(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性微粒子は、銀、銀パラジウム合金、ニッケル、ニッケル合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、チタン、亜鉛、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、タンタル及びニオブからなる群から選択される材料で構成される、請求項2に記載の方法。
前記電極層を形成する際に前記誘電体テープ上に第2の導電性インクの層を塗布するステップを更に含み、該第2のインクの層は、前記第1の導電性インクの層内に含まれる材料の融点よりも低い融点を有する導電性材料から構成される、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
キャパシタはキャパシタンスという主な電気的特性、すなわち、電荷を蓄積する能力を有する任意のデバイスである。電子工学の分野では、電荷を蓄積するキャパシタの能力は電流の流れを制御する際に有用である。さらに、電気信号をフィルタリングするために、回路内でキャパシタを利用することができる。例えば、ラジオ受信機又はテレビ受像機の同調回路において、可変キャパシタンスを有するキャパシタを用いることができる。キャパシタンスを変更すると、同調器回路の共振周波数が、所望の放送局又はチャネルの周波数と一致するように変化し、全ての不要な周波数の信号が除去される。
【0003】
キャパシタのうち最も簡単なものは、誘電体とも呼ばれる絶縁体によって互いに分離される2つの導電性材料のプレートを備え、各プレートは1つの端子に接続される。充電されていないキャパシタの端子間に電圧が印加されるとき、各プレートに電荷が(正の電荷は陽極プレートに、及び負の電荷は陰極プレートに)流れるが、プレート間に狭持される絶縁体を越えて流れない。導電性の陽極プレート及び陰極プレート上でこれらの逆の電荷が増加するとき、プレート間にある誘電体に及ぼされる力も増加し、それにより誘電体にかかる電界が増加する。この現象は、プレート上の電荷に比例して増加する電圧を生成する。
【0004】
プレート間の電位(電圧)に対する各プレート上の電荷の大きさの比が上記のキャパシタンスであり、キャパシタを充電するために用いられる外部から印加される電圧源に近似する。これら2つの電圧(電圧源及びキャパシタ)が同じ大きさを有するとき、電流が流れなくなり、キャパシタは充電されたとみなされる。充電されたキャパシタは、その後、加えられた電気的負荷を通して外部電圧を低減することによって放電され、それゆえ、生成された電流によってプレートから電荷が急速に流れ出すときに、プレートにかかる電圧が減少する。
【0005】
構成及び材料の組み合わせにおいてそれぞれ異なる数多くのタイプのキャパシタがあるが、先に説明された物理的性質は全てについて基本的に同じである。一般的なキャパシタのタイプは、誘電体層としてセラミックを利用し、セラミック材料からなる中空の円筒体がその内面及び外面において導電性金属の薄膜で覆われる円筒形構造をとるか、又はセラミック材料及び導電性材料の複数のプレートを交互に配置してサンドイッチ形の「電極−誘電体−電極」構成を作り出す平坦な平行板構造をとることができる。
【0006】
いわゆる平行板構造で構成されるキャパシタを製造するのは極めて簡単である。2つの導電性電極層の間に誘電体層が狭持され、結果として形成される平行板キャパシタのキャパシタンスは、電極プレートの重なり合う面積、誘電体層の厚み及び誘電体の誘電率の関数である。
【0007】
多層セラミックキャパシタ(MLCC)は、それぞれが3層に積重された、複数の、「電極−誘電体−電極」構成(EDE)を有する平行板キャパシタである。MLCCのキャパシタンスは数多くの平行板を並列に接続することによって大幅に増加させることができる。簡単に言うと、積重された構成の数が増えるとキャパシタンスも増加し、1つのMLCCが形成される。同様に、ヘッドルームを増やすことにはなるが、個々のキャパシタを直列に接続することもでき、このとき、基本的には上述のMLCCをより大きな面積にわたって広げることになる。
【0008】
高く積重されたMLCCよりも直列に接続されたキャパシタが優れている点は、直列構成は電圧破壊に対してより良好な耐性を示すことが当該技術分野において知られていることである(所与のキャパシタ上の電荷及び電圧が増えると、ある時点において誘電体がもはや電荷を互いに絶縁することができなくなり、その後に絶縁破壊、すなわち、或るエリアにおいて高い導電性を示すようになり、それにより蓄積されたエネルギーが下がり、電荷が少なくなる傾向があり、内部熱が生成される)。
【0009】
通常のMLCCを形成するために用いられる製造方法に戻ると、交互に対を成す複数の導電性プレート間にセラミック系スラリーのような誘電体スラリーを塗布することによって、キャパシタを形成することができる。しかしながら、MLCCの製造は、プレートの代わりに、導電性インク又は導電性ペースト(例えば、銀のような導電性材料を含むインク又はペースト)を使用することに大きく移行してきた。このインク又はペーストは、担体ポリマーフィルム上に予め成形された誘電体スラリーの「グリーンテープ」上にスクリーン印刷することができる。上述されたことと同じく、交互に配置される誘電体テープ及び電極塗布からなる数多くの層を積重し、貼り合わせて、最終的なMLCC製品を形成することができる。
【0010】
約500〜約1000の層を有する多層セラミックキャパシタを達成することができる。ただし、多くの場合に誘電体層が約1ミクロン厚未満である。MLCCの層厚を低減することは、ヘッドルームを節約することと直接関連するが、多くの場合に重要なのはヘッドルームではない。実際には、MLCCのような受動電気部品を収容するために必要とされる全表面積が、電気回路において重要な問題(real estate)となる。
【0011】
表面実装技術を用いて受動部品が占有する空間を低減するために、0402サイズ(約0.04インチ×約0.02インチ)が最も一般的なサイズとして本格化しつつあり、0201(約0.02インチ×約0.01インチ)も信頼性を確保して製造することができる。一般的に言うと、キャパシタンスを一定に保持するとき、小さいMLCCほど良好である。しかしながら、誘電体層及び電極層の厚みを継続的に削減していくと製造上の問題が生じる可能性があるので、単に占有空間を減らしながら層の数を増やすことには限界がある。それゆえ、セラミックキャパシタのサイズを小さくし、かつキャパシタンス密度を高める動向を継続するための代替的な方法を提供する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで開示される実施形態、並びにその特徴及び態様は、電極表面の実効面積を増やすことによってキャパシタンス効率を改善するキャパシタ、及び製造方法の提供に関する。より具体的には、改善された「3次元」キャパシタは、誘電体との相互接続点において3次元の様相を有する電極層を用いて構成することができる。有利には、3次元キャパシタの実施形態は、当業者に既知である現在のキャパシタ設計と比べて、キャパシタを収容するために回路内に必要とされる占有空間を大幅に削減する。必ずしも高k(高い比誘電率)誘電体材料を必要とすることもなく、常に増え続けるスタック内に付加的な「電極−誘電体−電極」構成を追加することもなく、複数のキャパシタを直列につなぎ合わせることもなく、高いキャパシタンス密度の増加を実現することができる。
【0017】
3次元キャパシタの例示的な実施形態は、本明細書においてセラミック系キャパシタとの関連で開示されるが、3次元キャパシタの種々の実施形態は必ずしもセラミック系部品を含まなくてもよく、それゆえ、本発明の範囲はセラミック系実施形態には限定されないことは当業者には理解されよう。さらに、開示される実施形態の誘電体層、陽極層及び陰極層は本明細書において包括的に「プレート」又は「層」と呼ばれる場合もある。しかしながら、本開示は、3次元キャパシタの全ての実施形態において導電層又は誘電体層が「硬い」又は「堅い」プレートでなければならないように解釈されるべきではない。むしろ、示される特定の例示的な実施形態との関連において解釈されるように、用語「プレート」は、硬いプレート、又はインク、ペーストを塗布することによって作り出されるプレート、変形可能な物体の構造等を含む、任意の部品層、又はその作製方法を含むように理解されたい。すなわち、用語「プレート」は単に3次元キャパシタ内の特定の層を指しており、そのような層は、その層が関連付けられる例示的な実施形態の開示に関して記述される場合がある特徴及び態様によってのみ制限されることを理解されたい。
【0018】
一般的に、本開示において記述される特定の実施形態は、例示のためにのみ与えられ、3次元キャパシタの範囲を制限するものと解釈されない。さらに、3次元キャパシタの種々の実施形態は種々の構成要素又は材料の選択肢を利用することができるが、本開示における例示的な実施形態に関して記述される例示的な材料は、3次元キャパシタ内に含まれる場合がある材料又は構成要素の包括的な列挙として意図するものではない。3次元キャパシタ、詳細には、陽極層、陰極層、端子、導電性突出部、誘電体又は「グリーンテープ」層等の3次元キャパシタの機構を作り出すために用いられる材料は、実施形態によって異なり、おそらく或る特定の実施形態の新規の特徴又は態様を生み出すのに役に立つが、本開示の範囲を制限しない。
【0019】
所与の3次元キャパシタの種々の構成要素又は機構のための材料選択は、限定はしないが、電極の場合−銀(重量パーセントで約100%)、銀パラジウム合金(重量パーセントで約95%Ag:約5%パラジウム)、パラジウム、並びに限定はしないが、金、白金、イリジウム及びそれらの合金のような他の貴金属、並びに限定はしないが、タングステン、モリブデン、タンタル、ニオブ、ハフニウム及びレニウムのような耐火金属、並びに限定はしないが、ニッケル、ニッケル合金、銅及び銅合金のような卑金属を含み、誘電体層の場合:セラミック及びガラスセラミック、限定はしないが、銀被覆セラミック、パラジウム被覆セラミック、銀パラジウム被覆セラミック等の貴金属被覆セラミック、並びに銀被覆調製チタン酸バリウム系誘電体、銀被覆ガラスビーズ、並びに限定はしないが、酸化アルミナ及び酸化タンタルのような無機酸化物を含む。
【0020】
ここで図面を参照すると、例示的な3次元キャパシタの種々の態様、特徴及び実施形態、並びに製造方法が更に詳細に提示されることになる。なお、同様の参照番号は図面全体を通して同様の構成要素を表す。図面及び詳細な説明において記述されるような例は説明として提供されており、3次元キャパシタ、3次元キャパシタを形成する方法、又は3次元キャパシタ内に含まれる場合がある構成物の具体的な材料の範囲を制限するものとして意図していない。それゆえ、3次元キャパシタは、添付の特許請求の範囲及び当業者に理解されるようなその均等物の範囲内にある、以下の例の任意の変更及び変形を含む。
【0021】
3次元キャパシタの例示的な実施形態によれば、誘電体層において被覆されていないセラミック粒子の代わりに金属被覆されたセラミック粒子を用いることによって、3次元キャパシタの実施形態を作り出すために、変更済みの製造工程を用いることができる。被覆された誘電体材料を選択することと、改善された製造方法とを合わせて、3次元キャパシタの実施形態を実施することができる。
【0022】
3次元キャパシタの幾つかの実施形態は、多層セラミックキャパシタ(MLCC)等を含み、それゆえ、本開示において説明及び図示される3次元キャパシタの実施形態の多くは、MLCC内の単一の3層を表すことができる単一の「電極−誘電体−電極」構成(EDE)のみを示すことを意図していることは理解されたい。
【0023】
図1及び
図2は合わせて、本発明の例示的な実施形態による、EDE3層を有するMLCCを生成するために用いることができる1つの例示的な製造プロセス100を示す。
図1を参照すると、MLCCの製造プロセスにおいて、セラミック粉末205を、限定はしないが、溶媒、ポリマー樹脂及び分散剤のような添加剤を含むことができる化合物のような担体に混合入して(ステップ105)、セラミックスラリー210を形成する。セラミックスラリー210を用いて、本プロセスのテープ成形ステップ110において、「グリーンセラミックテープ」215を成形する。グリーンテープ215は、セラミック粉末スラリーから形成されており、最終的には、キャパシタの誘電体層としての役割を果たすことになる。例示的なグリーンテープは、ここではセラミックスラリーから形成されるように記載したが、本発明の実施形態は、セラミック以外に、又はセラミックに加えて、限定はしないが、調整チタン酸バリウム系誘電体、限定はしないが、低温同時焼成セラミックにおいて用いられるCa−B−Si−O系ガラスセラミック、及び高温同時焼成セラミックにおいて用いられるアルミナガラスセラミックのようなガラスセラミック、並びに種々の金属被覆セラミック、並びに無機酸化物及び化合物のような材料から作製されるグリーンテープ構成要素を含むことができることは理解されよう。被覆又は混合のために用いられる金属は、限定はしないが、銀パラジウム合金(例えば、銀パラジウム組成の重量パーセントで、約95%Ag及び約5%Pd、より好ましくは約90%Ag及び約10%Pd、最も好ましくは約70%Ag及び約30%Pdの範囲内)、並びにパラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金、及びイリジウム、ロジウム、ルテニウムのような他の貴金属又はそれぞれの合金、限定はしないが、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、チタン、亜鉛のような卑金属、並びに限定はしないが、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、タンタル及びニオブのような耐火金属を含むことができる。
【0024】
グリーンテープの表面テクスチャリングは機械的なローラーを用いて行なうこともできる。例えば、グリーンテープ上で転がした後に、ローラー上のテクスチャをグリーンテープ上に転写することができる。その後、成形されると、グリーンテープ215は例示的なプロセスを進み、ステップ120においてスクリーン印刷される。
【0025】
ステップ120におけるスクリーン印刷前に、電極金属粉末220を担体化合物と混合して(ステップ115)、電極インク225を形成する。電極インク225をセラミックグリーンテープ215上にスクリーン印刷して(ステップ120)、最終的なMLCCの単一の誘電体−導体2層を形成する。ステップ105〜120は繰り返されるので、ステップ125において、それぞれが単一の誘電体−導体2層を含む、複数のスクリーン印刷されたグリーンテープシート230が積重され、スクリーン印刷された導電層と次のシートのグリーンテープの底面とを繰返し並置することによって、EDE3層が作り出されるようにする。ステップ125から生じるスタックは、ステップ130の積層プロセスにおいて貼り合わせられる。結果の貼り合わせられたスタック235は、その後、ステップ135において、複数の交互配置されたEDE3層で構成される個々のセラミックグリーンチップ240に変形される。
【0026】
図2においてプロセス100が継続し、ステップ140において、個々のセラミックグリーンチップ240が焼成プロセスにかけられる。焼成プロセス(ステップ140)では、グリーンセラミックチップ240はベルト式加熱炉等に通され、上記のスラリー内の有機物が除去され、それにより、グリーンセラミックチップ240が焼結されて、EDE3層で構成されるセラミックキャパシタチップ245になる。
【0027】
ステップ150において、焼結されたセラミックキャパシタチップ245は、その後、導電性金属粉末255から混合された(ステップ145)終端インク250に浸漬することによって、2つの端部それぞれにおいて金属化することができる。終端金属化は、交互になっている導電性プレート間(陽極と陽極及び陰極と陰極)の内部接続、及び回路基板に実装するための電気的接点を提供する。終端されたチップ260は、その後、ステップ155の終端焼成プロセスにおいて再び乾燥及び焼成され、MLCC265になる。最後に、終端金属化を保護し、かつハンダ付け接続を容易にするために、ステップ160のめっきプロセスにおいて、MLCC265にスズめっきを施すことができる。製造関連の当業者には既知であるように、MLCC265は、その後、回路内で使う(ステップ170)前に、品質管理のために、ステップ165において検査プロセスを通ることができる。
【0028】
特有の構成要素選択と併用される変更済み製造プロセス
上述の例示的な被覆されていないセラミック粉末205の代わりに、金属被覆されたセラミック粒子を用いることによって、変更済みセラミックキャパシタ製造プロセス100を用いて、3次元キャパシタの実施形態を作り出すことができる。
【0029】
限定はしないが、銀被覆誘電体のような連続微粒子被覆を特徴とする金属被覆されたセラミック粉末が、3次元MLCCの種々の実施形態において利用される。これを書いた時点では、銀被覆ガラスビーズがTechnic社(Woonsocket, Rhode Island)及びPotters Industries社(Malvern, Pennsylvania)から入手可能である。
【0030】
通常、金属被覆セラミック粉末の金属被覆は、限定はしないが、貴金属MLCCの場合には銀又は銀パラジウム合金、卑金属MLCCの場合にはニッケル又はニッケル合金のような、電極層を作り出すために用いることができる導電性粉末と一致する。他の実施形態では、連続していない欠陥のある被覆を有する金属被覆セラミック粉末を用いることができる。さらに、所与の3次元キャパシタの実施形態に粉末が組み込まれる前の幾つかの金属被覆セラミック粉末において微粒子被覆は実質的にむらがないが、金属被覆セラミック微粒子をペーストに混合するプロセス中において、被覆の連続性に欠陥が生じる場合がある。被覆された微粒子が連続してむらのない被覆を特徴とするか、又は連続していない欠陥のある被覆を特徴とするかにかからず、被覆された微粒子を用いて、3次元キャパシタの実施形態の誘電体層を効果的に形成することができる。
【0031】
有利には、金属被覆とセラミック微粒子基板との間に特有の表面張力があるので、焼結温度に晒される結果として、金属被覆の不連続が生じる場合がある。金属被覆された微粒子を所与の焼結温度に晒すことによって、金属被覆が微粒子から流れ、隣接する微粒子間の空隙内に凝集できることは当業者には理解されよう。誘電体微粒子の表面から流れた金属被覆から結果として生成される凝集物は、並置される誘電体微粒子間の空洞内に沈降し、同時にMLCC内の陽極層又は陰極層と接触する場合があり、それにより、電極層から誘電体層の中に実質的に垂直に突出する、陽極層又は陰極層の導電性延長部を効果的に作り出す。特に、そして有利には、凝集した金属被覆からなる複数の突出部は、導電層に起因する表面積を増やすことによって、MLCCの全占有空間を広げることなく、MLCCのキャパシタンス密度を高める役割を果たす。焼結後に、金属被覆の幾つかの凝集体から生じる場合がある突出部の厚みは、約0.001ミクロン〜約10ミクロンの範囲にある全粒子厚の1%〜90%であると考えられている。
【0032】
種々の製造及び材料パラメーターを利用して、被覆された誘電体微粒子からの導電性被覆の流動及び凝集を制御することができ、それゆえ、特定のプロセスパラメーター設定の組み合わせ又は材料特徴が新規であるか、又は新規の結果を与えることができる場合であっても、プロセスパラメーター設定又は材料特徴の違いは本開示の範囲を制限しないことは当業者には認識されよう。金属被覆微粒子からの金属被覆の流動及び凝集に影響を及ぼすために利用することができる製造パラメーター及び材料特徴は、限定はしないが、金属被覆パーセンテージ、誘電体層の厚み、焼結温度及び焼結時間を含む。
【0033】
3次元キャパシタの幾つかの実施形態は、コアシェルセラミック粒子からなる誘電体材料選択を利用することができる。コアシェルセラミック粒子におけるコアはBaTiO
3の組成を有することができ、一方、シェルはキャパシタンスの温度係数を変更するドーパントに富むことができる。組成分布(コアシェル構造)は、要求された温度範囲にわたって安定した誘電率を提供することができる。
【0034】
図3は、3次元キャパシタの1つの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層300の断面図を示しており、3次元構造(突出部)は誘電体微粒子上の導電性被覆から形成される。誘電体層305は、例えば、金属被覆されたセラミック粒子315を含むことができ、セラミック微粒子上の導電性金属被覆は、限定はしないが、銀パラジウム合金、パラジウム、パラジウム合金、白金、白金合金、銀、銀合金、金、金合金等を含むことができる。誘電体微粒子上に銀パラジウム被覆を含むことができる実施形態の非限定的な一例として、銀パラジウム被覆の組成の重量パーセントは、約95%Ag及び約5%Pd、より好ましくは約90%Ag及び約10%Pd、最も好ましくは約70%Ag及び約30%Pdの範囲とすることができる。
【0035】
幾つかの実施形態において用いられる誘電体微粒子上の導電性金属被覆は、限定はしないが、イリジウム、ロジウム及びルテニウムのような他の貴金属及びそれぞれの合金を含むことができる。加えて、幾つかの実施形態は、限定はしないが、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、チタン、亜鉛のような卑金属を含む金属被覆を有する微粒子を含むことができる。さらに、更に他の実施形態は、限定はしないが、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、タンタル及びニオブのような耐火金属で被覆された誘電体微粒子を含むことができると考えられる。
【0036】
さらに、例示的な誘電体層305は被覆されたセラミック粒子で構成されるように記述されるが、層305内の被覆された粒子の誘電体部分は、限定はしないが、セラミック及びガラスセラミック、限定はしないが、銀被覆セラミック、パラジウム被覆セラミック、銀パラジウム被覆セラミック等の貴金属被覆セラミック、並びに銀被覆調製チタン酸バリウム系誘電体、銀被覆ガラスビーズ、並びに限定はしないが、酸化アルミナ及び酸化タンタルのような無機酸化物のような、セラミック以外の誘電体物質で構成される場合もあるとも考えられる。また、セラミック粒子315上の金属被覆320は、誘電体グリーンシートを作り出す前には実質的に均一とすることができるが(図示せず)、焼結後に、金属被覆320は有利には不連続になる。
【0037】
誘電体層305は、2つの電極プレート310Aと310Cとの間に配置されるセラミック粒子315の完全な層として示される。特に、
図3の図において、プレート310Aは陽極プレートを表すものとして示され、プレート310Cは陰極プレートを表すものとして示されているが、応用形態の要求に応じて、いずれかの導電性プレート310が充電キャパシタの陽極又は陰極として動作できることは当業者には理解されよう。誘電体層305のセラミック粒子の粒径は通常、約0.01ミクロン〜約10ミクロンの範囲にあるが、当業者によって理解されるように、他の誘電体粒子の粒径も可能である。
【0038】
上記で説明されたように、セラミックチップの焼結後の金属被覆320の不連続性は主に、限定はしないが、金属とセラミックのような、被覆された誘電体粒子315の異種の材料間の表面張力に起因する。一般的に、焼結温度に達した後に、その温度によって、金属被覆320が流れ、誘電体セラミック粒子315間の空洞325内に凝集する。有利には、溶融した微粒子被覆から生じる凝集した金属320は冷えて、陽極プレート310A又は陰極プレート310Cのいずれかから誘電体層の中に実質的に垂直下方に延在又は突出する複数の3次元構造又は突出部320を形成することになる。導電性材料で構成される3次元構造320の多くは、EDE3層300の陽極プレート310A又は陰極プレート310Cのいずれかとの界面構造330を形成することができる。誘電体粒子315間全てに分散される誘電体材料を用いて、導電性プレート310A、310Cに起因する全表面積を効果的に増やすことができ、それゆえ、キャパシタ300の全キャパシタンス密度を高めることができることは当業者には理解されよう。
【0039】
キャパシタンス密度増加の非限定的な例として、3次元キャパシタの実施形態は、どこにおいても、従来のキャパシタ設計よりも約10倍〜約1000倍の増加した容量密度を有すると推定されている。それでも、容量密度増加の上記の範囲は例示のためにのみ与えられ、本開示の範囲に関する制限要因ではない。回路内に同等の、又は概ね同等の占有空間を必要とする他の容量設計に比べて、所与の3次元キャパシタの実施形態は、有利には、より高い容量密度を有することができることは当業者には認識されよう。
【0040】
重要なことには、誘電体微粒子被覆315が凝集する結果として、誘電体層305及び導電層310に対して実質的に垂直な角度以外の角度も考えられ、それゆえ、3次元構造330が種々の層に対して実質的に垂直であるという上記の記述は、3次元キャパシタ300の範囲を制限しないことは当業者には理解されよう。形成される3次元構造315、320は両方とも、所与の導体プレートに起因する全表面積を増やすだけでなく、基本的に、所与のEDE3層300内に複数の小さなマイクロキャパシタ3層構成を形成する。
【0041】
上述の例示的な実施形態のような、3次元キャパシタ315を作り出すために誘電体層305において用いるのに適している金属被覆セラミック粉末は、商品化することができる。この革新的なキャパシタ構造は種々の誘電体微粒子材料及び被覆の組み合わせを含むことができるが、或る特定の組み合わせが他の組み合わせよりも好都合である場合がある。さらに、限定はしないが、金属被覆パーセンテージの選択、焼結温度及び焼結時間のような種々のパラメーターを用いて、3次元キャパシタ内の3次元構造の様相又は特性を制御できることは当業者には認識されよう。
【0042】
図4は、3次元キャパシタの1つの例示的な実施形態を形成する単一のEDE層400の断面図を示しており、3次元構造が、誘電体粒子又は被覆された誘電体粒子の誘電体スラリーに混合される金属粒子421から形成される。上述のプロセス100のステップ120と同じく、電極プレート410A、410Cはグリーンテープ215、405上に印刷され、グリーンテープ215、405は純粋な誘電体スラリー210から形成されるのではなく、金属粒子421及び誘電体粒子又は金属被覆誘電体微粒子415の混合物から形成される。
図3の実施形態に関して上述したように、金属被覆誘電体微粒子は、導電性被覆及び誘電体微粒子の任意の組み合わせで構成できると考えられるので、本明細書において、具体的な微粒子及び導電性被覆材料の選択及び組み合わせは例示的のために与えられており、本開示の範囲を制限しないことは理解されよう。同様に、金属微粒子421は、限定はしないが、銀、銀パラジウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金等を含む任意の適切な導電性材料で構成することができると考えられる。誘電体粒子415の金属被覆は、金属微粒子421との機械的な混合の結果として不連続になる場合があるが、焼結後に、その被覆は概ね流れ、誘電体層に対して実質的に垂直に3次元構造又は突出部420が形成されるように凝集することになり、或る物は上側電極との界面430A上に形成され、或る物は界面430B上に形成されて下側電極に接続され、金属微粒子421が全体にわたって凝集される。
【0043】
図3に示される3次元キャパシタ層の製造は、プロセス100に関して記述されたものと基本的に同じである。さらに、
図3に示される例示的な実施形態の3次元キャパシタを製造するために、通常、
図1及び
図2との関連で記述されたような製造プロセスに対して変更が加えられる。具体的には、ステップ105において、MLCC製造時に、セラミック誘電体粉末205の代わりに金属被覆された誘電体315が用いられる場合には、結果として形成される3次元キャパシタは、
図3の実施形態に類似の構造を有することになる。同様に、粉末205の代わりに、導電性微粒子421及び誘電体粒子又は被覆された誘電体微粒子415の機械的な混合が取り入れられる場合には、結果として形成される3次元キャパシタは、
図4の実施形態に類似の構造を有することになる。
【0044】
特有の構成要素選択及び付加的な製造ステップ
種々の新規の構成要素選択に対応するために付加的な製造ステップを組み込むことによって、特有のセラミックキャパシタ製造プロセス100を用いて3次元キャパシタを作り出すことができる。
【0045】
図5は3次元キャパシタの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層500の断面図を示しており、金属粒子521が誘電体グリーンテープ215、505に埋め込まれる。金属粒子521が誘電体粒子515間の空隙に押し込まれるように、微細粒子を含む金属粉末をスラリーにして、プロセス100に関して記述された誘電体グリーンテープ215の表面上に塗布することができる。
図3及び
図4の実施形態に関して説明されたのと同様に、金属微粒子521は、限定はしないが、銀、銀パラジウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金等を含む任意の適切な導電性材料で構成できると考えられる。したがって、金属微粒子の材料選択肢は、当業者であれば思いつくはずであり、本開示の範囲を制限しないことは理解されよう。
【0046】
基本的に、微細粒子の金属スラリーを塗布することによって、金属粒子521が誘電体テープ215、505の「細孔」内に入り込み、それにより、プレート510A、510Cとの界面530を形成する突出部522を作り出すように凝集する可能性がある。有利には、界面を形成する任意の突出部522は、導電性プレート510A、510Cに起因する表面積を効果的に増やす働きをすることができる。
【0047】
再びプロセス100を参照すると、電極スクリーン印刷ステップ120において電極インク510A、510Bを印刷する前に、相応に小さな粒径の金属微粒子521を含むスラリーの堆積物を誘電体テープ215に塗布することができるように、ステップ110の後に、かつスクリーン印刷ステップ120の前に、付加的なステップを追加することができる。
【0048】
図6は、3次元キャパシタの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層600の断面図を示しており、金属粒子621が誘電体グリーンテープ215、605の中に埋め込まれ、導体プレートは、誘電体層605に隣接する低融点電極材料層を含む。
図5の実施形態と同様に、
図6は、誘電体層605に隣接する低融点金属導体611A、611Cを拡散することによって形成される電極構造を示す(低融点は、主導体プレート610A、610Cに用いられる材料の融点に対するものである)。例えば、約95%Ag/約5%Pd(銀/パラジウム合金)の上側電極層610A、610Cの下に100%銀電極611A、611Cを用いることによって、焼結ステップ140中に誘電体微粒子615間の空洞に流れ込む金属を増やすことができ、それにより、オプションの埋め込まれた金属微粒子621とともに、3次元構造又は突出部622を作り出すことができる。特に、
図6の図は、低融点導体層611A、611C及び埋め込まれた金属微粒子621の両方を含む実施形態を示すが、低融点材料が焼結時に誘電体微粒子615間の空隙内に流れ込むのに応じて、導電性突出部を相応に生成することができるので、類似の実施形態は埋め込まれた微粒子621を含まない場合があることは理解されよう。
【0049】
図3及び
図4の実施形態に関して説明されたものと同じように、金属微粒子621は、限定はしないが、銀、銀パラジウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金等を含む任意の適切な導電性材料で構成できると考えられる。したがって、金属微粒子の材料選択肢は、当業者であれば思いつくはずであり、本開示の範囲を制限しないことは理解されよう。重要なことには、例示的な
図6の実施形態に類似の実施形態では、主導体が誘電体に並置されるように、低融点導体層が主導体層の上方に配置されることが要求される場合があることも当業者には認識されよう。
【0050】
再びプロセス100を参照すると、同じステップにおいてであるが、主電極610の印刷に先行して低融点電極ペーストが印刷されるように、スクリーン印刷ステップ120内に付加的なステップを追加することができる。
【0051】
図3〜
図6に関して説明及び図示してきた3次元キャパシタの例示的な実施形態は、限定はしないが、銀、銀/パラジウム合金、ニッケル、ニッケル合金、銅又は銅合金のような、主に導電性微粒子を含む電極層又は硬いプレートを利用する。しかしながら、3次元キャパシタの他の実施形態は、限定はしないが、銀被覆セラミック微粒子又は導電性被覆と非導電性材料との任意の組み合わせのような、金属被覆された非導電性材料を含む陽極層及び陰極層を利用する。さらに、3次元キャパシタの導電層のために金属被覆された非導電性材料を利用するそのような実施形態では、非導電性材料に起因する導電層又は代替的には導電性被覆における具体的な重量パーセントは実施形態によって異なる場合があり、約1%〜約90%の範囲とすることができる。有利には、そのような実施形態は、3次元構造の種々の利点を提供することに加えて、従来のキャパシタ構成よりも優れたコスト削減を実現することができる。
【0052】
図7は、3次元キャパシタの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層700の断面図を示しており、金属被覆された微粒子720を用いて、間に誘電体層705が狭持される導電層710A、710Cを作り出している。例示的な
図7の実施形態では、スクリーン印刷ステップ120においてグリーンテープ705上に塗布される電極インク225は、限定はしないが、金属被覆されたセラミック粉末のような導電性被覆微粒子、並びに当業者であれば思いつくことができる任意の他の微粒子及び被覆の組み合わせを含むことができる。有利には、ステップ140において焼結温度に晒すと、電極層710上の溶融した微粒子被覆が凝集することから3次元金属網720が生じるときに、インクから機能的な電極層710が形成される。重要なことには、幾つかの実施形態では、電極層710内の3次元金属網720は、電極及び誘電体を機械的に混合することによって達成することもできる。
【0053】
図8は、3次元キャパシタの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層800の断面図を示しており、誘電体層805と、電極層810A、810Cとの間に金属被覆セラミック層811A、811Cが形成される。この例示的な実施形態における誘電体層805は、例えば、被覆されていない標準的なセラミックのような誘電体材料から形成することができる。金属被覆セラミック層811は網状構造820を形成し、それぞれの電極層810に電気的に接続される。3次元キャパシタの
図6の実施形態に関して説明された低融点導電層と同様に、標準的な電極810A、810Cを印刷する前に、金属被覆セラミック粒子を含むインクを用いて、ステップ120において金属被覆セラミック層811を印刷することができる(代替的には、幾つかの実施形態においては、金属被覆セラミック微粒子層の前に、標準的な電極層を印刷することができる)。
【0054】
図3〜
図8において説明及び図示されてきた3次元キャパシタの例示的な実施形態は、誘電体微粒子上の導電性被覆を制御しながら流動させることによって、及び/又は導電性粒子を埋め込むことによって形成される実施形態である。
【0055】
機械的な変形ステップ及び/又は予め設計されたプレート形状を用いる製造プロセス
3次元キャパシタの幾つかの実施形態は、設計された導体/誘電体構造、及び/又は機械的な変形技法によって誘電体層に対して実質的に垂直に配置される3次元構造を有する。
【0056】
図9は、3次元キャパシタの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層900の断面図を示しており、3次元構造(又は突出部)920が、陽極層910A及び陰極層910Cから誘電体905の中に垂直に突出する。2つの電極910は、誘電体層905によって分離される。例示的な
図9の実施形態における誘電体層905は、限定はしないが、被覆されていない標準的なセラミックのような従来の誘電体材料から形成することができるが、種々の実施形態において、上述したのと同じような被覆された微粒子を用いることができると考えられる。
【0057】
当業者によって理解されるような任意の適切な機械的デバイス又は穿孔方法によって、電極突出部920を収容する「スロット」又は「細孔」が誘電体905内に作り出される。その後、それらのスロットを導電性材料で満たすことによって、実質的に垂直な3次元電極延長部又は指状突出部920が作り出される。それぞれの電極910A、910Cに接続されるとき、電極突出部920は、陽極突出部920及び陰極突出部920の対間の重なり921のエリアにおいて、主キャパシタ900内に付加的なキャパシタ構成を作り出す。上述の実施形態と同じく、電極延長部920は、主電極プレート910とともに、電極層の効果的な表面積を増やし、それゆえ、そのような3層900を含むキャパシタのキャパシタンス密度を高めるように働く。
【0058】
図9において、スロット及び対応する電極突出部920は、断面に対して垂直であるように示されている。しかしながら、エッジ金属化及び終端技法によって主導体プレートのうちの1つに電気的に接続される電極延長部920を設けるために、そのようなレイアウトは図示されないものの、突出部920を断面に対して平行にできることは理解されたい。スロットを作り出すのに適した方法は、限定はしないが、レーザドリリング、機械的なパンチング等を含むことができる。電極突出部を作り出すためにスロットを満たすのに適した方法は、限定はしないが、誘電体テープ上に電極インクを印刷してスロットを満たすこと、又は所与の導体層910から所与の電極920を絶縁するために、誘電体インクを印刷して変化するスロットを満たすことを含むことができる。パターニングはフォトリソグラフィー技術又はインプリント印刷によっても達成することができると考えられる。3次元キャパシタの実施形態を生み出すために誘電体内の細孔を利用するための他の方法は、当業者であれば思いつくはずであり、それゆえ、当業者に理解されるように、本明細書において図示され、説明された特定の例示的な実施形態は本開示の範囲を制限しない。
【0059】
図9に示される例示的な実施形態、及び類似の実施形態に関して、パターン密度、それゆえ、キャパシタンスは、スロットを形成する機械的手段、及びスロットを満たす印刷手段の分解能によって制限されることは当業者には明らかになるはずである。
【0060】
図10は、3次元キャパシタの例示的な実施形態を形成することができる単一のEDE3層1000の断面図を示しており、3次元構造(又は突出部)1020は、主導体層から誘電体層1005の中に突出する。上述の実施形態と同様に、
図10の例示的な実施形態は、有利には、誘電体1005に結合される陽極表面積及び陰極表面積を増やすことによって、キャパシタンス密度を高める。電極構造1020は、限定はしないが、インプリント印刷、成形等のパターニング技法によって形成することができる。すなわち、3次元構造1020は、例示的なプロセス100のステップ120において電極層1010をスクリーン印刷する前に、誘電体グリーンテープ215に対して、歯を有するダイを当てる(例えば、型押しする)ことによって、変更済みのグリーンテープ構成要素内に作り出すことができる。
【0061】
例示的な
図10の実施形態における誘電体層1005は、被覆されていない標準的なセラミックのような従来の誘電体材料から形成することができるが、全ての実施形態において必要であるとは限らない。変更済みのグリーンテープをスクリーン印刷すると、電極1010は、グリーンテープを型押し又は成形することから生じた例示的な歯形に起因する、変更済みの誘電体層1005への突起1020を得る。突起1020は、延長された電極としての役割を果たし、主キャパシタ1000内に電荷を収集する付加的な表面積を効果的に作り出すことができる。
【0062】
図10の例示的な実施形態及び類似の実施形態を製造する場合、製造プロセス100に対する変更は、「テープ成形」ステップ110後に、又はその最中に、誘電体テープにテクスチャを追加することを含むことができる。特に、3次元キャパシタの類似の実施形態において、図示されるもの以外の突起1020のパターンを用いることができることは当業者には理解されよう。
【0063】
本明細書において記述される複数のプロセス又はプロセスフローにおける或る特定のステップは、所与の3次元キャパシタの実施形態が、記述したように機能するために、当然他のステップに先行しなければならない。しかしながら、そのような順序又はシーケンスがそこから生じる3次元キャパシタの機能を変更しない場合には、3次元キャパシタの製造は、記述されたステップの順序には限定されない。すなわち、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、幾つかのステップを他のステップの前、後又は同時に実行できることを認識されたい。幾つかの場合においては、本発明から逸脱することなく、或る特定のステップを削除することも実行しないこともできる。
【0064】
上述のような3次元キャパシタは、約1層〜約1000層、好ましくは約300層〜約500層を含むことができ、誘電体層厚は多くの場合に約1ミクロン〜約50ミクロンである。単一の誘電体層のみが利用されるとき、単層キャパシタが形成され、単層キャパシタは多くの場合に低温同時焼成セラミック(LTCC)技術における受動素子集積化において見られる。3次元キャパシタは、0402サイズ(約0.04インチ×約0.02インチ)程度の小さなサイズを含むこともでき、さらには、0201サイズ(約0.02インチ×約0.01インチ)を含むこともできる。
【0065】
上述の例示的な3次元キャパシタの実施形態は、いわゆる、「テーププロセス」(
図1及び
図2に示す)を利用する。しかしながら、3次元キャパシタの実施形態は、誘電体スラリーを用いて誘電体層が実際に印刷される、いわゆる「ウエットプロセス」を用いて形成することもできると考えられる。
【0066】
実施形態の詳細な説明を用いて、3次元キャパシタ及びその製造方法を説明してきたが、その実施形態は例として与えられており、本開示の範囲を制限することは意図していない。説明した実施形態は種々の特徴を含むが、3次元キャパシタの全ての実施形態において必ずしもそれらの特徴の全てが必要とされるとは限らない。3次元キャパシタの幾つかの実施形態は、それらの特徴、又はそれらの特徴の可能な組み合わせのうちの幾つかしか利用しない。3次元キャパシタ及びその製造方法の実施形態の変形形態は、当業者に理解されるように、本発明の範囲内に含まれる。
【0067】
MLCCと関連して本明細書において開示されるシステム、デバイス、方法及び構成、又はその特徴若しくは態様は、限定はしないが、埋込受動部品の応用形態の場合のセラミック基板及びプラスチックポリマー基板のような、関連するか、又は類似の他の応用形態において使用できると考えられる。したがって、開示される実施形態、又はその変形形態は、他の応用形態の中でも、低温同時焼成セラミック(LTCC)応用形態、高温同時焼成セラミック(HTCC)応用形態、厚膜ハイブリッド回路及びプリント回路基板(PCB)に組み込むことができることは当業者には認識されよう。さらに、3次元キャパシタ内の電極突出部は、有利には、超伝導体又は超伝導体の応用形態において望ましい場合がある電極表面積の増加を引き起こすので、開示される実施形態、又はその変形形態は、スーパーキャパシタ、又はスーパーキャパシタの応用形態において利用することができると考えられる。