特許第6016602号(P6016602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016602
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20161013BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20161013BHJP
【FI】
   B25F5/00 G
   H02K11/30
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-269589(P2012-269589)
(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-113664(P2014-113664A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 竜之助
(72)【発明者】
【氏名】杉本 学
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−214520(JP,A)
【文献】 再公表特許第2010/067614(JP,A1)
【文献】 特開2011−167024(JP,A)
【文献】 特開2010−124599(JP,A)
【文献】 特開2008−017635(JP,A)
【文献】 特開2010−099823(JP,A)
【文献】 米国特許第06320286(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
B25B 21/00
H02K 11/30
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ブラシレスモータにより駆動される出力部と、
を有する電動工具であって、
前記絶縁部材に回路基板が固定されており
前記回路基板に、リード線を保持する配線接続部が設けられており
前記ステータの外形よりも、前記回路基板の外形が小さくされており、
前記絶縁部材と前記回路基板の間に、隙間が設けられており、
前記リード線が、前記隙間を通過する
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
モータハウジングと、
前記モータハウジングより下方に延びるハンドルハウジングと、
前記モータハウジングの前部に配置されるギヤケースと、
前記モータハウジングの内部に配置され、絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸を有するロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ギヤケースの内部に配置され、前記ロータの回転を伝達するギヤと、
前記ギヤの回転が伝達され、前記ギヤケースより突出する出力軸と、
を有する電動工具であって、
前記絶縁部材に回路基板が固定されており
前記回路基板に、リード線を保持する配線接続部が設けられており
前記ステータの上下方向の長さよりも、前記回路基板の上下方向の長さが小さくされており
前記回路基板と前記絶縁部材の間に、隙間が設けられており、
前記リード線は、前記隙間を通過する
ことを特徴とする電動工具。
【請求項3】
モータハウジングと、
前記モータハウジングより下方に延びるハンドルハウジングと、
前記モータハウジングの前部に配置されるギヤケースと、
前記モータハウジングの内部に配置され、後部において絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸を有するロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ギヤケースの内部に配置され、前記ロータの回転を伝達するギヤと、
前記ギヤの回転が伝達され、前記ギヤケースより突出する出力軸と、
を有する電動工具であって、
前記絶縁部材に回路基板が固定されており
前記回路基板に、リード線を保持する配線接続部が設けられており、
前記ステータの上下方向の長さよりも、前記回路基板の上下方向の長さが小さくされており
前記回路基板は、前記絶縁部材の後方に配置されており、
前記リード線は、前記回路基板の前面より延びており、
前記回路基板と前記絶縁部材の間に、隙間が設けられており、
前記リード線は、前記隙間を通過する
ことを特徴とする電動工具。
【請求項4】
前記リード線は、前記コイルに電力を供給するための電源リード線と、前記回路基板から出力するための回転検出信号リード線と、前記回路基板に入力するためのスイッチング素子駆動信号リード線と、を有し、
前記電源リード線と、前記回転検出信号リード線と、前記スイッチング素子駆動信号リード線とは、前記回路基板の下部に固定される
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の電動工具。
【請求項5】
モータハウジングと、
前記モータハウジングより下方に延びるハンドルハウジングと、
前記モータハウジングの前部に配置されるギヤケースと、
前記モータハウジングの内部に配置され、絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸を有するロータと、を有するブラシレスモータと、
前記ギヤケースの内部に配置され、前記ロータの回転を伝達するギヤと、
前記ギヤの回転が伝達され、前記ギヤケースより突出する出力軸と、
を有する電動工具であって、
前記ステータの後部に前記絶縁部材を介して回路基板が配置されており、
前記ステータの上下方向の長さよりも、前記回路基板の上下方向の長さが小さくされており、
前記回路基板には、前記回路基板に入力するためのスイッチング素子駆動信号リード線が接続されており、
前記スイッチング素子駆動信号リード線は、前記回路基板における、前記ステータに対して前記長さが小さくされた部分に接続されており、
前記絶縁部材は、後方に突出する突起を有しており、
前記突起は、前記回路基板に設けられた小孔に入っている
ことを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータを駆動源とする電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示されるように、DCブラシレスモータを搭載したインパクトドライバが知られている。
このインパクトドライバでは、DCブラシレスモータにおける回転子の磁極の位置を検出する磁気センサの実装されたセンサ基板が、DCブラシレスモータの固定子の後端部に対し固定されている。
センサ基板には、コイルとの接続用の動力線(リード線)が接続されている。動力線は、センサ基板の下部における、円盤状のセンサ基板本体から突出するフレキシブルな舌状部に対して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4981345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のインパクトドライバでは、舌状部の突出するセンサ基板がDCブラシレスモータの固定子の後端部に対してセンサ基板本体を当てた状態で固定されるので、固定子から舌状部がはみ出して、固定子の外形よりもセンサ基板の外形が大きくなっている。従って、センサ基板(特に舌状部)がしっかり固定されず、センサ基板において、予期しないリード線の激しい動き等に対する強度が充分確保できない場合があり、異常発生時にセンサ基板側のリード線や舌状部が破断する可能性を有している。
そこで、本発明は、ブラシレスモータ用等の基板全体につき、ブラシレスモータのステータに対して強度充分に固定可能な電動工具を提供することを主な目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能なロータと、を有するブラシレスモータと、前記ブラシレスモータにより駆動される出力部と、を有する電動工具であって、前記絶縁部材に回路基板が固定されており、前記回路基板に、リード線を保持する配線接続部が設けられており、前記ステータの外形よりも、前記回路基板の外形が小さくされており、前記絶縁部材と前記回路基板の間に、隙間が設けられており、前記リード線が、前記隙間を通過することを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、モータハウジングと、前記モータハウジングより下方に延びるハンドルハウジングと、前記モータハウジングの前部に配置されるギヤケースと、前記モータハウジングの内部に配置され、絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸を有するロータと、を有するブラシレスモータと、前記ギヤケースの内部に配置され、前記ロータの回転を伝達するギヤと、前記ギヤの回転が伝達され、前記ギヤケースより突出する出力軸と、を有する電動工具であって、前記絶縁部材に回路基板が固定されており、前記回路基板に、リード線を保持する配線接続部が設けられており、前記ステータの上下方向の長さよりも、前記回路基板の上下方向の長さが小さくされており前記回路基板と前記絶縁部材の間に、隙間が設けられており、前記リード線は、前記隙間を通過することを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、モータハウジングと、前記モータハウジングより下方に延びるハンドルハウジングと、前記モータハウジングの前部に配置されるギヤケースと、前記モータハウジングの内部に配置され、後部において絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸を有するロータと、を有するブラシレスモータと、前記ギヤケースの内部に配置され、前記ロータの回転を伝達するギヤと、前記ギヤの回転が伝達され、前記ギヤケースより突出する出力軸と、を有する電動工具であって、前記絶縁部材に回路基板が固定されており前記回路基板に、リード線を保持する配線接続部が設けられており、前記ステータの上下方向の長さよりも、前記回路基板の上下方向の長さが小さくされており前記回路基板は、前記絶縁部材の後方に配置されており、前記リード線は、前記回路基板の前面より延びており、前記回路基板と前記絶縁部材の間に、隙間が設けられており、前記リード線は、前記隙間を通過することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記リード線は、前記コイルに電力を供給するための電源リード線と、前記回路基板から出力するための回転検出信号リード線と、前記回路基板に入力するためのスイッチング素子駆動信号リード線と、を有し、前記電源リード線と、前記回転検出信号リード線と、前記スイッチング素子駆動信号リード線とは、前記回路基板の下部に固定されることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、モータハウジングと、前記モータハウジングより下方に延びるハンドルハウジングと、前記モータハウジングの前部に配置されるギヤケースと、前記モータハウジングの内部に配置され、絶縁部材を有するステータと、前記ステータに対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸を有するロータと、を有するブラシレスモータと、前記ギヤケースの内部に配置され、前記ロータの回転を伝達するギヤと、前記ギヤの回転が伝達され、前記ギヤケースより突出する出力軸と、を有する電動工具であって、前記ステータの後部に前記絶縁部材を介して回路基板が配置されており、前記ステータの上下方向の長さよりも、前記回路基板の上下方向の長さが小さくされており、前記回路基板には、前記回路基板に入力するためのスイッチング素子駆動信号リード線が接続されており、前記スイッチング素子駆動信号リード線は、前記回路基板における、前記ステータに対して前記長さが小さくされた部分に接続されており、前記絶縁部材は、後方に突出する突起を有しており、前記突起は、前記回路基板に設けられた小孔に入っていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、回路基板の外形をステータの外形よりも小さく構成し、あるいは回路基板の上下方向の長さをステータの上下方向の長さよりも小さく構成したので、ブラシレスモータ用等の回路基板全体をブラシレスモータのステータに対して強度充分に固定することができる、という効果を奏する。
更に、回路基板と絶縁部材の間に隙間を設け、隙間にリード線を通過させたため、上記効果に加えて、リード線を挟み込むことなく適切に配置することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1形態に係るインパクトドライバの右側面図である。
図2図1における中央縦断面図である。
図3図1におけるブラシレスモータの後面図である。
図4図3のブラシレスモータの後面側斜視図である。
図5図3のブラシレスモータにおける一部回路図である。
図6】本発明の第2形態に係るインパクトドライバの中央縦断面図である。
図7図6におけるブラシレスモータの後面図である。
図8図7のブラシレスモータの下面側斜視図である。
図9】本発明の第3形態に係るインパクトドライバの中央縦断面図である。
図10図9におけるブラシレスモータの前面図である。
図11図10のブラシレスモータの前面側斜視図である。
図12】本発明の第4形態に係るインパクトドライバの中央縦断面図である。
図13図12におけるブラシレスモータの前面図である。
図14図13のブラシレスモータの下面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態やその変更例を、適宜図面に基づいて説明する。
【0009】
[第1形態]
図1は第1形態に係る電動工具(回転打撃工具)の一例であるインパクトドライバ1の右側面図であり、図2はインパクトドライバ1の中央縦断面図(ネジ3,3・・やブラシレスモータ10は断面でなく側面を表されている)であり、図3はブラシレスモータ10の後面図であり、図4はブラシレスモータ10の後面側斜視図である。
インパクトドライバ1は、その外郭を形成するハウジング2を有している。尚、図1において、右が前となる。ハウジング2は、左右で半割可能に形成されており、その左右の各部分は複数のネジ3,3・・により互いに係合されている。
インパクトドライバ1は、中心軸を前後方向とする筒状の本体部4と、本体部4の下部から突出するように形成されたグリップ部6(ハンドル部)を有する。
グリップ部6は、使用者が把持する部分であり、グリップ部6の基端部には、使用者による指先で引く操作が可能であるトリガ形式のスイッチレバー8が設けられている。
尚、スイッチレバー8の後方には、ブラシレスモータ10の回転方向を順次切替える正逆反転スイッチ9が設けられている。
【0010】
インパクトドライバ1の本体部4には、後側から順に、ブラシレスモータ10、遊星歯車機構12(後述の内歯ギヤ94を除く)を含むスピンドル14、弾性体であるコイル状のスプリング15、ハンマ16、及びアンビル18が、同軸に収納されている。
ブラシレスモータ10は、インパクトドライバ1の駆動源であり、その回転が遊星歯車機構12により減速された後、スピンドル14に伝達される。そして、スピンドル14の回転力がハンマ16等によって回転打撃力に変換され、適宜スピンドル14とハンマ16の間に渡されるスプリング15の緩衝を受けつつ、アンビル18に伝えられる。アンビル18は、回転打撃力を受けて軸周りに回転する出力軸である。
尚、スピンドル14、ハンマ16、及びアンビル18が、ブラシレスモータ10により駆動される出力部を構成する。
【0011】
本体部4におけるハウジング2は、ブラシレスモータ10を収容するモータハウジング20と、モータハウジング20の前方に配置され、ハンマ16を収容するハンマケース22を含む。
モータハウジング20の後部における左右両側には、それぞれ吸気口34,34・・が開けられており、その前方(の上下)には、排気口35,35が開けられている。
ハンマケース22は、前部が後部に対して縮径された筒状であり、その後部の一部がモータハウジング20の前部内に入り込むことで取り付けられる。
又、モータハウジング20とハンマケース22の内側には、皿状のギヤケース24が、これらに挟まれた状態で(ハンマケース22に保持された状態で)取り付けられている。ギヤケース24は、中央に孔が開けられていると共にその孔の隣接部位がその外部に対して窪んだ形状となっており、その窪み部が後へ窪む配置で、又その窪み部の底面が上下方向に沿う姿勢で設けられている。
ギヤケース24の外側であってモータハウジング20の前側には、モータハウジング20と連続した外形を有する筒状のカバー36が被せられており、その前側には、筒状のゴムキャップ37が被せられている。尚、図2において、カバー36及びゴムキャップ37は省略されている。
一方、グリップ部6におけるハウジング2は、ハンドルハウジング26となっている。ハンドルハウジング26は、モータハウジング20の下部に対して一体的に設けられており、モータハウジング20より下方に延びている。
ハンドルハウジング26の下部には、バッテリ取付部21が設けられている。バッテリ取付部21内には、バッテリ接続端子27や制御基板28が配置されており、バッテリ取付部21には、バッテリ29が装着される。バッテリ取付部21の両側部には、スリット23が設けられる。尚、図2において、バッテリ29は省略されている。
バッテリ29は、前面にスライダ25を備えている。スライダ25は、上下にスライド可能であって、上方に付勢されており、上方にあるとバッテリ取付部21に係止し、下方にずらすと係止状態から脱する、バッテリ取付部21に対し係脱可能な部材である。
バッテリ取付部21の上部中央右前側には、フック等を取り付けるための取付孔38(ここではネジ孔)が開けられている。
又、バッテリ取付部21の前側上方には、各種スイッチの状態等を表示するスイッチ表示部33が設けられる。スイッチ表示部33は、ここでは液晶表示器により構成されている。
【0012】
ブラシレスモータ10は、回転子であるロータ30と、固定子であるステータ32を有する。
ロータ30は、回転軸40と、回転軸40の前部を軸支する前軸受42と、回転軸40の後端部を軸支する後軸受44と、回転軸40の中央部において回転軸40と一体的に設けられる磁石46を含む。尚、前軸受42の後側には、塵や熱等の排出のためのファン48が、回転軸40と一体的に設けられている。又、回転軸40の前端部には、ピニオン49が固定されている。
前軸受42は、ギアケース24の後部中央において保持されており、後軸受44は、モータハウジング20の後端部内側中央において保持されている。
ステータ32は、前後方向を軸方向とした筒状のステータケース50と、ステータケース50の前側に配置される円盤状の前絶縁部材52と、ステータケース50の後側ないしステータケース50内に配置される円盤状の後絶縁部材54と、ステータケース50内に配置される歯数の少ない歯車状のステータコア55と、ステータケース50内において、後絶縁部材54を介してそれぞれステータコア55の歯部に巻かれる複数(ここでは6個)のコイル56,56・・を含む。
更に、後絶縁部材54の後面には、他の後面部分に対して前方へ窪む凹部58,58・・が、それぞれ放射方向に延びる状態で複数設けられている。又、後絶縁部材54における各凹部58を除く後面の周縁には、後方へ突出する小突起59,59・・が、複数設けられている。
【0013】
そして、後絶縁部材54の後側には、円盤状の回路基板60が設置されている。
回路基板60の径は、ステータ32(のステータケース50や後絶縁部材54)の径より僅かに小さくされている。よって、回路基板60の外形は、ステータ32の外形よりも小さく形成されている。又、回路基板60の上下方向長さは、ステータ32の上下方向長さよりも小さく形成されている。
回路基板60は、後絶縁部材54における各凹部58を除く後面と回路基板60の略平坦な前面の対応部分が接するように配置されており、各凹部58により後絶縁部材54と回路基板60の間に隙間61が形成されている。
ファン48により吸気孔34からハウジング2内へ導入された外気は、各隙間61を介してブラシレスモータ10へと流入可能である。
又、回路基板60は、周縁に複数の小孔62,62・・や小切欠き64を有している。小孔62,62・・や小切欠き64は、小突起59,59・・の配置に対応するように配置されており、各小突起59は、小孔62,62・・ないし小切欠き64の何れかに入っている。
更に、回路基板60は、その周縁(下部左右)に切欠き66,66を複数有しており、これらの切欠きに対して、それぞれネジ68が螺入されることで、回路基板60が後絶縁部材54に固定される。
【0014】
又、回路基板60は、複数(ここでは6個)のスイッチング素子70,70・・と、複数(ここでは3個)の回転検出素子72,72・・を有している。
スイッチング素子70,70・・は、六角形の各頂点に位置するように輪状に配置されており、回転検出素子72,72・・は、回路基板60の上部において互いに等間隔となるように配置されている。
尚、ステータ32の後絶縁部材54の後面には、コイル56,56・・に対応するコイル接続部73,73・・が形成されており、回路基板60と、各コイル56は、各コイル接続部73において、それぞれ電気的に接続されている。
【0015】
スイッチング素子70,70・・や回転検出素子72,72・・を含む、インパクトドライバ1の駆動回路74を、図5に示す。
駆動回路74は、電源回路部76と、スイッチング素子70,70・・を含む三相ブリッジ回路部78と、スイッチング素子70,70・・等を制御する制御回路部80を備えている。
【0016】
電源回路部76は、主に制御基板28に配置される部分であって、バッテリ29からバッテリ接続端子27を介して供給される電力の電圧変動を抑制する部分であり、電源リード線82,82と、電源リード線82,82に対して並列に接続された電源平滑用コンデンサ84を有する。
尚、電源リード線82,82には、スイッチレバー8を有するスイッチ86が介装される。各電源リード線82において、スイッチ86と回路基板60の間におけるものを電源リード線82aとし、スイッチ86と端子27との間におけるものを電源リード線82bとする(図2参照)。
【0017】
三相ブリッジ回路部78は、電源平滑用コンデンサ84と並列の状態で電源リード線82,82に接続されており、一対のスイッチング素子70,70の各間から延びる3本の出力線を有していて、当該各出力線は、ブラシレスモータ10のステータ32における対応するコイル56に接続されている。各スイッチング素子70の例として、電界効果型トランジスタ(FET)が挙げられる。
【0018】
制御回路部80は、主に制御基板28に配置される部分であって、各回転検出素子72が発信した信号を受信可能であるように、回転検出信号リード線88,88・・によって各回転検出素子72,72・・と接続されている。各回転検出素子72は、ロータ30の磁極の位置をそれぞれ検出して回転検出信号として発信するものであり、各回転検出信号リード線88は、制御基板28に対して、回路基板60から出力するためのリード線となっている。制御回路部80は、各回転検出素子72から発信されたロータ30の磁極の位置を示す回転検出信号をそれぞれ把握して総合することで、ロータ30の回転状態(基準位置からの回転角度)を取得することが可能である。
そして、制御回路部80は、取得したロータ30の回転状態に応じ(受信した各回転検出信号の状態に応じ)、三相ブリッジ回路部78における各スイッチング素子70,70・・のオン/オフを制御する駆動信号を、各スイッチング素子70,70・・に対し出力する。これらの駆動信号は、制御基板28と回路基板60の間に渡された複数のスイッチング素子駆動リード線90,90・・(図5ではまとめて1つの白矢印で表す)により、制御回路部80から各スイッチング素子70,70・・へ伝えられ、即ち各スイッチング素子駆動リード線90は、これら駆動信号を、回路基板60に入力するためのリード線となっている。これらの駆動信号に応じたスイッチングにより、ステータ32の各コイル56に対し順番に電流を流すことが可能となり、ロータ30の回転が実行されることとなる。
【0019】
電源リード線82,82(電源リード線82a,82a)、回転検出信号リード線88,88・・、及びスイッチング素子駆動リード線90,90・・は、それぞれ円盤状の回路基板60の下部に配置された配線接続部91において、回路基板60の後面より延びる状態で、回路基板60に対し接続されている。
尚、回路基板60における各種の素子やリード線は、リフロー方式等により、表面(回路基板60後面)からの突出量が抑制された状態で実装されている(表面実装、SMT:Surface Mount Technology)。
リフロー方式は、回路基板60へ所定パターンに係るハンダの印刷(あるいはディスペンサによる部品搭載位置への接着剤の塗布)を施し、チップマウンタで各種の素子やリード線の載置を行い、リフロー炉で熱を加えてハンダを溶融し、各種の素子やリード線を固定する、という手順を踏む方式であり、回路基板60に素子等載置用の貫通孔を開ける必要がないし、回路基板60に素子等の足を貫通させて反対側にそれぞれハンダを付ける必要がなくなる。
又、スイッチ86と制御基板28の間には、PWM信号用のフレキシブル基板93が渡されている。
【0020】
他方、ギヤケース24の窪み部の内側において、スピンドル14の後端部14aを受けるスピンドル軸受92が設置されている。
スピンドル14は、その後部であって後端部14aの前側において、中空の円盤状部14bを備えている。円盤状部14bは、スピンドル14の他の部分に対して、外方(上下左右)に突出しており、径が他の部分より長くなっている。
スピンドル14の円盤状部14b内には、遊星歯車機構12の一部が配置されている。
遊星歯車機構12は、内歯を有する内歯ギヤ94と、内歯ギヤ94に噛み合う外歯を有する複数の遊星歯車96,96・・と、各遊星歯車96の軸である各ピン98とを含む。
内歯ギヤ94は、ギヤケース24の前部とハンマケース22の後端縁とが重なっている部位の内側において回転不能に取り付けられている。
各遊星歯車44の大部分及び各ピン46は、スピンドル14の円盤状部14b内に配置される。
スピンドル14の円盤状部14bの前面には、各ピン46の前端部に対応する前ピン孔が複数(ピン46の数だけ)設けられる。又、円盤状部14bの後面には、各ピン46の後端部に対応する後ピン孔が複数設けられる。そして、各ピン46は、前端部を前ピン孔に入れると共に、後端部を後ピン孔に入れた状態で、円盤状部14b内に設けられる。各ピン46は、円盤状部14bの前側とスプリング15後端との間に介装されたワッシャ100により、ハンマ16側へ移動不能に押えられる。
各遊星歯車96は、対応するピン46の周りで回転可能である状態で、ピン46に周設される。各遊星歯車96は、外歯の一部が円盤状部14bから外方へ出るように配置されている。
スピンドル14の内部であって、円盤状部14bの前後には、後面から前方への穴であるスピンドル穴14cが設けられている。スピンドル穴14c内には、ブラシレスモータ10の回転軸30の先端部が入り、回転軸30の先端部のピニオン49は、全ての遊星歯車96と共通して噛み合う歯を有している。
【0021】
ハンマ16は、後面から前方へ筒状に窪む窪み16aを有しており、窪み16aには、スプリング15の前部が入っている。窪み16aの底(前端部)とスプリング15の前端部との間には、複数の小ボール101,101・・が介装されている。
尚、ハンマ16とスピンドル14の前部との間には、打撃時にハンマ16を主に前後方向に案内するボール102,102が介装されている。
【0022】
又、ハンマ16前側のアンビル18は、放射方向にそれぞれ延びる延設部18a,18aを、後端部に有している。
延設部18a,18aの前側には、アンビル18を軸周りに回転自在且つ軸方向に変位不能に支持するアンビル軸受104が設けられている。アンビル軸受104は、ハンマケース22の前端部内壁に取り付けられる。アンビル軸受104の前側には、リング状の弾性体で形成されたオイルシール106が設けられている。
又、アンビル18の後部中央には、後面から前方への穴である後穴18bが開けられており、後穴18bには、回転打撃力を伝達可能な状態で、スピンドル14の前端部が入れられている。
他方、アンビル18の前部には、図示しないビットを受け入れるチャック部18cが設けられている。
チャック部18cの中央部には、ビットの小凹部に対応するチャックボール108,108が、上下に設けられている。
又、チャック部18cの外側は筒状のスリーブ110で覆われており、チャック部18c前部外面とスリーブ110前部内面との間には間隙が形成されていて、その間隙には、ワッシャ112が設けられている。ワッシャ112は、その前面下部に当たる状態でチャック部18cの先端部外面に埋められた止め輪114により係止されている。
尚、本体部4の前部下側(スイッチレバー8の上側)には、照明用のLED116及びそのレンズカバー118が設けられている。
【0023】
このようなインパクトドライバ1の動作例を説明する。
作業者がグリップ部6(ハンドルハウジング26)を把持してスイッチレバー8を引くと、バッテリ29からブラシレスモータ10(駆動回路74)への給電がなされ、制御基板28や回路基板60による制御のもとでロータ30が回転する。
ロータ30の回転力は、内歯ギヤ94内を自転しながら走る遊星歯車96,96・・により減速されたうえで、ピン98,98・・を介し、スピンドル14に伝わる。
スピンドル14は、アンビル18を回転させると共に、アンビル18において所定閾値以上のトルクを受けた場合にハンマ16を前後に揺動(打撃)するように案内する。打撃時には、スプリング15による緩衝作用がハンマ16(やスピンドル14)に働く。
【0024】
以上のインパクトドライバ1では、ステータ32と、ステータ32に対して回転可能なロータ30を有するブラシレスモータ10と、ブラシレスモータ10により駆動される出力部(スピンドル14・ハンマ16・アンビル18)とを有しており、ステータ32に回路基板60を固定し、回路基板60に配線接続部91を設け、ステータ32の外形よりも、回路基板60の外形を小さく構成した。従って、回路基板60をステータ32にしっかりと強度充分に固定することができ、回路基板60や配線接続部91における配線を保護することができる。
又、モータハウジング20と、モータハウジング20より下方に延びるハンドルハウジング26と、モータハウジング26の前方に配置されるギヤケース24と、モータハウジング26の内部に配置され、ステータ32と、ステータ32に対して回転可能であって前後方向に延びる回転軸40を有するロータ30とを有するブラシレスモータ10と、ギヤケース24の内部に配置され、ロータ30の回転を伝達するギヤ(内歯ギヤ94・各遊星歯車96)と、そのギヤの回転が伝達され、ギヤケース24より突出するアンビル18と、を有するインパクトドライバ1であって、ステータ32に回路基板60を固定し、回路基板60に配線接続部91を設け、ステータ32の上下方向の長さよりも、回路基板60の上下方向の長さを小さく構成した。従って、回路基板60をステータ32に強度充分に固定することができ、回路基板60や配線接続部91における配線を保護することができる。
【0025】
更に、回路基板60は、6つのスイッチング素子70,70・・が配置されているので、回路基板60上の多数のスイッチング素子70の何れをも保護した状態とすることができる。
又更に、ステータ32は、ステータコア55と、後絶縁部材54と、コイル56,56・・とを有し、ステータコア55に、後絶縁部材54を介して、コイル56,56・・が巻回されており、回路基板60は、後絶縁部材54にネジ68,68で固定されている。よって、回路基板60等をより一層強固に固定することが可能となる。
又、回路基板60は、後絶縁部材54の後方に配置されており、配線接続部91にはリード線が保持されており、リード線は、回路基板60の後面より延びる。よって、回転軸40先端部が向けられるブラシレスモータ10の前側を避けて回路基板60を配置し、更にブラシレスモータ10と逆側となる後方に配線することができ、ブラシレスモータ10に対する干渉のない配線を容易に行うことができる。
加えて、リード線(各電源リード線82・各回転検出信号リード線88・各スイッチング素子駆動リード線90)は、回路基板60の外周部(下方)を通過する。よって、回路基板60において従来の舌状部がなかったとしても、リード線を障害の少ない状態で適切に配置することができる。
又、回路基板60は、後絶縁部材54の後方に配置されており、配線接続部91にはリード線(各電源リード線82・各回転検出信号リード線88・各スイッチング素子駆動リード線90)が保持されており、これらリード線は、回路基板60の後面より延びる。よって、回路基板60を後絶縁部材54に対し配線接続部91裏側を含めてぴったりと接触させることができ、更に強度の高い状態で回路基板60を固定することができる。
更に、リード線は、コイル56,56・・に電力を供給するための電源リード線82,82と、回路基板60から出力するための回転検出信号リード線88,88・・と、回路基板60に入力するためのスイッチング素子駆動信号リード線90,90・・と、を有し、電源リード線82,82と、回転検出信号リード線88,88・・と、スイッチング素子駆動信号リード線90,90・・とは、回路基板60の下部に固定される。従って、各種リード線を回路基板60の下部にまとめることができ、強度充分に固定された回路基板60における配線をし易いものとすることができる。
尚、ブラシレスモータ10のファン48とファン48以外の部分の間に回路基板60が配置されておらず、回路基板60はファン48と逆側に配置されているので、ブラシレスモータ10の内部を効果的に放熱することができる。
又、リード線が、ブラシレスモータ10外周の内側であって後方に配置される構造であるので、ブラシレスモータ10外周の外側であって後方に配置される構造に比べて、振動の影響を受け難い構造となっている。このため、振動によりリード線において断線等が発生する事態を防止することができる。
【0026】
[第2形態]
図6は第2形態に係るインパクトドライバ201の図2相当図であり、図7は第2形態の図3相当図であり、図8は第2形態の図4相当図である。
第2形態のインパクトドライバ201は、回路基板260ないし各種リード線の配置を除き、第1形態と同様に構成される。以下、第1形態と同様の部材には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0027】
第2形態の回路基板260は、配線接続部291を除き、第1形態の回路基板60と同様に成る。
配線接続部291は、回路基板260の前面の下部に設けられている。尚、スイッチング素子70,70・・や回転検出素子72,72・・は、回路基板260の後面に配置されている。
配線接続部291における、電源リード線82,82と、回路基板260から出力するための回転検出信号リード線88,88・・と、回路基板260に入力するためのスイッチング素子駆動信号リード線90,90・・は、第1形態と同様、回路基板260表面からの突出量(適切な配線に必要な前後方向の長さ)が抑制された状態で接続されている。
配線接続部291の前方には、ブラシレスモータ10の後絶縁部材54下側の凹部58(後絶縁部材54と回路基板260の隙間61)が配置されており、各電源リード線82と、各回転検出信号リード線88と、各スイッチング素子駆動信号リード線90は、当該隙間61を通過して、制御基板28やスイッチ86の方向(下方)へ延ばされている。
尚、外気は、各隙間61を介してブラシレスモータ10へと流入可能となっている。
【0028】
第2形態のインパクトドライバ201においても、ステータ32に回路基板260を固定し、回路基板260に配線接続部291を設け、ステータ32の外形よりも、回路基板60の外形を小さく構成しているので、回路基板260をステータ32にしっかりと強度充分に固定することができ、回路基板260や配線接続部291における配線を保護することができる。
又特に、回路基板260は、後絶縁部材54の後方に配置されており、配線接続部291にはリード線(各電源リード線82・各回転検出信号リード線88・各スイッチング素子駆動リード線90)が保持されており、これらのリード線は、回路基板260の前面より延びるので、ブラシレスモータ10の後方のスペースが少ない場合でも各種リード線を適切に配置することができ、又インパクトドライバ201の本体部4の前後方向長さを短縮化することができてインパクトドライバ201を取り扱い易いものとすることができる。
更に、回路基板260と、後絶縁部材54の間に隙間61を設け、これらのリード線を、隙間61に通過させたので、回路基板260の前側に配線接続部291を設けたうえで回路基板260をステータ32の後側に取り付けたとしても、リード線を挟み込むことなく適切に配することができる。
尚、モータハウジング20の後部に設けられた吸気口34,34・・から流入した外気がリード線に邪魔されることなくブラシレスモータ10に流入できるようになっている。よって、ブラシレスモータ10の冷却効率を良好なものとすることができる。
【0029】
[第3形態]
図9は第3形態に係るインパクトドライバ301の図2相当図であり、図10は第3形態の図3相当図であり、図11は第3形態の図4相当図である。
第3形態のインパクトドライバ301は、ブラシレスモータ310並びに回路基板360及び各種リード線の配置を除き、第1形態と同様に構成される。ただし、モータハウジング20において、第1形態に係る吸気口34,34・・(図1参照)は、本形態(及び後述の第4形態)では排気口となり、第1形態に係る排気口35,35(図1参照)は、本形態(及び後述の第4形態)では吸気口となる。以下、第1形態と同様の部材には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0030】
第3形態のブラシレスモータ310は、ロータ30の前後を第1形態と同様に保ったまま、ステータ332を、第1形態のステータ32に係る前後対称のものに置き換えて形成される。尚、ファン48は、ステータ332の後側であって、後軸受44の前側に配置される。
特に、ステータ332前部の前絶縁部材352は、第1形態の後絶縁部材54の前後対称形状を呈しており、前絶縁部材352の前面には、後方へ窪む凹部358,358・・が形成されている。
又、ステータ332後部の後絶縁部材354は、第1形態の前絶縁部材52の前後対称形状を呈している。
【0031】
他方、第3形態の回路基板360は、前後が逆になることを除き、第1形態の回路基板60と同様に成る。
各スイッチング素子70や各回転検出素子72は、回路基板360の前側に実装されている。
配線接続部391は、回路基板260の前面の下部に設けられている。
【0032】
そして、回路基板360は、ステータ332前部の前絶縁部材352の前面に対し、ネジ68、68等により取り付けられる。
前絶縁部材352には凹部358,358・・が設けられるため、前絶縁部材352前面と回路基板360後面との間には、隙間361,361・・が開けられる。
外気は、各隙間361を介してブラシレスモータ10へと流入可能となっている。
【0033】
第3形態のインパクトドライバ301においても、ステータ332に回路基板360を固定し、回路基板360に配線接続部391を設け、ステータ332の外形よりも、回路基板360の外形を小さく構成しているので、回路基板360をステータ332にしっかりと強度充分に固定することができ、回路基板360や配線接続部391における配線を保護することができる。
又特に、回路基板360は、ステータ332の前方に配置されているので、配線をハウジング2内の中央寄りとすることができ、ブラシレスモータ310の下方や後方のスペースを省略可能としてインパクトドライバ301(の本体部4の後部)をコンパクト化することができる。
【0034】
[第4形態]
図12は第4形態に係るインパクトドライバ401の図2相当図であり、図13は第4形態の図3相当図であり、図14は第4形態の図4相当図である。
第4形態のインパクトドライバ401は、回路基板360及び各種リード線の配置を除き、第3形態と同様に構成される。以下、第3形態と同様の部材には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0035】
第4形態の回路基板460は、配線接続部491を除き、第3形態の回路基板360と同様に成る。
配線接続部491は、回路基板260の後面の下部に設けられている。尚、スイッチング素子70,70・・や回転検出素子72,72・・は、回路基板260の前面に配置されている。
配線接続部491の前方には、ブラシレスモータ310の前絶縁部材352下部の凹部358(前絶縁部材352と回路基板460の隙間361)が配置されており、各電源リード線82と、各回転検出信号リード線88と、各スイッチング素子駆動信号リード線90は、当該隙間361を通過して、制御基板28やスイッチ86の方向(下方)へ延ばされている。
尚、外気は、各隙間361を介してブラシレスモータ10へと流入可能となっている。
【0036】
第4形態のインパクトドライバ401においても、ステータ332に回路基板460を固定し、回路基板460に配線接続部491を設け、ステータ332の外形よりも、回路基板460の外形を小さく構成しているので、回路基板460をステータ332にしっかりと強度充分に固定することができ、回路基板460や配線接続部491における配線を保護することができる。
又特に、回路基板460は、ステータ332の前方に配置されているので、配線をハウジング2内の中央寄りとすることができ、ブラシレスモータ310の下方や後方のスペースを省略可能としてインパクトドライバ301(の本体部4の後部)をコンパクト化することができる。
更に、回路基板460と前絶縁部材352の間に隙間361を設け、リード線(各電源リード線82・各回転検出信号リード線88・各スイッチング素子駆動リード線90)を、隙間361に通過させたので、回路基板460の前側に配線接続部491を設けたうえで回路基板460をステータ32の前側に取り付けたとしても、リード線を挟み込むことなく適切に配することができる。
又、第4形態の回路基板460やリード線の配置においては、第3形態に比べ、リード線を曲げる必要がないので、リード線がより断線し難くなる。
加えて、回路基板60がスイッチ86の上方に配置されている。よって、回路基板60からスイッチ86へのリード線(電源リード線86a,86a)が配置し易くなり、又その接続が容易に行えるようになる。
【0037】
[第1〜第4形態の変更例]
尚、本発明は上記形態に限定されず、例えば次のような変更を適宜施すことができる。
配線接続部を、回路基板の下端縁以外の部分(例えば左端縁、右端縁、あるいは上端縁)に設ける。3種類のリード線の内の1種類あるいは2種類を、残りの種類から分離し、回路基板の他の部分において接続する。又は、各種類をそれぞれ別の箇所に接続する。配線を、回路基板の側方を始めとする下部以外の、例えば上方・右方・左方等の外周において行う。
ステータの上下方向の長さより回路基板の上下方向の長さを小さくしながら、ステータの左右方向の長さより回路基板の左右方向の長さを大きくする。この場合でも、回路基板は上下方向にははみ出さないから、ステータに回路基板を強固に固定することができる。
ステータに対して、回路基板を、爪とその係止部による係止により固定する。ステータや回路基板における、孔や小切欠きと小突起を省略する。又、ネジや爪や小突起等の数を増減する。
ステータと回路基板の間の隙間につき、回路基板側に凹部を設けることで形成しても良いし、双方に凹部を設けることで形成しても良いし、少なくとも何れかに凸部を設けることで形成しても良い。
各種のリード線の配置を様々に変更することができ、例えば2本の電源リード線を左右に分割して配置する(1本を右方に配置すると共にもう1本を左方に配置する等)ことができる。
又、第2形態等において、側方や上方に配置される隙間に各種のリード線を通すようにしても良い。
ハウジングの区分の数や、各種素子・コイル又は遊星歯車の設置数、リード線の種類の数や設置数、あるいは磁石の極数を増減したり、スイッチレバーのスイッチの形式を変更したり、各種素子の種類を変更したりする等、各種部材の数や配置、材質、大きさ、形式、種類等を適宜変更することができる。
又、インパクトドライバ以外の他の回転打撃工具、あるいは他の打撃工具、又は他の電動工具に、本発明を適用する。
【符号の説明】
【0038】
1,201,301,401・・インパクトドライバ(電動工具)、10,310・・ブラシレスモータ、14・・スピンドル、16・・ハンマ、18・・アンビル、20・・モータハウジング、22・・ハンマケース、24・・ギヤケース、26・・ハンドルハウジング、30・・ロータ、32,332・・ステータ、40・・回転軸、52,352・・前絶縁部材(絶縁部材)、54,354・・後絶縁部材(絶縁部材)、56・・コイル、60,260,360,460・・回路基板、61,361・・隙間、68・・ネジ、70・・スイッチング素子、82・・電源リード線(リード線)、88・・回転検出信号リード線(リード線)、90・・スイッチング素子駆動リード線(リード線)、91,291,391,491・・配線接続部、94・・内歯ギヤ、96・・遊星歯車。
図1
図2
図3
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