【実施例】
【0028】
以下に実施例により発明を詳細に説明するが、本発明の効果を奏するものであれば以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
(実施例1)
<Ti−Si−Mo複合酸化物(MoO
3含有量:20質量%)の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム4.9kgと、シリカゾル(スノーテックス−30(製品名
、「スノーテックス」は登録商標)、日産化学社製、SiO
2換算30質量%含有)6.0kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH3含有)109kgと、水186リットル(以下、Lと表記)との混合溶液に、硫酸チタニルの硫酸溶液(テイカ社製、TiO
2として70g/L、H
2SO
4として287g/L含有)203Lを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させ後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置し、水で充分洗浄した後、濾過し、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級してTi−Si−Mo複合酸化物の粉体を得た。このようにして調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3=71:9:20(質量比)であった。
<バナジウム酸化物および硫酸マンガンの添加>
8Lの水にメタバナジン酸アンモニウム1.54kgとシュウ酸1.85kg、さらにモノエタノールアミン0.4kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:20質量%)17.6kgと、硫酸マンガン5水和物(MnSO
4・5H
2O)1.92kgをニーダーに投入後、有機バインダーなどの成形助剤とともにバナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで充分混練りし、外形80mm角、長さ500mm、目開き3.2mm、肉厚0.5mmのハニカム状に押し出し成形した。得られた成形物を60℃で乾燥後、500℃で5時間焼成して触媒Aを得た。この触媒Aの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:MnSO
4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は100m
2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
【0030】
(実施例2)
実施例1において、硫酸マンガン5水和物1.92kgの代わりに硫酸鉄7水和物(FeSO
4・7H
2O)2.20kgを使用した以外は実施例1と同様にして、触媒Bを得た。この触媒Bの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:FeSO
4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は104m
2/g、全細孔容積は0.33mL/gであった。
【0031】
(実施例3)
実施例1において、硫酸マンガン5水和物1.92kgの代わりに硫酸コバルト7水和物(CoSO
4・7H
2O)2.18kgを使用した以外は実施例1と同様にして、触媒Cを得た。この触媒Cの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:CoSO
4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は99m
2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
【0032】
(実施例4)
実施例1において、硫酸マンガン5水和物1.92kgの代わりに硫酸亜鉛7水和物(ZnSO
4・7H
2O)2.14kgを使用した以外は実施例1と同様にして、触媒Dを得た。この触媒Dの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:ZnSO
4=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は102m
2/g、全細孔容積は0.31mL/gであった。
【0033】
(
参考例5)
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:20質量%)の量を17.6kgから18.2kgに変更し、硫酸亜鉛7水和物の量を2.14kgから1.07kgに変更した以外は実施例4と同様にして、触媒Eを得た。この触媒Eの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:ZnSO
4=65:8:18:6:3(質量比)であり、BET比表面積は110m
2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
【0034】
(
参考例6)
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:20質量%)の量を17.6kgから16.8kgに変更し、硫酸亜鉛7水和物の量を2.14kgから3.56kgに変更した以外は実施例4と同様にして、触媒Fを得た。この触媒Fの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:ZnSO
4=59:8:17:6:10(質量比)であり、BET比表面積は95m
2/g、全細孔容積は0.29mL/gであった。
【0035】
(
参考例7)
実施例4において、硫酸亜鉛7水和物2.14kgの代わりに硝酸亜鉛6水和物(Zn(NO
3)2・6H
2O)4.33kgを使用した以外は実施例4と同様にして、触媒Gを得た。この触媒Gの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:ZnO=62:8:18:6:6(質量比)であり、BET比表面積は92m
2/g、全細孔容積は0.34mL/gであった。
【0036】
(比較例1)
<Ti−Si−Mo複合酸化物(MoO
3含有量:9質量%)の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム2.2kgと、シリカゾル(スノーテックス−30(製品名))6.0kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH
3含有)126kgと、水138Lとの混合溶液に、実施例1で用いた硫酸チタニルの硫酸溶液234Lを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させ後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置し、水で充分洗浄した後、濾過し、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級してTi−Si−Mo複合酸化物の粉体を得た。このようにして調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3=82:9:9(質量比)であった。
【0037】
<バナジウム酸化物および硫酸亜鉛の添加>
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:20質量%)17.6kgの代わりに上記Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:9質量%)17.6kgを使用した以外は実施例4と同様にして、触媒Hを得た。この触媒Hの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:ZnSO
4=72:8:8:6:6(質量比)であり、BET比表面積は98m
2/g、全細孔容積は0.34mL/gであった。
【0038】
(比較例2)
<Ti−Si−Mo複合酸化物(MoO
3含有量:35質量%)の調製>
パラモリブデン酸アンモニウム8.6kgと、シリカゾル(スノーテックス−30(製品名))6.0kgと、工業用アンモニア水(25質量%NH
3含有)86kgと、水252Lとの混合溶液に、実施例1で用いた硫酸チタニルの硫酸溶液160Lを、攪拌しながら徐々に滴下し、沈殿を生成させ後、適量のアンモニア水を加えてpHを5に調整した。この共沈スラリーを約20時間静置し、水で充分洗浄した後、濾過し、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、550℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級してTi−Si−Mo複合酸化物の粉体を得た。このようにして調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体の組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3=56:9:35(質量比)であった。
【0039】
<バナジウム酸化物および硫酸亜鉛の添加>
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:20質量%)17.6kgの代わりに上記Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:35質量%)17.6kgを使用した以外は実施例4と同様にして、触媒Iを得た。この触媒Iの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5:ZnSO
4=49:8:31:6:6(質量比)であり、BET比表面積は105m
2/g、全細孔容積は0.27mL/gであった。
【0040】
(比較例3)
実施例4において、Ti−Si−Mo複合酸化物粉体(MoO
3含有量:20質量%)の量を17.6kgから18.8kgに変更し、硫酸亜鉛7水和物を用いなかった以外は実施例4と同様にして、触媒Jを得た。この触媒Jの組成は、TiO
2:SiO
2:MoO
3:V
2O
5=67:8:19:6(質量比)であり、BET比表面積は124m
2/g、全細孔容積は0.32mL/gであった。
【0041】
(NOx除去試験)
実施例1〜7および比較例1〜3で得た触媒A〜Jを用い、下記条件でNOx除去性能の評価を行なった。
【0042】
[供給ガス組成]
NOx:100ppm,NH
3:100ppm,SO
2:50ppm,O
2:10容量%,H
2O:15容量%,N
2:balance
[処理条件]
ガス温度:160℃,空間速度:3,000h
−1(STP),ガス線速度:1.0m/s(Normal)
次に、触媒入口および触媒出口のNOx濃度を測定し、次式に従ってNOx除去率を算出した。なお、測定は反応開始10時間後と1000時間後に行なった。結果を表1に示す。
【0043】
【数1】
【0044】
(クロロフェノール分解試験)
実施例4および比較例1、2で得た触媒D、H、Iを用い、下記条件でクロロフェノール分解性能の評価を行なった。
【0045】
[供給ガス組成]
クロロフェノール:30ppm,SO
2:50ppm,O
2:10容量%,H
2O:15容量%,N
2:balance
[処理条件]
ガス温度:160℃,空間速度:5,000h
−1(STP),ガス線速度:1.0m/s(Normal)
次に、触媒入口および触媒出口のクロロフェノール濃度を測定し、次式に従ってクロロフェノール分解率を算出した。なお、測定は反応開始10時間後と1000時間後に行なった。結果を表2に示す。
【0046】
【数2】
【0047】
【0048】
【表2】