【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの構成に従うと、製造品にマーク付けする方法が提供され、その方法は、
製造品のサプライ・チェーンの1つのポイントへ非アクティブ状態の暗号鍵を提供するステップと、
アクティブ状態の暗号鍵と、非アクティブ状態の暗号鍵をアクティブにしてアクティブ状態の暗号鍵を形成するためのアクティベーション・コードとを、検証センタへ提供するステップと、
受信した暗号鍵(received cryptographic key、受信暗号鍵)と関連する情報をサプライ・チェーンのポイントが送信するステップに応答して、アクティベーション・コードをサプライ・チェーンのポイントへ提供するステップであって、アクティベーション・コードは、サプライ・チェーンのポイントにおいて非アクティブ状態の暗号鍵をアクティブにして、アクティブ状態の暗号鍵を形成することを可能とする、ステップと、
サプライ・チェーンのポイントにおいて、それぞれの製造品に対するアイデンティフィケーション(ID)・コードを生成するステップであって、IDコードは、アクティブ状態の暗号鍵と、製造品の各バッチ(batch、まとまり)に対して生成される動的鍵(dynamic key、ダイナミック・キー)とから導出される、ステップと、
製造品の各バッチに対する動的鍵を検証センタへ提供するステップと、
IDコードでそれぞれの製造品にマーク付けするステップと、
製造品にマーク付けされたIDコードの数をカウントするステップと
を備える。
【0006】
本発明は、製造品にマーク付けするための改善された方法を提供する。この方法は、(課税の対象となる製造品に対しての)税の検証と、生産量の検証と、製造品の認証とに使用することができる。1つのIDコードがそれぞれの製造品にマーク付けされ、それにより、それぞれの製造品は一意に識別できる。製造品にマーク付けされたIDコードの数をカウントする(数える)ことにより、排除または除去された製造品が識別されないことを保証する。換言すると、マーク付けされた製造品の正確なまたは実際の数がカウントされる。
【0007】
製造品は、任意の製造品とすることができ、タバコのパックやカートンのようなタバコ製品や、高いブランド価値を持つ他の物品や課税の対象となる他の物品などを含む。サプライ・チェーンにおけるポイントは、製造品のサプライ・チェーン内の任意の位置、場所、所、または所在地などを含む。例えば、サプライ・チェーンのポイントは、サプライ・チェーンにおける輸入ポイント、流通ポイント、購買者、卸売業者、または任意の他のリンクを含む。しかし、最も好適には、サプライ・チェーンのポイントは、生産センタまたは製造品の生産ラインである。
【0008】
それぞれの製造品にマーク付けするステップは、それぞれの物品へIDコードを印刷またはマーク付けすることが可能なインク・ジェット・プリント(印刷)、ホログラム・プリント、レーザ・プリント、または他の任意のプリント若しくはマーク付け(マーキング)を含むことができる。それぞれの製造品にマーク付けするステップは、それぞれの物品へプリントまたはマーク付けすること、外部パッケージへプリントまたはマーク付けすること、添付されるラベルまたはタグへプリントまたはマーク付けすること、または他の任意の適切なプリントまたはマーク付けを行うことを含む。サプライ・チェーンのポイントは、製造品にマーク付けされたIDコードを検出するためのセンサを備えることができる。センサは、それぞれのIDコードが製造品へ適切にマーク付けされていることを確認することができる。センサは、製造品へ適切にマーク付けされたIDコードの数のみをカウントすることができる。
【0009】
1つの実施形態では、暗号鍵は、サプライ・チェーンのポイントと分離されている鍵生成器において生成される。
【0010】
暗号鍵は、単なる任意の情報(例えば、数)であり、この情報を他のパラメータと組み合わせて用いて、コードを形成することができる。アクティブ状態の暗号鍵は、好適には、暗号化されていない状態の暗号鍵である。非アクティブ状態の暗号鍵は、好適には、暗号化された状態の暗号鍵である。従って、アクティベーション・コードは、好適には、暗号化された鍵を暗号化されていない鍵へと変換する復号化機構である。暗号鍵は、複数の秘密コードを含む多数の部分を含むことができる。
【0011】
サプライ・チェーンの1つのポイントへ非アクティブ状態の暗号鍵を提供するステップは、不揮発性データ・サポート(support)を用いて、非アクティブ状態の暗号鍵を、鍵生成器からサプライ・チェーンのポイントへ送るステップを含むことができる。不揮発性データ・サポートは、不揮発性コンピュータ・メモリを含むデータ・サポートであり、換言すると、電力の供給が無いときでも記憶した情報を保持できるコンピュータ・メモリである。その例は、CD−ROM、DVD−ROM、取り外し可能ハード・ディスクなどを含むが、これらには限定されない。代替例として、サプライ・チェーンの1つのポイントへ非アクティブ状態の暗号鍵を提供するステップは、セキュアなネットワーク接続を介して非アクティブ状態の暗号鍵を提供するステップを含むことができる。
【0012】
鍵生成器は、好適には、検証センタの一部を形成する。その場合、アクティブ状態の暗号鍵とアクティベーション・コードとを検証センタへ提供するステップは、暗号鍵とアクティベーション・コードとを、検証センタによるアクセスが可能なデータベースへ記憶するステップを含むことができる。暗号鍵やアクティベーション・コードを転送する必要はない。
【0013】
アクティベーション・コードをサプライ・チェーンのポイントへ提供するステップは、好適には、検証センタからサプライ・チェーンのポイントへアクティベーション・コードを送るステップを含む。
【0014】
受信した暗号鍵と関連する情報をサプライ・チェーンのポイントが送信するステップは、好適には、サプライ・チェーンのポイントから検証センタへ、受信した暗号鍵と関連する情報を送るステップを含む。
【0015】
好適には、受信した暗号鍵と関連する情報をサプライ・チェーンのポイントが送信することに応答して、アクティベーション・コードをサプライ・チェーンのポイントへ提供するステップは、サプライ・チェーンのポイントを登録することを含む。好適には、受信した暗号鍵とアクティベーション・コードとに関連する情報は、非対称鍵ペア交換(asymmetric key pair exchange)により送信される。その場合、暗号鍵は、デジタル暗号証明書(digital cryptographic certificate)を含むことができ、非対称鍵ペアは、デジタル暗号証明書と関連する公開鍵および秘密鍵を含むことができる。サプライ・チェーンのポイントは、非対称鍵ペアの公開鍵を用いて暗号化された受信した暗号鍵と関連する情報を提供することができる。これにより、受信者、例えば、検証センタは、非対称鍵ペアの秘密鍵を用いて、受信した暗号鍵と関連する情報を復号化することが可能となる。受信した暗号鍵と関連する情報は、サプライ・チェーンのポイント、例えば、生産センタを識別する情報と共に送ることができる。また、その情報も、非対称鍵ペアの公開鍵を用いて暗号化することができる。従って、特定の鍵が、特定の生産センタまたはサプライ・チェーンの他のポイントとリンクされる。サプライ・チェーンのポイントは、例えば、検証センタから、非対称鍵ペアの公開鍵により暗号化されたアクティベーション・コードを受信することができる。これにより、サプライ・チェーンのポイントは、非対称鍵ペアの秘密鍵を用いてアクティベーション・コードを復号化することが可能となる。
【0016】
暗号鍵と関連する情報は、好適には、検証センタによるアクセスが可能なデータベースに記憶される。好適には、暗号鍵と関連する情報は、その鍵と関連するサプライ・チェーンのポイントを識別する情報と共に記憶される。好適には、サプライ・チェーンのポイントを識別する情報は、暗号鍵と共に記憶される。
【0017】
製造品の各バッチに対する動的鍵を検証センタへ提供するステップは、サプライ・チェーンのポイントから検証センタへ動的鍵を送るステップを含むことができる。動的鍵は、セキュアなネットワーク接続を介して送ることができる。好適には、製造品の各バッチに対する動的鍵は、製造品のバッチについての情報と共に送られる。動的鍵は、好適には、検証センタによるアクセスが可能なデータベースに記憶される。好適には、それぞれの動的鍵は、関連する製造品のバッチについての情報と共に記憶される。
【0018】
動的鍵は、単なる任意の情報(例えば、数)であり、他のパラメータと組み合わせて用いて、コードを形成することができる。1つの実施形態では、動的鍵は、物品の特定のバッチに対して定められる秘密コードである。任意の数の機構を用いて、それぞれの製造品に対するIDコードを、アクティブ状態の暗号鍵および動的鍵から導出することができる。1つの実施形態では、動的鍵と暗号鍵とが組み合わされて擬似ランダム雑音コードが形成され、これを、IDコードに対するデジタル署名として使用することができる。雑音コードは、更に、IDコード自体から導出することもできる。
【0019】
好適な実施形態において、生成されたIDコードは記憶されない。これにより、偽造者が有効なIDコードを入手する可能性を低減する。
【0020】
この方法は、税の検証に使用することができ、方法は更に、
製造品にマーク付けしたIDコードの数を政府当局へ報告するステップと、
検証センタにより、製造品にマーク付けされたIDコードを、その製造品に特有の情報へ結びつける(関係付けする)情報を記憶するステップと
を含み、それにより、実際の数の製造品に対しての支払い済みの税金や支払い義務のある税金を検証できる。
【0021】
従って、製造品にマーク付けされたコードのカウント(計数)は、税金の検証や収集の目的に使用できる。換言すると、マーク付けされた製造品の正確なまたは実際のカウントを、税金の検証や収集の目的に使用できる。これにより、政府当局の完全に電子的な手段は、正しい額の税金が支払われているか否かを評価できる。当然であるが、報告は、対象となる何れの第三者に対してのものとすることもできるが、税の検証に関しての第三者は、通常、政府当局を含む。報告されたIDコードの数に基づいた見込みの税金の徴収と、例えば、受領した実際の税金に基づいた実際に支払われた税金とを比較して、一致させることができる。検証センタは、製造品の製造者から独立している信頼のおける関係者により管理することができる。例えば、検証センタは、政府当局により管理することができる。そうした場合、税の検証に関して特に好都合である。
【0022】
報告は、出荷毎に、および物品税倉庫(excise warehouse)毎に行うことができ、支払われた税金または支払い義務のある税金を、出荷毎および物品税倉庫毎に検証または計算できるようにする。こうすることにより利点が生じる。なぜなら、多くの管轄区では、物品税倉庫からの製品の出荷が、税金の支払いのきっかけとなるからである。報告は、出荷毎のみに行うこともできる。報告は、物品税倉庫毎のみに行うこともできる。報告は、任意の望ましい単位ごとに行うこともできる。この方法は、更に、出荷毎および物品税倉庫毎に、支払い義務のある税金を自動的に計算するステップを含むことができる。この方法は、更に、出荷毎および物品税倉庫毎に、支払い義務のある税金を自動的に徴収するステップを含むことができる。この方法は、出荷毎および物品税倉庫毎に、支払い義務のある税金の支払いを監視するステップを含むことができる。
【0023】
この方法は税の検証に使用することができ、方法は、更に、それぞれの製造品に対するIDコードを生成するステップの前に、政府当局により、サプライ・チェーンのポイントが規定数のIDコードを生成することを認可(許可)するステップを備えることができる。
【0024】
認可(authorization、認可証書)は、政府当局からサプライ・チェーンのポイントへ送信することができる。代替例として、認可は、政府当局から、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータル(manufacturing portal)へ送信することもできる。認可は、政府当局からセキュアな通信チャンネルを介して送信することができる。セキュアな通信チャンネルは、政府当局と、サプライ・チェーンのポイントまたは製造ポータルとの間の通信に専用のものとすることができる。
【0025】
好適には、規定数のIDコードは、製造品のバッチと対応する。好適には、認可は、共通税(common tax)の制約を有する規定数の製造品と対応する。
【0026】
この方法は、更に、政府当局により、サプライ・チェーンのポイントが規定数のIDコードを生成することを認可するステップの前に、政府当局からの認可を要求するステップを含むことができる。
【0027】
その要求は、サプライ・チェーンのポイントから政府当局へ送信することができる。代替例として、その要求は、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータルから政府当局へ送信することもできる。好適には、要求は、セキュアな通信チャンネルを介して送信される。セキュアな通信チャンネルは、政府当局と、サプライ・チェーンのポイントまたは製造ポータルとの間の通信に専用のものとすることができる。
【0028】
この方法は、更に、製造品にマーク付けされたIDコードの数を政府当局へ報告するステップを含むことができる。
【0029】
その報告は、サプライ・チェーンのポイントにより行うことができる。代替例として、報告は、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータルにより行うことができる。このステップにより、政府当局は、製造品にマーク付けされたIDコードの実際の数が、政府当局により認可されたIDコードの規定数に従うことを、検証することが可能となる。報告は、対象となる何れの第三者に対してのものとすることもできるが、税の検証に関しての第三者は、通常、政府当局を含む。検証センタは、製造品にマーク付けされたIDコードを、その製造品に特有の情報へ結びつける情報を記憶することができ、それにより、実際のまたは正確な数の製造品に対しての支払い済みの税金や支払い義務のある税金を検証できる。従って、製造品にマーク付けされたIDコードのカウントを、税金の検証や収集の目的に使用することができる。これにより、正しい額の税金が支払われているか否かを評価するための、政府当局のための完全に電子的な手段を提供する。また、サプライ・チェーンのポイントは、それぞれの製造品に対する税率を政府当局へ報告することができる。規定数のIDコードが製造品のバッチと対応する場合、好適には、その製造品のバッチ内のそれぞれの製造品は、1つの税率と関連する。
【0030】
この方法は、更に、
ユーザにより、選択された製造品にマーク付けされたIDコードを検証センタへ送信するステップと、
検証センタにより、選択された製造品と関連する税金情報をIDコードから導出するステップと、
検証センタにより、選択された製造品と関連する税金情報の少なくとも一部をユーザへ送信するステップ
とを含むことができる。ユーザは、政府当局または他の公的組織を含む。
【0031】
税の検証のための本発明の方法を使用することにより、幾つかの利点が得られる。従来の方法およびシステムは、典型的には、税金の検証のために、納税印紙や収入印紙(fiscal sticker)を用いる。これらの双方とも、通常は、製造品の消費者向けパッケージへ直接に貼付される接着型ラベルの形態である。接着型ラベルは、典型的には、可視および不可視のセキュリティ特徴を含む。納税印紙は、税の徴収と、税金支払い済み状態の検証とに用いられる。通常、納税印紙は、その納税印紙が貼付される特定の物品に課せられる実際の物品税の価値を持つ。収入印紙もまた、税の徴収と、税金支払い済み状態の検証とに用いられるが、これは、通常、生産量の検証を通じてのものである。一般に、製造者へ販売または送付される収入印紙の数は、販売されたまたは販売用に流通した製造品の実際のまたは正確な数と対応させる必要がある。通常、収入印紙は、特定の物品税の価値を持たないが、製造者は、発行された収入印紙毎の金額を支払う必要がある。
【0032】
納税印紙および収入印紙は、物品税収を保護するための安全で有効な手段であると未だに広く信じられているが、最近の発展の結果として、最も精巧な紙製スタンプ(印紙)の偽造も成功していることが明らかとなっている。このような偽造は、偽造のための技術やノウハウが増加するにつれて増加し続ける。更に、有効な印紙は、例えば、或る認可された生産センタから別の認可されていない生産センタへと転用され得る。即ち、納税印紙は有効なので、認可されていない製造場所が、認可された製造場所であるかのように見える。
【0033】
税の検証のための本発明の方法を使用することにより、幾つかの利点が得られる。第1に、容易に奪い取れる物理的マーカ(例えば、接着型ラベル)を流通させる必要がない。また、これにより環境への影響も低くなる。第2に、好適には、IDコードは記憶されず、それにより、偽造者が有効なIDコードを入手する可能性を低減する。この方法は、有効なコードに対する偽造および不正取引やコードの窃盗に対して、非常に安全性が高い。また、この方法は、偽造者による有効なIDコードのデータベースへのハッキングや、認可されていないコードの挿入により、有効なコードと有効ではないコードとの区別が不可能となることを防止する。第3に、本発明の方法は、税の検証のための他のシステムと比較して安価に実施でき、それにより、既存のシステムよりも広く使用することを可能にし、特に、小規模および中規模の製造者が使用することを可能にする。更に、多くの製造者は、製造品を識別するためにIDコードのシステムを既に使用している。そのようなシステムは、税の検証を目的とするために本発明の方法を使用するように、容易に適合させることができる。最後に、望まれる場合には、ユーザ、政府当局、または他の関係者は、特定の製造品についての税金情報へ容易にリアルタイムでアクセスできる。専用のシステムや訓練は不要であり、例えば、輸入業者やポイント・オブ・セール・エンティティ(point-of-sale entity)やサプライ・チェーンの他のメンバなどのような、何れの対象となる関係者も、税金情報へアクセスできる。
【0034】
検証センタは、製造品の製造者から独立した信頼のおける関係者により管理することができる。例えば、検証センタは、政府当局により管理することができる。これは、税の検証に関しては特に好都合である。
【0035】
この方法は、生産量の検証に使用することができ、方法は、更に、製造品にマーク付けされたIDコードの数を第三者へ報告するステップを含むことができる。
【0036】
生産量の検証は、実際の生産量、例えば、製造品の実際の数の検証である。報告は、サプライ・チェーンのポイントにより行うことができる。代替例として、報告は、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータルにより行うことができる。好適には、報告は、例えば、セキュアなネットワーク接続を通じてのセキュリティの報告を含む。好適には、検証センタは、製造品にマーク付けされたIDコードを、その製造品に特有の情報へ結びつける情報を記憶する。それにより、製造品にマーク付けされたIDコードを、実際のまたは正確な数のマーク付けされた製造品に特有の情報へ、リンクすることができる。製造品にマーク付けされたIDコードの数は、税のレベル毎、単位時間毎、またはストック・キーピング・ユニット(SKU、stock keeping unit、在庫管理単位)毎に報告することができる。
【0037】
これにより、第三者は、生産および流通した製造品の数を検証することが可能となる。報告は、規則的な時間間隔で行うことができる。報告は、製造品にマーク付けされた直後に行う必要はない。第三者は、政府当局であるか、または、製造品の数、例えば、特定の生産センタで製造された製造品の数に興味を持つ他の関係者であることができる。報告することは、製造品にマーク付けされたIDコードを第三者へ送ること含むことができる。
【0038】
報告は、出荷毎および物品税倉庫毎に行うことができ、それにより、出荷毎および物品税倉庫毎に生産量を検証または計算することができる。こうすることにより利点が生じる。なぜなら、多くの管轄区では、物品税倉庫からの製品の出荷が、税金の支払いのきっかけとなるからである。従って、特定の物品税倉庫から出て行く製品の量は重要である。
【0039】
生産量の検証を行うために本発明の方法を使用することにより、幾つかの利点が得られる。例えば、多くの製造者は、製造品を識別するためにIDコードのシステムを既に使用している。そのようなシステムは、生産量の検証を目的とするために本発明の方法を使用するように、容易に適合させることができる。更に、生産量を、第三者、例えば、政府当局へ、規則的におよびリアルタイムで報告することができる。
【0040】
検証センタは、製造品の製造者から独立している信頼のおける関係者により管理することができる。例えば、検証センタは、政府当局により管理することができる。その場合、生産量の検証に関して特に好都合である。
【0041】
この方法は、選択された製造品を認証するために使用することができ、方法は、更に、
ユーザにより、選択された製造品にマーク付けされたIDコードを検証センタへ送信するステップと、
検証センタにより、IDコードから、暗号鍵と、IDコードを生成するために使用した動的鍵とを導出するステップと、
検証センタにより、暗号鍵および動的鍵から、選択された製造品と関連する情報を導出するステップと、
検証センタにより、選択された製造品と関連する情報の少なくとも一部をユーザへ送信するステップと
を含むことができる。
【0042】
これにより、ユーザは、選択された製造品が真正品であることについての検証を行うことを可能とされる。また、これにより、ユーザは、製造品についての選択された情報を得ることが可能となる。その情報は、製造品の生産センタまたは製造場所に関する情報、製造品のIDコードを生成したコード生成器に関する情報、生産の時間(例えば、日、時、分)についての情報、およびIDコードと関連し得る他の情報を含むことができる。ユーザは、政府当局または他の公的組織、輸入業者、ポイント・オブ・セール・エンティティまたはサプライ・チェーンのメンバ、最終消費者、または他の対象となる任意の関係者を含むことができる。
【0043】
好適には、暗号鍵は、検証センタによるアクセスが可能なデータベースへ記憶される。好適には、暗号鍵は、サプライ・チェーンのポイント、例えば、生産センタを識別する情報と共に記憶される。その場合、検証センタにより、暗号鍵から、選択された製造品と関連する情報を導出するステップは、検証センタにより、データベースへアクセスして、その暗号鍵と関連するサプライ・チェーンのポイントを識別する情報を取得するステップを含むことができる。
【0044】
好適には、動的鍵は、検証センタによるアクセスが可能なデータベースに記憶される。好適には、動的鍵は、関連する製造品のバッチについての情報と共に記憶される。その場合、検証センタにより、動的鍵から、選択された製造品と関連する情報を導出するステップは、検証センタにより、データベースへアクセスして、その動的鍵と関連する製造品のバッチについての情報を取得するステップを含むことができる。動的鍵と暗号鍵とが組み合わされて擬似ランダム雑音コードが形成され、これがIDコードに対するデジタル署名として使用される場合、署名されていないIDコードを、デジタル署名されたIDコードから導出することもできる。従って、検証センタは、データベースから動的鍵および暗号鍵を求め、受信したデジタル署名されたIDコードと比較するために雑音コードを独立して導出することができる。
【0045】
ユーザから検証センタへ送信されるIDコードは、セキュアなインターネット接続またはセキュアではないインターネット接続を介して送信することができる。検証センタからユーザへ送信される情報は、セキュアなインターネット接続またはセキュアではないインターネット接続を介して送信することができる。
【0046】
検証センタは、製造品の製造者から独立している信頼のおける関係者により管理することができる。例えば、検証センタは、政府当局により管理することができる。
【0047】
本発明に従うと、製造品にマーク付けするための装置も提供され、この装置は、
アクティブ状態の場合と非アクティブ状態の場合とがある暗号鍵を生成する鍵生成器と、
製造品のサプライ・チェーンの少なくとも1つのポイントであって、鍵生成器は、非アクティブ状態の暗号鍵をサプライ・チェーンのポイントへ送るように構成され、サプライ・チェーンのポイントは、受信した暗号鍵と関連する情報をそのサプライ・チェーンのポイントが送信することに応答して、暗号鍵をアクティブにするためのアクティベーション・コードを受信するように構成され、アクティベーション・コードは、非アクティブ状態の暗号鍵をアクティブにして、アクティブ状態の暗号鍵を形成することを可能にする、サプライ・チェーンのポイントと、
製造品の特性を検証するための検証センタであって、鍵生成器は、アクティブ状態の暗号鍵とアクティベーション・コードとを検証センタへ供給するように構成される、検証センタと、
サプライ・チェーンのポイントにおいて、それぞれの製造品に対するアイデンティフィケーション(ID)・コードを生成するためのコード生成器であって、IDコードは、アクティブ状態の暗号鍵と、製造品の各バッチに対して生成された動的鍵とから導出され、製造品の各バッチに対しての動的鍵は検証センタへ提供される、コード生成器と、
サプライ・チェーンのポイントにおいて、それぞれの製造品へIDコードでマーク付けを行うためのマーカ(マーク付け装置)と、
製造品にマーク付けされたIDコードの数をカウントするカウンタと
を備える。
【0048】
この装置は、製造品にマーク付けするための装置であり、(課税の対象となる製造品に関する)税の検証、生産量の検証、および製造品の認証のために使用することができる。マーク付けされた製造品の正確なまたは実際の数がカウントされる。1つのIDコードがそれぞれの製造品にマーク付けされ、それにより、それぞれの製造品を一意に識別(特定)することができる。
【0049】
装置は、更に、検証センタによるアクセスが可能な、または検証センタの一部を構成するデータベースを備えることができる。暗号鍵は、データベースへ記憶することができる。暗号鍵は、その鍵と関連するサプライ・チェーンのポイントを識別する情報と共にデータベースへ記憶することができる。動的鍵は、データベースへ記憶することができる。それぞれの動的鍵は、関連する製造品のバッチについての情報と共にデータベースへ記憶することができる。鍵生成器は、検証センタの一部を形成することができる。
【0050】
本発明の方法と関連して説明した構成は、本発明の装置にも適用できる。
【0051】
本発明に従うと、製造品にマーク付けする方法も提供され、この方法は、税の検証に使用することができ、
製造品に対して複数のアイデンティフィケーション(ID)・コードを生成するステップと、
それぞれの製造品へ、複数のIDコードのうちの1つのIDコードでマーク付けするステップと、
複数のIDコードのうちの製造品にマーク付けされたIDコードの実際の数をカウントするステップであって、IDコードの実際の数は、複数のIDコードの数と同じまたはそれより少ない、カウントするステップと、
製造品にマーク付けされたIDコードの実際の数を政府当局へ報告するステップと、
製造品にマーク付けされたIDコードを、その製造品に特有の情報へ結びつける情報を記憶するステップと
を含み、それにより、マーク付けされた実際の数の物品に対しての支払い済みの税金や支払い義務のある税金を検証できる。
【0052】
IDコードは、製造品のサプライ・チェーンの任意のポイント、例えば、輸入ポイント、流通ポイント、購買者、卸売業者、またはサプライ・チェーン内の任意の他のリンクにおいて、生成して物品にマーク付けすることができる。しかし、最も好適には、サプライ・チェーンにおいてIDコードを生成して製造品にマーク付けするポイントは、生産センタまたは製造品の生産ラインを含む。
【0053】
この方法は、更に、製造品に対して複数のIDコードを生成するステップの前に、政府当局からの製造品に対するIDコードを生成するための認可を要求するステップと、製造品に対しての規定数のIDコードを生成するための認可を政府当局から受信するステップとを含むことができる。
【0054】
政府当局からの認可を要求するステップは、セキュアな通信チャンネルを介して政府当局へ要求(リクエスト)を送信するステップを含むことができる。要求は、サプライ・チェーンの任意のポイント、例えば、生産センタから送信することができる。代替例として、要求は、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータルから送信することもできる。セキュアな通信チャンネルは、政府当局と、サプライ・チェーンのポイントまたは製造ポータルとの間の通信に専用のものとすることができる。
【0055】
認可を政府当局から受信するステップは、セキュアな通信チャンネルを介して政府当局から認可を受信するステップを含むことができる。認可は、サプライ・チェーンの任意のポイントへ送信することができる。代替例として、認可は、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータルへ送信することができる。セキュアな通信チャンネルは、政府当局と、サプライ・チェーンのポイントまたは製造ポータルとの間の通信に専用のものとすることができる。好適には、規定数のIDコードは製造品のバッチに対応する。
【0056】
製造品にマーク付けされたIDコードの数を政府当局へ報告するステップは、セキュアな通信チャンネルを介して政府当局へ報告するステップを含むことができる。報告は、製造品のサプライ・チェーンの任意のポイントにより行うことができる。代替例として、報告は、サプライ・チェーンのポイントと通信する製造ポータルにより行うこともできる。セキュアな通信チャンネルは、政府当局と、サプライ・チェーンのポイントまたは製造ポータルとの間の通信に専用のものとすることができる。このステップにより、政府当局は、製造品にマーク付けされたIDコードの数を検証することが可能となる。製造品にマーク付けされたIDコードを、製造品に特有の情報へ結びつけるための情報を記憶することができ、それにより、実際のまたは正しい数の製造品に対しての支払い済みの税金や支払い義務のある税金を検証できる。従って、製造品にマーク付けされたIDコードのカウントは、税金の検証または徴収の目的で使用できる。これにより、正しい額の税金が支払われているか否かを評価するための、政府当局のための完全に電子的な手段を提供する。それぞれの製造品に対する税率も、政府当局へ報告することができる。IDコードの正確な数が製造品のバッチに対応する場合、好適には、製造品のバッチにおけるそれぞれの製造品は、1つの税率と関連する。
【0057】
この方法は、更に、ユーザにより、選択された製造品にマーク付けされたIDコードを検証センタへ送信するステップと、検証センタにより、IDコードから、選択された製造品と関連する税金情報を導出するステップと、検証センタにより、選択された製造品と関連する税金情報の少なくとも一部をユーザへ送信するステップとを含むことができる。ユーザは、政府当局または他の公的組織を含むことができる。検証センタは、製造品の製造者から独立している信頼のおける第三者により管理することができる。例えば、検証センタは、政府当局により管理することができる。
【0058】
本発明のこの構成の方法は幾つかの利点を提供する。前述のように、従来の方法およびシステムは、典型的には、税金の検証のために、納税印紙や収入印紙を用いる。納税印紙および収入印紙は、物品税収を保護するための安全で有効な手段であると未だに広く信じられているが、最近の発展の結果として、最も精巧な紙製印紙の偽造も成功していることが明らかとなっている。このような偽造は、偽造のための技術やノウハウが増加するにつれて増加し続ける。更に、有効な印紙は、例えば、或る認可された製造センタから別の認可されていない製造センタへと転用され得る。
【0059】
本発明のこの構成の方法は幾つかの利点を提供する。第1に、容易に奪い取れる物理的マーカ(例えば、接着型ラベル)を流通させる必要がない。これにより環境への影響も低くなる。第2に、好適には、IDコードは記憶されず、それにより、偽造者が有効なIDコードを入手する可能性を低減する。この方法は、有効なコードに対する偽造および不正取引やコードの窃盗に対して、非常に安全性が高い。第3に、本発明の方法は、税の検証する他の技術と比較して安価に実施でき、それにより、既存のシステムよりも広く使用することを可能にし、特に、小規模および中規模の製造者が使用することを可能にする。更に、多くの製造者は、製造品を識別するためにIDコードのシステムを既に使用している。そのようなシステムは、税の検証を目的とするために本発明の方法を使用するように、容易に適合させることができる。最後に、望まれる場合には、ユーザ、政府当局、または他の関係者は、特定の製造品についての税金情報へ容易にリアルタイムでアクセスできる。専用のシステムや訓練は不要であり、例えば、輸入業者やポイント・オブ・セール・エンティティやサプライ・チェーンの他のメンバなどのような、何れの対象となる関係者も、税金情報へアクセスできる。
【0060】
1つの特定の実施形態において、製造品に対して複数のIDコードを生成するステップは、アクティブ状態の暗号鍵と少なくとも1つの動的鍵とからIDコードを生成するステップを含み、このステップにおけるそれぞれの動的鍵は、製造品のバッチと関連するものである。暗号鍵は、鍵生成器において生成することができる。アクティブ状態の暗号鍵は、非アクティブ状態の暗号鍵をアクティブにしてアクティブ状態の暗号鍵を形成するためのアクティベーション・コードと共に、検証センタへ提供することができる。非アクティブ状態の暗号鍵は、コード生成器へ供給することができる。検証センタは、受信した暗号鍵に関連する情報をコード生成器が送信することに応答して、アクティベーション・コードをコード生成器へ供給することができ、それにより、コード生成のためのコード生成器を登録する。暗号鍵はデータベースへ記憶することができる。動的鍵はデータベースへ記憶することができる。好適には、IDコードは記憶されない。
【0061】
本発明の1つの構成の特徴は、本発明の別の構成に適用することができる。更に、税の検証と関連して説明した特徴は、生産量の検証および認証に適用することができ、生産量の検証と関連して説明した特徴は、税の検証および認証に適用することができ、認証と関連して説明した特徴は、税の検証および生産量の検証に適用することができる。
【0062】
以下に、単なる例としての本発明の実施形態を、添付の図面を参照して説明する。