特許第6016798号(P6016798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マリキャップ オーワイの特許一覧

<>
  • 特許6016798-管継手のスリーブ部品及び管継手 図000002
  • 特許6016798-管継手のスリーブ部品及び管継手 図000003
  • 特許6016798-管継手のスリーブ部品及び管継手 図000004
  • 特許6016798-管継手のスリーブ部品及び管継手 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016798
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】管継手のスリーブ部品及び管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/02 20060101AFI20161013BHJP
   F16L 21/00 20060101ALI20161013BHJP
   B29C 65/34 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   F16L47/02
   F16L21/00 E
   B29C65/34
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-537174(P2013-537174)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公表番号】特表2014-500445(P2014-500445A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】FI2011050909
(87)【国際公開番号】WO2012059631
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2014年10月14日
(31)【優先権主張番号】20106144
(32)【優先日】2010年11月1日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】508342644
【氏名又は名称】マリキャップ オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】スンドホルム,ゴラン
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−018470(JP,A)
【文献】 特開2010−210084(JP,A)
【文献】 特開2003−240180(JP,A)
【文献】 特開昭55−106924(JP,A)
【文献】 実開平04−111986(JP,U)
【文献】 特開2003−343788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/00
F16L 47/02
B29C 65/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管継手(1)のスリーブ部品(4)であって、そのスリーブ部品(4)はチャンバースペースを備え、前記スリーブ部品(4)がともに接続される管部品(2、3)の突合せ端部(5,6)の接続点から或る距離だけ延在するように、ともに接続される前記管部品(2、3)の対向する突合せ端部(5、6)は前記チャンバースペース内に互いに当接して位置付けられ、前記スリーブ部品(4)は前記スリーブ部品(4)と前記管部品(2、3)との間に接合部形成する加熱手段(7)と、前記スリーブ部品の壁を外部から内部まで、すなわち、ともに接続される前記管部品(2、3)の前記突合せ端部(5、6)の面の位置決めを確認することができる地点まで貫通して形成された検査開口(8)とを備える、スリーブ部品において、前記接合部の形成後に、前記管すなわち前記管部品(2、3)の壁を貫通して前記管すなわち前記管部品のフローチャネル内へ第二開口(11、12)を形成するために前記検査開口(8)は用いられること、及び、前記検査開口(8)は温度センサー又は圧力測定センサー等の測定センサーの目的に適合されており且つ前記管及び/又は前記管継手の内部検査のために用いられることを特徴とする、スリーブ部品。
【請求項2】
請求項1に記載のスリーブ部品であって、前記検査開口(8)は前記スリーブ部品(4)の中心エリアに配置されることを特徴とする、スリーブ部品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスリーブ部品であって、前記検査開口(8)は、前記スリーブ部品(4)において、第1の管部品(2)及び前記スリーブ部品(4)をその第1の管部品に接続するために用いられる前記加熱手段(7)と、第2の管部品(3)及び前記スリーブ部品(4)をその第2の管部品に接続するために用いられる前記加熱手段(7)との間に配置されることを特徴とする、スリーブ部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のスリーブ部品であって、突出部(10)が前記検査開口(8)の周囲に形成されることを特徴とする、スリーブ部品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のスリーブ部品であって、ねじ山手段(9)等の固定手段が前記検査開口(8)に設けられていることを特徴とする、スリーブ部品。
【請求項6】
第1の管部品(2)と、第2の管部品(3)と、請求項1から5のいずれか1項に記載のスリーブ部品(4)とを備える管継手。
【請求項7】
請求項6に記載の管継手であって、前記管部品(2、3)は廃棄物用空気圧式管運搬システムの搬送管であることを特徴とする、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、請求項1のプリアンブルにおいて規定されるような管継手のスリーブ部品であって、当該スリーブ部品はチャンバースペースを備え、スリーブ部品はともに接続される管部品の接続点から或る距離だけ双方の管部品の上に延在するように、ともに接続される管部品の対向する突合せ端部(butt ends)がチャンバースペース内に本質的に互いに当接して位置付けられ、このスリーブ部品は抵抗線等の加熱手段を備え、当該抵抗線を加熱する結果として、スリーブ部品と管部品との間に接合部が形成される、スリーブ部品である。
【0002】
本発明の対象はまた、請求項6のプリアンブルにおいて規定されるような管継手である。
【背景技術】
【0003】
管、より詳細にはプラスチック管を、端部を合わせて(end-on-end)ともに接続するために、ブシュ継手が一般的に用いられている。接続点はブシュ内すなわちスリーブ部品内に位置付けられ、そのため、ともに接続される管部品の端部がブシュの内側にある。したがってブシュは、接続点から管の長手方向の双方向に或る距離だけ延在しながら、接続点の周囲に存在する。ブシュ部品には熱抵抗体又はその同等物が設けられ、この場合、接合部を形成するときに電流が抵抗体に伝導され、その場合、抵抗体が熱くなり、スリーブ部品と管部品との間に接合部が形成される。記述したタイプの継手は、特に空気圧式廃棄物運搬システムの移送パイプの接合部に適用される場合に問題を有する。その問題とは、材料の運搬に弊害をもたらす間隙又は敷居(sill)が、接続される管部品間に残る可能性があることである。従来の解決策では、ブシュはともに接続される管部品が当接して位置付けられるべき相手面(countersurface)を含むことができるが、実際の設置状況では、管をブシュ内に位置付ける際に不満足な接合をもたらす設置エラーが残る可能性がある。上述したタイプの熱可塑性管継手は、例えば公報である特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記載されている。透明な部品がブシュ内に形成され、この透明な部品から管の端部を見ることができる解決策が、公報である特許文献4から既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2739829号
【特許文献2】米国特許第4530521号
【特許文献3】米国特許第4906313号
【特許文献4】特開第2003−343788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の解決策の問題を回避することができる管継手の完全に新しいタイプの解決策を達成することである。1つの重要な目標は、空気圧式廃棄物運搬システムの搬送パイプに適用可能である管継手の解決策を達成することである。更に別の目標は、簡易に設置可能な管継手の解決策を達成することであり、この管継手により、溶接前であっても接続点を点検することができ、この接続点に対して、測定装置を簡易かつ確実に、永久的又は一時的に接続することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、接合部の周囲に配置されたスリーブ状ブシュ部品に接続点の検査開口が配置されるという構想に基づく。
【0007】
本発明による管継手のスリーブ部品は、スリーブ部品には検査開口が、スリーブ部品の壁を外部から内部まで、すなわち、ともに接続される管部品の本質的に互いに当接して位置付けられた突合せ端部面の位置決めを確認することができる地点まで貫通して形成されることを主に特徴とする。
【0008】
本発明による管継手のスリーブ部品はまた、請求項2から5において述べられることを特徴とする。
【0009】
本発明による管継手は、請求項6において述べられることを特徴とする。
【0010】
本発明による管継手はまた、請求項7において述べられることを特徴とする。
【0011】
本発明による解決策は多数の重要な利点を有する。本発明によるスリーブ部品をブシュとして用いること及び上記スリーブ部品に配置された検査開口を用いることによって、管継手の、その形成に関する品質を点検するための非常に有効な解決策が達成される。さらに、この検査開口は、種々のセンサーの設置に必要な開口を形成する際の機械加工点として用いることができる。ねじ山等の固定点を、種々のセンサー又は測定装置の固定のための開口に関連して、簡便に配置することができる。スリーブ部品の開口から管部品の壁を貫通する開口が形成される場合、スリーブ部品の開口は、例えば管の内部目視検査のために更に用いることができる。さらに、スリーブ部品の開口には、スリーブ部品の開口の突出部のねじ山に適合された、相手ねじ山を含む栓を簡易に設けることができる。検査開口から管のチャネルスペース内に、管部品の壁を貫通する開口を更に形成することができる。この開口は、例えば内視鏡又はその同等物等の光学装置とともに、例えば管及び/又は管継手の内部検査に用いることができる。開口は例えば圧力又は温度を測定するために用いることができる。測定センサーを、開口に又は少なくとも開口と媒介接続して、設置することができる。測定センサー又は他の測定手段を、スリーブ内に、すなわちスリーブの開口の突出部の固定手段内に、適した相手部分によって固定することができる。
【0012】
以下では、添付の図面を参照しながら例を用いて、本発明をより詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による管継手の断面の一部を示す図である。
図2図1の方向Aから見た、図1の細部を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による管継手の断面の一部を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による管継手の断面の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は管継手の断面部分を示している。図1は管継手1の上部の断面を含んでいる。この継手において、2つの管部品2及び3が端部を合わせてともに接続されており、この場合、第1の管部品2の突合せ端部5が第2の管部品3の突合せ端部6に当接している。管部品2、3の突合せ端部セクションはブシュの内側、すなわちスリーブ部品4の内側に配置されている。スリーブ部品は、電流が伝導されると熱を帯びる熱抵抗線7等の抵抗手段7を備える。本質的に従来技術である接続点(図示せず)をスリーブ部品に配置することができ、当該接続点は熱抵抗線に接続され、またこの接続点には電流が接続される。抵抗線7の加熱の結果として、当該分野において本質的に既知である様式でスリーブ部品と管部品との間に接合部が形成される。これは、熱可塑性管の接合において本質的に従来技術である。本発明によれば、検査開口8がスリーブ部品に形成され、当該検査開口はスリーブ部品の壁を、スリーブ部品の外面から内面へと貫通して延在する。検査開口は本質的に、ともに接続される管部品2、3の対向する突合せ端部5、6が完成した接合部において対面する地点に配置される。図の実施形態では、突出部10が検査開口8の周囲に配置されている。1つの実施形態によれば、検査開口8から、当該開口から離れるように径方向かつスリーブ部品の主に円筒形の外面から外側に、突出部は或る距離だけ延在する。ねじ山セクション9等の固定手段が検査開口に関連して配置されている。ねじ山セクションは、開口の壁に配置されている雌ねじ山セクション、又は突出部に配置されている雄ねじ山セクションとすることができる。検査開口8には栓(図示せず)を設けることができる。栓は、相手ねじ山等の相手手段によって、ねじ山セクション9等の開口の固定手段に固定されることができる。
【0015】
検査開口8は、ともに接続される管部品2、3の正確な位置決めを確実にして良好な品質の接合部を形成するように、管継手の形成段階において最も有利に用いることができる。検査開口8から、管間の不所望な間隙若しくは不正確な位置決めが存在するか否か、又は管が互いに対して適切に当接していないかを容易に検知することができる。したがって、本発明によって、接合部を形成する前に、接続される管の位置の正確性を確認することができる。
【0016】
図2は、接合部の状態を図1の方向Aから、すなわちスリーブ部品4の検査開口8から見た場合を示している。図2はスリーブ部品4の1つの細部のみを示している。検査開口から管部品2、3の突合せ端部部分5、6が見えており、管部品2、3が所望の様式で互いに当接しているか否かが見える。
【0017】
図3によれば、管部品2、3の壁を貫通する開口11を、検査開口から管のチャネルスペース内に更に形成することができる。図3によれば、開口3は接合部を形成した後にのみ形成される。開口11は、例えば内視鏡又はその同等物等の光学装置を用いて、例えば管及び/又は管継手の内部検査のために用いることができる。
【0018】
図4は、本発明の実施形態による管継手1の断面を更に示している。管部品の周囲にあるスリーブ部品4の延在部がこの図から見て取れる。図面の実施形態では、スリーブ部品は、検査開口8に関連した突出部10を除けば、主に管状かつ主にリング状である。図4では、検査開口よりも直径が小さい開口12が、検査開口を介し、管部品の壁を貫通して管のチャネルスペース内に形成されている。この第2の開口12は例えば圧力又は温度を測定するために用いることができる。測定センサーを、開口12に又は少なくとも開口12と媒介接続して、配置することができる。測定センサー又は他の測定手段を、スリーブ4内に、すなわちスリーブの開口8の突出部10の固定手段9内に、適した相手部分によって固定することができる。
【0019】
本発明による管継手は、廃棄物用空気圧式管運搬システムの搬送パイプの接合部における使用に非常によく適している。管のサイズは幾分大きい直径、例えば通常200から500mmのものとすることができる。
【0020】
したがって、本発明の対象は、管継手1のスリーブ部品であって、スリーブ部品はチャンバースペースを備え、スリーブ部品4がともに接続される管部品2、3の接続点から或る距離だけ双方の管部品2、3の上に延在するように、ともに接続される管部品2、3の対向する突合せ端部5、6はチャンバースペース内に本質的に互いに当接して位置付けられ、スリーブ部品4は抵抗線等の加熱手段7を備え、抵抗線を加熱する結果として、スリーブ部品4と管部品2、3との間に接合部が形成される、スリーブ部品である。スリーブ部品4には、スリーブ部品の壁を外部から内部へ、すなわち、ともに接続される管部品2、3の本質的に互いに当接して位置付けられた突合せ端部面5、6の位置決めを確認することができる地点まで検査開口8が貫通して形成される。
【0021】
1つの実施形態によれば、検査開口8はスリーブ部品4の中心エリアに配置される。
【0022】
1つの実施形態によれば、検査開口8は、スリーブ部品4において、第1の管部品2及びスリーブ部品4を第1の管部品に接続するために用いられる加熱手段7と、第2の管部品3及びスリーブ部品4を第2の管部品に接続するために用いられる加熱手段7との間に配置される。
【0023】
1つの実施形態によれば、突出部10が検査開口8の周囲に配置される。
【0024】
1つの実施形態によれば、ねじ山手段9等の固定手段が検査開口8に関連して配置される。
【0025】
1つの実施形態によれば、検査開口8は温度センサー又は圧力測定センサー等の測定センサーの目的に適合される。
【0026】
1つの実施形態によれば、接合部の形成後に、開口11、12が管すなわち管部品2、3の壁を貫通して管のフローチャネル内に形成される際の開始地点として検査開口8は用いられる。
【0027】
本発明の対象はまた、第1の管部品2と、第2の管部品3と、請求項1から5のいずれか1項に記載のスリーブ部品4とを備える管継手である。
【0028】
1つの実施形態によれば、管部品2、3は廃棄物用空気圧式管運搬システムの搬送管である。
【0029】
本発明は、上記で示された実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲の範囲内で変更することができることは、当業者には明らかである。他の特徴とともに本明細書において示された可能性のある特徴は、必要であれば互いに別々に使用することもできる。
図1
図2
図3
図4