(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子基板を内蔵した本体ケースの下面に、自身の前端部に軸部を有し、前記本体ケースの下面に対し左右方向を軸として回動自在、且つ、複数の傾斜角度で起立したまま保持可能な板状部材を備え、前記板状部材の前記本体ケースの下面に対する傾斜角度を調整することにより、前記板状部材の下面を卓上等に設置した際、前記本体ケースの前記卓上等の設置面に対する傾斜角度を調整可能とした通信機器であって、
前記板状部材を前記本体ケースの下面に対して着脱自在とするとともに、前記板状部材に壁面へネジ止めにより固定するための固定孔を穿設する一方、
前記本体ケースの下面に、前記本体ケースの外方へ開口していることにより前記軸部が進入可能で、且つ、後方へ延びる支持溝を設けるとともに、前記板状部材の後端部が前方から当接可能な被当接部を設け、
前記本体ケースから取り外し、前端部を壁面における下方へ、後端部を壁面における上方へ夫々向けた姿勢で壁面へ固定した前記板状部材に対し、前記本体ケースの下面をあてがい、前記軸部を前記支持溝へ進入させた後、前記軸部が前記支持溝の後端部に、前記板状部材の後端部が前記被当接部に夫々当接するまで前記本体ケースを前方へスライドさせ、前記本体ケースを前記板状部材に取り付けることにより、壁面へも設置可能としたことを特徴とする通信機器。
前記本体ケースの下面に、前記板状部材を収容可能な収容凹部を設けるとともに、前記支持溝及び前記被当接部を前記収容凹部内に設けたことを特徴とする請求項1に記載の通信機器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通信機器の本体ケースと専用の設置部材とをネジ止めする構成では、設置作業が煩わしいという問題がある。また、まず本体ケースと設置部材とをネジ止めした後、設置部材を壁面へネジ止めすることになるため、どうしても設置部材を本体ケースよりも大型にする必要があり、通信機器全体が大型化してしまうし、設置後の外観が悪くなるという問題もある。一方、同じ通信機器を卓上等に載置して使用することもあるが、その場合、設置部材とは別の部材を基台として介在させることが多く、交換作業が煩わしい、部品点数が増大する等の問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、本体ケースと設置部材との一体化が容易である上、卓上等で使用する場合にも設置部材を交換することなく使用することができる通信機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、電子基板を内蔵した本体ケースの下面に、自身の前端部に軸部を有し、本体ケースの下面に対し左右方向を軸として回動自在、且つ、複数の傾斜角度で起立したまま保持可能な板状部材を
備え、板状部材の本体ケースの下面に対する傾斜角度を調整することにより、板状部材の下面を卓上等に設置した際、本体ケースの卓上等の設置面に対する傾斜角度を調整可能とした通信機器であって、板状部材を本体ケースの下面に対して着脱自在とするとともに、板状部材に壁面へネジ止めにより固定するための固定孔を穿設する一方、本体ケースの下面に、本体ケースの外方へ開口していることにより軸部が進入可能で、且つ、後方へ延びる支持溝を設けるとともに、板状部材の後端部が前方から当接可能な被当接部を設け、本体ケースから取り外し、前端部を壁面における下方へ、後端部を壁面における上方へ夫々向けた姿勢で壁面へ固定した板状部材に対し、本体ケースの下面をあてがい、軸部を支持溝へ進入させた後、軸部が支持溝の後端部に、板状部材の後端部が被当接部に夫々当接するまで本体ケースを前方へスライドさせ、本体ケースを板状部材に取り付けることにより、壁面へも設置可能としたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、本体ケースから取り外し、前端部を壁面における下方へ、後端部を壁面における上方へ夫々向けた姿勢で壁面へ固定した板状部材に対し、本体ケースの下面をあてがい、軸部を支持溝へ進入させた後、軸部が支持溝の後端部に、板状部材の後端部が被当接部に夫々当接するまで本体ケースを前方へスライドさせ、本体ケースを板状部材に取り付けることにより、壁面へも設置可能としている。したがって、本体ケースと板状部材とをネジ止めしなくても、本体ケースを壁面へ設置可能であり、通信機器の壁面への設置作業が簡易となる。また、通信機器を卓上等で使用する際には、該板状部材を用いて角度調整を行うため、構成の合理化を図ることができ、交換作業が必要でなく使い勝手が良い、部品点数が少なくて済む等の効果を奏することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、本体ケースの下面に、板状部材を収容可能な収容凹部を設けるとともに、支持溝及び被当接部を収容凹部内に設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、本体ケースの下面に、板状部材を収容可能な収容凹部を設けるとともに、支持溝及び被当接部を収容凹部内に設けているため、板状部材が本体ケースよりも小さくなり、通信機器全体の小型化を図ることができる上、設置後に板状部材が見えにくく、外観も良くなるというメリットがある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、板状部材を本体ケースの下面に対して着脱自在とするとともに、板状部材に壁面へネジ止めにより固定するための固定孔を穿設する一方、本体ケースの下面に、本体ケースの外方へ開口していることにより軸部が進入可能で、且つ、後方へ延びる支持溝を設けるとともに、板状部材の後端部が前方から当接可能な被当接部を設けた。そして、本体ケースから取り外し、前端部を壁面における下方へ、後端部を壁面における上方へ夫々向けた姿勢で壁面へ固定した板状部材に対し、本体ケースの下面をあてがい、軸部を支持溝へ進入させた後、軸部が支持溝の後端部に、板状部材の後端部が被当接部に夫々当接するまで本体ケースを前方へスライドさせ、本体ケースを板状部材に取り付けることにより、壁面へも設置可能とした。したがって、本体ケースと板状部材とをネジ止めしなくても、本体ケースを壁面へ設置可能であり、通信機器の壁面への設置作業が簡易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ナースコールシステムにおけるナースコール親機を上面側から示した説明図である。
【
図2】角度調整機構として利用する際の設置板の取付態様を通話ユニットの下面側から示した斜視説明図である。
【
図3】壁面への設置機構として利用する際の設置板の取付態様を通話ユニットの下面側から示した斜視説明図である。
【
図4】設置板を取り外した状態にある通話ユニットを下面側から示した斜視説明図である。
【
図5】組み立て状態にある設置板を上面側から示した説明図である。
【
図6】分解状態にある設置板を上面側から示した説明図である。
【
図7】第1調整板を起立させた状態にある通話ユニットを下面側から示した斜視説明図である。
【
図8】第1傾斜角度だけ傾斜した姿勢で設置された通話ユニットを側方から示した説明図である。
【
図9】第2調整板を起立させた状態にある通話ユニットを下面側から示した斜視説明図である。
【
図10】第2傾斜角度だけ傾斜した姿勢で設置された通話ユニットを側方から示した説明図である。
【
図11】設置板を介して通話ユニットを壁面へ設置した状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態となる通話ユニットや選局ユニットについて、図面にもとづき詳細に説明する。
【0011】
図1は、ナースコールシステムにおけるナースコール親機1を上面側から示した説明図である。なお、
図1における上下方向を通話ユニット3等の前後方向とし、下方を前方とする。
ナースコール親機1は、ナースコールシステムを構成するものであって、各病室のベッドサイドに設置されるナースコール子機(図示せず)等との間で通話するためのハンドセット2を有する通話ユニット3、及び通話するナースコール子機を選局するための複数の選局スイッチ4、4・・を有する選局ユニット5、5等からなる。
【0012】
ここで、本発明の要部となる通話ユニット3の角度調整機構及び壁面への設置機構について
図2〜
図6をもとに説明する。
図2は、角度調整機構として利用する際の設置板11の取付態様を通話ユニット3の下面側から示した斜視説明図である。
図3は、壁面への設置機構として利用する際の設置板11の取付態様を通話ユニット3の下面側から示した斜視説明図である。
図4は、設置板11が取り外された状態にある通話ユニット3を下面側から示した斜視説明図である。
図5は、組み立て状態にある設置板11を上面側から示した説明図である。
図6は、分解状態にある設置板11を上面側から示した説明図である。
通話ユニット3は、種々の電子基板(図示せず)等を内蔵した略角箱状の本体ケース6の上面に、ハンドセット2や液晶画面7、スピーカ8、各種ボタン9、9・・等を備えてなるものであって、該本体ケース6の下面に、選局ユニット5との連結機構となる連結部10、及び角度調整機構となる設置板11や収容凹部12等が設けられている。連結部10は、選局ユニット5と連結するにあたり帯状の連結金具(図示せず)をネジ止めするための連結孔13を有する平面状部であって、本体ケース6の下面における左後部(下面側から見て)に設けられている。
【0013】
設置板11は、本体板15と、第1調整板16と、第2調整板17との3つの合成樹脂製板状部材を組み立ててなる。本体板15は、略矩形に形成されており、中央稍前寄りとなる位置には、第1調整板16の下面を本体板15の上面に当接させた傾倒姿勢で掛止するための第1掛止孔19が穿設されている。また、本体板15の左右両側面の前端部には、本体板15を本体ケース6の下面へ回動及び着脱自在に取り付けるための本体軸24、24が左右夫々外方へ突設されている。そして、各本体軸24の左右夫々内方に隣接して切り欠き25が設けられており、本体軸24に弾性を付与し、特に左右方向への撓みを許容している。さらに、本体板15の略中央部には、設置板11を通話ユニット3の壁面への設置機構として利用する際に、設置板11を壁面へネジ止めするための固定孔18、18・・が穿設されている。そして、本体板15の上面側における各固定孔18の開口縁に沿って、下方へ凹んだ段部18aが形成されており、設置板11を壁面へネジ止めした際にネジ頭を段部18a内に収容可能としている。
【0014】
一方、本体板15の中央稍後寄りとなる位置には、第2調整板17の下面を本体板15の上面に当接させた傾倒姿勢で掛止するための第2掛止孔20が穿設されている。また、本体板15の後端部には、第2調整板17を本体板15に対して回動自在に蝶着するための一対の第2蝶着軸21、21と、第2調整板17の回動時に第2調整板17の第2軸受け部33、33との干渉を避けるためのスリット22、22とが設けられている。さらに、本体板15の後縁に沿っては、第1調整板16を本体板15に対して回動自在に蝶着するための一対の第1蝶着軸26、26が設けられている。加えて、本体板15の左右両側縁の後端部には、設置板11を本体ケース6の下面側へ傾倒させた姿勢で係止するための係止爪27が夫々設けられている。なお、第2蝶着軸21、21は、第1蝶着軸26、26と平行となる、すなわち本体板15に対する第2調整板17の回動軸が、本体板15に対する第1調整板16の回動軸と平行となるように設けられている。
【0015】
第1調整板16は、本体板15よりも小型の矩形に形成されており、その左右両後端部には、本体板15の第1蝶着軸26、26を軸支するための第1軸受け部29、29が設けられている。また、第1調整板16の前縁部には、第1掛止孔19へ掛止可能な第1掛止爪30と、第1調整板16を本体板15に対して起立した姿勢で保持するための一対の第1保持突部31、31とが設けられている。さらに、第1調整板16の略中央部には、第2調整板17を収容可能な収容開口部32が開設されている。加えて、第1調整板16の後縁部に沿っては、設置板11を通話ユニット3の壁面への設置機構として利用し、壁面へネジ止めした設置板11へ本体ケース6を取り付ける際、本体ケース6の支持腕36が当接する支持部28が設けられている。
【0016】
第2調整板17は、収容開口部32内へ収容可能な略矩形体であって、後端部には本体板15の第2蝶着軸21、21を軸支するための第2軸受け部33、33が設けられている。また、第2調整板17の前縁部には、第2掛止孔20へ掛止可能な第2掛止爪34と、第2調整板17を本体ケース6に対して第2角度で起立した姿勢で保持するための一対の第2保持突部35、35が設けられている。
【0017】
そして、上記本体板15、第1調整板16、及び第2調整板17からなる設置板11は、本体板15の上面側において第1蝶着軸26、26へ第1調整板16の第1軸受け部29、29を、第2蝶着軸21、21へ第2調整板17の第2軸受け部33、33を夫々軸支させることで組み立て可能となっており、通話ユニット3の出荷時や壁面への設置機構として利用する際等には、第1調整板16の第1掛止爪30を第1掛止孔19へ、第2調整板17の第2掛止爪34を第2掛止孔20へ夫々掛止させ、両調整板16、17を本体板15の上面側へ傾倒させた状態となっている。
【0018】
一方、収容凹部12は、本体ケース6の下面の略中央部において、本体ケース6の前縁部から後部にかけて上方へ凹むように設けられた凹部であって、左右幅は設置板11と略同じ、前後長さは設置板11よりも長く、上下深さは設置板11と略同じに形成されており、設置板11を通話ユニット3の壁面への設置機構として利用する際には、設置板11を収容凹部12内へ収容可能となっている。そして、該収容凹部12内の後端部における左右両隅部には、設置板11を通話ユニット3の壁面への設置機構として利用する際に、設置板11の支持部28が当接可能な円弧に湾曲した支持腕36、36が設けられている。また、各支持腕36の左右夫々外側には、後方へ向かうにつれ徐々に下方へ突出しており、支持腕36により支持部28を支持する際、支持部28の端部を下方へ押圧する(壁面への設置姿勢においては壁面側、すなわち後方へ押圧することになる)支持段部37が設けられている。さらに、凹部12内における支持腕36や支持段部37の前方には、設置板11を角度調整機構として利用する際に、上記第1調整板16や第2調整板17の各保持突部31、35を嵌入させて保持するための嵌入凹部38、38が設けられている。
【0019】
また、収容凹部12の左右両側面の前部には、左右外方へ切り欠かれることで本体ケース6の下方へ向かって開口しており、設置板11の本体軸24、24を上方へ進入可能としているとともに、進入した本体軸24、24を後方へ移動可能とした側面視略L字状の支持溝39、39が設けられている。そして、該支持溝39、39の後端部と支持腕36、36との前後方向での距離は、設置板11(特に本体板15)の前後方向長さと略同じとなっている。また、収容凹部12の左右両側面の前端部で支持溝39、39よりも更に前方となる位置には、設置板11を角度調整機構として利用する際に、設置板11の本体軸24、24を軸支するための軸孔40、40が設けられている。さらに、収容凹部12の左右両前隅部で軸孔40、40に隣接する位置には、軸孔40、40内に挿入された本体軸24、24を下方側へ押しつけ、設置板11の回動時等において本体軸24、24のがたつきを防止するための支持突起41、41が突設されている。そして、本体板15における本体軸24、24から係止爪27、27までの前後長さと同じ距離だけ、収容凹部12の左右両側面において軸孔40、40から後方となる位置に、係止爪27、27が係止可能な被係止孔42、42が設けられている。
【0020】
ここでまず、上述したような構成を有する通話ユニット3を卓上に設置して使用する際の角度調整作業について、
図7〜
図10をもとに説明する。なお、通話ユニット3を卓上で使用するにあたっては、予め設置板11の本体軸24、24を軸孔40、40に軸支させるとともに、係止爪27、27を被係止孔42、42へ係止させておく。
そして、通話ユニット3を設置面に対して45度(第1傾斜角度)傾斜させた姿勢としたい場合、係止爪27、27と被係止孔42、42との係止を解除した後、設置板11を回動させ、本体ケース6の下面に対して起立した姿勢とする。それから、第1掛止爪30と第1掛止孔19との掛止を解除し、第1調整板16を回動させて本体板15に対して起立させ、第1保持突部31、31を嵌入凹部38、38へ嵌入させて保持させる(
図7)。そして、該状態のまま、本体板15の下面を卓上に載置すれば、
図8に示す如き設置面に対して45度の傾斜姿勢で通話ユニット3を設置することができる。一方、設置面に対して15度(第2傾斜角度)傾斜した姿勢に変更したい場合には、第1調整板16に代えて前後方向長さ(回動軸から保持突部までの距離)が短い第2調整板17を使用すればよい。すなわち、第1保持突部31、31を嵌入凹部38、38から引き出し、第1掛止爪30を第1掛止孔19へ掛止させて第1調整板16を再び本体板15側へ傾倒させた後、今度は第2掛止爪34と第2掛止孔20との掛止を解除し、第2調整板17を回動させて本体板15に対して起立させ、第2保持突部33、33を嵌入凹部38、38へ嵌入させて保持させる(
図9)。そして、当該状態のまま、本体板15の下面を卓上に載置すれば、
図10に示す如き設置面に対して15度の傾斜姿勢で通話ユニット3を設置することができる。なお、通話ユニット3を設置面に対して傾斜させることなく平行な姿勢で設置したい場合には、第1調整板16の第1掛止爪30を第1掛止孔19へ、第2調整板17の第2掛止爪34を第2掛止孔20へ夫々掛止させるとともに、本体板15を本体ケース6の下面側へ傾倒させて係止爪27、27を被係止部に係止させた状態とし、当該状態のまま、本体板15の下面を卓上に載置すればよい。
【0021】
次に、通話ユニット3を壁面に設置して使用する際の設置作業について、
図11をもとに説明する。
図11は、設置板11を介して通話ユニットを壁面へ設置した状態を示した説明図である。なお、壁面へ設置することで通話ユニット3の前後上下が変わることになる(すなわち、
図1における上下方向がそのまま通話ユニット3の上下方向となり、
図1における表裏方向が通話ユニット3の前後方向となる)が、ここでは卓上での使用を想定した方向、すなわち上記説明の方向と一貫させている。
通話ユニット3を壁面に設置するにあたっては、まず設置板11を本体ケース6の下面から取り外した後、第1調整板16及び第2調整板17を本体板15に対して起立させ、固定孔18を露出させるとともに、本体軸24、24を壁面における下方へ、支持部28を壁面における上方へ夫々向けた姿勢で固定ネジ55、55・・を壁面へと螺入させ、本体板15を所定の固定位置にネジ止めする。それから、該設置板11に対して通話ユニット3の本体ケース6の下面をあてがい、切り欠きを介して本体軸24、24を支持溝39、39内へ進入させることで、設置板11を収容凹部12内へ収容させた後、本体軸24、24が支持溝39、39の後端に位置するとともに支持部28が支持腕36に当接するまで、通話ユニット3を前方へスライド(相対的には、収容凹部12において設置板11が後方へスライドすることになる)させる。そうすると、設置板11に通話ユニット3が取り付けられ、通話ユニット3の壁面への設置作業は完了となる。
【0022】
なお、上記壁面への設置状態においては、設置板11の下面と本体ケース6の下面とは略面一となっている。また、支持部28が支持腕36と支持段部37とにより上下方向から挟持されているとともに、本体軸24、24が支持溝39、39内にあるため、通話ユニット3は上下方向へがたついたりしない。さらに、本体軸24、24が支持溝39、39内にあり、設置板11が収容凹部12内に収容されている状態において、設置板11の係止爪27、27は常に被係止孔42、42の後方にあり、収容凹部12内で設置板11を相対的にスライドさせて通話ユニット3を着脱する際に、係止爪27、27が被係止孔42、42に干渉したりすることはない。加えて、本体ケース6を設置板11から取り外す際には、上記手順とは逆に、本体軸24、24が支持溝39、39の前端に位置するまで本体ケース6を後方へスライドさせた後、上方へ引き出せばよい。
【0023】
以上のような構成を有する通話ユニット3によれば、通信ユニット3の卓上等での傾斜角度を調整可能を調整可能な設置板11を本体ケース6の下面に対して着脱自在とするとともに、設置板11に壁面へネジ止めにより固定するための固定孔18、18・・を穿設する一方、本体ケース6の下面に、本体ケース6の下方へ開口していることにより設置板11の本体軸24、24が進入可能で、且つ、後方へ延びる支持溝39、39を設けるとともに、設置板11の支持部28が前方から当接可能な支持腕36、36を設けた。そして、本体ケース6から取り外し、本体軸24、24側を壁面における下方へ、支持部28側を壁面における上方へ夫々向けた姿勢で壁面へ固定された設置板11に対し、本体ケース6の下面をあてがい、本体軸24、24を支持溝39、39へ進入させた後、本体軸24、24が支持溝39、39の後端部に、支持部28が支持腕36、36に夫々当接するまで本体ケース6を前方へスライドさせ、本体ケース6を設置板11に取り付けることにより、通信ユニット3を壁面へも設置可能とした。したがって、本体ケース6と設置板11とをネジ止めしなくても、通信ユニット3を壁面へ設置可能であり、通信機器の壁面への設置作業が簡易となる。さらに、通信ユニット3を卓上等で使用する際には、該設置板11を用いて角度調整を行うため、構成の合理化を図ることができ、交換作業が必要でなく使い勝手が良い、部品点数が少なくて済む等の効果を奏することができる。
【0024】
また、本体ケース6の下面に、設置板11を収容可能な収容凹部12を設けるとともに、支持溝39、39及び支持腕36、36を収容凹部12内に設けているため、設置板11が本体ケース6よりも小さくなり、通信ユニット3全体の小型化を図ることができる上、設置後に設置板11が見えにくく、外観も良くなるというメリットがある。
【0025】
さらに、自身の前端部に本体軸24、24を有し、本体ケース6の下面に左右方向を軸として回動自在に取り付けられた本体板15と、自身の後端部に第1軸受け部29や第2軸受け部33を有し、本体板15の上面側に左右方向を軸として回動自在に取り付けられているとともに、後端部から自身の前端部までの長さが異なる第1調整板16及び第2調整板17とからなる設置板11、及び本体ケース6の下面に設けられ、本体板15に対して起立した状態にある第1調整板16や第2調整板17の前端部に設けられた第1保持突部31、31や第2保持突部35、35を保持可能な嵌入凹部38、38を有した角度調整機構を設けた。そして、第1調整板16と第2調整板17とのいずれか一方の調整板を選択的に本体板15に対して起立させ、該起立させた調整板の保持突部31、35を嵌入凹部38、38に保持させることにより、本体板15の下面を卓上に設置した際における通信ユニット3の設置面に対する傾斜角度を2段階で調整可能としている。したがって、従来の如く設置板11を一々取り外したりすることなく通信ユニット3の設置面に対する傾斜角度を調整することができるため、非常に容易に角度調整を行うことができる。加えて、第1保持突部31及び第2保持突部35を同じ嵌入凹部38で保持可能しているため、本体ケース6の下面側の構成が簡易となり、設計自由度の向上、本体ケース6の強度向上、製造コストの低減等を図ることができる。
【0026】
さらにまた、本体板15に、自身を本体ケース6の下面側へ傾倒させた姿勢で係止するための係止爪27、27を、本体ケース6の下面に、係止爪27、27が係止可能な被係止孔42、42を夫々設け、第1調整板16及び第2調整板17を本体板15の上面側へ傾倒させた状態で、係止爪27、27を被係止孔42、42に係止させることにより、設置板11を本体ケース6から取り外すことなく、通信ユニット3を設置面と平行な姿勢で設置可能としている。したがって、角度調整が必要でない場合にも容易に対応可能であるし、再び角度調整が必要になった際にも、設置板11の着脱等を行うことなく、非常に容易に角度調整を行うことができる。
【0027】
加えて、第1調整板16及び第2調整板17に、自身を本体板15の上面側へ傾倒させた姿勢で掛止するための第1掛止爪30や第2掛止爪34を、本体板15に、第1掛止爪30や第2掛止爪34が掛止可能な第1掛止孔19や第2掛止孔20を夫々設け、起立させない調整板を、本体板15の上面側へ傾倒させた姿勢のまま保持可能としている。したがって、作業中に起立させない調整板がばたついたりせず、角度調整を極めて容易に行うことができる。
【0028】
なお、本発明に係る通信機器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、通信機器の全体的な構成は勿論、設置板等の構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0029】
たとえば、上記実施形態では、通信機器の一例である通話ユニット3の角度調整機構について説明しているが、同じく通信機器の一例である選局ユニット5やナースコール子機として使用する通信機器、ナースコールシステムではなくインターホンシステムにおいて使用する通信機器等といった他の通信機器に同じ角度調整機構を設けることは当然可能である。
【0030】
また、上記実施形態では、第1調整板16と第2調整板17との何れを本体板15に対して起立させるかで通信ユニット3の設置面に対する傾斜角度を調整可能としているが、第1調整板16のみを設けるとともに、本体ケース6の下面に前後方向での位置が異なる複数の嵌入凹部を設け、第1調整板16の第1保持突部31、31を保持させる嵌入凹部の違いにより通信ユニット3の設置面に対する傾斜角度を調整可能としてもよく、本体板15さえ備えていれば設置板11の構成は適宜変更することができる。なお、設置板11に第1調整板16と第2調整板17との2つの調整板を備えるとしているが、3つ以上の調整板を備え、通信機器の傾斜角度を3段階以上で調整可能となるように構成しても何ら問題はない。
【0031】
さらに、上記実施形態では、第1調整板16や第2調整板17に突起状の第1保持突部31や第2保持突部35を、本体ケース6の底面に嵌入凹部38を夫々設けているが、逆に本体ケース6の底面に突部を、第1調整板16や第2調整板17の前端部に凹部を夫々設けてもよい。同様に、上記実施形態では本体板15に全て軸(本体軸24や第1蝶着軸26、第2蝶着軸21)を設けているが、本体ケース6側に本体板15を軸支するための軸を、本体板15に本体軸受けを夫々設けたり、第1調整板16や第2調整板17に各蝶着軸を、本体板15に軸受けを夫々設けたりしても何ら問題はない。