(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切断刃は、前記ロールの中心軸線と平行な方向における前記切断刃の中央部分が同じ方向における前記切断刃の両端部分よりも前記カートン本体の底面板寄りに位置するV字形状を有しており、
前記カートン本体の前記正面板の前記頂辺から前記カートン本体内に向かって突出する前記導出フラップの突出量は、前記ロールの中心軸線と平行な方向における前記頂辺の中央部分よりも、同じ方向における前記頂辺の両端部分で大きい、請求項1に記載の包材供給体。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について
図1〜
図9を参照して説明する。
【0016】
図1〜
図3に示すように、本実施の形態の包材供給体10は、箱状のカートン本体11を備えている。カートン本体11は、底面板11BTと、罫線を介して底面板11BTに連結された正面板11F、左側面板11SL、右側面板11SR及び背面板11Bとを備え、上部の開口部を有している。カートン本体11の内側には、カートン本体11の底面板11BT、正面板11F、左側面板11SL、右側面板11SR及び背面板11Bによって囲われた一つの収容空間が形成されている。カートン本体11の開口部は、カートン本体11の正面板11F、左側面板11SL、右側面板11SR及び背面板11Bの各々の頂辺によって画定されている。
【0017】
カートン本体11内の収容空間には、カートン本体11の長手方向に沿って延びる円筒状の紙管13の周りに包材14が巻き回されたロールRが収容されている。紙管13の左端部REL及び右端部RERは、包材14によって覆われることなく露出している。包材14は、例えばポリ塩化ビニリデンからなる食品用ラップフィルムであってもよい。
【0018】
カートン本体11の正面板11Fには正面内側板11STを内側から貼り合わせており、これによりカートン本体11の機械的強度、特に正面板11Fの機械的強度の向上が図られている。正面内側板11STは、正面板11Fの頂辺11FTを介してカートン本体11の正面板11Fに連結されており、正面板11Fの頂辺11FTに沿って折り返された後、正面板11Fの内側面に部分的に接着されている。
【0019】
カートン本体11の正面板11Fには、正面フラップFFが形成されている。正面フラップFFは、正面板11Fから離間するように引き起こされることで、正面板11Fに対して所定の角度を有している。正面フラップFFの周囲には、正面板11Fの一部を略楕円形状に切り抜くことによって形成された凹部FFaが設けられており、この凹部FFaを通じて正面内側板11STの一部はカートン本体11の外に露出している。
【0020】
正面フラップFFは、カートン本体11の開口部を通じてカートン本体11の外に引き出された包材14をカートン本体11の正面板11Fから離間させることで、使用者が包材14を再び引き出そうとしたときに包材14の切断端を見つけやすくする。また、凹部FFaが存在することによって、例えば親指と人差し指とで正面フラップFFを摘むときにカートン本体11の正面板11Fと露出した正面内側板11STとの間の段差に人差し指が触れにくくなることから、使用者が正面フラップFFを摘みやすくなっている。
【0021】
カートン本体11の上方には、カートン本体11の開口部を開閉する蓋体12が設けられている。蓋体12は、背面板11Bの頂辺を介してカートン本体11の背面板11Bに連結された頂面板12Tと、罫線を介して頂面板12Tに連結された正面板12F、左側面板12SL及び右側面板12SRとを備えている。カートン本体11と蓋体12とによりカートンCが構成されている。カートンCは、コートボール紙等の板紙を罫線で折り曲げることによって形成されている。
【0022】
蓋体12の正面板12Fの底辺はV字形状を有しており、正面板12Fの底辺から正面板12Fの頂辺までの距離は、正面板12Fの底辺の中点において最も大きく、且つ、正面板12Fの底辺の両端において最も小さい。蓋体12とカートン本体11の背面板11Bとを連結している罫線の周りを蓋体12が回動するのに応じて、カートン本体11の開口部は蓋体12の頂面板12Tによって開閉される。カートン本体11の開口部を蓋体12で閉じた状態のときには、蓋体12の正面板12Fは、カートン本体11の外側においてカートン本体11の正面板11Fに対向して位置する。さらに言えば、カートン本体11の開口部を蓋体12で閉じた状態のとき、カートン本体11の正面板11Fのうち、正面板11Fの頂辺11FTに沿った方向(すなわち、ロールRの中心軸線Oと平行な方向)における中央部分については、頂辺11FTから正面板11Fの底辺までの距離の例えば略三分の二が蓋体12の正面板12Fによって覆われる一方、同じ方向における正面板11Fの両端部分については頂辺11FTから正面板11Fの底辺までの距離の例えば約三分の一が蓋体12の正面板12Fによって覆われる。
【0023】
蓋体12の正面板12Fの内側面には、蓋体12の正面板12Fの底辺から鋸歯状の刃先がのぞくようにして切断刃Bが取り付けられている。切断刃Bは、蓋体12の正面板12Fの底辺と同様、V字形状を有しており、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における切断刃Bの中央部分が同じ方向における切断刃Bの両端部分よりもカートン本体11の底面板11BT寄りに位置している。カートン本体11から引き出された包材14は、包材14の引き出し方向と垂直な方向に切断刃Bによって切断される。切断刃Bによって切断された包材14の切断端は、切断刃Bの形状に対応したV字形状となる。つまり、ロールRから引き出された包材14の基端から先端までの長さは、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における切断端の中央部分において最も長く、同じ方向における切断端の両端部分に向かうにつれて短くなっている。
【0024】
ちなみに、図示しない未開封の包材供給体10では、蓋体12の正面板12Fの底辺にミシン目線を介して開封板が連結されており、この開封板はカートン本体11の正面板11Fに接着されている。ミシン目線に沿って開封板を切り離してカートン本体11の正面板11Fから引き剥がすことによって、包材供給体10の開封は行われる。
【0025】
カートン本体11の開口部のうちカートン本体11の正面板11Fと左側面板11SLとの間に形成される左角部LAには、カートン本体11の底面板11BTに向かって延びる左ガードフラップ15Lが設けられている。左ガードフラップ15Lは、左角部LAに対向する左ガードフラップ15Lの部分が略直角である三角板状の形状を有しており、その直角の対辺である規制斜辺15LSは、紙管13の左端部RELの外周面に倣う凹曲線形状を有している。さらに言えば、左ガードフラップ15Lの規制斜辺15LSは、カートン本体11の左側面板11SLに近い部分ほど、紙管13の左端部RELの外周面により近づくようになっている。なお、左ガードフラップ15Lの直角を挟む一方の辺は、カートン本体11の左側面板11SLの頂辺に配置され、直角を挟む他方の辺は、罫線を介してカートン本体11の正面内側板11STに連結されている。正面内側板11STに連結された左ガードフラップ15Lの辺と正面内側板11STの頂辺11FTとのなす角度θ1は、例えば50°である。
【0026】
カートン本体11の開口部のうちカートン本体11の正面板11Fと右側面板11SRとの間に形成される右角部RAには、カートン本体11の底面板11BTに向かって延びる右ガードフラップ15Rが設けられている。右ガードフラップ15Rは、右角部RAに対向する右ガードフラップ15Rの部分が略直角である三角板状の形状を有しており、その直角の対辺である規制斜辺15RSは、紙管13の右端部RERの外周面に倣う凹曲線形状を有している。さらに言えば、右ガードフラップ15Rの規制斜辺15RSは、カートン本体11の右側面板11SRに近い部分ほど、紙管13の右端部RERの外周面により近づくようになっている。なお、右ガードフラップ15Rの直角を挟む一方の辺は、カートン本体11の右側面板11SRの頂辺に配置され、直角を挟む他方の辺は、罫線を介してカートン本体11の正面内側板11STに連結されている。正面内側板11STに連結された右ガードフラップ15Rの辺と正面内側板11STの頂辺11FTとのなす角度θ1は、例えば50°である。
【0027】
左ガードフラップ15L及び右ガードフラップ15Rは、カートン本体11の開口部を通じてカートンC内から包材14を引き出すとき等に、紙管13の両端部(左端部REL及び右端部RER)のうち少なくとも一つと接触することによって、カートン本体11の外にロールRが飛び出ないようにロールRの移動をカートン本体11内に規制する。
【0028】
カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTのうち左ガードフラップ15Lと右ガードフラップ15Rとにより挟まれた部分には、導出フラップ16が設けられている。導出フラップ16は、互いに合同の形状を有する左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rからなる。左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rは、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における正面板11Fの両端部分からカートン本体11内に向かって突出している。ただし、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rの先端縁である導出縁16LE,16REは、ロールRに接触することなくロールRから離間している。
【0029】
導出フラップ16は、蓋体12に面する導出フラップ16の面(すなわち、導出フラップ16の上面)で、ロールRから引き出された包材14と接触してこれを保持及びカートン本体11の外へとガイドする。導出フラップ16による包材14の保持は、導出フラップ16の上面が包材14に面接触しているだけによるものであるため、包材供給体10の使用者は、導出フラップ16から包材14を引き剥がすことによって、ロールRから包材14を再び引き出すことができる。カートン本体11の正面板11Fの外側面には粘着部17が設けられている。粘着部17は、ロールRから引き出された包材14がロールRに巻き戻ったりロールRから不要に包材14が引き出されたりするのを防ぐべく、カートン本体11から引き出された包材14を剥離可能に粘着するためのものであって、導出フラップ16と包材14との間の面接触による保持よりも強く包材14を保持することができる。
【0030】
左導出フラップ16Lの左端部16LLは、カートン本体11の左角部LAから所定の距離L1だけ離れて位置している。右導出フラップ16Rの右端部16RRは、カートン本体11の右角部RAから同じ距離L1だけ離れて位置している。距離L1が短くなると、正面板11Fの頂辺11FTの両端においてカートン本体11の正面板11Fと正面内側板11STとを連結する部分が短くなる。そのため、距離L1が極端に短い場合には、正面板11Fの頂辺11FTの両端においてカートン本体11の正面板11Fと正面内側板11STとが分断される虞がある。そこで、距離L1の寸法は、カートンCの製造に際して板紙に作用する力によって、左ガードフラップ15Lと左角部LAとの間及び右ガードフラップ15Rと右角部RAとの間において正面板11Fと正面内側板11STとが分断されることがないように設定される。距離L1は、頂辺11FTの全長が315mmである場合、10mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0031】
左導出フラップ16Lの右端部16LRと右導出フラップ16Rの左端部16RLとの間は所定の距離L2だけ離れている。距離L2が極端に短い場合には、カートン本体11の正面板11Fの強度を十分に確保できないおそれがある。そのため、距離L2の寸法は、カートン本体11の正面板11Fの強度が十分に確保されるように設定される。この場合、カートン本体11の正面板11Fと正面内側板11STとを貫通するような孔が形成されるのを回避することもできる。ただし、各導出フラップ16L,16Rと包材14との接触面積を大きくするためには、左導出フラップ16Lの両端部16LL,16LRの間の距離及び右導出フラップ16Rの両端部16RR,16RLの間の距離はできるだけ大きい必要がある。距離L2は、頂辺11FTの全長が315mmである場合、30mm以上85mm以下であることが好ましい。
【0032】
次いで、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rの詳細についてさらに説明する。なお、右導出フラップ16Rは、左導出フラップ16Lを左右反転させた形状を有しており、またカートン本体11の正面板11Fに垂直であって且つ正面板11Fの頂辺11FTの中点を通る面に関して左導出フラップ16Lと対称である。そのため、左導出フラップ16Lの詳細と右導出フラップ16Rの詳細はほぼ同じである。
【0033】
左導出フラップ16Lの導出縁16LEは、カートン本体11内に向かって突出する凸曲線形状を有している。カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTからカートン本体11内に向かって突出する左導出フラップ16Lのうち最も突出している部分である頂部16LTは、左導出フラップ16Lの中央よりもやや左角部LA寄りに位置している。左導出フラップ16Lの突出量は、頂部16LTから離れるにつれて、すなわち左端部16LL又は右端部16LRに近づくにつれて、次第に小さくなっている。左導出フラップ16Lの頂部16LTの突出量L3は、例えば2mm以上12mm以下である。
【0034】
右導出フラップ16Rの導出縁16REは、カートン本体11内に向かって突出する凸曲線形状を有している。カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTからカートン本体11内に向かって突出する右導出フラップ16Rのうち最も突出している部分である頂部16RTは、右導出フラップ16Rの中央よりもやや右角部RA寄りに位置している。右導出フラップ16Rの突出量は、頂部16RTから離れるにつれて、すなわち左端部16RL又は右端部16RRに近づくにつれて、次第に小さくなっている。右導出フラップ16Rの頂部16RTの突出量L3は、例えば2mm以上12mm以下である。
【0035】
上述したように、切断刃Bによって切断された包材14の切断端はV字形状である。そのため、包材14の切断端は、ロールRから引き出された包材14の基端までの長さが比較的短い両端部分で紙管13上の包材14に再接着しやすい。この点、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rは、カートン本体11の長手方向における正面板11Fの中央部分ではなく左端部及び右端部にそれぞれ設けられている。また、左導出フラップ16Lのうち最も突出している頂部16LTは左角部LA寄りに位置し、右導出フラップ16Rのうち最も突出している頂部16RTは右角部RA寄りに位置している。そのため、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rは、包材14の切断端の形状に即した好適な方法で、包材14がロールRに巻き戻って再接着するのを抑制することができる。
【0036】
左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REが湾曲しているため、例えば
図4(a)〜
図4(d)に示すと共に以下の(A)〜(D)で説明するようにカートンC内でロールRが動いたとしても、その後に包材14を引き出したときに、包材14が左導出フラップ16L又は右導出フラップ16Rに意図せず引っ掛かることは起こりにくい。なお、
図4(a)〜
図4(d)では、カートン本体11内でのロールRの一連の動きに伴う包材14の切断端14aの状況を示す便宜上、左導出フラップ16Lと粘着部17とを同一断面上に描いている。
【0037】
(A)
図4(a)に示す状態では、ロールRから引き出された包材14は、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rに面接触して保持されている。ただし、粘着部17には包材14は粘着していない。
【0038】
(B)
図4(a)の状態からロールRがカートン本体11の背面板11Bに向かって動くと、
図4(b)に示す状態となる。
図4(b)の状態でも、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rにより包材14は引き続き保持される。ただし、ロールRが背面板11Bに向かって動いた分だけ、カートン本体11の外に位置していた包材14の一部がカートン本体11内に引き込まれることになる。
【0039】
(C)
図4(b)の状態からロールRがカートン本体11の正面板11Fに向かって動くと、
図4(c)に示す状態となる。
図4(c)の状態でも、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rにより包材14は引き続き保持される。ただし、ロールRが正面板11Fに向かって動いたことによって、カートン本体11内の包材14には撓み部14bが生じ、撓んだ包材14に左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REが接触することになる。左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REに接触する包材14の部分を以下、接触部14cという。
【0040】
(D)
図4(c)の状態から包材14の引き出しを行った場合、
図4(d)に示されるように、引き出し始めこそ包材14に対する左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REの接触は続くが、包材14を引き出すことによって包材14の撓みが解消されると、左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REは包材14に接触しなくなる。
【0041】
また、包材供給体10の使用時や移動時に振動等の原因により左導出フラップ16L又は右導出フラップ16RにロールRが接触したとしても、ロールR表面の包材14は損傷を受けにくい。
【0042】
左導出フラップ16Lの突出量は、左導出フラップ16Lの左端部16LLに近い部分に比べて、左導出フラップ16Lの右端部16LRに近い部分、すなわち正面板11Fの頂辺11FTの中点に近い部分で小さくなっている。右導出フラップ16Rの突出量は、右導出フラップ16Rの右端部16RRに近い部分に比べて、右導出フラップ16Rの左端部16RLに近い部分、すなわち正面板11Fの頂辺11FTの中点に近い部分で小さくなっている。
【0043】
包材供給体10の使用者は多くの場合、包材14の先端のうち、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における中央部分を摘んで包材14の引き出しを行う。この場合、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における包材14の中央部分に強い張力が加わることになる。このときにもし頂辺11FTの中点を含んだ部分である頂辺11FTの中央部分に導出フラップが設けられていると、この導出フラップの導出縁に包材14が接触することによって、包材14が損傷を受けやすい。この点、本実施の形態では、頂辺11FTの中央部分には導出フラップ16が設けられていない。
【0044】
それに加えて、左導出フラップ16Lの突出量は、左導出フラップ16Lの左端部16LLに近い部分に比べて、左導出フラップ16Lの右端部16LRに近い部分、すなわち正面板11Fの頂辺11FTの中点に近い部分で小さくなっている。また、右導出フラップ16Rの突出量は、右導出フラップ16Rの右端部16RRに近い部分に比べて、右導出フラップ16Rの左端部16RLに近い部分、すなわち正面板11Fの頂辺11FTの中点に近い部分で小さくなっている。そのため、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における包材14の中央部分に強い張力が加わったとき、左導出フラップ16Lの導出縁16LE又は右導出フラップ16Rの導出縁16REに包材14が接触しにくくなっている。また、たとえ左導出フラップ16Lの導出縁16LE又は右導出フラップ16Rの導出縁16REに包材14が接触したとしても左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rにおける突出量の大きい部分が正面板11Fの頂辺11FTの中点から大きく離れて位置しているために、包材14は損傷を受けにくい。
【0045】
左導出フラップ16Lは、頂辺11FTを介してカートン本体11の正面内側板11STに連結されており、左導出フラップ16Lと正面内側板11STとのなす角度θ2(
図3参照)は、例えば20°〜75°である。同様に、右導出フラップ16Rは、頂辺11FTを介してカートン本体11の正面内側板11STに連結されており、右導出フラップ16Rと正面内側板11STとのなす角度θ2は、例えば20°〜75°である。角度θ2が上記の範囲内である場合には、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rが包材14に面接触しやすく、かつ、
図4(c)に示すようなカートン本体11内の包材14に撓みが生じている状態から包材14の引き出しを行ったときに、左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REが包材14に接触した状態が長く維持されることもない。
【0046】
角度θ2が90°又はそれに近い角度である場合には、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rが包材14と面接触しやすくなることで、ロールRに包材14が巻き戻りにくくなる。しかし、
図4(c)に示すようなカートン本体11内の包材14に撓みが生じている状態から包材14の引き出しを行ったときに、左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REが包材14に接触した状態が長く維持されやすい。
【0047】
角度θ2が0°又はそれに近い角度である場合には、
図4(c)に示すようなカートン本体11内の包材14に撓みが生じている状態から包材14の引き出しを行ったとき、左導出フラップ16Lの導出縁16LE及び右導出フラップ16Rの導出縁16REが包材14に接触した状態が長く維持されることはない。しかし、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rが包材14と面接触しにくくなるため、ロールRへの包材14の巻き戻りを十分に防ぐことは難しい。
【0048】
このように、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rは、包材14の損傷を抑えつつ、ロールRから引き出した包材14がロールRに巻き戻って再接着するのを抑制することができる。
【0049】
蓋体12の正面板12Fには、カートンCの外側に向かって突出した複数の凸部FPが設けられている。凸部FPは、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における蓋体12の正面板12Fの中央部分に配置されている。カートン本体11の開口部を蓋体12で閉じた状態のときには、蓋体12の凸部FPは、カートン本体11の粘着部17と重なって位置する。そのため、蓋体12を閉じることによってカートン本体11の正面板11Fと蓋体12の正面板12Fとの間で包材14を挟んだ後、凸部FPに例えば親指を添えた状態で切断刃Bによる包材14の切断を行うことにより、包材14の切断端を粘着部17に粘着させることができる。
【0050】
次に、
図5を参照して本実施の形態についての説明をさらに続ける。
図5に示すように、ロールRと各ガードフラップ15L,15Rとの間の最短距離である距離Laは、紙管13の左端部REL又は右端部RERから対応するガードフラップ15L,15Rまでの距離であり、ロールRと各導出フラップ16L,16Rとの間の最短距離である距離Lbは、紙管13上の包材14から対応する導出フラップ16L,16Rまでの距離である。距離La及び距離Lbの間には以下の式1の関係が成立する。
【0051】
La<Lb … (式1)
図5において、ロールRは、カートン本体11の底面板11BTに接する一方で、カートン本体11の正面板11F及び背面板11Bには接していない。しかしながら、ロールRがカートン本体11の正面板11F及び底面板11BTに接している場合や、カートン本体11の背面板11B及び底面板11BTに接している場合であっても、距離La及び距離Lbの間には上記式1の関係が成立するように、ガードフラップ15L,15R及び導出フラップ16L,16Rは形成されている。左導出フラップ16Lと右導出フラップ16Rが互いに合同の形状であることは先にも述べているが、左ガードフラップ15Lと右ガードフラップ15Rも互いに合同の形状である。したがって、上記式1の関係は、ロールRと左ガードフラップ15Lとの間の最短距離La及びロールRと左導出フラップ16Lとの間の最短距離Lbの間において成立するだけでなく、ロールRと右ガードフラップ15Rとの間の最短距離La及びロールRと右導出フラップ16Rとの間の最短距離Lbの間においても成立する。
【0052】
次に、包材供給体10から包材14を引き出すときの左ガードフラップ15L及び右ガードフラップ15Rの機能を、
図6及び
図7を参照して説明する。
【0053】
図6においては、使用者の左手LHでカートンCが把持されており、蓋体12の凸部FPに左手LHの親指が添えられている。右手RHは、例えば親指と人差し指とで包材14の切断端14aを摘んでカートン本体11の開口部から包材14を引き出している。このとき、例えばカートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTがカートン本体11の背面板11Bの頂辺よりも低い位置になるように、包材供給体10を水平面Hに対して所定の角度だけ傾けたとする。この場合、カートン本体11内のロールRは、カートン本体11の開口部から該カートン本体11の外に飛び出す方向に移動する。
【0054】
その結果として、ロールRは、カートン本体11の底面板11BTとではなく、カートン本体11の正面板11Fと接触するようになる。このとき、
図7に示されるように、カートン本体11の開口部においては、左ガードフラップ15Lの規制斜辺15LSと紙管13の左端部RELとが接点Pにおいて接触する。同様に、紙管13の右端部RERは、右ガードフラップ15Rの規制斜辺15RSと接触する。また、左導出フラップ16Lは、カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTの近傍においてロールRから引き出された包材14と接触する一方、左導出フラップ16Lの導出縁16LEは、紙管13上の包材14とは接触しない。同様に、右導出フラップ16Rは、頂辺11FTの近傍においてロールRから引き出された包材14と接触する一方、右導出フラップ16Rの導出縁16REは、紙管13上の包材14とは接触しない。
【0055】
このように、紙管13の両端部REL,RERにガードフラップ15L,15Rが接触することによって、ロールRがカートン本体11の開口部を通じてカートン本体11の外に飛び出すことが抑制される。しかも、ガードフラップ15L,15Rは、紙管13上の包材14とは接触しないことから、包材14を損傷するおそれがない。加えて、導出フラップ16の導出縁16LE,16REもまた紙管13上の包材14とは接触しないため、導出フラップ16による包材14の損傷も抑制される。
【0056】
次に、
図8(a)〜
図9(c)を参照して、包材14の引き出しから切断完了までにわたる導出フラップ16の機能について説明する。
図8(a)〜
図8(c)は、カートン本体11の開口部を蓋体12で閉じることによって蓋体12の正面板12Fとカートン本体11の正面板11Fとの間で包材14を挟んだ状態で包材14を切断する手順を示している。
図9(a)〜
図9(c)は、カートン本体11の開口部を蓋体12で閉じることなく、蓋体12の正面板12Fとカートン本体11の正面板11Fとの間で包材14を挟まない状態で包材14を切断する手順を示している。
図8(a)〜
図8(c)の手順及び
図9(a)〜
図9(c)の手順のいずれにおいても、カートン本体11の底面板11BTが水平となるように包材供給体10を把持した状態で、包材14の引き出し及び切断が行われるものとする。
図8(a)〜
図9(c)では、包材14の切断前から切断完了までの包材供給体10の状態を示す便宜上、
図4(a)〜
図4(d)と同様、左導出フラップ16Lと粘着部17とを同一断面上に描いている。
【0057】
図8(a)に示されるように、包材14の引き出しは蓋体12を開いた状態で行われる。包材14は、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rに接触しつつカートン本体11の開口部を通じてカートン本体11内から引き出される。このとき、ロールRは、カートン本体11の正面板11Fに向けて引っ張られることにより、カートン本体の正面板11F(正面内側板11ST)に当接している。
【0058】
包材14を所望とする長さだけ引き出した後、
図8(b)に示されるように、蓋体12が閉じられる。これにより、ロールRから引き出された包材14の一部が、粘着部17に粘着しつつカートン本体11の正面板11Fと蓋体12の正面板12Fとの間に挟まれる。この際、ロールRの外周面において包材14が剥離した位置(すなわち、ロールRから引き出された包材14の基端)PPから切断刃Bの刃先に触れている包材14の部分までの包材14の長さは、剥離位置PPから左角部LAまでの長さlaと、左角部LAから切断刃Bの刃先までの長さ、すなわちカートン本体11の正面板11Fと蓋体12の正面板12Fとの間で挟まれた包材14の長さlbとの和に等しい。
【0059】
その後、切断刃Bによって包材14を切断した後も、
図8(c)に示されるように、ロールRから引き出された包材14の一部は、粘着部17に引き続き粘着しつつカートン本体11の正面板11Fと蓋体12の正面板12Fとの間に挟まれる。また、ロールRから引き出された包材14の別の一部は、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rに引き続き接触している。包材14の切断前から切断完了にいたるまで、カートン本体11の正面板11Fと蓋体12の正面板12Fとの間で包材14が挟まれているため、包材14の切断に際して包材供給体10を捻ったり、あるいは包材14の切断時やそれ以降に包材供給体10に振動等が加わっても、カートン本体11内でのロールRの位置は変わり難い。
【0060】
図9(a)〜
図9(c)の手順の場合も、
図9(a)に示されるように、包材14の引き出しは蓋体12を開いた状態で行われる。
【0061】
包材14を所望の長さだけ引き出した後、
図9(b)に示されるように、蓋体12を開いた状態のまま、引き出した包材14に切断刃Bの刃先を当接させる。そして、蓋体12の正面板12Fの頂辺に向けて(すなわち、上に向けて)包材14の切断端14aを引っ張ることによって包材14を切断する。切断完了後にロールRから引き出されている包材14の部分は、剥離位置PPから切断刃Bの刃先までの長さlcに等しい。包材14の同部分は、
図9(b)に二点鎖線で示されるように、カートン本体11の正面板11Fの上部を覆うが、粘着部17にまでは届かず、粘着部17に粘着されない。
図8(b)に示されている長さla,lb及び
図9(b)に示されている長さlcの間には以下の式2の関係が成り立つ。
【0062】
la+lb>lc … (式2)
そのため、包材14の切断後に蓋体12を閉じる等して包材供給体10に振動が加わると、粘着部17によって包材14が保持されていないことから、カートン本体11内のロールRが移動することになる。例えば、
図9(c)に示されるように、カートン本体11の背面板11Bに向かってロールRが移動して背面板11Bに当接することもある。この場合、ロールRの移動に伴い、包材14の切断端14aはカートン本体11内に引き込まれる。
【0063】
しかしながら、カートン本体11内に引き込まれた包材14の切断端14aは、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rからなる導出フラップ16に接触して保持される。そのため、包材14の切断端14aがロールRに再接着することは抑制される。
【0064】
[実施例]
・カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTと底辺との間の距離 42mm
・カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTとカートン本体11の背面板11Bの頂辺との間の距離 43mm
・カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTと垂直な方向における導出フラップ16の最大長(すなわち、導出フラップ16の最大突出量) 8mm
・紙管13の外径 39mm
以上の寸法の包材供給体10を作製したところ、蓋体12を開いた状態で切断刃Bにより包材14を切断しても、包材14の切断端14aが導出フラップ16により保持されることによって、ロールRから引き出された包材14がロールRに再接着することはなかった。また、導出フラップ16の導出縁16LE,16REは、紙管13上の包材14に接触しなかった。カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTと底辺との間の距離、カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTとカートン本体11の背面板11Bの頂辺との間の距離、及び紙管13の外径を上記の寸法とした場合には、カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTと垂直な方向における導出フラップ16の最大長を12mmとすることも可能である。この最大長が12mm以下であれば、導出フラップ16が紙管13上の包材14に接触するのを防ぐことができる。しかし、この最大長が2mmよりも小さいと、蓋体12を開いた状態で切断刃Bにより包材14を切断したときに、包材14の切断端14aがロールRに再接着するのを十分に防ぐことは難しい。それゆえ、導出フラップ16による包材14の損傷と、包材14の切断端14aのロールRへの再接着とを十分に抑制するためには、導出フラップ16の最大長は2mm以上且つ12mm以下であることが好ましい。
【0065】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
【0066】
カートン本体11の正面板11Fと左側面板11SLとの間に形成される左角部LAには左ガードフラップ15Lが設けられ、カートン本体11の正面板11Fと右側面板11SRとの間に形成される右角部RAには右ガードフラップ15Rが設けられている。ガードフラップ15L,15Rは、包材14によって覆われることなく露出した紙管13の両端部REL,RERのうちの少なくとも一つと接触することによってロールRの移動をカートン本体11内に規制するようになっている。そのため、包材14の引き出しに際してカートン本体11内のロールRが引っ張られたとしても、ロールRがガードフラップ15L,15Rに接触することによって、カートン本体11の外にロールRが飛び出るのを抑制できる。しかも、ガードフラップ15L,15Rは、紙管13上の包材14とは接触しないため、ガードフラップ15L,15Rによって包材14が損傷されることもない。
【0067】
カートン本体11の正面板11Fの頂辺のうちガードフラップ15L,15Rにより挟まれた部分には、カートン本体11内に向かって突出する導出フラップ16が設けられている。この導出フラップ16は、ロールRから引き出された包材14と接触することによって包材14をカートン本体11の外へとガイドするようになっている。そのため、引き出された包材14は、ロールRに巻き戻る前に導出フラップ16に接触して保持される。
【0068】
各ガードフラップ15L,15RとロールRとの間の最短距離は、導出フラップ16とロールRとの間の最短距離よりも短い。そのため、導出フラップ16はロールR、さらに言えば紙管13上の包材14に接触することもない。
【0069】
左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rは、カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTのうち左端部及び右端部からカートン本体11内に向かって突出している。そのため、包材14の切断端14aのうちロールRに再接着しやすい両端部分が、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rによってそれぞれ保持されることになる。したがって、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rは、包材14がロールRに再接着するのを好適に抑制する。加えて、カートン本体11の正面板11Fのうちカートン本体11の長手方向における中央部分は、左角部LA及び右角部RAから大きく離れているために機械的強度が高くなく、正面内側板11STによる補強が特に必要とされる。左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rが正面板11Fの中央部分に設けられていないので、正面板11Fの中央部分は、正面内側板11STによる補強を十分に受けることができる。
【0070】
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更することもできる。
【0071】
包材14は、食品用ラップフィルムに限られず、例えばアルミニウム箔やクッキングシートであってもよい。
【0072】
切断刃Bは、V字形状に限られず、ロールRの中心軸線Oと平行な方向に延びる直線形状であってもよい。この場合、切断刃が取り付けられるカートン本体の正面板の底辺も、中心軸線Oと平行な方向に延びる直線形状とするのが好ましい。
【0073】
左導出フラップ16Lと右導出フラップ16Rは、互いに合同の形状に限られず、非合同の形状であってもよい。
【0074】
導出フラップ16は、左導出フラップ16L及び右導出フラップ16Rからなるに限られない。例えば
図10に示されるように、左ガードフラップ15Lと右ガードフラップ15Rとの間において頂辺11FTの略全体に導出フラップ26を設けてもよい。頂辺11FTからカートン本体11内に向かって突出する導出フラップ26の突出量は、ロールRの中心軸線Oと平行な方向における導出フラップ26の全長で同じである。
【0075】
図10の導出フラップ26は、頂辺11FTの中点から延びる部分で突出量が最も大きく、頂辺11FTの両端に向かうにつれて次第に突出量が小さくなるように変更してもよい。
【0076】
図10の導出フラップ26は、頂辺11FTの中点から延びる部分で突出量が最も小さく、頂辺11FTの両端に向かうにつれて次第に突出量が大きくなるように変更してもよい。
【0077】
例えば
図11に示されるように、左ガードフラップ15Lの近くに設けられた左導出フラップ36Lと、右ガードフラップ15Rの近くに設けられた右導出フラップ36Rとの間に、中央導出フラップ36Mを設けてもよい。頂辺11FTからカートン本体11内に向かって突出する中央導出フラップ36Mの突出量は、左導出フラップ36L及び右導出フラップ36Rのそれよりも小さい。この場合、包材14の切断端14aの中央部分に比べて両端部分の方がロールRから引き出された包材14の基端までの長さが短い場合に、切断端14aの全体にわたってロールRへの再接着を抑制できる。
【0078】
図11の包材供給体において、左導出フラップ36L及び右導出フラップ36Rよりも中央導出フラップ36Mの突出量を左導出フラップ36L及び右導出フラップ36Rのそれよりも大きくなるように変更してもよい。
【0079】
左ガードフラップ15L及び右ガードフラップ15Rのうちいずれか一方を省いてもよい。
【0080】
例えば
図12に示されるように、左角部LA及び右角部RAにそれぞれ設けられているガードフラップ15L,15Rに加えて、中央ガードフラップ15Mを設けてもよい。中央ガードフラップ15Mは、カートン本体11の正面板11Fの頂辺11FTからカートン本体11内に向かって突出している。中央ガードフラップ15Mは、ロールRをカートン本体11の背面板11Bに向けて付勢することによって、ロールRの移動を規制する。中央ガードフラップ15Mは、
図13に示されるように、カートン本体11の正面板11Fと対向する面とは反対側の面でロールRに面接触する。ロールRの移動を規制するためにガードフラップの端部をロールRに接触させた場合には、ガードフラップとロールRとの間の接触面積が小さいために、紙管13上の包材14がガードフラップとの接触によって損傷を受ける場合がある。この点、
図12及び
図13の中央ガードフラップ15Mの場合、ロールRに対して面接触をするため、包材14の引き出し時に紙管13上の包材14が中央ガードフラップ15Mとの接触によって損傷を受けるのを抑制できる。