜め上方および斜め下方から見た概略斜視図であり、
図5および
図6は、
図2に示すイオン発生素子の上面図および下面図である。また、
図7および
図8は、
図2に示すイオン発生素子に組み込まれる部品実装後の高電圧側回路基板をそれぞれ斜め上方および斜め下方から見た概略斜視図である。さらに、
図9は、
図2に示すイオン発生素子の分解斜視図である。次に、これら
図3ないし
図9を参照して、上述した本実施の形態におけるイオン発生素子100の具体的な構造について説明する。
【0041】
図3ないし
図6に示すように、イオン発生素子100の外殻であるケーシング101は、下面開口の箱状の上ケース110と、上面開口の箱状の下ケース120とを含んでおり、これら上ケース110と下ケース120とが組み合わされることにより、内部に高電圧側回路基板130を収容する空間を有している。上ケース110および下ケース120は、いずれも樹脂製の部材にて構成される。
【0042】
図7に示すように、平面視略矩形状の高電圧側回路基板130の一方の主面である上面には、第1放電電極152aと、第2放電電極152bと、第1誘導電極153aと、第2誘導電極153bと、昇圧トランス140とが実装されており、さらに当該上面には、ランド131〜134が設けられている。また、高電圧側回路基板130の上面側の部分には、第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bの一部が達している。
【0043】
昇圧トランス140は、高電圧側回路基板130の所定方向(ここでは長手方向)の中央部にその軸方向が上記所定方向と直交するように配置されている。
【0044】
第1放電電極152aは、高電圧側回路基板130の上記所定方向における一端部側に位置する一方の角部近傍に配置されており、第2放電電極152bは、高電圧側回路基板130の上記所定方向における他端部側に位置する一方の角部近傍に配置されている。なお、第1放電電極152aおよび第2放電電極152bは、その尖鋭状に加工された先端部が高電圧側回路基板130の上面側に配置されるように、その根元部が高電圧側回路基板130を貫通した状態で当該高電圧側回路基板130に固着されている。
【0045】
第1誘導電極153aは、第1放電電極152aの近傍に位置するように、高電圧側回路基板130の上記所定方向における一端部側の略中央に配置されており、第2誘導電極153bは、第2放電電極152bの近傍に位置するように、高電圧側回路基板130の上記所定方向における他端部側の略中央に配置されている。
【0046】
一方、ランド131〜133は、高電圧側回路基板130の上記所定方向における一端部側に位置する他方の角部近傍に配置されており、ランド134は、高電圧側回路基板130の上記所定方向における他端部側に位置する他方の角部近傍に配置されている。
【0047】
図8に示すように、平面視略矩形状の高電圧側回路基板130の他方の主面である下面には、第1ダイオード151aと、第2ダイオード151bと、コンデンサ161と、トランジスタ162とが実装されている。また、高電圧側回路基板130の下面には、上述した第1放電電極152aおよび第2放電電極152bの根元部が位置している。
【0048】
第1ダイオード151aは、高電圧側回路基板130の上記所定方向における一端部と中央部との間の位置に配置されており、高電圧側回路基板130に設けられた切欠き部に嵌まり込むように設けられている。第2ダイオード151bは、高電圧側回路基板130の上記所定方向における他端部と中央部との間の位置に配置されており、高電圧側回路基板130に設けられた切欠き部に嵌まり込むように設けられている。
【0049】
トランジスタ162は、高電圧側回路基板130の上記所定方向における一端部側に位置する他方の角部近傍に配置されており、コンデンサ161は、高電圧側回路基板130の上記所定方向における他端部側に位置する他方の角部近傍に配置されている。
【0050】
なお、
図7および
図8に示すように、高電圧側回路基板130の所定位置には、上述した第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bを収容するための切欠き部に加えて、さらにスリット状に延びる切欠き部が多数形成されている。これら切欠き部は、後述する樹脂封止部170(
図4および
図6参照)の形成の際に、樹脂封止部170となる液状樹脂のケーシング101内における巡りをよくするためのものである。
【0051】
図3および
図5に示すように、上ケース110の昇圧トランス140に対応した位置には、昇圧トランス140を覆うとともにこれを収容可能にする凸状の昇圧トランス収容部111が設けられている。また、上ケース110の第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bに対応した位置には、それぞれ第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bを覆うとともにこれらを収容可能にする凸状のダイオード収容部112a,112bが設けられている。
【0052】
さらに、上ケース110の第1放電電極152aおよび第2放電電極152bに対応した位置には、それぞれ第1放電電極152aおよび第2放電電極152bが挿通配置可能となるように放電電極収容孔部113a,113bが設けられている。また、上ケース110のランド131〜133に対応した位置には、ランド131〜134を露出させる第1窓部114aが設けられており、上ケース110のランド134に対応した位置には、ランド134を露出される第2窓部114bが設けられている。
【0053】
加えて、上ケース110の第1窓部114aおよび第2窓部114bに隣接した位置であってかつ上述した駆動ユニット200が配置される部分には、それぞれ支持枠部115a,115bが設けられている。当該支持枠部115a,115bは、駆動ユニット200の低電圧側回路基板210の端部が載置される部分となるのみならず、高電圧側回路基板130の端部も載置される部分である。
【0054】
図4および
図6に示すように、下ケース120の略中央部には、樹脂封止部170となる液状樹脂をケーシング101の内部に注入する際に使用される注入用孔部121が設けられている。また、下ケース120の第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bに対応した位置には、それぞれ第1ダイオード151aおよび第2ダイオード151bの端部を収容可能にするダイオード収容孔部122a,122bが設けられている。さらに、下ケース120のコンデンサ161に対応した位置には、コンデンサ161の端部を収容可能にするコンデンサ収容孔部123が設けられている。
【0055】
図9に示すように、イオン発生素子100の組立に際しては、まず、各種部品が実装された後の高電圧側回路基板130に上ケース110が組付けられ、さらにその後に上ケース110に対して下ケース120が組付けられる。このとき、上ケース110の支持枠部115a,115b上に、高電圧側回路基板130の端部が載置されるようにする。
【0056】
次に、放電電極収容孔部113aとこれに挿通された第1放電電極152aとの間の隙間、放電電極収容孔部113bとこれに挿通された第2放電電極152bとの間の隙間、ならびに、第1窓部114aおよび第2窓部114bと高電圧側回路基板130との間の隙間を閉塞するように、これら部分に液状シール剤を塗布して硬化させることで図示しないシール部を形成する。当該シール部を形成することにより、後述する液状樹脂の注入の際に液状樹脂がこれら隙間から漏れ出すことが防止可能となり、ランド131〜134が樹脂封止部170によって覆われることがないようにすることができる。
【0057】
つづいて、上述した注入用孔部121を介してケーシング101の内部に液状樹脂を注入してこれを硬化させることで樹脂封止部170を形成する。なお、樹脂封止部170の材質は、特に限定されるものではないが、好適にはエポキシ樹脂が利用できる。
【0058】
当該樹脂封止部170を用いてケーシング101の内部の空間を充填することにより、高電圧部品としての昇圧トランス140(特に二次巻線142部分)、第1ダイオード151a、第2ダイオード151b、第1放電電極152aの根元部および第2放電電極152bの根元部を絶縁封止することが可能になるとともに、これに加えて高電圧部品ではないもののコンデンサ161およびトランジスタ162といった部品や高電圧側回路基板130の大部分を絶縁封止することが可能になる。そのため、これら部品の絶縁を図りつつこれらを接近配置させることが可能になるとともに、耐吸湿性といった信頼性の向上が図られることになる。
【0059】
以上により、
図3ないし
図6に示す如くのイオン発生素子100が製作されることになり、当該イオン発生素子100においては、第1放電電極152aの先端部、第2放電電極152bの先端部、ランド131〜134が上ケース110から露出した状態となり、さらに下ケース120に設けられた注入用孔部121、ダイオード収容孔部122a,122bおよびコンデンサ収容孔部123が樹脂封止部170によって封止されることで、上述した第1放電電極152aの先端部、第2放電電極152bの先端部、ランド131〜134を除く部分がすべてケーシング101および樹脂封止部170によって覆われることになる。
【0060】
図10は、
図1に示すイオン発生器のイオン発生素子と駆動ユニットとの接続部の構造を示す上面図である。次に、この
図10を参照して、本実施の形態におけるイオン発生器1のイオン発生素子100と駆動ユニット200との接続部の構造について詳説する。なお、
図10においては、接続部材300(
図1参照)の図示は省略している。
【0061】
図10に示すように、イオン発生素子100と駆動ユニット200との物理的な接続は、ランド211〜214が設けられた部分である低電圧側回路基板210の端部に位置する突出部215a,215bが、高電圧側回路基板130の厚み方向に沿ってイオン発生素子100の一部である支持枠部115a,115b上にそれぞれ載置された状態とされ、当該状態において図示しないビス等によってイオン発生素子100と駆動ユニット200とが固定されることで行なわれる。
【0062】
このように構成することにより、高電圧側回路基板130に設けられたランド131〜134と、低電圧側回路基板210に設けられたランド211〜214とが、それぞれイオン発生素子100と駆動ユニット200とが並ぶ方向に沿って接近配置されることになり、これらランド131〜134およびランド211〜214間のそれぞれの接続部材300を介した電気的な接続が可能になる。
【0063】
ここで、一般的に、接地端子は、回路基板間における電気的な接続箇所の数を削減する観点から、通常であれば単一のランドに集約されるものである。しかしながら、本実施の形態におけるイオン発生素子100おいては、高電圧側回路基板130に設けられた第1接地端子である第1ランドとしてのランド132と、同じく高電圧側回路基板130に設けられた第2接地端子である第2ランドとしてのランド134とが、単一のランドに集約されることなく、個別に独立して形成されている。
【0064】
これは、本実施の形態におけるイオン発生素子100においては、上述したように、昇圧トランス140が高電圧側回路基板130の所定方向に沿った中央部に配置されているとともに、第1誘導電極153aおよび第2誘導電極153bが当該昇圧トランス140を挟み込むように高電圧側回路基板130の所定方向における一端部と他端部とに配置されているため、当該所定方向とは直交する方向の高電圧側回路基板130の幅を大きくしない限り、これら第1誘導電極153aと第2誘導電極153bとを電気的に接続するための配線パターンを高電圧側回路基板130に形成することができないこととなり、これに伴って当該幅方向におけるイオン発生素子100の体格が大型化してしまうことを避ける目的で採用された構造である。
【0065】
すなわち、上記のように構成することにより、高電圧側回路基板130の上記幅方向の厚みを可能な限り昇圧トランス140の軸方向の長さに近付けることが可能になり、イオン発生素子100の当該幅方向に沿った寸法を削減できることになる。そのため、結果としてイオン発生器1の寸法も低減できることになり、これに伴ってイオン発生器1の小型化が可能となってその占有体積を削減することができる。
【0066】
したがって、本実施の形態におけるイオン発生素子100およびこれを備えたイオン発生器1とすることにより、従来に比して小型化が図られたイオン発生素子およびイオン発生器とすることが可能となり、さらには、当該イオン発生器1が組み込まれたイオン発生装置とすることにより、そのイオン発生装置の小型化も図られることになる。
【0067】
ここで、イオン発生装置とは、イオン発生器と、当該イオン発生器において発生されるイオンを送出するための気流を発生させる送風機とを少なくとも組み合わせることで構成されたものであり、空間中に正イオンおよび負イオンを高密度で混在させることにより、ウイルスやカビ菌等の分解、各種アレルゲンの不活化、臭いの除去、除電等を行なうものである。したがって、イオン発生装置には、たとえば空気清浄機や空気調和機、美容健康機器等、様々なものが含まれる。
【0068】
以上において説明した本発明の一実施の形態においては、イオン発生素子、イオン発生器およびイオン発生装置として、正イオンおよび負イオンの双方を発生させるものを例示して説明を行なったが、正イオンおよび負イオンのうちのいずれか一方のみを発生させるイオン発生素子、イオン発生器およびイオン発生装置に本発明を適用することも当然に可能である。
【0069】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。