(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるバッテリフォークリフト(荷役車両の一例)に搭載される電源装置の回路図であり、鉛電池11と、(急速充電可能な電池として)鉛電池11より定格電圧が低いリチウム電池12を備え、これら鉛電池11とリチウム電池12より、バッテリフォークリフトの負荷を構成するモータ(交流モータ)13へインバータ14を介して給電し、またリチウム電池12より、コントローラ、ランプ、ホーン等の48V系補器15へ補器保護ヒューズ15Aを介して給電している。
【0019】
前記鉛電池11の定格電圧を、複数の単電池を接続することにより72Vとしている。鉛電池11の定格電圧の設定を72Vとしたことにより、鉛電池11の容積(鉛電池11によりモータ13を所定時間駆動できる電池容量を確保したときの大きさ)によってバッテリフォークリフトの車体の大きさが現在より大きくなることを避けることができ、且つインバータ14のスイッチング素子37(後述する)として、使用しやすい150V耐圧のFETを使用できる。なお、それ以上となるとスイッチング素子37としてIGBTを使用することが必要となり使い勝手が悪くなる。
【0020】
またリチウム電池12の定格電圧を、複数のセルを接続することにより48Vとしており、鉛電池11の定格電圧(72V)より低く設定している。リチウム電池12の定格電圧を48Vとしたことにより、リチウム電池12の容積(リチウム電池12によりモータ13を所定時間駆動できる電池容量を確保したときの大きさ)を小さくすることが可能となり、バッテリフォークリフトの車体に搭載するスペースを少なくでき、また後述する充放電チョッバ31に使用するスイッチング素子として、使用しやすい150V耐圧のFETを使用できる。またリチウム電池12の定格電圧を48Vとしたことにより、リチウム電池12より、電圧を変更することなく(分圧することなく)48V系補器15へ給電することができ、電力の損失を最小限に抑えている。仮に、リチウム電池12の定格電圧を72Vとすると、電池の途中から48Vを取り出すことになり、電池のセル間にアンバランスが生じ(48Vまでのセルのほうが早く容量低下する)、電池のセルの寿命低下もアンバランスとなり、片べりとなる。リチウム電池12の定格電圧を48Vとしたことにより、このような電池のセルの片べりを防止している。またリチウム電池12には、各電池のセルの電圧を一定値以内に保持するバッテリコントロールユニット(BCU)16(
図2)が設けられている。
【0021】
また各電池11,12毎にそれぞれ、各電池11,12の充電に必要なだけの電流を供給する充電回路17,18が備えられている。
鉛電池11用の第1充電回路17は、コンダクタCM1と、第1サーマルリレイ19と、第1トランス(3相トランス)20と、フルブリッジからなる第1整流器21と、コンダクタ(第3コンダクタの一例)CPと、第1ヒューズ22から構成され、前記第1整流器21、コンダクタCP、および第1ヒューズ22は、直列に接続され、この直列回路が、鉛電池保護ヒューズ23を介して、鉛電池11の両端に接続されている。
【0022】
この第1充電回路17により、商用3相電源の電圧が、コンダクタCM1および第1サーマルリレイ19を介して第1トランス20に印加され、この第1トランス20により第1整流器21に発生する無負荷直流電圧が72Vとなるように変圧され、第1整流器21により直流に変換され、コンダクタCP、第1ヒューズ22および鉛電池保護ヒューズ23を介して、鉛電池11へ充電される。また第1充電回路17(第1トランス20)の電流容量は、鉛電池11の充電に必要なだけの電流を供給する容量に設定されている。また前記コンダクタCPは、鉛電池11と第1充電回路17との間に備えられているスイッチと見なすことができ、コンダクタCPのオン−オフにより、鉛電池11の充電が実行される。
また鉛電池11は、前記鉛電池保護ヒューズ23を介して、インバータ14に接続されている。
【0023】
またリチウム電池12の第2充電回路18は、コンダクタCM2と、第2サーマルリレイ25と、第2トランス(3相トランス)26と、フルブリッジからなる第2整流器27と、コンダクタ(第4コンダクタの一例)CLと、第2ヒューズ28から構成され、前記第2整流器27、コンダクタCL、および第2ヒューズ28は、直列に接続され、この直列回路が、リチウム電池12の両端に接続されている充放電チョッパ31の両端に接続されている。
【0024】
この第2充電回路18により、商用3相電源の電圧が、コンダクタCM2および第2サーマルリレイ25を介して第2トランス26に印加され、この第2トランス26により第2整流器27に発生する無負荷直流電圧が72Vとなるように変圧され、第2整流器27により直流に変換され、コンダクタCLおよび第2ヒューズ28を介して、充放電チョッパ31へ供給される。また第2充電回路18(第2トランス26)の電流容量は、リチウム電池12の充電に必要なだけの電流を供給する容量に設定されている。また前記コンダクタCLは、充放電チョッパ31と第2充電回路18との間に備えられているスイッチと見なすことができ、コンダクタCLのオン−オフにより、充放電チョッパ31を介してリチウム電池12への充電が可能となる(詳細は後述する)。
【0025】
また第1充電回路17のコンダクタCM1、第1サーマルリレイ19、および第1トランス20と、第2充電回路18のコンダクタCM2、第2サーマルリレイ25、および第2トランス26により、商用電源に接続される充電器32が構成されている。
【0026】
また充放電チョッパ31とリチウム電池12との間に、コンダクタ(第1コンダクタの一例)BLが備えられ、また充放電チョッパ31と鉛電池11との間に、コンダクタ(第2コンダクタの一例)BCが備えられている。
充放電チョッパ31は、リチウム電池12を充電し、リチウム電池12の電圧を鉛電池11の電圧に昇圧して放電するチョッパであり、この充放電チョッパ31の高圧側は、コンダクタBCを介してインバータ14に接続され、また第2充電回路18に接続され、さらに鉛電池保護ヒューズ23を介して鉛電池11に接続されており、また充放電チョッパ31の低圧側は、コンダクタBL、およびリチウム電池保護ヒューズ33を介してリチウム電池12に接続されている。そして、共通の接地ライン24に、鉛電池11とリチウム電池12とインバータ14と充放電チョッパ31が接続されている。
【0027】
なお、1つの充電回路(1台のトランス)で、鉛電池11およびリチウム電池12に充電しようとすると、不具合が生じる。例えば、鉛電池11を、0.2Cで充電、300Ahの電池とすると、60Aの電流を供給するトランスが必要であり、リチウム電池12のことを考えると、100Aの電流を供給するトランスが必要となるが、リチウム電池12への充電が不要のとき、100Aが鉛電池11へ流れて過充電となり劣化が激しくなり、温度がすぐに上がるという不具合が生じる。鉛電池11に対して鉛電池11のみの充電に必要な電流に合わせた第1充電回路17を設けることにより、鉛電池11が過充電となる恐れを回避している。
【0028】
またインバータ14は、インバータ保護ヒューズ35と、コンダクタMCと、コンデンサ36と、フルブリッジに組まれたFETからなるスイッチング素子37と、CPUからなるコントローラ(以下、インバータ用コントローラと称す;
図2に示す)38から構成されている。各電池11,12から、インバータ保護ヒューズ35およびコンダクタMCを介してスイッチング素子37へ給電され、インバータ用コントローラ38により、スイッチング素子37は矩形波信号でそれぞれ駆動され、各電池11,12から供給された直流電流は定格周波数の交流電流に変換されモータ13ヘ給電される。また前記コンデンサ36は、スイッチング素子37のオン−オフ時に発生するサージを吸収し、またスイッチング素子37へ印加される電圧を安定化させる機能を有している。
【0029】
また上記充放電チョッパ31は、コンダクタBCに接続されたプラス電源ライン40と、電圧安定化コンデンサ41と、2相式リアクトル42と、FETからなる一対の第1スイッチング素子43と、FETからなる一対の第2スイッチング素子44と、FETからなるプリチャージ用のスイッチング素子45と、FETからなるディスチャージ用のスイッチング素子46と、電圧降下用抵抗47と、電力消費用抵抗48と、プルアップ用抵抗49と、プルダウン用抵抗50と、第1ダイオード51と、第2ダイオード52と、CPUからなるコントローラ(以下、チョッパ用コントローラと称す;
図2に示す)53とから構成されている。
【0030】
前記電圧安定化コンデンサ41は、リチウム電池12と鉛電池11の異なる電池電圧を合わせ、安定するために必要なコンデンサであり、プラス電源ライン40と接地ライン24との間に接続されている。
またプルアップ用抵抗49、およびプルダウン用抵抗50は、直列に接続され、この直列回路は、プラス電源ライン40と接地ライン24との間に接続されている。
また第1ダイオード51のカソードは、プラス電源ライン40に接続され、アノードは、第2ダイオード52のカソードに接続され、第2ダイオード52のアノードは、接地ライン24に接続されている。
【0031】
前記プリチャージ用のスイッチング素子45、電圧降下用抵抗47、ディスチャージ用のスイッチング素子46、および電力消費用抵抗48は、この順に直列に接続され、この直列回路は、鉛電池11により電圧安定化コンデンサ41をプリチャージするプリチャージ回路を構成しており、プリチャージ回路は鉛電池保護ヒューズ23を介して鉛電池11の両端に接続され、直列回路の両端に鉛電池11の72Vの電圧が印加される。またディスチャージ用のスイッチング素子46、および電力消費用抵抗48により、電圧安定化コンデンサ41のディスチャージ回路が構成されている。
【0032】
また電圧降下用抵抗47とディスチャージ用のスイッチング素子46の接続点は、電圧安定化コンデンサ41のプラス側端子およびプラス電源ライン40に接続され、電圧降下用抵抗47と電力消費用抵抗48により、鉛電池11から印加される72Vの電圧は、プリチャージ用のスイッチング素子45およびディスチャージ用のスイッチング素子46が共にオンのとき、例えば、34Vに分圧されて電圧安定化コンデンサ41に印加される。
【0033】
また第1ダイオード51のアノードと第2ダイオード52のカソードの接続点に、2相式リアクトル42を構成するリアクトル42A,42Bそれぞれの一方の端子が接続され、リアクトル42A,42Bそれぞれの他方の端子とプラス電源ライン40との間に、第1スイッチング素子43が接続され、リアクトル42A,42Bそれぞれの他方の端子と接地ライン24との間に、第2スイッチング素子44が接続されている。
またプルアップ用抵抗49とプルダウン用抵抗50の接続点に、リアクトル42Aの他方の端子が接続されている。
【0034】
また第1ダイオード51のアノードと第2ダイオード52のカソードの接続点は、コンダクタBL、およびリチウム電池保護ヒューズ33を介してリチウム電池12に接続されている。
【0035】
また充放電チョッパ31のプラス電源ライン40と接地ライン24との間の電圧VCと、鉛電池11の電圧VPbと、リチウム電池12の電圧VLと、充放電チョッパ31(プラス電源ライン40)から放電される放電電流ICと、鉛電池11から放電される放電電流IPbと、リアクトル42A,42Bに流れる電流ILiが計測され、これら計測された、電圧VC,電圧VPb,電圧VL,放電電流IC,放電電流IPb,電流ILiは、チョッパ用コントローラ53に入力され、鉛電池11の電圧VPbは、またコンダクタコントローラ58に入力されている。
【0036】
またチョッパ用コントローラ53に、バッテリコントロールユニット16が接続され、バッテリコントロールユニット16よりリチウム電池12が正常であることを示すリチウム電池正常信号が入力されている。
【0037】
そしてこのチョッパ用コントローラ53は、このリチウム電池正常信号が入力されていることを条件に、第1スイッチング素子43、第2スイッチング素子44、プリチャージ用のスイッチング素子45、およびディスチャージ用のスイッチング素子46をオン−オフ制御して、次の機能を実現している(詳細は後述する)。
・電圧安定化コンデンサ41のプリチャージ
・電圧安定化コンデンサ41のディスチャージ
・リチウム電池12からインバータ14へ給電制御(72Vまでの昇圧・放電制御)
・リチウム電池12への充電制御
【0038】
また各コンダクタCM1,CM2,CP,CL,BC,BL,MCを開放−接続(オン−オフ)制御するコントローラ(以下、コンダクタコントローラと称す)58(
図2)が設けられ、このコンダクタコントローラ58に、各コンダクタCM1,CM2,CP,CL,BC,BL,MCに加えて、インバータ用コントローラ38、チョッパ用コントローラ53、およびメインコントローラ60(
図2)が接続されている。
【0039】
またバッテリフォークリフトの作業時間、および走行・荷役作業の状態に応じて、始動指令、モータ13の駆動信号(出力電流値の指令を含む)、放電指令(出力電力量の指令を含む)、充電指令、および長時間に渡って停止状態とする作業終了指令を出力する前記メインコントローラ60が設けられ、このメインコントローラ60より、チョッパ用コントローラ53へ、始動指令、放電指令、リチウム電池充電指令および作業終了指令が出力され、コンダクタコントローラ58へ、放電指令、鉛電池充電指令、および作業終了指令が出力され、また前記放電指令と同時にインバータ用コントローラ38へモータ13の駆動指令が出力される。
【0040】
またコンダクタコントローラ58は、メインコントローラ60より作業終了指令を入力すると、全てのコンダクタCM1,CM2,CP,CL,BC,BL,MCを、開放した状態(オフした状態)とする。これにより、バッテリフォークリフトの始動時には全てのコンダクタCM1,CM2,CP,CL,BC,BL,MCは開放状態(オフ状態)となっている。またコンダクタコントローラ58は、コンダクタMCを接続状態(オン状態)としたとき、インバータ用コントローラ38へ接続信号を出力し、インバータ用コントローラ38はこの接続信号を確認し、メインコントローラ60よりモータ13の駆動信号を入力すると、指令出力電流値となるように、スイッチング素子37を駆動し、モータ13ヘ給電する。
【0041】
[電圧安定化コンデンサ41のプリチャージ]
電圧安定化コンデンサ41のプリチャージについて、
図3を参照しながら説明する。電圧安定化コンデンサ41の電圧(コンデンサ電圧)が小さいときに、コンダクタBLあるいはBCを投入すると電圧安定化コンデンサ41に大きな突入電流が流れることになり、コンダクタBLあるいはBCの接点部にもその突入電流が流れて大きな火花が生じ、場合によっては溶着し破損するという問題が発生する。このため、プリチャージを実行して、コンダクタBLあるいはBCを投入する前に、電圧安定化コンデンサ41のコンデンサ電圧を上げ、それからコンダクタBLを投入し、コンダクタBCを投入している。
【0042】
この電圧安定化コンデンサ41のプリチャージは、メインコントローラ60よりチョッパ用コントローラ53に始動指令が入力されると、チョッパ用コントローラ53およびコンダクタコントローラ58により実行される。なお、始動時には、上述したように、全てのコンダクタCM1,CM2,CP,CL,BC,BL,MCは開放した状態(オフした状態)となっている。
【0043】
チョッパ用コントローラ53は、始動指令の入力を確認すると(ステップ−1)、計測されている電圧VCが第1規定電圧(例えば、リチウム電池12の電池電圧×0.7以上;実施の形態では34V)以上かどうか、すなわち電圧安定化コンデンサ41が第1規定電圧以上にチャージされているかどうかを確認し(ステップ−2)、第1規定電圧未満のときプリチャージを行う。すなわち、スイッチング素子45を接続して(オンして)、電圧安定化コンデンサ41に、鉛電池11の電圧72Vを抵抗47で分圧した34V(第1規定電圧)を印加し、電圧安定化コンデンサ41をチャージする(ステップ−3)。
【0044】
電圧安定化コンデンサ41がチャージされ、計測されている電圧VCが34V(第1規定電圧)に達したことを確認すると、続いてコンダクタコントローラ58へコンダクタBLの接続指令信号を出力し、コンダクタコントローラ58によりコンダクタBLを接続して(オンして)、リチウム電池12より48Vを印加し(ステップ−4)、さらに電圧安定化コンデンサ41がチャージされ、計測されている電圧VCが第2規定電圧(例えば、鉛電池11の電池電圧×0.7以上;実施の形態では48V)に達すると(ステップ−5)、プリチャージを終了し、コンダクタコントローラ58へコンダクタBCの接続指令信号を出力し、コンダクタコントローラ58によりコンダクタBCを接続して(オンして)、放電可能な状態とし(ステップ−6)、終了する。
【0045】
このように、プリチャージを実行することにより、コンダクタBLあるいはBCを接続したとき、コンダクタBLあるいはBCに火花が飛ぶことが回避され、コンダクタBL,BCが破損(溶着等)することが回避される。
【0046】
[電圧安定化コンデンサ41のディスチャージ]
次に、電圧安定化コンデンサ41のディスチャージは、メインコントローラ60よりチョッパ用コントローラ53に作業終了信号が入力されると実行される。すなわち、チョッパ用コントローラ53は、作業終了信号を確認すると、ディスチャージ用のスイッチング素子46を接続して(オンして)、電圧安定化コンデンサ41を抵抗48を介して接地してディスチャージを行う。
【0047】
[鉛電池11の充電]
上記鉛電池11の充電制御について、
図4(a)を参照しながら説明する。この充電制御は、メインコントローラ60よりコンダクタコントローラ58に鉛電池充電指令が入力されることにより、コンダクタコントローラ58により、第1充電回路17を使用して準定電圧方式で実行される。
【0048】
コンダクタコントローラ58は、鉛電池充電指令を入力すると(ステップ−1)、コンダクタBCとMCを開放し(オフし)、コンダクタCM1とCPを接続して(オンして)、充電を開始し(ステップ−2)、計測している鉛電池11の電圧VPbが、目標の電圧(例えば、定格電圧の90%)に達すると(ステップ−3)、あるいは鉛電池充電指令がオフ(解除)となると(ステップ−4)、コンダクタCM1とCPを開放し(ステップ−5)、充電を終了する。
【0049】
[リチウム電池12の充電]
次に、上記リチウム電池12の充電制御について、
図4(b)を参照しながら説明する。この充電制御は、メインコントローラ60よりコンダクタコントローラ58およびチョッパ用コントローラ53ヘリチウム電池充電指令が入力されることにより、コンダクタコントローラ58およびチョッパ用コントローラ53により、第2充電回路18を使用して、電池電圧変動の影響が少ない第2トランス26(一般トランス)を用いた充放電チョッパ31によるCC−CV充電方式で実行される。なお、電圧安定化コンデンサ41のプリチャージは終了しているものとする。
【0050】
チョッパ用コントローラ53は、リチウム電池充電指令を入力すると(ステップ−1)、コンダクタコントローラ58へ、コンダクタBCを開放(オフ)する開放指令信号、およびコンダクタCM2,CLを接続(オン)する接続指令信号を出力し(ステップ−2)、コンダクタコントローラ58は、これら指令信号によりコンダクタBCを開放(オフ)し、コンダクタCM2,CLを接続(オン)し、チョッパ用コントローラ53へ、これらコンダクタBCの開放信号およびCM2,CLの接続信号を出力する(ステップ−3)。
【0051】
チョッパ用コントローラ53は、これら開放信号と接続信号を入力すると(ステップ−4)、一対の第1スイッチング素子43と一対の第2スイッチング素子44を、交互に接続・開放し(オン・オフし)、一対の第1スイッチング素子43の接続時間(オン時間)により、計測されているリアクトル42A,42Bに流れる合計の電流ILiが目標の充電電流となるように電流制御する(ステップ−5)。
【0052】
そして、計測されているリチウム電池12の電圧VLが、目標の電圧(例えば、定格電圧の90%)に達すると(ステップ−6)、あるいはリチウム電池充電指令がオフ(解除)となると(ステップ−7)、チョッパ用コントローラ53は、一対の第1スイッチング素子43および一対の第2スイッチング素子44をともに開放して(オフして)(ステップ−8)、コンダクタコントローラ58へ、コンダクタCM2とCLを開放(オフ)する開放指令信号、およびコンダクタBCを接続(オン)する接続指令信号を出力し(ステップ−9)、コンダクタコントローラ58は、これら指令信号を入力すると、コンダクタCM2とCLを開放し(オフし)、コンダクタBCを接続し(オンし)(ステップ−10)、終了する。
【0053】
[鉛電池11およびリチウム電池12からの放電]
上記鉛電池11およびリチウム電池12の放電制御について、
図5を参照しながら説明する。この放電制御は、メインコントローラ60よりコンダクタコントローラ58およびチョッパ用コントローラ53ヘ放電指令が入力されることにより実行される。なお、電圧安定化コンデンサ41のプリチャージは終了し、コンダクタBC,BLは接続されているものとする。また鉛電池11の充電用のコンダクタCM1とCPは開放(オフ)され、またリチウム電池12の充電用のコンダクタCM2とCLも開放(オフ)されているものとする。
【0054】
*鉛電池11からの放電
コンダクタコントローラ58は、放電信号を入力すると(ステップ−1)、コンダクタMCを接続して(オンして)放電を開始し(ステップ−2)、続いてチョッパ用コントローラ53へコンダクタMCの接続信号を出力し(ステップ−3)、計測している鉛電池11の電圧VPbが最低電圧(例えば、定格電圧の50%)となると(ステップ−4)、あるいは放電指令がオフ(解除)となると(ステップ−5)、コンダクタMCを開放し(ステップ−6)、続いてチョッパ用コントローラ53へコンダクタMCの開放信号を出力し(ステップ−7)、放電を終了する。
【0055】
*リチウム電池12からの放電
チョッパ用コントローラ53は、放電指令を入力すると(ステップ−1)、コンダクタコントローラ58より上記コンダクタMCの接続信号を入力しているかを確認し(ステップ−2)、確認するとリチウム電池12の放電を実行する。
【0056】
すなわち、一対の第1スイッチング素子43を連続して接続し(オンし)、一対の第2スイッチング素子44を接続・開放し(オン・オフし)、この第2スイッチング素子44の接続時間(オン時間)により、昇圧(48V→72V)すると共に、計測されている放電電流ICと放電電流IPbが、電力量を72Vで除算することにより求まる目標の電流となるように制御する(ステップ−3)。
【0057】
そして、チョッパ用コントローラ53は、計測しているリチウム電池12の電圧VLiが放電終了電圧(例えば、定格電圧の50%)となると(ステップ−4)、あるいはメインコントローラ60より出力される放電指令が解除されると(ステップ−5)、あるいはコンダクタコントローラ58よりコンダクタMCの開放信号を入力すると(ステップ−6)、コンダクタコントローラ58へコンダクタBCの開放指令信号を出力し、コンダクタコントローラ58は、この開放指令信号を入力すると、コンダクタBCを開放し(オフし)(ステップ−7)、一対の第1スイッチング素子43および一対の第2スイッチング素子44をともに開放して(オフして)(ステップ−8)、終了する。
【0058】
上記回路の構成により、メインコントローラ60から始動指令が出力されると、チョッパ用コントローラ53により、電圧安定化コンデンサ41のプリチャージが実行され、待機状態とされ、またメインコントローラ60から作業終了信号が出力されると、コンダクタコントローラ58により、全てのコンダクタCM1,CM2,CP,CL,BC,BL,MCが、開放状態(オフ状態)とされ、またチョッパ用コントローラ53により、電圧安定化コンデンサ41のディスチャージが実行される。
【0059】
またメインコントローラ60から鉛電池充電指令が出力されると、コンダクタコントローラ58により、鉛電池11の充電が実行され、またメインコントローラ60からリチウム電池充電指令が出力されると、チョッパ用コントローラ53により、リチウム電池12の充電が実行され、このように鉛電池11とリチウム電池12は、これら充電回路17,18から、それぞれ個別に充電可能な構成とされている。
【0060】
またメインコントローラ60から放電指令が出力されると、コンダクタコントローラ58により、鉛電池11の放電が実行され、且つチョッパ用コントローラ53により、リチウム電池12の放電が実行され、このように鉛電池11とリチウム電池12から同時にモータ13へ給電可能な構成とされている。このとき、チョッパ用コントローラ53により、メインコントローラ60より要求された電力量に応じた放電電流となるように、リチウム電池12の放電電流が制御される。
【0061】
以上のように本実施の形態によれば、各電池11,12毎に充電回路17,18を設け、各電池11,12を独立して充電する構成としたことにより、各電池11,12の充電制御を簡単に確実に自由に行うことができ、また鉛電池11に対して、第1充電回路17より鉛電池11の充電に必要なだけの電流を供給することにより、鉛電池11が過充電となる恐れを回避でき、バッテリフォークリフトの安全を確保できる。
【0062】
また本実施の形態によれば、プリチャージ回路を介して電圧安定化コンデンサ41の電圧を第1規定電圧まで上昇し、それからコンダクタBLを接続することにより、コンダクタBLに、リチウム電池12の電圧と電圧安定化コンデンサ41の電圧との差により火花が飛び、コンダクタBLが破損することを回避することができる。さらに電圧安定化コンデンサ41の電圧を第2規定電圧まで上昇し、それからコンダクタBCを接続することにより、コンダクタBCに、鉛電池11の電圧と電圧安定化コンデンサ41の電圧との差により火花が飛び、コンダクタBCが破損することを回避することができる。
【0063】
また本実施の形態によれば、リチウム電池12の充電時は、コンダクタBCを開放し、電圧安定化コンデンサ41のプリチャージの終了後、コンダクタCLを接続し、充電終了でコンダクタCLを開放し、鉛電池11の充電時は、コンダクタBCを開放し、コンダクタCPを接続し、充電終了でコンダクタCPを開放することにより、各電池11,12は個別に充電され、このように、コンダクタの接続(オン)−開放(オフ)により、各電池を独立して簡単に自由に充電することができる。
【0064】
なお、本実施の形態によれば、リチウム電池12への充電を、第2充電回路18を使用して実行しているが、第2充電回路18を使用できないとき、鉛電池11から充電することもできる。
第2充電回路18を使用できないとき、すなわちバッテリフォークリフトが運転中で第2充電回路18を商用電源に接続できない状態、あるいは不具合が発生している状態で、チョッパ用コントローラ53は、リチウム電池充電指令を確認すると、あるいはリチウム電池12の電圧VLが低下し、規定残存容量以下になったことを検出すると、コンダクタコントローラ58へ、コンダクタMC,CL,CPの開放指令信号、およびコンダクタBCの接続指令信号を出力して、コンダクタコントローラ58により、コンダクタMC,CL,CPを開放させ(オフさせ)、コンダクタBCを接続させ(オンさせ)、充放電チョッパ31のスイッチング素子43,44を制御することより充電を実行する。
このように、リチウム電池12の第2充電回路18を使用できないとき、鉛電池11から充電することができる。
【0065】
また本実施の形態では、鉛電池11に対する充放電を実行する制御回路を設けていない(充電制御はしていない)が、充放電を実行する制御回路を設けてもよい。しかし、鉛電池11は、基本的に急速充電という能力がないので、トランスの能力に応じて充電されるだけであり、単にコンダクタCM1とCPをオン−オフ制御するだけで十分である。また充放電を実行する制御回路を設けると、コストが高くなる。
【0066】
また本実施の形態では、荷役車両を、バッテリフォークリフトとしているが、本発明は、鉛電池とリチウム電池をともに搭載した車両に適用することが可能である。