特許第6016805号(P6016805)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016805
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】泌尿器科医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/00 20060101AFI20161013BHJP
   A61F 2/848 20130101ALN20161013BHJP
【FI】
   A61L31/00 Z
   !A61F2/848
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-546260(P2013-546260)
(86)(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公表番号】特表2014-506165(P2014-506165A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】US2011065498
(87)【国際公開番号】WO2012087826
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/426,299
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】リー ジャンミン
【審査官】 金田 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−507306(JP,A)
【文献】 特表2007−525287(JP,A)
【文献】 特開2004−298294(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/020972(WO,A1)
【文献】 特表2010−522175(JP,A)
【文献】 特開2008−245747(JP,A)
【文献】 特表2005−524424(JP,A)
【文献】 特表2006−513791(JP,A)
【文献】 特表2000−509294(JP,A)
【文献】 特表2001−522385(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/009335(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01277484(EP,A1)
【文献】 特表2007−537005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L15/00−33/18
A61F 2/82− 2/97
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
泌尿器科医療デバイスであって、
基材と、
前記基材の上又はその中に且つ放出可能に配置されたヒアルロン酸と、
ヒアルロン酸を含む表面リザーバと、を含み、
被験者の泌尿器路に埋込まれると、微生物感染を低下させるのに有効な量で前記ヒアルロン酸を放出する、泌尿器科医療デバイス。
【請求項2】
微生物感染の低下は、少なくとも2週間にわたって持続する、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項3】
高分子量ヒアルロン酸を含む組成物を含む、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項4】
ヒアルロン酸を含む組成物を含み、この組成物は、高ピーク分子量に対応する第1のピーク分子量と、低ピーク分子量又は中間ピーク分子量に対応する第2のピーク分子量とを示すマルチモード分子量分布を有する、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項5】
ヒアルロン酸を含む組成物を含み、この組成物は、ヒアルロン酸の10〜30重量%が低分子量を有し、ヒアルロン酸の40〜70重量%が中間分子量を有し、ヒアルロン酸の20〜50重量%が高分子量を有する分子量分布を有する、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項6】
低分子量又は中間分子量のヒアルロン酸を含む第1の組成物と、高分子量のヒアルロン酸を含む第2の組成物と、を含む請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項7】
低分子量のヒアルロン酸を含む第1の組成物と、高分子量のヒアルロン酸を含む第2の組成物と、中間分子量のヒアルロン酸を含む第3の組成物とを含む、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項8】
ヒアルロン酸を含むコーティングを含む、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項9】
高分子量のヒアルロン酸を含む単一のコーティング層を含む、請求項8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項10】
ヒアルロン酸を含む単一のコーティング層を含み、単一のコーティング層は、ヒアルロン酸の10〜30重量%が低分子量を有し、ヒアルロン酸の40〜70重量%が中間分子量を有し、ヒアルロン酸の20〜50重量%が高分子量を有する分子量分布を有する、請求項8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項11】
低分子量又は中間分子量のヒアルロン酸を含む第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、高分子量のヒアルロン酸を含む第2のコーティング層の上に配置される、請求項8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項12】
低分子量ヒアルロン酸を含む第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、中間分子量のヒアルロン酸を含む第2のコーティング層の上に配置され、第2のコーティング層は、高分子量のヒアルロン酸を含む第3のコーティング層の上に配置される、請求項8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項13】
ヒアルロン酸と水を含むゲルの形態の組成物を含む、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項14】
前記表面リザーバは、孔及び溝から選択される、請求項に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項15】
ヒアルロン酸を含む内部リザーバを含む、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項16】
前記内部リザーバは、内部管腔の形態をなし、1つ又は2つ以上の開口を介して泌尿器科医療デバイスの外部へのアクセスを有する、請求項15に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項17】
尿管ステントである、請求項1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項18】
前記尿管ステントは、ヒアルロン酸を含む固体組成物で充填された内部リザーバを含む、請求項17に記載の泌尿器科医療デバイス。
【請求項19】
ヒアルロン酸は、ゲルの形態をなして泌尿器科医療デバイスの表面に設けられる、請求項17に記載の泌尿器科医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「泌尿器科医療デバイス」という名称の2010年12月22日出願の米国仮特許出願第61/426,299号の優先権を主張し、その内容全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、一般的には医療デバイスに関し、より具体的には、ヒアルロン酸を放出する泌尿器科医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
取りわけ、尿路「フォーリー」カテーテル、尿道ステント、及び尿管ステントのような泌尿器科医療デバイスは、様々な病状を処置するために有用である。しかし、このような医療デバイスの欠点は、尿路の医療デバイスの埋込み/挿入の結果として発生する感染の危険である。このような危険は、医療デバイスを消毒し、注意深くパッケージし、微生物又は病原体を防いても存在する。
【0004】
カテーテル及び他の留置泌尿器科デバイスが、尿路の中に埋込まれ又は挿入される時に、細菌又は他の微生物が拾い上げられ、微生物コロニー形成が起こる場合がある埋込み/挿入部位の中に運び込まれる可能性がある。感染は、微生物及びデバイス表面の相互作用から生じる場合がある。感染すると、微生物はデバイス表面に付着し、急速に多糖類のマトリックス又は生物膜に包み込まれる場合があり、マトリックス又は生物膜は、微生物をホストの防衛から保護する。感染はまた、微生物とホストの尿路の相互作用から生じる場合があり、それらは、尿路感染(UTI)をもたらす可能性がある。1つの仮説は、尿路の微生物感染が、前から存在するか又は手術関連異常の結果として発生する場合があり、これが微生物の定着を容易にするということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,282,785号明細書
【特許文献2】米国特許第5,569,198号明細書
【特許文献3】米国特許第5,458,568号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
感染の機構に関係なく、患者の身体の中にこのようなデバイスを埋込み又は挿入することによって引き起こされる感染を予防、低下、及び/又は処置することができる埋込み可能/挿入可能デバイスの開発の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の形態により、基材と基材上又は内に放出可能に配置されたヒアルロン酸とを含む泌尿器科医療デバイスを提供する。
【0008】
本発明の利点は、(a)尿路において局所微生物感染(例えば、ホスト組織及び/又はデバイス自体の微生物コロニー形成)を予防、低下、及び/又は排除するのに十分な量のヒアルロン酸を尿路の中に放出するデバイスを提供すること、及び(b)存在する場合に尿路の損傷部分(例えば、不完全な上皮膜)を含むこのようなデバイスに隣接しかつその下流にある尿路の一部を被覆するのに十分な量のヒアルロン酸を尿路の中に放出するデバイスを提供することのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。
【0009】
本発明のそれら及び他の形態、実施形態、並びに利点は、以下の「発明を実施するための形態」及びそれに続くいずれかの特許請求の範囲を精査すると当業者にはすぐ明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による尿管ステントの概略的な側面図である。
図2A】本発明の様々な実施形態による平面ii−iiに沿った尿管ステントの概略的な断面図である。
図2B】本発明の様々な実施形態による平面ii−iiに沿った尿管ステントの概略的な断面図である。
図2C】本発明の様々な実施形態による平面ii−iiに沿った尿管ステントの概略的な断面図である。
図2D】本発明の様々な実施形態による平面ii−iiに沿った尿管ステントの概略的な断面図である。
図3】本発明の実施形態による尿管ステントの概略的な部分断面図である。
図4A】本発明の実施形態による尿管ステントの概略的な端面図である。
図4B】平面A−Aに沿った図4Aのステントの概略的な部分断面図である。
図4C図4Bの領域Bに対応する図4Bの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のより完全な理解は、本発明の多数の形態及び実施形態の以下の詳細説明を参照して得られる。以下の本発明の詳細説明は、例示的であり本発明を制限するように考えられているものではない。
【0012】
本発明の医療デバイスは、腎臓(例えば、腎杯、腎盂など)、尿管、膀胱、及び尿道を含む被験者の尿路に設置するのに適するあらゆる医療デバイスを含む泌尿器科医療デバイスである。
【0013】
本発明の形態により、基材と基材内又は上に放出可能に配置されたヒアルロン酸とを含む泌尿器科医療デバイスを提供する。このような基材の例は、尿路(例えば、フォーリー)カテーテル及びその一部、尿管ステント及びその一部、尿道ステント及びその一部、尿管カテーテル及びその一部などを含む。
【0014】
様々な実施形態において、ホストの尿路にこのようなデバイスを埋込み又は挿入すると、医療デバイスは、(a)存在する場合に尿路の損傷部分(例えば、不完全な上皮膜)を含むこのようなデバイスに隣接しかつその下流にある尿路の少なくとも一部(例えば、尿道、膀胱及び尿道、尿管、膀胱及び尿道、腎臓、尿管、膀胱及び尿道)を被覆するのに十分な量、及び/又は(b)尿路の局所微生物感染(ヒアルロン酸放出がない場合にデバイスの埋込み/挿入に対して)を予防/低下及び/又は排除するのに有効な量のヒアルロン酸を放出する。
【0015】
理論に束縛されることは望まないが、尿路の中にヒアルロン酸を放出することにより、本発明の開示のデバイスは、デバイスに隣接しかつその下流にある尿路の一部を被覆するのに有効であり、それによって局所感染を低下又は排除するように微生物付着及び/又はコロニー形成を予防するための物理的障壁を形成すると考えられる。更に、尿路における微生物の存在の低下により、本発明の医療デバイス上に生物膜が形成される可能性を低下させ、それによって付着物形成を低下又は排除する。
【0016】
ある一定の実施形態において、ヒアルロン酸の存在は、ヒアルロン酸がない場合の同じ媒質に対して微生物感染(例えば、大腸菌及び黄色連鎖球菌のような細菌又は他の一般的な尿路微生物による)の低下を示す。臨床研究は、ヒアルロン酸の膀胱内注入が、少なくとも3ヶ月間尿路感染の再発の低下又は排除をもたらすことを明らかにしている。
【0017】
本発明のデバイスの対象(患者、ホストなどとも呼ぶ)は、椎骨動物の対象、特に人、並びにペット(例えば、犬、猫、その他)及び家畜(馬、牛、その他)を含む様々な温血動物を含む。
【0018】
上述のように、基材と基材内又は上に放出可能に配置されたヒアルロン酸とを含む泌尿器科医療デバイスを本明細書に説明する。
【0019】
基材の例は、ポリマー材料、セラミック材料、金属材料、及びその組合せから形成された基材を含む。
【0020】
ある一定の実施形態において、ポリマーは、好ましい基材材料である。医療デバイス基材を形成するためのポリマーは、取りわけ、以下の好ましい部材から選択することができる:ポリカルボン酸ポリマー及びポリアクリル酸を含むコポリマー、アセタールポリマー及びコポリマー、アクリレート及びメタクリレートポリマー、並びにコポリマー(例えば、n−ブチルメタクリレート)、セルロースポリマー及びコポリマー、ポリオキシメチレンポリマー及びコポリマー、ポリイミドポリマー及びポリエーテルブロックイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、及びポリエーテルイミドのようなコポリマー、ポリスルホンポリマー、並びにポリアリルスルホン及びポリエーテルスルホンを含むコポリマー、ポリアミドポリマー、並びにナイロン6,6、ナイロン12、ポリエーテル−ブロックコポリアミドポリマー(例えば、Pebax(登録商標)樹脂)、ポリカプロラクタム及びポリアクリルアミドを含むコポリマー、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリマー及びポリビニルアルコールを含むビニルモノマーのコポリマー、塩化ポリビニルのようなハロゲン化ポリビニル、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、塩化ポリビニリデン、ポリビニルメチルエーテルのようなポリビニルエーテル、ビニル芳香族ポリマー及びポリスチレンのようなコポリマー、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマーを含むビニル芳香族炭化水素コポリマー、スチレン−エチレン−ブチレンコポリマー(例えば、Kraton(登録商標)G系ポリマーとして入手可能なポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン(SEBS)コポリマー)、スチレン−イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー及びスチレン−イソブチレンコポリマー(例えば、SIBSのようなポリイソブチレン−ポリスチレンブロックコポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、及び酢酸ポリビニルのようなポリビニルエステル、ポリベンズイミダゾール、イオノマー、ポリアルキルオキシドポリマー及びポリエチレンオキシド(PEO)を含むコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリマーのような脂肪族ポリエステルを含むポリエステル、並びにラクチド(これは、乳酸、並びにd−、l−及びメソラクチドを含む)のコポリマー、イプシロン−カプロラクトン、クギコリド(グリコール酸を含む)、ヒドロキシブチレート、ヒドロキシバレラート、パラジオキサノン、トリメチレンカーボネート(及びそのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、及び6,6−ジメチル−1,4−ジオサン−2−オン(ポリ乳酸及びポリカプロラクトンのコポリマーは、1つの具体例である)のコポリマー、ポリエーテルポリマー及びポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリアリルエーテルを含むコポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリイソシアネート、ポリオレフィンポリマー、並びにポリプロピレン、ポリエチレン(低及び高密度、低及び高分子量)、ポリブチレン(ポリブト−1−エン及びポリイソブチレン)、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレーン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ−4−メチル−ペン−1−エン、エチレン−アルファ−オレフィンコポリマー、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー及びエチレン−酢酸ビニルコポリマーを含むコポリマー、フッ素化ポリマー、並びにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフロオロプロペン)(FEP)、修飾エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(FTFE)、及びフッ化ポリビニリデン(PVDF)を含むコポリマー、シリコーンポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、p−キシリレンポリマー、ポリイミノカーボネート、ポリエチレンオキシド−ポリ乳酸コポリマーのようなコポリ(エーテル−エステル)、ポリホスファジン、シュウ酸ポリルキレン、ポリオキサアミド及びポリオキサエステル(アミン及び/又はアミド基を含有するものを含む)、ポリオルソエステル、バイオポリマー、並びに以上の配合物及び更に別のコポリマー。
【0021】
組成物を放出するヒアルロン酸(医療デバイス基材上又は内に配置するための)は、例えば、液体形態、半液体形態(例えば、ゲル形態、その他)、又は固体形態で提供することができる。
【0022】
本明細書で使用するために組成物を放出するヒアルロン酸は、固体形態、例えば、層の形態(例えば、厚さが1μm〜100μm、及び基材上又は基材の一部を被覆する)、規則的及び不規則的粒子の形態(例えば、粉末、ビーズ、ペレット、及びタブレットを含む最大断面寸法が0.05μm〜0.1μm、〜0.5μm、〜1μm、〜5μm、〜10μm、〜50μmに及ぶもの)、ロッドの形態(例えば、長さが100μm〜250μm、〜500μm、〜1000μm、〜2500μm、〜5000μm、〜10000μm、幅が20μm〜50μm、〜100μm、及び円形、長円形、多角形などの断面から構成されるもの)などで提供することができる。
【0023】
組成物を放出する固体ヒアルロン酸は、実質的に純粋なヒアルロン酸(すなわち、少なくとも95重量%〜97重量%、〜99重量%、又はそれよりも多くのヒアルロン酸)を含む。
【0024】
組成物を放出する固体ヒアルロン酸は、1つ又はそれよりも多くの任意的な補助的薬剤(例えば、99.95重量%〜99.5重量%、〜99重量%、〜90重量%、〜75重量%、〜50重量%、〜25重量%、〜10重量%、〜5重量%、〜1重量%、〜0.5重量%、〜0.05重量%、又はそれ未満)と組み合わされたヒアルロン酸(例えば、0.05重量%〜0.5重量%、〜1重量%、〜2重量%、〜5重量%、〜10重量%、〜25重量%、〜50重量%、〜75重量%、〜90重量%、〜95重量%、〜99重量%、〜99.5重量%、又はそれよりも多く)を含む組成物を含む。
【0025】
本明細書で使用するために組成物を放出するヒアルロン酸はまた、液体又は半液体の形態、一般的に粘性の液体又はゲルの層の形態で提供することができる。このような液体又は半液体組成物は、一般的に層又はリザーバ充填材料として使用される。ヒアルロン酸及び液体成分(例えば、水、食塩水のような他の液体及び様々なバッファ、並びにそれらの組合せ)に加えて、このような液体及び半液体組成物はまた、1つ又はそれよりも多くの任意的な補助的薬剤を含むことができる。
【0026】
このような液体及び半液体組成物の非液体成分は、実質的に純粋なヒアルロン酸(すなわち、少なくとも95重量%〜97重量%、〜99重量%、又はそれよりも多くのヒアルロン酸)を含む。
【0027】
このような液体及び半液体組成物の非液体成分は、ヒアルロン酸(例えば、0.05重量%〜0.5重量%、〜1重量%、〜2重量%、〜5重量%、〜10重量%、〜25重量%、〜50重量%、〜75重量%、〜90重量%、〜95重量%、〜99重量%、〜99.5重量%、又はそれよりも多く)及び1つ又はそれよりも多くの任意的な補助的薬剤(例えば、99.95重量%〜99.5重量%、〜99重量%、〜90重量%、〜75重量%、〜50重量%、〜25重量%、〜10重量%、〜5重量%、〜1重量%、〜0.5重量%、〜0.05重量%、又はそれ未満)を含むことができる。
【0028】
このような液体又は半液体組成物の非液体ヒアルロン酸成分の濃度は、典型的には、0.01重量%〜0.02重量%、〜0.05重量%、〜1重量%、〜2重量%、〜5重量%、〜10重量%に及んでいる。
【0029】
任意的な補助的薬剤の例は、取りわけ、配合剤、治療剤、及び造影剤を含む。
【0030】
配合剤の例は、取りわけ、以下の好ましいメンバを含む:スクロース、デキストロースなどを含む糖、セルロース、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなイオン性セルロース、及び例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標)G及びKlucel(登録商標)E)のようなヒドロキシアルキルセルロースを含む多糖類、アルギン酸、ペクチン酸、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、修飾デキストラン、澱粉、カルボキシメチル澱粉を含む更に別の多糖類、及びポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドを含むポリアルキレンオキシド、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)及びポリ(ラクチド−コ−グリコリド)のようなポリエステル、ポリホスファジン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(メチレン−ビスアクリルアミド)、蛋白質及びポリペプチド(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジン、その他)、医療デバイス基材を形成するためのポリマーの上記リストからの好ましいポリマー、並びに以上の塩、コポリマー、及び配合物を含む付加的なポリマー。
【0031】
一部の実施形態において、溶解性又は生分解性配合剤が好ましい。
【0032】
治療剤の例は、例えば、取りわけ、コルチコステロイド、麻薬性及び非麻薬性鎮痛剤、局麻剤、抗生物質、抗炎症剤、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0033】
造影剤の例は、(a)取りわけ、金属、金属塩、及び酸化物(特にビスマス塩及び酸化物)、並びにヨード化合物を含むX線蛍光透視法に関連して使用するための造影剤、(b)無機及び有機エコー発生粒子(すなわち、反射超音波エネルギの増加をもたらす粒子)又は無機及び有機エコー輝度粒子(すなわち、反射超音波エネルギの減少をもたらす粒子)を含む超音波画像と共に使用するための造影剤、及び(c)ジエチレントリアミン五酢酸とキレートされたガドリニウムイオンのようなGd(III)、Mn(II)、Fe(III)及びそれを含有する化合物(キレートを含む)のような比較的大きな磁気モーメントを有する要素を含有する造影剤を含む磁気共鳴撮像(MRI)と共に使用するための造影剤を含む。
【0034】
一部の実施形態において、ヒアルロン酸放出組成物内のヒアルロン酸は、イオン又は共有結合架橋(例えば、ヒドロキシル基及びカルボキシル基から形成されたエステル結合のような生分解性結合により)とすることができる。一部の実施形態において、ヒアルロン酸放出組成物内のヒアルロン酸は、イオン結合架橋されることも共有結合架橋されることもない。一部の実施形態において、ヒアルロン酸の一部分は、更に中間放出するために架橋されず、ヒアルロン酸の一部分は、更に放出を遅らせるためにイオン又は共有結合架橋される。
【0035】
ヒアルロン酸は、公知のようにアニオン性の非スルホン化グリコサミングリカンである。本発明のデバイスに使用するヒアルロン酸は、例えば、5000Da〜10,000Da、〜25,000Da、〜50,000Da、〜100,000Da、〜250,000Da、〜500,000Da、〜750,000Da、〜1,000,000Da、〜1,250,000Da、〜1,500,000Da、〜2,000,000Da、〜2,500,000Da、〜5,000,000Da、〜7,500,000Da、〜10,000,000Da、〜15,000,000Da、〜20,000,000Daに及ぶ分子量範囲を有して分子量が広く変化する場合がある。
【0036】
特に指定しない限り、「平均分子量」は、重量平均分子量を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「高分子量」は、1,250,000Daよりも大きい分子量であり、「低分子量」は、250,000DA未満の分子量であり、「中間分子量」は、250,000Da〜1,250,000Daに及ぶ分子量である。
【0038】
所定の組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸の平均分子量が高分子量(上で定義した)に対応する時に、「高平均分子量」を有すると呼ばれる。所定の組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸が高分子量(上で定義した)に対応するピーク分子量を示す時に「高ピーク分子量」を示すと呼ばれる。本明細書で使用される場合、「高分子量ヒアルロン酸」は、高平均分子量を有するヒアルロン酸、モノモード分布及び高ピーク分子量を有するヒアルロン酸、及びヒアルロン酸分子の80重量%が高分子量を有するヒアルロン酸を含む。
【0039】
所定の組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸の平均分子量が低分子量(上で定義した)に対応する時に、「低平均分子量」を有すると呼ばれる。所定の組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸が低分子量(上で定義した)に対応するピーク分子量を示す時に「低ピーク分子量」を示すと呼ばれる。本明細書で使用される場合、「低分子量ヒアルロン酸」は、低平均分子量を有するヒアルロン酸、モノモード分布及び低ピーク分子量を有するヒアルロン酸、及びヒアルロン酸分子の80重量%が低分子量を有するヒアルロン酸を含む。
【0040】
所定の組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸の平均分子量が中間分子量(上で定義した)に対応する時に、「中間平均分子量」を有すると呼ばれる。所定の組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸が中間分子量(上で定義した)に対応するピーク分子量を示す時に「中間ピーク分子量」を示すと呼ばれる。本明細書で使用される場合、「中間分子量ヒアルロン酸」は、中間平均分子量を有するヒアルロン酸、モノモード分布及び中間ピーク分子量を有するヒアルロン酸、及びヒアルロン酸分子の80重量%が中間分子量を有するヒアルロン酸を含む。
【0041】
低分子量ヒアルロン酸は、存在する場合には、即時作用のためにより短期間の放出を行うことができ、中間分子量ヒアルロン酸は、存在する場合には、中間期間放出を行うことができ、高分子量ヒアルロン酸は、存在する場合には、延長作用のためにより長期間の放出を行うことができる。
【0042】
ある一定の実施形態において、単一タイプのヒアルロン酸放出組成物、例えば、単一タイプの液体、半液体、又は固体組成物(例えば、単一タイプの層、粒子、粘性液体、ゲル、その他)が、本発明のデバイスで使用される。
【0043】
単一タイプのヒアルロン酸放出組成物を使用する場合、組成物内のヒアルロン酸の平均分子量は、上記分子量範囲のいずれかに属することができる。一部の実施形態において、組成物のヒアルロン酸は、高平均分子量(上で定義した)、低平均分子量(上で定義した)、又は中間平均分子量(上で定義した)を有し、好ましくは、高平均分子量を有することができる。
【0044】
単一タイプのヒアルロン酸放出組成物を使用する場合、組成物内のヒアルロン酸は、上述の分子量範囲のいずれかに属するピーク分子量を有するモノモード分布を有することができる。一部の実施形態において、組成物内のヒアルロン酸は、高ピーク分子量(上で定義した)、低ピーク分子量(上で定義した)、又は中間ピーク分子量(上で定義した)、好ましくは、高ピーク分子量を有するモノモード分布を有することができる。
【0045】
単一タイプのヒアルロン酸放出組成物を使用する場合、組成物内のヒアルロン酸は、マルチモード分布を有することができる。例えば、組成物内のヒアルロン酸は、上述の分子量範囲のいずれかのうちの2つのピーク分子量を有する二重モード分布を有することができる。例えば、ヒアルロン酸は、高ピーク分子量に対応する第1のピーク分子量及び低ピーク分子量に対応する第2のピーク分子量を有することができ、又はヒアルロン酸は、高ピーク分子量に対応する第1のピーク分子量及び中間ピーク分子量に対応する第2のピーク分子量を有することができる。別の例として、組成物内のヒアルロン酸は、上述の分子量範囲のいずれかのうちの3つのピーク分子量を有する三重モード分布を有することができる。例えば、ヒアルロン酸は、高ピーク分子量に対応する第1のピーク分子量、低ピーク分子量に対応する第2のピーク分子量、及び中間ピーク分子量に対応する第3のピーク分子量を有することができる。
【0046】
単一タイプのヒアルロン酸放出組成物を使用する場合、ある一定の実施形態において、組成物内のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸の10〜30重量%が低分子量を有し、ヒアルロン酸の40〜70重量%が中間分子量を有し、ヒアルロン酸の20〜50重量%が高分子量を有するような分子量分布を有することができる。このような材料を形成するために、2つ又はそれよりも多くのバッチのヒアルロン酸をデバイス上/内に充填する前に配合することができる。
【0047】
ある一定の実施形態において、複数のタイプのヒアルロン酸放出組成物、例えば、複数のタイプの液体、半液体、又は固体組成物(例えば、複数のタイプの層、粒子、粘性の液体、ゲル、その他)が、本発明のデバイスに使用される。
【0048】
複数のタイプのヒアルロン酸放出組成物が使用される場合、一部の実施形態において、デバイスは、低分子量ヒアルロン酸(上で定義した)を含む第1の組成物及び高分子量ヒアルロン酸(上で定義した)を含む第2の組成物を含む。一部の実施形態において、デバイスは、高分子量ヒアルロン酸を含む第1の組成物及び中間分子量ヒアルロン酸(上で定義した)を含む第2の組成物を含む。一部の実施形態において、デバイスは、低分子量ヒアルロン酸を含む第1の組成物、中間分子量ヒアルロン酸を含む第2の組成物、及び高分子量ヒアルロン酸(上で定義した)を含む第3の組成物を含む。
【0049】
ある一定の実施形態において、本発明の医療デバイスは、ヒアルロン酸放出組成物の単層を含む。一定の他の実施形態において、医療デバイスは、互いに隣り合って配置され又は互いの上に配置されるかのいずれかで同じか又は異なるヒアルロン酸放出組成物の2つ、3つ、又はそれよりも多くのコーティング層を含むことができる。
【0050】
例えば、医療デバイスは、内側及び外側コーティング層を含むことができ、内側層は、高分子量ヒアルロン酸を含み、外側層は、低分子量ヒアルロン酸又は中間分子量ヒアルロン酸のいずれかを含む。別の例として、医療デバイスは、内側、中間、及び外側コーティング層を含むことができ、内側は、高分子量ヒアルロン酸を含み、中間層は、中間分子量ヒアルロン酸を含み、外側層は、低分子量ヒアルロン酸を含む。
【0051】
ある一定の実施形態において、ヒアルロン酸放出組成物は、非層形態、例えば、内部又は外部リザーバにおいて組成物を提供するのに適する形態(例えば、粘性の液体形態、ゲル形態、粒子形態、ロッド形態など)で提供することができる。それらの一部の実施形態において、このようなデバイスには、高分子量ヒアルロン酸を含む第1のヒアルロン酸放出組成物(例えば、第1の粘性の液体、ゲル、ロッド、粒子集団、その他)と、低分子量ヒアルロン酸又は中間分子量ヒアルロン酸のいずれかを含む第2のヒアルロン酸放出組成物(例えば、第2の粘性の液体、ゲル、ロッド、粒子集団、その他)とを含むことができる。一部の実施形態において、このようなデバイスには、高分子量ヒアルロン酸を含む第1のヒアルロン酸放出組成物と、中間分子量ヒアルロン酸を含む第2のヒアルロン酸放出組成物と、低分子量ヒアルロン酸を含む第3のヒアルロン酸放出組成物とを含むことができる。
【0052】
上述のように、一部の実施形態において、本発明の医療デバイスは、1つ又はそれよりも多くのリザーバを含む。1つ又はそれよりも多くのリザーバは、例えば、基材の表面に形成することができ、又はリザーバからデバイスの表面まで延びる1つ又はそれよりも多くの通路を有して医療デバイス内にあり、デバイスの内部からヒアルロン酸の溶出を可能にすることができる。
【0053】
基材面の表面に形成されたリザーバ(本明細書では「表面リザーバ」とも呼ばれる)の例は、取りわけ、溝、止まり穴、及び孔隙のような凹部を含む。表面リザーバは、広範な形状及びサイズで生成することができる。複数の表面リザーバは、殆ど無限の様々なアレイで提供することができる。止まり穴の例は、表面におけるそれらの横方向寸法が円形、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、その他)、並びに様々な他の規則的及び不規則的形状及びサイズの止まり穴であるものを含む。溝は、簡単な線形溝、波形溝、その方向が角度変化(例えば、ジグザグ溝)を受ける線形セグメントから形成された溝、様々な角度で交差する線形溝ネットワーク、並びに他の規則的及び不規則的溝構成を含む。表面リザーバは、あらゆる適切なサイズとすることができる。例えば、本発明の医療デバイスは、典型的には、その最小横方向寸法(例えば、幅)が500μm(マイクロメートル)未満であり、例えば、500マイクロメートル〜200マイクロメートル、〜10マイクロメートル、〜1マイクロメートル、又はそれ未満に及ぶ表面リザーバを格納する。
【0054】
他の実施形態において、医療デバイスは、リザーバからデバイスの表面まで延びる1つ又はそれよりも多くの通路を有する医療デバイス内にある1つ又はそれよりも多くの内部リザーバを含む。
【0055】
例えば、医療デバイスは、デバイスの外部へのアクセスを有する(例えば、1つ又はそれよりも多くの孔隙、孔、スロット、その他を通じて)内部管腔(これは、ドレイン内腔のような1つ又はそれよりも多くの他の内腔に加えて、作業チャンネルなどとすることができる)を有する基材を含むことができる。プラグを有する1つ又はそれよりも多くのより大きな孔も、例えば、1つ又はそれよりも多くのタイプのヒアルロン酸放出組成物(例えば、液体、ゲル、粒子、ロッド、その他)でデバイスを充填するために設けることができる。このような内部管腔は、部分的に又は全体的にデバイスを通って延びることができる。内腔が全体的にデバイスを通って延びる場合、プラグは、各端部に設けることができる。
【0056】
上述のように、本発明の医療デバイスは、腎臓(例えば、腎杯、腎盂など)、尿管、膀胱、及び尿道を含む被験者の尿路に設置するのに適するあらゆる医療デバイスを含む泌尿器科医療デバイスである。それらは、形状が円形、長円形、三角形、及び矩形である全断面、取りわけ、多くの規則的及び不規則的な全断面のものを含む様々な中実及び中空断面(例えば、単一腔、多腔、ロッド形デバイス)のいずれかを有する細長いデバイスを含む細長いデバイスを含む。具体的な例は、泌尿器ステント、例えば、取りわけ、尿道及び尿管ステント、泌尿器カテーテル(例えば、ドレインカテーテル、ガイドカテーテル、その他)、ガイドワイヤ、泌尿器鏡(例えば、膀胱鏡、尿管鏡、腎鏡、その他)、組織工学骨格構造、グラフト及びパッチを含む。
【0057】
一部の実施形態において、例えば、ガイドワイヤの取り外し又はチャンネルからの出現(例えば、材料の弾性反発による)の直後、又は熱又は光のような外部刺激の適用時に特定の有益なインビボ形状を取るデバイスを使用することができる。例えば、デバイスは、コイル状構成のような非線形形態を取ることができる。このような構成は、医療デバイスを尿路の所定位置に、例えば、腎臓(例えば、腎杯及び/又は腎盂の)、膀胱、又はその両方にコイル又は他の保持要素を形成することによって保持することを可能にする。他の実施形態において、デバイスは、膨張してデバイスを所定位置に保持することができるバルーン要素を含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態をここで尿管ステントに関して以下に説明するが、本発明は、そのように限定されるものではないことを理解すべきである。
【0059】
本発明の実施形態による尿管ステントの概略図を図1に示す。ステント100は、管状ポリマー押出物であり、腎臓コイル112と、シャフト114と、膀胱コイル116を含んでいる。管状ポリマー押出物を形成するためのポリマー材料は、取りわけ、ポリウレタン及びポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(EVA)を含む。EVAコポリマーの中には、約0.5%〜1%、〜2%、〜5%、〜15%、〜20%、〜30%、〜40%、又はそれよりも大きい酢酸ビニル重量パーセント比を有するランダム及び他のコポリマーが含まれる。一般的に、酢酸ビニル含有量が高くなるほど、EVAの剛性及び「デュロメーター」は低くなる。異なる「デュロメーター」値の別の末端領域を有する管状ポリマー押出物を生成し、末端領域とその他の部分の間に遷移領域を設けてもよい。
【0060】
ステント100には、以下のものが更に設けられる:(a)挿入を補助するテーパ付き先端部111、(b)ドレインを容易にするために本体の長さにわたって螺旋パターンで配置された複数のサイドポート118(そのうちの1つに参照番号が付されている)、及び当業技術で公知のようにステントの位置決め及び引き戻しを補助するナイロン縫合糸122。設置中に、このような尿管ステント100は、膀胱鏡を通して泌尿器ガイドワイヤの上に設けられ、位置決め器によって所定位置に進められる。ステントの近位端が腎臓/腎杯の中に進められると、ガイドワイヤは取り外され、コイル112、116が腎臓及び膀胱に形成されることを可能にする。
【0061】
図1の平面ii−iiに沿って取った3つの異なる断面は、図2A図2Cに示されている。
【0062】
図2Aに示す一実施形態により、尿管ステント100は、ヒアルロン酸放出組成物の単層115で被覆した管状ポリマー押出物117を含む。例えば、一実施形態において、層115は、高分子量ヒアルロン酸を含む。別の実施形態では、層115は、高ピーク分子量及び低及び/又は中間ピーク分子量を示すマルチモード分布のヒアルロン酸を含むことができる。別の実施形態では、層115は、尿管ステントの長さに沿って組成物が異なり、例えば、層115は、2つのコイルの間に段階的又は漸次的遷移を伴って、腎臓コイル112において高分子量ヒアルロン酸及び膀胱コイル116において低又は中間分子量ヒアルロン酸を含むことができる。一部の実施形態において、層115は、2つのコイルの間に段階的又は漸次的遷移を伴って、腎臓コイル112において高分子量ヒアルロン酸、シャフトの中心に中間分子量ヒアルロン酸、及び膀胱コイル116において低分子量ヒアルロン酸を含むことができる。
【0063】
図2Bに示す別の実施形態により、尿管ステント100は、第1のヒアルロン酸放出組成物の内側層115a及び第1の組成物と異なる第2のヒアルロン酸放出組成物の外側層115bで被覆した管状ポリマー押出物117を含む。例えば、一実施形態において、内側層115aは、高分子量ヒアルロン酸を含むことができ、外側層115aは、低又は中間分子量ヒアルロン酸のいずれかを含むことができる。
【0064】
図2Cに示す別の実施形態により、尿管ステント100は、表面リザーバ(4つが示されている)、例えば、ヒアルロン酸放出組成物113で充填された溝又は止まり穴を有する管状ポリマー押出物117を含む。例えば、一実施形態において、組成物113は、高分子量ヒアルロン酸(上で定義した)を含むことができる。別の実施形態では、組成物113は、高ピーク分子量及び低及び/又は中間ピーク分子量(上で定義した)を示すマルチモード分布のヒアルロン酸を含むことができる。別の実施形態では、組成物113は、尿管ステントの長さに沿って組成物が異なり、例えば、組成物113は、2つのコイルの間に段階的又は漸次的遷移を伴って、腎臓コイル112において高分子量ヒアルロン酸及び膀胱コイル116において低又は中間分子量ヒアルロン酸を含むことができる。一部の実施形態において、組成物113は、2つのコイルの間に段階的又は漸次的遷移を伴って、腎臓コイル112において高分子量ヒアルロン酸、シャフトの中心に中間分子量ヒアルロン酸、及び膀胱コイル116において低分子量ヒアルロン酸を含むことができる。
【0065】
図2Dに示す更に別の実施形態により、尿管ステント100は、表面リザーバ(4つが示されている)、例えば、第1のヒアルロン酸放出組成物113a及び第1の組成物113aと異なる第2のヒアルロン酸放出組成物113bで充填された溝又は止まり穴を有する管状ポリマー押出物117を含む。例えば、一実施形態において、第1のヒアルロン酸放出組成物113aは、高分子量ヒアルロン酸を含むことができ、第2のヒアルロン酸放出組成物113bは、低分子量ヒアルロン酸を含むことができる。
【0066】
本発明の別の実施形態は、図3に概略的に示されており、これは、本発明の実施形態による尿管ステント100の部分断面図である。図1のように、図3は、腎臓コイル112と、ステント100の膀胱コイル(図示せず)の方向に延びるシャフト114の一部分とを示している。シャフト114は、ドレインを容易にするドレインポート118を有するドレイン内腔122と、ヒアルロン酸送出を容易にする送出ポート119を有するヒアルロン酸送出内腔124とを含む二重内腔設計である。ヒアルロン酸送出内腔124内に、固体円筒形のヒアルロン酸放出組成物126(すなわち、ロッド)が配置される。図示の目的のために、ヒアルロン酸放出組成物126の断面は、図示のように、シャフト112に対して取った断面よりも更に近位(膀胱端)の位置に取っている。ヒアルロン酸放出組成物126は、ステント110の両端から送出内腔124の中に導入することができる。
【0067】
ここで図4Aに移ると、本発明の実施形態による尿管ステント100の概略端面図が示されている。図4Bは、平面A−Aに沿って取った図4Aのステント100の部分断面図である。図4Cは、図4Bの領域Bに対応する拡大図である。図4A図4Cは、腎臓コイル112と、ステント100の膀胱コイル(図示せず)の方向に延びるシャフト114の一部分とを示している。シャフト114は、尿ドレインを容易にするドレインポート118を有するドレイン内腔122と、ヒアルロン酸送出を容易にするヒアルロン酸送出ポート119を有する送出内腔124とを含む二重内腔設計である。シャフト114は、ポリマー(例えば、EVA、ポリウレタン、その他)を含むことができる。シャフト114の送出内腔124は、多孔質材料120で裏打ちされる。具体的な例では、多孔質材料は、特許文献1(Shapland他に付与された米国特許第5,282,785号明細書)、特許文献2(Racchiniに付与された米国特許第5,569,198号明細書)、又は特許文献3(Racchini他に付与された米国特許第5,458,568号明細書)に説明するような多孔質材料とすることができる。シャフト114の送出内腔124には、ヒアルロン酸含有組成物132の液体溶液又は分散剤が送出内腔124の中に導入され、少なくとも部分的に多孔質材料120の層によって吸収されることを可能にする取外し可能プラグ128(又は隔壁)が設けられる。患者の身体の中にステント100が導入される時に、ドレイン内腔122(ドレインポート118を有する)は、尿管を通して尿の排出を容易にするように機能するのに対して、送出内腔124(ヒアルロン酸送出ポート119を有する)は、ヒアルロン酸送出を容易にするように機能する。例えば、尿は、送出ポート119を通じて送出内腔124に入ることができ、その尿は、ヒアルロン酸を取り上げ、次に、送出ポート119を通じて送出内腔124から患者に輸送される。
【0068】
上述の実施形態は、多孔質材料120に関連付けられた組成物132を含有する液体ヒアルロン酸を説明したが、他の実施形態において、ヒアルロン酸含有組成物132は、粘性の液体、ゲル、又は固体(例えば、ロッド、粒子、その他)の形態である場合があり、その場合には、多孔質材料120は、省略することができる。
【0069】
上記に関連する本発明の様々な形態を以下の段落に列挙する。
【0070】
〔形態1〕 泌尿器科医療デバイスであって、基材と、基材の上又はその中に且つ放出可能に配置されたヒアルロン酸と、を含み、被験者の泌尿器路に埋込まれると、微生物感染を低下させるのに有効な量でヒアルロン酸を放出する、泌尿器科医療デバイス。
【0071】
〔形態2〕微生物感染の低下は、少なくとも2週間にわたって持続する、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0072】
〔形態3〕高分子量ヒアルロン酸を含む組成物を含む、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0073】
〔形態4〕ヒアルロン酸を含む組成物を含み、この組成物は、高ピーク分子量に対応する第1のピーク分子量と、低ピーク分子量又は中間ピーク分子量に対応する第2のピーク分子量とを示すマルチモード分子量分布を有する、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0074】
〔形態5〕ヒアルロン酸を含む組成物を含み、この組成物は、ヒアルロン酸の10〜30重量%が低分子量を有し、ヒアルロン酸の40〜70重量%が中間分子量を有し、ヒアルロン酸の20〜50重量%が高分子量を有する分子量分布を有する、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0075】
〔形態6〕低分子量又は中間分子量のヒアルロン酸を含む第1の組成物と、高分子量のヒアルロン酸を含む第2の組成物と、を含む形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0076】
〔形態7〕低分子量のヒアルロン酸を含む第1の組成物と、高分子量のヒアルロン酸を含む第2の組成物と、中間分子量のヒアルロン酸を含む第3の組成物とを含む、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0077】
〔形態8〕ヒアルロン酸を含むコーティングを含む、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0078】
〔形態9〕高分子量のヒアルロン酸を含む単一のコーティング層を含む、形態8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0079】
〔形態10〕ヒアルロン酸を含む単一のコーティング層を含み、単一のコーティング層は、ヒアルロン酸の10〜30重量%が低分子量を有し、ヒアルロン酸の40〜70重量%が中間分子量を有し、ヒアルロン酸の20〜50重量%が高分子量を有する分子量分布を有する、形態8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0080】
〔形態11〕低分子量又は中間分子量のヒアルロン酸を含む第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、高分子量のヒアルロン酸を含む第2のコーティング層の上に配置される、形態8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0081】
〔形態12〕低分子量ヒアルロン酸を含む第1のコーティング層を含み、第1のコーティング層は、中間分子量のヒアルロン酸を含む第2のコーティング層の上に配置され、第2のコーティング層は、高分子量のヒアルロン酸を含む第3のコーティング層の上に配置される、形態8に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0082】
〔形態13〕ヒアルロン酸と水を含むゲルの形態の組成物を含む、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0083】
〔形態14〕ヒアルロン酸を含む表面リザーバを含む、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0084】
〔形態15〕前記表面リザーバは、孔及び溝から選択される、形態14に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0085】
〔形態16〕ヒアルロン酸を含む内部リザーバを含む、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0086】
〔形態17〕内部リザーバは、内部管腔の形態をなし、1つ又は2つ以上の開口を介して泌尿器科医療デバイスの外部へのアクセスを有する、形態16に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0087】
〔形態18〕尿管ステントである、形態1に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0088】
〔形態19〕尿管ステントは、ヒアルロン酸を含む固体組成物で充填された内部リザーバを含む、形態18に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0089】
〔形態20〕ヒアルロン酸は、ゲルの形態をなして泌尿器科医療デバイスの表面に設けられる、形態18に記載の泌尿器科医療デバイス。
【0090】
様々な実施形態を具体的に本明細書に図示して説明したが、本発明の修正及び変形は、本発明の精神及び意図する範囲から逸脱することなく、上記教示によって網羅され、かついずれの添付の特許請求の範囲内にもあることは認められるであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C