特許第6016576号(P6016576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016576
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】車載システム及び情報システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   G06F13/00 510A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-234360(P2012-234360)
(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公開番号】特開2014-85843(P2014-85843A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 英樹
【審査官】 佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−268334(JP,A)
【文献】 特開2012−138111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信網に接続可能なモバイル装置を接続可能な、路側システムと狭域通信を行う車載システムであって、
前記狭域通信が可能な路側システムに接続する接続手段と、
前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記狭域通信を介した当該URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行うプッシュ型情報表示手段と、
前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知された後、前記プッシュ型情報表示手段が、当該URLの情報の取得を行う前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合に、当該URLを、接続している前記モバイル装置に、当該モバイル装置が当該車載システムとは独立して行う、情報の取得及びユーザに対する出力における当該情報の取得元のURLとして用いることのできるURLとして当該モバイル装置に保存されるように、転送するURL転送手段とを有することを特徴とする車載システム。
【請求項2】
移動体通信網に接続可能なモバイル装置を接続可能な、路側システムと狭域通信を行う車載システムであって、
前記狭域通信が可能な路側システムに接続する接続手段と、
前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記狭域通信を介した当該URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行うプッシュ型情報表示手段と、
前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知された後、前記プッシュ型情報表示手段が、当該URLの情報の取得を行う前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合に、当該URLを、接続している前記モバイル装置に転送するURL転送手段とを有し、
前記プッシュ型情報表示手段は、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、当該URLの情報の閲覧の要否をユーザに問い合わせて当該ユーザから閲覧要否の指示を受け付けると共に、当該ユーザから閲覧要の指示を受け付けた場合にのみ、前記狭域通信を介して当該URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行い、
前記URL転送手段は、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知された後、前記プッシュ型情報表示手段が、当該URLの情報の閲覧の要否の指示をユーザから受け付ける前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合に、当該URLを、接続している前記モバイル装置に転送することを特徴とする車載システム。
【請求項3】
移動体通信網に接続可能なモバイル装置を接続可能な、路側システムと狭域通信を行う車載システムであって、
前記狭域通信が可能な路側システムに接続する接続手段と、
前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記狭域通信を介した当該URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行うプッシュ型情報表示手段と、
前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知された後、前記プッシュ型情報表示手段が、当該URLの情報の取得を行う前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合に、当該URLを、接続している前記モバイル装置に転送するURL転送手段とを有し
前記URL転送手段は、前記URLを接続している前記モバイル装置に転送する前に、当該転送の要否をユーザに問い合わせて当該ユーザから転送要否の指示を受け付けると共に、当該ユーザから転送要の指示を受け付けた場合にのみ当該URLを接続している前記モバイル装置に転送することを特徴とする車載システム。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車載システムであって、
前記URLの情報はWebページであり、
前記プッシュ型情報表示手段は、Webブラウザと、プッシュ型情報表示制御手段とを有し、
当該プッシュ型情報表示制御手段は、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記Webブラウザに、前記狭域通信を介した当該URLのWebページへのアクセスを行わせることを特徴とする車載システム。
【請求項5】
請求項1、2または3記載の車載システムと前記モバイル装置とを有する情報システムであって、
前記モバイル装置は、前記移動体通信網を介した前記車載システムから転送された前記URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行う情報表示手段を有することを特徴とする情報システム。
【請求項6】
請求項5記載の情報システムであって、
前記URLの情報はWebページであり、
前記プッシュ型情報表示手段は、第1のWebブラウザと、プッシュ型情報表示制御手段とを有し、
当該プッシュ型情報表示制御手段は、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記第1のWebブラウザに、前記狭域通信を介した当該URLのWebページへのアクセスを行わせ、
前記モバイル装置の前記情報表示手段は、第2のWebブラウザと、情報表示制御手段とを有し、
当該情報表示制御手段は、当該第2のWebブラウザに、前記移動体通信網を介した、前記車載システムから転送された前記URLのWebページへのアクセスを行わせることを特徴とする情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側システムから配信される情報の閲覧を支援する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路側システムから配信される情報の閲覧を支援する技術としては、サービスエリアやパーキングエリアや道の駅などの施設に設置された路側システムにおいて、当該路側システムの通信エリア内に進入した車載システムとの間のDSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)を介した接続を自動的に確立し、接続が発生した車載システムに当該路側システムが配信する情報のURLを通知すると共に、URLを通知された車載システムにおいて、ユーザのURLを通知された情報の閲覧の要否を問い合わせ、閲覧が指示されたならばDSRCを介して通知されたURLにアクセスして当該URLの情報を表示する技術が知られている。
【0003】
また、このような技術において、ユーザの閲覧の指示に先行して、路側システムから当該路側システムの位置に関連づけた情報を車載システムに転送すると共に、車載システムにおいて転送された情報を保存し、DSRCを介した通信が行えないときであっても、車載システムを搭載した自動車の現在位置に関連づけられた情報が保存されている場合には、当該情報を表示するようにすることも提案されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-241258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路側システムのDSRCの通信エリアは狭いため、上述した技術によれば、自動車が走行中に当該自動車に搭載された車載システムにおいて路側システムからURLの通知を受けた場合には、車載システムがユーザからURLを通知された情報の閲覧の指示を受け付ける前に、既に、路側システムがDSRCの通信エリアを離れてしまっていることがある。そして、この場合には、路側システムから配信される情報の取得前に車載システムが路側システムと通信不能となるために、ユーザは当該情報の閲覧を行えないこととなる。
【0006】
また、上記技術において、路側システムからユーザの閲覧の指示に先行して路側システムが配信する情報を車載システムに転送する場合であっても、当該情報のデータサイズが大きい場合には、情報の転送を完了する前に、路側システムがDSRCの通信エリアを離れてしまっていることがあり、この場合にも、路側システムから配信される情報の取得前に車載システムが路側システムと通信不能となるために、ユーザは当該情報の閲覧を行えないこととなる。
【0007】
また、路側システムからURLを通知する場合には、配信する情報をDSRCを介して車載システムがアクセスできる任意のロケーションに配置することができるのに対して、路側システムからユーザの閲覧の指示に先行して路側システムが配信する情報を車載システムに転送する場合には、路側システムに配信する情報を予め集約しておく必要があるなど、特段の運用、設備上の手当が必要となる。また、各車載システムに、情報の転送及び転送された情報を取り扱うための処理を行うための特段の構成を備える必要も生じる。したがって、このような路側システムからユーザの閲覧の指示に先行して路側システムが配信する情報を車載システムに転送する技術は、実施上の負担が大きい。
【0008】
そこで、本発明は、URLを通知する路側システムを介して当該通知されたURLの情報にアクセスする車載システムのユーザが、当該車載システムがURLの通知を受けた後に路側システムと通信不能となった場合であっても、当該URLの情報を閲覧できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題達成のために、本発明は、移動体通信網に接続可能なモバイル装置を接続可能な、路側システムと狭域通信を行う車載システムに、前記狭域通信が可能な路側システムに接続する接続手段と、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記狭域通信を介した当該URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行うプッシュ型情報表示手段と、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知された後、前記プッシュ型情報表示手段が、当該URLの情報の取得を行う前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合に、当該URLを、接続している前記モバイル装置に転送するURL転送手段とを設けたものである。
【0010】
ここで、このような車載システムは、前記プッシュ型情報表示手段において、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、当該URLの情報の閲覧の要否をユーザに問い合わせて当該ユーザから閲覧要否の指示を受け付けると共に、当該ユーザから閲覧要の指示を受け付けた場合にのみ、前記狭域通信を介して当該URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行い、前記URL転送手段において、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知された後、前記プッシュ型情報表示手段が、当該URLの情報の閲覧の要否の指示をユーザから受け付ける前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合に、当該URLを、接続している前記モバイル装置に転送するように構成してもよい。
【0011】
また、このような車載システムは、さらには、前記URL転送手段において、前記URLを接続している前記モバイル装置に転送する前に、当該転送の要否をユーザに問い合わせて当該ユーザから転送要否の指示を受け付けると共に、当該ユーザから転送要の指示を受け付けた場合にのみ当該URLを接続している前記モバイル装置に転送するように構成してもよい。
【0012】
また、以上の車載システムにおいて、前記URLの情報は、たとえばWebページであり、前記プッシュ型情報表示手段は、Webブラウザと、プッシュ型情報表示制御手段とより構成されるものである。ただし、このプッシュ型情報表示制御手段は、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記Webブラウザに、前記狭域通信を介した当該URLのWebページへのアクセスを行わせるものである。
【0013】
ここで、本発明は、以上のような車載システムと前記モバイル装置とを有する情報システムも提供する。ただし、前記モバイル装置は、前記移動体通信網を介した前記車載システムから転送された前記URLの情報の取得及びユーザに対する出力を行う情報表示手段を備えたものである。
【0014】
ここで、このような情報システムは、前記URLの情報はたとえばWebページであり、この場合、前記プッシュ型情報表示手段を、第1のWebブラウザと、プッシュ型情報表示制御手段とを含めて構成し、前記モバイル装置の前記情報表示手段は、第2のWebブラウザと、情報表示制御手段とを含めて構成するようにしてもよい。ただし、前記プッシュ型情報表示制御手段は、前記狭域通信で接続した路側システムからURLを通知されたときに、前記第1のWebブラウザに、前記狭域通信を介した当該URLのWebページへのアクセスを行わせるものであり、前記情報表示制御手段は、当該第2のWebブラウザに、前記移動体通信網を介した、前記車載システムから転送された前記URLのWebページへのアクセスを行わせるものとする。
【0015】
これらのような車載システムや情報システムによれば、路側システムからURLの通知を受けた後に、当該URLの情報の取得を行う前に、前記路側システムとの間の狭域通信が不能となった場合には、当該URLを、車載システムに接続しているモバイル装置に転送することができる。したがって、ユーザは、モバイル装置を用いて転送されたURLの情報にアクセスすることにより、当該路側システムから車載システム通知されたURLの情報を閲覧することができる。
【0016】
結果、車載システムのユーザは、当該車載システムがURLの通知を受けた後に路側システムと通信不能となった場合であっても、当該URLの情報を閲覧できるようになる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、URLを通知する路側システムを介して当該通知されたURLの情報にアクセスする車載システムのユーザが、当該車載システムがURLの通知を受けた後に路側システムと通信不能となった場合であっても、当該URLの情報を閲覧できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る情報システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る車載システムとスマートフォンの構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るプッシュ型配信情報表示制御処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係るプッシュ型配信情報表示制御処理による表示例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る通知情報閲覧処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る通知情報閲覧処理による表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る情報システムは、各自動車に搭載された車載システムと、車載システムのユーザによって携帯され車載システムに選択的に接続されるスマートフォンとより構成される。
ここで、図1に示すように、車載システム1は、サービスエリアやパーキングエリアや道の駅などの施設に設置された路側システム3との間でDSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域通信)を介した通信を行うシステムである。
そして、路側システム3は、イントラネット4に接続されており、イントラネット4上には、Webサーバ5が配置されている。また、イントラネット4はインターネット6に接続されている。
また、図示するように、路側システム3は、近傍に位置する自動車の車載システム1との間でDSRCによる信号の送受信を行う路側送受信機300と、路側装置310とを含んでいる。
そして、路側装置310は、接続制御装置311を備えており、接続制御装置311は、路側送受信機300の通信エリア内にDSRCを介した通信が可能な状態の車載システム1が出現したならば、当該車載システム1との間で所定の接続手順を実行し非IP系の所定のプロトコルの通信接続を確立する。
【0020】
また、路側装置310は、プッシュ型情報配信部312とを備えており、接続制御装置311の制御によって車載システム1との間の前記所定のプロトコルの通信接続が確立すると、プッシュ型情報配信部312は当該所定のプロトコルの通信接続を介して車載システム1との通信を行うことができるようになる。
【0021】
そして、プッシュ型情報配信部312は、接続制御装置311の制御によって路側システム3との前記所定のプロトコルの通信接続が確立した車載システム1が発生すると、所定のURLを、プッシュ配信情報URLとして車載システム1に通知する。
ここで、プッシュ配信情報URLとする所定のURLは、IP接続を介してアクセス可能なURLであり、路側システム3の通信エリア内に進入した自動車のユーザに閲覧させたいWebページのURLである。すなわち、プッシュ配信情報URLとしては、たとえば、路側システム3が接続しているイントラネット4に接続されたWebサーバ5上の、路側システム設置施設の広告情報や利用情報を記述したWebページのURL等を用いることができる。
【0022】
一方、接続制御装置311の制御によって路側システム3との前記所定のプロトコルの通信接続を確立した車載システム1は、さらに路側システム3を中継点として利用したIP通信の接続を確立することができ、確立したIP通信の接続を介して、イントラネット4上のWebサーバ5や、イントラネット4が接続しているインターネット6にアクセスできるようになる。
【0023】
一方、スマートフォン2は、移動体通信網7に接続して電話通信を行うことができる他、移動体通信網7を介してインターネット6に接続することができる。また、スマートフォン2は、移動体通信網7、インターネット6、イントラネット4を介してイントラネット4上のWebサーバ5にアクセスすることもできる。
【0024】
次に、図2に車載システム1とスマートフォン2の構成を示す。
図示するように車載システム1は、路側システム3とのDSRC通信を担うDSRC通信装置101、入力装置102、表示装置103、マイクやスピーカなどを備えた音声入出力装置104、GPS受信などのその他の周辺装置105、デバイスインタフェース106、車載システム1のOSであるところのH-オペレーティングシステム107、H-オペレーティングシステム107によって管理されH-オペレーティングシステム107上で稼働するアプリケーションとを備えている。
【0025】
そして、車載システム1は、アプリケーションとしては、プッシュ型情報受信制御アプリケーション111と、Webブラウザ112と、ナビゲーションアプリケーションなどの、その他のアプリケーションH-AP113を備えている、
一方、スマートフォン2は、移動体通信網7にアクセスするための移動通信装置201、タッチパネルやプッシュスイッチなどの操作部202、ディスプレイ203、マイクやスピーカなどを備えた音声入出力部204、その他の周辺デバイス205、ホストインタフェース206、スマートフォン2のOSであるところのSP-オペレーティングシステム207、SP-オペレーティングシステム207によって管理されSP-オペレーティングシステム207上で稼働するアプリケーションを備えている。
【0026】
そして、スマートフォン2は、アプリケーションとして、閲覧制御アプリケーション211と、Webブラウザ212と、移動通信装置201や音声入出力部204や操作部202を用いた移動電話機能を提供する移動電話アプリケーション213と、メディアプレイヤなどのその他のアプリケーションSP-AP214を備えている。
【0027】
そして、スマートフォン2のホストインタフェース206と車載システム1のデバイスインタフェース106は、Bluetooth(登録商標)や、WIFIなどの無線通信インタフェースによって無線接続して相互通信を行うものである。
ただし車載システム1は、ハードウエア的には、CPUやメモリなどを備えたコンピュータを用いて構成されるものであり、H-オペレーティングシステム107や、アプリケーション111-113などは、当該コンピュータが、所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0028】
また、同様に、スマートフォン2は、ハードウエア的には、CPUやメモリなどを備えたコンピュータを用いて構成されるものあり、SP-オペレーティングシステム207や、アプリケーション211-214などは、当該コンピュータが、所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0029】
以下、このような構成において、車載システム1のプッシュ型情報受信制御アプリケーション111が行うプッシュ型配信情報表示処理について説明する。
図3に、このプッシュ型配信情報表示処理の手順を示す。
図示するように、まず、この処理では、DSRC通信装置101と路側システム3のDSRC通信の接続の発生を監視し(ステップ302)、接続が発生したならば路側装置310から上述したプッシュ配信情報URLを受信したかどうかを調べ(ステップ304)、受信していなければステップ302の処理に戻る。一方、プッシュ配信情報URLを受信していれば(ステップ304)、表示装置103に、閲覧問い合わせ画面を表示する(ステップ306)。
【0030】
ここで、図4aに示すように、この閲覧問い合わせ画面には、閲覧可能な情報が発生した旨の表示411と、情報の閲覧の要否をユーザから受け付ける「閲覧する」ボタン412と「閲覧しない」ボタン413を含める。なお、図4aに示した例では、H-AP113として設けられたナビゲーションアプリケーションが表示している地図上に、閲覧問い合わせ画面を重畳表示している。また、ステップ306では、音声出力装置を介して、情報が提供された旨の音声メッセージの音声出力も行うようにしてもよい。
【0031】
次にこのような閲覧問い合わせ画面を表示したならば、「閲覧しない」ボタン413のユーザ操作による閲覧不要指示の発生と(ステップ308)と、「閲覧する」ボタン412のユーザ操作による閲覧指示の発生と(ステップ310)と、DSRC通信装置101と路側システム3のDSRC通信の接続断すなわちDSRC通信装置101と路側システム3との通信不能状態の発生と(ステップ312)を監視する。
【0032】
そして、閲覧不要指示が発生したならば(ステップ308)、ステップ302からの処理に戻る。
一方、閲覧指示が発生した場合には(ステップ310)、プッシュ配信情報URLとして受信したURLへのアクセスを車載システム1のWebブラウザ112に指示し(ステップ324)、ステップ302からの処理に戻る。ここで、プッシュ配信情報URLのアクセスを指示された車載システム1のWebブラウザ112は、路側システム3との間のIP接続が未確立である場合にはこれを確立し、IP接続上で、プッシュ配信情報URLによって示されるURLにアクセスしてWebページを取得し、図4bに示すように取得したWebページ421を表示装置103に表示する。
【0033】
一方、DSRC通信装置101と路側システム3のDSRC通信の接続断が発生した場合には(ステップ312)、デバイスインタフェース106を介してスマートフォン2と接続しているかどうかを調べ(ステップ314)、スマートフォン2と接続していない場合には、そのままステップ302の処理に戻る。
【0034】
一方、スマートフォン2と接続している場合には、スマートフォン閲覧問い合わせ画面を表示する(ステップ316)。ここで、図4cに示すように、スマートフォン閲覧問い合わせ画面は、情報を後でスマートフォン2で閲覧するかどうかを問い合わせるメッセージ431と、スマートフォン2での情報の閲覧の要否をユーザから受け付ける「閲覧する」ボタン432と「閲覧しない」ボタン433を含める。
【0035】
そして、「閲覧しない」ボタン433の操作による閲覧不要指示が発生したならば(ステップ318)、そのままステップ302からの処理に戻る。
一方、「閲覧する」ボタン432の操作による閲覧指示が発生した場合には(ステップ320)、プッシュ配信情報URLとして受信したURLを、デバイスインタフェース106を介してスマートフォン2の閲覧制御アプリケーション211に通知し(ステップ322)、ステップ302からの処理に戻る。
【0036】
以上、車載システム1のプッシュ型情報受信制御アプリケーション111が行うプッシュ型配信情報表示処理について説明した。
次に、スマートフォン2の閲覧制御アプリケーション211の動作について説明する。
閲覧制御アプリケーション211は、上述したプッシュ型配信情報表示処理によってスマートフォン2のプッシュ型情報受信制御アプリケーション111からURLが通知されたならば、通知されたURLと通知日時とを通知URL情報として記憶する。
また、ユーザの操作部202の操作によって、通知URLの閲覧を指示されたならば、図5に示す通知URL閲覧処理を行う。なお、この通知URL閲覧処理は、スマートフォン2が車載システム1に接続されていない期間中であっても、スマートフォン2において行うことができる。
【0037】
図示するように、この通知URL閲覧処理では、まず、通知URL情報として記憶しているURLの一覧を表す通知URLリスト画面をディスプレイ203に表示する(ステップ502)。ここで、通知URLリスト画面には、図6に示すように、各通知URL情報が表す通知日時611とURL612との組を、通知日時の新しいものより順に並べて表示すると共に、各組に対して設けた閲覧ボタン613と消去ボタン614とを表示する。
【0038】
そして、消去ボタン614の操作による消去指示が発生したならば(ステップ504)、消去ボタン614が操作された通知日時611とURL612との組に対応する通知URL情報を削除し(ステップ512)、ステップ502に戻って通知URLリスト画面を更新する。
【0039】
一方、閲覧ボタン613の操作による閲覧指示が発生したならば(ステップ506)、閲覧ボタン613が操作された通知日時611とURL612との組に対応する通知URL情報が表すURLへのアクセスをスマートフォン2のWebブラウザ212に指示し(ステップ508)、当該通知URL情報を削除した上で(ステップ510)処理を終了する。
【0040】
ここで、URLへのアクセスを指示されたスマートフォン2のWebブラウザ212は、移動通信装置201、移動体通信網7を介してインターネット6に接続し、インターネット6もしくはインターネット6及びイントラネット4アクセスを指示されたURLにアクセスしてWebページを取得し、取得したWebページをディスプレイ203に表示する。
【0041】
以上、通知URL閲覧処理について説明した。
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、先に示した車載システム1のプッシュ型情報受信制御アプリケーション111が行うプッシュ型配信情報表示処理では、DSRC通信装置101と路側システム3のDSRC通信の接続断が発生した場合にのみプッシュ配信情報URLとして受信したURLをスマートフォン2に転送するようにしたが、DSRC通信装置101と路側システム3のDSRC通信の接続が維持されている場合にも、ユーザ操作に応じてプッシュ配信情報URLとして受信したURLをスマートフォン2に転送するようにしてもよい。
【0042】
すなわち、この場合には、たとえば、プッシュ型配信情報表示処理のステップ316で表示するスマートフォン閲覧問い合わせ画面に、図4dに示すように、「閲覧する」ボタン412と「閲覧しない」ボタン413に加えて、「スマートフォン2で閲覧する」ボタン441を設け、「スマートフォン2で閲覧する」ボタン441が操作された場合には、ステップ322に進んで、プッシュ配信情報URLとして受信したURLを、デバイスインタフェース106を介してスマートフォン2の閲覧制御アプリケーション211に通知し、ステップ302からの処理に戻るようにすればよい。
【0043】
このようにすることにより、たとえば、車載システム1のユーザは、サービスエリアに駐車したときに、路側システム3から通知されたURLをスマートフォン2に転送した上で、スマートフォン2を車外に持ち出すことにより、当該URLのWebページを、車外のサービスエリア付属のカフェテリアなどで落ち着いて閲覧することができるようになる。
【0044】
また、以上の実施形態は、車載システム1に接続される装置を、スマートフォン2に代えて、移動電話機(携帯電話)やPDAなどの、移動体通信網7を介したインターネット接続機能を備えた任意のモバイル装置とした場合にも同様に適用することができる。
以上のように、本実施形態によれば、路側システム3からURLの通知を受けた後に、当該URLのWebページの取得を行う前に、前記路側システム3との間のDSRCによる通信が不能となった場合に、当該URLを、車載システム1に接続しているスマートフォン2に転送することができる。そして、ユーザは、スマートフォン2を用いて転送されたURLにアクセスすることにより、先に路側システム3から車載システム通知されたURLのWebページを閲覧することができる。
【0045】
結果、車載システム1のユーザは、当該車載システム1がURLの通知を受けた後に路側システム3と通信不能となった場合であっても、当該URLのWebページを閲覧できることとなる。
【符号の説明】
【0046】
1…車載システム、2…スマートフォン、3…路側システム、4…イントラネット、5…Webサーバ、6…インターネット、7…移動体通信網、101…DSRC通信装置、102…入力装置、103…表示装置、104…音声入出力装置、105…周辺装置、106…デバイスインタフェース、107…H-オペレーティングシステム、111…プッシュ型情報受信制御アプリケーション、112…Webブラウザ、201…移動通信装置、202…操作部、203…ディスプレイ、204…音声入出力部、205…周辺デバイス、206…ホストインタフェース、207…SP-オペレーティングシステム、211…閲覧制御アプリケーション、212…Webブラウザ、213…移動電話アプリケーション、300…路側送受信機、310…路側装置、311…接続制御装置、312…プッシュ型情報配信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6