特許第6016844号(P6016844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016844
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20161013BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   H04N1/387
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-89724(P2014-89724)
(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公開番号】特開2015-211243(P2015-211243A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
【審査官】 豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−094903(JP,A)
【文献】 特開2010−154579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景部と潜像部とで異なる線数の網点を有する潜像地紋を有する原稿から原稿画像を読み取り、前記原稿画像の画像データを出力する画像読取部と、
前記画像読取部から出力された画像データにおける、前記原稿画像を分割して得られる複数のブロック画像のブロック画像データの平均濃度値を算出する平均濃度算出部と、
前記複数のブロック画像に対応する前記平均濃度値の分布の特性値を特定する統計処理部と、
前記統計処理部により特定された前記特性値に基づいて、前記潜像地紋を有する前記原稿から読み取られた前記原稿画像が白紙画像であるか否かを判定する白紙判定部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記統計処理部は、前記複数のブロック画像に対応する前記平均濃度値を、連続する複数の一定幅の区間に分類し、各区間に分類される前記平均濃度値の数をカウントし、前記複数の区間に対するカウント値または前記カウント値に基づく頻度の分布の特性値を特定し、
前記白紙判定部は、前記特性値に基づいて、前記潜像地紋を有する前記原稿から読み取られた前記原稿画像が白紙画像であるか否かを判定すること、
を特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記統計処理部は、前記複数の区間についての前記カウント値または前記頻度の最大値を前記特性値として特定することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記統計処理部は、所定の閾値以上の前記カウント値または前記頻度を有する前記区間のうちの、前記平均濃度値が最小である区間と前記平均濃度値が最大である区間との濃度差、または前記平均濃度値の最小値と最大値との濃度差を前記特性値として特定することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記統計処理部は、前記平均濃度値の分布に基づく前記平均濃度値の標準偏差または分散を前記特性値として特定することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年普及してきている複合機(MFP:Multi Function Peripheral)では、スキャナーで原稿を走査して原稿画像を読み取り原稿画像の画像データを生成し、さらに、その画像データに基づき、原稿画像を用紙に出力したり、その画像データをデータファイルとしてパーソナルコンピューターに送信したり、ファクシミリ送信したりすることができる。
【0003】
特に、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)を備えた複合機は、複数枚の原稿を一度に処理することができる。その際、原稿の中に、ユーザーがコピーや送信を望まない白紙が混入することがあるため、原稿の枚数が多い場合、白紙が混入していないことを確認するのに手間がかかってしまう。
【0004】
このような原稿内の白紙ページを検知する技術が種々提案されている。
【0005】
ある画像形成装置では、原稿を読み取って得られた画像データの各画素において濃度が所定の範囲内にある画素をカウントし、その画素数と閾値を比較することによって読み取った原稿内の白紙ページを検出している(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、ある画像処理装置では、画像データ内のすべての画素の色についての色出現頻度情報(ヒストグラム)を取得することによって原稿内の白紙ページを検出している(例えば特許文献2参照)。
【0007】
さらに、有色の用紙や白色度の低い再生紙を使用した原稿の白紙ページ(つまりブランクページ)を検出する技術として、(1)原稿の下地が有色下地および白色下地のどちらであるかを判定し、有色下地の場合、白色下地の場合に比べ、画素の濃度の有無を判定する閾値を高く設定して白紙ページの検出を行う第1の技術(例えば特許文献3参照)、(2)連続するラインについてのライン内の黒画素数の変化に基づいて白紙ページの検出を行う第2の技術(例えば特許文献4参照)、(3)余白領域と印字領域との間の単位面積あたりの有濃度画素の数に基づいて白紙ページの検出を行う第3の技術(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-251691号公報
【特許文献2】特開2006-279094号公報
【特許文献3】特開2008-219808号公報
【特許文献4】特開2002-165054号公報
【特許文献5】特開2012-169755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
コピーを禁止あるいは制限したい文書を作成する場合、用紙の背景に、「コピー」、「複写禁止」といった警告を示す潜像地紋を、視覚上、像地紋部分以外の背景と同一の濃度と認識されるように埋め込む技術がある。
【0010】
図6は、潜像地紋を説明する図である。例えば、図6に示すように、潜像地紋は、背景画像内の潜像地紋の部分(以下、潜像部という)と背景画像内の潜像地紋以外の部分(以下、背景部という)との視覚上の濃度をほぼ同一としつつ、潜像部の網点の線数を、背景部の網点の線数とは異ならせることで形成される。潜像部の網点の線数は、スキャナーで解像されない高い線数とされ、背景部の網点の線数は、スキャナーで十分解像される低い線数とされる。
【0011】
したがって、コピー時において、背景部については、網点模様が読み取られ、その網点模様がそのまま印刷されるのに対して、潜像部については、網点模様が、一定濃度の領域として読み取られるため、潜像部は、2値化によって無濃度領域(あるいは低濃度領域)として印刷される。
【0012】
これにより、コピーによる印刷物においては、潜像部の濃度が背景部の濃度より低くなって、潜像部(つまり、潜像地紋として埋め込んだ警告)が視覚上認識される。
【0013】
このような、潜像地紋は、原稿の内容としては何ら意味をもたないため、潜像地紋のみが印刷された原稿は、白紙ページと判定すべきであるが、上述の技術では、このような潜像地紋を有する原稿を白紙ページと判定することが困難である。
【0014】
つまり、上述の第1の技術では、背景部が線数の低い網点で構成されているため、下地が白地として判定され易くなり、下地が白地と判定された場合、潜像地紋のみの原稿が潜像地紋の濃度によって白紙ページと判定されない可能性がある。上述の第2および第3の技術では、スキャナーで読み込んだ際に、背景部と潜像部とで画素濃度パターンが異なるために、ライン単位あるいは単位面積当たりの黒画素数が一定にならず、潜像地紋のみの原稿が白紙ページと判定されない可能性がある。
【0015】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、潜像地紋を有する原稿について、高い精度で白紙ページを検出する画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る画像読取装置は、背景部と潜像部とで異なる線数の網点を有する潜像地紋を有する原稿から原稿画像を読み取り、前記原稿画像の画像データを出力する画像読取部と、前記画像読取部から出力された画像データにおける、前記原稿画像を分割して得られる複数のブロック画像のブロック画像データの平均濃度値を算出する平均濃度算出部と、前記複数のブロック画像に対応する前記平均濃度値の分布の特性値を特定する統計処理部と、前記統計処理部により特定された前記特性値に基づいて、前記潜像地紋を有する前記原稿から読み取られた前記原稿画像が白紙画像であるか否かを判定する白紙判定部とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、潜像地紋を有する原稿について、高い精度で白紙ページを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、潜像地紋のみを有する原稿画像およびブロック画像の一例を示す図である。
図3図3は、潜像地紋のみを有する原稿画像についてのブロック画像データの平均濃度値の分布を示すヒストグラムの一例を示す図である。
図4図4は、潜像地紋およびオブジェクト(前景)を有する原稿画像およびブロック画像の一例を示す図である。
図5図5は、潜像地紋およびオブジェクト(前景)を有する原稿画像についてのブロック画像データの平均濃度値の分布を示すヒストグラムの一例を示す図である。
図6図6は、潜像地紋を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像読取装置は、画像読取部1、ブロック分割部2、平均濃度算出部3、統計処理部4、および白紙判定部5を備える。
【0021】
画像読取部1は、光学的に原稿画像を読み取り、原稿画像の画像データを出力する。なお、画像データは、カラー画像データであって、RGBデータであるが、CMYデータでもよい。また、画像データは、モノクロ画像データであってもよい。
【0022】
ブロック分割部2は、画像読取部1から出力された1ページの原稿画像の画像データに基づき、その原稿画像を複数の同一サイズのブロック画像(例えば、50画素×50画素のブロックまたは100画素×100画素のブロック)に分割し、原稿画像の画像データから各ブロック画像のブロック画像データを生成する。
【0023】
平均濃度算出部3は、ブロック画像データの平均濃度値を算出する。具体的には、平均濃度算出部3は、ブロック画像に含まれる画素の画素値の平均値を平均濃度値として計算する。
【0024】
統計処理部4は、1ページの原稿画像におけるすべてのブロック画像に対応する平均濃度値の分布の特性値を特定する。白紙判定部5は、統計処理部4により特定された特性値に基づいて、原稿画像が白紙画像(つまり、オブジェクト(前景)を含まないブランク画像)であるか否かを判定する。
【0025】
具体的には、この実施の形態では、統計処理部4は、平均濃度値を、連続する複数の一定幅の区間に分類し、各区間に分類される平均濃度値の数をカウントし、複数の区間に対するカウント値またはカウント値に基づく頻度の分布(いわゆるヒストグラム状の分布)の特性値を特定する。
【0026】
図2は、潜像地紋のみを有する原稿画像およびブロック画像の一例を示す図である。なお、図2に示す原稿画像の潜像地紋は、「COPY」という警告文字列を示している。を図3は、潜像地紋のみを有する原稿画像についてのブロック画像データの平均濃度値の分布を示すヒストグラム(つまり、上述の複数の区間に対応するカウント値および頻度を示すグラフ)の一例を示す図である。
【0027】
例えば図2に示すような潜像地紋のみを有しオブジェクトを有さない原稿画像の場合、潜像部(の一部)を含むブロック画像の平均濃度値は、潜像部を含まないブロック画像の平均濃度値より、ブロック画像に含まれる潜像部の広さに応じて低くなる。ただし、潜像部と背景部との視覚上の濃度差はほとんどないため、平均濃度値の分布は、図3に示すように狭い範囲となる。
【0028】
図4は、潜像地紋およびオブジェクト(前景)を有する原稿画像およびブロック画像の一例を示す図である。なお、図4に示す原稿画像の潜像地紋は、「COPY」という警告文字列を示している。図5は、潜像地紋およびオブジェクト(前景)を有する原稿画像についてのブロック画像データの平均濃度値の分布を示すヒストグラムの一例を示す図である。
【0029】
一方、例えば図4に示すような潜像地紋およびオブジェクト(ここでは文字と図形)を有する原稿画像の場合、オブジェクトの濃度は、背景(つまり、潜像部と背景部)の濃度より高いため、図5に示すように、平均濃度値が低い背景(潜像部と背景部)についての分布から離れて、オブジェクトを含まないブロック画像に対応する分布が、高平均濃度値側に現れる。また、オブジェクトを含むブロック画像の数に応じて、背景(つまり、潜像部と背景部)のみを含むブロック画像の数が少なくなるため、図5に示すように、分布のピークに対応する区間のカウント値または頻度は低くなる。
【0030】
したがって、例えば、統計処理部4は、複数の区間についてのカウント値または頻度の最大値を上述の特性値として特定する。これにより、例えば図5に示すように、オブジェクトを含む原稿画像の場合には、分布のピークに対応する区間のカウント値または頻度(つまり、複数の区間についてのカウント値または頻度の最大値)が低くなるので、この特性値が所定の閾値未満である場合には、原稿画像が白紙画像ではないと判定され、この特性値が所定の閾値以上である場合には、原稿画像が白紙画像であると判定される。
【0031】
また、例えば、統計処理部4は、所定の閾値以上のカウント値または頻度を有する区間のうちの、平均濃度値が最小である区間と平均濃度値が最大である区間との濃度差、または平均濃度値の最小値と最大値との濃度差を上述の特性値として特定する。これにより、例えば図5に示すように、オブジェクトを含む原稿画像の場合には平均濃度値が広い範囲に分布するので、この特性値が所定の閾値以上である場合には、原稿画像が白紙画像ではないと判定され、この特性値が所定の閾値未満である場合には、原稿画像が白紙画像であると判定される。
【0032】
なお、画像読取部1から出力される画像データがカラー画像データの場合、ブロック分割部2、平均濃度算出部3、統計処理部4、および白紙判定部5は、カラー画像データの各色成分(例えばRGBデータの場合、R成分、G成分、およびB成分)について、上述の処理を行い、白紙判定部5は、画像データのすべての色成分について白紙画像と判定した場合、原稿画像が白紙画像であると判定し、少なくとも1つの色成分について白紙画像ではないと判定した場合、原稿画像は白紙画像ではないと判定する。
【0033】
なお、ブロック分割部2、平均濃度算出部3、統計処理部4、および白紙判定部5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターでプログラムを実行することにより実現されたり、ASIC(Application Specific Integerated Circuit)で実現されたりする。
【0034】
次に、上記画像読取装置の動作について説明する。
【0035】
画像読取部1は、光学的に原稿画像を読み取り、1ページの原稿画像の画像データを出力する。原稿画像の画像データは、例えば図示せぬメモリーなどに一時的に記憶される。
【0036】
ブロック分割部2は、その原稿画像の画像データから各ブロック画像データを抽出し、平均濃度算出部3は、そのブロック画像データの平均濃度値を算出し、平均濃度データとして例えば図示せぬメモリーなどに一時的に記憶する。
【0037】
統計処理部4は、1ページの原稿画像に対するすべてのブロック画像のブロック画像データに対応する平均濃度値を読み出してその分布の特性値を特定し、平均濃度分布データとして例えば図示せぬメモリーなどに一時的に記憶する。
【0038】
そして、白紙判定部5は、統計処理部4により特定された特性値に基づいて、原稿画像が白紙画像であるか否かを判定する。
【0039】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像読取部1は、原稿画像を読み取り、原稿画像の画像データを出力する。平均濃度算出部3は、画像読取部1から出力された画像データにおける、原稿画像を分割して得られる複数のブロック画像のブロック画像データの平均濃度値を算出し、統計処理部4は、複数のブロック画像に対応する平均濃度値の分布の特性値を特定する。そして、白紙判定部5は、統計処理部4により特定された特性値に基づいて、原稿画像が白紙画像であるか否かを判定する。
【0040】
これにより、ブロック画像の平均濃度値の分布に基づいて原稿画像が白紙画像であるか否かを判定するため、背景における潜像部と背景部との違いの影響を受けにくい。したがって、潜像地紋を有する原稿について、高い精度で白紙ページを検出することができる。
【0041】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0042】
例えば、上記実施の形態において、統計処理部4は、平均濃度値の分布に基づく平均濃度値の標準偏差または分散を上述の特性値として特定するようにしてもよい。その場合、例えば図5に示すように、オブジェクトを含む原稿画像の場合には平均濃度値が広い範囲に分布するので、この特性値が所定の閾値以上であるときには、原稿画像が白紙画像ではないと判定され、この特性値が所定の閾値未満であるときには、原稿画像が白紙画像であると判定される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば、原稿画像における白紙ページの検出に適用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 画像読取部
3 平均濃度算出部
4 統計処理部
5 白紙判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6