【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)経済産業省委託「次世代構造部材創製・加工技術開発(複合材構造健全性診断技術開発)」に係る「光相関ブリルアン散乱計測法による航空機構造健全性診断技術の開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
TAKASHI YARI、NOZOMI SAITO、KANEHIRO NAGAI、KAZUO HOTATE、KIYOSHI ENOMOTO,“Development of a BOCDA-SHM System to Reduce Airplane Operating Costs”,Mitsubishi Heavy Industries Technical Review,日本,Mitsubishi Heavy Industries,2011年12月,Vol. 48 No. 4,pp.65-69
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
引用文献1の方法では歪み差により剥離を検知するために、光ファイバセンサを2か所に取り付ける必要があるため、設置に手間がかかる。
また、接着部に剥離が発生しない場合であっても、2つの部材に生じる歪みは同等ではない。接着部の端部が最も破壊の起点となり得るが、特許文献1に示される部材のように端部が直線状になって接着されている場合には、剥離によって生じる部材の歪みが光ファイバセンサに伝播しにくい。このため、特許文献1の方法では剥離が発生していない初期状態を特定することが困難であるために、剥離発生を高い精度で検知することが困難であった。
【0007】
特許文献1に例示される構造では、光ファイバセンサを用いて歪みを計測している間に接着部に突発的破壊が発生する可能性がある。このため、突発的破壊が発生する場合は、接着部の健全性評価を行い、評価結果に基づいて修理を行うまでの時間的余裕がなかった。
【0008】
本発明は、接着部の剥離損傷を検出しやすい形状の構造体、及び、接着部の剥離損傷を高精度で検出することが可能である剥離検出方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第1部材と第2部材とが、前記第1部材の
一端部において複数の突起部を有する接着面となるように接着され、前記第2部材の前記突起部の近傍において、前記接着面が延在する方向に沿って延在するように、歪み計測器が設置され
、前記第1部材の前記一端部が、複数の前記突起部を有する形状に加工されている構造体である。
【0011】
本発明の別の態様は、上記の構造体の前記接着面における剥離を検出する方法であって、前記構造体に荷重が負荷されている間に前記構造体に発生する歪みが検出される工程と、前記検出された歪みから歪み分布が取得される工程と、前記歪み分布の変化に基づいて、前記突起部の前記接着面の剥離の有無または前記接着面の破断が検出される工程と、を含む構造体の剥離検出方法である。
【0012】
上記剥離検出方法において、前記歪み分布から、前記突起部に対応する位置の歪みの変化量が取得される工程と、前記歪みの変化量に基づいて、前記突起部の前記接着面の剥離の有無または前記接着面の破断が検出される工程と、を更に含んでも良い。
【0013】
2つの部材を接着させた構造体において、一方の部材の端部を面内方向に突起部を有する接着面とすることにより、接着部の剥離損傷の発生個所を突起部先端に限定することができる。構造体の接着部の剥離を判断するに当たっては、歪み計測器の設置位置における歪みが計測され、歪み分布が取得される。そして、突起部に対応する位置での歪み分布の変化を評価することによって、接着部の剥離損傷や破断を高精度で検出することができる。
本発明の構造体では突起部先端から発生する接着部の剥離は徐々に進展する。このため、突発的な破壊を防止することができ、接着部の健全性を評価して修理の有無を判断し、修理を行うまで十分な時間を確保することができる。
【0014】
また本発明では第2部材のみに歪み検出器が設けられる。従来技術のように2つの部材にそれぞれセンサを設置する必要が無いので、設置の手間が軽減される。
【0015】
上記態様において、前記突起部が前記突起部の先端部から根元部に向かって幅が増大する形状を有すると、剥離の進展速度が抑制される。剥離損傷の急激な進展がない為、破壊が発生する前に余裕を持って剥離評価及び修理が実施できる。
【0016】
上記態様において、前記突起部が方形を有すると、接着部分と剥離部分との歪み差を大きくすることができる。方形の突起の場合は接着部の剥離が発生する際に突起部に対応する位置での歪みの変化量が大きくなるので、剥離の検出精度を向上させることができる。
【0017】
上記態様において、前記歪み計測器は、前記第2部材の表面に接着されている、または、前記第2部材中に埋設されていることが好ましい。こうすることにより、構造体に発生した歪みが確実に歪み計測器に伝播される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、歪み計測器の設置の手間が軽減されるとともに、剥離の有無の検出精度を向上させることができる。また、接着部の剥離発生個所を限定して剥離進展速度を遅くすることができるため、突発的な破壊を防止するとともに、剥離検出から修理までの時間を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係る構造体の一実施形態を説明する概略図である。
図1は、構造体の一部分を図示している。
構造体1は、例えば航空機、自動車、風車翼などとされる。
構造体1は、第1部材2と第2部材3とで構成される。第1部材2及び第2部材3は、炭素繊維やガラス繊維などで強化された繊維強化樹脂基複合材料や、アルミ合金などの金属材料からなる。
【0021】
第1部材2は、
一端部に複数の突起部4を有する。
図1では突起部4は、先端部4aから根元部4bに向かって幅が増大する波型形状とされる。突起部4は、第1部材2と第2部材3との接着面5と同じ面内に突出する。波形形状の突起部の周期(突起部の頂点間の距離)は、後述する歪み計測器の空間分解能の1/2以上となるように設計される。
【0022】
少なくとも突起部4において、第1部材2と第2部材3とが接着されている。従って、接着面5は、第1部材2の一端部において複数の波型の突起形状となる。なお、本実施形態においては、第1部材2と第2部材3とが接触する面の全てが接着されていることが好ましい。接着剤の種類は特に限定されず、例えばエポキシ樹脂系の接着剤が使用可能である。
【0023】
図2は、構造体の別の実施形態を説明する概略図である。
図2の構造体11では、第1部材12の
一端部に方形の突起部14が設けられる。隣接する突起部14の間に谷部16が設けられる。方形形状の突起部の周期(
図2において1つの突起部と1つの谷部との合計幅)は、後述する歪み計測器の空間分解能の1/2以上となるように設計される。
図1の例と同様に、少なくとも突起部14において第1部材12と第2部材13とが接着されている。
【0024】
図3は、構造体の別の実施形態を説明する概略図である。
図3の構造体21では、第1部材22の
一端部に台形の突起部24が設けられる。台形の突起部24は、先端部24aから根元部24bに向かって幅が増大している。突起部24の間に谷部26が設けられても良いし、谷部が無くても良い。台形形状の突起部の周期(
図3において1つの突起部と1つの谷部との合計幅、谷部が無い場合は1つの突起部の幅)は、後述する歪み計測器の空間分解能の1/2以上となるように設計される。
図1の例と同様に、少なくとも突起部24において第1部材22と第2部材23とが接着されている。
【0025】
図4は、構造体の別の実施形態を説明する概略図である。
図4の構造体31の突起部34は、階段状の凹凸が設けられた突起部34が設けられる。階段状の突起部34は、先端部34aから根元部34bに向かって幅が増大する。階段状の突起部34は、第1部材32の一端部に複数配列されて設けられる。突起部34の間に谷部が設けられても良いし、谷部が無くても良い。突起部34の凹凸の数(段数)は特に制限されない。階段形状の突起部の周期(
図4において1つの突起部と1つの谷部との合計幅、谷部が無い場合は1つの突起部の幅)は、後述する歪み計測器の空間分解能の1/2以上となるように設計される。
図1の例と同様に、少なくとも突起部34において第1部材32と第2部材33とが接着されている。
【0026】
図5は、構造体の別の実施形態を説明する概略図である。
図5の構造体41は、第1部材42の一端部が直線状となっている。当該一端部で、接着面45が複数の突起形状を有するように、第1部材42と第2部材43とが接着されている。
図5では接着面45の突起形状を波形としたが、上記で説明した方形、台形、階段状等としても良い。
【0027】
図1に示すように、第2部材3に歪み計測器7が設置される。歪み計測器7は、第1部材2の突起部4の近傍に、所定の間隔で離間して設置される。ここでの「近傍」とは、突起部4の先端から30mm以内とされる。歪み計測器7は、第2部材3の表面上に接着されても良いし、第2部材3の内部に埋設されていても良い。歪み計測器7は、歪み評価部(不図示)に接続される。歪み評価部は、例えばコンピュータとされる。
【0028】
歪み計測器7は、接着面5が延在する方向に沿って延在するように設置される。
図1では、複数の突起部4が配列する方向に沿って(例えば、突起部4が配列する方向と略平行になる方向に)、歪み計測器7が配置されている。
図1の構造体1においては、突起部4が突出する方向に荷重が負荷される。このため、歪み計測器7は複数の突起部4が配列する方向に沿って設置されている。
【0029】
歪み計測器7は、具体的に光ファイバセンサまたは歪みゲージとされる。
図1は歪み計測器7として光ファイバセンサを用いる例であり、1本の光ファイバセンサが荷重負荷方向と略垂直な方向に延在するように設置される。歪み計測器7として歪みゲージを用いる場合、複数の歪みゲージが荷重負荷方向と略垂直な方向に配列されて設置される。
【0030】
なお、
図2乃至
図5では歪み計測器は省略されているが、
図1と同様の形態で設置される。
【0031】
本実施形態の構造体において接着部の剥離を検出する工程の概略を、
図1を用いて以下で説明する。
上述のように、突起部4において、第1部材2と第2部材3とが接着されている。接着面の剥離損傷が発生していない場合、接着部を含む構造体は、部材2つ分の剛性を有している。
【0032】
歪み計測器7が延在する方向と交差する方向(例えば略直交する方向)に引張荷重や圧縮荷重が構造体1に対して負荷されると、接着面5に剥離損傷が発生する。剥離損傷は突起部4の先端から開始する。剥離した箇所では剛性が低下する。これにより、構造体1の剥離損傷の周囲に圧縮歪みや引張歪みが発生する。
【0033】
剥離損傷部分に発生した歪みは、剥離損傷部分近傍の歪み計測器7に伝播される。これにより、歪み計測器7に歪みが発生する。損傷部に近いほど、歪み計測器7に与えられる歪みが大きくなる。歪み計測器7に発生した歪みは、歪み評価部で検出される。つまり、歪み評価部は、歪み計測器7を介して剥離損傷が発生した接着部近傍の構造体1の歪みを検出する。
【0034】
歪み評価部は、検出された歪みに基づいて、接着部の剥離損傷の有無を評価する。
歪み評価部は、歪み計測器の位置情報において突起部4に対応する位置を予め取得している。歪み評価部は、歪み計測器に発生した歪みを間欠的に検出する。歪み評価部は、突起部4に対応する位置での歪み分布を取得する。歪み評価部は、所定時間毎に歪み分布を取得し、歪み分布の時間変化をモニタリングする。歪み評価部は、歪み分布の変化から、接着部の剥離損傷の発生や破断を検出する。
【0035】
接着部の剥離及び破断を検出する工程を、具体的な試験例を用いて以下で説明する。
(試験例1)
図6は、試験に用いた供試体の概略図である。
図6(A)は上面図であり、
図6(B)は
図6(A)のA−A’における断面図である。
【0036】
第1部材52の供試体51中央に位置する一端部に、複数の突起部54が設けられる。この複数の突起部54は紙面水平方向に配列されている。突起部54の形状は、波形形状とした。
【0037】
供試体51は、1つの突起部54の先端に第1部材52と第2部材53とが接着されていない剥離損傷(予き裂)58が導入されている。第1部材52と第2部材53との接触面は、予き裂58以外で接着剤によって接着されている。
【0038】
第2部材53上に、歪み計測器として光ファイバセンサ57が1本設置される。光ファイバセンサ57はクラッド径125μmのシングルモードファイバであり,エポキシ系接着剤によって第2部材53に接着されている。光ファイバセンサ57の接着には、公知の方法が適用される。光ファイバセンサ57は、紙面水平方向に延在する。突起部54先端と光ファイバセンサとの距離は5mmである。
【0039】
試験では、炭素繊維複合材料の供試体51に対して紙面垂直方向(即ち、光ファイバセンサ57の延在方法と略直交する方向)に引張荷重を付与した。引張荷重は、下記負荷荷重をステップ状に増大させるように付与した。光ファイバセンサ57の歪みを、光相関ブリルアン散乱計測法により検出した。試験条件は以下の通りとした。
波形突起部の周期:60mm、
予き裂の突起部突出方向の長さ:5mm、
負荷荷重:25kN(剥離進展なし)、
50kN(剥離進展あり)、
65kN(破断直前)、
光ファイバセンサの空間分解能:30mm。
【0040】
上記と同形状の供試体を想定した場合について、表1に示す剥離長さ及び負荷荷重を与えた場合の光ファイバセンサの歪みを有限要素解析により計算した。解析では光ファイバセンサの光ファイバセンサ軸方向のメッシュサイズを2.5mmに設定した。解析で用いた各部材の物性は、試験で使用した材料と同等の物性である。
【0042】
図7及び
図8は、波形形状の突起部を設けた構造体における光ファイバセンサの歪み分布である。
図7は実際の試験結果の一例であり、
図8は有限要素解析による計算結果である。同図において、横軸は光ファイバセンサの位置(任意単位)、縦軸は歪み/負荷荷重(単位負荷荷重当たりの歪み)である。歪み/負荷荷重の値が正のとき、光ファイバセンサに引張が付与されている。なお、
図7及び
図8では縦軸を単位負荷荷重当たりの歪みとしたが、縦軸を計測された歪みのみで表すこともできる。
【0043】
図7及び
図8中に示される「接着範囲」は、光ファイバセンサ57が第2部材53に接着されている領域を示している。「剥離進展部」は、予き裂58が与えられた突起部54の位置に相当する。
【0044】
図7における剥離進展がない場合は表1のケース1−2(予き裂が5mmであるため)に、剥離進展がある場合は表1のケース1−4、破断直前は表1のケース1−5に相当する。
図8は、試験時の空間分解能と合わせるために、解析から算出した歪みを30mmの範囲で平均化するデータ処理を行った。
【0045】
図7及び
図8を比較すると、歪み分布の傾向が一致している。
図7及び
図8を参照すると、損傷が小さいほど「剥離進展部」における分布頂部の歪み/負荷荷重の値が大きく、「接着範囲」での歪み分布が上に凸の形状である。剥離損傷が大きくなるにつれて、分布頂部の歪み/負荷荷重の値が小さくなる。
図7及び
図8に示すように、破断直前になると「接着範囲」での歪み分布が平坦となる。
【0046】
図7の剥離進展部において、剥離進展がある場合の歪み/負荷荷重の最大値は、剥離進展がない場合の歪み/負荷荷重の最大値に対して、約10%低下している。破断直前の歪み/負荷荷重の最大値は、剥離進展がない場合の歪み/負荷荷重の最大値に対して、約20%低下している。
【0047】
(試験例2)
試験例2では、突起部の形状を方形にした以外は
図6と同じ供試体を用いて実験を行った。試験条件は以下の通りとした。
方形突起部の周期:60mm、
予き裂の突起部突出方向の長さ:5mm、
負荷荷重:20kN(剥離進展なし)、
50kN(剥離進展あり)、
60kN(破断直前)、
光ファイバセンサの空間分解能:30mm。
【0048】
同形状の供試体を想定した場合について、表2に示す剥離長さ及び負荷荷重を与えた場合の光ファイバセンサの歪みを有限要素解析により計算した。解析では光ファイバセンサの光ファイバセンサ軸方向のメッシュサイズを2.5mmに設定した。解析で用いた各部材の物性は、試験で使用した材料と同等の物性である。
【0050】
図9及び
図10は、方形形状の突起部を設けた構造体における光ファイバセンサの歪み分布である。
図9は実際の試験結果の一例であり、
図10は有限要素解析による計算結果である。同図において、横軸は光ファイバセンサの位置(任意単位)、縦軸は歪み/負荷荷重である。歪み/負荷荷重の値が正のとき、光ファイバセンサに引張が付与されている。
【0051】
図9における剥離進展がない場合は表2のケース2−2(予き裂が5mmであるため)に、剥離進展がある場合は表2のケース2−4、破断直前は表2のケース2−5に相当する。
図10は、解析から算出した歪みを30mmの範囲で平均化するデータ処理を行ったものである。
【0052】
試験例2の歪み分布においても、試験例1と同様の傾向がある。
図9の剥離進展部において、剥離進展がある場合の歪み/負荷荷重の最大値は、剥離進展がない場合の歪み/負荷荷重の最大値に対して、40%低下している。破断直前の歪み/負荷荷重の最大値は、剥離進展がない場合の歪み/負荷荷重の最大値に対して、100%低下している。
【0053】
上記試験例に基づくと、剥離損傷の有無の評価においては、突起部に対応する位置において剥離進展がない場合の歪みに対して歪みの値が10%低下した場合に、構造体の接着部に剥離損傷が発生したと判断される。また、剥離進展がない場合の歪みに対して歪みの値が20%低下した場合に、接着部が破断したと判断される。
【0054】
上記試験例を航空機や風車等の実機に適用するには、実機の計測対象部位に歪み計測器が設置される。
図11は、航空機に歪み計測器(光ファイバセンサ)を設置する実施例である。主翼101、主翼取付部102及び圧力隔壁部103は、
図1〜5に例示されるように、複数の突起部を有する接着面となるように部材が接着された構造体である。
光ファイバセンサ110は、航空機機体100の主翼101、主翼取付部102、圧力隔壁部103、胴体104に連続した配線として配設される。なお、光ファイバセンサ110の配設パターンは、
図11に限定されない。
光ファイバセンサ110は、計測診断装置105に接続される。計測診断装置105は歪み評価部を備える。
【0055】
実機の運用により、航空機機体100の各部位に種々の荷重が負荷される。これにより、主翼101、主翼取付部102及び圧力隔壁部103において、歪みが発生する。計測診断装置105の歪み評価部は、運用中の実機の各部位に発生する歪みを光ファイバセンサ110の歪みとして計測する。計測診断装置105の歪み評価部は、計測した歪みに基づいて歪み分布を取得する。歪みの計測及び歪み分布の取得は、所定時間間隔で行われる。この時、計測診断装置105の歪み評価部は、評価基準となる歪み分布を取得する。評価基準となる歪み分布は、各部位に剥離進展がなく、歪みが小さい条件での歪み分布とする。
【0056】
計測診断装置105の歪み評価部は、所定時間間隔で取得した歪み分布の時間変化をモニタリングする。計測診断装置105の歪み評価部は、所定時間間隔で取得した歪み分布と、同一位置における評価基準となる歪み分布とを比較する。計測診断装置105は、
図7〜
図10で説明した分布頂部における歪み分布が評価基準から逸脱した場合に、その分布頂部に対応する位置において突起部を有する構造体である部材の剥離損傷の発生及び接着部の破断を検出する。
【0057】
具体的には、上述した供試体による試験が実施され、剥離損傷が発生した場合の分布頂部での評価基準の歪み分布に対する歪みの変化量(第1の変化量)、及び、破断が発生した場合の分布頂部での評価基準の歪み分布に対する歪みの変化量(第2の変化量)が取得される。上記試験例に依れば、剥離進展及び破断が発生する場合は歪みが低下するので、第1の変化量及び第2の変化量は負の値である。上述した試験例では、第1の変化量は−10%、第2の変化量は−20%である。第1の変化量及び第2の変化量は、計測診断装置105の歪み評価部に格納される。
計測診断装置105の歪み評価部は、歪み分布の時間変化をモニタリングし、評価基準に対する取得した歪み分布の分布頂部の歪みの変化量を取得する。計測診断装置105の歪み評価部は、取得した歪み変化量が第1の変化量以下となった時、航空機機体100の対応する位置における接着部における剥離損傷を検出する。また、計測診断装置105の歪み評価部は、取得した歪み変化量が第2の変化量以下となった時、航空機機体100の対応する位置における接着部における破断を検出する。