(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体が、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレートである、請求項6に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(質量比2:3)に対する前記共重合体の膨潤度が5.0倍以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
アルミニウム箔に対して、温度80℃、圧力10MPaで3分間加圧した後の剥離強度が5N/m以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
Tgが−40℃〜15℃である第1の共重合体5〜40質量%と、Tgが40〜80℃である第2の共重合体60〜95質量%との混合物を含み、かつ、セパレータと電極との間を接着する接着用熱可塑性ポリマーであって、
前記第1の共重合体及び第2の共重合体の少なくとも1つが、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体2〜66質量%と炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なその他の単量体34〜98質量%を単量体単位として有する共重合体である、接着用熱可塑性ポリマー。
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(質量比2:3)に対する前記共重合体の膨潤度が5.0倍以下である、請求項15〜22のいずれか1項に記載の接着用熱可塑性ポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、本明細書における「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0014】
本実施形態の共重合体は、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)2−66質量%と、前記炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なその他の単量体(B)34−98質量%を単量体単位として有する共重合体である。また、本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、基材と、その基材の少なくとも片面上の少なくとも一部に形成された熱可塑性ポリマーを含有する層(以下、「ポリマー層」という。)を備えており、上記熱可塑性ポリマーが、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)2−66質量%と前記炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なその他の単量体(B)34−98質量%を単量体単位として有する共重合体を含むものである。ここで、「エチレン性不飽和単量体」とは、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ以上有する単量体を意味する。
【0015】
炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)としては、特に限定はされないが、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有し、かつエチレン性不飽和結合を1つ有するものが挙げられる。単量体(A)としては、より具体的には、炭素数8のオクチル(メタ)アクリレート、炭素数10のデシル(メタ)アクリレート、炭素数12のドデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数8以上の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体ならびに、それぞれのアルキル部が異性化したエステル単量体が挙げられる。これらの中でも、特に炭素数8に分類される、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、共重合体製造時の、重合安定性ならびに共重合体の低Tg化という観点では2−エチルヘキシルアクリレートがさらに好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0016】
上記炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)を単量体単位として有する共重合体は、様々な品質及び物性を改良するために、単量体(A)と共重合可能な、その他の単量体(B)を単量体単位として有する。その他の単量体(B)は、上記単量体(A)とは異なる単量体である。その他の単量体(B)としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)、架橋性単量体(b4)、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)、シアノ基を有するエチレン性不飽和単量体(b6)、芳香族基を有するエチレン性不飽和単量体(b7)、その他のエチレン性不飽和単量体(b8)、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)が挙げられる。その他の単量体(B)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。また、その他の単量体(B)は、上記各単量体のうち2種以上に同時に属するものであってもよい。すなわち、その他の単量体(B)は、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、シアノ基及び芳香族基からなる群より選ばれる2種以上の基を有するエチレン性不飽和単量体であってもよく、カルボキシル基、アミド基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、シアノ基及び芳香族基からなる群より選ばれる2種以上の基をエチレン性不飽和結合と共に有する架橋性単量体であってもよい。
【0017】
なかでも、膨潤状態でのクッション性向上の観点から、その他の単量体(B)は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含むことが好ましい。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のハーフエステル、マレイン酸のハーフエステル及びフマール酸のハーフエステルなどのモノカルボン酸単量体、並びに、イタコン酸、フマール酸及びマレイン酸などのジカルボン酸単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、同様の観点から、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸であり、より好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸である。
【0018】
また、電極(電極活物質)との密着性向上の観点から、その他の単量体(B)はアミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)を含むことが好ましい。アミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)としては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド及びマレイミドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、好ましくはアクリルアミド及びメタクリルアミドである。アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを使用することで、セパレータの電極(電極活物質)との密着性が更に向上する傾向がある。
【0019】
また、共重合体の重合安定性向上の観点から、その他の単量体(B)はヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)を含むことが好ましい。ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート及びポリエチレングリコールメタクリレートなどのヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、好ましくはヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートである。ヒドロキシエチルアクリレート及び/又はヒドロキシエチルメタクリレートを使用することで、共重合体の重合安定性が向上する傾向にある。
【0020】
また、電解液に対する不溶分を適度な量にする観点から、その他の単量体(B)は架橋性単量体(b4)を含むことが好ましい。架橋性単量体(b4)としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体、重合中又は重合後に自己架橋構造を与える官能基を有する単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0021】
ラジカル重合性の二重結合を2個以上有している単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン及び多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも、少量でもより良好な耐電解液性を発現できる観点から、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】
多官能(メタ)アクリレート(b4)としては、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びペンタエリスリトールテトラメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、上記と同様の観点から、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレートが好ましい。
【0023】
重合中又は重合後に自己架橋構造を与える官能基を有する単量体としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体、メチロール基を有するエチレン性単量体、アルコキシメチル基を有するエチレン性不飽和単量体、及び加水分解性シリル基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0024】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、及びメチルグリシジルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、好ましくはグリシジルメタクリレートである。
【0025】
メチロール基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、及びジメチロールメタクリルアミドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0026】
アルコキシメチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、及びN−ブトキシメチルメタクリルアミドが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0027】
加水分解性シリル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ビニルシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、及びγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0028】
架橋性単量体(b4)の中でも、多官能(メタ)アクリレートが架橋度のばらつきが少ない点で特に好ましい。
【0029】
また、電極との密着性向上の観点から、その他の単量体(B)は、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)を含むことが好ましい。シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)としては、特に限定されないが、シクロアルキル基を有し、かつエチレン性不飽和結合を1つ有するものが挙げられる。該単量体(b5)としては、より具体的には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、などの、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられ、より好ましくは、シクロアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体である。シクロアルキル基の脂環を構成する炭素原子の数は、4〜8が好ましく、6及び7がより好ましく、6が特に好ましい。また、シクロアルキル基は置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基等が挙げられる。単量体(b5)の中では、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、が共重合体調製時の重合安定性が良好である点で好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0030】
シアノ基を有するエチレン性不飽和単量体(b6)としては、例えば、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルが挙げられる。また、芳香族基を有するエチレン性不飽和単量体(b7)としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン及びα−メチルスチレンが挙げられる。なかでも、好ましくはスチレンである。また、その他のエチレン性不飽和単量体(b8)としては1,3−ブタジエン等、共役2重結合を分子内に有する単量体群、分子内にビニル基を有する単量体群等が挙げられる。
また、該共重合体を含む熱可塑性ポリマーの耐酸化性を良好にする観点から、その他の単量体(B)は(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)を含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)は上記単量体(A)、(b1)〜(b8)とは異なる単量体である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)としては、例えば、エチレン性不飽和結合を1つ有し、かつ炭素数8未満の鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、より具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、などのアルキル基を有する(メタ)アクリレート(より好ましくはアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリレート)等が挙げられる。また、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、などの芳香環を有する(メタ)アクリレート(より好ましくは芳香環と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリレート)が挙げられる。これらの中では、電極(電極活物質)との密着性向上の観点から、炭素数4以上8未満の鎖状アルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、炭素数6以上8未満のアルキル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とからなる(メタ)アクリル酸エステル単量体がより好ましい。より具体的には、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、が好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0031】
上記共重合体における炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、2〜66質量%である。その下限値は、好ましくは5質量%であり、より好ましくは10質量%であり、更に好ましくは12質量%であり、特に好ましくは15質量%である。炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有割合が該範囲内にあると、セパレータの電極(電極活物質)との密着性が向上する。一方、より好ましい上限値は60質量%である。炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有割合が60質量%以下であると、共重合体調製時の重合安定性の向上ならびに、共重合体の0℃〜80℃の領域における剛度が低下しすぎることがない。
【0032】
一方、基材上における耐ブロッキング性ならびに、電池内部にて電解質溶媒存在下、電極との密着性の観点からは、上記共重合体におけるTg=40℃以上の設計領域において、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有割合は、3〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは5〜19質量%、更に好ましくは、10〜19質量%である。
また、基材上への塗布時における、基材との接着性の観点からは、上記共重合体におけるTg=15℃以下の設計領域において、上記共重合体における炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の含有割合は、31〜66質量%であることが好ましい
【0033】
なお、上記を言い換えれば、共重合体におけるその他の単量体(B)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、98〜34質量%である。上限値は、好ましくは95質量%であり、更に好ましくは90質量%であり、なおも更に好ましくは88質量%であり、特に好ましくは85質量%である。一方、より好ましい下限値は40質量%である。
【0034】
また、上記共重合体における炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の適切な含有形態としては、上記共重合体中におけるTg=0℃以下の単量体(ここでTg=0℃以下の単量体とは、Tg=0℃以下のホモポリマーを形成する単量体を指す)のみで考慮した場合、0℃以下の全単量体中50%以上の比率で含有されていることが好ましい。より好ましくは、60%以上、更に好ましくは70%以上である。炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)のTg=0℃以下の単量体中に含まれる割合が50%を超えることで、電池内部における電極との密着性が良好となる。ここで、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)以外のTg=0℃以下の単量体としては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート化合物類が挙げられる。
【0035】
また、上記共重合体における全(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有割合は、共重合体100質量%に対して、好ましくは50〜99.9質量%であり、より好ましくは60〜99.9質量%であり、更に好ましくは70〜99.9質量%であり、なおも更に好ましくは80〜99.9質量%である。この段落において、全(メタ)アクリル酸エステル単量体は、置換基の構造や官能基の有無に関係なく、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)及び、単量体(A)と共重合可能なその他単量体(B)のすべての単量体のうち、(メタ)アクリル酸エステル構造体のものすべてを指す(前段までに記載の、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)の含有割合とは異なる)。全(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有割合が上記範囲内にあると、セパレータが非水系電解液二次電池に用いられる場合、熱可塑性ポリマーの耐酸化性がより良好になる。
【0036】
その他の単量体(B)がカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含む場合、共重合体におけるカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、好ましくは0.1〜5質量%である。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)の含有割合が、0.1質量%以上であると、セパレータは膨潤状態でのクッション性が向上する傾向にあり、5質量%以下であると、重合安定性が良好な傾向にある。
【0037】
その他の単量体(B)がアミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)を含む場合、共重合体におけるアミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。アミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)の含有割合が0.1質量%以上であると、電極(電極活物質)との密着性が更に向上する傾向にあり、10質量%以下であると、共重合体を調製する際の重合安定性がより向上する傾向にある。
【0038】
その他の単量体(B)がヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)を含む場合、共重合体におけるヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)の含有割合が上記範囲内にあると、共重合体を調製する際の重合安定性がより向上する傾向にある。
【0039】
その他の単量体(B)が架橋性単量体(b4)を含む場合、共重合体における架橋性単量体(b4)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。架橋性単量体(b4)の含有割合が0.01質量%以上であると耐電解液性がさらに向上し、5質量%以下であると膨潤状態でのクッション性の低下をより抑制することができる。
【0040】
その他の単量体(B)が、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)を含む場合、共重合体におけるシクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)の含有割合は、共重合体100質量%に対して、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは、30〜90質量%である。
共重合体のガラス転移温度(以下、「Tg」とも表記する。)は、特に限定されないが、−40〜80℃であってもよく、好ましくは−35〜80℃であり、より好ましくは−30℃〜80℃であり、さらに好ましくは−30℃〜70℃である。共重合体のTgを−40〜80℃の範囲とすることで、セパレータの電極(電極活物質)との密着性がより一層良好になる。また、Tgが−40℃〜15℃の共重合体5〜40質量%と、Tgが40〜80℃の共重合体60〜95質量%の混合物とすることで、電極活物質との密着性を維持しつつ、粉落ち性、耐ブロッキング性といったハンドリング性が良好となる。
【0041】
ここで、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)で得られるDSC曲線から決定される。具体的には、DSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の変曲点における接線との交点により決定される。
【0042】
また、「ガラス転移」はDSCにおいて試験片であるポリマーの状態変化に伴う熱量変化が吸熱側に生じたものを指す。このような熱量変化はDSC曲線において階段状変化の形状として観測される。「階段状変化」とは、DSC曲線において、曲線がそれまでの低温側のベースラインから離れ新たな高温側のベースラインに移行するまでの部分を示す。なお、階段状変化とピークとが組み合わされたものも階段状変化に含まれることとする。
【0043】
さらに、「変曲点」とは、階段状変化部分のDSC曲線のこう配が最大になるような点を示す。また、階段状変化部分において、上側を発熱側とした場合に、上に凸の曲線が下に凸の曲線に変わる点と表現することもできる。「ピーク」とは、DSC曲線において、曲線が低温側のベースラインから離れてから再度同じベースラインに戻るまでの部分を示す。「ベースライン」とは、試験片に転移及び反応を生じない温度領域のDSC曲線のことを示す。
【0044】
本実施形態のセパレータは、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(質量比2:3)に対する共重合体の膨潤度は、5.0倍以下であると好ましく、4.5倍以下であるとより好ましく、4.0倍以下であると特に好ましく、3.5倍以下であると極めて好ましい。この膨潤度が5.0倍以下であることにより、蓄電デバイスの信頼性をより高めることができる。なお、ポリマー層が2種以上の共重合体を含む場合、膨潤度は、各々の共重合体の膨潤度の加重平均とする。
【0045】
共重合体は、例えば、通常の乳化重合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、水性媒体中で上述の単量体、界面活性剤、ラジカル重合開始剤、及び必要に応じて用いられる他の添加剤成分を基本組成成分とする分散系において、上記各単量体からなる単量体組成物を重合することにより共重合体が得られる。重合に際しては、供給する単量体組成物の組成を全重合過程で一定にする方法や、重合過程で逐次又は連続的に変化させることによって、生成する樹脂分散体の粒子の形態的な組成変化を与える方法等、必要に応じて様々な方法が利用できる。共重合体を乳化重合により得る場合、例えば、水と、その水中に分散した粒子状の共重合体とを含む水分散体(ラテックス)の形態であってもよい。
【0046】
界面活性剤は、一分子中に少なくとも1つ以上の親水基と1つ以上の親油基とを有する化合物である。界面活性剤としては、例えば、非反応性のアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、及び、非反応性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらの他に、親水基と親油基とを有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性二重結合を導入した、いわゆる反応性界面活性剤を用いてもよい。
【0047】
反応性界面活性剤の中のアニオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基及びこれらの塩を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられ、スルホン酸基、又はそのアンモニウム塩若しくはアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、アルキルアリルスルホコハク酸塩(例えば、三洋化成株式会社製エレミノール(商標)JS−20、花王株式会社製ラテムル(商標。以下同様。)S−120、S−180A、S−180が挙げられる。)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロン(商標。以下同様。)HS−10が挙げられる。)、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープ(商標。以下同様。)SE−10Nが挙げられる。)、アンモニウム=α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン(例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−10が挙げられる。)、スチレンスルホン酸塩(例えば、東ソー有機化学株式会社製スピノマー(商標)NaSSが挙げられる。)、α−〔2−〔(アリルオキシ)−1−(アルキルオキシメチル)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープSR−10が挙げられる。)、ポリオキシエチレンポリオキシブチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテルの硫酸エステル塩(例えば、花王株式会社製ラテムルPD−104が挙げられる。)が挙げられる。
【0048】
また、反応性界面活性剤の中のノニオン性界面活性剤としては、例えば、α−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40が挙げられる。)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50が挙げられる。)、α−〔2−〔(アリルオキシ)−1−(アルキルオキシメチル)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープER−10が挙げられる。)、ポリオキシエチレンポリオキシブチレン(3−メチル−3−ブテニル)エーテル(例えば、花王株式会社製ラテムルPD−420が挙げられる。)が挙げられる。
【0049】
上記各種界面活性剤の中でも、反応性界面活性剤が好ましく、より好ましくはアニオン性の反応性界面活性剤であり、さらに好ましくはスルホン酸基を有する反応性界面活性剤である。界面活性剤は、単量体組成物100質量部に対して0.1〜5質量部用いることが好ましい。界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0050】
ラジカル重合開始剤としては、熱又は還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤及び有機系開始剤のいずれも用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、水溶性又は油溶性の重合開始剤を用いることができる。水溶性の重合開始剤としては、例えば、ペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化合物、過酸化物−還元剤のレドックス系が挙げられる。ペルオキソ二硫酸塩としては、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NPS)、及びペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)が挙げられ、過酸化物としては、例えば、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、及び過酸化ベンゾイルが挙げられ、水溶性のアゾビス化合物としては、例えば、2,2−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩化水素、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)が挙げられ、過酸化物−還元剤のレドックス系としては、例えば、上記過酸化物にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、及びその塩、第一銅塩、並びに第一鉄塩等の還元剤の1種又は2種以上を組み合わせたものが挙げられる。
【0051】
ラジカル重合開始剤は、単量体組成物100質量部に対して、好ましくは0.05〜2質量部用いることができる。ラジカル重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0052】
なお、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)と、その他の単量体(B)とを含む単量体組成物を乳化重合し、重合体粒子が溶媒(水)中に分散した分散体を形成する場合、得られた分散体の固形分としては、30質量%〜70質量%であることが好ましい。
【0053】
また、分散体は、長期の分散安定性を保つため、そのpHを5〜12の範囲に調整されることが好ましい。pHの調整には、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いることが好ましく、アンモニア(水)又は水酸化ナトリウムによりpHを調整することがより好ましい。
【0054】
本実施形態の水分散体は、上記特定の単量体を含む単量体組成物を共重合して得られる共重合体を、水中に分散した粒子(共重合体粒子)として含む。水分散体には、水及び共重合体以外に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の溶媒や、分散剤、滑剤、増粘剤、殺菌剤等が含まれていてもよい。
【0055】
共重合体粒子の平均粒径は、好ましくは100〜250nm、より好ましくは120〜250nm、更に好ましくは130〜250nmである。共重合体粒子の平均粒径を100nm以上とすることは、ポリマー層と、その層を担持した後述の基材とを備えるセパレータの透気度を、より良好に維持できることから好ましい。また、共重合体粒子の平均粒径を250nm以下とすることは、水分散体の分散安定性を確保する観点から好ましい。共重合体粒子の平均粒径は、下記実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
【0056】
なお、共重合体が単量体単位として炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)を有することは、熱分解ガスクロマトグラフィーによって確認できる。より具体的には、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)のホモポリマーを熱分解ガスクロマトグラフィーによって測定し、予め、その熱分解物の保持時間を決定する。次いで、共重合体を熱分解ガスクロマトグラフィーによって同様の条件にて測定し、同じ保持時間に熱分解物のピークを有する場合、同共重合体単量体単位として炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)を有していると推定できる。また、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)のホモポリマーを内部標準とすることで、共重合体単量体単位中の炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)の割合を求めることも可能である。
【0057】
本実施形態のセパレータは、基材の少なくとも片面の少なくとも一部にポリマー層を有するので、熱プレスの工程を経て、電極及びセパレータ間を接着させることができる。すなわち、ポリマー層は、接着層として機能し得るものである。
熱可塑性ポリマーは、その全量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上で上記共重合体を含む。その熱可塑性ポリマーは、上記共重合体以外に、本発明の課題解決を損なわない程度の、その他の成分を含んでもよい。
【0058】
本実施形態に用いる基材は、それ自体が、従来セパレータとして用いられていたものであってもよい。基材としては、電子伝導性がなくイオン伝導性があり、有機溶媒の耐性が高い、孔径の微細な多孔質膜であると好ましい。そのような多孔質膜としては、例えば、ポリオレフィン系(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリ塩化ビニル)、及びそれらの混合物又は共重合体等の樹脂を主成分として含む微多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を主成分として含む微多孔膜、ポリオレフィン系の繊維を織ったもの(織布)、ポリオレフィン系の繊維の不織布、紙、並びに、絶縁性物質粒子の集合体が挙げられる。これらの中でも、塗工工程を経てポリマー層を得る場合に塗工液の塗工性に優れ、セパレータの膜厚をより薄くして、電池等の蓄電デバイス内の活物質比率を高めて体積当たりの容量を増大させる観点から、ポリオレフィン系の樹脂を主成分として含むポリオレフィン微多孔膜が好ましい。なお、ここで「主成分として含む」とは、50質量%を超えて含むことを意味し、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、なおも更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上含み、100質量%であってもよい。
【0059】
基材の厚さは、好ましくは0.5〜40μmであり、より好ましくは1〜30μmであり、更に好ましくは1〜10μmである。基材の厚さがこの範囲内にあると、電池等の蓄電デバイス内でのセパレータによる抵抗がより小さくなり、また、ポリマー層を、塗工工程を経て得る場合に、基材への塗工時の作業性が更に良好になる。
【0060】
本実施形態において、基材の材料として用いられるポリオレフィン系の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のホモポリマー、コポリマー、更にはこれらの混合物が挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度、中密度、高密度のポリエチレンが挙げられ、突き刺し強度や機械的な強度の観点から、高密度のポリエチレンが好ましい。また、これらのポリエチレンは柔軟性を付与する目的から2種以上を混合してもよい。これらポリエチレンの製造の際に用いられる重合触媒も特に制限はなく、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、フィリップス系触媒及びメタロセン系触媒が挙げられる。高機械強度と高透過性とを両立させる観点から、ポリエチレンの粘度平均分子量は10万以上1200万以下であると好ましく、より好ましくは20万以上300万以下である。
【0061】
なお、粘度平均分子量(Mv)は、ASTM−D4020に基づき、溶剤としてデカリンを用い、測定温度135℃で測定された極限粘度[η]から、下記式により算出される。
ポリエチレン:[η]=6.77×10
-4Mv
0.67(Chiangの式)
ポリプロピレン:[η]=1.10×10
-4Mv
0.80
【0062】
ポリプロピレンとしては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーが挙げられ、1種類又は2種類以上を混合して用いることができる。また、重合触媒も特に制限はなく、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒及びメタロセン系触媒が挙げられる。また、ポリプロピレンの立体規則性にも特に制限はなく、アイソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチックのいずれであってもよい。ただし、安価である点からアイソタクチックポリプロピレンを用いるのが好ましい。さらに本発明による効果を損なわない範囲で、基材にはポリエチレン及びポリプロピレン以外のポリオレフィン、及び酸化防止剤、核剤などの添加剤を適量添加してもよい。
【0063】
ポリオレフィン系の樹脂を主成分として含む基材を作製する方法は、公知のものであってもよい。その作製方法としては、例えば、乾式の作製方法及び湿式の作製方法が挙げられる。乾式の作製方法では、例えば、まず、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン系の樹脂を溶融押出によりフィルムを製膜する。その後に、低温でフィルムをアニーリングして結晶ドメインを成長させ、この状態で延伸して非晶領域を延ばすことで基材としての微多孔膜を形成する。また、湿式の作製方法では、例えば、まず、炭化水素溶媒やその他の低分子材料とポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン系の樹脂を混合した後にフィルム状に成形する。次いで、非晶相に溶媒や低分子材料が集まり島相を形成し始めたフィルムを、それらの溶媒や低分子材料を他の揮発しやすい溶媒を用いて除去することで、基材としての微多孔膜を形成する。
【0064】
基材としての不織布又は紙を作製する方法は、公知のものであってもよい。その作製方法としては、例えば、ウェブをバインダーに浸漬、乾燥して繊維間結合させるケミカルボンド法;ウェブに熱溶融性繊維を混ぜ込み、その繊維を部分的に溶融し繊維間結合させるサーマルボンド法;ウェブに刺のあるニードルを繰り返し突き刺し、繊維を機械的に絡めるニードルパンチ法;高圧の水流をノズルからネット(スクリーン)を介してウェブに噴射し、繊維間を絡める水流交絡法が挙げられる。
【0065】
本実施形態に用いる基材は、強度や硬度、熱収縮率を制御する目的で、フィラー(無機フィラー又は有機フィラー)や繊維化合物を含んでもよい。また、基材が非導電性粒子及び結着剤を含む多孔膜の層を積層したものである場合に、密着性を向上させたり、電解液との表面張力を下げて液の含浸性を向上させる目的で、予め低分子化合物や高分子化合物で基材表面を被覆処理したり、紫外線などの電磁線処理、コロナ放電・プラズマガスなどのプラズマ処理を基材表面に施してもよい。特に、電解液の含浸性が高く、非導電性粒子及び結着剤を含む多孔膜の層との密着性を得やすい点から、カルボン酸基、水酸基及びスルホン酸基などの極性基を含有する高分子化合物で被覆処理するのが好ましい。
【0066】
本実施形態に用いる基材は、引き裂き強度や、突刺強度を高める目的で、上述の基材同士を重ねた多層構造であってもよい。具体的には、ポリエチレン微多孔膜とポリプロピレン微多孔膜との積層体、不織布とポリオレフィン系微多孔膜との積層体が挙げられる。
【0067】
基材の透気度は、特に限定されないが、蓄電デバイスの性能を高める観点から、好ましくは10sec/100cc以上、より好ましくは50sec/100cc以上であり、好ましくは1000sec/100cc以下、より好ましくは500sec/100cc以下である。透気度を10sec/100cc以上とすることは、蓄電デバイスの自己放電をより抑制する観点から好ましい。一方、1000sec/100cc以下とすることは、更に良好な充放電特性を得る観点から好ましい。
【0068】
また、同様の観点から、基材の気孔率は、蓄電デバイスの性能を高めると共に機械的強度を向上させる観点から好ましくは20%以上、より好ましくは35%以上であり、好ましくは90%以下、好ましくは80%以下である。気孔率を20%以上とすることは、更に優れたセパレータの透過性を確保する観点から好ましい。一方、90%以下とすることは、更に優れた突刺強さを確保する観点から好ましい。
【0069】
さらに、基材の突刺強度は、セパレータとしての信頼性向上の観点及び熱収縮を抑制する観点から、好ましくは200g/20μm以上、より好ましくは300g/20μm以上であり、好ましくは2000g/20μm以下、より好ましくは1000g/20μm以下である。突刺強度が200g/20μm以上であることは、電池捲回時における脱落した活物質等による破膜を一層抑制する観点から好ましい。また、充放電に伴う電極の膨張収縮によって短絡する懸念を更に抑制する観点からも好ましい。一方、2000g/20μm以下とすることは、加熱時の配向緩和による幅収縮をより低減できる観点から好ましい。
これら透気度、気孔率及び突刺強度は、実施例に記載の方法に準じて測定される。
【0070】
(ポリマー層の基材に対する担持量)
本実施形態におけるポリマー層の基材に対する担持量は、固形分で0.05g/m
2以上1.0g/m
2以下が好ましく、より好ましくは0.07g/m
2以上0.80g/m
2以下であり、さらに好ましくは0.1g/m
2以上0.70g/m
2以下である。その層の基材に対する担持量を0.05g/m
2以上1.0g/m
2以下とすることは、得られるセパレータにおいて、ポリマー層と基材との接着力を一層向上させる一方で、基材の孔を閉塞することによるサイクル特性(透過性)の低下を一層抑制する観点から好ましい。
【0071】
ポリマー層の基材に対する担持量は、例えば、塗布液の熱可塑性ポリマー又は共重合体濃度や熱可塑性ポリマー溶液の塗布量を変更することにより調整することができる。ただし、担持量の調整方法は上記に限定されない。
【0072】
(表面被覆率)
本実施形態では、ポリマー層が、基材の一面当たりの表面積に対して、70%以下の表面被覆率で基材の表面上に存在することが好ましく、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下の表面被覆率で基材の表面上に存在する。また、ポリマー層が5%以上の表面被覆率で基材の表面上に存在することが好ましい。このポリマー層の表面被覆率を70%以下とすることは、熱可塑性ポリマー(例えば、上記共重合体)による基材の孔の閉塞を更に抑制し、セパレータの透過性を一層向上する観点から好ましい。一方、表面被覆率を5%以上とすることは、電極との接着性を一層向上する観点から好ましい。
【0073】
本実施形態におけるポリマー層の表面被覆率は、例えば、後述のセパレータの製造方法において、基材に塗布する塗布液中の熱可塑性ポリマー又は共重合体濃度、塗布液の塗布量、塗布方法及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、表面被覆率の調整方法は、それらに限定されない。また、本実施形態におけるポリマー層の表面被覆率は、下記実施例に記載の方法に準じて測定される。
【0074】
(ポリマー層の平均厚さ)
本実施形態のセパレータにおけるポリマー層の平均厚さは、特に限定されないが、2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。ポリマー層の平均厚さを2.0μm以下とすることは、ポリマー層による透過性低下を抑制すると共に、セパレータをロールとして保管した際のポリマー層同士又はポリマー層と基材との貼り付きを効果的に抑制する観点から好ましい。本実施形態におけるポリマー層の平均厚さは、例えば、基材に塗布する塗布液における熱可塑性ポリマー又は共重合体濃度や塗布液の塗布量、塗布方法及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、ポリマー層の平均厚さの調整方法は、それらに限定されない。
【0075】
(基材上のポリマー層の存在形態)
本実施形態におけるポリマー層の基材上での存在形態(パターン)は、特に限定されず、例えば
図1に黒塗りで示す平面形状を有していてもよい。すなわち、ポリマー層は、例えば、ドット状(例えば
図1の(A))、格子目状(例えば
図1の(B))、線状(例えば
図1の(C))、縞状(例えば
図1の(D))、亀甲模様状(例えば
図1の(E))等のような平面形状で存在してもよい。
【0076】
これらの中では、透過性を確保する観点、及び電極との均一な接着性を一層向上させる観点から、ポリマー層が基材の少なくとも片面上にドット状に存在することが好ましい。「ドット状」とは、基材上にポリマー層が島状に存在し、ポリマー層が存在しない部分が海状になっている海島構造の状態を示す。なお、ポリマー層が島状に独立して存在しても、その一部が連続的な面を形成していてもよいが、ポリマー層が殆どの部分で連続し、基材の大部分がポリマー層で覆われた状態である場合(海島構造の海がポリマー層であるような場合)は含まない。
【0077】
ポリマー層が島状に独立して存在する場合、島状のドットの間隔(隣り合う島状ドットの端部間の距離)は、5μm〜500μmであることが、電極への密着性とサイクル特性との両立の点から好ましい。また、ドットの大きさ(1つのドットの最も長い径;長径)は、特に限定されないが、平均で、20μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上800μm以下、更に好ましくは50μm以上500μm以下である。当該ポリマー層のドットの平均長径を20μm以上1000μm以下とすることは、電極との接着性を確保する観点から好ましい。
【0078】
ポリマー層のドットの平均長径は、例えば、塗布液の共重合体又は熱可塑性ポリマー濃度、塗布液の塗布量、塗布方法、及び塗布条件を変更することにより調整することができる。ただし、ポリマー層のドットの平均長径を調整する方法は、それらに限定されない。
【0079】
本実施形態におけるセパレータは、耐熱性の指標であるショート温度が、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは160℃以上である。ショート温度を150℃以上とすることは、蓄電デバイスの安全性の観点から好ましい。なお、ショート温度は、特許第4733232号公報に記載の方法により測定される。
また、本実施形態におけるセパレータは、後述の方法で測定される電極との密着性が50%以上であることが好ましい。
【0080】
(熱可塑性ポリマー担持蓄電デバイス用セパレータの製造方法)
本実施形態において、共重合体を含む熱可塑性ポリマーを基材の少なくとも一方の面(片面)に担持する方法は、特に限定されない。例えば、熱可塑性ポリマーを含有する塗布液を基材の少なくとも一方の面に塗布した後、必要に応じて塗布液の溶媒又は分散媒を除去する方法が挙げられる。
【0081】
塗布液に含まれる溶媒又は分散媒は、特に限定されないが、水が好ましい。塗布液を基材に塗布する際に、塗布液が基材の内部にまで入り込んでしまうと、共重合体を含む熱可塑性ポリマーが、基材の孔の表面及び内部を閉塞し透過性が低下しやすくなる。この点、塗布液の溶媒又は分散媒として水を用いる場合には、基材の内部に塗布液が入り込み難くなり、共重合体を含む熱可塑性ポリマーは主に基材の外表面上に存在しやすくなるため、透過性の低下をより効果的に抑制できるので好ましい。また、水と併用可能な溶媒又は分散媒としては、例えば、エタノール及びメタノールを挙げることができる。
【0082】
塗布液を基材に塗布する方法については、必要とする層厚や塗布面積を実現できる方法であれば特に限定はなく、例えば、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、スプレー塗布法が挙げられる。
【0083】
本実施形態においては、塗布液の塗布に先立ち、基材表面に表面処理を施すことが、塗布液をより塗布しやすくなると共に基材と熱可塑性ポリマーとの接着性が向上するため、好ましい。表面処理の方法は、基材の構造(例えばポリオレフィン微多孔膜の多孔質構造)を著しく損なわない方法であれば特に限定はなく、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、機械的粗面化法、溶剤処理法、酸処理法、及び紫外線酸化法が挙げられる。
【0084】
本実施形態において、基材に塗布した塗布液から溶媒を除去する場合には、基材に悪影響を及ぼさない方法であれば特に限定はない。例えば、基材としてポリオレフィン微多孔膜を用いる場合、基材を固定しながらその融点以下の温度にて乾燥する方法、低温で減圧乾燥する方法、共重合体に対する貧溶媒に浸漬して共重合体を凝固させると同時に溶媒を抽出する方法が挙げられる。
【0085】
また、共重合体が共重合体粒子を含み、基材がポリオレフィン微多孔膜である場合、上記共重合体の粒子と基材であるポリオレフィン微多孔膜との接着性を高める目的で、ガラス転移温度(Tg)が15℃以下である共重合体粒子を混合して用いることもできる。Tgが15℃以下の共重合体粒子は、共重合体粒子の全量に対して5〜40質量%含まれることが好ましい。また、上記Tgが15℃以下の共重合体の膨潤度は、特に限定されないが、密着性をより有効に発現する観点から、5.0倍以下であることが好ましい。
【0086】
[蓄電デバイス用セパレータ]
本実施形態の蓄電デバイス用セパレータを備える蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、電池が好ましく、非水系電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。本実施形態の蓄電デバイス用セパレータは、基材上にポリマー層を備えるため、捲回時のハンドリング性、電極活物質との接着性、及び透過性にも優れる。
【0087】
本実施形態のセパレータは、アルミニウム箔に対する剥離強度が5N/m以上であることが好ましく、より好ましくは10N/m以上である。このことは、本実施形態のセパレータが接着性を有していることを、電極を作製することなく簡便に確かめることが可能であることを意味する。上記の剥離強度は下記のようにして測定される。すなわち、正極集電体としても用いられるアルミニウム箔(冨士加工紙株式会社製、厚さ:20μm)を30mm×150mmに切り取り、そのアルミニウム箔に本実施形態のセパレータにおけるポリマー層側の面を重ね合わせて積層体を得た後、その積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製、ナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟み、80℃、10MPaの圧力で、積層方向に3分間加圧する。そうして得られたサンプルにおいて、アルミニウム箔及びセパレータ間の剥離強度を、JIS K6854−2に準じて島津製作所製のオートグラフAG−IS型(商標)を用いて、引張速度200mm/分で測定する。
【0088】
[蓄電デバイス]
本実施形態の蓄電デバイスは、蓄電デバイス用セパレータを備えるものであり、それ以外の構成は、従来知られているものと同様であってもよい。蓄電デバイスは、特に限定されないが、例えば、非水系電解液二次電池等の電池、コンデンサー及びキャパシタが挙げられる。それらの中でも、本発明による作用効果による利益がより有効に得られる観点から、電池が好ましく、非水系電解液二次電池がより好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。以下、蓄電デバイスが非水系電解液二次電池である場合についての好適な態様について説明する。
【0089】
本実施形態のセパレータを備える非水系電解液二次電池は、そのセパレータ以外に、正極、負極及び非水電解液を備える。正極、負極及び非水電解液は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0090】
正極材料(正極活物質)としては、例えば、LiCoO
2、LiNiO
2、スピネル型LiMnO
4、オリビン型LiFePO
4等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。また、負極材料としては、例えば、黒鉛質、難黒鉛化炭素質、易黒鉛化炭素質、複合炭素体等の炭素材料;シリコン、スズ、金属リチウム、各種合金材料が挙げられる。正極及び負極はそれぞれ集電体を備えてもよく、正極集電体としては、例えばアルミニウム箔が挙げられ、負極集電体としては、例えば銅箔が挙げられる。
【0091】
非水電解液としては、電解質を有機溶媒に溶解した電解液を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが挙げられる。また、電解質としては、例えば、LiClO
4、LiBF
4、LiPF
6等のリチウム塩が挙げられる。
【0092】
本実施形態の蓄電デバイスは、例えば、下記のようにして製造される。すなわち、本実施形態のセパレータを幅10〜500mm(好ましくは80〜500mm)、長さ200〜4000m(好ましくは1000〜4000m)の縦長形状のセパレータとして作製する。次に、当該セパレータを、正極及び負極と共に、正極−セパレータ−負極−セパレータ、又は負極−セパレータ−正極−セパレータの順で重ねて積層体を得る。次いで、その積層体を、円筒形の又は扁平な渦巻状に巻回して巻回体を得る。そして、当該巻回体を電池缶内に収納し、更に電解液を注入することにより、蓄電デバイスが得られる。また、本実施形態の蓄電デバイスは、正極−セパレータ−負極−セパレータ−正極、又は負極−セパレータ−正極−セパレータ−負極の順に平板状に積層して積層体を得た後、袋状のフィルム内に収容してラミネートし、そこに電解液を注入する工程を経て製造することもできる。
【0093】
なお、上述した各種パラメータについては、特に断りのない限り、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明をするが、本発明は実施例に限定されるものではない。以下の合成例、製造例、実施例及び比較例において用いられた各種物性の測定方法や評価方法は、以下のとおりである。
【0095】
[測定方法]
(1)固形分
得られた共重合体の水分散体をアルミ皿上に約1g精秤し、このとき量り取った水分散体の質量を(a)gとした。それを、130℃の熱風乾燥機で1時間乾燥し、乾燥後の共重合体の乾燥質量を(b)gとした。下記式により固形分を算出した。
固形分=(b)/(a)×100 [%]
【0096】
(2)共重合体粒子の平均粒径
光散乱法による粒径測定装置(LEED&NORTHRUP社製、商品名「MICROTRAC UPA150」)を用い、50%粒径(nm)を測定し、平均粒径とした。
【0097】
(3)基材(ポリオレフィン微多孔膜)の目付
10cm×10cm角の試料を基材から切り取り、株式会社島津製作所製の電子天秤AEL−200(商品名)を用いて質量を測定した。得られた質量を100倍することで1m
2当たりの膜の目付(g/m
2)を算出した。
【0098】
(4)基材(ポリオレフィン微多孔膜)の気孔率
10cm×10cm角の試料を基材から切り取り、その体積(cm
3)と質量(g)を求め、膜密度を0.95(g/cm
3)として下記式を用いて計算した。
気孔率=(1−質量/体積/0.95)×100
【0099】
(5)基材(ポリオレフィン微多孔膜)の透気度
JIS P−8117に準拠し、東洋精器株式会社製のガーレー式透気度計、G−B2(商標)により測定した透気抵抗度を透気度とした。
【0100】
(6)基材(ポリオレフィン微多孔膜)の突刺強度
カトーテック製のハンディー圧縮試験器KES−G5(商標)を用いて、開口部の直径11.3mmの試料ホルダーで基材を固定した。次に固定された基材の中央部に対して、先端の曲率半径が0.5mmである針を用い、突刺速度2mm/secの条件で、25℃の雰囲気下にて突刺試験を行うことにより、最大突刺荷重として突刺強度(g)を得た。
【0101】
(7)基材(ポリオレフィン微多孔膜)の平均孔径
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さい時はポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで、基材の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また、基材の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定した。
【0102】
平均孔径d(μm)は、空気の透過速度定数R
gas(m
3/(m
2・sec・Pa))、水の透過速度定数R
liq(m
3/(m
2・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力P
s(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、下記式を用いて求めた。
d=2ν×(R
liq/R
gas)×(16η/3Ps)×10
6
ここで、R
gasは透気度(秒)から下記式を用いて求めた。
R
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10
-4)×(0.01276×101325))
また、R
liqは透水度(cm
3/(cm
2・sec・Pa))から下記式を用いて求めた。
R
liq=透水度/100
【0103】
なお、透水度は次のようにして求めた。直径41mmのステンレス製の透液セルに、予めエタノールに浸しておいた基材をセットし、その基材のエタノールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で基材に水を透過させ、120秒間経過した際の透水量(cm
3)より、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とした。
【0104】
また、νは気体定数R(=8.314)、絶対温度T(K)、円周率π、空気の平均分子量M(=2.896×10
-2kg/mol)から下記式を用いて求めた。
ν=((8R×T)/(π×M))
1/2
【0105】
(8)ポリマー層の平均厚さ
走査型電子顕微鏡(SEM)「型式S−4800、HITACHI社製」を用い、セパレータの断面観察により測定した。より具体的には、セパレータを1.5mm×2.0mm程度に切り取り、ルテニウム染色した。ゼラチンカプセル内に染色後のサンプルとエタノールとを収容し、液体窒素により凍結させた後、ハンマーでサンプルを割断した。次いで、サンプルをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、30000倍にて観察し、ポリマー層の平均厚さを算出した。なお、SEM画像にて基材(ポリオレフィン微多孔膜)断面の多孔構造が見えない最表面領域をポリマー層領域とした。
【0106】
(9)共重合体のガラス転移温度
共重合体を含む水分散体(固形分=38〜42質量%、pH=9.0)を、アルミ皿に適量とり、130℃の熱風乾燥機で30分間乾燥した。乾燥後の乾燥皮膜約17mgを測定用アルミ容器に詰め、DSC測定装置(島津製作所社製、型番:DSC6220)にて窒素雰囲気下におけるDSC曲線及びDDSC曲線を得た。なお、測定条件は下記の通りとした。
(1段目昇温プログラム)
70℃で開始し、毎分15℃の速度で昇温した。110℃に到達後、その温度で5分間維持した。
(2段目降温プログラム)
110℃から毎分30℃の速度で降温した。−100℃に到達後、その温度で4分間維持した。
(3段目昇温プログラム)
−100℃から毎分15℃の速度で130℃まで昇温した。この3段目の昇温時にDSC及びDDSCのデータを取得した。
得られたDSC曲線におけるベースラインを高温側に延長した直線と、変曲点における接線との交点をガラス転移温度(Tg)とした。
【0107】
(10)共重合体の電解液に対する膨潤度
共重合体を含む水分散体を130℃のオーブン中に1時間静置して乾燥させた。乾燥させて得られた共重合体の膜を0.5gになるように切り取った。切り取ったサンプルを、エチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=2:3(質量比)の混合溶媒10gと一緒に50mLのバイアル瓶に入れ、1日混合溶媒を浸透させた後、サンプルを取り出し、上記混合溶媒にて洗浄し、質量(Wa:g)を測定した。その後、サンプルを150℃のオーブン中に1時間静置してから、質量を測定し(Wb:g)、下記式より共重合体の電解液に対する膨潤度を算出した。
共重合体の電解液に対する膨潤度(倍)=(Wa−Wb)÷(Wb)
【0108】
(11)ポリマー層の表面被覆率
ポリマー層の表面被覆率は、走査型電子顕微鏡(SEM)(型式:S−4800、HITACHI社製)を用いて測定した。サンプルであるセパレータをオスミウム蒸着し、加速電圧1.0kV、50倍の条件にて観察し、下記式から表面被覆率を算出した。なお、SEM画像にて基材(ポリオレフィン微多孔膜)表面の多孔構造が見えない領域をポリマー層領域とした。
ポリマー層の表面被覆率(%)=ポリマー層の面積÷(基材の孔部分を含む面積+ポリマー層の面積)×100
各サンプルにおける表面被覆率は、上記測定を3回行い、その相加平均値とした。
【0109】
(12)ポリマー層の基材に対する担持量
基材(ポリオレフィン微多孔膜)及びセパレータのそれぞれについて、10cm×10cmに切り出したサンプル3枚の総質量を測定し、下記式により、サンプル中のポリマー層の担持量(固形分)を測定した。
ポリマー層の担持量(g/m
2)=[(セパレータ3枚の総質量)−(基材3枚の総質量)]÷3×100
【0110】
[評価方法]
(13)セパレータと電極との密着性
セパレータと電極との密着性は、以下の手順で評価した。
(正極の作製)
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO
2)92.2質量%、導電材としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%を、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、正極の活物質塗布量は250g/m
2、活物質嵩密度は3.00g/cm
3になるようにした。
【0111】
(負極の作製)
負極活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン−ブタジエンコポリマー水分散体1.7質量%を、精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形した。この時、負極の活物質塗布量は106g/m
2、活物質嵩密度は1.35g/cm
3になるようにした。
【0112】
(密着性試験)
上記方法により得られた電極を幅20mm、長さ40mmに切断した。この電極上にエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを2:3の比率(体積比)にて混合した電解液(富山薬品工業製)を、電極活物質が浸る程度まで滴下し、この上に基材又はセパレータ(サイズ:幅30mm、長さ50mm)を、基材又はセパレータの片面全体を電極が覆うように重ねた。得られた積層体をアルミニウム製のジップ付き袋に入れ、80℃、10MPaの条件で、3分間プレスを行った。その後、積層体を袋から取り出し、基材又はセパレータを電極から剥がした。このとき、基材又はセパレータ上に残存した電極活物質の付着面積の割合(基材又はセパレータの片面の面積を100%として)から下記の評価基準にて密着性評価を行った。なお、密着性試験において、基材又はセパレータの片面に無機フィラーが露出している場合には、無機フィラーが露出していない側の面が電極と接するように積層体を作製した。
<評価基準>
付着面積の割合が70%以上100%以下…S
付着面積の割合が50%以上70%未満 …A
付着面積の割合が30%以上50%未満 …B
付着面積の割合が10%以上30%未満 …C
付着面積の割合が 5%以上10%未満 …D
付着面積の割合が 0%以上 5%未満 …E
【0113】
(14)基材及びセパレータのハンドリング性(耐ブロッキング性)
基材又はセパレータと被着体として正極集電体(冨士加工紙株式会社製のアルミニウム箔、厚さ:20μm)とをそれぞれ30mm×150mmに切り取り、重ね合わせた後、その積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製のナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んだ。各サンプルについて、下記1)及び2)の条件にて積層方向にプレスを行うことによって試験用サンプルを得た。
1)25℃、5MPa、3分
2)40℃、5MPa、3分
得られた各試験用サンプルの基材又はセパレータと正極集電体との間の剥離強度を、島津製作所製のオートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記の評価基準により評価した。
<評価基準>
6N/m未満 ・・・○
6N/m以上、8N/m未満・・・△
8N/m以上 ・・・×
【0114】
(15)簡易接着試験
基材又はセパレータと被着体としてアルミニウム箔(冨士加工紙株式会社製、厚さ:20μm)とをそれぞれ30mm×150mmに切り取り、重ね合わせた後、その積層体をテフロン(登録商標)シート(ニチアス株式会社製のナフロン(商標)PTFEシート TOMBO−No.9000)で挟んだ。こうして得られた各サンプルについて、80℃、10MPaの条件で、3分間、積層方向にプレスを行うことによって試験用サンプルを得た。
得られた各試験用サンプルの基材又はセパレータとアルミニウム箔との間の剥離強度を、島津製作所製のオートグラフAG−IS型(商標)を用いて、JIS K6854−2に準じて引張速度200mm/分で測定した。剥離強度の値に基づいて、下記の評価基準により評価した。
<評価基準>
10N/m以上 …○
5N/m以上10N/m未満 …△
5N/m未満 …×
【0115】
(16)粉落ち試験
各種水分散体を固形分で30質量部となるように水で希釈し、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分30質量%)を調製した。次いで、各基材の片面にマイクログラビアコーターを用いて塗布液を塗布した。その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。乾燥後の塗布面を指でこすった際に形成された共重合体の乾燥塗膜が粉落ちする程度を下記の評価基準により評価した。粉落ち試験により、基材との接着性を評価した。
白い粉の粉落ちが全くないもの : ◎
白い粉がわずかに発生するもの : ○
白い粉が発生するが、基材側から完全には取れないもの : △
白い粉が発生し、基材側から完全に除去されるもの : ×
【0116】
[合成例1]
(水分散体1)
撹拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、イオン交換水70.4質量部と、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液、表中「KH1025」と表記)1.5質量部を投入した。次いで、反応容器内部の温度を80℃に昇温し、80℃の温度を保ったまま、過硫酸アンモニウムの2%水溶液を7.5質量部添加した。過硫酸アンモニウム水溶液を添加終了した5分後に、乳化液を滴下槽から反応容器に150分かけて滴下した。なお、乳化液は、炭素数8以上の鎖状アルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(A)として2−エチルヘキシルアクリレート(表中、「EHA」と表記)5質量部、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)としてメタクリル酸(表中、「MAA」と表記)1質量部、アクリル酸(表中、「AA」と表記)1質量部、アミド基を有するエチレン性不飽和単量体(b2)としてアクリルアミド(表中、「AM」と表記)3質量部、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(b3)として2−ヒドロキシエチルメタクリレート(表中、「HEMA」と表記)1質量部、架橋性単量体(b4)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(A−TMPT、新中村化学工業株式会社製商品名、表中、「A−TMPT」と表記)0.7質量部、メタクリル酸グリシジル(表中、「GMA」と記載)0.3質量部、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(表中、「AcSi」と記載)0.3質量部、上記以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体(b9)としてメチルメタクリレート(表中、「MMA」と表記)68.7質量部、ブチルメタクリレート(表中BMAと記載)15質量部、ブチルアクリレート(表中、「BA」と表記)5質量部、乳化剤として「アクアロンKH1025」(登録商標、第一工業製薬株式会社製25%水溶液)4.5質量部、過硫酸アンモニウムの2%水溶液7.5質量部、及びイオン交換水52質量部の混合物をホモミキサーにより5分間混合させて作製した。
乳化液の滴下終了後、反応容器内部の温度を80℃に保ったまま90分間維持し、その後室温まで冷却した。得られたエマルジョンを、水酸化アンモニウム水溶液(25%水溶液)でpH=9.0に調整し、濃度40%の水分散体を得た(水分散体1)。得られた水分散体1中の共重合体について、上記方法により、Tg、平均粒径、及び電解液に対する膨潤度を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0117】
[合成例2〜22]
(水分散体2〜22)
原材料の種類及び配合比を表1〜表3に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして、水分散体2〜22を得た、表中、「CHMA」は、シクロアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(b5)の1種であるシクロヘキシルメタクリレートを意味する。得られた水分散体2〜22中の共重合体について、上記方法により、Tg、粒子径、及び電解液に対する膨潤度を測定した。得られた結果を表1〜表3に示す。なお、表中、原材料の組成は質量基準である。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
[製造例1]
(基材B1の製造)
Mvが70万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが30万であり、ホモポリマーの高密度ポリエチレンを45質量部と、Mvが40万であるホモポリマーのポリプロピレンとMvが15万であるホモポリマーのポリプロピレンとの混合物(質量比=4:3)10質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリオレフィン混合物99質量部に酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物を、窒素雰囲気下で二軸押出機へフィーダーにより供給した。また、流動パラフィン(37.78℃における動粘度7.59×10−5m
2/s)を押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。押し出される全混合物中に占める流動パラフィンの割合が65質量部となるように、すなわち、ポリマー濃度が35質量部となるように、フィーダー及びポンプの運転条件を調整した。
【0122】
次いで、それらを二軸押出機内で230℃に加熱しながら溶融混練し、得られた溶融混練物を、T−ダイを経て表面温度80℃に制御された冷却ロール上に押し出し、その押出物を冷却ロールに接触させ成形(cast)して冷却固化することにより、シート状成形物を得た。このシートを同時二軸延伸機にて倍率7×6.4倍、温度112℃下で延伸した後、塩化メチレンに浸漬して、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、テンター延伸機にて温度130℃、横方向に2倍延伸した。その後、この延伸シートを幅方向に約10%緩和して熱処理を行い、表4に示す基材B1を得た。
【0123】
得られた基材B1について、上記方法により各種物性を測定した。また、得られた基材B1について、上記方法により耐ブロッキング性、密着性および上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
【0124】
[製造例2]
(基材B2の製造)
延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例1と同様の操作により、基材B2を得た。得られた基材B2を製造例1と同様に上記方法により評価・試験をした。得られた結果を表4に示す。
【0125】
[製造例3]
(基材B3の製造)
粘度平均分子量70万のホモポリマーの高密度ポリエチレン47.5質量部と粘度平均分子量25万のホモポリマーの高密度ポリエチレン47.5質量部と粘度平均分子量40万のホモポリマーのポリプロピレン5質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量部に対して酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を1質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また、流動パラフィンを押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が67質量%(樹脂組成物濃度が33質量%)となるように、フィーダー及びポンプを調整した。
【0126】
溶融混練物を、T−ダイを経て冷却ロール上に押出しキャストすることにより、シート状成形物を得た。その後、延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例1と同様の操作により、基材B3を得た。得られた基材B3について、製造例1と同様にして、各種物性並びに耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
【0127】
[製造例4]
(基材B4の製造)
粘度平均分子量200万の超高分子量ポリエチレン25質量部と粘度平均分子量70万のホモポリマーの高密度ポリエチレン15質量部と粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン30質量部と粘度平均分子量12万でプロピレン単位含有量1mol%の共重合ポリエチレン30質量部とを、タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドした。得られたポリマー混合物99質量部に対して酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.3質量部添加し、再度タンブラーブレンダーを用いてドライブレンドすることにより、混合物を得た。得られた混合物は窒素で置換を行った後に、二軸押出機へ窒素雰囲気下でフィーダーにより供給した。また流動パラフィンを押出機シリンダーにプランジャーポンプにより注入した。
溶融混練し、押し出される全混合物中に占める流動パラフィン量比が65質量%(樹脂組成物濃度が35質量%)となるように、フィーダー及びポンプを調整した。
【0128】
溶融混練物を、T−ダイを経て冷却ロール上に押出しキャストすることにより、シート状成形物を得た。その後、延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例1と同様の操作により、基材B4を得た。得られた基材B4について、製造例1と同様にして、各種物性並びに耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
【0129】
[製造例5]
(基材B5の製造)
延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例3と同様の操作により、基材B5を得た。得られた基材B5について、製造例1と同様にして、各種物性並びに耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
【0130】
[製造例6]
(基材B6の製造)
粘度平均分子量が100万の超高分子量ポリエチレン19.2質量部、粘度平均分子量が25万の高密度ポリエチレン12.8質量部、フタル酸ジオクチル(DOP)48質量部、微粉シリカ20質量部を混合造粒した後、先端にTダイを装着した二軸押出機にて溶融混練した後に押し出し、両側から加熱したロールで圧延し、厚さ110μmのシート状に成形した。該成形物からDOP、微粉シリカを抽出除去し微多孔膜を作製した。該微多孔膜を2枚重ねて120℃でMD方向に5倍、120℃でTDに2倍延伸し、最後に137℃で熱処理し基材B6を得た。得られた基材B6について、製造例1と同様にして、各種物性並びに耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表4に示す。
【0131】
[製造例7]
(基材B7の製造)
水酸化酸化アルミニウム(平均粒径1.0μm)96.0質量部と、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径145nm、最低成膜温度0℃以下)4.0質量部と、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)1.0質量部とを100質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、ポリオレフィン樹脂多孔膜B1の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を2μmの厚さで形成して、基材B7を得た。得られた基材B7について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0132】
[製造例8]
(基材B8の製造)
基材B1の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を4μmの厚さで形成して、基材B8を得た。得られた基材B8について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0133】
[製造例9]
(基材B9の製造)
基材B2の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を3μmの厚さで形成して、基材B9を得た。得られた基材B9について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0134】
[製造例10]
(基材B10の製造)
基材B5の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を7μmの厚さで形成して、基材B10を得た。得られた基材B10について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0135】
[製造例11]
(基材B11の製造)
焼成カオリン(カオリナイト(Al
2Si
2O
5(OH)
4)を主成分とする湿式カオリンを高温焼成処理したもの、平均粒径1.8μm)95.0質量部と、アクリルラテックス(固形分濃度40%、平均粒径220nm、最低成膜温度0℃以下)5.0質量部と、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液(サンノプコ社製 SNディスパーサント5468)0.5質量部とを180質量部の水に均一に分散させて塗布液を調製し、基材B3の表面にマイクログラビアコーターを用いて塗布した。60℃にて乾燥して水を除去し、多孔層を6μmの厚さで形成して、基材B11を得た。得られた基材B11について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0136】
[製造例12]
(基材B12の製造)
延伸温度と緩和率の調整をしたこと以外は、製造例1と同様の操作により、目付け:4.6g/m
2、膜厚:7μm、気孔率:38%、透気度:150秒、突刺強度:270g、平均孔径:0.070μmの基材を得た。前記基材の一方の表面に製造例7と同様の方法で多孔層を3μmの厚さで形成して、基材B12を得た。得られた基材B12について、製造例1と同様にして、耐ブロッキング性、密着性を評価し、上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0137】
上記の他に、基材B13として、セルロース製セパレータ(日本高度紙社製型番「TF40」)を用いた。基材B13について、製造例1と同様にして各種物性を測定したところ、膜厚が58μm、気孔率が76%、透気度が7秒であった。また、基材B14として、テンセル繊維(テンセルジャパン社製)を叩解後抄紙して作製したテンセル製薄膜を用いた。基材B14について、製造例1と同様にして各種物性を測定したところ、膜厚が89μm、気孔率が81%、透気度が2秒であった。さらに、基材B15として、ポリプロピレン製不織布(旭化成せんい社製商品名「エルタス」)を用いた。基材B15について、製造例1と同様にして各種物性を測定したところ、膜厚が98μm、気孔率が82%、透気度が0秒であった。
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
[
参考例1]
水分散体4を固形分で30質量部となるように水で希釈し、熱可塑性ポリマーを含む塗布液(固形分30質量%)を調製した。次いで、基材B1の片面にマイクログラビアコーターを用いて塗布液を塗布した。その後、60℃にて塗布後の塗布液を乾燥して水を除去した。さらに、基材B1のもう片面にも同様に塗布液を塗布し、再度上記と同様にして乾燥させた。こうして、基材B1の両面にポリマー層を形成したセパレータを得た。なお、このセパレータにおいて、ポリマー層の表面被覆率は30%であり、ポリマー層の平均厚さは1μmであった。また、SEMにて確認したところ、ポリマー層は基材B1の表面にほぼ円形のドット状に存在していた。
得られたセパレータについて、上記方法により、耐ブロッキング性、粉落ち性、密着性および上記簡易接着試験を行った。得られた結果を表6に示す。
【0141】
[
参考例2〜9,16,21〜29、実施例10〜15,17〜20,30〜40、比較例1〜8]
水分散体の種類及び混合割合(質量%)、塗布液中の固形分(質量%)、並びに基材の種類を表6〜表10に示すように変更した以外は実施例1と同様にして塗布液を調製し、セパレータを作製した。得られたセパレータの各種物性及び評価・試験結果を表6〜表10に示す。
【0142】
【表6】
【0143】
【表7】
【0144】
【表8】
【0145】
【表9】
【0146】
【表10】