特許第6016816号(P6016816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6016816エンコーダ用センサ取り付け体、ドラムディスク型エンコーダ及びこれらを用いたエンコーダ付きモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016816
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】エンコーダ用センサ取り付け体、ドラムディスク型エンコーダ及びこれらを用いたエンコーダ付きモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/22 20160101AFI20161013BHJP
【FI】
   H02K11/22
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-556339(P2013-556339)
(86)(22)【出願日】2013年1月23日
(86)【国際出願番号】JP2013051289
(87)【国際公開番号】WO2013115031
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-18678(P2012-18678)
(32)【優先日】2012年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000143031
【氏名又は名称】コーデンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】福田 英二
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−011674(JP,A)
【文献】 特開2007−202382(JP,A)
【文献】 特開2006−129692(JP,A)
【文献】 特開2008−206244(JP,A)
【文献】 特開昭59−127557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する発光素子と受光素子とからなるエンコーダ用センサと、
前記エンコーダ用センサとモータとの間に設けられ、当該エンコーダ用センサを前記モータの回転軸に対して半径方向に所定距離離間した位置に固定するベースと、
前記エンコーダ用センサ又は前記ベースに設けられており、少なくとも前記受光素子からの信号を外部へと出力するための信号線と、外部から前記エンコーダ用センサ及び前記モータへ電力を供給するための電力線と、を前記エンコーダ用センサ及び前記モータへと中継する中継コネクタ部と、を備え、
前記エンコーダ用センサが、前記ベースに対して着脱可能又は固定して取り付けられており、
前記ベースが、前記モータの電極端子に対して押圧接触するとともに、前記電力線と電気的に接続される押圧接触部を具備し、当該押圧接触部の押圧力によって当該ベースが前記モータの端面に着脱可能に固定されていることを特徴とするエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項2】
前記押圧接触部が、前記電極端子を挟持することにより押圧力を発生させるものである請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項3】
前記押圧接触部が、前記電極端子が挿入される電極端子挿入溝と、前記電力線と電気的に接続されるものであり、前記電極端子挿入溝内において前記電極端子を当該電極端子挿入溝の側壁に押しあてて挟持する金属接触体と、から構成されている請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項4】
前記押圧接触部が、前記電極端子が挿入される電極端子挿入溝と、前記電力線と電気的に接続されるものであり、前記電極端子挿入溝内において前記電極端子を挟持する一対の金属接触体と、から構成されている請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項5】
前記押圧接触部が、初期状態の前記電極端子に対して傾斜して設けられており、取り付け時に前記電極端子を曲げながら前記押圧接触部が当該電極端子に接触させられる請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項6】
前記ベースが、前記モータの端面において突出する突出部と篏合するように形成された篏合部をさらに備えた請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項7】
前記中継コネクタ部が、前記信号線及び前記電力線が屈曲可能かつ帯状に束ねられたFFCが挿入される挿入口と、前記挿入口に挿入された前記FFCにおける前記信号線及び前記電力線を前記受光素子及び前記発光素子から延びる端子とで挟持する挟持部材とから構成された請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項8】
前記ベースが、前記エンコーダ用センサが設けられ、前記電力線及び前記信号線が挿入される前記中継コネクタ部が形成された上部部材と、
前記押圧接触部が形成されており、前記モータの端面に取り付けられる概略平板状の下部部材とから構成されており、
前記下部部材が、前記モータのケーシング開口を塞ぐようにして当該モータの端面に取り付けられる請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項9】
前記モータが、電極端子が収容されている側面に形成された収容穴を具備するものであり、
前記押圧接触部が、前記収容穴に篏合するとともに前記電極端子に押圧接触するように構成された請求項1記載のエンコーダ用センサ取り付け体。
【請求項10】
請求項1に記載のエンコーダ用センサ取り付け体と、
ドラムディスク型スケールと、を備えたドラムディスク型エンコーダ。
【請求項11】
請求項10記載のドラムディスク型エンコーダと、
前記モータと、を備えたエンコーダ付きモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに用いられるエンコーダ用センサを当該モータの回転軸に対して所定の位置に設けるためのエンコーダ用センサ取り付け体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータの回転角や回転速度を所定の値に精度よく制御したい場合、エンコーダが用いられる。
【0003】
前記エンコーダは、回転軸に取り付けられるスケールと、前記スケールに規則的に設けられたスリットが前記回転軸の回転により何個通過したかを計数するためのエンコーダ用センサとから構成される。
【0004】
前記エンコーダ用センサは、前記スリットに対して垂直な方向に光を射出する発光素子と、前記スリットを通過した光を検出できるように、前記スリットを挟むように前記発光素子と対向して設けられる受光素子とから構成される。ここで、当該エンコーダ用センサは、前記回転軸に取り付けられたスケールに対して所定の位置に固定する必要がある。
【0005】
従来、前記エンコーダ用センサを所定の位置に固定するとともに、前記モータの電極端子及び前記エンコーダ用センサの配線を同時に行えるようにするために、前記モータの端面に設けられた基板上に、前記エンコーダ用センサは取り付けられていた。
【0006】
より具体的には、特許文献1や図14に示すようなエンコーダ付きモータにおいては、モータ1の端面において回転軸14の延びる方向に突出する電極端子を通すための貫通孔が基板Cに形成されており、基板Cを端面に取り付けた状態で、前記電極端子と前記基板Cに実装されている配線とを半田Sを付けることにより固定している。
【0007】
しかしながら、このような基板及びエンコーダ用センサの固定方法では以下に説明するような複数の問題が生じる。
【0008】
1.近年、モータ等の製品においても環境への配慮から鉛フリーを実現する事が求められており、できる限り半田付け等を行わないで済む製品が求められているが、現状ではその要望に答えられていない。
【0009】
2.エンコーダをモータに取り付ける場合、図14に示すように複雑な立体形状となっており、前記電極端子に対する半田付けにより基板及びエンコーダ用センサを所定の位置に固定するのは、手間のかかる作業となっている。
【0010】
3.半田付けで基板及びエンコーダ用センサの位置を固定してしまうと、取り外す場合半田を溶かさなくてはならず、エンコーダを一度取り付けてしまうと取り外すことは非常に難しい。すなわち、簡単にエンコーダをモータから着脱することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−067736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した問題を鑑みてなされたものであり、モータに対して容易に着脱可能であるとともに、鉛フリーを実現することができ、環境に対しても優しいエンコーダ用センサ取り付け体、ドラムディスク型エンコーダ及びこれらを用いたエンコーダ付きモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明のエンコーダ用センサ取り付け体は、対向する発光素子と受光素子とからなるエンコーダ用センサと、前記エンコーダ用センサとモータとの間に設けられ、当該エンコーダ用センサを前記モータの回転軸に対して半径方向に所定距離離間した位置に固定するベースと、前記エンコーダ用センサ又は前記ベースに設けられており、少なくとも前記受光素子からの信号を外部へと出力するための信号線と、外部から前記エンコーダ用センサ及び前記モータへ電力を供給するための電力線と、を前記エンコーダ用センサ及び前記モータへと中継する中継コネクタ部と、を備え、前記エンコーダ用センサが、前記ベースに対して着脱可能又は固定して取り付けられており、前記ベースが、前記モータの電極端子に対して押圧接触するとともに、前記電力線と電気的に接続される押圧接触部を具備し、当該押圧接触部の押圧力によって当該ベースが前記モータの端面に着脱可能に固定されていることを特徴とする。
【0014】
このようなものであれば、前記押圧接触部が前記モータの電極端子に対して押圧接触することにより生じる押圧力で前記ベースが前記モータの端面に着脱可能に構成されているので、前記ベースを半田付けにより前記モータの端面に固定する必要が無い。また、半田付けにより固定していないので、必要に応じて前記ベース及びエンコーダ用センサを簡単に着脱できる。また、前記押圧接触部の押圧力を調節することにより、耐振動性や固定強度を適宜変更することもできる。
【0015】
つまり、本発明のエンコーダ用センサ取り付け体であれば、半田付けを行うことなく前記エンコーダ用センサを所定の位置に固定することがでるので、鉛フリーを実現するとともに、前記エンコーダ用センサをモータに対して着脱可能に取り付けることが可能となる。
【0016】
前記押圧接触部によって、適度な強度で前記エンコーダ用センサ及びベースを所定の位置に固定するには、前記押圧接触部が、前記電極端子を挟持することにより押圧力を発生させるものであればよい。
【0017】
前記押圧接触部により前記電極端子を挟持するための具体的な構成としては、前記押圧接触部が、前記電極端子が挿入される電極端子挿入溝と、前記電力線と電気的に接続されるものであり、前記電極端子挿入溝内において前記電極端子を当該電極端子挿入溝の側壁に押しあてて挟持する金属接触体と、から構成されているものが挙げられる。
【0018】
例えば前記モータの端面から回転軸が延びる方向に前記電極端子が突出している場合において、前記押圧接触部によって適度な固定強度を実現するのに適した態様としては、前記押圧接触部が、前記電極端子が挿入される電極端子挿入溝と、前記電力線と電気的に接続されるものであり、前記電極端子挿入溝内において前記電極端子を挟持する一対の金属接触体と、から構成されているものが挙げられる。
【0019】
前記モータの側面部から回転軸の回転方向に前記電極端子が突出している場合において、前記押圧接触部により適度な押圧力を発生させて、前記ベース及び前記エンコーダ用センサを固定するには、前記押圧接触部が、初期状態の前記電極端子に対して傾斜して設けられており、取り付け時に前記電極端子を曲げながら前記押圧接触部が当該電極端子に接触させられるものであればよい。
【0020】
さらに前記ベース及び前記エンコーダ用センサを所定の位置で固定しやすくするには、前記ベースが、前記モータの端面において突出する突出部と篏合するように形成された篏合部をさらに備えたものであればよい。
【0021】
前記ベースを前記モータに取り付ける際に半田を用いないだけでなく、前記信号線及び前記電力線に関しても半田付けをする必要をなくし、さらに鉛フリー化を進めるには、前記中継コネクタ部が、前記信号線及び前記電力線が屈曲可能かつ帯状に束ねられたFFCが挿入される挿入口と、前記挿入口に挿入された前記FFCにおける前記信号線及び前記電力線を前記受光素子及び前記発光素子から延びる端子とで挟持する挟持部材とから構成されたものであればよい。
【0022】
前記ベースにより前記モータの端面の一部を構成して全体の部品点数を低減できるようにするには、前記ベースが、前記エンコーダ用センサが設けられ、前記電力線及び前記信号線が挿入される前記中継コネクタ部が形成された上部部材と、前記押圧接触部が形成されており、前記モータの端面に取り付けられる概略平板状の下部部材とから構成されており、前記下部部材が、前記モータのケーシング開口を塞ぐようにして当該モータの端面に取り付けられるものであればよい。
【0023】
前記モータが、電極端子が収容されている側面に形成された収容穴を具備するものであっても前記ベース及び前記エンコーダ用センサを所定の位置に着脱可能に固定するための構成としては、前記押圧接触部が、前記収容穴に篏合するとともに前記電極端子に押圧接触するように構成されたものが挙げられる。
【0024】
本発明のエンコーダ用センサ取り付け体を用いた好適な適用例の一例としては、前述したエンコーダ用センサ取り付け体と、ドラムディスク型スケールと、を備えたドラムディスク型エンコーダが挙げられる。
【0025】
本発明のエンコーダ用センサ取り付け体を用いた好適な別の適用例としては、前述したエンコーダ用センサ取り付け体と、ドラムディスク型スケールと、を備えたドラムディスク型エンコーダが挙げられる。
【発明の効果】
【0026】
このように本発明のエンコーダ用センサ取り付け体であれば、半田付けを行うことなく、前記ベース及び前記エンコーダ用センサを所定の位置に着脱可能に固定することができ、鉛フリーを実現した環境に優しいものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係るエンコーダ付きモータの模式的斜視組立図。
図2】第1実施形態に係るエンコーダ付きモータを上方から視た模式的斜視分解図。
図3】第1実施形態に係るエンコーダ付きモータを下方から視た模式的斜視分解図。
図4】第1実施形態に係るエンコーダ付きモータの中継コネクタ部の内部構造を示す模式的断面図。
図5】第1実施形態におけるベースのモータへの取り付け構造及び方法を示す模式的斜視図。
図6】第1実施形態における押圧接触部の構造を示す模式図。
図7】第1実施形態における押圧接触部の別の構造例を示す模式図。
図8】本発明の第2実施形態におけるベースのモータへの取り付け構造及び方法を示す模式的斜視図。
図9】本発明の第2実施形態に係るエンコーダ付きモータの別の構成例を示す模式的斜視図。
図10】本発明の第3実施形態に係るエンコーダ付きモータを示す模式的斜視図。
図11】本発明の第3実施形態における押圧接触部の構造を示す模式図。
図12】本発明の第3実施形態におけるベース及び押圧背触部の詳細を示す模式的斜視図。
図13】本発明の第4実施形態に係るエンコーダ付きモータを示す模式的斜視図。
図14】従来の半田によりエンコーダ用センサが固定されるエンコーダ付きモータを示す模式的斜視図。
【符号の説明】
【0028】
300・・・エンコーダ付きモータ
200・・・ドラムディスク型エンコーダ
100・・・エンコーダ用センサ取り付け体
1 ・・・モータ
13 ・・・電極端子
2 ・・・エンコーダ用センサ
3 ・・・ベース
31 ・・・押圧接触部
7 ・・・中継コネクタ部
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
第1実施形態のエンコーダ付きモータ300は、例えば、プリンタ等や小型家電等の回転角や回転速度を制御する必要のあるものに用いられるものであり、図1に示すようにモータ1の回転軸14が突出している一端面11にドラムディスク型エンコーダ200が取り付けられているものである。
【0031】
より具体的には、図1乃至図3に示すように前記ドラムディスク型エンコーダ200は、前記モータ1の回転軸14に取り付けられる概略平円筒状のドラムディスク型スケール6と、前記ドラムディスク型スケール6の側面に設けられたスリット部を挟むように取り付けられるエンコーダ用センサ2と、前記エンコーダ用センサ2を所定位置に固定するベース3とから構成してある。
【0032】
前記ドラムディスク型スケール6は、樹脂製のものであり、その側面に多数のスリットが所定間隔で規則的に形成してある。
【0033】
前記エンコーダ用センサ2は、上方向に開口する概略コの字状をなすものであり、その開口側が前記ドラムディスク型スケール6の側面を挟むように配置してある。そして、前記エンコーダ用センサ2は、前記ドラムディスク型スケール6の側面に対して垂直な方向に光を射出する発光素子22と、前記スリットを通過した光を検出するための受光素子21とから構成してある。この受光素子21により検出されるパルス数に基づいて前記モータ1の回転角は測定されることになる。
【0034】
前記ベース3は、概略平直方体形状のものであり、前記エンコーダ用センサ2と前記モータ1の端面11との間に設けられるものであり、前記エンコーダ用センサ2を前記回転軸14から所定距離離間した位置において固定するものである。より具体的には、前記回転軸14から半径方向に前記ドラムディスク型スケール6の半径寸法分だけ離間しているとともに、前記ドラムディスク型スケール6の開口部が前記ドラムディスク型の側面を挟み込めるような高さで固定するものである。そして、前記エンコーダ用センサ2と前記ベース3とが組み合わされた状態においてエンコーダ用センサ取り付け体100を構成する。
【0035】
以下では前記ベース3の構成及びその機能について詳述する。
【0036】
前記ベース3は、図2及び図3の分解斜視図に示すように中央部に円形状、又は角状の貫通孔が形成してあり、前記回転軸14を通せるようにしてある。さらに、前記ベース3は、前記電極端子13に対して電力を供給するための電力線が挿入される中継コネクタ部7と、前記モータ1の端面11に取り付けられた際に、前記電極端子13が挿入される押圧接触部31と、が形成してある。
【0037】
前記貫通孔は、前記モータ1の端面11において回転軸14の延びる方向に突出した概略平円板状の突出部15と同形状の嵌合部32として形成してある。すなわち、図2及び図3に示す分解状態から前記ベース3を軸方向に沿ってモータ1の端面11に近づけていくことにより前記突出部15と前記嵌合部32は嵌合しあうことになる。また、必ずしもこの中央の突出部だけの嵌合だけでなく、モータケースの外周部との嵌合もありえる。
【0038】
前記中継コネクタ部7は、前記エンコーダ用センサ2から信号を取り出すための信号線、及び当該エンコーダ用センサ2に対して電力を供給するためのセンサ用電力線、前記モータ1の電極端子13に対して電気的に接続され、前記モータ1に電力を供給するためのモータ用電力線等が、屈曲可能であるとともに、平面帯状に束ねられて形成されたFFC5(フレキシブル フラット ケーブル)が挿入されることにより、各線が前記受光素子21、前記発光素子22、前記モータ1の各端子23へと接続されるようにしたものである。
【0039】
前記中継コネクタ部7の内部構造についてエンコーダ用センサ2とFFC5との接続構造について表示した図4を参照しながら説明する。
【0040】
図4に示すように前記中継コネクタ部7は、前記FFC5が挿入される挿入口71と、前記挿入口71に挿入された前記FFC5における前記信号線及び前記電力線を前記受光素子21及び前記発光素子22から延びる端子23とで挟持する挟持部材73とから構成してある。すなわち、前記中継コネクタ部7は、前記挿入口71と連通する概略直方体形状の空間を形成する下面が開口した薄肉ケーシング部72を有し、その薄肉ケーシング部72の内部に前記受光素子21及び前記発光素子22の接続端子23の一部が薄肉ケーシング部72の上面側から下面側へと吐出するように設けてある。さらに、前記薄肉ケーシング部72の下面を塞ぐように前記挟持部材73が上下方向にスライド移動可能に取り付けてある。図4(a)に示すように前記挟持部材73が完全に嵌めこまれてない状態では、前記FFC5は各接続端子23に接触していないが、図4(b)に示すように前記挟持部材73を前記薄肉ケーシングの上面側へと移動させることで、前記FFC5を曲げて前記接続端子23に接触させる。この状態で、図示しない係合部により前記挟持部の位置が固定され、前記FFC5と前記接続端子23との電気的な接続が保たれるようにしてある。なお、各電力線に関してもこの動作により所定の接続端子23に接続されるように構成してある。
【0041】
前記押圧接触部31は、前記モータ1の電極端子13に対して押圧接触するとともに、電力線と電気的に接続されるものである。すなわち、当該押圧接触部31において前記電極端子13が挟持されることにより発生する押圧力により、前記ベース3及び前記エンコーダ用センサ2が前記モータ1の端面11において着脱可能に固定されるようにしてある。
【0042】
より具体的には、前記押圧接触部31は図3に示すように前記ベース3の底面において形成された電極端子挿入溝31aと、前記電力線と電気的に接続されるものであり、前記電極端子挿入溝31a内において前記電極端子13を当該電極端子挿入溝31aの側壁に押しあてて挟持する金属接触体31bと、から構成してある。前記突出部15と前記嵌合部32とが嵌合するように軸方向に沿って前記ベース3を前記モータ1の端面11に近づけた際に、前記電極端子挿入溝31aの壁面と、前記金属接触体31bの間に前記電極端子13が挿入されるようしてある。この際、前記金属接触体31bが弾性変形して、その反発力により前記電極端子13に対して押圧力が発生するようにしてある。
【0043】
この押圧接触部31における前記電極端子13の挟持構造及びベース3の取り付け方法について、図5乃至図6の模式図により説明する。なお図5では、分かりやすさのためにエンコーダ用センサ2を取り外した状態のベース3を簡略化して記載しており、図1乃至図3とは詳細において形状を異ならせてある。
【0044】
まず、図5(a)に示すように前記FFC5を前記中継コネクタ部7に挿入しておき、前記突出部15と前記嵌合部32が嵌合しあうとともに、前記電極端子挿入溝31a内に各電極端子13が挿入されるように前記モータ1の端面11に対して前記ベース3を軸方向に沿って近づけていき図5(b)のように前記ベース3の底面が前記モータ1の底面に接触した状態にする。
【0045】
すると、前記挟持部材73が上方へと押し上げられることにより図4に示したように前記FFC5の各線と各接続端子23との間で電気的な接続が形成される。さらに、図6に示すように前記金属接触体31bは前記電極端子挿入溝31aの側面に沿って延びる金属薄板であって、その一部が対向する前記電極端子挿入溝31aの側面へと突出させて曲げてあり、略溝の幅となるようにしてある。この金属接触体31bにおいて突出部15部分を弾性変形させながら前記電極端子13が挿入されるので、当該電極端子13は溝の側面に押しつけられることになり所定の押圧力がかかることになる。従って、前記ベース3は前記押圧接触部31に前記電極端子13が挿入されることにより押圧力によって固定されることになる。また、完全に固定されているわけではないので、前記ベース3を軸方向に沿って上方に移動させることにより取り外すこともできる。
【0046】
このように第1実施形態のエンコーダ用センサ取り付け体100によれば、半田付けを行うことなく、所定の位置に前記エンコーダ用センサ2を固定することができる。従って、エンコーダ付きモータ300において鉛フリー化を実現することができるとともに、前記エンコーダ用センサ2を容易に着脱できる。
【0047】
また、半田付けの作業が存在しないため、簡単にモータ1に対してエンコーダを取り付けることができるようになり、組立効率を向上させることができる。
【0048】
第1実施形態の変形例について説明する。
【0049】
第1実施形態の押圧接触部31は、金属接触体31bによって電極端子13を電極端子13収容溝の側壁に押し付けて挟持することにより、着脱可能に構成したものであったが、その他の態様により前記ベース3及び前記エンコーダ用センサ2が所定の位置に固定されるものであっても構わない。
【0050】
すなわち、図7に示すように前記押圧接触部31が、前記電極端子13が挿入される電極端子挿入溝31aと、前記電力線と電気的に接続されるものであり、前記電極端子挿入溝31a内において前記電極端子13を挟持する一対の金属接触体31bと、から構成されているものであってもよい。より具体的には、前記電極端子挿入溝31aの開口を一対の金属接触体31bが塞ぐように設けてあり、各金属接触体31bの間に前記電極端子13が挿入される際に生じる弾性変形力によって当該電極端子13を挟持するようにしてもよい。
【0051】
このようなものであっても、半田付けを行うことなく前記ベース3及び前記エンコーダ用センサ2を所定の位置に着脱可能に固定することができる。
【0052】
次に第2実施形態のエンコーダ付きモータ300について説明する。なお、第1実施形態に示したエンコーダ付きモータ300と対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0053】
第2実施形態のエンコーダ付きモータ300は、図8に示すようにエンコーダ用センサ取り付け体100をモータ1の軸方向に沿って移動させて取り付けるのではなく、半径方向にスライドさせて取り付けられるように構成したものである。
【0054】
より具体的には、押圧接触部31に形成された電極端子挿入溝31aが、半径方向から電極端子13を挿入できるように、側面の一つが開口させてある。また、モータ1の突出部15と嵌合される嵌合部32の形状も概略半円形状に形成してあり、半径方向にスライドさせて嵌合できるように形成してある。
【0055】
このようなものであっても、前記押圧接触部31の押圧力により前記ベース3及び前記エンコーダ用センサ2を所定の位置に着脱可能に取り付けることができ、第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。
【0056】
第2実施形態の変形例について説明する。図9に示すように中継コネクタ部7は、前記ベース3だけに設けられるのではなく、前記エンコーダ用センサ2にも設けられるものであってもよい。言い換えると、中継コネクタ部7は複数設けられるものであり、各中継コネクタ部7で中継される配線はそれぞれ異なる種類のものであっても構わない。例えば、前記ベース3部に形成された中継コネクタ部7に挿入されるFFC5は、モータ1を駆動するための電力線が束ねられたものであり、前記エンコーダ用センサ2に形成された中継コネクタ部7に挿入されるFFC5は、受光素子21からの信号を取り出すための信号線と、前記受光素子21及び前記発光素子22を駆動するための電力線が束ねられたものにしても構わない。
【0057】
次に第3実施形態のエンコーダ付きモータ300について説明する。第3実施形態についても第1実施形態のエンコーダ付きモータ300に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0058】
第3実施形態のエンコーダ付きモータ300は、図10に示すように電極端子13がモータ1の端面11から軸方向に突出するのではなく、モータ1の側面12から周方向に沿って突出しているタイプのものである。
【0059】
このような電極端子13の突出形態に合わせて、第3実施形態のベース3に形成されている前記押圧接触部31は、初期状態の前記電極端子13に対して傾斜して設けられており、取り付け時に前記電極端子13を曲げながら前記押圧接触部31が当該電極端子13に接触させられるように形成してある。
【0060】
より具体的には、前記ベース3は、概略L字板状に形成されているとともに、前記押圧接触部31が、図11及び図12に示すように下面から視た場合に概略V字状に取り付けられた金属薄板として形成してある。すなわち、前記押圧接触部31が前記電極端子13に対して斜め方向に傾斜させて曲げられた金属板によって形成されており、前記電極端子13を弾性変形させることによって生じる反発力により押圧力が発生させて前記ベース3が前記モータ1の端面11に固定されるようにしてある。
【0061】
このように、電極端子13がモータ1の側面において周方向に突出するように形成されているタイプのものであっても、半田付けを行うことなく前記ベース3及び前記エンコーダ用センサ2を所定の位置に着脱可能に固定することができる。従って、第1実施形態と同様に、鉛フリーを実現するとともに組立性もよいものとすることができる。
【0062】
次に第4実施形態のエンコーダ付きモータ300について説明する。第4実施形態についても第1実施形態のエンコーダ付きモータ300に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0063】
第4実施形態のエンコーダ付きモータ300においては、モータ1の側面に形成された収容穴16内に電極端子13が収容されているものである。
【0064】
図13(a)に示すように第4実施形態のベース3に形成されている押圧接触部31は弾性変形可能に構成されているとともに、図13(b)の押圧接触部31が収容穴16内に挿入された状態に示すように前記収容穴16とよりも少し小さい形状に形成してある。さらに、前記電極端子13はメス型の端子であって、前記押圧接触部31はオス型の端子である。すなわち、前記収容穴16内の底に設けられている前記電極端子13に対して、前記押圧接触部31を差し込み、押圧接触させることにより生じる押圧力によって前記ベース3及び前記エンコーダ用センサ2を所定の位置に着脱可能に構成してある。
【0065】
このように電極端子13が収容穴16内にある場合でも同様にベース3及びエンコーダ用センサ2を所定の位置に着脱可能に固定することができる。
【0066】
なお、図13(c)に示すように前記ベース3を前記モータ1の端面11上に固定している際の固定強度をさらに向上させるには、前記収容穴16の形状と、前記押圧接触部31の形状を略同一にし、例えば普通嵌め程度で嵌合するようにしてもよい。
【0067】
このように構成すれば、前記押圧接触部31の押圧力だけでなく、前記収容穴16と押圧接触部31の嵌合により生じる摩擦力でも前記ベース3を固定することができるので、安定度を向上させることができる。
【0068】
その他の実施形態について説明する。
【0069】
前記各実施形態では、モータの端面上にベースが載置されているように構成されていたが、前記ベースがモータの端面を兼ねるものであっても構わない。具体的には、前記ベースが、前記エンコーダ用センサが設けられ、前記電力線及び前記信号線が挿入される前記中継コネクタ部が形成された上部部材と、前記押圧接触部が形成されており、前記モータの端面に取り付けられる概略平板状の下部部材とから構成されており、前記下部部材が、前記モータのケーシング開口を塞ぐようにして当該モータの端面に取り付けられるものであっても構わない。
【0070】
前記中継コネクタ部は、実施形態に示したようなFFCの固定に特化したものだけでなく、その他の半田付けを必要としない接続方法を用いても構わない。また、前記ベース上に前記エンコーダ用センサを着脱可能に取り付けものだけでなく、固定されているものであってもよい。さらに、前記各実施形態のように前記ベース上においてエンコーダ用センサ及び中継コネクタ部を一か所に集めて設けるのではなく、前記ベース上において前記エンコーダ用センサと前記中継コネクタ部を別々の場所に設けてもよい。例えば、ベース上において前記エンコーダ用センサと前記中継コネクタ部が前記回転軸を挟んで離間させて設けてあってもよい。
【0071】
前記各実施形態では、ドラムディスク型エンコーダについて説明したが、例えば、メタルディスク型エンコーダや、フィルム型エンコーダ等様々なタイプに対して本発明を適用しても構わない。
【0072】
より具体的には、前記各実施形態では、エンコーダ用センサはドラムディスク型スケールに設けられたスリットの通過数をカウントするために、モータの軸方向に開口させてあるとともに、半径方向に受光素子及び発光素子が対向させて前記ドラムディス型スケールの側面を挟み込むように配置されていたが、その他スケールに対して本発明を適用しても構わない。
【0073】
すなわち、スケールが板状で、モータの軸方向に貫通するスリットが設けられたタイプを使用する場合には、それに合わせて前記エンコーダ用センサは、半径方向に開口するとともに、受光素子及び発光素子が軸方向に対向するように設けられたものであっても構わない。このようなエンコーダ用センサであったとしても、本発明のベースにより回転軸から所定の位置に着脱可能に固定する事が可能である。
【0074】
要するに本発明のエンコーダ用センサ取り付け体は、スケールの形状によらず適用できる。
【0075】
前記押圧接触部は、前記各実施形態において示されたものに限られず、半田付けを行う必要が無く、着脱可能な取り付け方法であればどのようなものであっても構わない。
【0076】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、鉛フリーを実現した環境に対しても優しいエンコーダ用センサ取り付け体、ドラムディスク型エンコーダ及びこれらを用いたエンコーダ付きモータを提供することができる。
図1
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図10
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