特許第6016750号(P6016750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016750
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】スロースタート回路及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20161013BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H02M3/28 B
   B41J29/38 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-226724(P2013-226724)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-89261(P2015-89261A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2015年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】松浦 貞博
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−012666(JP,A)
【文献】 特開2001−346397(JP,A)
【文献】 特開2004−362457(JP,A)
【文献】 特開2000−324834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00−3/44
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の軽重に応じて電流供給能力が切り替わるスイッチング電源装置から供給される電流で駆動されるモーターをスロースタートさせるスロースタート回路であって、
前記スイッチング電源装置の出力電流を検出して、該出力電流に応じた大きさの検出電圧を出力する出力電流検出回路と、
前記検出電圧に基づいて、前記モーターに通電される電流の目標値を表す目標電圧を生成するエミッタフォロワ回路である目標電圧生成回路とを備え
前記出力電流検出回路は、前記スイッチング電源装置の出力電流の供給経路に直列に挿入されたシャント抵抗と、前記シャント抵抗の両端電圧が入力され、該入力された両端電圧を増幅して前記検出電圧を出力する誤差増幅器とを有し、
前記目標電圧生成回路は、ベースに前記検出電圧が入力され、エミッタに負荷抵抗が接続され、該エミッタから前記目標電圧を、前記モーターを駆動するモーター駆動回路に向けて出力するバイポーラトランジスタと、前記目標電圧生成回路の出力とグランドとの間で電流の流れとは逆方向に接続されたツェナーダイオードとを備えるスロースタート回路。
【請求項2】
記録媒体に画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部の搬送ローラー対と、
負荷の軽重に応じて電流供給能力が切り替わる絶縁型フライバックコンバーターであって、入力側と出力側が絶縁トランスによって絶縁されているスイッチング電源装置であって、交流電源から供給される交流電力を整流して入力直流電圧を生成する整流回路と、前記整流回路の直流出力の正端子及び負端子の両端間に接続され、前記入力直流電圧を平滑化する第1のコンデンサと、前記整流回路に接続されて前記整流回路から供給される直流電流が通電される前記絶縁トランスの1次巻線と、前記1次巻線の電流経路に直列に接続され、前記1次巻線への前記直流電流の通電の有無を制御するFETスイッチと、前記FETスイッチのオン/オフを制御する制御ICと、前記制御ICによる前記FETスイッチのオン/オフを制御により自己誘導電圧が発生して出力直流電流を出力する前記絶縁トランスの2次巻線と、ダイオードを介して前記2次巻線の両端子間に接続されて出力直流電圧を平滑化する第2のコンデンサとを有し、前記FETスイッチのドレインとグランドとの間に第1のシャント抵抗が接続されており、前記入力直流電流がドレイン電流として前記第1のシャント抵抗を流れることにより、前記シャント抵抗に前記入力直流電流の大きさに応じた電圧が発生し、当該電圧が前記第1のシャント抵抗に直列接続された2つの抵抗により分圧されて検出電圧が生成され、前記制御ICは当該検出電圧に応じて前記FETスイッチのスイッチング制御を変更するスイッチング電源装置と、
前記スイッチング電源装置から供給される電流で駆動され、前記搬送ローラー対に供給する駆動力を発生するモーターと、
請求項1に記載のスロースタート回路と、
誤差増幅器と、PWM制御部と、モータードライバーとを有し、前記モータードライバーから出力されてグランドに流れるモーター電流を電圧として検出し、前記誤差増幅部は、前記モータードライバーとグランドの間に接続された第2のシャント抵抗によって検出される電圧と目標電圧との誤差を増幅した電圧を出力し、前記PWM制御部は、前記誤差増幅部から出力される電圧を電流制御基準電圧としてPWM信号を出力し、前記モータードライバーは前記PWM信号に従って前記モーターを駆動することで、前記スロースタート回路から出力される前記目標電圧に従って前記モーターを駆動するモーター駆動回路とを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロースタート回路及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、負荷の軽重に応じて電流供給能力が切り替わるスイッチング電源装置から供給される電流で駆動されるモーターのスロースタートに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター、コピー機、ファクシミリ装置、又はこれら機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置は、さまざまな部材に回転駆動力を付与する駆動源としてモーターを備えている。画像形成装置において、モーターは、スイッチング電源装置から供給される電流で駆動される。
【0003】
一部の画像形成装置には、負荷電流の変動を検出してスイッチング制御を変更し、軽負荷時には間欠発振動作を行うことによりスイッチング損失を低減させて高効率化を図るスイッチング電源装置が搭載されている。このような画像形成装置において軽負荷状態からモーターが起動される場合、スイッチング電源装置は負荷電流の変動を検知してからスイッチング制御を変更するため、スイッチング制御が間欠発振モードから通常発振モードへ切り替わる間は負荷への電力供給が間に合わずにスイッチング電源装置の出力電圧が低下してしまい、機器の動作不良を引き起こす要因となっていた。
【0004】
この問題に対し、下記特許文献1には、軽負荷状態から起動する際にダミー抵抗を接続することにより、スイッチング制御を通常発振モードへ戻す構成が開示されている。また、下記特許文献2には、省電力モードを解除する際に画像形成装置内で負荷を生成することにより、スイッチング制御を通常発振モードへ戻す構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−140955号公報
【特許文献2】特開2006−352425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に開示された技術には、ダミー抵抗及びダミー抵抗を接続するための回路が追加となるとともに、ダミー抵抗からの発熱によって周囲温度が上昇する等の問題がある。また、上記特許文献2に開示された技術には、画像形成動作に関係ない部品を省電力モードからの復帰用負荷として使用することとなるため、無駄な電力が消費されるといった問題がある。
【0007】
さらに、通常動作時でも負荷電流が小さければスイッチング制御は間欠発振モードとなる可能性がある。この場合、スイッチング制御が通常発振モードへ移行せずに、負荷変動による出力電圧低下が発生してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、軽負荷状態からモーターが起動される場合にスイッチング電源装置の出力電圧の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係るスロースタート回路は、負荷の軽重に応じて電流供給能力が切り替わるスイッチング電源装置から供給される電流で駆動されるモーターをスロースタートさせるスロースタート回路であって、
前記スイッチング電源装置の出力電流を検出して、該出力電流に応じた大きさの検出電圧を出力する出力電流検出回路と、
前記検出電圧に基づいて、前記モーターに通電される電流の目標値を表す目標電圧を生成するエミッタフォロワ回路である目標電圧生成回路とを備え
前記出力電流検出回路は、前記スイッチング電源装置の出力電流の供給経路に直列に挿入されたシャント抵抗と、前記シャント抵抗の両端電圧が入力され、該入力された両端電圧を増幅して前記検出電圧を出力する誤差増幅器とを有し、
前記目標電圧生成回路は、ベースに前記検出電圧が入力され、エミッタに負荷抵抗が接続され、該エミッタから前記目標電圧を、前記モーターを駆動するモーター駆動回路に向けて出力するバイポーラトランジスタと、前記目標電圧生成回路の出力とグランドとの間で電流の流れとは逆方向に接続されたツェナーダイオードとを備える
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軽負荷状態からモーターが起動される場合に、出力電流に応じてモーターの起動電流を制御してモーターをスロースタートさせるため、負荷変動を緩やかに発生させる。これにより、モーターの駆動に必要となるスイッチング電源装置が間欠発振モードから通常発振モードへ切り替えを緩やかに行うことができ、電力供給が不十分になる場合であっても、急激な負荷変動によるスイッチング電源装置の出力電圧の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】スイッチング電源装置及びその周辺回路の回路構成図である。
図3】(A)はスイッチング電源装置の発振モードの切り替わり時における出力電流の変化を示す図、(B)はスイッチング電源装置の発振モードの切り替わり時におけるドレイン電流の変化を示す図、(C)はスイッチング電源装置の発振モードの切り替わり時におけるスイッチング波形の変化を示す図である。
図4】スロースタート回路及びモーター駆動回路の詳細構成図である。
図5】(A)はスイッチング電源装置の出力電流のグラフ、(B)はスロースタート回路から出力される目標電圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す正面断面図である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能等の複数の機能を兼ね備えた複合機である。
【0013】
画像形成装置1は、装置本体11と、装置本体11の上方に対向配置された原稿読取装置20と、原稿読取装置20と装置本体11との間に設けられた連結部30とから概略構成される。
【0014】
原稿読取装置20は、連結部30の上端部に支持されている。原稿読取装置20は、原稿読取部5と、原稿搬送部6とを備えている。
【0015】
原稿読取部5は、原稿読取部筐体の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161を備えている。コンタクトガラス161には、載置された原稿を読み取る原稿固定読取部(図略)と、原稿搬送部6により搬送される原稿を読み取る原稿搬送読取部(図略)とがある。原稿読取部5は、さらに、コンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161の原稿固定読取部に載置された原稿、及びコンタクトガラス161の原稿搬送読取部へ搬送される原稿の各画像を読み取る読取ユニット163とを備えている。読取ユニット163は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーを用いて原稿の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。
【0016】
原稿搬送部6は、原稿が載置される原稿載置台61と、画像読み取り済みの原稿が排出される原稿排出部66と、原稿搬送機構65と、を備える。原稿搬送機構65は、図略の給紙ローラー、搬送ローラー、及び用紙反転機構を備えている。原稿搬送機構65は、給紙ローラー及び搬送ローラーの駆動により、原稿載置台61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出してコンタクトガラス161の原稿搬送読取部へ搬送して読取ユニット163による読取を可能とした後、原稿排出部66へと排出する。また、原稿搬送機構65は、用紙反転機構が原稿を表裏反転させてコンタクトガラス161の原稿搬送読取部へ再搬送することで、当該原稿の両面の画像を読取ユニット163により読取可能にしている。
【0017】
さらに原稿搬送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように原稿読取部5に対して回動自在に設けられている。原稿搬送部6の前面側を上方に移動させて原稿台としてのコンタクトガラス161上面を開放することにより、コンタクトガラス161の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザーが載置できるようになっている。
【0018】
原稿読取装置20の前面に操作部47が配置されている。操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示や原稿読取動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。
【0019】
装置本体11は、画像形成部12、定着部13、給紙部14、用紙排出部15等を備えて構成されている。
【0020】
画像形成装置1が原稿読取動作を行う場合、原稿搬送部6により搬送されてくる原稿、又はコンタクトガラス161に載置された原稿の画像を原稿読取部5が光学的に読み取り、画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0021】
画像形成装置1が画像形成動作を行う場合は、上記原稿読取動作により生成された画像データ、又はネットワーク接続されたコンピューターやスマートフォン等のユーザー端末装置から受信した画像データ、又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙される記録媒体としての用紙Pにトナー像を形成する。画像形成部12の画像形成ユニット12M、12C、12Y、及び12Bkは、感光体ドラムと、感光体ドラムへトナーを供給する現像装置と、トナーを収容するトナーカートリッジと、帯電装置と、露光装置と、1次転写ローラー126とをそれぞれ備えている。
【0022】
カラー印刷を行う場合、画像形成部12のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y及びブラック用の画像形成ユニット12Bkは、それぞれに、画像データを構成するそれぞれの色成分からなる画像に基づいて、帯電、露光及び現像の工程により感光体ドラム121上にトナー像を形成し、トナー像を1次転写ローラー126により、駆動ローラー125a及び従動ローラー125bに張架されている中間転写ベルト125上に転写させる。
【0023】
中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定され、感光体ドラム121の周面に当接した状態で駆動ローラー125aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121と同期しながら、駆動ローラー125aと従動ローラー125bとの間を無端走行する。
【0024】
中間転写ベルト125上に転写される各色のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。2次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んで駆動ローラー125aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた用紙Pに転写させる。この後、定着部13が、用紙P上のトナー像を熱圧着により用紙Pに定着させる。定着処理の完了したカラー画像形成済みの用紙Pは、排出トレイ151に排出される。
【0025】
給紙部14は、手差しトレイ141を含む複数の給紙カセットを備える。図示しない制御部は、操作者による指示で指定されたサイズの用紙が収容された給紙カセットのピックアップローラー145を回転駆動させて、各給紙カセットに収容されている用紙Pを上記ニップ部Nに向けて搬送させる。
【0026】
画像形成装置1は、画像形成部12の各回転部材及び搬送ローラー対19等に回転駆動力を付与するモーター、及び当該モーターに電流を供給するスイッチング電源装置を備えている。図2は、スイッチング電源装置及びその周辺回路の回路構成図である。
【0027】
スイッチング電源装置100は、絶縁型フライバックコンバーターと呼ばれるタイプの電源装置であり、入力側と出力側が絶縁トランス101によって絶縁されている。
【0028】
スイッチング電源装置100の電力は交流電源102から供給される。整流回路103は、交流電源102から供給される交流電圧を全波整流又は半波整流して入力直流電圧を生成する。整流回路103の直流出力の正端子及び負端子の両端間にコンデンサ104が接続されており、コンデンサ104の働きによって、整流回路103によって生成された入力直流電圧が平滑化される。
【0029】
整流回路103に絶縁トランス101の1次巻線101aが接続されており、整流回路103から供給される入力直流電流は、絶縁トランス101の1次巻線101aに通電される。1次巻線101aの電流経路にFET(Field Effect Transistor)スイッチ105が直列に接続されており、FETスイッチ105によって1次巻線101aへの入力直流電流の通電の有無が制御される。
【0030】
制御IC106は、抵抗107を介してFETスイッチ105のゲートに電圧を印加して、FETスイッチ105のオン/オフを制御する。なお、制御IC106には、絶縁トランス101の巻線101cで発生し、ダイオード108によって整流され、コンデンサ109によって平滑化された直流電圧が供給される。
【0031】
1次巻線101aへの入力直流電流の通電がオン/オフされることで、絶縁トランス101の2次巻線101bに自己誘導電圧が発生する。2次巻線101bにはダイオード110が接続されており、2次巻線101bから出力直流電流がダイオード110の順方向へと流れる。また、ダイオード110を介して2次巻線101bの両端子間にコンデンサ111が接続されている。コンデンサ111によってスイッチング電源装置100の出力直流電圧が平滑化される。
【0032】
スイッチング装置100の出力直流電流(出力電流Io)は、スロースタート回路70を経由してモーター駆動回路80へ供給される。モーター駆動回路80は、スイッチング装置100から供給される出力電流Ioでモーター90を駆動する。スロースタート回路70は、モーター駆動回路80が急峻に起動するのを抑制し、モーター駆動回路80を緩やかに起動させるための回路である。モーター90は、ブラシレスモーターやステッピングモーター等である。
【0033】
スイッチング装置100は、負荷の軽重に応じて電流供給能力を切り替えることが可能である。FETスイッチ105のドレインとグランドとの間にシャント抵抗112が接続されており、ドレイン電流Idがシャント抵抗112を流れることにより、シャント抵抗112に、ドレイン電流Id、すなわち、入力直流電流の大きさに応じた電圧が発生する。直列接続された抵抗113,114がシャント抵抗112に並列に接続されており、シャント抵抗112に発生した電圧は抵抗113,114で分圧されて検出電圧Vdiが生成される。
【0034】
なお、コンデンサ115が抵抗114に並列に接続されており、検出電圧Vdiを安定化している。また、シャント抵抗112に並列にダイオード116が接続されており、シャント抵抗112の電圧が一定値以上に大きくならないようにしている。
【0035】
制御IC106は、検出電圧Vdiに応じてFETスイッチ105のスイッチング制御を変更する。図3は、(A)はスイッチング電源装置の発振モードの切り替わり時における出力電流の変化を示す図、(B)はスイッチング電源装置の発振モードの切り替わり時におけるドレイン電流の変化を示す図、(C)はスイッチング電源装置の発振モードの切り替わり時におけるスイッチング波形の変化を示す図である。
【0036】
図3(A)に示すように、画像形成装置1が通常モードから省電力モードへ移行することにより、スイッチング電源装置100からの出力電流Ioが減少すると、図3(B)に示すように、FETスイッチ105のドレイン電流Idが減少し、検出電圧Vdiが減少する。検出電圧Vdiが設定電圧以下になると、制御IC106は、FETスイッチ105の発振動作を間欠動作とし、図3(C)に示すように、スイッチング波形を通常発振から間欠発振に切り替える。FETスイッチ105による損失を低減させ高効率化を図る。
【0037】
一方、図3(A)に示すように、画像形成装置1が省電力モードから通常モードへ復帰する際にスイッチング電源装置100の出力電流Ioが増加すると、図3(B)に示すように、FETスイッチ105のドレイン電流Idが増加し、検出電圧Vdiが上昇する。そして、検出電圧Vdiが設定電圧以上になると、制御IC106は、FETスイッチ105の発振動作を通常動作とし、図3(C)に示すように、スイッチング波形を間欠発振から通常発振に切り替える。
【0038】
スイッチング電源装置100の出力電流Ioの増加によりスイッチング制御を間欠発振動作から通常発振動作に切り替える場合、負荷電流が増加する直前までは、スイッチング電源装置100が間欠発振動作を行っているため、モーター90を起動する際に発生するような急激な負荷変動に対して発振動作モードの切り替わりが追従できない。このため、スイッチング電源装置100の出力電流Ioの増加に対して電力供給が間に合わなくなり、出力電圧の低下を引き起こしてしまうことになる。しかし、省電力モード時にネットワーク等から印字命令を受けた場合、画像形成装置1は速やかに印字動作を開始する必要があるため、最初にモーター90を起動させる必要がある。そこで、本実施形態では、スロースタート回路70を用いて、スイッチング電源装置100の電流供給能力に応じてモーター90をスロースタートさせる。
【0039】
図4は、スロースタート回路70及びモーター駆動回路80の詳細構成図である。スロースタート回路70は、出力電流検出回路71と、目標電圧生成回路72と、ツェナーダイオード73とを備える。
【0040】
出力電流検出回路71は、スイッチング電源装置100の出力電流Ioを検出して、出力電流Ioに応じた大きさの検出電圧を出力する。具体的には、出力電流検出回路71は、シャント抵抗711と、誤差増幅器712とを備える。シャント抵抗711は、スイッチング電源装置100の出力電流Ioの供給経路に直列に挿入されており、出力電流Ioに応じた電圧を発生させる。シャント抵抗711の両端の電圧は、抵抗713,714を介して誤差増幅器712に入力される。誤差増幅器712は、入力されたシャント抵抗711の両端電圧を増幅して検出電圧を出力する。
【0041】
目標電圧生成回路72は、出力電流検出回路71から出力される検出電圧に基づいて、モーター90に通電される電流の目標値を表す目標電圧Vrefを生成する。具体的には、目標電圧生成回路72は、バイポーラトランジスタ721と、負荷抵抗722とを備える。バイポーラトランジスタ721のコレクタは抵抗713に接続され、ベースに誤差増幅器712から出力される検出電圧が接続され、エミッタに負荷抵抗722が接続されている。そして、エミッタから目標電圧Vrefが出力される。
【0042】
このように、目標電圧生成回路72は、出力電流検出回路71から出力される検出電圧を入力信号、目標電圧Vrefを出力信号とするエミッタフォロワ回路として構成されている。したがって、スイッチング電源装置100の出力電流Ioの増加に比例して目標電圧Vrefが増加する。ここで、目標電圧Vrefの上昇し過ぎを防止するために、目標電圧生成回路72の出力とグランドとの間で電流の流れとは逆方向に接続されたツェナーダイオード73を設けている。これにより、出力電圧Ioが大きくなっても目標電圧Vrefの上限がツェナーダイオード73の降伏電圧に制限される。
【0043】
図5(A)は、スイッチング電源装置100の出力電流Ioのグラフである。また、図5(B)は、スロースタート回路70から出力される目標電圧Vrefのグラフである。出力電流Ioがある電流値まで増加する間は目標電圧Vrefはそれに応じて増加するが、出力電流Ioがある電流値を超えて増加しても目標電圧Vrefは一定値の規定電圧となる。例えば、スイッチング電源装置100のスイッチング制御が通常発振動作の場合には、出力電流Ioは十分に大きいため、目標電圧Vrefは規定電圧となる。
【0044】
図4に戻り、モーター駆動回路80は、誤差増幅器81と、PWM制御部82と、モータードライバー83と、シャント抵抗84とを備える。モーター電流は、モータードライバー83からモーター90の図示しないコイルに流れ、シャント抵抗84を通ってグランドに流れる。シャント抵抗84は、そのようなモーター電流を電圧として検出する。誤差増幅部81には目標電圧Vrefとシャント抵抗84によって検出された電圧が入力され、これら電圧の誤差を増幅する。PWM制御部82は、誤差増幅部81から出力される電圧を電流制御基準電圧としてPWM信号を出力する。モータードライバー83は、PWM信号に従ってモーター90を駆動する。
【0045】
上記のように、モーター駆動回路80がスロースタート回路70から出力される目標電圧Vrefに従ってモーター90を駆動することにより、スイッチング電源装置100の電流供給能力に応じてモーター90をスロースタートさせることができる。例えば、画像形成装置1が省電力モードで動作していてスイッチング電源装置100の出力電流Ioが小さい場合にはモーター駆動回路80の電流制御基準電圧が低くなり、モーター90の起動時でもモーター電流を抑制してモーター90が駆動される。画像形成装置1が通常モードで動作していても負荷が軽い場合にはスイッチング電源装置100の出力電流Ioが小さいことがあり、そのような状態からモーター90を起動する際にもモーター電流を抑制してモーター90が駆動される。一方、画像形成装置1が通常モードで動作していてスイッチング電源装置100から十分な大きさの出力電流Ioが供給されていれば、モーター駆動回路80の電流制御基準電圧は高くなり、モーター90は通常の大きさのモーター電流で駆動される。
【0046】
以上、本実施形態によれば、モーター90を起動する際に発生する急激な負荷変動を抑制して、スイッチング電源装置100の発振動作モードの切り替わりが追従できないことによる出力電圧の低下を抑制することができる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、他の電子機器、例えば、プリンター、コピー機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置でもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、図1乃至図5を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置
70 スロースタート回路
71 出力電流検出回路
711 シャント抵抗
712 誤差増幅器
72 目標電圧生成回路
721 バイポーラトランジスタ
722 負荷抵抗
73 ツェナーダイオード
80 モーター駆動回路
90 モーター
100 スイッチング電源装置
図1
図2
図3
図4
図5