(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、段取りの回数、および、段取りの際の前記部品保持部の入れ替え回数のうち少なくとも1つを含む段取り作業量の制限条件を設定するとともに、設定された段取り作業量の制限条件を満たす範囲内で、前記基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
前記制御部は、段取り作業量を所定の範囲内に制限する段取り結果のうち、前記基板の総生産時間が最も短い段取り結果を選択して段取りを計画するように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装システム。
前記制御部は、2以上の種類の前記基板の生産の段取りを共通化する共通段取りにして段取りの作業量を所定の範囲内に制限した状態で、前記基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の部品実装システムでは、ホストコンピュータは、段取り作業時間および基板の生産時間を考慮して、基板の総生産時間が短くなるように段取りの回数を計画するため、段取りの回数に係らず、総生産時間が短くなるように計画され、その結果、段取りの回数が過度に多くなる場合があると考えられる。この場合、段取りの回数が多くなることに起因して段取り作業の負担が増加するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、基板の総生産時間を短縮しつつ、段取り作業の負担が増加するのを抑制することが可能な部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における部品実装システムは、部品保持部から供給される部品を基板に実装する部品実装装置と、生産する基板の種類に応じて部品保持部を部品実装装置に装着する段取りを計画する制御部とを備え、制御部は、段取り作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されて
おり、制御部は、段取り回数を所定の範囲内に制限する複数パターンの段取り回数のうち、基板の総生産時間が最も短い段取り回数を選択して段取りを計画するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による部品実装システムでは、上記のように、段取り作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画する制御部を設けることによって、段取り作業量が過度に大きくなるのを防止しながら、基板の総生産時間を短縮するように段取りが計画されるので、基板の総生産時間を短縮しつつ、段取り作業の負担が増加するのを抑制することができる。これにより、作業負担の増大に起因して段取り作業効率が低下するのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御部は、段取りの回数、および、段取りの際の部品保持部の入れ替え回数のうち少なくとも1つを含む段取り作業量の制限条件を設定するとともに、設定された段取り作業量の制限条件を満たす範囲内で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている。このように構成すれば、段取りの回数や段取りの際の部品保持部の入れ替え回数を所定の範囲内に制限して段取り作業量が過度に大きくなるのを容易に防止することができるので、段取り作業の負担が増加するのを容易に抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御部は、段取り作業量を所定の範囲内に制限する段取り結果のうち、基板の総生産時間が最も短い段取り結果を選択して段取りを計画するように構成されている。このように構成すれば、段取り作業の負担が増加するのを抑制しつつ、基板の総生産時間をより短縮することができる。
【0011】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置は、基板を並行して生産することが可能な複数の部品実装装置を含み、制御部は、複数の部品実装装置の段取り作業重複時間が短くなるように、複数の部品実装装置のそれぞれの段取りを計画するように構成されている。このように構成すれば、複数の段取り作業時間が重複することにより段取り作業の負担が大きくなる場合に、その重複時間を短くして段取り作業の負担を軽減することができるとともに、作業時間が重複しない分、段取り作業待ちによるロスを減らすことができる。これにより、段取り作業の負担が増加するのを抑制しながら、複数の部品実装装置を用いて基板を効率よく生産することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、複数の部品実装装置の段取り作業重複時間
を短くするとともに、基板の総生産時間が所定の範囲内になるように段取りを計画するように構成されている。このように構成すれば、複数の部品実装装置の段取り作業の重複時間を最短にして、段取り作業の負担が増加するのを効果的に抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、制御部は、2以上の種類の基板の生産の段取りを共通化する共通段取りにして段取りの作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている。このように構成すれば、共通段取りにより段取りの作業量を容易に所定の範囲内にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記のように、基板の総生産時間を短縮しつつ、段取り作業の負担が増加するのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1および
図2を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム1の構成について説明する。
【0018】
本発明の第1実施形態による部品実装システム1は、
図1に示すように、2台の部品実装装置100と、制御装置200とを備えている。また、部品実装システム1は、2つの基板生産ラインからなり、各々の基板生産ラインに配置された部品実装装置100により、部品実装前の基板110に部品120が実装されて基板(実装基板)が生産されるように構成されている。つまり、2台の部品実装装置100により、並行して基板(実装基板)が生産されるように構成されている。また、
図2に示すように、制御装置200および2台の部品実装装置100は、互いにイーサネット(登録商標)により接続されている。なお、制御装置200は、本発明の「制御部」の一例である。
【0019】
部品実装装置100は、基板搬送コンベア(図示せず)により基板110を搬送するとともに、テープフィーダ121(
図1参照)から供給される部品120をヘッドユニット10(
図1参照)により基板110に実装するように構成されている。また、部品実装装置100には、複数のテープフィーダ121が着脱可能に装着されている。なお、テープフィーダ121は、本発明の「部品保持部」の一例である。
【0020】
部品実装装置100により基板を生産する場合の段取りとして、基板の生産に必要な部品120を保持したテープフィーダ121が部品実装装置100に装着される作業が段取りグループごとに行われる。また、2以上の種類(品種)の基板を生産する際の段取りを共通化する場合は、生産する基板の品種ごとに必要な種類の部品120を保持したテープフィーダ121の全てが、部品実装装置100に装着される作業が行われる。また、テープフィーダ121を装着する段取り以外の段取りとして、基板生産ラインの上流に配置された、印刷機(図示せず)の段取りや、部品実装装置100の基板110を支持するためのバックアップピン(図示せず)の段取りなども生産する基板の品種ごとに行われる。
【0021】
また、部品実装装置100は、
図2に示すように、コントローラ101、表示ユニット102およびサーボモータ103を主に含む。コントローラ101は、制御装置200からの指示に基づいて部品実装作業の制御を行うように構成されている。具体的には、コントローラ101は、論理演算を実行する演算処理部101a、演算処理部101aを制御するプログラムなどを記憶する記憶部101bなどから構成されている。また、コントローラ101は、記憶部101bに記憶されているプログラムに従って、モータ制御部101cにより、基板搬送コンベアおよびヘッドユニットを個々に駆動するサーボモータ103を制御するように構成されている。
【0022】
表示ユニット102は、制御装置200により計画された段取りを表示可能に構成されている。具体的には、表示ユニット102には、生産する基板の品種、生産に必要な部品およびテープフィーダ121を装着/交換する位置についての情報などを表示可能に構成されている。
【0023】
ここで、第1実施形態では、制御装置200は、
図1に示すように、2台の部品実装装置100に接続されている。また、制御装置200は、PC(パーソナルコンピュータ)により構成されている。また、制御装置200は、論理演算を実行する演算処理部201、演算処理部201を制御するプログラムなどを記憶する記憶部202、演算処理部201が計画する段取りの結果を出力する表示ユニット203などから構成されている。また、制御装置200は、2つの基板生産ラインにそれぞれ設けられた2台の部品実装装置100による基板110への部品120の実装作業を制御するように構成されている。具体的には、制御装置200は、生産する基板の種類(品種)に応じてテープフィーダ121を部品実装装置100に装着する段取りを計画するように構成されている。
【0024】
詳しくは、制御装置200は、段取り作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている。つまり、制御装置200は、テープフィーダ121の段取りの回数の上限を設定するとともに、設定された段取り回数の制限条件を満たす範囲内で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている。ここでは、テープフィーダ121の段取りの回数の上限が、生産開始時の最初の段取りを含めずに1回として設定されている。つまり、生産途中にテープフィーダ121の段取り交換する回数の上限が1回と設定されている。これにより、生産開始時に最初に必ず行われる段取りのカウントを省略することができるので、段取りカウント制御を簡略化することが可能である。また、テープフィーダ121以外(印刷機やバックアップピンなど)の段取りは、生産する基板の品種ごとに必ず行われるため、制限するカウントには含まれない。
【0025】
また、制御装置200は、段取り作業量を所定の範囲内に制限する段取り結果のうち、基板の総生産時間が最も短い段取り結果を選択して段取りを計画するように構成されている。具体的には、制御装置200は、生産開始時の最初の段取りを含めずに段取りの回数が1回以内の段取り計画の結果のうち、基板の総生産時間が最も短い段取り結果を選択して段取りを計画するように構成されている。また、制御装置200は、2以上の種類(品種)の基板の生産の段取りを共通化する共通段取りにして段取りの作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている。
【0026】
次に、
図3〜
図5を参照して、制御装置200が行う共通段取り計画処理について説明する。
【0027】
まず、
図3に示すステップS1において、制御装置200は、基板の品種ごとに毎回段取り交換を行うという条件で全品種の基板の段取りの最適化を行う。つまり、制御装置200は、生産する基板の全品種について、それぞれの生産時間が短くなるように、必要な部品120を保持したテープフィーダ121の装着位置を調整して段取りの最適化を行う。制御装置200は、ステップS2において、段取りを共通化する基板の品種の組合せを選択する。つまり、制御装置200は、段取り回数を減らすために、段取りを共通化する2以上の種類(品種)の基板を選択するように構成されている。
【0028】
具体的には、
図4に示すように、制御装置200は、ステップS2aにおいて、段取りを行うグループごとに、テープフィーダ121の予想使用数を算出する。具体的には、制御装置200は、段取りを行うグループごとに、基板の生産に必要な部品120を保持したテープフィーダ121の数を算出する。制御装置200は、ステップS2bにおいて、予想使用数が最少の第1段取りグループを選択する。つまり、制御装置200は、必要な部品120が最も少ない段取りグループを第1段取りグループとして選択する。
【0029】
制御装置200は、ステップS2cにおいて、第1段取りグループと共通する部品120のテープフィーダ121の予想使用数が最大となる第2段取りグループを選択する。つまり、制御装置200は、第1段取りグループと共通に用いられるテープフィーダ121の数が最も多い段取りグループを第2段取りグループとして選択する。制御装置200は、ステップS2dにおいて、第1段取りグループにおいて生産する基板および第2段取りグループにおいて生産する基板を共通段取りにする基板の品種に選択する。これにより、段取りを共通化する2以上の基板の種類(品種)が選択される。
【0030】
制御装置200は、
図3のステップS3において、テープフィーダ121の段取り交換回数が制限範囲内であるか否かを判断する。具体的には、制御装置200は、段取りの回数の上限が、生産開始時の最初の段取りを含めずに1回以内であるか否かを判断する。たとえば、
図5に示す例の場合、パターンP1では、品種A、品種B、品種Cおよび品種Dの基板の生産のテープフィーダ121の段取りが共通化されており、全ての段取りが基板生産開始時の最初の段取りで行われるので、段取り交換回数が0回である。また、パターンP2では、品種A、品種Bおよび品種Cの基板の生産のテープフィーダ121の段取りが共通化されて基板生産開始時の最初の段取りで行われるとともに、品種Dの基板の生産は単独で段取りが行われ、段取り交換回数が1回である。また、パターンP3では、品種Aおよび品種Bの基板の生産のテープフィーダ121の段取りが共通化されて基板生産開始時の最初の段取りで行われるとともに、品種Cおよび品種Dの基板の生産はそれぞれ単独で段取りが行われ、基板生産開始後の段取り交換回数が2回である。この場合、制御装置200は、パターンP1およびパターンP2を段取り交換回数が制限範囲内であると判断する。段取り交換回数が制限範囲内(1回以内)でなければ、ステップS2に戻り、制御装置200は、段取りを共通化する未試行の基板の品種の組合せを選択する。
【0031】
段取り交換回数が制限範囲内(1回以内)であれば、制御装置200は、ステップS4において、選択した品種を共通段取りにするという条件で共通段取りの最適化を行う。つまり、制御装置200は、第1段取りグループおよび第2段取りグループの段取りを共通化した場合に、基板の生産時間が短くなるように、必要な部品120を保持したテープフィーダ121の装着位置を調整して共通段取りの最適化を行う。制御装置200は、ステップS5において、全品種の基板の総生産時間を算出する。具体的には、制御装置200は、段取りグループごとの段取り時間および基板生産時間を取得し、全ての段取りグループの段取り時間および基板生産時間を合計して、基板の総生産時間を算出する。
【0032】
制御装置200は、ステップS6において、共通段取りした基板の品種の組合せおよび基板の総生産時間を記憶部202に記憶する。つまり、制御装置200は、試行した段取り計画を記憶部202に記憶する。制御装置200は、ステップS7において、終了条件を満たしたか否かを判断する。具体的には、制御装置200は、共通段取りにする基板の品種の組合せについて、全パターンを試行したか否かを判断する。なお、制御装置200は、試行回数が規定回数に達したことにより終了条件を満たすと判断してもよい。また、制御装置200は、基板の総生産時間が許容値以下になったことにより終了条件を満たすと判断してもよい。
【0033】
終了条件を満たしていなければ、ステップS2に戻り、制御装置200は、段取りを共通化する未試行の基板の品種の組合せを選択する。終了条件を満たしていれば、制御装置200は、ステップS8において、記憶部202に記憶した基板の総生産時間に基づいて、基板の総生産時間が最も短い段取り計画の結果を最終結果として表示ユニット203に表示させるとともに、部品実装装置100に最終結果を出力する。たとえば、
図5に示す例の場合、制御装置200は、段取り交換回数が制限範囲内(1回以内)のパターンP1およびパターンP2のうち、基板の総生産時間が短いパターンP2を選択して、最終結果として出力する。その後、制御装置200は、共通段取り計画処理を終了する。
【0034】
第1実施形態では、上記のように、段取り作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画する制御装置200を設けることによって、段取り作業量が過度に大きくなるのを防止しながら、基板の総生産時間を短縮するように段取りが計画されるので、基板の総生産時間を短縮しつつ、段取り作業の負担が増加するのを抑制することができる。これにより、作業負担の増大に起因して段取り作業効率が低下するのを抑制することができる。
【0035】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置200を、テープフィーダ121の段取りの回数の上限を設定するとともに、設定された段取り作業量の制限条件を満たす範囲内で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成する。これにより、テープフィーダ121の段取りの回数を所定の範囲内に制限して段取り作業量が過度に大きくなるのを容易に防止することができるので、段取り作業の負担が増加するのを容易に抑制することができる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置200を、段取り作業量を所定の範囲内に制限する段取り結果のうち、基板の総生産時間が最も短い段取り結果を選択して段取りを計画するように構成する。これにより、段取り作業の負担が増加するのを抑制しつつ、基板の総生産時間をより短縮することができる。
【0037】
また、第1実施形態では、上記のように、制御装置200を、2以上の種類の基板の生産の段取りを共通化する共通段取りにして段取りの作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成する。これにより、共通段取りにより段取りの作業量を容易に所定の範囲内にすることができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図9を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装システム1について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、2つの基板生産ライン間において段取りを調整する構成について説明する。
【0039】
ここで、第2実施形態では、制御装置200は、段取り作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画するように構成されている。ここでは、テープフィーダ121の段取りの回数の上限が、生産開始時の最初の段取りを含めずに2回として設定されている。また、制御装置200は、2台の部品実装装置100の段取り作業重複時間が短くなるように、2台の部品実装装置100のそれぞれの段取りを計画するように構成されている。具体的には、制御装置200は、部品実装装置100(基板生産ライン)ごとに、基板生産の段取りの計画を立てて、その後、各部品実装装置100間(各基板生産ライン間)において基板生産の段取り時間を調整して決定するように構成されている。
【0040】
また、制御装置200は、2台の部品実装装置100の段取り作業重複時間を最も短くするとともに、基板の総生産時間が所定の範囲内になるように段取りを計画するように構成されている。たとえば、
図7に示す例の場合では、第1ラインの品種Bの基板を生産するためのテープフィーダ121の段取り時間と、第2ラインの品種Eの基板を生産するためのテープフィーダ121以外の段取りおよびテープフィーダ121の段取り時間とが互いに時間t1だけ重複している。また、第1ラインの品種Cの基板を生産するためのテープフィーダ121以外の段取りおよびテープフィーダ121の段取り時間と、第2ラインの品種Fの基板を生産するためのテープフィーダ121の段取り時間とが互いに時間t2だけ重複している。
【0041】
次に、
図6を参照して、制御装置200が行う段取り計画処理について説明する。
【0042】
ステップS21において、制御装置200は、基板の品種ごとに毎回段取り交換を行うという条件で全品種の基板の段取りの最適化を行う。つまり、制御装置200は、生産する基板の全品種について、それぞれの生産時間が短くなるように、必要な部品120を保持したテープフィーダ121の装着位置を調整して段取りの最適化を行う。たとえば、
図7に示す例の場合、第1ラインでは、品種A、品種Bおよび品種Cの基板の生産をそれぞれ、単独でテープフィーダ121の段取りを行うという条件で段取りを計画する。また、第2ラインでは、品種D、品種Eおよび品種Fの基板の生産をそれぞれ、単独でテープフィーダ121の段取りを行うという条件で段取りを計画する。制御装置200は、ステップS22において、全ての基板生産ライン(第1ラインおよび第2ライン)の段取り時間および基板の生産時間を算出する。
【0043】
制御装置200は、ステップS23において、複数の基板生産ライン(第1ラインおよび第2ライン)で段取り作業が重複する合計の時間T1を算出する。たとえば、
図7に示す例の場合、段取り作業が重複する合計の時間T1は、T1=t1+t2の式により算出される。制御装置200は、ステップS24において、終了条件を満たしたか否かを判断する。具体的には、制御装置200は、全ての候補について試行したか否かを判断する。なお、制御装置200は、試行回数が規定回数に達したことにより終了条件を満たすと判断してもよい。終了条件を満たしていれば、ステップS32に進む。
【0044】
終了条件を満たしていなければ、ステップS25において、制御装置200は、重複時間が大きい部分を優先して、複数の品種の基板の生産を選択してテープフィーダ121の段取りの共通化を試行する。たとえば、
図8に示す例の場合、重複時間が時間t2に対して大きい時間t1の部分を優先して、第2ラインの品種Dおよび品種Eの基板の生産のテープフィーダ121の段取りを共通化する。これにより、時間t1の部分の作業の重複が解消される。なお、時間t2の部分は、時間t3として作業の重複が残ることになる。また、制御装置200は、生産順序の入れ替えが許可されている場合、段取りを共通化した状態において基板の生産の順序の調整を行う。たとえば、
図9に示す例の場合、第2ラインの共通化された品種Dおよび品種Eの基板の生産と、品種Fの基板の生産との順序を入れ替える。これにより、時間t3の部分の作業の重複が解消される。
【0045】
制御装置200は、ステップS26において、段取り共通化を試行した部分の段取り時間および生産時間を算出する。制御装置200は、ステップS27において、複数の基板生産ライン(第1ラインおよび第2ライン)で段取り作業が重複する合計の時間T2を算出する。たとえば、
図8に示す例の場合、段取りの共通化による調整後では、段取り作業が重複する合計の時間T2はt3と算出される。また、
図9に示す例の場合、順序変更による調整後では、段取り作業の重複が解消されて合計の時間T2は0と算出される。
【0046】
制御装置200は、ステップS28において、時間T2がT1未満であるか否かを判断する。時間T2がT1以上であれば、ステップS31に進む。時間T2がT1未満であれば、制御装置200は、ステップS29において、基板の総生産時間が許容値を超えているか否かを判断する。基板の総生産時間が許容値を超えていれば、ステップS31に進む。基板の総生産時間が許容値を超えていなければ、ステップS30において、制御装置200は、試行した段取り共通化の段取り計画を記憶部202に記憶する。そして、ステップS24に戻る。
【0047】
ステップS28において時間T2がT1以上であると判断された場合、または、ステップS29において基板の総生産時間が許容値を超えていると判断された場合、ステップS31において、制御装置200は、試行した段取り共通化の計画を破棄して、ステップS24に戻る。
【0048】
ステップS24において終了条件を満たしていると判断した場合、ステップS32において、制御装置200は、記憶部202に記憶した段取り計画のうち基板の総生産時間が最も短い段取り計画結果を最終結果として表示ユニット203に表示させるとともに、部品実装装置100に最終結果を出力する。その後、制御装置200は、段取り計画処理を終了する。
【0049】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0050】
上記のように、第2実施形態の構成においても、上記第1実施形態と同様に、段取り作業量を所定の範囲内に制限した状態で、基板の総生産時間を短縮するように段取りを計画する制御装置200を設けることによって、基板の総生産時間を短縮しつつ、段取り作業の負担が増加するのを抑制することができる。
【0051】
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置200を、2台の部品実装装置100の段取り作業重複時間が短くなるように、2台の部品実装装置100のそれぞれの段取りを計画するように構成する。これにより、複数の段取り作業時間が重複することにより段取り作業の負担が大きくなる場合に、その重複時間を短くして段取り作業の負担を軽減することができるとともに、作業時間が重複しない分、段取り作業待ちによるロスを減らすことができる。これにより、段取り作業の負担が増加するのを抑制しながら、2台の部品実装装置100を用いて基板を効率よく生産することができる。
【0052】
また、第2実施形態では、上記のように、制御装置200を、2台の部品実装装置100の段取り作業重複時間を最も短くするとともに、基板の総生産時間が所定の範囲内になるように段取りを計画するように構成する。これにより、2台の部品実装装置100の段取り作業の重複時間を最短にして、段取り作業の負担が増加するのを効果的に抑制することができる。
【0053】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0054】
(第2実施形態の第1変形例および第2変形例)
以下、第2実施形態の第1変形例および第2変形例について説明する。上記第2実施形態では、作業の重複時間を短縮するために、複数の品種の基板の生産を選択してテープフィーダ121の段取りの共通化を行う構成の例を示したが、
図10および
図11に示す第2実施形態の第1および第2変形例のように構成してもよい。
【0055】
具体的には、制御装置200は、
図10に示す第1変形例のように、テープフィーダ121の段取りを一部前倒しして行う。詳しくは、第2ラインの品種Eおよび品種Fの基板の生産のテープフィーダ121の段取りの一部を品種Dの基板の生産のテープフィーダ121の段取りの際に前倒しして行う。これにより、時間t1(
図7参照)の部分の作業の重複が解消される。なお、時間t2(
図7参照)の部分は、時間t4として作業の重複が残ることになる。また、制御装置200は、生産順序の入れ替えが許可されている場合、段取りを前倒しした状態において、基板の生産の順序の調整を行う。たとえば、
図11に示す第2変形例の場合、第2ラインの品種Eの基板の生産と、品種Fの基板の生産との順序を入れ替える。これにより、時間t4の部分の作業の重複が解消される。
【0056】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の部品保持部として、部品を保持したテープフィーダを用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品保持部として、部品を保持したトレイなどを用いてもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、部品実装システムが2つの基板生産ラインを有し、1つの基板生産ラインに1台ずつ部品実装装置を設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装システムが1つまたは3つ以上の基板生産ラインを有していてもよい。また、1つの基板生産ラインに複数の部品実装装置を設ける構成であってもよい。
【0059】
また、上記第1実施形態では、制御装置(制御部)は、テープフィーダ(部品保持部)の段取りの回数の上限を設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部は、段取りの回数、および、段取りの際の部品保持部の入れ替え回数のうち少なくとも1つを含む段取り作業量の制限条件を設定する構成でもよい。たとえば、部品保持部の入れ替えの回数の上限を設定する構成であってもよい。この場合、部品保持部を部品実装装置から取り外す場合および装着する場合のそれぞれを1回としてカウントしてもよい。つまり、部品実装装置から部品保持部を取り外し、取り外した位置に別の部品保持部を装着した場合、2回としてカウントされる。また、部品保持部の大きさなどに基づいて、カウントする回数の重み付けを行ってもよい。たとえば、幅が8mmサイズのテープフィーダ(部品保持部)の取り外しおよび装着をそれぞれ1回としてカウントする場合、幅が16mmサイズのテープフィーダ(部品保持部)の取り外しおよび装着をそれぞれ2回としてカウントしてもよい。また、部品保持部の入れ替えの回数を、たとえば、1時間で作業者1名につき20回を上限として設定してもよい。つまり、予想生産時間が8時間で、作業者が2名の場合、320回が部品保持部の入れ替えの回数の上限として設定される。また、段取りの際の部品保持部の入れ替えの回数の上限を設定するとともに、部品保持部の入れ替えの回数の上限を設定する構成であってもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態では、テープフィーダ(部品保持部)の段取りの回数の上限を、生産開始時の最初の段取りを含めずに設定する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品保持部の段取りの回数の上限を生産開始時の最初の段取りを含めて設定する構成でもよい。
【0061】
また、上記第1実施形態では、テープフィーダ(部品保持部)の段取りの回数の上限を、1回に設定する構成の例を示し、上記第2実施形態では、テープフィーダ(部品保持部)の段取りの回数の上限を、2回に設定する構成の例を示したが、本発明はこれらに限られない。本発明では、部品保持部の段取りの回数の上限を3回以上に設定してもよいし、生産開始時の最初の段取りを含めずに0回に設定してもよい。
【0062】
また、上記第2実施形態では、複数の生産ラインのうち一方の生産ラインの段取りを調整して、作業が重複する時間を短くする構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の生産ラインのそれぞれの段取りを調整して、作業が重複する時間を短くする構成であってもよい。
【0063】
また、上記第1および第2実施形態では、テープフィーダ(部品保持部)の段取り回数を制限するカウントに含み、テープフィーダ以外(印刷機やバックアップピンなど)の段取り回数を制限するカウントに含まない構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、共通化が可能な段取りの回数を制限するカウントに含み、共通化が不可能な段取りの回数を制限するカウントに含まない構成にしてもよい。たとえば、バックアップピン配置が全く同じ品種の基板を連続で生産する場合、バックアップピンの段取りの共通化が可能となる。この場合、バックアップピンの段取り回数を制限するカウントに含めてもよい。
【0064】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御装置(制御部)の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。