(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記情報処理部は、各描画位置と描画対象の色彩との組み合わせを複数のグループに分類し、前記制御部は、すべての描画位置に対するレーザー光の照射が終了するまで前記回転機構の回転を繰り返しながらその回転のサイクルに応じて各グループを順に選択し、選択中のグループに含まれる描画位置にのみ前記レーザー光が照射され、かつ各描画位置にそれぞれその位置に対応する色彩につき前記照射条件登録部に登録されている照射条件に従ったレーザー光が照射されるように、前記レーザー光照射装置の動作を制御する、請求項1に記載されたレーザー印刷装置。
前記棒状体は筆記具であって、前記印刷条件入力部により入力される印刷条件情報には、当該筆記具の一端部にクリップが装着されているか否かを示す情報、または前記筆記具の周方向における印刷範囲からクリップに対応する角度範囲を除外するか否かを示す情報が含まれる、請求項1または2に記載されたレーザー印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、レーザー光の照射条件を変更することによって金属の表面に様々な色彩による描画を行うことが特許文献1,2に開示されているが、これらの文献に記載の印刷方法は、平板状の金属体を台の上に配置して、上方からレーザー光を走査するものである。円柱状の棒状体に加工された金属の外周面に特許文献1,2と同様の方法を適用すると、棒状体の長さ方向に対してはある程度の範囲への印刷を行うことができるが、棒状体の周方向に対して広い範囲に印刷をすることは不可能である。しかし、インパクトの高い印刷を行うには、周方向に対しても広い範囲に印刷できるようにする必要がある。
【0007】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、少なくとも外周面が金属である円筒状の棒状体の外周面の広い範囲に、カラー画像データを元にした絵柄を容易に印刷できるようにすると共に、印刷の範囲や印刷対象の絵柄を自由に変更できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるレーザー印刷装置は、少なくとも外周部が金属である円柱状の棒状体の外周面にレーザー光を照射することによって当該棒状体の外周面に所定の絵柄を印刷する装置である。なお、この明細書でいう「円柱状の棒状体」は内部が空洞のもの、すなわち円筒状のものを含み、また金属製の外周部の内側に金属以外の材料(樹脂など)が設けられた構成のものも含む。「絵柄」は、絵のほか、文字や記号を含む様々な形状を表すものであり、単一色で表される場合もあれば、複数種の色彩で表される場合もある。
【0009】
上記のレーザー印刷装置は、印刷対象の棒状体を絵柄の印刷範囲を露出させた状態で支持する支持ユニットと、棒状体を支持する支持ユニットを当該棒状体の中心軸の軸周りに回転させる回転機構とを具備する支持装置と、前記レーザー光を前記支持ユニットに支持された棒状体の軸方向に沿って走査するレーザー光照射装置と、コンピュータを含む制御装置とを備える。
【0010】
制御装置は、印刷対象の棒状体の周方向における印刷範囲を示す印刷条件情報を入力する印刷条件入力部と、印刷される絵柄の元となるカラー画像データを入力する画像データ入力部と、複数の色彩毎にその色彩を描画するためのレーザー光の照射条件が登録された照射条件登録部と、前記印刷条件情報が示す印刷範囲に応じて前記回転機構の回転範囲を設定して、この回転範囲とレーザー光の走査範囲との組み合わせに前記画像データ入力部より入力された画像データを対応づけて描画位置と描画対象の色彩との組み合わせを定める情報処理部と、前記情報処理部による処理の結果に基づき、前記棒状体の印刷範囲が前記レーザー光の走査軸に対応するラインを少なくとも1回通過するように前記回転機構の回転動作を制御しながら、前記ライン内の各描画位置にそれぞれその位置への描画対象の色彩につき前記照射条件登録部に登録されている照射条件に従ってレーザー光が照射されるように前記レーザー光照射装置の動作を制御する制御部とを具備する。
【0011】
上記の構成によれば、コンピュータを含む制御装置に対し、印刷対象の棒状体の周方向におけるどの範囲に絵柄を印刷するかを示す印刷条件情報と、印刷する絵柄の元データとなるカラー画像データとを入力することにより、制御装置によって、印刷条件情報が示す印刷範囲に絵柄を印刷するのに必要な回転機構の回転範囲が設定され、この回転範囲とレーザー光の走査範囲との組み合わせ、言い換えれば、印刷対象の面に近似する曲面に画像データが対応づけられ、その対応づけの関係に基づき描画位置と描画対象の色彩との組み合わせが定められる。
この後は、回転機構を駆動することによって支持ユニットおよび棒状体を回転させながら、棒状体の印刷範囲がレーザー光の走査軸に対応するラインを通過する間に各描画位置にそれぞれ描画対象の色彩に適合する条件に従ってレーザー光を照射することにより、印刷条件情報が示す印刷範囲に画像データに基づく絵柄を印刷することができる。
【0012】
上記構成のレーザー印刷装置によれば、回転範囲内の各回転位置に対するレーザー光の走査に支障がないように回転機構の回転速度を調整することによって、レーザー光の走査軸に対応するラインに対して棒状体の印刷範囲が1回通過する間に絵柄全体を描画することが可能になる。
【0013】
好ましい実施形態にかかるレーザー印刷装置では、情報処理部は、各描画位置と描画対象の色彩との組み合わせを複数のグループに分類する。制御部は、すべての描画位置に対するレーザー光の照射が終了するまで前記回転機構の回転を繰り返しながらその回転のサイクルに応じて各グループを順に選択し、選択中のグループに含まれる描画位置にのみレーザー光が照射され、かつ各描画位置にそれぞれその位置に対応する色彩につき前記照射条件登録部に登録されている照射条件に従ったレーザー光が照射されるように、前記レーザー光照射装置の動作を制御する。
【0014】
上記の実施形態によれば、回転機構の回転範囲内での回転のサイクルに合わせて各グループを順に選択し、選択されたグループに含まれる各照射位置にそれぞれその位置に対応する色彩の描画に必要な条件に従ってレーザー光を照射することにより、グループ毎の描画を順に行って絵柄を完成させることができる。回転機構の回転回数は増えるが、レーザー光の走査範囲全体にレーザー光を照射する必要はないので、レーザー光の走査間隔を狭くして、より綺麗な絵柄を印刷することが可能になる。
【0015】
本発明においては、前記棒状体として筆記具を印刷対象とする場合の一実施形態では、前記印刷条件入力部により入力される印刷条件情報には、当該筆記具の一端部にクリップが装着されているか否かを示す情報、または前記筆記具の周方向における印刷範囲からクリップに対応する角度範囲を除外するか否かを示す情報が含まれる。このような情報によれば、クリップが装着されていない筆記具や、クリップ付きの筆記具のクリップより下の範囲が印刷対象となる場合には、筆記具の全周にわたって絵柄を印刷することができる。また、クリップ付きの筆記具の当該クリップに対応する高さ範囲に印刷をする場合でも、クリップに対応する角度範囲のみを除く広い範囲に絵柄を印刷することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のレーザー印刷装置によれば、円筒状の棒状体の外周部を形成する金属の表面に対し、長さ方向および周方向の双方における印刷範囲を自由に設定して所望のカラー画像データによる図柄を容易に印刷することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明が適用されたレーザー印刷装置の構成例を示す正面図および上面図である。この実施例のレーザー印刷装置は、ステンレスやチタンなどの金属による軸筒10を有する筆記具1の外周面に所定の絵柄を印刷するためのもので、印刷対象の筆記具1を水平な姿勢で支持する支持装置2と、支持装置2に支持された筆記具1の軸筒10に上方よりレーザー光を照射するレーザー光照射装置3と、パーソナルコンピュータによる制御装置4(
図1には示さず。)とを備える。なお、印刷対象の筆記具1は、軸筒10が金属製であれば、ボールペン、シャープペンシル、万年筆などの種別を問わず、カラー画像データによる絵柄を印刷することができる。
【0019】
支持装置2は、筆記具1を両端部で支える一対の支持ユニット21,22と、これらの支持ユニット21,22を筆記具1の中心軸に沿う軸周りに回転させる回転機構20とを備える。回転機構20には、筆記具1のペン尻側を支持する第1の支持ユニット21に連結された第1回転軸201、筆記具1のペン先側を支持する第2の支持ユニット22に連結された第2回転軸202、これらの回転軸201,202を支える軸受けユニット25,26、回転軸201,202より後方に配置されるパルスモータ23および駆動軸24、駆動軸24を支える一対の軸受けユニット27,28などが含まれる。第1回転軸201と第2回転軸202とはそれぞれの軸心の位置を合わせた状態で支持されると共に、各回転軸201,202の軸受けユニット25,26より突出した端部に、それぞれプーリー205,206が設けられている。
【0020】
パルスモータ23(以下、単に「モータ23」という。)の駆動軸24は、前方のプーリー205,206の間の間隔よりやや長く、第1回転軸201および第2回転軸202に平行な姿勢で支持されている。また、駆動軸24の両端部にそれぞれ前方のプーリー205,206に対向するようにプーリー207,208が設けられ、プーリー205,207の間、およびプーリー206,208の間に、それぞれ伝達ベルト203,204が架けられている。
【0021】
筆記具1のペン尻側を支持する第1の支持ユニット21は、
図2に示すように、直方体状の本体の前面側に、筆記具1の軸筒10を嵌めこむための凹部21Aが形成される。この凹部21Aの中心部は第1回転軸201の軸心に位置合わせされる。また、第1の支持ユニット21の一面の幅中央部には、一辺から凹部21Aに至るまでの範囲に、クリップ11を収容するためのスリット21Bが形成されている。図示は省略するが、ペン先側を支持する第2の支持ユニット22の前面側にも、ペン先を嵌めこむための凹部が形成され、その凹部の中心部が第2回転軸202の軸心に位置合わせされている。筆記具1のペン尻側を第1の支持ユニット21の凹部21Aに嵌合させ、ペン先側を第2の支持ユニット22の図示しない凹部に嵌合させることにより、筆記具1は、その中心軸を各回転軸201,202の軸心に合わせた状態で支持される。
【0022】
上記の構成によりモータ23が回転すると、それに伴う駆動軸24の回転が両端のプーリー207,208および伝達ベルト203,204、ならびに前方のプーリー205,206を介して第1回転軸201および第2回転軸202に伝達される。よって、第1回転軸201および第2回転軸202ならびにこれらの回転軸に取り付けられた第1の支持ユニット21および第2の支持ユニット22を、同じ方向に同じ速度で回転させることができ、これらにより支持された筆記具1も同様に回転させることができる。
【0023】
各軸受けユニット25,26,27,28は平板状の支持台5に固定されている。この固定によって、支持装置2は支持台5の上面に一体に設けられた状態となり、各回転軸201,202や駆動軸24の間の関係も維持されて、筆記具1を安定して回転させることができる。
【0024】
なお、この実施例では、筆記具1の両端部をそれぞれ回転可能な支持ユニット21,22により支持しているが、この構成に限らず、たとえば、筆記具1のペン先側の支持ユニット22を固定して、この支持ユニット22にペン先からある程度の長さ範囲を回転自由に支持する溝部を設けて、この溝部内に軸筒10のペン尻側を収容し、支持ユニット21のみを回転させてもよい。
【0025】
この実施例の第1の支持ユニット21は第1回転軸201に対して着脱可能であり、第2の支持ユニット22も第2回転軸202に対して着脱可能である。したがって、軸筒10の太さが異なる複数種の筆記具1毎に第1の支持ユニット21と第2の支持ユニット22とのセットを準備しておけば、印刷対象の筆記具1に適したセットを選んで各回転軸201,202に取り付けることによって、様々なサイズの筆記具1に対して印刷を行うことができる。
【0026】
つぎに、この実施例のレーザー光照射装置3は、ファイバレーザー式のレーザー発振部31(
図3に示す。)が収容されたアンプユニット(図示せず)や、ガルバノミラーを含むレーザー光走査部32が収容されたヘッドユニット30や、アンプユニットおよびヘッドユニット30を所定の高さ位置で支える支柱33を備える。ヘッドユニット30は支持装置2の上方空間に突出し、その突出部分の底面に投光用レンズ(図示せず。)が装着された窓(図示せず。)が設けられている。レーザー発振部31から出たレーザー光は、レーザー光走査部32のガルバノミラーや投光用レンズを介して下方へと出射される。またガルバノミラーを動かすことによって、
図1(1)中の左右方向に沿ってレーザー光を走査することができる。
【0027】
この実施例では、支持装置2の各支持ユニット21,22に支持された筆記具1の上方にヘッドユニット30の投光用レンズが位置し、かつ各回転軸201,202や駆動軸24の軸方向がレーザー光の走査軸(後述するY軸)にほぼ平行になるように、支持装置2とレーザー光照射装置3とを位置合わせして配置する。この実施例では、支持台5を人の手で動かすことによってヘッドユニット30に対する支持装置2の位置合わせを行っているが、支持台5に代えてリニア駆動機構を有するステージ部6(
図3に示す。)の上に支持装置2を固定して、このステージ部6を自動で動かすようにしてもよい。
【0028】
図3は、上記のレーザー印刷装置における電気的構成を、パーソナルコンピュータによる制御装置4に設けられた機能と共に示したブロック図である。この実施例で制御装置4による制御対象となるのは、支持装置2のパルスモータ23と、レーザー光照射装置3のレーザー発振部31およびレーザー光走査部32であるが、支持装置2を動かすステージ部6が導入される場合には、ステージ部6の動作も制御装置4により制御される。
【0029】
この実施例の制御装置4には、印刷する絵柄や印刷対象の筆記具1における印刷範囲をユーザが自由に指定して、その指定に応じた印刷が行われるように支持装置2やレーザー光照射装置3の動作を制御するためのプログラムがインストールされている。このプログラムによって、制御装置4には、画像データ入力部41、印刷条件入力部42、情報処理部43、制御部44の各機能が設けられ、また、制御装置4のメモリに、照射条件登録部45として機能する領域が設けられる。照射条件登録部45には、あらかじめ実施された実験の結果に基づき、各種の色彩毎に、その色彩による描画を行うのに必要なレーザー光の照射条件を示す制御データ(たとえば、レーザー光源への駆動電流の強さ、発振周波数など)が登録されている。
【0030】
画像データ入力部41は、印刷する絵柄の元となるカラー画像データを指定するユーザの操作を受け付けて、指定された画像データを入力する。具体的には、USBメモリやCD−ROMなどの記憶媒体から画像データを読み出したり、インターネットなどを介して外部からの画像データの送信を受け付ける。なお、この実施例では、ビットマップなどのラスタ形式の画像データとベクタ形式の画像データとの双方を入力して処理することができる。
【0031】
印刷条件入力部42は、印刷対象の筆記具1の長さ方向および周方向における印刷範囲を指定する操作を受け付けるものである。たとえば、モニタに筆記具1の模式図を表示し、その模式図に対する範囲指定操作や軸筒10の径および長さ方向における印刷範囲の具体的な大きさを示す数値入力を受け付ける。また、あらかじめ各種筆記具1の軸筒10のサイズとそれぞれの型番とを紐付けたテーブルをメモリに登録しておけば、数値の入力に代えて型番の入力を受け付け、入力された型番によりテーブルを参照して軸筒10の径や長さを割り出し、これらと模式図等により指定された範囲とを組み合わせることができる。
【0032】
具体的な印刷範囲を指定する操作に代えて、印刷範囲を示すモデルデータを複数とおり登録しておき、いずれかのモデルデータを選択する操作を受け付けるようにしてもよい。または、長さ方向における印刷範囲とこの印刷範囲にクリップ11が含まれるか否かを指定する操作を受け付け、クリップ11を含まないという指定に対しては周方向の全周を印刷範囲とし、クリップ11が含まれるという指定に対しては、周方向の印刷範囲からクリップ11の幅に対応する角度範囲を除いてもよい。または、印刷対象の筆記具1がクリップ11を備えているか否かの選択を受け付けて、クリップを備えていないという選択に対しては周方向の全周を印刷範囲とし、クリップを備えているという選択に対しては、周方向の印刷範囲からクリップの幅に対応する角度範囲を除いてもよい。なお、クリップの幅に対応する角度範囲については、あらかじめ複数種の筆記具のクリップに対する計測を行って、これらのクリップのいずれでも含まれるような大きさの角度範囲が設定される。
【0033】
情報処理部43は、印刷条件入力部42により受け付けられた情報により筆記具の長さ方向における印刷範囲と周方向における印刷範囲とを判別し、長さ方向における印刷範囲をレーザー光の走査軸における走査範囲に置き換え、周方向における印刷範囲をモータ23の回転範囲に置き換える。
【0034】
具体的には、筆記具1の長さ方向における印刷範囲は、
図4に示すように、レーザー光が走査されるラインに沿う一次元の座標軸Yにおける走査開始点の座標Y
Lと走査終了点の座標Y
Rとにより表される。
【0035】
モータ23の回転範囲は回転角度と回転方向とにより表される。
図5は、第1の支持ユニット21およびこの支持ユニット21に支持された筆記具1の模式図を用いて、モータ23の回転範囲を表したものである。この実施例では、レーザー光が走査されるラインに対応する位置を基準位置として、第1の支持ユニット21のスリット21Bが形成された面が下向きかつ水平になったときに基準位置に対応づけられる回転位置を0度の位置とし、時計回り方向を正の方向、反時計回り方向を負の方向として、各回転位置を示す。よって、筆記具1の周方向における印刷範囲は、正方向側の回転における終点位置を基準位置に合わせるための回転角度+Lθと、負方向側の回転における終点位置を基準位置に合わせるための回転角度−Lθとにより表される。
【0036】
上記の方法により特定されたレーザー光の走査範囲とモータ23の回転範囲との組み合わせは、印刷条件入力部42が受け付けた印刷範囲内の軸筒10の表面に近似する曲面を表すものと考えることができる。情報処理部43は、画像データ入力部41より入力された画像データが示す2次元画像をこの曲面に対応づけ、この対応関係やレーザー光の走査間隔に基づき、各描画位置および各描画位置への描画対象の色彩を特定する。なお、描画位置は、
図4に示したY軸上の座標とモータ23の回転位置(正または負の回転角度)との組み合わせとして保存され、色彩は、照射条件登録部45の対応する制御データの識別情報に置き換えられて、描画位置に紐付けられて保存される。
【0037】
なお、この実施例では、筆記具1の長さ方向における印刷範囲と周方向における印刷範囲との双方の指定を受け付けているが、長さ方向における印刷範囲の長さを固定、またはあらかじめ登録された複数とおりの長さのいずれかに設定し、レーザー光の走査軸に対する支持装置2の位置を調整することによって、長さ方向における印刷範囲を調整するようにしてもよい。
【0038】
制御部44は、情報処理部43により保存された情報や照射条件登録部45に登録されている色彩毎の制御データに基づき、モータ23を回転させながら、各描画位置に対して描画対象の色彩に適合する制御データによる制御下でレーザー光が照射されるように、レーザー光発振部31やレーザー光走査部32の動作を制御する。筆記具1の毎時の回転位置に支障なくレーザー光が走査されるようにモータ23の回転角度を調整することによって、
図5に示した+Lθの位置から−Lθの位置までの範囲が基準位置を1回通過する間にすべての描画位置へのレーザー光の照射を完了することができる。ただし、描画の精度を高めるためにレーザー光の走査間隔を狭く設定する場合には、描画位置を複数のグループに分けて、上記の回転範囲内でのモータ23の往復動を繰り返しながら各グループを順に選択し、選択中のグループに含まれる描画位置にレーザー光を照射する。
【0039】
一例として、様々な直線や曲線を表すベクトルデータにより構成されるベクタ形式の画像データを元にした印刷を行う場合の処理について説明する。この場合には、情報処理部43が、画像データ中の各ベクトルデータの位置関係や繋がり状態などに基づき、画像を複数のセグメントにグループ分けし、グループ毎に描画位置および描画対象の色彩を示す情報を保存したデータファイルを作成する。ついで制御部44が、以下の処理を実行する。
【0040】
図6は、制御部44が実行する処理の概略手順を示し、
図7は、この処理により生じるモータ23の回転状態を、第1の処理ユニット21および筆記具1の回転状態に置き換えて示す。以下、適宜、
図6を参照しながら
図7の流れに沿って、制御部44により実施される制御を説明する。
【0041】
図6の手順は、印刷対象の筆記具1が各支持ユニット21,22に装着され、印刷の開始指示操作が行われたことを前提に開始される。まず制御部44は、選択するグループを特定するためのカウンタnに初期値の0をセットし(ステップS1)、モータ23に回転を開始させる(ステップS2)。ここでは、レーザー光を照射せずに正負の各方向にモータ23を1〜数回回転させ、その後に、モータ23が0度の位置まで回転したか否かを判別する(ステップS3)。なお、「0度の位置まで回転」とは、先に述べた基準位置に0度の位置が対応する状態、つまり回転角度が0度の状態を指す。その他の回転位置も同様に回転角度により判別される。具体的な回転角度は、モータ23に対する駆動パルスの出力回数やモータ23の回転方向によって判別される。
【0042】
図7(1)に示すように、モータ23の0度の位置が基準位置に達すると(ステップS3が「YES」)、制御部44は、カウンタnをインクリメントし(ステップS4)、モータ23を正方向に回転させる。この回転は、正方向の回転における終点である+Lθの位置までモータ23が回転するまで続けられる。この間に、制御部44は、n番目のグループのデータファイルから各描画位置および描画対象の色彩情報を読み出す(ステップS6)。
【0043】
+Lθの位置までモータ23が回転すると(ステップS7が「YES」)、制御部44は、
図7(2)に示すように、モータ23の回転方向を負方向に切り替え(ステップS8)、n番目のグループの各描画位置に対するレーザー光の照射を開始する(ステップS9)。具体的には、モータ23を一角度単位分回転させる都度、座標Y
LからY
Rまでの範囲にレーザー光が走査されるようにレーザー光走査部32を動かしながら、モータ23の現在の回転位置を含む描画位置のY座標に対してのみレーザー光を照射する。また、毎時のレーザー光の照射に際しては、描画位置に対応する色彩情報につき照射条件登録部45に登録されている制御データに従ったレーザー光の照射条件を設定する。
【0044】
こうして、
図7(3)に示すようにモータ23が−Lθの位置に達するまで上記の要領で選択中のグループに対するレーザー光の照射を行うことによって、選択中のグループに対応する描画を完了することができる。
【0045】
モータ23が−Lθの位置まで回転すると(ステップS10が「YES」)、制御部44は、モータ23の回転方向を再び正方向に切り替える(ステップS11)。未選択のグループがある場合(ステップS12が「NO」)には、ステップS3に戻り、モータ23の0度の位置が基準位置に戻ったことに応じて、カウンタnを更新し(ステップS4)、更新後のカウンタnが示すグループを対象にステップS5〜S11を実行する。以下も同様の手順を繰り返すことによって、設定された回転範囲内でのモータ23の往復動を繰り返しながら、各グループに対するレーザー光の照射制御を順に実行する。最後のグループに対する処理が終了すると(ステップS12が「YES」)、制御部44は、モータ23を0度の位置に戻るまで回転させた後にモータ23を停止する(ステップS13)。このとき、筆記具1の軸筒10の指定された印刷範囲に対する絵柄の印刷が完了し、処理終了となる。
【0046】
上記では、所定の形状を表すセグメントの単位で各描画位置のグループ分けを行ったが、グループ分けの方法はこれに限定されるものではない。たとえば、描画対象の色彩の種毎に描画位置のグループ分けを行えば、モータ23が回転範囲内で一往復する間に、選択されたグループに対する描画処理をこのグループに共通の制御データにより行うことができ、制御部44の負担を軽減することができる。
【0047】
なお、
図6に示した手順では、モータ23が負方向に回転している間にのみレーザー光の照射を行い、モータ23が正方向に沿って+Lθの位置まで回転する間にはレーザー光の照射を行わないようにしたが、これに限らず、+Lθの位置および−Lθの位置の双方でモータ23の回転方向の切り替えと共に処理対象のグループを切り替えて、正負いずれの方向の回転に対してもレーザー光を照射するようにしてもよい。
【0048】
また
図7では、クリップ付の筆記具1の全周囲からクリップ11に対応する角度範囲を除いて印刷を行う場合の回転状態を示したが、クリップ11が装着されていない筆記具1を処理対象とする場合、またはクリップ付の筆記具1の長さ方向においてクリップ11の装着範囲より下に印刷範囲が設定された場合には、軸筒10の全周を印刷範囲に設定することができる。この場合には、正方向および負方向ともに回転角度が180度になるまでモータ23を回転させながら、レーザー光を照射することができる。