特許第6016621号(P6016621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016621
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】清掃具のジョイント構造
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/24 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   A47L13/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-282393(P2012-282393)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-124300(P2014-124300A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】野田 幸男
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−054340(JP,A)
【文献】 実開平05−013349(JP,U)
【文献】 実開昭63−003363(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/100845(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0240068(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃ヘッドと柄とを含む清掃具において、前記柄を前記清掃ヘッドに対して前後方向及び左右方向に回転可能に連結する清掃具のジョイント構造であって、
前記清掃ヘッドの上面から突出して設けられた二股状のヘッド側ヨーク部と、前記柄の下端部に設けられた二股状の柄側ヨーク部とを、中心軸が直交する第1回動軸心部と第2回動軸心部とを備える連結部材を介して連結することで、前後方向及び左右方向に回転可能なジョイント部が形成されており、
前記ヘッド側ヨーク部を構成する一対のヨーク突部の、間隔をおいて配置された各対向面に、ピン孔が形成されており、
前記連結部材は、一対の単位連結部材からなり、一方の単位連結部材は、前記一対のヨーク突部の一方の前記ピン孔に回転可能に差し込まれる、前記第1回動軸心部となるピン突起を備え、他方の単位連結部材は、前記一対のヨーク突部の他方の前記ピン孔に回転可能に差し込まれる、前記第1回動軸心部となるピン突起を備えると共に、各々の単位連結部材は、前記一対のヨーク突部の間の部分で互いに重ね合される重合せ係合面を備えており、
前記重合せ係合面を重ね合わせて前記一対の単位連結部材が前記連結部材として一体化された状態で、前記一対のヨーク突部の間の部分の上方に前記第2回動軸心部が配置されており、
前記一対のヨーク突部の間の部分の上方に配置された前記第2回動軸心部を介して、前記柄側ヨーク部を回転可能に連結させている清掃具のジョイント構造。
【請求項2】
前記連結部材は、各々の前記単位連結部材の前記ピン突起を前記一対のヨーク突部の前記ピン孔に各々挿入してから、前記一対の単位連結部材の前記重合せ係合面を重ね合わせて一体化することで、前記ピン突起による前記第1回動軸心部を介して前記ヘッド側ヨーク部を回転可能に連結させている請求項1記載の清掃具のジョイント構造。
【請求項3】
前記重合せ係合面は、前記ピン突起の軸方向と平行な面として形成されている請求項1又は2記載の清掃具のジョイント構造。
【請求項4】
前記一対の単位連結部材は、同じ形状となるように成形された部材となっている請求項1〜3のいずれか1項記載の清掃具のジョイント構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具のジョイント構造に関し、特に柄を清掃ヘッドに対して回転可能に連結する清掃具のジョイント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば床面の清掃を行う清掃具として、モップや清掃シート等が取り付けられる清掃ヘッドと、清掃ヘッドの上面にジョイント部を介して回転可能に連結された柄とからなる清掃具が種々知られている。これらの清掃具は、清掃ヘッドに対して柄を前後方向に回転させるのみならず、左右方向にも回転可能となっているものが一般的であり、これによって清掃ヘッドの清掃面を任意の方向に向けながら、床面等の被清掃面の清掃を効率良く行うことが可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、柄を清掃ヘッドに対して前後方向及び周方向にも回転可能とするジョイント部の構造としては、例えば清掃ヘッドの上面中央部分に設けられた二股状のヘッド側ヨーク部と、柄の下端部に設けられた二股状の柄側ヨーク部とを、中心軸が直交する第1回動軸心部と第2回動軸心部とを備える連結部材を介して連結したものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−252230号公報
【特許文献2】特表2000−500677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の清掃具では、二股状のヘッド側ヨーク部に、連結部材の第1回動軸心部を連結するための連結構造は、例えばヘッド側ヨーク部を構成する一対のヨーク突部の各々の対向面に形成されたピン孔に、連結部材の両側の側部から突出して設けられた第1回動軸心部となる一対のピン突起を、ヨーク突部の弾性変形を利用してこれらの間隔を拡げるようにしながら、連結部材を無理押しして押し込んで、回転可能に嵌め込み係合させるものとなっている。このため、連結部材の無理押しが困難にならないように、ピン突起の突出長さを抑制したり、ヨーク突部を弾性変形させ易くする必要があることから、ピン孔へのピン突起の嵌め込み状態が甘くなって、例えば床面等を清掃する際に、清掃ヘッドが家具等に衝突して大きな負荷が掛かると、ヘッド側ヨーク部が連結部材から外れ易くなる。
【0006】
一方、ヘッド側ヨーク部のヨーク突部を、清掃ヘッドの上面に沿ってスライド移動可能に取り付けて、ピン突起の突出長さを長くしても、ヨーク突部をスライド移動させることでピン突起をピン孔に容易に差し込めるようにして、ヘッド側ヨーク部を連結部材から外れ難くした連結構造も開発されているが(例えば、特許文献2参照)、スライドレールが設けられた清掃ヘッドの構成や、スライド移動させたヨーク突部を安定した状態で固定するための構成が複雑になる。
【0007】
本発明は、簡易な構成によって、連結部材のピン突起によるヨーク突部のピン孔への差込み長さを十分に確保して、清掃ヘッドと連結部材との強固且つ安定した連結状態を得ることのできる清掃具のジョイント構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、清掃ヘッドと柄とを含む清掃具において、前記柄を前記清掃ヘッドに対して前後方向及び左右方向に回転可能に連結する清掃具のジョイント構造であって、前記清掃ヘッドの上面から突出して設けられた二股状のヘッド側ヨーク部と、前記柄の下端部に設けられた二股状の柄側ヨーク部とを、中心軸が直交する第1回動軸心部と第2回動軸心部とを備える連結部材を介して連結することで、前後方向及び左右方向に回転可能なジョイント部が形成されており、前記ヘッド側ヨーク部を構成する一対のヨーク突部の、間隔をおいて配置された各対向面に、ピン孔が形成されており、前記連結部材は、一対の単位連結部材からなり、一方の単位連結部材は、前記一対のヨーク突部の一方の前記ピン孔に回転可能に差し込まれる、前記第1回動軸心部となるピン突起を備え、他方の単位連結部材は、前記一対のヨーク突部の他方の前記ピン孔に回転可能に差し込まれる、前記第1回動軸心部となるピン突起を備えると共に、各々の単位連結部材は、前記一対のヨーク突部の間の部分で互いに重ね合される重合せ係合面を備えており、前記重合せ係合面を重ね合わせて前記一対の単位連結部材が前記連結部材として一体化された状態で、前記一対のヨーク突部の間の部分の上方に前記第2回動軸心部が配置される清掃具のジョイント構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清掃具のジョイント構造によれば、簡易な構成によって、連結部材のピン突起によるヨーク突部のピン孔への差込み長さを十分に確保して、清掃ヘッドと連結部材との強固且つ安定した連結状態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具のジョイント構造を採用した清掃具を説明する要部斜視図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具のジョイント構造の構成を説明する分解斜視図である。
図3】連結部材を構成する一対の単位連結部材の構成を説明する斜視図である。
図4】連結部材の斜視図である。
図5】連結部材にヘッド側ヨーク部を連結させた状態の斜視図である。
図6】連結部材を介してヘッド側ヨーク部と柄側ヨーク部とを連結した状態を示す、図1のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具のジョイント構造10は、例えば図1に示す清掃ヘッド11と柄12とからなる清掃具13において、清掃ヘッド11と柄12とを回転可能に連結するジョイント部14の構造として採用されたもである。清掃具13は、清掃ヘッド11の底面の清掃面15を覆って着脱交換可能に使い捨て用の清掃シート16を取り付け、例えば床面を被清掃面として、柄12を把持した操作によって清掃作業を行うものである。また、本実施形態のジョイント構造10は、連結部材19を介して清掃ヘッド11と柄12とのジョイント部14を形成する際に、特に清掃ヘッド11と連結部材19との強固且つ安定した連結状態を、簡易な構成によって容易に得ることができるようにするものである。
【0012】
そして、本実施形態の清掃具のジョイント構造10は、清掃ヘッド11と柄12とを含む清掃具13において、柄12を清掃ヘッド11に対して前後方向及び左右方向に回転可能に連結するジョイント部14の構造であって、図2図5に示すように、清掃ヘッド11の上面から突出して設けられた二股状のヘッド側ヨーク部17と、柄12の下端部に設けられた二股状の柄側ヨーク部18とを、中心軸X,Yが直交する第1回動軸心部19aと第2回動軸心部19bとを備える連結部材19(図4参照)を介して連結することで、前後方向及び左右方向に回転可能なジョイント部14が形成されている。ヘッド側ヨーク部17を構成する一対のヨーク突部17aの、間隔をおいて配置された各対向面17bに、ピン孔23が形成されている。連結部材19は、一対の単位連結部材20からなり、一方の単位連結部材20は、一対のヨーク突部17aの一方のピン孔23に回転可能に差し込まれる、第1回動軸心部19aとなるピン突起21を備え、他方の単位連結部材20は、一対のヨーク突部の他方のピン孔23に回転可能に差し込まれる、第1回動軸心部19aとなるピン突起21を備えると共に、各々の単位連結部材20は、一対のヨーク突部17aの間の部分で互いに重ね合される重合せ係合面22a,22bを備えている(図3参照)。重合せ係合面22a,22bを重ね合わせて一対の単位連結部材20が連結部材19として一体化された状態で、一対のヨーク突部17aの間の部分の上方に第2回動軸心部19bが配置されるようになっている(図5参照)。
【0013】
また、本実施形態によれば、連結部材19は、図3に示すように、各々の単位連結部材20のピン突起21を一対のヨーク突部17aのピン孔23に各々挿入してから、一対の単位連結部材20の重合せ係合面22a,22bを互いに重ね合わせて一体化することで、図5に示すように、ピン突起21による第1回動軸心部19aを介してヘッド側ヨーク部17を回転可能に連結させており、一対のヨーク突部17aの間の部分の上方に配置された第2回動軸心部19を介して、柄側ヨーク部18を回転可能に連結させている。
【0014】
本実施形態では、清掃具13を構成する清掃ヘッド11は、図1及び図2に示すように、例えば長辺が200〜500mm程度、短辺が50〜150mm程度の大きさの矩形平面形状を有しており、例えばプラスチック製の平板状部材であるヘッド本体11bの下面を覆って、弾性変形可能なベース体11cを取り付けて構成される。弾性変形可能なベース体11cの下面を清掃面15として、当該清掃面15を覆って清掃シート16が装着される。また、清掃ヘッド11のヘッド本体11bによる上面11aには、四隅の部分に、係着スリットが形成された柔軟な弾性材料からなる公知のシート保持部24が設けられている。ヘッド本体11bの下面側に一体として取り付けられたベース体11cの下面(清掃面)15を下方から覆うようにして、清掃シート16を清掃ヘッド11に巻き付けた後に、清掃シート16の端部を、清掃ヘッド11の上面11aのシート保持部24の係着スリットに押し込んで係着することにより、清掃シート16を、清掃ヘッド11に着脱交換可能に容易に装着することができる(図1参照)。
【0015】
清掃ヘッド11のヘッド本体11bの上面11aには、これの中央部分を裾野部分が拡った状態で隆起させて、一対のヨーク突部17aによるヘッド側ヨーク部17が、一体として設けられている。ヘッド側ヨーク部17は、本実施形態では、清掃ヘッド11の上面11aの中央部分に設けられた横長の隆起部の長手方向の中央部を、例えば30〜60mm程度の切欠き幅で切り欠いた形状を有する。これによってヘッド側ヨーク部17は、清掃ヘッド11の清掃面15と略垂直な切立ち面を対向面17bとして、連結部材19を設置できる間隔幅をおいて配置された、一対の対称形状のヨーク突部17aを備える。
【0016】
ヘッド側ヨーク部17の一対の対称形状のヨーク突部17aが、裾野部分が拡った隆起部の一部として設けられることにより、ジョイント部14を介して柄12から清掃ヘッド11に負荷される清掃時の荷重を、清掃ヘッド11によって安定した状態で支持させることが可能になる。
【0017】
なお、本実施形態では、清掃面15を覆って清掃ヘッド11に取り付けられて塵埃や汚れ等を付着させる清掃シート16としては、例えばオレフィン系極細繊維不織布等の公知の各種の清掃シートを用いることができる。
【0018】
清掃ヘッド11と共に清掃具13を構成する柄12は、例えばアルミ合金やABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂からなる複数のパイプ部材を、公知の連結構造を介して軸方向に連結一体化することで、例えば上端部に設けられた把持部を含む柄の全体が、清掃作業を行うのに適した例えば100〜150cm程度の長さとなるように組み立てて形成されている。柄12の下端部には、公知のジョイント機構を介して、一対のヨーク片18aによる柄側ヨーク部18を備えるヨーク部材25が一体として取り付けられている。
【0019】
ヨーク部材25は、本実施形態では、図5に示すように、円筒状ジョイント部25aとヨーク本体部25bとからなる。円筒状ジョイント部25aには、柄12の下端部が挿入されて係止されることにより、ヨーク部材25が柄12の下端部に固定される。ヨーク本体部25bは、円筒状ジョイント部25aの下端部から下方に延設して設けられた部分である。ヨーク本体部25bには、下端側から上方に向けて切り込まれた、相当の大きさの溝幅を有する横断溝25cが形成されている。これによってヨーク部材25には、当該横断溝25cを挟んだ両側の、先端縁部が円弧状に面取りされると共に外周面が緩やかな湾曲凸面となった一対の帯板形状のヨーク片18aによる、二股状の柄側ヨーク部18が設けられる。
【0020】
二股状の柄側ヨーク部18の一対のヨーク片18aには、柄側ピン孔26が各々貫通形成されている。また一対のヨーク片18aは、これらの間に横断溝25cが形成されていることで、一対の単位連結部材20を重ね合わせて得られる連結部材19の厚さと略同様の、これよりも若干広い間隔を保持して設けられる。柄側ヨーク部18は、図6にも示すように、一対の単位連結部材20を一体化した連結部材19を、清掃ヘッド11のヘッド側ヨーク部17に回転可能に連結した状態で、一対のヨーク突部17aの間の部分の上方に配置された、連結部材19の両側の外側面から各々突出する第2回動軸心部19bの先端部に、一対のヨーク片18aの柄側ピン孔26を各々の係止することで、連結部材19に回転可能に連結される。
【0021】
すなわち、一対のヨーク片18aを弾性変形させてこれらの間隔を拡げつつ、柄側ヨーク部18の横断溝25cの部分を連結部材19に無理押しして押し込むことにより、一対のヨーク片18aの柄側ピン孔26を、連結部材19の両側の外側面から突出する一対の第2回動軸心部19bの先端部に、各々回転可能に係止することができる。またこれによって、柄12を清掃ヘッド11に対して、連結部材19を介して前後方向及び左右方向に回転可能に連結することが可能になる。
【0022】
一対の第2回動軸心部19bの先端部に、一対のヨーク片18aの柄側ピン孔26を各々係止したら、柄側ピン孔26の外側から、連結部材19の第2回動軸心部19bの外周面に沿ってリング状に形成された円形溝28に嵌め込むようにして、筒状部27aとカバー部27bとからなる位置決めキャップ27を装着する(図2参照)。これによって、柄側ピン孔26の内側で第2回動軸心部19bが遊んで位置ずれするのを、位置決めキャップ27によって効果的に防止して、安定したジョイント部14を形成することが可能になると共に、清掃具13の操作性を向上させることが可能になる。
【0023】
ヘッド側ヨーク部17と柄側ヨーク部18との間に介在して設けられる連結部材19は、本実施形態では、例えばプラスチック製の成形品であって、上述のように、一対の単位連結部材20を重ね合わせて一体化することにより形成される。また本実施形態では、一対の単位連結部材20は、同じ形状となるように成形された部材となっており、これによって、連結部材19や単位連結部材20を成形するための金型の数を増やす必要がなくなり、また部品の管理も行い易くなる。
【0024】
本実施形態では、単位連結部材20は、図3に示すように、弧状部分を下方に配置した略半長円形の端面形状を有する基台部20aと、基台部20aの一方の端面から突出して設けられたピン突起21と、基台部20aの上面における、ピン突起21の中心軸Xを挟んだ片側から、上方及びピン突起21の突出方向とは反対側に張り出して設けられた、重合せプレート部20bとを有している。
【0025】
基台部20aは、本実施形態では、上面が略矩形の平坦な面となった天面壁と、天面壁の両側の短辺部分から下方に延設して各々設けられた、弧状部分を下方に配置した略半長円形の端面形状を有する端面壁と、天面壁の両側の長辺部分に沿って両端の端面壁に跨るようにして設けられた側面壁とからなる内部が中空の箱形の基台部20aとなっている。基台部20aは、清掃ヘッド11のヘッド側ヨーク部17における、一対のヨーク突部17aの対向面17bの間の間隔幅の1/2よりも、僅かに短い長さを有している。
【0026】
ピン突起21は、基台部20aにおける、ヨーク突部17aの対向面17bと対向させる側の一方の端面壁の中央部分から、円柱形状に突出して設けられている。ピン突起21は、ヨーク突部17aのピン孔23に差し込んだ状態から抜き出すことが困難な、相当の突出長さとして、例えば5〜15mm程度の長さで突出して設けられている。
【0027】
重合せプレート部20bは、本実施形態では、上端部分が円弧状に湾曲すると共に、両側の斜辺部分が凹状に湾曲する略等脚台形状の正面形状を備えている。また重合せプレート部20bは、基台部20aの天面壁の、短辺部分の長さの略1/3程度の厚さを有している。重合せプレート部20bは、その外側面を基台部20aの側面壁の外側面に沿わせると共に、一方の略半分の部分の底辺部を、基台部20aの天面壁に一体として接合することで、基台部20aの上面から上方に張り出すと共に、他方の略半分の部分をピン突起21の突出方向とは反対側に張り出させた状態で設けられている。
【0028】
また、本実施形態では、重合せプレート部20bの内側面には、一方の略半分の部分の基台部20aの天面壁への接合基端部分に、当該内側面から天面壁の短辺部分の長さの略1/3程度の幅で張り出して、当接係合台29が一体として設けられている。この当接係合台29の張出し端面が、一対の単位連結部材20を重ね合わせて連結部材19を形成する際の、第1重合せ係合面22aとなっている。また当接係合台29には、第1重合せ係合面22aの一部を凹状に切り欠いて、係合凹部30aが形成されている。一方、重合せプレート部20bの内側面における、ピン突起21の突出方向とは反対側に張り出した他方の略半分の部分の下端部領域が、一対の単位連結部材20を重ね合わせて連結部材19を形成する際の、第2重合せ係合面22bとなっている。第2重合せ係合面22bには、重合せプレート部20bの略等脚台形状の正面形状の2等分割線を対称軸として、当接係合台29に設けられた係合凹部30aと対称な位置に配置されて、係合凸部30bが、重合せプレート部20bの内側面から突出して設けられている。
【0029】
さらに、本実施形態では、重合せプレート部20bの内側面には、基台部20aの天面壁に接合された一方の略半分の部分の第1重合せ係合面22aの上方部分に、陥没係合穴31aが設けられている。一方、重合せプレート部20bの内側面における、ピン突起21の突出方向とは反対側に張り出した他方の略半分の部分の第2重合せ係合面22bの上方部分に、重合せプレート部20bの略等脚台形状の正面形状の2等分割線を対称軸として、陥没係合穴31aと対称な位置に配置されて、係合棒31bが、重合せプレート部20bの内側面から突出して設けられている。
【0030】
さらにまた、本実施形態では、重合せプレート部20bの外側面には、略等脚台形状の正面形状の円弧状部分の内側に配置されて、位置決めキャップ27(図2参照)の嵌込み穴32が形成されている。この嵌込み穴32の中央部分に、当該嵌込み穴32と同心状に配置されて、円柱形状の第2回動軸心部19bが、先端部を重合せプレート部20bの外側面から突出させた状態で設けられている。嵌込み穴32の内周面と第2回動軸心部19bの外周面との間の部分が、位置決めキャップ27の筒状部27aが嵌め込まれる円形溝28となっている。
【0031】
本実施形態では、一対の単位連結部材20を、例えばこれらの重合せプレート部20bの内側面を重ね合わせるようにして互いに対向配置した状態で、これらの間隔を狭めて行くことで、一方の単位連結部材20の係合凹部30aや陥没係合穴31aに、他方の単位連結部材20の係合凸部30bや係合棒31bの先端部分を係合し、且つ一方の単位連結部材20の第1重合せ係合面22aや第2重合せ係合面22bを、他方の単位連結部材20の第2重合せ係合面22bや第1重合せ係合面22aに重ね合わせて密着当接させる。これによって、一対の単位連結部材20が一体として接合されて、図4に示すような連結部材19が形成される。連結部材19は、一対の単位連結部材20の基台部20aを、ピン突起21の中心軸Xの方向に並べて配置して、一対のピン突起21を、これらの中心軸Xを合致させて突出させると共に、密着当接させた第2重合せ係合面22bや第1重合せ係合面22aよりも上方部分の重合せプレート部20bの間には、係合棒31bをスペーサとして間隔を保持した状態で、重合せプレート部20bを重ね合わせて形成されている。
【0032】
連結部材19を、清掃ヘッド11のヘッド側ヨーク部17に回転可能に連結するには、図3に示すように、一対の単位連結部材20の第1回動軸心部19aとなるピン突起21を、ヘッド側ヨーク部17の一対のヨーク突部17aの対向面17bに形成されたピン孔23に、各々差し込むようにして挿入する。ピン突起21をピン孔23に差し込む操作は、ピン孔23とピン突起21との間には若干の遊びがあることから、単位連結部材20をやや傾けて互いの干渉を避けるようにしながら、容易に行うことができる。一対の単位連結部材20のピン突起21を一対のヨーク突部17aのピン孔23に各々差し込んだら、上述と同様に、重合せプレート部20bの内側面を重ね合わせるようにして互いに対向配置した状態で、これらの間隔を狭めて行くことで、一方の単位連結部材20の第1重合せ係合面22aや第2重合せ係合面22bを、他方の単位連結部材20の第2重合せ係合面22bや第1重合せ係合面22aに重ね合わせて一体化することで、図5に示すように、一対のヨーク突部17aの間の部分の上方に第2回動軸心部19を配置した状態で、連結部材19が、清掃ヘッド11のヘッド側ヨーク部17に回転可能に連結される。
【0033】
しかる後に、上述のように、柄12の下端部に設けられた二股状の柄側ヨーク部18を、連結部材19に押し込むことによって、ヘッド側ヨーク部17の一対のヨーク突部17aの間の部分の上方に配置された第2回動軸心部19bの先端部に、一対のヨーク片18aの柄側ピン孔26を各々回転可能に係止する。これによって、柄12と清掃ヘッド11とのジョイント部14に、本実施形態の清掃具のジョイント構造10が形成される(図6参照)。また、一対の第2回動軸心部19bの先端部に、一対のヨーク片18aの柄側ピン孔26を各々係止したら、図6に示すように、柄側ピン孔26の外側から、位置決めキャップ27を装着することで、柄12を清掃ヘッド11に対して前後方向及び左右方向に回転可能に連結した、清掃具13が形成される(図1参照)。
【0034】
そして、上述の構成を備える本実施形態の清掃具のジョイント構造10によれば、簡易な構成によって、連結部材19のピン突起21によるヨーク突部17aのピン孔26への差込み長さを十分に確保して、清掃ヘッド11と連結部材19との強固且つ安定した連結状態を得ることが可能になる。
【0035】
すなわち、本実施形態によれば、連結部材19は、一対の単位連結部材20からなり、各単位連結部材20は、二股状のヘッド側ヨーク部17の一対のヨーク突部17aの各々のピン孔23に回転可能に差し込まれる、第1回動軸心部19aとなるピン突起21を備えると共に、一対のヨーク突部17aの間の部分で互いに重ね合される重合せ係合面22a,22bを備えており、重合せ係合面22a,22bを重ね合わせて一対の単位連結部材20が連結部材19として一体化された状態で、一対のヨーク突部17aの間の部分の上方に第2回動軸心部19bが配置されるようになっている。
【0036】
したがって、本実施形態によれば、清掃ヘッド11の二股状のヘッド側ヨーク部17に連結部材19の第1回動軸心部19aを連結する際に、連結部材17を、一対のヨーク突部17aの弾性変形を利用してヘッド側ヨーク部17に無理押しして押し込んで、ヨーク突部17aのピン孔23にピン突起21を係合させる必要がないので、第1回動軸心部19aとなるピン突起21を、ピン孔23に差し込んだ状態から抜き出すことか困難な、相当の突出長さで設けることが可能になる。これによって、ピン孔26への差込み長さを十分に確保すること可能になり、例えば清掃ヘッド11が家具等に衝突して大きな負荷が掛かった場合でも外れることのない、強固且つ安定した連結状態を得ることが可能になる。
【0037】
また、本実施形態によれば、連結部材20の一対の単位連結部材20は、例えば金型を用いて容易に形成することができると共に、ヘッド側ヨーク部17が設けられた清掃ヘッド11や、柄側ヨーク部が設けられた柄12として、従来のもの同様の清掃ヘッドや柄を使用することができるので、例えば清掃ヘッドに、スライドレールや、スライド移動させたヨーク突部を固定するための複雑な構成を付加することなく、簡易な構成によって、柄12と清掃ヘッド11とのジョイント部14を形成することが可能になる。
【0038】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、一対の単位連結部材は、同じ形状となるように成形された部材となっている必要は必ずしも無く、異なる形状の部材として形成されていても良い。重合せ係合面は、ピン突起の軸方向と平行な面として形成されている必要は必ずしも無く、ピン突起の軸方向に対して傾いた面となっても良い。重合せ係合面は、互いに密着可能な面であれば、波形形状等の平坦ではない凹凸の有る面であっても良い。重合せ係合面が重ね合される、一対のヨーク突部の間の部分は、当該一対のヨーク突部の間の部分の直上部分の領域も含まれる。ヘッド側ヨーク部の一対のヨーク突部は、隆起部として設けられている必要は必ずしもなく、突リブ状に設けられていても良い。互いに密着当接させた重合せ係合面よりも上方部分の重合せプレート部の間に、例えば係合棒を用いて間隔を保持する必要は必ずしも無く、重合せプレート部の全体又は略全体を重合せ係合面として密着当接させることもできる。
【符号の説明】
【0039】
10 ジョイント構造
11 清掃ヘッド
12 柄
13 清掃具
14 ジョイント部
15 清掃面
16 清掃シート
17 ヘッド側ヨーク部
17a ヨーク突部
17b ヨーク突部の対向面
18 柄側ヨーク部
18a ヨーク片
19 連結部材
19a 第1回動軸心部
19b 第2回動軸心部
20 単位連結部材
20a 基台部
20b 重合せプレート部
21 ピン突起
22a,22b 重合せ係合面
23 ピン孔
26 柄側ピン孔
27 位置決めキャップ
28 円形溝
29 当接係合台
30a 係合凹部
30b 係合凸部
31a 陥没係合穴
31b 係合棒
32 嵌込み穴
X 第1回動軸心部の中心軸
Y 第2回動軸心部の中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6