(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライダーにより前記第1可動体及び前記第2可動体を押圧することによって前記第1可動体及び前記第2可動体を前記近接状態から前記離隔状態に変更することが可能であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
前記スライダーにより前記第1可動体及び前記第2可動体の少なくとも一方を押圧することによって前記第1可動体及び前記第2可動体を前記近接状態から前記離隔状態に変更することが可能であることを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
前記第1ハウジングと前記付勢部材との間において前記貫通孔の少なくとも一部と重なる位置に配置される内挿部材をさらに備えていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなガイドハウジングでは、ガイド孔の上端を相手側コンタクトと略同径とすることにより、相手側コンタクトをガイド孔からコンタクト挿入孔へ導きやすくしている。したがって、相手側コンタクトがガイド孔に挿入された状態では、相手側コンタクトとガイド孔を画定するガイドハウジングの内周面とが近接している。
【0006】
ところで、上述したコネクタが搭載される自動車の電源や動力源(エンジン等)近傍では振動が生じやすく、これに伴ってガイドハウジングも振動する。しかし、相手側コンタクトとガイドハウジングの内周面とは近接しているため、ガイドハウジングが振動すると、その振動が相手側コンタクトに伝わり、相手側コンタクトが破損するおそれがある。また、ガイドハウジングだけでなく基板も振動することで共振が生じると、相手側コンタクトへ伝わる振動が大きくなるため、相手側コンタクトはより破損しやすい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、相手側コンタクトの破損を防止するコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタは、基板を挟んで互いに反対側に配置される第1コネクタ及び第2コネクタと、前記第2コネクタに対して移動可能に取り付けられたスライダーとを備えている。
第1コネクタは、前記基板と直交する方向に延びる第1コンタクトを挟んで互いに反対側に配置される第1可動体及び第2可動体を収容する第1ハウジングと、前記第1可動体及び前記第2可動体に対して互いに離隔する方向に付勢力を与えることが可能な付勢部材とを有する。ここで、前記第1ハウジングに収容された前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記付勢部材から付勢力が与えられ且つ前記第1ハウジングにより互いに離隔する方向への移動が規制された近接状態から、前記近接状態におけるよりも前記第2コネクタから離隔し且つ前記付勢部材による付勢力により前記近接状態におけるよりも互いに離隔した離隔状態に遷移可能である。また、前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記近接状態において、前記第1コンタクトの径以上の最小径を有しており、前記基板に近づくに連れて径が小さくなった領域を有するコンタクト挿入孔を画定している。
さらに、第2コネクタは、前記コンタクト挿入孔及び前記基板を貫通した前記第1コンタクトと電気的に接続される第2コンタクトが装着された第2ハウジングを有する。
そして、前記第1コンタクトが前記コンタクト挿入孔及び前記基板を貫通して前記第2コンタクトと電気的に接続された状態において、前記スライダーを移動させることによって前記第1可動体及び前記第2可動体を前記近接状態から前記離隔状態に変更することが可能である。
【0009】
本発明によると、第1コンタクト及び第2コンタクトが電気的に接続された状態において、第1可動体及び第2可動体を離隔状態にすることにより、第1可動体及び第2可動体を第1コンタクトから遠ざけることができる。これにより、第1ハウジングが振動し、また、基板が振動することで共振が起こっても、この振動が第1コンタクトに伝わるのを防止できるため、第1コンタクトの破損を防止できる。
【0010】
また、本発明において、前記スライダーにより前記第1可動体及び前記第2可動体を押圧することによって前記第1可動体及び前記第2可動体を前記近接状態から前記離隔状態に変更可能であることが好ましい。本構成によると、第1可動体及び第2可動体を押圧するという簡易な構成で、第1可動体及び第2可動体を第1コンタクトから確実に遠ざけることができる。
【0011】
また、代替的には、本発明のコネクタは、基板を挟んで互いに反対側に配置される第1コネクタ及び第2コネクタと、前記第2コネクタに対して移動可能に取り付けられたスライダーとを備えており、前記第1コネクタは、前記基板と直交する方向に延びる第1コンタクトを挟んで互いに反対側に配置される第1可動体及び第2可動体を収容する第1ハウジングと、前記第1可動体及び前記第2可動体に対して互いに近接する方向に付勢力を与えることが可能な付勢部材とを有する。ここで、前記第1ハウジングに収容された前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記付勢部材から付勢力が与えられた近接状態から、前記付勢部材による付勢力に抗って前記近接状態におけるよりも互いに離隔した離隔状態に遷移可能である。また、前記第1可動体及び前記第2可動体は、前記近接状態において、前記第1コンタクトの径以上の最小径を有しており、前記基板に近づくに連れて径が小さくなった領域を有するコンタクト挿入孔を画定している。
さらに、第2コネクタは、前記コンタクト挿入孔及び前記基板を貫通した前記第1コンタクトと電気的に接続される第2コンタクトが装着された第2ハウジングを有している。
そして、前記第1コンタクトが前記コンタクト挿入孔及び前記基板を貫通して前記第2コンタクトと電気的に接続された状態において、前記スライダーを移動させることによって前記第1可動体及び前記第2可動体を前記近接状態から前記離隔状態に変更することが可能である。
【0012】
上記構成によると、第1コンタクト及び第2コンタクトが電気的に接続された状態において、第1可動体及び第2可動体を離隔状態にすることにより、第1可動体及び第2可動体を第1コンタクトから遠ざけることができる。これにより、第1ハウジングが振動し、また、基板が振動することで共振が起こっても、この振動が第1コンタクトに伝わるのを防止できるため、第1コンタクトの破損を防止できる。
【0013】
また、上記発明において、前記スライダーにより前記第1可動体及び前記第2可動体の少なくとも一方を押圧することによって前記第1可動体及び前記第2可動体を前記近接状態から前記離隔状態に変更可能であることが好ましい。本構成によると、第1可動体及び第2可動体の少なくとも一方を押圧するという簡易な構成で、第1可動体及び第2可動体を確実に離隔状態にすることができる。
【0014】
また、本発明において、前記付勢部材は前記第1ハウジングに収容され、前記第1ハウジングには、前記付勢部材に対向する位置に貫通孔が形成されていることが好ましい。本構成によると、第1ハウジング内に付勢部材が収容されていることを貫通孔から確認できる。また、第1ハウジングに貫通孔を形成することにより、第1ハウジングを軽量化できるとともに、第1ハウジングを簡易に持ち運ぶことができるため効率良くコネクタを組み立てることができる。
【0015】
さらに、本発明において、前記第1ハウジングと前記付勢部材との間において前記貫通孔の少なくとも一部と重なる位置に配置される内挿部材をさらに備えていることが好ましい。内挿部材により、貫通孔を塞ぐことができるため第1ハウジング内に異物が侵入することを抑止できる。また、内挿部材に貫通孔が形成されている場合は、第1ハウジング内に付勢部材が収容されていることを貫通孔から確認できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコネクタによると、第1コンタクト及び第2コンタクトが電気的に接続された状態において、第1可動体及び第2可動体を第1コンタクトから遠ざけることができるため、第1ハウジングが振動しても第1コンタクトが振動することを防止できる。これにより、第1コンタクトの破損を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0019】
コネクタ100は、
図1に示すように、基板110の上方に配置されたスライダー1及び雌コネクタ(第2コネクタ)2と、基板110の下方に配置されたガイドコネクタ(第1コネクタ)3とを備えている。スライダー1は、雌コネクタ2に対して上下方向に移動可能に取り付けられる(
図6参照)。また、基板110には、略矩形状の挿入孔110aが形成されている。挿入孔110aには、ガイドコネクタ(第1コネクタ)3の上端部が配置されている。
【0020】
(スライダー)
スライダー1は、
図1に示すように、絶縁性の樹脂で形成された略箱状のハウジング10を備えている。ハウジング10は、右壁11、左壁12、前壁及び後壁13を有し、これらの内側に雌コネクタ2を収容可能な空間が形成されている(
図2(a)参照)。
【0021】
図2(a)に示すように、ハウジング10には、長尺状のピン20が装着されている。ピン20は、上下方向に延在し、雌コネクタ2内に挿入される。
【0022】
(雌コネクタ)
雌コネクタ2は、
図1及び
図2(b)に示すように、絶縁性の樹脂で形成された略直方体状の雌ハウジング(第2ハウジング)30と、雌ハウジング30に装着された5つの雌コンタクト(第2コンタクト)40とを有する。
【0023】
<雌ハウジング>
雌ハウジング30には、
図1に示すように、雌コンタクト40を収容可能な5つの空間(収容室)31が左右方向に並んで形成されている。収容室31の上端は開口しており、スライダー1のピン20が上記開口から収容室31へ挿入可能となっている(
図2(b)参照)。
【0024】
また、雌ハウジング30の底壁32には、
図2(b)に示すように、上下方向に貫通した貫通孔32aが形成されている。貫通孔32aには、基板110を貫通したコンタクト130が下方から挿入される。貫通孔32aは、径が一定の上領域と、径が変化した下領域とを有する。下領域は、上領域から離れるにつれて径が大きくなるテーパ状に形成されている。このような構成から、コンタクト130を下方から貫通孔32aの先にある収容室31内へ挿入しやすくなっている。
【0025】
<雌コンタクト>
雌コンタクト40は、
図1及び
図2(b)に示すように、上端及び下端が開口した角筒部41と、角筒部41内を1周するように折れ曲がった曲折部42と(
図2(b)参照)、上下方向等に弾性変位する弾性部43と、収容室31外に配置された固定部44及び実装部45とを有する。固定部44は、弾性部43の下端から下方向に延在し、雌ハウジング30の底壁32に固定されている。また、実装部45は、固定部44の途中から斜め下方向に延在しており、基板110にハンダ接合される。
【0026】
角筒部41は、
図2(b)に示すように、前後方向に対向する前壁部51及び後壁部52を有する。前壁部51及び後壁部52には、それぞれ、互いに対向する方向に突出した突部が形成されている。
【0027】
曲折部42は、前壁部51から下方に向かって凸状に湾曲した下湾曲部61と、下湾曲部61から上方向に延在した直線部62と、直線部62から後壁部52に向かって凸状に突出した突出部63とを有している。前壁部51の突部と突出部63との間にはスライダー1のピン20が挿入され(
図2(a)参照)、後壁部52の突部と直線部62との間にはコンタクト130が挿入される(
図2(c)参照)。
【0028】
(ガイドコネクタ)
ガイドコネクタ3は、
図2(c)及び
図3に示すように、前後方向に対向した第1可動体70及び第2可動体80と、これらを収容する略箱状のハウジング(第1ハウジング)90とを有する。第1可動体70、第2可動体80及びハウジング90は、絶縁性の樹脂で形成されている。また、
図3に示すように、第1可動体70及び第2可動体80の間には、2つのバネ(付勢部材)120が配置されている。一方のバネ(付勢部材)120はガイドコネクタ3の右端部に配置され、他方のバネ(付勢部材)120はガイドコネクタ3の左端部に配置されている。第1可動体70及び第2可動体80は、略同じ構成であり、前後対称となるように配置されている。なお、以下では、主に第1可動体70について説明し、第2可動体80の説明を省略することがある。
【0029】
<第1可動体、第2可動体>
第1可動体70及び第2可動体80は、
図3に示すように、互いに対向する面と反対側の側部が3段(上段、中段、下段)の階段形状となっている。
【0030】
上段71,81の右端部及び左端部には、上方に向かって突出した突出部71a,71b,81a,81bが形成されている。第1可動体70及び第2可動体80をハウジング90内に収容すると、
図4(a)に示すように、上段71,81は、後述する近接状態において、ハウジング90外に配置される。また、この状態で、ガイドコネクタ3を基板110に取り付けると、
図2(c)に示すように、上段71,81は基板110の挿入孔110a内に配置される。また、突出部71a,71b,81a,81bの上端は、上下方向について基板110の上面より上方に位置している。
【0031】
また、
図3に示すように、下段73の左右方向に関する中央部には、凹部が形成されている。これにより、下段73の右端部73a及び左端部73bは中央部73cより上下方向の高さが高い。さらに、下段73,83の互いに対向する内側部には凹部73d,83dが形成されている。そして、2つの凹部73d,83dによりバネ120を収容可能な空間が形成される。
【0032】
バネ120は、前後方向に弾性変形し、第1可動体70及び第2可動体80に対して互いに離隔する方向に付勢力を与える。これにより、第1可動体70及び第2可動体80は互いに離隔する方向へ移動しようとするが、ハウジング90に収容された状態では(
図4参照)、ハウジング90によってその移動が規制され、近接状態(
図4、
図5(a)参照)から近接状態におけるよりも互いに離隔した離隔状態(
図5(b))に遷移可能である。なお、
図2(c)及び
図3,4は近接状態における図である。
【0033】
近接状態では、
図4及び
図5(a)に示すように、第1可動体70及び第2可動体80の対向面が略接している。この状態では、第1可動体70及び第2可動体80の対向面により、5つのコンタクト挿入孔(3A,3B等)が画定される。コンタクト挿入孔には、
図2(c)に示すように、上下方向に延在したコンタクト130が下方から挿入される。
【0034】
コンタクト挿入孔3Aは、径がテーパ状に変化したテーパ領域3tと、その上方において径が一定の上端領域3uとを有している(
図2(c)参照)。テーパ領域3tは、上端領域3uに近づくにつれて径が小さくなっている。そして、テーパ領域3tの上端及び上端領域3uは、コンタクト挿入孔3Aにおいて最小径となっており、これはコンタクト130の径以上の大きさである。
【0035】
コンタクト130がコンタクト挿入孔3Aへ下方から挿入されると、第1可動体70及び第2可動体80はコンタクト130を挟んで互いに反対側に配置される(
図6(b)参照)。
【0036】
一方、離隔状態では、
図5(b)に示すように、近接状態におけるよりもバネ120が前後方向に伸長することにより、第1可動体70及び第2可動体80が離隔している。
【0037】
<ハウジング>
ハウジング90は、
図3に示すように、底壁91と、右壁92と、左壁93と、上壁94とを有している。また、これらの内側には、第1可動体70及び第2可動体80を収容可能な収容空間が形成されている。右壁92及び左壁93には、厚み方向(左右方向)に貫通した貫通孔92a,93aが形成されている。また、右壁92及び上壁94の間には隙間s
1が形成され、左壁93及び上壁94の間にも隙間s
2が形成されている。隙間s
1,s
2には、補強タブ(内挿部材)140,150が挿入される(
図4参照)。
【0038】
底壁91には、厚み方向(上下方向)に貫通した5つのガイド孔(91a,91b等)が左右方向に並んで形成されている。ガイド孔91a,91bは、
図2(c)に示すように、下端に近付くにつれて径が大きくなっている(
図4(b)参照)。
【0039】
上壁94には、
図3に示すように、第1可動体70及び第2可動体80が嵌合可能な貫通孔94Aが形成されている。貫通孔94Aを画定する上壁94の内周部では、右端部及び左端部が前後方向に凹んでいる。このため、対向する内周部の離間距離(前後方向についての離間距離)は、中央部より右端部及び左端部の方が長い。
【0040】
第1可動体70及び第2可動体80をハウジング90に収容すると、貫通孔94Aの右端部94a及び左端部94b(内周部の離間距離が長い部分)には、第1可動体70の下段73の右端部73a及び左端部73b(角部が形成された部分)と第2可動体80の下段83の右端部及び左端部が嵌まる。また、貫通孔94Aの中央部94c(内周部の離間距離が短い部分)には、第1可動体70の中央部73c(凹部が形成された部分)及び第2可動体80の中央部が嵌まる(
図5参照)。
【0041】
<補強タブ>
補強タブ140,150は、
図3に示すように、略四角形状の板状の部材であり、絶縁性の樹脂からなる。補強タブ140,150の上端部は、略90度折り曲げられることにより略水平方向に延在している。上端部は、補強タブ140,150をハウジング90に装着した後、基板110の下面にハンダ接合される。これにより、スライダー1と基板110との接続強度を高めることができる。また、補強タブ140,150の中央付近には略円形状の貫通孔140a,150aが形成されている。
【0042】
近接状態では、
図5(a)に示すように、第1可動体70の下段73の左右両端部及び第2可動体80の下段83の左右両端部が、ハウジング90の上壁94の内周面に接している。これにより、第1可動体70及び第2可動体80がバネ120の付勢力によって互いに離隔する方向へ移動することを規制している。
【0043】
一方、離隔状態では、
図5(b)に示すように、近接状態におけるよりも第1可動体70及び第2可動体80が下方へ移動し、第1可動体70の下段73及び第2可動体80の下段83がハウジング90の上壁94と底壁91との間の空間に配置されている。この状態では、下段73,83が上壁94と接していないため、下段73,83の規制が解除されている。これにより、バネ120が近接状態におけるよりも伸長することにより、第1可動体70及び第2可動体80が近接状態におけるよりも互いに離隔している。
【0044】
なお、この状態では、
図6(c)に示すように、第1可動体70の中段72及び第2可動体80の中段82が、上壁94の内周面(
図5(b)に示す上壁94の中央部であり、対向する内周部の距離が短い部分)に接している。このため、第1可動体70及び第2可動体80は、所定の距離だけ離隔した状態で互いに離隔する方向への移動が規制されている。
【0045】
次に、第1可動体70及び第2可動体80を近接状態から離隔状態に変える工程について、
図6,7を参照しつつ説明する。ここで、
図6は
図1における前後方向に沿った断面図であるのに対し、
図7は左右方向に沿った断面図である。また、
図7の(a),(b)は、それぞれ、
図6の(b),(c)に対応する。
【0046】
先ず、
図6(a)に示すように、基板110に雌コネクタ2をハンダ接合する。このとき、スライダー1は雌コネクタ2の上部を覆うように配置され、ピン20が雌コンタクト40の前壁部51の突出部と曲折部42との間に挿入されていない(半嵌合)。また、基板110の下面にはガイドコネクタ3が固定され、第1可動体70及び第2可動体80が近接状態にある。
【0047】
次に、コンタクト130をガイドコネクタ3及び雌コネクタ2内に挿入する(
図6(b)及び
図7(a)参照)。コンタクト130は、下方からガイドコネクタ3のコンタクト挿入孔3Aを通過し、基板110を貫通して雌ハウジング30内に挿入される。コンタクト130が雌コンタクト40の後壁部52の突出部と曲折部42との間に挿入され、後壁部52及び曲折部42の少なくとも一方に接触することにより、これらの電気的接続が達成される。このとき、基板110の挿入孔110aでは、コンタクト130と第1可動体70の上段71及び第2可動体80の上段81とが近接している。また、
図7(a)に示すように、スライダー1の右壁11は、下方にあるガイドコネクタ3の突出部81aと上下方向に離隔している。同様に、スライダー1の左壁12も、下方にあるガイドコネクタ3の突出部と上下方向に離隔している(図示省略)。
【0048】
この状態からスライダー1を押し下げると(完全嵌合)、
図6(c)及び
図7(b)に示すように、スライダー1の右壁11がガイドコネクタ3の突出部71a,81aを下方向に押圧する。これにより、ガイドコネクタ3が押し下げられ、雌コネクタ2から遠ざかる。なお、
図7(b)に示す左壁12も同様にガイドコネクタ3の突出部を下方向に押圧している。これにより、
図6(c)に示すように、第1可動体70の下段73及び第2可動体80の下段83が下方に移動することで、下段73,83の外側面が上壁94に接しないようになる。その結果、バネ120が伸長し、第1可動体70及び第2可動体80が互いに離隔する方向に移動することによりコンタクト130から遠ざかる。その後、第1可動体70の中段72及び第2可動体80の中段82が上壁94に接することにより、第1可動体70及び第2可動体80の移動が規制される。
【0049】
また、スライダー1を押し下げることにより、
図6(c)に示すように、ピン20が雌コンタクト40の前壁部51の突出部と曲折部42との間に配置される。これにより、曲折部42がコンタクト130に向かって変位するため、雌コンタクト40とコンタクト130との接触性を向上させることができる。
【0050】
以上に述べたように、本実施形態のコネクタ100によると以下の効果を奏する。コンタクト130と雌コンタクト40とが電気的に接続された状態において、第1可動体70及び第2可動体80を離隔状態にすることにより、第1可動体70及び第2可動体80をコンタクト130から遠ざけることができる。これにより、ハウジング90が振動し、また、基板110が振動することで共振が起こっても、この振動がコンタクト130に伝わるのを防止できるため、コンタクト130の破損を防止できる。
【0051】
また、スライダー1によって第1可動体70の突出部71a,71b及び第2可動体80の突出部81a,81bを押圧するという簡易な構成で、第1可動体70及び第2可動体80をコンタクト130から確実に遠ざけることができる。
【0052】
さらに、ハウジング90の右壁92及び左壁93に貫通孔92a,93aが形成されていることにより、貫通孔92a,93aからバネ120がハウジング90内に収容されていることを確認できるとともに、ガイドコネクタ3を軽量化できる。また、貫通孔92a,93aを画定するハウジング90の縁部により、ガイドコネクタ3を簡易に持ち運ぶことができるため効率良くコネクタ100を組み立てることができる。
【0053】
加えて、ハウジング90の左右両端部に補強タブ140,150を挿入することにより、バネ120をハウジング90内に確実に収納できる。また、補強タブ140,150によりハウジング90の貫通孔92a,93aを塞ぐことができるため、ハウジング90内に異物が侵入することを抑止できる。さらに、スライダー1を押し下げた状態では、
図7(c)に示すように、ハウジング90の貫通孔92aと、補強タブ140の貫通孔140aと、バネ120とが左右方向に重なって配置されるため、貫通孔92aからバネ120がハウジング90内に収容されていることを確認できる。
【0054】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、
図8を参照しつつ説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、主に、ガイドコネクタの構成及び付勢部材の構成である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。なお、
図8には、コネクタの右端部の断面図を示している。
【0055】
(スライダー)
スライダー201のハウジングの右壁211は、上下方向に延在し、下部211lの幅(前後方向の長さ)が上部211uの幅がより狭い。下部211lの先端部は、斜面が形成されることで先細り形状となっている。また、ハウジングの左壁も、右壁211と同様に、先端部(下端部)が先細り形状となっている。なお、第2実施形態の右壁211及び左壁は、第1実施形態のスライダー1のハウジング10の右壁及び左壁よりも上下方向に長い。
【0056】
(ガイドコネクタ)
ガイドコネクタ203は、絶縁性の樹脂で形成され、
図8(a)に示すように、前後方向に対向した第1可動体270及び第2可動体280と、これらを収容した略箱状のハウジング(第1ハウジング)290とを有する。コンタクト130は、ハウジング290の底壁に形成されたガイド孔(図示省略)を下方から通過し、第1可動体270及び第2可動体280の間に挿入される。第1可動体270及び第2可動体280は、略同じ構成となっており、以下では、主に第1可動体270について説明し、第2可動体280の説明を省略することがある。
【0057】
<第1可動体、第2可動体>
第1可動体270の右端部には、
図8(a)に示すように、上下方向に延在した本体部271と、本体部271の下端から分岐した第1分岐部272及び第2分岐部(付勢部材)273とが設けられている。第1分岐部272は、下方向に延在し、本体部271から離れるにつれて幅が狭くなっている。一方、第2分岐部273は下方向に凸となるように曲がっている。このような構成から、第2分岐部273は前後方向に弾性変位可能となっている。また、本体部271の上端部には、第2可動体280に向かって下方に傾斜した傾斜面271aが形成されている。そして、第1可動体270の左端部も上述した右端部と同様な構成となっている。
【0058】
また、第2可動体280の右端部にも、第1可動体270と同様に、本体部281と、本体部281の下端から分岐した第1分岐部282及び第2分岐部(付勢部材)283とが設けられている。本体部281の上端部には、第1可動体270に向かって下方に傾斜した傾斜面281aが形成されている。そして、第2可動体280の左端部も右端部と同様な構成となっている。
【0059】
このように、本実施形態では、第1可動体270及び第2可動体280の一部が付勢部材となっている。そして、第1可動体270及び第2可動体280は、第1分岐部272,282が対向するように前後対称に配置されている。
【0060】
第1可動体270及び第2可動体280がハウジング290に収容された状態では、第2分岐部273,283がハウジング290の内壁に接しつつ前後方向に伸長することにより第1可動体270及び第2可動体280に対して互いに近接する方向に付勢力を与える。これにより、第1可動体270及び第2可動体280は近接状態(
図8(a)参照)から上記付勢力に抗って近接状態におけるよりも互いに離隔した離隔状態(
図8(b)参照)へ遷移可能である。
【0061】
近接状態では、
図8(a)に示すように、第1可動体270及び第2可動体280の対向面が略接している。この状態では、第1可動体270及び第2可動体280の対向面により、コンタクト130が挿入されるコンタクト挿入孔が画定される(図示省略)。コンタクト挿入孔は、上端に近づくに連れて径が小さくなったテーパ領域を有している。テーパ領域の上端はコンタクト挿入孔の最小径となっており、これはコンタクト130の径以上の大きさである。
【0062】
コンタクト130がコンタクト挿入孔へ下方から挿入されると、第1可動体270及び第2可動体280はコンタクト130を挟んで互いに反対側に配置される(
図8(b)参照)。
【0063】
一方、離隔状態では、
図8(b)に示すように、近接状態におけるよりも第2分岐部273,283が前後方向に収縮することにより、第1可動体270及び第2可動体280が離隔している。
【0064】
次に、第1可動体270及び第2可動体280を近接状態から離隔状態に変える工程について説明する。
【0065】
図8(a)には、スライダー1が雌コネクタ2に対して半嵌合状態であるときを示している。雌コネクタ2は基板310に対してハンダ接合されている。また、雌コネクタ2内には基板310を貫通したコンタクト130が下方から挿入されており、雌コンタクトとコンタクト130とが電気的に接続されている。この状態では、第1可動体270及び第2可動体280は近接状態にある。また、スライダーの右壁211が第1可動体270及び第2可動体280の上方に配置されている。
【0066】
この状態からスライダー201を押し下げると、スライダー201の右壁211が第1可動体270の傾斜面271a及び第2可動体280の傾斜面281aを下方に押圧することにより、本体部271,281に前後方向の分力が働く(本体部271には前方向の分力が働き、本体部281には後方向の分力が働く。)。これにより、第2分岐部273,283が収縮することで、第1可動体270及び第2可動体280が互いに離隔する方向へ移動し、コンタクトから遠ざかる(離隔状態、
図8(b)参照)。
【0067】
そして、
図8(b)に示す状態から、スライダー201を本体部271,281の上方まで引き上げると、本体部271,281に対して前後方向の分力が働かなくなる。これにより、第2分岐部273,283が伸長することで、第1可動体270及び第2可動体280が互いに近接する方向へ移動する(近接状態、
図8(a)参照)。
【0068】
以上から、本実施形態においても第1実施形態と同様に、コンタクト130と雌コンタクト40とが電気的に接続された状態において、第1可動体270及び第2可動体280をコンタクト130から遠ざけることができるため、ハウジング290が振動し、また、基板310が振動することで共振が起こっても、この振動がコンタクト130に伝わるのを防止できるため、コンタクト130の破損を防止できる。
【0069】
また、第1可動体270の上端部及び第2可動体280の上端部に傾斜面271a,281aを形成し、スライダー201によって傾斜面271a,281aを押圧するという簡易な構成で、第1可動体270及び第2可動体280をコンタクト130から遠ざけることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0071】
例えば、第1実施形態では、ガイドコネクタ3のハウジング90の右壁92及び左壁93に貫通孔92a,93aが形成されているが、ハウジング90に貫通孔92a,93aが形成されていなくてもよい。また、第2実施形態において、ガイドコネクタ203のハウジング290の右壁及び左壁に貫通孔が形成されてもよい。
【0072】
また、第1実施形態では、ハウジング90の左右両端部に補強タブ(内挿部材)140,150を挿入したが、補強タブ140,150を挿入しなくてもよい。また、第2実施形態において、ハウジング290の左右両端部に補強タブを挿入してもよい。
【0073】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、ガイドコネクタ3,203の第1可動体70,270及び第2可動体80,280が同様な構成であるが、これらは異なる構成でもよい。
【0074】
加えて、第1実施形態では付勢部材にバネ120を用い、第2実施形態では第1可動体270及び第2可動体280の一部を凸状に曲げることにより付勢部材としたが、付勢部材は上記に限られず、変更可能である。例えば、付勢部材にゴム等の弾性部材を用いてもよい。
【0075】
また、第1実施形態では、第1可動体70及び第2可動体80と付勢部材(バネ120)とが別部材であるが、第2実施形態のようにこれらを一体とする構成としてもよい。また、第2実施形態では、第1可動体270及び第2可動体280の一部を付勢部材としたが、これらを別部材としてもよい。例えば、第1可動体270とハウジング290との間及び第2可動体280とハウジング290との間にバネを配置してもよい。
【0076】
さらに、第2実施形態では、スライダー201によって第1可動体270及び第2可動体280を押圧したが、第1可動体270及び第2可動体280のいずれか一方を押圧する構成としてもよい。このような構成においても、押圧された可動体はコンタクト130から遠ざかるため、コンタクト130の振動を抑止できる。よって、コンタクト130の破損を防止できる。
【0077】
また、第2実施形態では、スライダー201の右壁211及び左壁の先端部を先細形状としたが、右壁211及び左壁は先細形状でなくてもよい。