(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ローラー本体は、アルミニウムを含む金属からなる基体の外周面にアルマイト層が形成され、そのアルマイト層の表面に前記樹脂コート層が形成されたものである請求項1又は2に記載の現像ローラー。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10(本発明の画像形成装置の一例)の概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように、画像形成装置10は、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置であり、複数の画像形成部1〜4と、中間転写ベルト5と、駆動ローラー7Aと、従動ローラー7Bと、二次転写装置15と、定着装置16と、制御部8と、給紙トレイ17と、排紙トレイ18と、を備えている。なお、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の具体例は、カラー画像又はモノクロ画像を形成可能なプリンターや複写機、ファクシミリ、これらの各機能を備えた複合機である。
【0014】
画像形成部1〜4は、電子写真方式に基づいて画像を形成するものである。画像形成部1〜4は、並設された複数の感光体ドラム11〜14(本発明の像担持体の一例)それぞれに色の異なるトナー像を形成し、そのトナー像を走行中(移動中)の中間転写ベルト5に順次重ね合わせて転写する。
図1に示される例では、中間転写ベルト5の移動方向(矢印19方向)の下流側から順に、ブラック用の画像形成部1、イエロー用の画像形成部2、シアン用の画像形成部3、及びマゼンタ用の画像形成部4がその順番で一列に配置されている。
【0015】
画像形成部1〜4それぞれは、感光体ドラム11〜14、帯電装置21〜24、露光装置31〜34、現像装置41〜44(本発明の現像装置の一例)、一次転写装置51〜54等を備えている。感光体ドラム11〜14は、その表面にトナー像を担持する。帯電装置21〜24は、対応する感光体ドラム11〜14の表面を所定の電位に帯電させる。露光装置31〜34は、帯電された感光体ドラム11〜14の表面を露光して光を走査することにより静電潜像を形成する。現像装置41〜44は、感光体ドラム11〜14上の静電潜像をトナーによって現像する。一次転写装置51〜54は、回転する感光体ドラム11〜14上のトナー像を中間転写ベルト5に転写する。なお、
図1には示されていないが、各画像形成部1〜4は、感光体ドラム11〜14上に残存したトナー像を除去するクリーニング装置も備えている。
【0016】
中間転写ベルト5は、例えばゴムやウレタン等の素材からなる無端環状のベルトである。中間転写ベルト5は、駆動ローラー7A及び従動ローラー7Bによって回転駆動可能に支持されている。駆動ローラー7Aは定着装置16に近い位置(
図1において左側)に配置されており、従動ローラー7Bは定着装置16から離れた位置(
図1において右側)に配置されている。駆動ローラー7Aの表面は中間転写ベルト5との摩擦力を高めるために例えばゴムやウレタン等の素材で形成されている。駆動ローラー7A及び従動ローラー7Bによって支持されることにより、中間転写ベルト5は、その表面が各感光体ドラム11〜14の表面に接しながら移動(走行)可能となる。そして、中間転写ベルト5は、その表面が感光体ドラム11〜14と一次転写装置51〜54との間を通過する際に、感光体ドラム11〜14からトナー像が順に重ね合わせて転写される。
【0017】
二次転写装置15は、中間転写ベルト5に転写されたトナー像を給紙トレイ17から搬送されてきた印刷用紙に転写させる。トナー像が転写された印刷用紙は、図示しない搬送手段によって定着装置16に搬送される。定着装置16は、高温に加熱された加熱ローラー16Aと、この加熱ローラー16Aに対向配置された加圧ローラー16Bとを有する。定着装置16に搬送された印刷用紙は、加熱ローラー16Aと加圧ローラー16Bとによって挟持されつつ搬送されることによって、トナー像が印刷用紙に溶着される。その後、印刷用紙は排紙トレイ18に排出される。
【0018】
このように、画像形成装置10は、複数の画像形成部1〜4によって各色のトナー像を走行中の中間転写ベルト5上に重ねて転写することにより、カラーのトナー像を中間転写ベルト5の表面に形成させる。そして、そのカラーのトナー像は、二次転写装置15によって中間転写ベルト5から印刷用紙へ転写される。これにより、印刷用紙上にカラー画像が形成される。なお、中間転写ベルト5を搬送ベルトとして用い、その搬送ベルト上に搬送される印刷用紙にトナー像が直接に重ね合わせて転写される構成や、中間転写ベルト5に代えてローラー状の中間転写部材を用いることも他の実施例として考えられる。
【0019】
制御部8は、画像形成装置10を統括的に制御する。制御部8は、CPU、ROM、RAM、EEPROM、モータードライバー等を有している。前記RAMは揮発性の記憶媒体、前記EEPROMは不揮発性の記憶媒体である。前記RAMおよび前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。前記モータードライバーは、前記CPUからの制御信号に基づいて各種用途のモーター(不図示)を駆動制御する。
【0020】
また、制御部8は、
図2に示されるように、第1バイアス回路71、第2バイアス回路72、および電圧可変装置73を有している。第1バイアス回路71は、現像装置41〜44が備える現像ローラー63(
図3参照)に電圧を印加する。また、第2バイアス回路72は、現像装置41〜44が備える磁気ローラー62(
図3参照)に電圧を印加する。電圧可変装置73は、現像ローラー63および磁気ローラー62に印加される電圧を可変する。
【0021】
図3は、画像形成部1が備える現像装置41の構成を示す断面図である。以下、
図3を参照して、現像装置41の構成について説明する。なお、他の現像装置42〜44は、現像装置41と同じ構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0022】
現像装置41は、感光体ドラム11に対して非接触状態でトナーを静電潜像に静電的に付着させる現像方式であって、インタラクティブタッチダウン現像方式と称される現像方式によって現像する装置である。
図3に示されるように、現像装置41は、トナーを含む2成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう。)が収納される現像容器60を備えている。現像容器60は仕切壁60Aによって第1撹拌室60B及び第2撹拌室60Cに区画されている。第1撹拌室60B及び第2撹拌室60Cそれぞれに、現像剤が収容されている。第1撹拌室60Bには第1撹拌スクリュー61Aが回転可能に設けられている。第2撹拌室60Cには第2撹拌スクリュー61Bが回転可能に設けられている。第1撹拌スクリュー61A及び第2撹拌スクリュー61Bは、トナーコンテナ(不図示)から現像容器60に供給されたトナーを磁性キャリアと混合して撹拌し、前記トナーを帯電させる。
【0023】
現像容器60内に磁気ローラー62及び現像ローラー63が設けられている。磁気ローラー62は、トナーが付着された磁性キャリアがローラー面に保持されるものである。この磁気ローラー62は、トナーが付着された磁性キャリアからなる後述の磁気ブラシによって現像ローラー63の表面にトナー層を形成する。現像ローラー63は、磁気ローラー62に対向して配置されている。具体的には、磁気ローラー62は、第2撹拌スクリュー61Bの上方に配置されている。現像ローラー63は、磁気ローラー62の左斜め上方に、磁気ローラー62と所定のギャップを隔てた状態で対向するように配置されている。また、現像ローラー63は、現像容器60の開口64側(
図3の左側)において感光体ドラム11に所定のギャップを隔てた状態で対向している。つまり、現像ローラー63は、感光体ドラム11の外周面に対向するように配置されている。磁気ローラー62及び現像ローラー63は、
図3において時計回転方向(矢印91,92参照)へ回転される。
【0024】
磁気ローラー62は、非磁性の回転スリーブ62Aと、複数の磁極を有する磁気ローラー側磁極62Bとにより構成されている。回転スリーブ62Aは、現像装置41のフレーム(不図示)に回転可能に支持されている。磁気ローラー側磁極62Bは、回転スリーブ62Aに内包されている。つまり、磁気ローラー62の内部に磁気ローラー側磁極62Bが設けられている。磁気ローラー側磁極62Bは、回転スリーブ62A内で固定されている。本実施形態では、磁気ローラー側磁極62Bは、主極75、規制極(穂切り用磁極)76、搬送極77、剥離極78、及び汲上極79の5極の磁極を有する。各磁極75〜79は、例えば、磁力を発生する永久磁石で構成されている。
【0025】
主極75は、その磁極面が現像ローラー63側に向けられた状態で磁気ローラー側磁極62Bに取り付けられている。この主極75は、現像ローラー63が備える現像ローラー側磁極63Bとの間で引き合う方向の磁界を形成する。
【0026】
現像容器60には穂切りブレード65が設けられている。穂切りブレード65は、磁気ローラー62の長手方向(
図3の紙面に垂直な方向)に沿って取り付けられている。穂切りブレード65は、磁気ローラー62の回転方向(矢印92参照)において、現像ローラー63と磁気ローラー62との対向位置よりも上流側に配置されている。穂切りブレード65の先端部と磁気ローラー62のローラー面との間には僅かなギャップ(隙間)が形成されている。
【0027】
規制極76は、その磁極面が穂切りブレード65側に向けられた状態で磁気ローラー側磁極62Bに取り付けられている。つまり、規制極76と穂切りブレード65とは互いに対向するように配置されている。穂切りブレード65は、例えば、非磁性体或いは磁性体で構成されている。穂切りブレード65に磁気ローラー側磁極62Bの規制極76が対向するため、穂切りブレード65の先端と回転スリーブ62Aとのギャップに引き合う方向の磁界が発生する。この磁界により、穂切りブレード65と回転スリーブ62Aとの間に、トナーが付着された磁性キャリアからなる磁気ブラシが形成される。
【0028】
現像ローラー63は、円筒状の現像スリーブ63A(本発明のローラー本体の一例)と、現像ローラー側磁極63Bとにより構成されている。現像スリーブ63Aは、現像装置41のフレーム(不図示)に回転可能に支持されている。
【0029】
図4に示されるように、現像スリーブ63Aは、アルミニウム製の素管からなる筒形状の基体81で構成されており、その外周面にアルマイト層82がアルマイト処理によりコーティングされている。前記アルマイト処理は、陽極酸化処理とも呼ばれており、硫酸などの酸性水溶液を電解浴(処理浴)とした電解槽に電極としてアルミニウムの基体81を浸し、これを直流又は交流で電気分解することにより、基体81の表面に酸化アルミニウム皮膜を形成する処理である。このアルマイト処理により、基体81の表面に5〜100μmの酸化アルミニウム皮膜を形成することが可能である。アルマイト層82としては、例えば、硫酸アルマイト、シュウ酸アルマイト、有機混酸を用いて電解液温度を常温とすることで得られるアルマイトなどが適用可能である。
【0030】
そして、アルマイト層82の表面に樹脂材料からなる導電性を有する樹脂コート層83(本発明の樹脂コート層の一例)がコーティングされている。つまり、現像スリーブ63Aは、基体81の外周面にアルマイト層82が形成されており、そのアルマイト層82の表面に樹脂コート層83が形成されている。樹脂コート層83の材料としては、ナイロン樹脂が用いられている。つまり、樹脂コート層83は、ナイロン樹脂からなるコート層である。より詳細には、樹脂コート層83は、前記ナイロン樹脂に導電剤として導電性を有する酸化チタンを分散状に含有したものである。前記酸化チタンが含まれているため、樹脂コート層83は導電性を有する。
【0031】
本実施形態では、外径が12mm〜20mmのアルミニウム製の基体81の表面に10μmのアルマイト層82がコーティング処理(アルマイト処理)される。その後、ディッピング方式により厚み2μm〜11μmの範囲内で樹脂コート層83がアルマイト層82の表面に形成される。この樹脂コート層83はディッピング方式で形成されるため、その厚みが10μm以上になると、上端と下端との間で膜厚に差が生じる。また、その厚みが12μm以上になると出力画像の濃度ムラへの影響が大きくなり、現像の均一性が悪化する。アルマイト層82の厚みは適宜選択できる要素であるが、直径12mm〜20mm程度の基体81に対して10μmが最適値である。樹脂コート層83の材料は、ナイロン樹脂100[重量部]に対して50〜150[重量部]の酸化チタンが添加されたものが使用される。
【0032】
本実施形態の現像スリーブ63Aは、次の工程を経て製作される。すなわち、基体81の外周面に前記アルマイト処理を施して、10μmのアルマイト層82を形成する。その後、基体81の表面、つまり、アルマイト層82の表面を120℃で10分以上熱処理する。この熱処理は、樹脂コート層83の乾燥工程においてクラックを生じさせず、前記乾燥工程の前に予めクラックを生じさせるために行われる。前記熱処理の時間は予め定められており、例えば、前記乾燥工程に要する時間以上に定められている。前記熱処理は、常に一定の温度で一定の時間だけ行われる。これにより、前記熱処理が行われる全ての基体81に対して概ね定量のクラックが生じる。前記熱処理の後に樹脂コート層83を形成する処理が行われる。具体的には、結着樹脂としての前記ナイロン樹脂、導電剤としての前記酸化チタン、および分散媒体としてのメタノール800[重量部]を直径1.0mmのジルコニアビーズとともにボールミルで約48時間混合し、その混合液に前記アルマイト処理されたアルミニウム製の基体81を浸漬させた後に引き上げ、130℃の高温環境の下で10分間乾燥させることにより、厚み2μm〜11μmの樹脂コート層83がコーティングされた現像スリーブ63Aが製作される。このように、樹脂コート層83がコーティングされる前に前記熱処理によってアルマイト層にクラックを生じさせているため、樹脂コート層83に含有されている導電剤が、樹脂コート層83の乾燥時に樹脂コート層83の内部に発生する対流による影響で偏在することが防止される。その結果、均一な樹脂コート層83の形成が可能になる。
【0033】
図3に示されるように、現像ローラー側磁極63Bは、現像スリーブ63Aに内包されている。つまり、現像ローラー62の内部に現像ローラー側磁極63Bが設けられている。現像ローラー側磁極63Bは、例えば、磁力を発生する永久磁石で構成されており、主極75とは異なる極性である。このため、現像ローラー側磁極63Bは、主極75との間で引き合う方向の磁界を形成する。
【0034】
現像ローラー63の現像スリーブ63Aには、直流電圧(以下、Vslv[DC]という)及び交流電圧(以下、Vslv[AC]という)を印加する第1バイアス回路71(
図2参照)が接続されている。磁気ローラー62の回転スリーブ62Aには、直流電圧(以下、Vmag[DC]という)及び交流電圧(以下、Vmag[AC]という)を印加する第2バイアス回路72(
図2参照)が接続されている。第1バイアス回路71及び第2バイアス回路72は共通のグランドに接地されている。第1バイアス回路71及び第2バイアス回路72は、直流電源(不図示)から供給される直流電圧に交流電源(不図示)から供給される交流電圧を重畳させて印加する。
【0035】
第1バイアス回路71及び第2バイアス回路72には電圧可変装置73(
図2参照)が接続されている。電圧可変装置73によって、現像ローラー63に印加されるVslv[DC]、Vslv[AC]、及び磁気ローラー62に印加されるVmag[DC]、Vmag[AC]が変更可能である。
【0036】
前述のように、第1撹拌スクリュー61A及び第2撹拌スクリュー61Bによって、現像剤が撹拌されつつ現像容器60内を循環してトナーを帯電させ、第2撹拌スクリュー61Bによって現像剤が磁気ローラー62に搬送される。穂切りブレード65には磁気ローラー側磁極62Bの規制極76が対向している。そのため、穂切りブレード65と回転スリーブ62Aとの間に前記磁気ブラシが形成される。磁気ローラー62上の前記磁気ブラシは穂切りブレード65によって層厚が規制された後、回転スリーブ62Aの回転によって現像ローラー63に対向する位置に移動する。この位置に移動した前記磁気ブラシは、磁気ローラー側磁極62Bの主極75及び現像ローラー側磁極63Bにより引き合う磁界が付与される。そのため、前記磁気ブラシは現像ローラー63のローラー面に接触される。これにより、磁気ブラシの磁性キャリアに付着したトナーが現像ローラー62に転移する。また、磁気ローラー62に印加されるVmag[DC]と現像ローラー63に印加されるVslv[DC]との電位差ΔV及び磁界によって、現像ローラー63のローラー面上にトナー薄層が形成される。なお、前記電位差ΔVが電圧可変装置73によって調整されることにより、現像ローラー63上のトナー層厚が変化する。
【0037】
前記磁気ブラシによって現像ローラー63上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー63の回転によって感光体ドラム11と現像ローラー63との対向部分に搬送される。現像ローラー63の現像スリーブ63Aには交流成分を含む電圧が印加されているため、感光体ドラム11との間の電位差(現像バイアス)によってトナーが感光体ドラム11へ飛翔する。このとき、現像スリーブ63Aに印加された交流電圧により形成される交流電界によって、トナーは感光体ドラム11と現像スリーブ63Aとの間を活発に往復運動する。その往復運動において感光体ドラム11上の静電潜像にたどりついたトナーは静電潜像に付着して、この静電潜像を現像する。一方、静電潜像以外の非画像領域との間で往復運動するトナーは、非画像領域に付着せずに現像スリーブ63Aに戻される。
【0038】
さらに磁気ローラー62の回転スリーブ62Aが時計回りに回転すると、今度は主極75に隣接する異極性の搬送極77により発生する水平方向(ローラー周方向)の磁界によって、前記磁気ブラシは現像ローラー63のローラー面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラー63から回転スリーブ62A上に回収される。さらに回転スリーブ62Aが回転すると、磁気ローラー側磁極62Bの剥離極78及びこれと同極性の汲上極79により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器60内で回転スリーブ62Aから離脱する。そして、第2撹拌スクリュー61Bにより撹拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された2成分現像剤として汲上極79により再び回転スリーブ62A上に保持されて、磁気ブラシを形成し、穂切りブレード65へ搬送される。
【0039】
ところで、現像装置41では、感光体ドラム11の静電潜像に対するトナーの現像性、及び、現像スリーブ63Aにおけるローラー汚染に対する耐汚染性が良好であることが求められる。従来、現像装置41による前記現像性は、現像スリーブ63Aの体積抵抗値のみによって評価されていた。前記体積抵抗値は、前記現像性の評価に比例する関係性を有しており、そのため、前記体積抵抗値は、従来から前記現像性を評価する指標として使用されていた。しかしながら、前記体積抵抗値は、前記ローラー汚染を示す耐汚染性との間には何ら関係性を有しておらず、前記耐汚染性の評価には利用できない。そこで、本発明者等は、前記事情に鑑みて鋭意検討を行った結果、前記現像性については現像スリーブ63Aの交流インピーダンスZ[Ω]における抵抗成分Rs[Ω]が影響しており、前記ローラー汚染については現像スリーブ63Aの交流インピーダンスZ[Ω]における静電容量成分Cs[F]が影響していることを見出した。つまり、本発明者等は、前記現像性および前記耐汚染性の両方に関係性を有する指標として、現像スリーブ63Aの交流インピーダンスZ[Ω]における抵抗成分Rs[Ω]および静電容量成分Cs[F]を利用できること、とりわけ、抵抗成分Rsと静電容量成分Csとの積である数値Rs・Csを利用できることを後述の実験結果から見出した。
【0040】
前記交流インピーダンスZは、現像スリーブ63Aの基体81に交流電圧を供給したときの電流の流れにくさを示すものであり、現像スリーブ63Aの抵抗成分Rs及び静電容量成分Csを用いて、以下の式(1)により表される。
【0042】
前記静電容量成分Csの利用可能性については、ローラー汚染が現像スリーブ63Aに対するトナーの鏡像力(付着性)に密接に関係していることに基づいて検証できる。前記鏡像力が小さくなると、トナーの付着力が低下するので、トナーが現像スリーブ63Aから離れ易くなる。このため、前記ローラー汚染は抑制され、耐汚染性が向上すると考えられる。一般に、前記鏡像力Fiは、補正係数をα、現像スリーブ63Aの比誘電率をε
r、真空の誘電率をε
0、トナーの帯電量をq、トナーの直径をDとすると、以下の式(2)により表される。
【0044】
式(2)から、現像スリーブ63Aの比誘電率ε
rが小さい場合、つまり、現像スリーブ63Aの媒質の誘電率εが小さい場合、前記鏡像力Fiは小さくなる。現像スリーブ63Aの静電容量Csは、ε・S/dで表されるため、誘電率εが小さいほどCsが小さくなることから、現像スリーブ63Aの静電容量Csが小さいほど前記鏡像力が小さくなり、前記ローラー汚染が軽減することが検証できる。
【0045】
以下、
図5及び
図6を参照して、前記数値Rs・Csの適正値について説明する。
図5は、現像スリーブ63Aについての比較例1〜3、及び実施例1〜17を示す表である。具体的には、各比較例及び各実施例それぞれについて、酸化チタンの含有量、樹脂コートの種類、樹脂コートの厚み、補強添加剤としてのアセチレンブラック(カーボンブラック)の有無、樹脂コート層83の表面粗さRaなどの各要素が異なる現像スリーブ63Aを用意し、各比較例及び各実施例それぞれについて、交流インピーダンスZ、抵抗成分Rs、静電容量成分Cs、前記数値Rs・Csを求めた。
【0046】
図6は、現像スリーブ63Aの交流インピーダンスZ、抵抗成分Rs、静電容量成分Csを測定するための実験装置90を示す図である。この実験装置90は、水平方向へ4mmの間隔を隔てて配置された直径18mmの2本のステンレス製のSUSローラー91,92を備える。SUSローラー91,92間には、アルミ製のフィルム電極93(水平方向長さ150mm)が懸架されている。フィルム電極93の上面にローラー面が密着するように、実験対象である現像スリーブ63A(比較例1〜3、実施例1〜17)が配置される。更に、その現像スリーブ63Aの上方に直径30mmのSUSローラー95が配置されている。SUSローラー95には、500gのウエイト96によって下方へ荷重がかけられており、その荷重がSUSローラー95を介して現像スリーブ63Aにかけられている。なお、現像スリーブ63Aを含め各ローラー体は回転されない状態で実験される。2本のSUSローラー91,92は、インピーダンス測定器97(日置電機株式会社製のLCRハイテスタ3522)の一方の電極に接続されており、現像スリーブ63Aの基体81は、インピーダンス測定器97の他方の電極に接続されており、この状態で、インピーダンス測定器97によるインピーダンス測定が行われる。当該実験において、インピーダンス測定器97の電極の両端には、電圧が5.0Vの交流電圧(正弦波)が印加される。そして、印加される交流電圧の周波数を変化させながら、現像スリーブ63Aの交流インピーダンスZ、抵抗成分Rs、及び静電容量成分Csを測定する。測定は複数回(2回〜16回)行われ、測定値の平均値が実験結果として
図5の表に示されている。なお、前記交流電圧の周波数が変わると交流インピーダンスZは変化するが、抵抗成分Rs及び静電容量成分Csは変わらない。
【0047】
更に、
図5に示される各例の現像スリーブ63Aを搭載した現像装置41を用いて印刷用紙に単色の画像形成を行った結果から、前記現像性、前記耐汚染性、及びハーフ再現性それぞれの評価を行い、その評価結果が
図5の表に示されている。ここで、前記現像性は、現像均一性について評価した。詳細には、25%印字率のハーフ濃度画像を画像形成したときの印刷物の画像を目視確認し、濃度ムラのない良好な場合を○(Good:良好)、濃度ムラが軽微な場合を△(Fair:中程度)、軽微でない濃度ムラが発生した場合を×(Poor:悪い)とした。前記耐汚染性については、単色で100%ベタ画像を画像形成したときの印刷物の画像を目視確認し、ほとんど汚染の影響が無い場合を○(Good:良好)、若干汚染の影響があるが画像に大きな影響が無い場合を△(Fair:中程度)、汚染の影響が画像にはっきり現れている場合を×(Poor:悪い)とした。また、低印字率(1ドットで6.25%)のハーフ濃度画像を画像形成したときの画像の再現性(ハーフ再現性)についても評価した。前記ハーフ再現性については、B/W比が4.2%のプリントパターンを用いてA4サイズの印刷用紙に10000枚連続印字した後に評価を行った。前記ハーフ再現性については、印刷物の画像を目視確認し、再現性が良好な場合を○(Good:良好)、再現性が悪い場合を×(Poor:悪い)とした。
【0048】
なお、前記現像性、前記耐汚染性、前記ハーフ再現性を評価するにあたり、以下の条件の下で画像形成を行った。具体的な条件は、プリント速度を30枚/分、感光体ドラム11の周速を180mm/秒、感光体ドラム11と現像スリーブ63Aとのギャップを0.12mm、現像バイアスとして印加する交流電圧の周波数を3.7kHz、トナー及びキャリアの重量比率を9%とした。
【0049】
図5に示される各比較例1〜3では、前記現像性及び前記耐汚染性の両方が良好にならず、前記ハーフ再現性については全ての比較例において悪い評価となった。一方、実施例1〜17では、前記現像性及び前記耐汚染性の両方が中程度又は良好であるという評価となり、前記ハーフ再現性についても良好な評価が得られた。
図5に示される表から明らかなように、前記数値Rs・Csが2.79×10
−7(
図5の実施例8参照)以上であり、6.77×10
−5(
図5の実施例17参照)以下の範囲内であれば、現像スリーブ63Aの前記現像性及び前記耐汚染性の両方が中程度又は良好であることが分かる。さらに、前記数値Rs・Csが2.79×10
−7以上であり、2.24×10
−5(
図5の実施例1参照)以下の範囲内であれば、現像スリーブ63Aの前記現像性、前記耐汚染性、及び前記ハーフ再現性のいずれもが良好となり、印字性能が良くなる。このことは、前記数値Rs・Csが前記現像性および前記耐汚染性の双方を客観的に評価できる指標として有効であることを意味する。また、前記ハーフ再現性を客観的に評価できる指標としても有効である。したがって、新たな指標として前記数値Rs・Csを用い、前記数値Rs・Csが前記範囲内となる現像スリーブ63Aを構成することにより、前記現像性および前記耐汚染性の両方に加えて前記ハーフ再現性が良好な現像ローラー63を実現することができる。
【0050】
この新たな指標となる前記数値Rs・Csは、交流電圧が印加された現像スリーブ63Aを抵抗とコンデンサーの等価回路としたときの時定数を表す。一般に、時定数が小さければ矩形波状の交流電圧の立ち上がり及び立ち下がりが早くなる。立ち下がり及び立ち上がりが早くなると、交流電圧の最大値が印加される時間が長くなる。これにより、感光体ドラム11と現像ローラー41との間で交流電界によるトナーの往復運動が活発になり、ハーフ濃度画像が形成されるときのように静電潜像との電位差が低い場合であっても、孤立した1dot画像を含むようなハーフ濃度画像の現像性が良好となる。特に、経年劣化などによってトナーの帯電性が低下した場合や、感光体ドラム11の帯電性が低下した場合は、前記時定数が大きいと、トナーが十分に往復運動しなくなり、ハーフ画像の現像性が悪化する。このため、本実施形態では、交流インピーダンスZにおける抵抗成分Rs及び静電容量成分Csを個々に評価するのではなく、それらの積である前記数値Rs・Csを指標とし、その上限値を前記実験により6.77×10
−5と定めることにより、トナー或いは感光体ドラム11の帯電性が悪化した場合でも、現像性及び耐汚染性が良好な現像スリーブ63を実現することができる。
【0051】
また、
図5に示される表から、前記数値Rs・Csが下限値2.79×10
−7から上限値6.77×10
−5の範囲内にある実施例1〜17のうち、表面粗さRaの最大値は0.279[μm](実施例8参照)であり、また、その最小値は0.057[μm](実施例4参照)である。このことから、現像スリーブ63Aの樹脂コート層83の表面粗さRaは、0.057[μm]〜0.279[μm]の範囲内であることが好ましいといえる。樹脂コート層83の表面粗さRaが小さすぎるとトナー離れが生じやすくなりトナーかぶりが発生し易くなる。他方、表面粗さRaが大きすぎるとトナーが離れにくくなり、前記ローラー汚染が生じることが懸念される。
図5に示される評価と前記数値Rs・Csとによれば、樹脂コート層83の表面粗さRaが0.057[μm]〜0.279[μm]の範囲内にあれば、良好な評価の現像スリーブ63Aを実現することができる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、磁気ブラシを用いて現像ローラー41の現像スリーブ63Aにトナー層を形成する構成について例示したが、このようなトナー形成方式に限られず、他のトナー形成方式であっても本発明は適用可能である。また、2成分現像剤を用いて現像する現像装置41を例示したが、トナーを主要成分とする1成分現像剤を用いて現像する現像装置及び現像ローラーにも本発明は適用可能である。
【0053】
また、上述の実施形態では、基体81にアルマイト層82が形成され、更に樹脂コート層83が形成された現像スリーブ63Aを例示したが、本発明は、基体81にアルマイト層82を形成せずに、直接に樹脂コート層83が形成された現像スリーブ63Aにも適用可能である。