(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016575
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/08 20060101AFI20161013BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20161013BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20161013BHJP
【FI】
F21S8/08 100
F21V23/00 150
F21V23/00 140
F21V23/00 113
F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-233896(P2012-233896)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-86248(P2014-86248A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】笹嶋 潤
(72)【発明者】
【氏名】芦萱 直樹
【審査官】
石井 孝明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−282742(JP,A)
【文献】
特開平09−274809(JP,A)
【文献】
実開平06−062416(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21V 23/00
F21V 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED素子を実装したLED基板と、点灯回路基板と、自動点滅器と、を収容したLEDランプ本体と、
前記LEDランプ本体を、屋外に設けられた支柱や壁面などの被取付体に固定するための取付手段と、
を有するLED照明器具において、
前記LEDランプ本体の外殻は、下面が開口した筺体と、該下面開口を覆う透光性カバーとを有し、
前記LEDランプ本体を構成する筺体において、前記LEDランプ本体から前記透光性カバーを通して光が照射される方向である前記開口側を下方向として上下方向と規定し、前記上下方向に垂直な方向を左右方向と規定するとき、
前記取付手段が前記筺体の左右方向における一方側に固定され、前記点灯回路基板が前記LEDランプ本体の左右方向における一方側に配置され、前記LED基板が前記LEDランプ本体の左右方向の他方側に配置され、前記自動点滅器が、前記被取付体に対向する側の前記筺体の外殻と前記点灯回路基板の前記被取付体側の端部との間に配置されており、
前記自動点滅器に外光を採り入れるための採光部が、
被取付体に対向する側の、前記LEDランプ本体の外殻に設けられていることを特徴としたLED照明器具。
【請求項2】
前記取付手段は、前記採光部が外光の採光を阻害しない形状であり、該取付手段が、前記被取付体に対向する側の、前記LEDランプ本体の外殻に取り付けられ、
前記採光部は、前記LEDランプ本体と前記取付手段との連結位置に設けられていることを特徴とした請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記取付手段が、下面及び2つの側面とからなり、該断面がコ字形状に形成されていることを特徴とした請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記採光部は、下面が開口した庇を備えていることを特徴とした請求項1から3のいずれかに記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の支柱等に取り付けられるLED照明装置に関し、特に自動点滅器を備えたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、省電力化に優れたLED素子を光源に使用したLED照明装置が盛んに用いられるようになってきており、屋外の支柱等に取り付けられる道路灯、駐車場灯、防犯灯などにも使用されるようになってきている。従来から、これら屋外灯には、外光の明るさを検知して自動で点灯、消灯させる自動点滅器が内蔵されており、太陽が沈み暗くなると点灯し、太陽が昇り明るくなると消灯する機能が備えられている。更に、照明装置自身の明かりや(特許文献1)、自動車のヘッドライトや照明装置自身の反射光(特許文献2)によって、暗いにも関わらず消灯してしまう等の自動点滅器の誤動作を防止するための工夫が施された照明器具が知られている。
【0003】
特許文献1に記載されている照明器具では、自動点滅器と灯具とが透光性を有するカバーで覆われ、自動点滅器の受光部と対向する部分のカバーに、カバー内を反射する灯具からの光を遮断するための遮光体が設けられ、自動点滅器の受光部を覆う遮光体の下部をカバー内に埋設した構造とすることで、灯具自身の光が受光部に侵入するのを防止している。
また特許文献2に記載されている照明器具では、器具本体の上面部に凹部を有し、自動点滅器の受光部が凹部内に位置して、器具本体に装着される構造として、自動車のヘッドライトや反射光が受光部に侵入するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−216908
【特許文献2】特開平9−274809
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている照明器具では、カバーの厚み方向に遮光体を取り付ける構造のため、作製に手間がかかり、また路面側に受光部が向いているため、周囲の明かりを感知しやすく、太陽が沈んでいるにも関わらず消灯してしまう虞がある。
また、特許文献2に記載されている照明器具では、長期使用とともに器具本体の上面の凹部に堆積した塵や、水垢によって、採光窓の光透過率が低下していき、明るいにも関わらず点灯する虞が生じ、また周囲に高い建物があると、そこから漏れてくる明かりによって誤動作する虞がある。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するため鋭意検討した結果なされたものであり、自動点滅器の誤動作を防止したLED照明装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明にあたっては、自動点滅器を内蔵したLEDランプ本体と、前記LEDランプ本体を、被取付体に固定するための取付手段と、を有するLED照明器具において、前記自動点滅器に外光を採り入れるための採光部が、被取付体に対向する側の、前記LEDランプ本体の外殻に設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明にあたっては、前記取付手段は、前記採光部が外光の採光を阻害しない形状であり、該取付手段が、前記被取付体に対向する側の、前記LEDランプ本体の外殻に取り付けられ、前記採光部は、前記LEDランプ本体と前記取付手段との連結位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明にあたっては、前記取付手段が、下面及び2つの側面とからなり、該断面がコ字形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明にあたっては、前記採光部は、下面が開口した庇を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的簡単な構成によって、照明装置のLED光やその反射光、あるいは外部の人工光等の影響を受けずに長期間に渡って自動点滅器の誤動作が防止され、太陽が沈み暗くなると点灯し、太陽が昇り明るくなると消灯する信頼性の高いLED照明装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係わるLED照明装置と被取り付け手段の外観図
【
図2】本実施形態に係わるLED照明装置を後ろから見た外観斜視図
【
図3】本実施形態に係わるLED照明装置を前から見た外観斜視図
【
図4】本実施形態に係わるLED照明装置のX−X線断面斜視図
【
図5】本実施形態に係わるLEDランプ本体の背面図
【
図6】本実施形態に係わる取付手段周辺の拡大断面斜視図
【
図7】本実施形態に係わる自動点滅器周辺の拡大断面斜視図
【
図8】本実施形態に係わるLED照明装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は一例であり、これに限定されるものではない。
図1は、本実施形態のLED照明装置100が被取付体である支柱200に取り付けられた外観図である。
図2は、本実施形態に係わるLED照明装置100を後ろから見た外観斜視図である。
図3は、本実施形態に係わるLED照明装置100を前から見た外観斜視図である。
図4は、本実施形態に係わるLED照明装置100のX−X線断面斜視図である。
図5は、本実施形態に係わるLEDランプ本体10の背面図である。
図6は、本実施形態に係わる取付手段20周辺の拡大断面斜視図である。
図7は、本実施形態に係わる自動点滅機6周辺の拡大断面斜視図である。
図8は本実施形態に係わるLED照明装置100の分解斜視図である。
【0014】
本実施形態に係わるLED照明装置100は、被取付体である屋外に設けられた支柱200に取り付けて使用される防犯灯であり、LEDランプ本体10と、該LEDランプ本体10を、支柱へ取り付けるための取付手段であるアーム20とを備えている。なお被取付体は、支柱に限らず壁面、枠体等であってもよい。
【0015】
LEDランプ本体10の外郭は、下面開口の筐体11と、該下面開口を覆う透光性カバー12とから構成されている。
LEDランプ本体10の内部には、
図4に示すように、複数のLED素子1を実装したLED基板2と、LED基板2を載置する支持板3と、点灯回路基板4を内蔵した電源ボックス5と、自動点滅器6とが、概略収容されている。
【0016】
アーム20は鋼板を使用して、該アーム20の断面がコ字形状に形成され、アーム下面21と2つのアーム側面22、23とを有しており、支柱200方向にヘの字状に屈曲するように成形されている。
図1に示すように、アーム20の一端側は、該アーム20の開口部が上側を向くように、LEDランプ本体10に挿入されて固定され、他端側は、簡易取付金具210を使用して支柱200に取り付けられる。
【0017】
筐体11は、ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いて、細長い船形に成形されている。この筐体11には、支柱200に取り付けた時に、被照射面となる路面と対向する側に、略直方体形状の枠体で囲われた開口面が形成されている(
図3)。また
図5に示すように、被取付体に対向する筐体11の背面側の外殻には、アーム20の断面形状に対応した上向きコ字形の貫通スリット13(
図5の斜線部分)と、自動点滅器6へ外光を採り入れるための採光部14、及び採光部の上側に設けた略コの字形の庇15とが備えられている。
アーム20は、貫通スリット13に、アーム20の先端部が挿入されてLEDランプ本体に固定される。本実施形態では、アーム20は、筐体11の長手方向の半分程度まで挿入されているが、全長に渡るように挿入されていてもよい。
【0018】
採光部14は、前述したように筐体11の外殻に備えられ、筐体11の外壁が貫通され、アーム20と庇15とで囲まれた部分に位置するように設けられている。また採光部14には、防塵、防水のためにシリコーン製のキャップが取り付けられている。なお本実施形態では採光部を円形窓としたが、これに限定されず楕円、矩形の窓や、スリット形状でもよい。
透光性カバー12は、ポリカーボネート樹脂を使用して船形に成形され、LED基板2を覆うように、筐体11に取り付けられている。
【0019】
LED素子1としては公知の種々のLEDを用いることができる。本実施形態では、照明用の白色光を発光する高輝度タイプのLED素子を用いている。またチップオンボード型のLEDモジュールを使用してもよい。
【0020】
LED基板2は、長尺の平板で公知のガラスエポキシ基板、金属基板、セラミックス基板等のプリント基板が用いられる。本実施形態では、電気絶縁樹脂で被覆された金属基板からなるプリント基板が用いられ、片面にLED素子1が実装されている。更に各LED素子を覆うように、LED基板2上に、所望の配光が得られるように複数のレンズ7が配置され、レンズ固定部材8で固定されている。
【0021】
支持板3は、長尺形状のアルミニウム製の平板が使用され、
図8に示すように、LED基板載置面31と、該LED基板載置面の3辺から透光性カバー側に延出した側面32とからなる下方開口の箱体として成形されている。LED基板載置面31にLED基板2が接合され、該支持板3の短辺側の一端が、アーム20の端部に取り付けられている。
【0022】
点灯回路基板4は、平板状のプリント基板であり、LED基板2と平行になるように、電源ボックス5に収納されている。
電源ボックス5は略直方体のポリブチレンテレフタレート製のボックスで、点灯回路基板が載置される電源ボックス本体51と、電源ボックス蓋体52とから構成されている。
該電源ボックス5は、
図6に示すように、アーム下面21と、透光性カバー12との間で、採光部に近い側に配置されている。すなわち、採光部に近い側の筐体11の長手方向3分の1程度の部分に、電源ボックスが配置され、残りの3分の2程度の部分に支持板3が配置されている。なお電源ボックス本体は
図8に示す、筐体11の上面内壁から起立された図示されていないボスにネジで固定されている。
【0023】
自動点滅器6は、
図6に示すように自動点滅制御基板61と明暗センサ62とを備え、設定した明るさを境に点灯と消灯を制御する器具であり、筐体11の上面内壁とアーム下面21との間で、明暗センサ62が採光部14と対向し、近接するように配置されている。
図7に示すように、筐体11の内壁から起立された複数のリブ16で自動点滅制御基板61が挟持され、電源ボックス本体51の上面外壁から起立されたリブ17で押さえつけられて固定されている。
この配置構造によって、筐体11の内部においては、自動点滅器6は、支持板3と、電源ボックス5と、アーム下面21、アーム側面22、23とで遮光されるので、LED光やその反射光が自動点滅器に到達せず、光源自体からの光進入による誤動作が防止されている。
【0024】
また、アーム下面21、アーム側面22、23、及び支柱200とによって、採光部14へのLED光による反射光の侵入が防止され、また庇15や支柱200とによって周囲の高層ビル等からの光の侵入が防止される。更に採光部14は、これらコの字形のアーム20、下面が開口したコの字形の庇15、支柱200とで囲まれていることとによって、採光部14に塵が堆積しづらく、また雨もアーム20に沿って支柱200に流れ落ち、乾燥しても採光部14に水垢が発生しづらくなっている。
このように、本発明によれば、比較的簡単な構成によって、照明装置のLED光やその反射光、あるいは外部の人工光等の影響を受けずに長期間に渡って自動点滅器6の誤動作が防止され、太陽が沈み暗くなるとが点灯し、太陽が昇り明るくなると消灯する信頼性の高いLED照明装置100が得られる。
【符号の説明】
【0025】
1:LED素子
2:LED基板
3:支持板、31:LED基板載置面、32:側面
4:点灯回路基板
5:電源ボックス、51:電源ボックス本体、52:電源ボックス蓋体
6:自動点滅器、61:自動点滅制御基板、62:明暗センサ
7:レンズ
8:レンズ固定部材
10:LEDランプ本体
11:筐体
12:透光性カバー
13:貫通スリット
14:採光部
15:庇
16、17:リブ
20:アーム(取付手段)
21:アーム下面
22、23:アーム側面
100:LED照明装置
200:支柱(被取付手段)
210:簡易取付金具