(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
A.実施例:
A−1.現金取引処理システムの構成:
A−2.閾値設定処理:
A−3.入金取引処理:
B.変形例:
【0009】
A.実施例:
A−1.現金取引処理システムの構成:
図1は、現金取引処理システム500の構成を示す説明図である。現金取引処理システム500は、硬貨処理装置10と、サーバとしてのホストコンピュータ50と、硬貨処理装置10とホストコンピュータ50とを接続するネットワークNTと、を備える。硬貨処理装置10は、硬貨を処理する現金取扱装置である。なお、
図1には、ホストコンピュータ50がネットワークNTを介して1台の硬貨処理装置10と接続されている様子が示されているが、ホストコンピュータ50は、複数の硬貨処理装置10と接続されてもよい。
【0010】
硬貨処理装置10は、制御部100と、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)290と、表示部190と、入出金部220と、搬送機構240と、特徴取得部280と、複数の金種別保留部310_1〜310_nと、複数の金種別収納部330_1〜330_nと、一括保留部350と、一括収納部370と、回収部380と、運用カートリッジ390と、を備える。
【0011】
硬貨処理装置10の制御部100は、硬貨処理装置10の各部を制御する。制御部100は、ホストコンピュータ50からの各種指示を受け付ける。本実施例では、制御部100の機能は、コンピュータプログラムに基づいてCPU(Central Processing Unit)が動作することによってソフトウェア的に実現される。他の実施例では、制御部100の機能は、制御部100が備える回路構成に基づいてハードウェア的に実現されてもよい。
【0012】
硬貨処理装置10のネットワークI/F290は、ネットワークNTを介して接続されたホストコンピュータ50と通信する。ネットワークI/F290は、ホストコンピュータ50から送信される情報を受信して、制御部100へと当該情報を送信する。なお、ネットワークI/F290は、請求項における通信部に相当する。
【0013】
硬貨処理装置10の表示部190は、制御部100からの指示に基づいて情報を表示する。本実施例では、表示部190は、表示装置に入力装置を組み合わせたタッチパネル(Touch Panel)であり、硬貨処理装置10を操作する利用者および管理者からの入力を受け付け可能に構成されている。なお、表示部190は、請求項における操作部に相当する。
【0014】
硬貨処理装置10の入出金部220は、入金される硬貨を硬貨処理装置10の外部から受け取るとともに、出金される硬貨を硬貨処理装置10の外部へと提供する。本実施例では、硬貨処理装置10は、入金時に受け取った硬貨のうち硬貨処理装置10で受け入れできない硬貨を、入出金部220を通じて返却する。
【0015】
硬貨処理装置10の搬送機構240は、硬貨処理装置10の内部で硬貨を搬送する。搬送機構240は、入出金部220と、特徴取得部280と、複数の金種別保留部310_1〜310_nと、複数の金種別収納部330_1〜330_nと、一括保留部350と、一括収納部370と、回収部380と、運用カートリッジ390と、の間を接続し、各部の間における硬貨の移動を実現する。
【0016】
硬貨処理装置10の特徴取得部280は、硬貨の特徴を取得する。本実施例では、特徴取得部280によって特徴が取得される硬貨は、入出金部220から入金される硬貨と、一括収納部370から金種別収納部330_1〜330_nへと収納される硬貨と、運用カートリッジ390から金種別収納部330_1〜330_nへと収納される硬貨と、である。
【0017】
硬貨処理装置10における複数の金種別保留部310_1〜310_nは、金種別収納部330_1〜330_nに収納すべき硬貨を一時的に保留するn個の収納部である。本実施例では、複数の金種別保留部310_1〜310_nは、6種類の金種(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨)のそれぞれに対応する6個の収納部である(n=6)。以降では、金種別保留部を総称する場合には符号「310」を用い、複数の金種別保留部を個別に示す場合には「310」の後に個別の番号を付した符号を用いる。
【0018】
硬貨処理装置10における複数の金種別収納部330_1〜330_nは、出金に用いられる硬貨を金種別に収納するn個の収納部である。本実施例では、複数の金種別収納部330_1〜330_nは、6種類の金種(1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨)のそれぞれに対応する6個の収納部である(n=6)。以降では、金種別収納部を総称する場合には符号「330」を用い、複数の金種別収納部を個別に示す場合には「330」の後に個別の番号を付した符号を用いる。なお、金種別保留部310および金種別収納部330は、請求項における金種別収納部に相当する。
【0019】
金種別収納部330に収納される硬貨は、入金取引が成立するまで金種別保留部310に一時的に収納され、入金取引が成立した後に金種別保留部310から金種別収納部330に収納される。入出金部220から出金される硬貨は、金種別収納部330から搬送機構240を通じて入出金部220に搬送される。
【0020】
硬貨処理装置10の一括保留部350は、一括収納部370に収納すべき硬貨を一時的に保留する収納部である。一括保留部350には、複数の金種の硬貨が一括して収納される。硬貨処理装置10の一括収納部370は、出金に用いられる複数の金種の硬貨を一括して収納する収納部である。一括収納部370には、複数の金種の硬貨が混在している。
【0021】
一括収納部370に収納される硬貨は、入金取引が成立するまで一括保留部350に一時的に収納され、入金取引が成立した後に一括保留部350から一括収納部370に収納される。金種別収納部330に収納されている硬貨が不足する場合、一括収納部370に収納されている硬貨は、搬送機構240を通じて特徴取得部280を経由して金種別収納部330に収納される。したがって、金種別収納部330に収納される硬貨は、一括収納部370に収納される硬貨よりも優先的に出金に用いられる。
【0022】
硬貨処理装置10の回収部380は、出金に適さないと判断された硬貨を回収する収納部である。回収部380は、出金時に搬送機構240で不具合を発生させた硬貨を回収する。硬貨処理装置10の運用カートリッジ390は、硬貨を収納する収納部であり、硬貨処理装置10に対して着脱可能に構成されている。運用カートリッジ390は、硬貨処理装置10に対する硬貨の補充と、硬貨処理装置10からの硬貨の回収と、に利用される。
【0023】
図2は、制御部100および特徴取得部280の詳細構成を示す説明図である。本実施例では、制御部100は、金種識別部110と、発行年識別部120と、真偽識別部130と、を備える。
【0024】
特徴取得部280は、画像センサ282と、光センサ284と、磁気センサ286と、を備える。特徴取得部280は、各種センサによって、硬貨の特徴を、数値化した特徴量として取得する。取得された硬貨の特徴は、金種の識別および真偽の識別に利用される。なお、特徴取得部280は、請求項における特定部に相当する。
【0025】
特徴取得部280の画像センサ282は、特徴取得部280を通過する硬貨を撮像する。本実施例では、画像センサ282は、CCDイメージセンサ(Charge-Coupled Device image sensor)である。なお、他の実施例では、画像センサ282は、例えば、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)であってもよいし、他のセンサであってもよい。特徴取得部280の光センサ284は、特徴取得部280を通過する硬貨の形状を取得する。特徴取得部280の磁気センサ286は、特徴取得部280を通過する硬貨の磁気特性を取得する。なお、他の実施例では、特徴取得部280は、光センサ284と磁気センサ286との少なくとも1つを備えなくてもよく、他のセンサを備えてもよい。
【0026】
制御部100の金種識別部110は、画像センサ282と、光センサ284と、磁気センサ286と、が取得した硬貨の特徴量に基づいて、特徴取得部280を通過する硬貨の金種を識別する。本実施例では、金種識別部110は、1円硬貨と、5円硬貨と、10円硬貨と、50円硬貨と、100円硬貨と、500円硬貨と、に識別する。
【0027】
制御部100の発行年識別部120は、画像センサ282から出力される画像データを解析することによって、特徴取得部280を通過する硬貨の発行年を識別する。本実施例では、発行年識別部120は、硬貨に記された発行年を画像データから読み取ることで、発行年を識別する。
【0028】
制御部100の真偽識別部130は、特徴取得部280が取得した硬貨の特徴量に基づいて、特徴取得部280を通過する硬貨が本物であるか偽物であるかを識別する。真偽識別部130は、金種と発行年との組み合わせのそれぞれについて、硬貨の特徴量と、予め設定された下限閾値および上限閾値と、を用いて硬貨の真偽を識別する。真偽識別部130は、硬貨の特徴量が下限閾値から上限閾値までの間に含まれている場合には、硬貨が本物と識別する。また、真偽識別部130は、硬貨の特徴量が下限閾値よりも小さい、または、上限閾値よりも大きい場合には、硬貨が偽物と識別する。なお、以降では、上限閾値および下限閾値を合わせて、単に「閾値」とも呼び、閾値は、請求項における識別基準に相当する。また、請求項において、ある識別基準よりも厳しい識別基準に設定するとは、ある識別基準よりもより高い識別基準に設定することをいう。例えば、ある識別基準では本物と識別された硬貨であっても、より高い、すなわち、より厳しい識別基準では、偽物の硬貨であると識別される場合がある。
【0029】
A−2.閾値設定処理:
図3は、閾値設定処理の流れを示す説明図である。閾値設定処理では、初めに、制御部100は、真偽識別部130が硬貨の真偽を識別するために用いる閾値を初期値に設定する(ステップS21)。次に、制御部100は、設定した閾値を変更するホストコンピュータ50からの指示があるかを判定する(ステップS22)。ホストコンピュータ50から閾値を変更する指示がないと判定された場合には(ステップS22:NO)、制御部100は、閾値設定処理を終了する。ホストコンピュータ50から閾値を変更する指示があると判定された場合には(ステップS22:YES)、制御部100は、閾値を変更して(ステップS23)、閾値設定処理を終了する。なお、制御部100は、請求項における識別基準設定部に相当する。
【0030】
図4は、金種および発行年と設定された閾値との関係の一例を示す説明図である。
図4には、金種と発行年との組み合わせのそれぞれに対して設定された閾値が一覧で示されている。閾値のスラッシュの左側の値は、下限閾値を示し、スラッシュの右側の値は、上限閾値を示す。例えば、発行年が平成1年の1円硬貨に設定された閾値は、下限閾値が100で、上限閾値が200である。本実施例では、硬貨処理装置10における閾値の初期値は、硬貨の発行年にかかわらず、金種が同じであれば、同じ閾値が設定されているが、他の実施例では、硬貨の発行年によって閾値として異なる初期値が設定されていてもよい。
【0031】
図4に示すように、金種が500円硬貨以外の硬貨では、硬貨の発行年に関わらず、同じ閾値が設定されている。一方、500円硬貨では、
図4においてハッチングで示された発行年が平成10年の硬貨だけ、ホストコンピュータ50から閾値を変更する指示があったため、閾値が変更されている。発行年が平成10年の500円硬貨では、下限閾値が220であり、他の発行年の下限閾値である200よりも高く、上限閾値が280であり、他の発行年の上限閾値である300よりも低く設定されている。すなわち、発行年が平成10年の500円硬貨では、上限閾値から下限閾値を差し引いた値が60であり、他の発行年の500円硬貨の差し引いた値の100よりも小さい。そのため、変更後の閾値では変更前の閾値に比べ、発行年の平成10年の500円硬貨が排除されやすく、閾値が厳しく変更されている。これは、発行年が平成10年の500円硬貨において、過去に偽造硬貨が発見され、ホストコンピュータ50に保存された偽造硬貨についてのデータに基づいて、閾値が設定されたためである。
【0032】
A−3.入金取引処理:
図5は、入金取引処理の流れを示す説明図である。制御部100は、入金取引を開始する旨の利用者からの指示入力に基づいて、入金取引処理を実行する。本実施例では、制御部100は、金種別収納部330_1〜330_nの少なくとも1つと、一括収納部370と、が満杯である場合、入金取引処理を実行せず、回収部380が満杯である場合にも、入金取引処理を実行しない。
【0033】
入金取引処理では、初めに、入出金部220は、利用者からの入金を受け付ける(ステップS31)。次に、搬送機構240は、受け付けた硬貨を入出金部220から特徴取得部280へと、一枚ずつ硬貨を繰り出して搬送する(ステップS32)。特徴取得部280へと硬貨が搬送されると、金種識別部110は、搬送された硬貨の金種を識別する(ステップS33)。金種の識別が行なわれて硬貨の金種が特定された場合には(ステップS34:YES)、発行年識別部120は、硬貨の発行年を識別する(ステップS35)。
【0034】
図6は、500円硬貨560の概略を示す説明図である。画像データ560における発行年刻印部562には、500円硬貨が製造された発行年が刻印されている。発行年識別部120は、発行年刻印部562の画像データを読み取ることで、画像データ560の発行年が平成10年であると識別する。
【0035】
図5のステップS35の処理において、硬貨の発行年が特定された場合には(ステップS36:YES)、真偽識別部130は、硬貨の真偽の識別を行なう(ステップS38)。真偽識別部130は、搬送された硬貨の特徴量と、
図4に示す金種および発行年で特定される閾値と、を比較することで、硬貨の真偽を識別する。硬貨が本物と識別された場合には(ステップS38:YES)、制御部100は、繰り出された硬貨を受け付けて、金種別保留部310又は一括保留部350に硬貨を収納する(ステップS39)。
【0036】
ステップS34の処理において金種が識別できない場合と(ステップS34:NO)、ステップS36の処理において発行年が識別できない場合と(ステップS36:NO)、硬貨が本物と識別されなかった場合には(ステップS38:NO)、制御部100は、搬送機構240を通じて入出金部220から硬貨を返却する(ステップS42)。
【0037】
硬貨が受け付けられた場合(ステップS39)、または、硬貨が返却された場合には(ステップS42)、次に、制御部100は、入出金部220が受け付け全ての硬貨の繰り出しが完了したか否かを判断する(ステップS40)。入出金部220からの硬貨の繰り出しが完了していないと判断された場合には(ステップS40:NO)、制御部100は、各種識別が行なわれていない硬貨に対してステップS34以降の処理を行なう。
【0038】
入出金部220が受け付けた全ての硬貨の繰り出しが完了した場合(ステップS40:YES)、制御部100は、利用者の入金取引の確定を待って収納処理を行なう(ステップS36)。収納処理では、制御部100は、金種別保留部310に保留されている硬貨を金種別収納部330に収納し、一括保留部350に保留されている硬貨を一括収納部370に収納する。収納処理が行なわれた後、制御部100は、入金取引処理を終了する。
【0039】
以上説明したように、本実施例おける硬貨処理装置10では、発行年識別部120が特徴取得部280を通過する硬貨の発行年を識別し、真偽識別部130が閾値に基づいて硬貨の真偽を識別し、制御部100が金種と発行年との組み合わせのそれぞれに対して設定された閾値を変更する。一般に、硬貨は、紙幣とは異なり、印刷ではなく鋳造により作られるため、表面の刻印模様が同じである偽造硬貨が大量に作られる場合がある。よって、一度発見されたと同じ刻印模様の偽造硬貨、すなわち、発行年が同じ偽造硬貨が、市場に流通し、硬貨処理装置10に使われる場合がある。そのため、本実施例における硬貨処理装置10では、一度発見された偽造硬貨の金種と発行年との組み合わせが予め指示されると、偽造硬貨と同じ金種と発行年との組み合わせに対する閾値を厳しくすることで、既知の偽造硬貨を排除しやすくなる。また、偽造硬貨ではない正貨は、硬貨処理装置10で受け入れられる場合には、硬貨の発行年がばらついているため、硬貨処理装置10で排除される数は少数であって、大量に排除されないため、本実施例の硬貨処理装置10では、偽造硬貨のみを排除しやすくなる。また、特定の発行年の硬貨を集中的に受け入れる場合は、造幣局等で発行して間もない包装硬貨であるため、硬貨のばらつきが小さく、閾値を厳しくしても多くの硬貨が排除されなくて済む。よって、本実施例の硬貨処理装置10では、正貨に対する不必要な排除が抑制され、既知の偽造硬貨に対する排除が効率良く行なわれる。
【0040】
また、例えば、新たな偽造硬貨が流通し始めた初期では、当該偽造硬貨を排除できるような硬貨の真偽識別のアルゴリズムを改造するために、アルゴリズムの検証工程等を含めたある程度の期間が必要である場合がある。しかし、硬貨処理装置10を内蔵した現金自動取引装置(Automated teller machine、以降「ATM」とも呼ぶ)を設置している金融機関等にとっては、緊急に偽造硬貨に対応する必要がある。硬貨の真偽識別のアルゴリズムが改造されるまで、偽造硬貨の金種の受付を行なわない対策も考えられるが、その場合には、ATMの利用者に対して使い勝手が悪くなってしまう。このような場合に、本実施例の硬貨処理装置10では、硬貨の真偽識別のアルゴリズムの改造が完了するまで、当該偽造硬貨の金種と行年との組み合わせを制御部100に登録しておくことで、ATMの利用者に対する使い勝手を改善できる。また、硬貨処理装置10は、当該偽造硬貨の金種と発行年との組み合わせに対する硬貨を受け付けた場合に、当該偽造硬貨を排除しやすくなる。
【0041】
また、本実施例における硬貨処理装置10では、特徴取得部280が硬貨の特徴量を特定し、真偽識別部130が特徴量と閾値とを比較することで硬貨の真偽を識別するため、硬貨の真偽を簡潔、かつ、迅速に識別できる。
【0042】
また、本実施例における硬貨処理装置10では、制御部100がホストコンピュータ50からの指示に基づいて閾値を変更する。そのため、特定の金種と特定の発行年との組み合わせの硬貨について偽造硬貨が発見された場合には、ネットワークNTを介して接続されている硬貨処理装置10の全てに対してホストコンピュータ50から閾値の変更を指示でき、迅速に偽造硬貨を排除できる。
【0043】
B.変形例:
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成の一部について、他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0044】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くこともできる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0045】
また、本実施例における硬貨処理装置10では、制御部100は、ホストコンピュータ50からの指示に基づいて閾値を変更したが、閾値の変更方法についてはこれに限られず、種々変形可能である。例えば、タッチパネルである表示部190が管理者からの入力を受け付けて、閾値が変更されてもよい。この変形例の硬貨処理装置10では、それぞれの硬貨処理装置10に対してそれぞれの閾値が設定されるため、硬貨処理装置10を内蔵したATM等が設置される場所に応じて閾値の設定が変更され、偽造硬貨の排除が効率良く行なわれ、正貨の排除が抑制される。
【0046】
また、上記実施例では、硬貨における1つの特徴量に基づいて、硬貨の真偽が識別されたが、特徴量の数は必ずしも1つである必要はなく、種々変形可能である。例えば、画像センサ282と、光センサ284と、磁気センサ286と、の各センサのそれぞれに対して1つずつの特徴量が特定されて、特徴量のそれぞれに対して閾値との比較が行なわれてもよい。また、特徴取得部280の各センサが硬貨の部位ごとに特徴量を特定してもよい。
【0047】
また、上記実施例では、ホストコンピュータ50からの指示に基づいて、上限閾値および下限閾値が変更されたが、指示に基づいて上限閾値等が設定される必要はなく、閾値の変更方法については種々変形可能である。例えば、制御部100は、ホストコンピュータ50からの情報に基づいて閾値を変更する金種および発行年だけ特定し、閾値の値自体について個別に変更してもよい。また、硬貨に対して複数の特徴量が特定された場合には、いずれの特徴量に対応する閾値のみが変更されてもよい。また、閾値は、具体的な数値ではなく、複数の段階のそれぞれについて設定されており、ホストコンピュータ50からの指示に基づいて、段階が変更されてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、
図4に示すように、予め設定された閾値は、金種のそれぞれについて全ての発行年で同じ閾値であったが、必ずしも全ての発行年で同じ閾値である必要はなく、発行年ごとの閾値の設定については種々変形可能である。例えば、発行年が新しい硬貨は、発行年が古い硬貨と比べて閾値が厳しい設定であってもよい。この変形例では、古い硬貨ほど長年の使用に応じてばらつきが大きくなるため、硬貨の真偽の識別が効率良く行なわれる。