(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016614
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ポリマーフォームの膨張を測定する方法および前記方法において使用するための装置
(51)【国際特許分類】
C08J 9/08 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
C08J9/08CEV
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-279237(P2012-279237)
(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公開番号】特開2013-136751(P2013-136751A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】61/579,199
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】セス トーマス スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ポール アール.バン リーネン
【審査官】
佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公告第01389922(GB,A)
【文献】
特開昭48−012354(JP,A)
【文献】
特開2007−313794(JP,A)
【文献】
米国特許第05725814(US,A)
【文献】
特開平08−304034(JP,A)
【文献】
特開平07−128023(JP,A)
【文献】
特表2010−506770(JP,A)
【文献】
特開2004−130786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29C 67/20 − 67/24
B29D 30/00 − 30/72
C08J 9/00 − 9/42
G01B 5/00 − 5/30
G01B 11/00 − 11/30
G01B 21/00 − 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーフォームの膨張を測定する方法であって、
1種または複数の発泡剤を含む自由発泡性ポリマー配合物を押出すステップと、
押出した配合物を直角形ダイの中に供給して、ダイの出口にフォーム前部を有する成形フォームを製造するステップと、
ダイノズルで成形フォームの厚さを測定するステップであって、レーザーと、モータードライブによって駆動する垂直ポジショナーとを備え、前記レーザーが、前記レーザーの垂直位置の調節を可能にする前記垂直ポジショナーに付属しているレーザー式厚さ測定器を使用して測定するステップと、
レーザーが、ダイから出るフォーム前部の垂直変位速度に等しい垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を調節するステップと、
フォームの厚さを記録するステップと
を含み、成形フォームの厚さを測定する前記ステップを、xが0.05から0.15としてx秒毎に繰り返し、前記厚さを時間の関数として記録する、方法。
【請求項2】
時間の関数としてのフォームの厚さから、最大フォーム厚さを決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
自由発泡性ポリマー配合物が塩化ポリビニルおよび1種または複数の発泡剤を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ダイが円形、楕円形、正方形および長方形からなる群から選択される形状である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
フォーム前部の位置を時間の関数として測定するステップと、フォーム前部の垂直変位速度を決定するステップと、レーザーが、決定したフォーム前部の垂直変位速度と同じ垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を自動的に調節するステップとをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
フォームの直径の平方をダイノズルの直径の平方で割って求めたフォームの膨張が、1から50である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリマーフォームの断面膨張比が1から50である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置であって、
発泡ポリマー配合物を押出し、成形することにより成形フォームを生成する押出機であって、ダイノズルを備えた直角形ダイを含む押出機と、
垂直位置決め機器に付属し、ダイノズルでまたはその近くで成形フォームの厚さを測定するためのレーザー式測定ヘッドと、
前記レーザー式測定ヘッドの垂直変位を調節することにより、ダイから出るフォームの垂直変位速度と前記レーザー式測定ヘッドの垂直変位速度を同期させるための垂直ポジショナーに付属するモータードライブユニットと、
モータードライブユニットの速度を制御する手段と、
成形フォームの厚さを時間の関数として記録する記録機器と
を含む装置。
【請求項9】
成形フォームの前部の垂直位置を時間の関数として測定するセンサと、成形フォームの前部の垂直変位速度を決定する手段と、成形フォームの前部の垂直変位を決定する前記手段およびモータードライブユニットを制御する手段間の制御ループとをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーフォームの膨張を測定する方法および前記方法において使用するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ポリマー製品の作製は、手順が非常に困難であり、辛うじて制御されている。多くの因子が、このプロセスを制御された状態に保つ上で関与している。例えば、PVC発泡製品の場合、係る因子としては、PVC K値、使用する加工助剤、潤滑剤の種類およびレベル、ならびに化学発泡剤の素性が挙げられる。試験添加剤を含有するポリマー配合物の膨張プロファイルおよびレベルの予測は、発泡ポリマー製品の製造を制御する上で有用と思われる。現在利用可能な方法は、一時点だけのフォーム膨張しかもたらさない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Plastic Additives Handbook,eds.R.Gachter,H.Muller,and P.P.Klemchuk,Hanser Gardner Publishers,Cincinnati,1996,Ch.16
【非特許文献2】ttp://en.wikipedia.org/wiki/Control_loop
【非特許文献3】www.en.wikipedia.org/motor controller
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ポリマーフォームの膨張を測定する方法およびその方法において使用するための装置である。
【0005】
一実施形態において、本発明は、ポリマーフォームの膨張を測定する方法であって、1種または複数の発泡剤を含む自由発泡性ポリマー配合物を押出すステップと、押出した配合物を直角形ダイの中に供給して、ダイの出口にフォーム前部を有する成形フォームを製造するステップと、ダイノズルで成形フォームの厚さを測定するステップであって、レーザーと、モータードライブによって駆動する垂直ポジショナーとを備え、前記レーザーが、前記レーザーの垂直位置の調節を可能にする前記垂直ポジショナーに付属しているレーザー式厚さ測定器を使用して測定するステップと、レーザーが、ダイから出るフォーム前部の垂直変位速度に等しい垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を調節するステップと、フォームの厚さを記録するステップとを含み、成形フォームの厚さを測定するステップを、xが0.05から0.15として、x秒毎に繰り返し、厚さを時間の関数として記録する、前記方法を提供する。
【0006】
代替の実施形態では、本発明は、ポリマーの自由なフォーム膨張を測定する装置であって、発泡ポリマー配合物を押出し、成形することにより成形フォームを生成する押出機であって、ダイノズルを備えた直角形ダイを含む前記押出機と、ダイノズルでまたはその近くで、成形フォームの厚さを測定するための垂直位置決め機器に付属するレーザー式測定ヘッドと、レーザー式測定ヘッドの垂直変位を調節してダイから出るフォームの垂直変位速度とレーザー式測定ヘッドの垂直変位速度を同期させる垂直ポジショナーに付属するモータードライブユニットと、モータードライブユニットの速度を制御する手段と、成形フォームの厚さを時間の関数として記録する記録機器とを含む前記装置をさらに提供する。
【0007】
代替の実施形態において、本発明は、成形フォームの厚さを測定するステップを少なくとも100回繰り返すこと以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0008】
代替の実施形態において、本発明は、方法が、時間の関数としてのフォームの厚さから最大フォーム厚さを決定するステップをさらに含むこと以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0009】
代替の実施形態において、本発明は、自由発泡性ポリマー配合物が塩化ポリビニルおよび1種または複数の発泡剤を含む以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0010】
代替の実施形態において、本発明は、ダイが円形、楕円形、正方形および長方形からなる群から選択される形状である以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0011】
代替の実施形態において、本発明は、方法が、フォーム前部の位置を時間の関数として測定するステップと、フォーム前部の垂直変位速度を決定するステップと、レーザーが、決定したフォーム前部の垂直変位速度と同じ垂直変位速度で動くようにモータードライブの速度を自動的に調節するステップとをさらに含む以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0012】
代替の実施形態において、本発明は、ダイの開口部が円形である場合に、フォームの直径の平方をダイノズルの直径の平方で割って求めた場合、フォームの膨張が1から50である以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0013】
代替の実施形態において、本発明は、装置が、成形フォームの前部の垂直位置を時間の関数として測定するセンサと、成形フォーム前部の垂直変位速度を決定する手段と、成形フォーム前部の垂直変位を決定する手段およびモータードライブユニットを制御する手段間の制御ループとをさらに含む以外はすべて前記実施形態に従う、ポリマーフォームの膨張を測定する方法、およびポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、本質的に、1種または複数の発泡剤を含む自由発泡性ポリマー配合物を押出すステップと、押出した配合物を直角形ダイの中に供給して、ダイの出口にフォーム前部を有する成形フォームを製造するステップと、ダイノズルで成形フォームの厚さを測定するステップであって、レーザーと、モータードライブによって駆動する垂直ポジショナーとを備え、前記レーザーが、前記レーザーの垂直位置の調節を可能にする前記垂直ポジショナーに付属しているレーザー式厚さ測定器を使用して測定するステップと、レーザーが、ダイから出るフォーム前部の垂直変位速度に等しい垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を調節するステップと、フォームの厚さを記録するステップとからなるポリマーフォームの膨張を測定する方法であって、成形フォームの厚さを測定するステップを、xが0.05から0.15として、x秒毎に繰り返し、厚さを時間の関数として記録する方法を提供する。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、本質的に、発泡ポリマー配合物を押出し、成形することにより成形フォームを生成する押出機であって、ダイノズルを備えた直角形ダイを含む前記押出機と、ダイノズルでまたはその近くで、成形フォームの厚さを測定するための垂直位置決め機器に付属するレーザー式測定ヘッドと、レーザー式測定ヘッドの垂直変位を調節してダイから出るフォームの垂直変位速度とレーザー式測定ヘッドの垂直変位速度を同期させる垂直ポジショナーに付属するモータードライブユニットと、モータードライブユニットの速度を制御する手段と、成形フォームの厚さを時間の関数として記録する記録機器とからなるポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置を提供する。
【0016】
本発明を説明するために、代表的な形を図に示すが、本発明が図示される厳密な配列および手段に制限されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】3種の異なる混合吸熱性/発熱性発泡剤を使用したPVC配合物についての、断面膨張比対時間のグラフである。
【
図3】3種の異なる吸熱性発泡剤を使用したPVC配合物についての、断面膨張比対時間のグラフである。
【
図4】3種の異なる発熱性発泡剤を使用したPVC配合物についての、断面膨張比対時間のグラフである。
【
図5】3種の異なる発泡剤を使用したPVC配合物についての、断面膨張比対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ポリマーフォームの膨張を測定する方法および前記方法において使用するための装置である。
【0019】
本発明によるポリマーフォームの膨張を測定する方法は、1種または複数の発泡剤を含む自由発泡性ポリマー配合物を押出すステップと、押出した配合物を直角形ダイの中に供給して、ダイの出口にフォーム前部を有する成形フォームを製造するステップと、ダイノズルで成形フォームの厚さを測定するステップであって、レーザーと、モータードライブによって駆動する垂直ポジショナーとを備え、前記レーザーが、前記レーザーの垂直位置の調節を可能にする前記垂直ポジショナーに付属している非接触式測定器を使用して測定するステップと、レーザーが、ダイから出るフォーム前部の垂直変位速度に等しい垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を調節するステップと、フォームの厚さを時間の関数として記録するステップとを含むが、成形フォームの厚さを、xが0.05から0.15として、x秒毎に測り、厚さを時間の関数として記録する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「ダイノズルで」は、ダイノズルから0からの1mmの位置を意味する。
【0021】
自由発泡性ポリマー配合物の押出は、押出機に成形フォームを成形するための直角形ダイが付いているという条件で、任意の適切な押出機を用いて実現できる。このような押出機として、例えば、単軸および多軸押出機が挙げられる。押出ステップにおいて使用するのに適した押出機の一つは、HAAKE POLYLAB円錐型二軸押出機である。
【0022】
本明細書で使用される場合、自由発泡性ポリマー配合物は、ダイから出ると自由に膨張/発泡する任意のポリマー配合物を含む。このようなポリマー配合物の例として、スチレン化ポリマー、アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、塩化ポリビニル(PVC)、塩素化PVC、およびフルオロポリマーからなる群から選択されるポリマーならびに1種または複数の物理的または化学発泡剤が挙げられる。化学発泡剤は、熱分解するとガスを放出する様々な化学発泡剤のいずれでもよい。発泡剤または助剤の混合物は、アゾ基、N−ニトロソ基、カルボキシレート基、炭酸塩基、複素環窒素含有基およびスルホニルヒドラジド基などの分解可能な基を含む化学薬品から選択することができる。一般的に、これらは、化学反応によって加熱されたとき、または分解すると、ガス(複数可)を発生する固体材料である。代表的な化合物として、Plastic Additives Handbook,eds.R.Gachter,H.Muller,and P.P.Klemchuk,Hanser Gardner Publishers,Cincinnati,1996,Ch.16で述べられているように、アゾジカーボンアミドおよび誘導体、重炭酸塩、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド、テトラゾール、ベンズオキサジン、およびボロハイドレート(borohydrates)が挙げられる。これらの発泡剤の例は:アゾジカーボンアミド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3−ジスルホヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾール、イサト酸無水物、重炭酸ナトリウム、および水素化ホウ素ナトリウムである。さらに、発泡は、押出機に注入される物理的発泡剤によって発生し得る。典型的な物理的発泡剤として、液化炭酸ガス、窒素、炭化水素、塩素化フッ化炭素、ハイドロクロロフルオロカーボンおよび水が挙げられる。
【0023】
押出機に取り付けられ、成形フォームの成形に使用される直角形ダイは、任意の適切な開口部またはノズルの形状を有し得る。このような断面の形状には、例えば、円形、楕円形、正方形および長方形が含まれ得る。押出したポリマー配合物はダイを出て、これによりダイ開口部の断面形状を呈する。開口部が円形のダイの例では、成形フォームの厚さは、得られた円形の成形フォームの直径に相当する。開口部が正方形のダイの例では、成形フォームの厚さは、正方形の成形フォームの一辺の長さに相当する。開口部が楕円形のダイの例では、成形フォームの厚さは、楕円形の短軸または長軸のいずれかに相当し得る。同様に、開口部が長方形のダイの例では、成形フォームの厚さは、長方形の短辺または長辺のいずれかに相当し得る。多軸厚さ測定器を使用して、すべての軸領域を同時に測定することもできる。このようにして、任意のダイ形状についての断面膨張比(あらゆる時点での断面積をダイ開口部の断面積で割る)を決定することができる。
【0024】
レーザーを、ダイを出るフォーム前部の垂直変位速度と同じ垂直変位速度で動かすための、モータードライブ速度の調節は、手動で実現できる、または自動化できる。手動による調節の場合、レーザーの垂直変位速度とダイを出るフォーム前部の垂直変位速度のいずれかまたは両方は、手動でモニターすることができる。この場合、垂直モータードライブは、フォームがレーザー式測定器の底と均等になる時点で開始させる。可変単巻変圧器(例えば、VARIAC)によって手動で速度を調節することにより、フォーム前部がレーザー機器の底と均等である状態が維持される。これは普通、変圧器の調節を2または3回行うことによってできる。同様に、自動調節の場合、レーザーの垂直変位速度とダイを出るフォーム前部の垂直変位速度のいずれかまたは両方は、当技術分野で周知の電子機器および/またはセンサによって自動的にモニターすることができる。例えば、フォーム前部の垂直速度およびレーザーの垂直速度は、別個のレーザードップラー速度計によって測定でき、両速度は制御ループによって同期させることができる。レーザードップラー速度計などの任意のタイプの非接触式速度計を使用して、成形フォーム前部の垂直速度を測定することができる。典型的なレーザードップラー速度計として、POLYTECH(Irvine、CA)およびZUMBACH ELECTRONIC AG(Orpund、Switzerland)から入手可能な速度計が挙げられる。
【0025】
成形フォーム前部の厚さ測定を複数回、ダイを出てから少なくとも膨張が最大に達する時点までの時間帯にわたって行う。各測定は、0.05秒毎から0.15秒毎までの間隔で行うことができる。測定にかける時間は合計1秒から10分の範囲であってもよい。
【0026】
0.05秒から0.15秒までのすべての個々の値および部分的範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示されている。例えば、厚さ測定は、0.05、0.07、0.09、0.11または0.13秒毎の下限から、0.07、0.09、0.11、0.13または0.15秒の上限まで行われ得る。例えば、厚さは、0.05から0.15秒毎までの範囲、または別法では0.07から0.13秒毎まで、または別法では0.09から0.11秒までの範囲の間隔で測定してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、本方法は、時間の関数としてのフォームの厚さからフォームの膨張速度を計算するステップをさらに含む。本方法では時間の関数として厚さを多数回測定するので、フォームの膨張速度は、所定の時間にわたる厚さの変化を所定の時間で割ることによって容易に計算することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、成形フォームの厚さを測定する方法は、少なくとも100回繰り返される。
【0029】
本方法の一実施形態において、自由発泡性ポリマー配合物は、塩化ポリビニルおよび1種または複数の発泡剤を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、本方法は、フォーム前部の位置を時間の関数として測定するステップと、フォーム前部の垂直変位速度を計算するステップと、レーザーが、算出したフォーム前部の垂直変位速度と同じ垂直変位速度で動くようにモータードライブの速度を自動的に調節するステップとをさらに含む。例えば、フォーム前部の垂直速度およびレーザーの垂直速度は、別個のレーザードップラー速度計によって測定でき、両速度は、制御ループによって同期させることができる。制御ループおよびその構成要素は周知であり、その例はttp://en.wikipedia.org/wiki/Control_loopで説明され、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明の方法のいくつかの実施形態において、フォームの直径の平方をダイ開口部の直径の平方で割って求めた場合、フォームの膨張は1から50である。1から50までのすべての個々の値および部分的範囲は、本明細書に含まれ、本明細書で開示されている。例えば、フォームの膨張は、1、10、20、30または40の下限から、10、20、30、40または50の上限までであってもよい。例えば、フォームの膨張は1から50の範囲であってもよく、または別法ではフォームの膨張は10から40の範囲であってもよい。
【0032】
代替の実施形態において、本発明は、発泡ポリマー配合物を押出し、成形して成形フォームを生成する押出機であって、ダイノズルを備えた直角形ダイを含む前記押出機と、ダイノズルでまたはその近くで、成形フォームの厚さを測定するための垂直位置決め機器に付属するレーザー式測定ヘッドと、レーザー式測定ヘッドの垂直変位を調節してダイを出るフォームの垂直変位の速度とレーザー式測定ヘッドの垂直変位の速度を同期させるための垂直位置決め機器に取り付けられているモータードライブユニットと、モータードライブユニットの速度を制御する手段と、成形フォームの厚さを時間の関数として記録する記録機器とを含む、本発明の方法で有用な装置をさらに提供する。
【0033】
本発明の装置の実施形態において有用な押出機およびダイは、上記のものが挙げられる。垂直ポジショナーは、単位品を垂直に変位させるための任意の機構であってもよい。例えば、垂直ポジショナーは、ブラシ付きDCモーター(例えば電気ドリルまたはステッパーモーター)などの回転機器を含むモータードライブユニットによって回転するねじ棒を含んでもよい。
【0034】
装置において有用なレーザー式測定ヘッドは、成形フォーム上にレーザーを投射する機器であり、投影は電子的に検出され、電気信号に変換される。二次元以上が同時に測定される二軸または三軸のヘッドを有することも可能である。代替の機器は、2つ以上のレーザーを使用して、三角測量によって厚さを測定する。
【0035】
モータードライブを制御する手段は、例えば加減抵抗器および可変単巻変圧器など、モータードライブの速度を調節する任意の方法および/または機器を含んでもよい。電気モーターの速度を制御する様々な機器の説明は、www.en.wikipedia.org/motor controllerで見ることができる。
【0036】
図1を参照すると、本発明の方法において有用な装置の一実施形態が示されている。ポリマーのフォーム膨張を測定するための装置が示されている。装置は、押出機10、ダイノズル14を備えた直角形ダイ12を含む。ポリマーは、押出機10において押出され、直角形ダイ12およびダイノズル14を通過する。ダイノズル14を出ると、成形フォーム16はダイノズル14の形状を呈している。レーザー式測定ヘッド18は、垂直ポジショナー20に付属している。垂直ポジショナー20は、モータードライブ22によって駆動する。
図1に示すように、モータードライブを制御する手段は、VARIAC24である。
図1に示す記録機器は、入力用ケーブル28を必要とするコンピューター26である。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は本発明を例示するが、本発明の範囲を制限することを意図していない。
【0038】
典型的な方法で使用した機材は、直角形ダイを備えたHAAKE POLYLAB円錐型二軸押出機(THERMO FISHER SCIENTIFIC,INC.から入手可能)であった。表1に押出機のゾーン設定を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
典型的方法で用いた自由発泡性ポリマー配合物は、表2に示す組成を有するPVCフォームマスターバッチ(MB1)であった。全試験において一定に保たれていた加工助剤(SURECEL T−55(The Dow Chemical Companyから入手可能、10PHR)および発泡剤は、押出す前にマスターバッチと袋内で混合した。表3は、様々な典型的方法において使用した化学発泡剤のリストを含む。ZUMBACH ODACレーザー計測器(すなわち、レーザー式測定ヘッド)を備えたZUMBACH USYS IPC−1コントローラー(ZUMBACH ELECTRONIC AG、Orpund、Switzerlandから入手可能)を使用して成形フォームの厚さを測定した。
【0041】
【表2】
【0042】
ZUMBACH ODACレーザー計測器は、成形フォームに平行して動くスタンドにねじ込み支持材を介して取り付けられていた。VARIAC単巻変圧器によって制御される回転ドリルを使用して、ねじ込み支持材に取り付けられたレーザー計測器の上げ下げをした。回転ドリルの速度は、VARIACを調節することによって成形フォームの線形出力に適合させた。
【0043】
成形フォームの中心を高膨張側の試料に、より適合させるために、テフロン(登録商標)の一部分をマジックテープ(登録商標)でレーザー計測器の底に取り付けた。このような任意選択によるマジックテープ(登録商標)を
図1の要素30に示す。成形フォームの厚さの測定値を0.1秒毎に集めた。厚さの測定値をZUMBACHコントローラーから集め、グラフ化し、Excelソフトウェアを使用して解析した。
【0044】
【表3】
【0045】
下に定義した断面膨張比(CSER)に同調する最大厚さおよび最大厚さまでの時間、ならびに密度の各値を記録した。密度値は、ASTM規格D792「密度と変位によるプラスチックの比重(相対密度)の標準試験方法」にしたがって得た。最大厚さの値を表4に示す。断面膨張比(CSER)は、以下の式で定義される単位のない測定値である。
【0046】
【数1】
式中、D
tは、時間tにおける成形フォームの直径であり、D
oは、ダイノズルの直径である。グラフを異なる種類の発泡剤に分け(発熱(Exo)、吸熱(Endo)、混合したEndoおよびExo)、比較のために実験試料1のプロットを全グラフに入れた。
図2〜5は、表3に示す各発泡剤を用いたポリマー配合物の試料についての膨張曲線を説明している。
【0047】
図2は、フォームがダイ開口部から出た後における、発熱性成分および吸熱性成分の混合物からなる化学発泡剤を含有するPVC組成物の断面膨張比を時間の関数として示す。各発泡剤種の有益な特性の組み合わせのために、このような混合exo/endo発泡剤は、PVCフォーム中に見出される最も一般的な発泡剤である。
【0048】
図2は、発熱性および吸熱性の発泡剤の混合物が相対的に高度な膨張と共に迅速な膨張をもたらすことを示す。TRAMACO TSE3140は、膨張の初期部分でやや緩やかな傾きを有する。
【0049】
図3に示すように、吸熱性発泡剤は、ExoおよびEndoの混合物からなる発泡剤よりかなり高度な最大膨張を有する。吸熱性試料は全体的にかなり高い膨張を示す一方、初期の膨張比は発熱性材料を含有する化合物よりかなり低く、密度はやや高めである。
【0050】
図4は、参照のための、発熱性発泡剤と実験試料1との比較を示す。全体の膨張は実験試料1より低いが、初期膨張比は同じくらいである。K−198は、HRVP01より高い膨張をもたらし、これはより多くのガス発生回数(221cc/g対190cc/g)に相当する。
【0051】
図5は、一グラフ中の各種発泡剤のうち最高のものを示し、そのため膨張特性の直接的な比較を見ることができる。
【0052】
【表4】
【0053】
本発明は、その趣旨および本質的な特質から逸脱することなく、他の形態に具現化でき、したがって本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書よりも添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
なお、本発明には、以下の態様が含まれる。
[1]
ポリマーフォームの膨張を測定する方法であって、
1種または複数の発泡剤を含む自由発泡性ポリマー配合物を押出すステップと、
押出した配合物を直角形ダイの中に供給して、ダイの出口にフォーム前部を有する成形フォームを製造するステップと、
ダイノズルで成形フォームの厚さを測定するステップであって、レーザーと、モータードライブによって駆動する垂直ポジショナーとを備え、前記レーザーが、前記レーザーの垂直位置の調節を可能にする前記垂直ポジショナーに付属しているレーザー式厚さ測定器を使用して測定するステップと、
レーザーが、ダイから出るフォーム前部の垂直変位速度に等しい垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を調節するステップと、
フォームの厚さを記録するステップと
を含み、成形フォームの厚さを測定する前記ステップを、xが0.05から0.15としてx秒毎に繰り返し、前記厚さを時間の関数として記録する、方法。
[2]
時間の関数としてのフォームの厚さから、最大フォーム厚さを決定するステップをさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]
自由発泡性ポリマー配合物が塩化ポリビニルおよび1種または複数の発泡剤を含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
ダイが円形、楕円形、正方形および長方形からなる群から選択される形状である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
フォーム前部の位置を時間の関数として測定するステップと、フォーム前部の垂直変位速度を決定するステップと、レーザーが、決定したフォーム前部の垂直変位速度と同じ垂直変位速度で動くように、モータードライブの速度を自動的に調節するステップとをさらに含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
フォームの直径の平方をダイノズルの直径の平方で割って求めたフォームの膨張が、1から50である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
ポリマーフォームの断面膨張比が1から50である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
ポリマーの自由なフォーム膨張を測定するための装置であって、
発泡ポリマー配合物を押出し、成形することにより成形フォームを生成する押出機であって、ダイノズルを備えた直角形ダイを含む押出機と、
垂直位置決め機器に付属し、ダイノズルでまたはその近くで成形フォームの厚さを測定するためのレーザー式測定ヘッドと、
前記レーザー式測定ヘッドの垂直変位を調節することにより、ダイから出るフォームの垂直変位速度と前記レーザー式測定ヘッドの垂直変位速度を同期させるための垂直ポジショナーに付属するモータードライブユニットと、
モータードライブユニットの速度を制御する手段と、
成形フォームの厚さを時間の関数として記録する記録機器と
を含む装置。
[9]
成形フォームの前部の垂直位置を時間の関数として測定するセンサと、成形フォームの前部の垂直変位速度を決定する手段と、成形フォームの前部の垂直変位を決定する前記手段およびモータードライブユニットを制御する手段間の制御ループとをさらに含む、[8]に記載の装置。
【符号の説明】
【0054】
10 押出機
12 直角形ダイ
14 ダイノズル
16 成形フォーム
18 レーザー式測定ヘッド
20 垂直ポジショナー
22 モータードライブユニット
24 VARIAC
26 コンピューター
28 入力用ケーブル
30 要素