特許第6016679号(P6016679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016679
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】コンバインベーラ
(51)【国際特許分類】
   A01F 15/08 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   A01F15/08 R
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-54153(P2013-54153)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-176372(P2014-176372A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】和田 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】山中 健史
(72)【発明者】
【氏名】岸 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 亨
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−310042(JP,A)
【文献】 特開2002−345325(JP,A)
【文献】 特開平08−224042(JP,A)
【文献】 特許第4061209(JP,B2)
【文献】 特開平06−113651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 15/08
A01F 15/10
A01F 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、前記走行装置に載置された車体フレームと、前記車体フレーム上の設置空間のうち機体幅方向第1側で且つ前側のスペースに配置された運転席と、前記設置空間のうち前記運転席より後側のスペースに配置されたロールベーラ装置と、前記車体フレームより前側に配置されたフレール式刈取装置と、前記刈取装置から前記ロールベーラ装置への刈取作物の搬送経路を画する搬送ダクトとを備え、
前記刈取装置は、前記車体フレームの機体幅方向略全域に亘って設けられた刈取ケースであって、機体幅方向略全域に亘って下方に開く取入開口及び前記運転席より機体幅方向第2側において上方に開く放出開口が設けられた刈取ケースと、機体幅方向に沿うように前記刈取ケースに支持された刈取駆動軸と、前記刈取駆動軸に支持された複数のフレール刃と、前記刈取ケース内に収容された横送り機構と、前記横送り機構によって搬送された刈取作物を前記搬送ダクト内において後方へ放り投げるスロワ機構とを有し、
前記搬送ダクトは、前端開口が前記刈取ケースの前記放出開口に連結され且つ後端開口が前記ロールベーラ装置のベール室に直接又は間接的に連通された状態で前記設置空間のうち前記運転席より機体幅方向第2側のスペース内において機体前後方向に沿っており、
前記横送り機構は、前記搬送ダクトより機体幅方向第1側に位置するフレール刃によって刈り取られ且つ放り投げられる刈取作物の少なくとも一部を受け入れるように前記刈取ケース内部のうち前記フレール刃より上方において上方に開く凹状で、且つ、機体幅方向第2側が直接又は間接的に前記搬送ダクトに開放された貯留空間を形成する横送り樋と、前記横送り樋に受け入れられた刈取作物を機体幅方向第2側へ搬送する横送り手段とを有し
前記横送り手段は、前記貯留空間内において機体幅方向に沿った横送り駆動軸と、前記横送り駆動軸に設けられた螺旋体とを有し、
前記スロワ機構は、前記横送り手段によって機体幅方向第2側へ搬送される刈取作物を受け入れるスロワ空間を形成するスロワ収容部と、前記スロワ空間を横断するように機体幅方向に沿って配置されたスロワ駆動軸と、前記スロワ空間内において前記スロワ駆動軸に相対回転不能に支持された放出羽根とを有し、
前記横送り駆動軸及び前記スロワ駆動軸は前記刈取駆動軸に作動連結されていることを特徴とするコンバインベーラ。
【請求項2】
前記刈取駆動軸、前記横送り駆動軸及び前記スロワ駆動軸の機体幅方向第1側の端部が前記刈取ケースから外方へ延在されてプーリー伝動機構を介して作動連結されていることを特徴とする請求項1に記載のコンバインベーラ。
【請求項3】
前記刈取駆動軸の機体幅方向第2側の端部が前記刈取ケースから外方へ延在されて駆動源に作動連結される入力端部を形成していることを特徴とする請求項2に記載のコンバインベーラ。
【請求項4】
前記刈取ケースの内表面には、前記複数のフレール刃によって持ち回される刈取作物の少なくとも一部を前記搬送ダクトへ向けて案内する案内翼が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のコンバインベーラ。
【請求項5】
前記搬送ダクトから放出される刈取作物を前記ロールベーラ装置のベーラ室へ向けて搬送する搬送機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のコンバインベーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取装置とロールベーラ装置と前記刈取装置から前記ロールベーラ装置への作物搬送経路を画する搬送ダクトとを備えた自走式のコンバインベーラに関する。
【背景技術】
【0002】
走行装置と前記走行装置に載置された車体フレームと前記車体フレームに支持された運転席とを有する自走可能な走行機本体に、刈取装置及びロールベーラ装置が付設された自走式のコンバインベーラが提案され、利用されている。
【0003】
下記特許文献1には、前記走行装置と、前記車体フレームと、前記運転席と、前記刈取装置と、前記車体フレームより前方に配置された前記刈取装置と、前記車体フレーム上の後側スペースに配置された前記ロールベーラ装置とを備え、前記刈取装置及び前記ロールベーラ装置が搬送ダクトで連結されている自走式のコンバインベーラが開示されている。
【0004】
詳しくは、前記刈取装置は、前記車体フレームより前方において機体幅方向に沿うように配設された刈取ケースと、機体幅方向に沿った状態で前記刈取ケース内に支持された刈取駆動軸と、前記刈取駆動軸に支持された複数のフレール刃であって、前記刈取駆動軸の回転に伴って作物を刈り取ると共に刈り取った作物を搬送する搬送風を発生させる複数のフレール刃とを有している。
【0005】
前記特許文献1に記載のコンバインベーラは、前記搬送ダクトを備えることによって、前記フレール刃によって刈り取られ且つ前記フレール刃による搬送風によって前記ベール室へ向けて搬送される作物が周囲に飛散することを防止できる点において有用である。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載のコンバインベーラにおいては、前記運転席が前記車体フレームから機体幅方向一方側へオフセットされた状態で前記車体フレームに支持されている為、操縦しづらいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4061209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、走行装置と前記走行装置に載置された車体フレームと前記車体フレームに支持された運転席、刈取装置及びロールベーラ装置とを備えた自走式のコンバインベーラであって、刈取効率及び操縦性を損なうこと無く、前記刈取装置から前記ロールベーラ装置へ搬送される刈取作物の搬送効率を向上させ得るコンバインベーラの提供を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために、走行装置と、前記走行装置に載置された車体フレームと、前記車体フレーム上の設置空間のうち機体幅方向第1側で且つ前側のスペースに配置された運転席と、前記設置空間のうち前記運転席より後側のスペースに配置されたロールベーラ装置と、前記車体フレームより前側に配置されたフレール式刈取装置と、前記刈取装置から前記ロールベーラ装置への刈取作物の搬送経路を画する搬送ダクトとを備え、前記刈取装置は、前記車体フレームの機体幅方向略全域に亘って設けられた刈取ケースであって、機体幅方向略全域に亘って下方に開く取入開口及び前記運転席より機体幅方向第2側において上方に開く放出開口が設けられた刈取ケースと、機体幅方向に沿うように前記刈取ケースに支持された刈取駆動軸と、前記刈取駆動軸に支持された複数のフレール刃と、前記刈取ケース内に収容された横送り機構と、前記横送り機構によって搬送された刈取作物を前記搬送ダクト内において後方へ放り投げるスロワ機構とを有し、前記搬送ダクトは、前端開口が前記刈取ケースの前記放出開口に連結され且つ後端開口が前記ロールベーラ装置のベール室に直接又は間接的に連通された状態で前記設置空間のうち前記運転席より機体幅方向第2側のスペース内において機体前後方向に沿っており、前記横送り機構は、前記搬送ダクトより機体幅方向第1側に位置するフレール刃によって刈り取られ且つ放り投げられる刈取作物の少なくとも一部を受け入れるように前記刈取ケース内部のうち前記フレール刃より上方において上方に開く凹状で、且つ、機体幅方向第2側が直接又は間接的に前記搬送ダクトに開放された貯留空間を形成する横送り樋と、前記横送り樋に受け入れられた刈取作物を機体幅方向第2側へ搬送する横送り手段とを有し、前記横送り手段は、前記貯留空間内において機体幅方向に沿った横送り駆動軸と、前記横送り駆動軸に設けられた螺旋体とを有し、前記スロワ機構は、前記横送り手段によって機体幅方向第2側へ搬送される刈取作物を受け入れるスロワ空間を形成するスロワ収容部と、前記スロワ空間を横断するように機体幅方向に沿って配置されたスロワ駆動軸と、前記スロワ空間内において前記スロワ駆動軸に相対回転不能に支持された放出羽根とを有し、前記横送り駆動軸及び前記スロワ駆動軸は前記刈取駆動軸に作動連結されているコンバインベーラを提供する。
【0010】
好ましくは、前記刈取駆動軸、前記横送り駆動軸及び前記スロワ駆動軸の機体幅方向第1側の端部が前記刈取ケースから外方へ延在されてプーリー伝動機構を介して作動連結され得る。
【0011】
好ましくは、前記刈取駆動軸の機体幅方向第2側の端部が前記刈取ケースから外方へ延在されて駆動源に作動連結される入力端部を形成し得る。
【0012】
前記種々の形態において、好ましくは、前記刈取ケースの内表面には、前記複数のフレール刃によって持ち回される刈取作物の少なくとも一部を前記搬送ダクトへ向けて案内する案内翼が設けられる。
【0013】
前記種々の形態において、前記コンバインベーラには、好ましくは、前記搬送ダクトから放出される刈取作物を前記ロールベーラ装置のベーラ室へ向けて搬送する搬送機構が備えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコンバインベーラにおいては、刈取装置が車体フレームより前方において前記車体フレームの機体幅方向略全域に亘って配置され且つ運転席が前記車体フレーム上の設置空間のうち機体幅方向第1側で且つ前側に配置されているので、操縦性を悪化させること無く、刈取効率を向上させることができる。
【0015】
さらに、本発明に係るコンバインベーラにおいては、前記刈取装置における刈取ケースからロールベーラ装置への搬送経路を画する搬送ダクトが前記設置空間のうち前記運転席より機体幅方向第2側のスペース内において機体前後方向に沿っており、前記刈取ケース内には、前記搬送ダクトより機体幅方向第1側に位置するフレール刃によって刈り取られ且つ放り投げられる刈取作物の少なくとも一部を受け入れる貯留空間であって、機体幅方向第2側が直接又は間接的に前記搬送ダクトに開放された貯留空間を形成する横送り樋と、前記横送り樋に受け入れられた刈取作物を機体幅方向第2側へ搬送する横送り手段とを含む横送り機構が設けられ、さらに、前記横送り手段によって機体幅方向第2側へ搬送される刈取作物を受け入れるスロワ空間を形成するスロワ収容部と、前記スロワ空間を横断するように機体幅方向に沿って配置されたスロワ駆動軸と、前記スロワ空間内において前記スロワ駆動軸に相対回転不能に支持された放出羽根とを有するスロワ機構が備えられているので、前述の刈取効率の向上及び操縦性の向上という効果を損なうこと無く、前記刈取装置によって切断された刈取作物を前記搬送ダクトを介して効率的に前記ロールベーラ装置へ向けて後方へ送り込むことができる。
さらに、前記横送り手段の横送り駆動軸及び前記スロワ駆動軸が前記刈取装置の刈取駆動軸に作動連結されているので、前記刈取装置による刈取作物量に比例した量の作物を前記横送り手段で搬送し、前記スロワ機構で放り投げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るコンバインベーラの正面図である。
図2図2は、前記コンバインベーラの側面図である。
図3図3は、前記コンバインベーラの平面図である。
図4図4は、前記コンバインベーラにおける刈取装置及び搬送ダクトの正面図である。
図5図5は、前記刈取装置及び搬送ダクトの斜視図である。
図6図6は、図4におけるVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図4におけるVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、図4におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9は、図6に対応した断面の斜視図である。
図10図10は、図6におけるX-X線に沿った断面図である。
図11図11は、図8におけるXI-XI線に沿った断面図である。
図12図12は、前記刈取装置の変形例及び前記搬送ダクトの図6に対応した断面図である。
図13図13は、図12に示す刈取装置及び搬送ダクトを下方から見た断面斜視図である。
図14図14は、図12及び図13に示す刈取装置及び搬送ダクトの縦断斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るコンバインベーラの好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1図3に、それぞれ、本実施の形態に係るコンバインベーラ1の正面図、側面図及び平面図を示す。
【0018】
図1図3に示すように、前記コンバインベーラ1は、左右一対のクローラ11を有する走行装置10と、前記走行装置10に載置された車体フレーム20と、前記車体フレーム20に支持された運転席30、刈取装置100及びロールベーラ装置40と、前記刈取装置100から前記ロールベーラ装置40への刈取作物の搬送経路を画する搬送ダクト200とを備えている。
【0019】
前記運転席30は、図3等に示すように、前記車体フレーム20上の設置空間のうち機体幅方向第1側(本実施の形態においては前進方向を向いた状態で右側)で且つ前側のスペースに配置されている。
【0020】
前記運転席30の前方及び周辺には操向ハンドルや変速装置等の種々の操作部材(図示せず)が備えられている。
【0021】
図1図3に示すように、本実施の形態に係る前記コンバインベーラ1は、前記運転席30を覆うキャビン35を備えている。
【0022】
前記刈取装置100は、前記車体フレーム20より前側に配置された状態で前記車体フレーム20に直接又は間接的に支持されている。
【0023】
本実施の形態においては、図2に示すように、前記コンバインベーラ1には、機体幅方向に沿った枢支軸61回り揺動可能とされた支持フレーム60が設けられており、前記刈取装置100における刈取ケース110に連結された前記搬送ダクト200が前記支持フレーム60に支持されている。
【0024】
即ち、本実施の形態においては、前記刈取装置100は、前記搬送ダクト200及び前記支持フレーム60を介して前記枢支軸61回り回動可能に前記車体フレーム20に支持されている。
【0025】
また、前記コンバインベーラ1には、前記刈取装置100、前記搬送ダクト200及び前記支持フレーム60を前記枢支軸61回りに昇降させる油圧シリンダ70が備えられる。
【0026】
図4及び図5に、それぞれ、前記刈取装置100及び前記搬送ダクト200の正面図及び斜視図を示す。
又、図6図8に、それぞれ、図4におけるVI-VI線、VII-VII線及びVIII-VIII線に沿った断面図を示す。
【0027】
前記刈取装置100は複数のフレール刃130を有するフレール式刈取装置とされている。
詳しくは、図1図8に示すように、前記刈取装置100は、前記車体フレーム20より前方において前記車体フレーム20の機体幅方向略全域に亘って設けられた刈取ケース110と、前記刈取ケース110内に収容された刈取駆動軸120と、前記刈取駆動軸120に支持された複数のフレール刃130とを有している。
【0028】
図9に、図4におけるIX-IX線に沿った断面の斜視図を示す。
図6図9に示すように、前記刈取ケース110は、機体幅方向略全域に亘って下方に開く取入開口110a及び前記運転席30(図1等参照)より機体幅方向第2側において上方に開き、前記搬送ダクト200の前端開口200aが連結される放出開口110bを有している。
【0029】
詳しくは、前記刈取ケース110は、左右一対の第1及び第2側壁111、112と、前記第1及び第2側壁111、112の周縁同士を連結する周壁115とを有し、前記周壁115に前記取入開口110a及び前記放出開口110bが形成されている。
【0030】
図10に、図6におけるX-X線に沿った断面図を示す。
図6図10に示すように、前記刈取駆動軸120は、機体幅方向に沿った状態で前記刈取ケース110内に収容されるように前記刈取ケース110の前記一対の第1及び第2側壁111、112に支持されており、少なくとも一端部が前記刈取ケース110から外方へ延在されて、前記コンバインベーラ1に備えられる駆動源から直接又は間接的に回転動力を入力し得るように構成されている。
【0031】
本実施の形態においては、図6図10に示すように、前記刈取駆動軸120は、機体幅方向に沿った状態で前記一対の第1及び第2側壁111、112によって支持され、且つ、少なくとも一端部121aが刈取ケース110から外方へ延在されて前記駆動源から回転動力を入力する駆動軸本体121と、前記刈取ケース110内において前記駆動軸本体121に相対回転不能に支持された左右一対の支持プレート122と、機体幅方向に沿い且つ前記駆動軸本体121を基準にして周方向に順に配置された状態で、前記左右一対の支持プレート122に支持された複数(図示の形態においては3本)の支持軸123とを有している。
【0032】
前記複数のフレール刃130は、前記刈取駆動軸120に機体幅方向に沿った回動軸131(図6図9参照)回り回動可能に支持されており、前記刈取駆動軸120の回転に伴う遠心力によって径方向に起立して、立毛状態の作物を切断すると共に、前記刈取装置100に備えられる固定刃(図示せず)との共働によっても前記作物を切断するようになっている。
【0033】
さらに、前記複数のフレール刃130は、前記刈取駆動軸120の回転に伴って回転する際に、切断した作物を前記放出開口110bを介して前記刈取ケース110から外方へ放出する搬送風を発生させる。
なお、本実施の形態においては、前記複数のフレール刃130は前記複数の支持軸123に支持されている。
【0034】
前記刈取装置100は、さらに、前記刈取ケース110内に収容された横送り機構150を有している。前記横送り機構150については後述する。
【0035】
前記搬送ダクト200は、図1図3図6図9及び図10等に示すように、前記設置空間のうち前記運転席30より機体幅方向第2側のスペースを利用して機体前後方向に沿っており、前端開口200aが前記刈取ケース110の前記放出開口110bに連結され且つ後端開口200bが前記ロールベーラ装置40のベール室に直接又は間接的に連通されている。
【0036】
即ち、前記放出開口110bは前記運転席30より機体幅方向第2側に配置されており、前記搬送ダクト200は、前記設置空間のうち前記運転席30より機体幅方向第2側のスペースに配置されて前端開口200aが前記放出開口110bに連通され得るようになっている。
【0037】
本実施の形態においては、図2図6図10に示すように、前記搬送ダクト200は、機体幅方向に沿って視た際に上向き凸状となるように湾曲された筒状体とされている。
【0038】
好ましくは、図1及び図2に示すように、前記搬送ダクト200は前記キャビン35における機体幅方向第2側の窓部36よりも下方に位置される。
斯かる構成によれば、前記搬送ダクト200によって前記運転席30からの視界が妨げられることを防止することができる。
【0039】
本実施の形態においては、図1図3に示すように、前記コンバインベーラ1には、前記搬送ダクト200から放出される刈取作物を前記ロールベーラ装置40の前記ベーラ室へ向けて搬送する搬送機構50が備えられている。
従って、本実施の形態においては、前記搬送ダクト200の後端開口200bは、前記搬送機構50を介して前記ベール室に間接的に連通されている。
【0040】
前記搬送機構50は、種々の形態をとることができる。
例えば、前記搬送機構50は、機体幅方向に沿って配設され且つ前記駆動源から作動的に伝達される回転動力によって駆動される駆動軸(図示せず)と、機体幅方向に沿って配設される従動軸(図示せず)と、前記駆動軸及び前記従動軸に巻き回される左右一対の無端体(図示せず)と、前記一対の無端体の間を連結する複数の連結部材であって、互いに対して前記無端体の長手方向に関し離間配置された複数の連結部材(図示せず)とを有し得る。
【0041】
前記ロールベーラ装置40は、ベーラ室に供給される飼料作物をロール状の飼料ベールに成形する。
詳しくは、前記ロールベーラ装置40は、図1図3に示すように、固定筐体41と、前記固定筐体41との共働下に前記ベーラ室を形成する閉塞位置及び前記ベーラ室を開放する開放位置をとり得る可動筐体42と、前記固定筐体41に支持された複数の固定側回転ローラ(図示せず)と、前記可動筐体42に支持された複数の可動側回転ローラ(図示せず)とを有している。
【0042】
前記複数の可動側回転ローラ及び前記複数の固定側回転ローラは、前記可動筐体42が閉塞位置に位置された状態において、側面視略円形のロール空間を形成するように前記可動筐体42及び前記固定筐体41にそれぞれ支持されている。
【0043】
前記ロールベーラ装置40においては、前記可動筐体42が閉塞位置に位置された状態で、前記複数の可動側回転ローラ及び前記複数の固定側回転ローラが前記駆動源から作動的に伝達される回転動力によって軸線回りに回転されることで、前記ロール空間内の飼料作物が全体的に自転されてロール状の飼料ベールを形成し、新たに前記ロール空間に投入される飼料作物は前記飼料ベールの外周に巻き付けられて前記飼料ベールを大径化する。
【0044】
ここで、前記横送り機構150の詳細構造について説明する。
図11に、図8におけるXI-XI線に沿った断面図を示す。
【0045】
図8図10及び図11に示すように、前記横送り機構150は、前記刈取ケース110内に設けられた横送り樋155と、前記横送り樋155内の作物を機体幅方向第2側へ搬送する横送り手段160とを有している。
【0046】
前記横送り樋155は、前記搬送ダクト200より機体幅方向第1側に位置するフレール刃130(図10参照。以下、第1側フレール刃130aという。)によって刈り取られ且つ放り投げられる刈取作物の少なくとも一部を受け入れる貯留空間であって、機体幅方向第2側が直接又は間接的に前記搬送ダクト200の内部に開放された貯留空間を形成している。
【0047】
本実施の形態においては、前記横送り樋155は、前記第1側壁111及び前記周壁115と共働して前記貯留空間を形成するように、上方に開く凹状とされている。
なお、本実施の形態においては、前記貯留空間は下記スロワ機構180を介して前記搬送ダクト200に開放されている。
【0048】
前記横送り手段160は、前記貯留空間内の刈取作物を機体幅方向第2側へ搬送する限り、種々の形態をとり得る。
本実施の形態においては、図8及び図11に示すように、前記横送り手段160は、前記貯留空間内において機体幅方向に沿った横送り駆動軸161と、前記横送り駆動軸162に設けられた螺旋体162とを有している。
【0049】
前記横送り駆動軸161は、一端部が前記駆動源から作動連結される入力端部として作用し得るように前記刈取ケース110から外方へ延在されている。
【0050】
本実施の形態においては、前記横送り駆動軸161は前記刈取駆動軸120に作動連結されている。
詳しくは、図10に示すように、前記駆動軸本体121は、前記入力端部として作用する一端部121aとは反対側の機体幅方向第1側の端部121bも前記刈取ケース120から外方へ延在されている。
【0051】
前記横送り駆動軸161は、機体幅方向第1側の端部161aが前記刈取ケース110から外方へ延在されており、前記駆動軸本体121の機体幅方向第1側の端部121bに、例えば、プーリー伝動機構を介して作動連結される。
【0052】
前記螺旋体162は、前記横送り駆動軸161の軸線回り正転方向の回転に応じて、前記貯留空間内の作物を機体幅方向第2側へ搬送するように、前記横送り駆動軸161に設けられている。
【0053】
斯かる構成を備えた前記コンバインベーラ1によれば下記効果を奏することができる。
前記コンバインベーラ1においては、前述の通り、前記刈取装置100が機体幅方向略全域に亘って設けられ、且つ、前記運転席30が前記車体フレーム20上の前記設置空間に配設されており、従って、刈取作業性及び操縦性の双方を向上させることができる。
【0054】
さらに、前記コンバインベーラ1においては、刈取作業性及び操縦性を損なうこと無く、前記刈取装置100によって刈り取られた作物を効率よく前記ロールベーラ装置へ搬送することができる。
【0055】
即ち、前記複数のフレール刃130のうち、前記搬送ダクト200と機体幅方向同一位置に位置するフレール刃130(即ち、前記運転席30より機体幅方向第2側に位置するフレール刃)(図10及び図11参照。以下、第2側フレール刃130bという。)によって切断され、その後に、主として前記第2側フレール刃130bによって直接的に放り投げられ、及び/又は、前記第2側フレール刃130bによる搬送風によって上方へ放り投げられる刈取作物は、前記第2側フレール刃130bと機体幅方向略同一位置に位置する前記放出開口110b及び前記搬送ダクト200を介して、スムースに前記ロールベーラ装置40へ向けて送られる。
【0056】
一方、前記搬送ダクト200より機体幅方向第1側に位置する第1側フレール刃130a(即ち、前記運転席30と機体幅方向略同一位置に位置するフレール刃)によって切断され、その後に、主として前記第1側フレール刃130aによって直接的に放り投げられ、及び/又は、前記第1側フレール刃130aによる搬送風によって上方へ放り投げられる刈取作物の少なくとも一部は、前記貯留空間内に貯留され、前記横送り手段160によって機体幅方向第2側へ搬送されて、機体幅方向第2側に位置する前記第2側フレール刃130bによって搬送される刈取作物と合流されて、前記搬送ダクト200を介して前記ロールベーラ装置40へ向けて送られる。
【0057】
従って、前記刈取装置100を前記車体フレーム20の機体幅方向略全域に亘って設けることで刈取効率を向上させ且つ前記運転席30を前記車体フレーム20上の前記設置空間に位置させることで操縦性を向上させつつ、前記刈取装置100によって切断され且つ後方へ放出される刈取作物を前記ロールベーラ装置40に向けて効率的に送り込むことができる。
【0058】
さらに、本実施の形態においては、前述の通り、前記横送り駆動軸161が前記刈取駆動軸120に作動連結されており、前記刈取駆動軸120の回転速度に応じて前記横送り駆動軸161の回転速度が増減される。従って、刈取作物量に比例した量の作物を前記横送り手段160で搬送することができる。
【0059】
前述の通り、本実施の形態においては、前記刈取装置100には前記スロワ機構180が設けられている。
図6図7図10及び図11に示すように、前記スロワ機構180は、前記横送り機構160によって機体幅方向第2側へ搬送される刈取作物を受け入れるスロワ空間を形成するスロワ収容部181と、前記スロワ収容部181に収容された放出羽根185とを有している。
【0060】
前記スロワ収容部181は、前記貯留空間に連通するように機体幅方向第1側に開く受入開口181aと前記搬送ダクト200に連通するように後方に開く排出開口181bとを有している。
【0061】
前記放出羽根185は、前記駆動源から作動的に伝達される回転動力によって回転駆動されて、前記スロワ空間内の作物を前記排出開口181bを介して前記搬送ダクト200へ放出する。
【0062】
本実施の形態においては、前記放出羽根185は、前記横送り駆動軸161に作動連結されており、前記横送り駆動軸162と同期して駆動される。
【0063】
具体的には、図10に示すように、前記スロワ機構180は、前記スロワ空間を横断するように機体幅方向に沿ったスロワ駆動軸188を有している。
【0064】
前記スロワ駆動軸188は、機体幅方向第1側の端部188aが前記刈取ケース110の前記第1側壁111から外方へ延在された状態で前記第1側壁111及び前記スロワ収容部181に支持されている。
前記端部188aは、前記横送り駆動軸161の前記端部161aに、プーリー伝動機構等を介して作動連結される。
【0065】
前記放出羽根185は、前記スロワ空間内において前記スロワ駆動軸188に相対回転不能に支持されている。
【0066】
前記スロワ機構180を備えることにより、前記横送り機構160によって機体幅方向第1側から第2側へ向けて搬送されてきた刈取作物を、効率良く、前記搬送ダクト200を介して前記ロールベーラ装置40へ向けて後方へ送り込むことができる。
【0067】
図12に、前記刈取装置100の変形例100Bの断面図であって、図6に対応した断面図を示す。
又、図13に前記変形例100Bの下方断面斜視図を、図14に前記変形例100Bの縦断斜視図を示す。
なお、図12〜14において、本実施の形態におけると同一部材には同一符号を付している。
【0068】
図12図14に示すように、前記変形例100Bにおいては、前記刈取ケース110における前記周壁115の内表面に、前記複数のフレール刃130によって持ち回される刈取作物の少なくとも一部を前記搬送ダクト200へ向けて案内する案内翼220が設けられている。
【0069】
前記案内翼220を設けることによって、前記刈取ケース110内の機体幅方向第1側に位置する刈取作物を、前記刈取駆動軸120の回転を利用して、前記放出開口110bへ向かわせることができ、刈取作物の搬送効率をさらに向上させることができる。
【0070】
図示の形態においては、前記案内翼220として、第1及び第2案内翼220a、220bが設けられている。
【0071】
図14に示すように、前記第1案内翼220aは、下端部が前記放出開口110bより機体幅方向第1側に位置し、下端部から上端部に行くに従って機体幅方向第2側へ移行し、且つ、上端部が機体幅方向に関し前記放出開口110b内に位置するように傾斜されている。
【0072】
前記第2案内翼220bは、前記第1案内翼220aより機体幅方向第2側において、下端部から上端部へ行くに従って機体幅方向第1側から第2側へ移行するように傾斜されている。
【0073】
詳しくは、前記第2案内翼220bは、下端部が前記第1案内翼220aの下端部に対して機体幅方向第2側で且つ上下方向略同一位置に位置し、上端部が前記第1案内翼220aの上端部に対して機体幅方向略同一位置で且つ下方に位置している。
【符号の説明】
【0074】
1 コンバインベーラ
10 走行装置
20 車体フレーム
30 運転席
40 ロールベーラ装置
50 搬送機構
100 刈取装置
110 刈取ケース
110a 取入開口
110b 放出開口
120 刈取駆動軸
130 フレール刃
150 横送り機構
155 横送り樋
160 横送り手段
161 横送り駆動軸
162 螺旋体
180 スロワ機構
200 搬送ダクト
220 案内翼
図1
図2
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図8
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図10
図11
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