特許第6016690号(P6016690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工食品包装機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6016690-容器グリッパ 図000002
  • 特許6016690-容器グリッパ 図000003
  • 特許6016690-容器グリッパ 図000004
  • 特許6016690-容器グリッパ 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016690
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】容器グリッパ
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/24 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   B67C3/24
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-70200(P2013-70200)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-193727(P2014-193727A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】505193313
【氏名又は名称】三菱重工食品包装機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 規雄
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−236123(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0282364(US,A1)
【文献】 特表2002−540027(JP,A)
【文献】 特開2006−327679(JP,A)
【文献】 特開2011−251818(JP,A)
【文献】 米国特許第6523874(US,B1)
【文献】 特開2002−128193(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/24
B65G 47/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的な移動により開閉自在に配設される一対の把持片からなり、開放時には容器の首部が出し入れ自在になるとともに、閉鎖時には前記首部を拘束可能となる把持部を備えた容器グリッパであって、容器を一方のグリッパAから他方のグリッパBへ交互に把持替えをして受け渡す容器グリッパにおいて、グリッパAの前記把持部は前記首部に設けられたくびれ部に適合した把持形状でくびれ部の周長の半分以上を把持する把持片を具備し、グリッパBの前記把持部は、前記首部に設けられた雄ねじ部の溝部に係合して溝部の周長の半分以上を把持する上部把持片、並びに、前記くびれ部の下部に係合して下部の周長の半分以上を把持する下部把持片を具備する構成としたことを特徴とする容器グリッパ。
【請求項2】
請求項1に記載の容器グリッパにおいて、上部把持片と下部把持片の開閉機構を、それぞれが独立して閉鎖作動できるように構成したことを特徴とする容器グリッパ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器グリッパにおいて、上部把持片を、前記溝部に係合する突起部を有する構成としたことを特徴とする容器グリッパ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の容器グリッパにおいて、前記容器がボトル缶であることを特徴とする容器グリッパ。
【請求項5】
請求項4に記載の容器グリッパにおいて、前記グリッパAの把持片、または、前記グリッパBの上部把持片或いは下部把持片の容器把持部を構成する材料が、エンジニアリングプラスチックスまたはスーパーエンジニアリングプラスチックスであることを特徴とする容器グリッパ。
【請求項6】
請求項5に記載の容器グリッパにおいて、前記材料のスーパーエンジニアリングプラスチックスがポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であることを特徴とする容器グリッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル缶の搬送受渡しに用いられる容器グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボトル缶の搬送受渡しに用いられる容器グリッパについては、ボトル缶の首部を把持できるグリッパが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−197021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1では、ボトル缶の雄ねじ部下部のくびれ部の下部を掴んで把持するグリッパと、同くびれ部の上部を掴んで把持するグリッパとのグリッパ対であって、ボトル缶の洗浄、ボトル缶内への液充填、キャップ被せの液充填包装ラインにおいて、各搬送回転体にグリッパ対を交互に取付け、回転体の一定円周上を等ピッチで搬送されるボトル缶の雄ねじ部下部のくびれ部の上部と下部を交互に掴み替えることによりネック搬送を可能にするとしている。
しかしながら、前記特許文献1の技術では、ボトル缶のくびれ部上部を把持する場合、缶の球面部を把持するため缶の姿勢が垂直にならず、搬送不良が発生する恐れがあり、また、ボトル缶のくびれ部下部を把持する場合、大口径缶に対しては把持部の接触幅が狭いため缶の姿勢が垂直にならず、搬送不良が発生する恐れがあり、さらには、容器の上下のずれを規制する位置決め部材およびその径方向の位置を調整するために突出量変更ができる調整機構と案内ガイドが必要であるため、把持機構が複雑となり、コストが高くなってしまうという恐れがある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑み、容器(ボトル缶)の首部を把持する場合に、突出量変更を伴うような位置決め部材が不要で、容器の上下の位置決め或いは容器の把持姿勢の安定化ができ、また、把持片の容器把持部が摩耗しにくく、かつ、容器の把持箇所を傷付けず、首部の口径が大口径の場合でも小口径の場合でも兼用できる容器グリッパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題に対し、本発明は以下の手段により解決を図る。
(1)第1の手段の容器グリッパは、相対的な移動により開閉自在に配設される一対の把持片からなり、開放時には容器の首部が出し入れ自在になるとともに、閉鎖時には前記首部を拘束可能となる把持部を備えた容器グリッパであって、容器を一方のグリッパAから他方のグリッパBへ交互に把持替えをして受け渡す容器グリッパにおいて、グリッパAの前記把持部は前記首部に設けられたくびれ部に適合した把持形状でくびれ部の周長の半分以上を把持する把持片を具備し、グリッパBの前記把持部は、前記首部に設けられた雄ねじ部の溝部に係合して溝部の周長の半分以上を把持する上部把持片、並びに、前記くびれ部の下部に係合して下部の周長の半分以上を把持する下部把持片を具備する構成としたことを特徴とする。
【0007】
(2)第2の手段の容器グリッパは、前記第1の手段の容器グリッパにおいて、上部把持片と下部把持片の開閉機構を、それぞれが独立して閉鎖作動できるように構成したことを特徴とする。
【0008】
(3)第3の手段の容器グリッパは、前記第1および第2の手段の容器グリッパにおいて、上部把持片を、前記溝部に係合する突起部を有する構成としたことを特徴とする。
【0009】
(4)第4の手段の容器グリッパは、前記第1から第3の手段の容器グリッパにおいて、前記容器がボトル缶であることを特徴とする。
【0010】
(5)第5の手段の容器グリッパは、前記第4の手段の容器グリッパにおいて、前記グリッパAの把持片、または、前記グリッパBの上部把持片或いは下部把持片の容器把持部を構成する材料が、エンジニアリングプラスチックスまたはスーパーエンジニアリングプラスチックスであることを特徴とする。
【0011】
(6)第6の手段の容器グリッパは、前記第5の手段の容器グリッパにおいて、前記材料のスーパーエンジニアリングプラスチックスがポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係わる本発明は、交互に把持替えをして容器を受け渡す容器グリッパの一方のグリッパAの容器把持部は、容器の首部に設けられたくびれ部に適合した把持形状でくびれ部の周長の半分以上を把持する把持片を具備し、他方のグリッパBの容器把持部は、容器首部に設けられた雄ねじ部の溝部に係合して溝部の周長の半分以上を把持する上部把持片、並びに、くびれ部の下部に係合して下部の周長の半分以上を把持する下部把持片を具備する構成としたことにより、グリッパAの把持片がくびれ部に適合した把持形状で容器姿勢が垂直のまま崩れずに容器の上下の位置決めをして容器を把持し、グリッパBが上部把持片と下部把持片の2箇所で容器姿勢が垂直のまま崩れずに容器を把持し、溝部との係合によって容器の上下の位置決めをすることができることから、安定した容器搬送を実現できるという効果を有する。
【0013】
請求項2に係わる本発明は、上部把持片と下部把持片の開閉機構を、それぞれが独立して閉鎖作動できるように構成したことにより、容器把持の際の前記把持片の閉じ代を容器径に追従させることができ、上部把持片での容器径と下部把持片での容器径がそれぞれ異なっていても確実に容器把持ができるという効果を有する。
【0014】
請求項3に係わる本発明は、上部把持片を、容器首部に設けられたねじ部の溝部に係合する突起部を有する構成としたことにより、把持された容器の上下方向の位置決めができるという効果を有する。
【0015】
請求項4から6に係わる本発明は、容器が金属製(アルミ製或いはスチール製)の場合であっても、グリッパAの把持片、または、グリッパBの上部把持片或いは下部把持片の容器把持部を構成する材料を、エンジニアリングプラスチックスまたはスーパーエンジニアリングプラスチックス、さらには、スーパーエンジニアリングプラスチックスのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)としたことにより、グリッパAの把持片、グリッパBの把持片の容器把持部の耐摩耗性、耐久性が良く、また、容器の把持箇所を傷付けることがないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】容器を説明する図である。
図2】本発明の実施の形態に係わる容器グリッパの平面図である。
図3図2の断面III−III図である。
図4】グリッパの容器把持部の詳細を説明する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
(本発明の実施の形態)
【0018】
本発明の実施の形態を図1から図4に基づいて説明する。
図1は、容器を説明する図である。
図2は、本発明の実施の形態に係わる容器グリッパの平面図である。
図3は、図2の断面III−III図である。
図4は、グリッパの容器把持部の詳細を説明する拡大図である。
図1において、容器Bの首部Bmは、図示しないキャップが巻き締めされる雄ねじ(以下単にねじと称する)部M1と、ねじ部M1の溝部M2と、くびれ部M3と、くびれ部M3の下部M4で構成されている。
【0019】
図2および図3において、容器グリッパ1は、容器Bの首部Bmのくびれ部M3(図1参照)をくびれ部M3に適合した把持形状で周長の半分以上を把持する一対の把持片8aと把持片8bから成るグリッパ(A)8と、ねじ部M1の溝部M2(図1参照)に係合して溝部M2の周長の半分以上を把持する一対の把持片5aと把持片5bから成る上部把持片5、および、上部把持片5と同様に、前記くびれ部M3の下部M4(図1参照)に係合して下部M4の周長の半分以上を把持する一対の把持片6aと把持片6bから成る下部把持片6によって構成されているグリッパ(B)4を具備している。
【0020】
前記グリッパ(A)8は、一対の把持片8aと把持片8bが、支柱34によって組み付けられたグリッパ本体上30とグリッパ本体下38にその軸端が嵌合された軸31を支点として、図示矢印8afおよび矢印8bfの方向に或いは逆方向に揺動可能となっている。
前記把持片8aと把持片8bは、円弧状切欠き8acと円弧状切欠き8bcを有し、軸体36が一端に取付けられた軸41の周りに回転するカムフォロア42と図示しないカムとの係合によって矢印36fの方向へ軸受39に摺動して移動する際には、軸体36の他端に取付けられたピン37が前記円弧状切欠き8acと円弧状切欠き8bcを矢印37fの方向に係合して押して、軸31を支点として図示矢印8afおよび矢印8bfの方向(開放方向)に揺動して、容器Bの首部Bmが出し入れ可能となるようになっており、また、軸体36の前記カムフォロア42と図示しないカムとの係合が解除され、前記グリッパ本体下38の外筒部38tに案内される圧縮ばね40の付勢により矢印36fと逆方向へ移動すると、前記ピン37が前記円弧状切欠き8acと円弧状切欠き8bcを矢印37fと逆方向に係合して押して、軸31を支点として図示矢印8afおよび矢印8bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動し、容器Bの首部Bmのくびれ部M3が周長の半分以上を把持されて拘束されるようになっている。
なお、前記把持片8aと把持片8bは、グリッパ本体上30との間の摺動板33とグリッパ本体下38との間の摺動板35に挟まれて前記揺動をするようになっている。
【0021】
前記グリッパ(B)4の上部把持片5は、一対の把持片5aと把持片5bが、支柱14によって組み付けられたグリッパ本体上10とグリッパ本体下18にその軸端が嵌合された軸11を支点として、図示矢印5afおよび矢印5bfの方向に或いは逆方向に揺動可能となっている。
また、前記グリッパ(B)4の下部把持片6は、前記上部把持片5と同様に、一対の把持片6aと把持片6bが、前記軸11を支点として、図示矢印5afおよび矢印5bfと同じ方向に或いは逆方向に揺動可能となっている。
【0022】
前記下部把持片6について詳細に説明すると、一対の把持片6aと把持片6bは、前記グリッパ(A)8の一対の把持片8aと把持片8bでの説明と同様に、円弧状切欠き6acと円弧状切欠き6bcを有し、軸体16が一端に取付けられた軸21の周りに回転するカムフォロア22と図示しないカムとの係合によって矢印16fの方向へ軸受19に摺動して移動する際には、軸体16の他端に取付けられたピン17が前記円弧状切欠き6acと円弧状切欠き6bcを矢印17fの方向に係合して押して、軸11を支点として図示矢印5afおよび矢印5bfの方向(開放方向)に揺動して、容器Bの首部Bmが出し入れ可能となるようになっており、また、軸体16の前記カムフォロア22と図示しないカムとの係合が解除され、前記グリッパ本体下18の外筒部18tに案内される圧縮ばね20の付勢により矢印16fと逆方向へ移動すると、前記ピン17が前記円弧状切欠き6acと円弧状切欠き6bcを矢印17fと逆方向に係合して押して、軸11を支点として図示矢印5afおよび矢印5bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動して、容器Bの首部Bmのくびれ部M3の下部M4が周長の半分以上を把持されて拘束されるようになっている。
なお、前記一対の把持片6aと把持片6bは、グリッパ本体下18との間の摺動板15に摺動して前記揺動をするようになっている。
【0023】
前記上部把持片5について詳細に説明すると、一対の把持片5aと把持片5bは、円弧状切欠き5acと円弧状切欠き5bcを有し、前記ピン17が前記円弧状切欠き5acと円弧状切欠き5bcを矢印17fの方向に係合して押して、軸11を支点として図示矢印5afおよび矢印5bfの方向(開放方向)に揺動して、容器Bの首部Bmが出し入れ可能となるようになっており、また、前記ピン17が矢印17fと逆方向に移動して前記円弧状切欠き5acと円弧状切欠き5bcがピン17との係合から解放された場合には、後述する圧縮ばね7の付勢によって図示矢印5afおよび矢印5bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動して、容器Bの首部Bmのねじ部M1の溝部M2が該把持片5aと把持片5bの後述する突起部5pに係合して周長の半分以上を把持されて拘束されるようになっている。
なお、前記一対の把持片5aと把持片5bは、グリッパ本体上10との間の摺動板13、および、下部把持片6との間の摺動板15aに挟まれて前記揺動をするようになっている。
【0024】
なお、図3では、上部把持片5が、前記突起部5pに加えて、ねじ部M1の外径部を把持できる筒部5tも有している場合を示している。
また、前記一対の把持片8aと把持片8b、一対の把持片5aと把持片5b、一対の把持片6aと把持片6bの容器把持部を構成する材料は、把持する対象の首部Bmが金属製である場合には把持箇所が摩耗しやすいため、エンジニアリングプラスチックスまたはスーパーエンジニアリングプラスチックスを選択し、特に、スーパーエンジニアリングプラスチックスの中でもポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を選択するのが望ましい。
【0025】
ここで、前記上部把持片5と下部把持片6、および、グリッパ(A)8について、図4を基に詳細説明する。
図4(a)は、把持片5aの平面図であり、説明の便宜上、三点鎖線で示す把持片6aおよび二点鎖線で示す圧縮ばね7との組合せを一部表示し、大口径の首部Bbを一点鎖線で、小口径の首部Bsを二点鎖線で示している。
図4(b)は、把持片6aを三点鎖線で示した平面図であり、大口径の首部Bbを一点鎖線で、小口径の首部Bsを二点鎖線で示している。
図4(c)は、首部Bmを把持している把持片5a(実線で示す)と把持片6a(三点鎖線で示す)の組合せ状態の正面図である。
【0026】
図4(a)において、把持片5aの一端の首部Bmの把持部は、首部Bmの口径が大口径の首部Bbと小口径の首部Bsに対して兼用できるような曲線形状にしてあり、大口径の首部Bbに対しては図示Bs1の箇所および図示Bb1からBb2までの間で接触し、小口径の首部Bsに対しては図示Bs1からBb1までの間で接触するようになっている。
図4(a)では図示を省略しているが、図2に示す把持片5bについても把持片5aと対称の位置および形状で、把持片5aと同様に、首部把持部が、首部Bmの口径が大口径の首部Bbと小口径の首部Bsに対して兼用できるようにしてある。
また、把持片6aと把持片6bについても、さらに、図示を省略しているが、グリッパ(A)8の把持片8aおよび把持片8bについても、前記把持片5aおよび把持片5bと同様に、首部把持部が、首部Bmの口径が大口径の首部Bbと小口径の首部Bsに対して兼用できるようにしてある。
なお、首部把持部の前記曲線形状は、把持片5aおよび把持片5bで、また、把持片6aと把持片6bで、さらに、把持片8aおよび把持片8bで首部Bmを把持した際に、小口径と大口径に対して首部Bmの中心が同一(同心円)となるような形状となっている。
このようにして、首部Bmは、小口径と大口径に対して、把持片5aと把持片5bによって、また、把持片6aと把持片6bによって、さらに、把持片8aおよび把持片8bによって、周長の半分以上を把持されるようになっている。
【0027】
また、図4(a)から(c)において、把持片5aの他端には、ばね受け座5sが設けられており、一方、把持片6aにも前記ばね受け座5sに対応する箇所にばね受け座6sが設けられていて、ばね受け座5sがばね受け座6sに対して圧縮ばね7を介して押されて、把持片5aは穴5hに摺動する軸11(図2参照)を支点として、図2に示す矢印5afと逆方向(閉鎖方向)に揺動するように付勢されている。
【0028】
即ち、前記下部把持片6は、図2に示すピン17の矢印17fの方向への押し込みによって矢印5afおよび5bfの方向へ穴6hに摺動する軸11(図2参照)を支点として揺動し、圧縮ばね20の付勢によるピン17の矢印17fの方向と逆方向への移動に伴って、矢印5afおよび5bfと逆方向へ軸11を支点として揺動するようになっており、一方、前記上部把持片5は、図2に示すピン17の矢印17fの方向への押し込みによって前記下部把持片6とともに矢印5afおよび5bfの方向に揺動し、ピン17が矢印17fの方向と逆方向へ移動した後に下部把持片6に対する圧縮ばね7の付勢によって、矢印5afおよび5bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動するようになっており、上部把持片5と下部把持片6はそれぞれ独立して閉鎖するようになっている。
【0029】
次に、本発明の実施の形態に係わる容器グリッパ1の作用を説明する。
容器は、一方のグリッパ(A)8から他方のグリッパ(B)4へ交互に把持替えされて受け渡される。
グリッパ(A)8は、一対の把持片8aと把持片8bが、軸体36の矢印36fの方向への移動により、ピン37によって円弧状切欠き8acと円弧状切欠き8bcが矢印37fの方向に押し込まれることによって、軸31を支点として矢印8afおよび矢印8bfの方向(開放方向)に揺動して、前工程からの或いは後工程への受渡し容器Bの首部Bmのくびれ部M3の出し入れが可能の状態となり、圧縮ばね40の付勢により前記軸体36の矢印36fと逆方向への移動に伴ってピン37の矢印37fと逆方向への移動により円弧状切欠き8acと円弧状切欠き8bcが矢印37fと逆方向へ押されて、軸31を支点として矢印8afおよび矢印8bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動することにより、前工程から受け渡された容器Bの首部Bmのくびれ部M3に適合した把持形状でくびれ部M3を把持拘束し、容器の上下方向の位置決めをする。
【0030】
グリッパ(B)4は、下部把持片6の一対の把持片6aと把持片6bが、軸体16の矢印16fの方向への移動により、ピン17によって円弧状切欠き6acと円弧状切欠き6bcが矢印17fの方向に押し込まれることによって、軸11を支点として矢印5afおよび矢印5bfの方向(開放方向)に揺動して、前工程からの或いは後工程への受渡し容器Bの首部Bmのくびれ部M3の下部M4の出し入れが可能の状態となり、圧縮ばね20の付勢により前記軸体16の矢印16fと逆方向への移動に伴ってピン17の矢印17fと逆方向への移動により円弧状切欠き6acと円弧状切欠き6bcが矢印17fと逆方向へ押されて、軸11を支点として矢印5afおよび矢印5bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動することにより、前工程から受け渡された容器Bの首部Bmのくびれ部M3の下部M4を把持拘束する。
【0031】
グリッパ(B)4は、また、上部把持片5の一対の把持片5aと把持片5bが、軸体16の矢印16fの方向への移動により、ピン17によって円弧状切欠き5acと円弧状切欠き5bcが矢印17fの方向に押し込まれることによって、軸11を支点として矢印5afおよび矢印5bfの方向(開放方向)に揺動して、前工程からの或いは後工程への受渡し容器Bの首部Bmのねじ部M1の出し入れが可能の状態となり、前記軸体16の矢印16fと逆方向への移動に伴うピン17の矢印17fと逆方向への移動により円弧状切欠き5acと円弧状切欠き5bcが前記押し込みから解放されて、圧縮ばね7の付勢によって矢印5afおよび矢印5bfと逆方向(閉鎖方向)に揺動することにより、前工程から受け渡された容器Bの首部Bmのねじ部M1を把持拘束する。
【0032】
ここで、前記上部把持片5の一対の把持片5aと把持片5bが容器Bの首部Bmのねじ部M1を把持するに当って、突起部5pがねじ部M1の溝部M2と係合、或いは、さらに加えて前記突起部5pの下方の筒部5tがねじ部M1の外径部を把持することにより、把持された容器Bの上下方向の位置決めをすることができる。
【0033】
前記説明では、筒部5tがねじ部M1の外径部を把持する場合を説明したが、突起部5pがねじ部M1の溝部M2と係合する場合だけとしてもよい。
【0034】
なお、グリッパ(B)4の下部把持片6の一対の把持片6aと把持片6bの揺動(開閉)作動と、上部把持片5の一対の把持片5aと把持片5bの揺動(開閉)作動が、開放作動の場合は同じピン17による押し込み機構で作動するが、閉鎖作動に際しては、それぞれ圧縮ばね20と圧縮ばね7の付勢による閉鎖機構となって、下部把持片6と上部把持片5の閉鎖作動が独立しているので、下部把持片6と上部把持片5の首部Bmの把持部の径が異なっていても適切な把持ができる。
【0035】
また、グリッパ(B)4は、下部把持片6と上部把持片5によって、くび部M3の下部M4と該下部M4から上方に離れたねじ部M1の溝部M2の上下方向2箇所を把持するので、把持された容器Bの姿勢が安定することになり、安定した容器搬送を実現できる。
さらに、首部Bmの口径が大口径のボトル缶の場合には、図4(c)に示す前記下部M4の把持幅W4が狭い形状となっているため、ボトル缶の把持が安定せず、把持姿勢が垂直にならないことがあるが、上部把持片5と下部把持片6により首部Bmを把持することができるので、首部Bmの口径が大口径のボトル缶の場合でも把持された容器Bの姿勢が安定する。
【0036】
さらに、グリッパ(A)8の一対の把持片8aと把持片8b、グリッパ(B)4の下部把持片6の一対の把持片6aと把持片6b、グリッパ(B)4の上部把持片5の一対の把持片5aと把持片5bの首部Bmの把持部が、大口径の首部Bbと小口径の首部Bsに対して兼用できるようになっているので、型替えすることなく対応できる。
【0037】
また、一対の把持片8aと把持片8b、一対の把持片5aと把持片5b、一対の把持片6aと把持片6bの首部Bmの把持部を構成する材料を、エンジニアリングプラスチックスまたはスーパーエンジニアリングプラスチックス、或いは、スーパーエンジニアリングプラスチックスの中でもポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とすることにより、容器Bの首部Bmを把持するに当って、耐摩耗性、耐久性が良く、容器の把持箇所を傷付けない。
特に、把持する対象の首部Bmが金属製(アルミ製或いはスチール製)のボトル缶である場合には、前記把持の繰り返しにより前記把持箇所も摩耗への影響が大きいが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を選択することにより、耐摩耗性、耐久性に優れた把持片となる。
【符号の説明】
【0038】
1 容器グリッパ
4 グリッパ(B)
5 上部把持片
5a、5b 把持片
6 下部把持片
6a、6b 把持片
7 圧縮ばね
8 グリッパ(A)
8a、8b 把持片
11、31 軸
16、36 軸体
17、37 ピン
20、40 圧縮ばね
B 容器
Bm (容器の)首部
M1 (雄)ねじ部
M2 溝部
M3 くびれ部
M4 くびれ部の下部
図1
図2
図3
図4