特許第6016746号(P6016746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016746
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】苗植付け装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   A01C11/02 382C
   A01C11/02 311V
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-202710(P2013-202710)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-65891(P2015-65891A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】土岡 秀史
(72)【発明者】
【氏名】安田 真
(72)【発明者】
【氏名】古市 正和
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝式
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−61075(JP,A)
【文献】 特開平7−107821(JP,A)
【文献】 特開平6−311802(JP,A)
【文献】 特開昭51−63215(JP,A)
【文献】 実開昭55−65921(JP,U)
【文献】 実開昭51−115122(JP,U)
【文献】 実開昭51−102512(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗を載置する苗載せ台と、その苗載せ台の下端部の苗供給部と圃場との間で上下往復移動して前記苗供給部から取り出した苗を前記圃場に植付ける植付機構と、その植付機構の上方側を覆うように固定支持されたカバーとが備えられ、前記苗載せ台は、その苗載せ台の下方側に配置された前記植付機構に対して接近離間方向に移動自在に備えられ、前記カバーは、前後方向に位置調整自在に備えられている苗植付け装置。
【請求項2】
前記苗載せ台は、後方側ほど下方側に位置する後方側傾斜姿勢にて備えられており、前記カバーは、前後方向に加えて、上下方向にも位置調整自在に備えられている請求項1に記載の苗植付け装置。
【請求項3】
前記植付機構の上方側に粉粒体散布装置が備えられ、前記カバーは、前記粉粒体散布装置を支持する支持体に対して位置調整自在に連結するように構成されている請求項1又は2に記載の苗植付け装置。
【請求項4】
前記植付機構の上方側に粉粒体散布装置が備えられ、前記カバーは、前記粉粒体散布装置の下部に位置調整自在に備えられている請求項1又は2に記載の苗植付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗を載置する苗載せ台と、その苗載せ台の下端部の苗供給部と圃場との間で上下往復移動して前記苗供給部から取り出した苗を前記圃場に植付ける植付機構とを備えた苗植付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような苗植付け装置は、例えば、乗用型田植機に用いられており、左右の車輪にて支持された走行機体の後部にリンク機構を介して昇降自在に備えられている。苗載せ台は、後方側ほど下方側に位置する後方側傾斜姿勢にて備えられており、その後方側傾斜姿勢の苗載せ台の下端部に苗供給部が備えられている。植付機構は、苗載せ台の後方下方側に配設されており、苗供給部と圃場との間で植付アームを上下往復移動させることで、苗供給部から所望量の苗を取り出して圃場に植付けるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の苗植付け装置では、植付機構の上方側に、圃場面に肥料を散布するための施肥装置が備えられており、植付機構が植付アームを上下往復移動させる際に、圃場の泥土が上方側に飛散する可能性がある。そこで、植付機構の上方側を覆うカバーが備えられ、そのカバーによって施肥装置に泥土がかかるのを防止するように固定支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−311802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圃場に苗を植え付けるに当たって、粗植とするか又は密植とするか等の各種の条件に応じて、苗の植付け量を変更することが求められている。そこで、苗載せ台が植付機構に対して接近離間方向に位置調整自在に備えられ、その苗載せ台の位置を調整することで、苗供給部から苗を取り出す苗取出し量を調整できるようにしている。しかしながら、苗の取り出し量を増加させる場合には、苗載せ台の位置を植付機構に接近するように位置調整することになるので、苗載せ台に備えた部材と植付機構とが接近して、苗載せ台に備えた部材と植付機構の上方側を覆うカバーとが干渉する可能性がある。
【0006】
そこで、植付機構によって圃場の泥土が上方側に飛散するのを抑制するカバーを、他の部材と干渉せずに備えることができる苗植付け装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る苗植付け装置の特徴構成は、苗を載置する苗載せ台と、その苗載せ台の下端部の苗供給部と圃場との間で上下往復移動して前記苗供給部から取り出した苗を前記圃場に植付ける植付機構と、その植付機構の上方側を覆うように固定支持されたカバーとが備えられ、前記苗載せ台は、その苗載せ台の下方側に配置された前記植付機構に対して接近離間方向に移動自在に備えられ、前記カバーは、前後方向に位置調整自在に備えられている点にある。
【0008】
本特徴構成によれば、苗載せ台の位置を植付機構に対して接近離間方向に移動させる場合に、カバーの位置についても前後方向に調整することができる。これにより、苗載せ台の位置を植付機構に接近するように位置調整する場合でも、カバーが苗載せ台から離れるように、カバーの位置を後方側に調整することができ、苗載せ台に備えた部材とカバーとの干渉を防止することができる。また、苗載せ台の位置を植付機構から離れる側に位置調整する場合でも、カバーの位置を前方側に調整することで、苗載せ台とカバーとの間に大きな隙間が生じることなく、泥土の上方側への飛散を適切に防止することができる。
【0009】
本発明に係る苗植付け装置の更なる特徴構成は、前記苗載せ台は、後方側ほど下方側に位置する後方側傾斜姿勢にて備えられており、前記カバーは、前後方向に加えて、上下方向にも位置調整自在に備えられている点にある。
【0010】
本特徴構成によれば、カバーは、前後方向だけでなく、上下方向にも位置調整できるので、カバーの位置調整の自由度が増し、他の部材との干渉を抑制しながら、泥土の上方側への飛散を防止できる適切な位置にカバーを配置することができる。
【0011】
本発明に係る苗植付け装置の更なる特徴構成は、前記植付機構の上方側に粉粒体散布装置が備えられ、前記カバーは、前記粉粒体散布装置を支持する支持体に対して位置調整自在に連結するように構成されている点にある。
【0012】
本特徴構成によれば、粉粒体散布装置を支持するための支持体を利用してカバーを備えさせることができ、カバーの支持構成の簡素化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る苗植付け装置の更なる特徴構成は、前記植付機構の上方側に粉粒体散布装置が備えられ、前記カバーは、前記粉粒体散布装置の下部に位置調整自在に備えられている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、粉粒体散布装置を利用してカバーを備えさせることができ、カバーの支持構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】乗用型田植機の側面図
図2】苗植付け装置の平面図
図3】苗植付け装置の側面図
図4】苗載せ台及び植付機構の側面図
図5】苗載せ台及び植付機構の側面図
図6】カバーの取り付け構造を示す側面図
図7】カバーの取り付け構造を示す断面図
図8】苗載せ台と第1薬剤散布装置の要部とを示す側面図
図9】保護ガードを示す斜視図
図10】別実施形態におけるカバーの位置調整構造を示す側面図
図11】別実施形態におけるカバーの位置調整構造を示す側面図
図12】別実施形態におけるカバーの位置調整構造を示す側面図
図13】別実施形態におけるカバーの取り付け構造を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る苗植付け装置を乗用型田植機に適応した例を図面に基づいて説明する。
この乗用型田植機は、図1に示すように、左右の前輪1及び左右の後輪2にて支持された走行機体3と、その走行機体3の後部にリンク機構4を介して昇降自在に支持された苗植付け装置5(本発明に係る苗植付け装置)と、苗載せ台16に載置された苗に薬剤を散布する第1薬剤散布装置6と、圃場面に薬剤を散布する第2薬剤散布装置7とが備えられている。
【0017】
走行機体3には、その後方側部位に、前方側から順に、運転座席8、施肥装置9が備えられている。施肥装置9は、肥料を貯留するホッパー10と、そのホッパー10から肥料を繰り出す繰り出し部11と、その繰り出した肥料をブロア12の送風により圃場面に向けて導く供給ホース13とを備えている。供給ホース13は、その供給口側端部が作溝器14に接続されている。施肥装置9は、繰り出し部11にてホッパー10から繰り出した肥料を供給ホース13にて圃場面に向けて導き、その肥料を作溝器14を介して圃場面に供給するように構成されている。
【0018】
(苗植付け装置の構成)
苗植付け装置5は、リンク機構4によって、接地フロート15が圃場面に接地する下降作業状態と、接地フロート15が圃場面から上方側に上昇した上昇非作業状態とに昇降自在に備えられている。苗植付け装置5は、図2及び図3に示すように、苗を載置する苗載せ台16と、その苗載せ台16の下端部の苗供給部17と圃場との間で上下往復移動して苗供給部17から取り出した苗を圃場に植付ける植付機構18とを備えている。
【0019】
リンク機構4の後方下方側には、図1及び図3に示すように、左右方向に延びる支持フレーム23が備えられ、その支持フレーム23には、フィードケース19(図1参照)が固定支持されているとともに、伝動ケース20が後向きに片持ち状に支持されている。伝動ケース20の上部には、苗載せ台16が左右方向に往復移動自在に支持されている。伝動ケース20の後部に一対の回転ケース21が回転駆動自在に支持され、一対の回転ケース21の夫々には、その両端に一対の植付アーム22が支持されている。植付機構18は、回転ケース21及び植付アーム22等を備え、回転ケース21を回転駆動することで、植付アーム22を上下往復移動させて苗供給部17から苗を取り出し、その取り出した苗を圃場に植付けるようにしている。
【0020】
苗載せ台16を左右方向に往復移動自在に支持するために、伝動ケース20には左右方向に延びる下部ガイドレール24が支持されており、苗載せ台16の下部が下部ガイドレール24に沿って左右方向に移動自在に支持されている。支持フレーム23の左右方向の両端部には上方側に延びる一対の第1支持体25が備えられ、一対の第1支持体25の上端部同士を連結する第2支持体26が備えられている。苗載せ台16の上方側前面には、上部ガイドレール27が備えられ、その上部ガイドレール27が第2支持体26に備えられたローラー28に左右方向に移動自在に支持されている。
【0021】
苗載せ台16には、図2に示すように、一条分のマット状苗100を載置するように複数の区画部31にて区画された複数の苗載置部29が備えられている。複数の苗載置部29は、苗載せ台16の左右方向に並ぶ状態で備えられており、この実施形態では、6つの苗載置部29が備えられている。苗載せ台16は、図1及び図3に示すように、後方側ほど下方側に位置する後方側傾斜姿勢にて備えられており、苗載置部29は、前方上方から後方下方に向かう傾斜面を有し、その傾斜面にマット状苗100を載置するようにしている。苗載置部29の夫々には、その下方側部位にベルト駆動式の苗縦送り装置30が備えられている。
【0022】
苗植付け装置5は、図外の駆動機構により苗載せ台16を左右方向に往復移動させ、回転ケース21が回転駆動されて、植付アーム22が苗載せ台16の苗供給部17から苗を取り出して圃場に植付けるようにしている。苗植付け装置5は、苗載せ台16が左右方向のストロークエンドに達すると、苗縦送り装置30により苗載せ台16における苗載置部29の苗を所定量だけ下方側に縦送りし、再び苗供給部17からの苗の取り出しを可能な状態としている。
【0023】
図3図5に示すように、苗載せ台16及び下部ガイドレール24は、連結部材32に連結されており、その連結部材32が第3支持体33によって苗載置部29の傾斜面に沿って移動自在に支持されている。これにより、苗載せ台16は、苗載せ台16の下方後方側に配置された植付機構18に対して接近離間方向に移動自在に備えられている。伝動ケース20には、その上方側に延びる第4支持体34が備えられ、その第4支持体34には、左右方向に沿う回転支軸35が回転自在に支持されている。回転支軸35に対して、連結部材32に係合連結された操作アーム36とレバーガイド37に形成されたガイド溝(図示省略)を摺動自在な操作レバー38とが一体回転自在に連結されている。レバーガイド37は、支持フレーム23の上方側に延びるように備えられており、図示は省略するが、ガイド溝には、操作レバー38を揺動操作させた際に、その操作後の位置を保持するための切欠部が複数形成されている。
【0024】
図4では、苗載せ台16を植付機構18に対して最も離れる側に位置調整した状態を示しており、図5では、苗載せ台16を植付機構18に対して最も接近する側に位置調整した状態を示している。操作レバー38を回転支軸35の軸心周りに揺動操作すると、回転支軸35と操作アーム36とが一体的に回転し、操作アーム36が回転支軸35の軸心周りに揺動操作される。操作アーム36の揺動先端側には、連結部材32が連結されているので、その連結部材32が苗載置部29の傾斜面に沿って移動操作され、苗載せ台16及び下部ガイドレール24が苗載置部29の傾斜面に沿って移動することになる。これにより、植付機構18の回転軌跡S(図4及び図5参照)に対して苗載せ台16を接近離間方向に移動させることで、植付機構18が苗供給部17から取り出す苗の量を調整できるようになっている。
【0025】
苗載せ台16には、図2及び図3に示すように、苗載置部29に載置された苗が苗載置部29の傾斜面から離れる側に膨らむように屈曲する浮き上がりを防止するための苗ステー39が備えられている。苗ステー39は、複数の苗載置部29の夫々に対して複数配置されている。この実施形態では、複数の苗載置部29の夫々に対して、2つの苗ステー39が左右方向に間隔を隔てて並ぶように備えられている。苗載せ台16の上方側部位には、苗載せ台16の左右方向で両端側部位と中央側部位とが上方側に折り曲げられ、苗載せ台16の左右方向の全長に亘って延びる第1支持ロッド40が備えられている。苗載せ台16の下端部には、苗載せ台16の左右方向の全長に亘って延びる第2支持ロッド41が備えられている。苗ステー39は、苗載置部29の傾斜面に沿って第1支持ロッド40と第2支持ロッド41とに亘って備えられており、その上方側部位は、苗載せ台16から離れる方向に折れ曲がったのち、第1支持ロッド40に連結されている。
【0026】
苗載せ台16の上方側部位において複数(例えば3つ)の区画部31には、上方側に延びる第1支柱42が備えられ、その第1支柱42の上方側部位に、第1支持ロッド40を保持する第1保持部43が備えられている。苗載せ台16の下端部において複数の区画部31の夫々には、上方側に延びる板状の第2保持部44が備えられている。この第2保持部44には、苗載置部29の傾斜面の上方側に開放された複数の凹部45が備えられ、複数の凹部45の夫々が第2支持ロッド41を係合保持自在に構成されている。第2支持ロッド41を複数の凹部45のいずれに係合保持させるかを変更することで、苗載置部29に対する苗ステー39の高さを調整できるようになっている。
【0027】
(第1薬剤散布装置の構成)
第1薬剤散布装置6の装置本体6aは、図1及び図3に示すように、薬剤を貯留する貯留タンク47と、その貯留タンク47に貯留されている薬剤を繰り出す繰り出し部48と、その繰り出し部48にて繰り出した薬剤を苗載せ台16に載置された苗に案内供給する案内供給部49とを備えている。案内供給部49は、繰り出し部48にて繰り出された薬剤をマット状苗100の供給対象箇所に落下させるように案内するノズルにて構成されており、例えば、マット状苗100の供給対象箇所を、図3に示すように、植付機構18が苗を取り出す苗供給部17よりも苗載せ台16の上方側で、苗押え杆46による苗葉押さえにより苗葉間に形成された隙間としている。
【0028】
装置本体6aは、苗載せ台16の左右方向に延びるガイドレール50によって左右方向に移動自在に案内支持されており、装置本体6aを左右方向に移送させる左右方向移送機構51が備えられている。苗載せ台16の左右方向の両端部には、上方側に延びる第5支持体52が備えられ、ガイドレール50は、その両端部が左右の第5支持体52に連結支持されており、苗載せ台16の左右方向の全長に亘るように備えられている。左右方向移送機構51は、ガイドレール50の一端部に配置された駆動スプロケットとガイドレール50の他端部に配置された従動スプロケットとに巻回された無端状のチェーン53と、ガイドレール50の一端部に配置されて駆動スプロケットを回転駆動する電動モータ54(図2参照)とを備えている。
【0029】
第1薬剤散布装置6は、繰り出し部48にて貯留タンク47から繰り出した薬剤を案内供給部49によってマット状苗100の供給対象箇所に落下供給しながら、左右方向移送機構51により装置本体6aをガイドレール50に沿って左右方向に往復移動させることで、苗載せ台16の左右方向の全体に亘って苗載置部29に載置されている苗に薬剤を散布するようにしている。
【0030】
ここで、図8に示すように、ガイドレール50は、その断面形状が前方側を開放している前方開口部を有するコ字状に形成されており、その前方開口部を利用して、ガイドレール50の内方側に備えられたチェーン53等のメンテナンス作業を行えるようにしている。ガイドレール50は、前方開口部を有することから、例えば、苗載置部29に載置させるマット状苗100の長さが長い場合や、第1薬剤散布装置6を苗載せ台16に対して近接して配置させた場合には、苗載せ台16に載置されているマット状苗100がその前方開口部からガイドレール50の内方側に侵入する可能性がある。そこで、ガイドレール50の前方開口部からの苗の侵入を防止するために、苗押さえ体55を備えることができる。この苗押さえ体55は、苗載せ台16の左右方向の全長に亘るロッド状に構成されており、その両端部がガイドレール50の両端部から前方側に延びる第6支持体56にて支持されている。
【0031】
(第2薬剤散布装置の構成)
第2薬剤散布装置7は、図1及び図3に示すように、粉粒状の薬剤(除草剤)を貯留するホッパー57と、そのホッパー57に貯留されている薬剤を繰り出す繰り出し部58と、その繰り出し部58にて繰り出された薬剤を圃場に拡散散布する散布機構59とを備えている。第2薬剤散布装置7は、伝動ケース20から延びる第7支持体60に連結支持されている。第7支持体60は、平面視において、苗載せ台16の左右方向に間隔を隔てた2つの伝動ケース20に亘るように左右方向に延びる延設部位60aを有している。第7支持体60は、側面視において、複数の折れ曲がり部を有して下方側から上方側に延びて延設部位60aに至る棒状に構成されている。具体的には、第7支持体60は、下方側から、伝動ケース20から後方側に向かって延びたのち、上方側に折れ曲がり、その延設方向を前方上方側に向かうように折れ曲がったのち、上方側に折れ曲がって延設部位60aに至る形状となっている。第2薬剤散布装置7は、第7支持体60において延設部位60aに固定支持されている。
【0032】
このようにして、植付機構18の上方側に第2薬剤散布装置7(粉粒体散布装置に相当する)が備えられている。上述の如く、植付機構18は、回転ケース21を回転駆動することで、植付アーム22を上下往復移動させて苗供給部17から苗を取り出し、その取り出した苗を圃場に植付けるようにしているので、植付アーム22の上下往復移動に伴って圃場の泥土を上方側に跳ね上げ、その跳ね上げた泥土が第2薬剤散布装置7に飛散する可能性がある。そこで、植付機構18の上方側を覆うようにカバー61が備えられている。
【0033】
カバー61は、図4図6に示すように、苗載せ台16の前後方向に延びる湾曲状のカバー本体62と、そのカバー本体62に連結される第8支持体63と、その第8支持体63に連結された第9支持体64とを備え、第9支持体64を伝動ケース20に固定支持するようにしている。カバー本体62は、図2に示すように、苗載せ台16の左右方向に並ぶ複数の伝動ケース20の夫々に対して備えられており、図4及び図5に示すように、複数のカバー本体62の夫々が、第8支持体63及び第9支持体64を介して伝動ケース20に固定支持されている。第8支持体63は、カバー本体62の前端部及び後端部に形成された被係合部に係合連結自在な棒状体にて構成されている。第9支持体64は、上下方向及び前後方向に延びる板状に構成されており、その上端側部位が溶接等により第8支持体63に連結されている。第9支持体64の下端部には、前方側と後方側の夫々に第1取付用孔部65が備えられ、その第1取付用孔部65と伝動ケース20に備えられた第2取付用孔部66を位置合わせして連結部材により連結することで、第9支持体64を介してカバー61を伝動ケース20に固定支持している。連結部材について、この実施形態では、図7に示すように、ボルト67とナット68を用いてボルト締結するようにしている。また、例えば、連結部材として、連結ピンとその連結ピンを係止する係止具を用いて連結することもできる。
【0034】
この実施形態では、図7に示すように、伝動ケース20の上端部に上方側に延びる支持片69が備えられており、その支持片69に第2取付用孔部66が形成されている。また、支持片69及び第2取付用孔部66が、カバー61を取り付けるためだけでなく、第2薬剤散布装置7を取り付けるためにも用いられている。第2薬剤散布装置7を支持する第7支持体60に連結された板状の第10支持体70が備えられており、その第10支持体70に第3取付用孔部71が形成されている。そして、第1取付用孔部65と第2取付用孔部66と第3取付用孔部71を位置合わせし、その位置合わせした孔部の夫々を貫通するようにボルト67を配置してナット68にて締め込むことで、支持片69に対して第9支持体64と第10支持体70を共締め連結するようにしている。
【0035】
カバー61を伝動ケース20に固定するに当たり、カバー61を伝動ケース20に対して位置調整自在に連結するように構成されている。これにより、カバー61は、第2薬剤散布装置7を支持するための伝動ケース20(支持体に相当する)に対して位置調整自在に連結するようにしている。伝動ケース20に備えられた前後の第2取付用孔部66はボルト67を挿脱自在な円形状に形成されている。それに対して、第9支持体64に備えられた前後の第1取付用孔部65は、前後方向に延びる長孔部にて構成されており、第1取付用孔部65におけるボルト67の挿入位置を前後方向に位置調整自在となっている。
【0036】
このようにして、カバー61を固定支持するに当たり、カバー61を前後方向に位置調整自在に構成されている。上述の如く、植付機構18が苗供給部17から取り出す苗の量を調整するために、操作レバー38を揺動操作することで、苗載せ台16を植付機構18に対して接近離間方向に移動させるようにしている。苗載せ台16の下端部には、苗ステー39の下端部を保持する第2保持部44が備えられていることから、図4の状態から、苗載せ台16を植付機構18に対して接近方向に移動させると、第2保持部44とカバー61が接近してお互いに干渉する虞がある。このような場合には、図4に示すように、ボルト67の挿入位置を第1取付用孔部65の後端部から、図5に示すように、第1取付用孔部65の前端部に調整することで、カバー61を前方側から後方側に位置調整することができ、第2保持部44とカバー61の干渉を防止することができる。
【0037】
図示は省略するが、苗植付け装置5としては、植付機構18における回転軌跡S(図4及び図5参照)を変更することで、圃場に対する苗の植付間隔を変更することができる。このように、植付機構18における回転軌跡Sを変更すると、植付機構18が苗供給部17から取り出す苗の量が変化する。そこで、操作レバー38を揺動操作することで、苗載せ台16を植付機構18に対して接近離間方向に移動させることで、植付機構18における回転軌跡Sを変更しても、植付機構18が苗供給部17から取り出す苗の量を所望の一定量とすることができる。この場合でも、苗載せ台16を植付機構18に対して接近方向に移動させると、第2保持部44とカバー61が接近するが、カバー61を後方側に位置調整することで、第2保持部44とカバー61の干渉を防止することができる。
【0038】
図1及び図3に示すように、苗載せ台16を左右方向に移動自在に支持するための下部ガイドレール24の前方側には、左右方向に延びる支持フレーム23が配置されている。その支持フレーム23の両端側部位には、図2に示すように、下部ガイドレール24の左右方向での端部よりも外側に位置して、その下部ガイドレール24に他物が衝突するのを回避するための保護ガード74が備えられている。保護ガード74は、図9に示すように、L字状に屈曲形成されたパイプ体にて構成されており、支持フレーム23の左右方向の両端部に備えられた第3保持部72に保持自在に備えられている。第3保持部72は、左右方向に延びる筒状に形成されており、保護ガード74は、筒状の第3保持部72に対して内嵌自在で且つその内嵌させた状態で左右方向にスライド移動自在に構成されている。そして、保護ガード74を第3保持部72に内嵌させた状態で固定ピン73を用いて固定することで、保護ガード74を第3保持部72に内嵌させた状態で保持できるようになっている。
【0039】
保護ガード74は、図3及び図9に示すように、第3保持部72の軸心周りで揺動自在となっており、その揺動によって、第3保持部72から外側に突出する突出部位74aが、後方側に延びる第1姿勢(図3及び図9の実線参照)と下方側に延びる第2姿勢(図3及び図9の点線参照)とに姿勢変更自在に構成されている。突出部位74aを第1姿勢とすることで、突出部位74aが下部ガイドレール24の左右方向での端部よりも外側に位置して下部ガイドレール24を保護するようにしている。突出部位74aを第2姿勢とすることで、突出部位74aの先端部を接地させてスタンドとして利用するようにしている。突出部位74aは、円形状の内側部材75とその内側部材75の周囲を外嵌する円形筒状の外側部材76とを備え、外側部材76が内側部材75に対してその軸心方向にスライド移動自在に備えられている。内側部材75の外周部には、固定ピン77を挿脱自在な孔状の係合部78が内側部材75の長手方向に間隔を隔てて複数備えられており、外側部材76には、固定ピン77を挿脱自在な貫通孔79が備えられている。これにより、内側部材75に対して外側部材76をその軸心方向にスライド移動させて、外側部材76の突出量を調整することができ、その調整後に貫通孔79に合致する係合部78に固定ピン77を係合させることで、その調整後の状態に固定することができる。このようにして、突出部位74aを第2姿勢としてスタンドとして利用する場合に、外側部材76の突出量を調整することで、そのスタンドの長さの調整を行えるようにしている。
【0040】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、カバー61を前後方向に位置調整自在に備えている例を示したが、カバー61をどの方向に位置調整自在に備えるのかは適宜変更が可能である。例えば、図10に示すように、第1取付用孔部65を上下方向に延びる長孔部にて構成することで、カバー61を上下方向に位置調整自在に備えることができる。また、図11に示すように、第1取付用孔部65を前方側ほど上方側に位置する傾斜状の長孔部にて構成することで、カバー61を苗載置部29の傾斜面に沿って位置調整自在に備えることができる。さらに、図12に示すように、第1取付用孔部65を、上下方向に延びる第1長孔部65aとその第1長孔部65aの下端部から後方側に延びる第2長孔部65bとを組み合わせたL字状の長孔部にて構成することで、カバー61を前後方向だけでなく、上下方向にも位置調整自在に備えることができる。
【0041】
(2)上記実施形態では、カバー61が、第2薬剤散布装置7を支持する伝動ケース20に対して位置調整自在に連結している。これに代えて、例えば、カバーは、植付機構の上方側に備えられる粉粒体散布装置の下部に位置調整自在に備えることもできる。
【0042】
図13に示すように、粉粒体散布装置として、圃場面に肥料を散布する施肥装置80が植付機構18の上方側に備えられている。この施肥装置80は、粉粒状の肥料を貯留するホッパー81と、そのホッパー81から肥料を繰り出す繰り出し部82と、その繰り出し部82にて繰り出した肥料を圃場面に案内供給する案内供給部83とを備えている。
【0043】
施肥装置80の下部には、下方側に延びる第11支持体84が備えられ、その第11支持体84の下端部に前後の第4取付用孔部85が形成されている。カバー61には、カバー61から上方側に延びる第12支持体86が備えられ、その第12支持体86の上端部に前後の第5取付用孔部87が形成されている。第4取付用孔部85と第5取付用孔部87を位置合わせして連結部材により連結することで、第12支持体86を第11支持体84に固定し、カバー61を施肥装置80の下部に固定支持している。
【0044】
ここで、カバー61を前後方向に位置調整自在とするために、第5取付用孔部87が前後方向に延びる長孔部にて構成されており、第5取付用孔部87におけるボルト67の挿入位置を前後方向に位置調整自在となっている。
【0045】
施肥装置80の下部にカバー61を備えた場合でも、上述の別実施形態(1)で述べた如く、第5取付用孔部87の形状を変更することで、カバー61を上下方向に位置調整自在に備える、カバー61を苗載置部29の傾斜面に沿って位置調整自在に備える、又は、カバー61を前後方向だけでなく、上下方向にも位置調整自在に備えることもできる。
【0046】
(3)上記実施形態では、第1取付用孔部65と第2取付用孔部66を位置合わせして連結部材により連結することで、カバー61を伝動ケース20に固定支持している。これに代えて、例えば、第2取付用孔部66を形成せずに、第1取付用孔部65のみを形成し、伝動ケース20側には溶接ボルトを備え、その溶接ボルトの第1取付用孔部65での挿入位置を調整することで、カバー61を伝動ケース20に対して位置調整自在に固定支持させることができる。
【0047】
(4)上記実施形態では、第1取付用孔部65を前後方向に延びる長孔部とし、第2取付用孔部66を円形状としているが、逆に、第1取付用孔部65を円形状とし、第2取付用孔部66を前後方向に延びる長孔部とすることもできる。この場合には、第2薬剤散布装置7を支持する第10支持体70については、第9支持体64とは別の箇所に伝動ケース20に固定することになる。
【0048】
また、この場合でも、上述の別実施形態(3)で述べた如く、第1取付用孔部65を形成せずに、カバー61側に備えられた溶接ボルトを第2取付用孔部66での挿入位置を調整することで、カバー61を伝動ケース20に対して位置調整自在に固定支持させることができる。
【0049】
(5)上記実施形態では、植付機構として、一対の植付アームを備えたロータリ式の植付機構を適応しているが、例えば、1つの植付アームを備えたクランク式の植付機構を適応することも可能である。
また、上記実施形態では、本発明に係る苗植付け装置を乗用型田植機に適応した例を示したが、例えば、歩行型田植機に本発明に係る苗植付け装置を適応することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、苗を載置する苗載せ台と、その苗載せ台の下端部の苗供給部と圃場との間で上下往復移動して前記苗供給部から取り出した苗を前記圃場に植付ける植付機構とを備え、植付機構によって圃場の泥土が上方側に飛散するのを抑制するカバーを、他の部材と干渉せずに備えることができる各種の苗植付け装置に適応可能である。
【符号の説明】
【0051】
5 苗植付け装置
7 第2薬剤散布装置(粉粒体散布装置)
16 苗載せ台
17 苗供給部
18 植付機構
20 伝動ケース(支持体)
61 カバー
80 施肥装置(粉粒体散布装置)
100 マット状苗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13