特許第6016857号(P6016857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 千住金属工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000008
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000009
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000010
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000011
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000012
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000013
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000014
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000015
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000016
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000017
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000018
  • 特許6016857-ソルダペーストの印刷方法 図000019
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016857
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ソルダペーストの印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/22 20060101AFI20161013BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20161013BHJP
   B23K 35/363 20060101ALI20161013BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B23K35/22 310A
   B23K35/26 310A
   B23K35/363 C
   B23K35/363 E
   C22C13/00
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-164829(P2014-164829)
(22)【出願日】2014年8月13日
(62)【分割の表示】特願2013-520529(P2013-520529)の分割
【原出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2014-210291(P2014-210291A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年6月1日
【審判番号】不服2015-21195(P2015-21195/J1)
【審判請求日】2015年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-131465(P2011-131465)
(32)【優先日】2011年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 咲枝
【合議体】
【審判長】 板谷 一弘
【審判官】 河本 充雄
【審判官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−55607(JP,A)
【文献】 特開2001−160684(JP,A)
【文献】 特開平6−87090(JP,A)
【文献】 特開2007−222932(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/034758(WO,A1)
【文献】 特開2003−25089(JP,A)
【文献】 特開2003−11322(JP,A)
【文献】 特開2005−88528(JP,A)
【文献】 特開2001−291729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
B23K 3/06
B41F15/00-15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックスとはんだ粉末が混合されて生成され、開口部が形成されたマスク部材を介して基板にスキージで印刷されるソルダペーストの印刷方法であって、
前記マスク部材とスキージとの間に所定の隙間が設けられた状態として、減圧状態で前記マスク部材と前記スキージとの間の隙間を保ちながら前記スキージを移動させて、前記減圧状態で前記開口部及び前記マスク部材上に前記スキージでソルダペーストを供給して、前記開口部にソルダペーストを供給すると共に、前記マスク部材上及びソルダペーストが供給された前記開口部上にソルダペーストの被膜を形成した後、
ソルダペーストが供給された前記開口部上で被膜を形成しているソルダペーストを、前記減圧状態から大気圧に開放することにより、大気圧下で前記開口部に充填し、その後、前記マスク部材に前記スキージまたは前記スキージと異なる他のスキージを密着させた状態とし、大気圧下で前記スキージまたは前記他のスキージを移動させて、前記マスク部材上及び前記開口部上のソルダペーストの余剰分を前記スキージまたは前記他のスキージで掻き取る
ことを特徴とするソルダペーストの印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ粉末とフラックスが混合されて生成されたソルダペースト印刷方法に関し、特に、微小開口に充填可能されてはんだバンプを形成可能なソルダペーストの印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子基板を組み立てるために使用されるSMT工程の第一段階は、はんだ粉末とフラックスを混合して作成されるソルダペーストを基板上に適量供給することに始まる。ソルダペーストを基板上に供給する方法の中でスクリーン印刷といわれる工法がある。
【0003】
図10は、従来におけるスクリーン印刷法の一例を示す動作説明図である。スクリーン印刷では、図10(a)に示すように、基板101の電極102に合わせて開口部103が形成された鋼板で構成されるスクリーン104と、基板101を、図10(b)に示すように密着させる。
【0004】
図10(c)に示すように、スクリーン104上にソルダペーストSを乗せた状態で、図10(d)に示すように、スキージ105をスクリーン104に密着させながら矢印F方向に滑らせることで、ソルダペーストSを開口部103に充填し、次に、スキージ105によって余分なソルダペーストSを掻き取ることで、図10(e)に示すように、スクリーン104の開口部103のみにソルダペーストSが充填される。
【0005】
その後、図10(f)に示すように、スクリーン104と基板101を離脱させることで、スクリーン104の開口部103に充填されたソルダペーストSが基板101側に転写される。
【0006】
スクリーン印刷は、同じ機種の基板を連続的に生産する時に、最も安価で、正確にソルダペーストを供給できる方法として一般化しており、また、基板の小型化及び電極の狭ピッチ化に伴ってより極小極狭化したはんだ付け部にソルダペーストを供給できる方法としてその地位を維持している。
【0007】
ところで、SMT工程は、第一段階でソルダペーストの供給が行われるが、その後、部品搭載、次に加熱によるはんだ付けという工程をたどる。ソルダペーストの供給において不具合が発生すると、その後の工程である部品搭載、加熱によるはんだ付けがいくら最良条件であったとしても、供給の不具合をカバーできるものではない。
【0008】
従って、ソルダペーストの供給はSMT工程の中で、最も重要な工程とされている。印刷時の不具合対策には、ソルダペーストの粘性及びはんだ粉末粒径の最適化や、印刷条件の最適化等が過去に検討され、一応の印刷工法が確立されつつある。
【0009】
他方、電子デバイスの組み立てにおいて、特にデバイスにはんだバンプを形成させる方法としてフィルム法と称される印刷方法がある。図11は、従来におけるフィルム法の一例を示す動作説明図である。
【0010】
フィルム法では、図11(a)に示すように、基板101上にフィルム106を貼り付け、図11(b)に示すように、ソルダペーストを供給したい場所をエッチングで除去してフィルム106に開口部107を形成する。
【0011】
図11(c)に示すように、フィルム106上にソルダペーストSを乗せた状態で、図11(d)に示すように、スキージ105をフィルム106に密着させながら滑らせることで、ソルダペーストSを開口部107に充填し、次に、スキージ105によって余分なソルダペーストSを掻き取ることで、フィルム106の開口部107のみにソルダペーストSが充填される。
【0012】
次に、フィルム106が貼着された状態で、基板101をリフロー炉に投入し、図11(e)に示すようにはんだバンプ108を形成し、その後、図11(f)に示すように、フィルム106を剥離剤で基板101から剥離させる。
【0013】
上述したスクリーン印刷法では、電極の狭ピッチ化が進み、スクリーンに形成される開口部が微小になると、スクリーンを基板から離すとき、ソルダペーストがスクリーンの開口部に残り、基板から離れてしまい、十分なはんだ量が充填されないことがある。これに対し、フィルム法では、ソルダペーストを溶融してはんだバンプを形成した後、フィルムを剥離することで、はんだバンプが基板の電極側に形成されるため、はんだ量が一定になる。
【0014】
一方、スクリーン印刷法の分野では、ペースト状またはインク状の塗布物を、大気圧下でスキージにより被印刷物に印刷した後、被印刷物を所定の高真空下に置くことで気泡を発生させ、発生した気泡をスキージで掻き取ると共に、被印刷物を大気圧下に戻し気泡を更に破壊するようにして、塗布物中の気泡を除去できるようにした技術が提案されている(例えは、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第4198972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、スクリーン印刷法及びフィルム法共に、開口部の微小化が進むと、ソルダペーストが開口部に進入する時に完全に開口部内をソルダペーストで充填できず、適量の印刷量が得られない場合がある。
【0017】
図12は、従来の問題点を示す説明図である。図12(a)、図12(b)及び図12(c)では、スクリーン印刷法を例に説明する。図12(a)に示すように、スクリーン104に形成された開口部103の開口巾L1と、スクリーン104の厚さL2の割合をアスペクト比(L2/L1)という。アスペクト比が0.5を越えると、スキージによる押圧力では、開口部の全体をソルダペーストで埋めることができなくなる。
【0018】
開口部にソルダペーストが充填されるには、開口部内の空気がソルダペーストと入れ替わる必要がある。開口部が極小になってアスペクト比が大きくなると、ソルダペーストが開口部に進入する際に空気の逃げ道がなくなるために、図12(b)に示すように、開口部103の底付近に空気層110が形成され、ソルダペーストSが開口部103の底の電極102に接触しない状態となることがある。
【0019】
このため、開口部が極小になってアスペクト比が大きくなると、スクリーン印刷法では、図12(c)に示すように、スクリーン104を基板101から離脱させると、印刷量が少なくなる等、印刷の状態が不安定になる。また、フィルム法では、形成されるはんだバンプの高さが不安定になる。更に、印刷時にソルダペーストが開口部の底の電極に接触しない状態となることで、加熱時にフィルムの開口部に溶解したはんだが詰まり、基板にはんだバンプが形成されない所謂ミッシングバンプが発生する。
【0020】
また、ソルダペーストが印刷された基板を真空下に置き、気泡を除去しようとしても、開口部の微小化が進むと、スキージによる押圧力では、気泡除去後の開口部の全体をソルダペーストで埋めることができない。
【0021】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、微小開口に充填可能なソルダペーストの印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、所定の減圧状態で基板にソルダペーストの印刷を行って、スクリーンあるいはフィルムの開口部にソルダペーストを供給した後、基板を大気圧下に置くことで、開口部内に空間がある場合にこの空間を負圧にして、大気圧でソルダペーストを開口部に充填できることを見出した。
【0023】
一方、ソルダペーストが印刷される基板が置かれる環境を減圧下と大気圧下に切り替えての印刷でも、従来のソルダペーストでは、微小化が進む開口部には充填できない場合がある。
【0024】
そこで、本発明者らは、ソルダペーストの粘性により、ソルダペーストが印刷される基板が置かれる環境を減圧下と大気圧下に切り替えての印刷で、微小開口にソルダペーストが充填可能であることを見出した。更に、ソルダペーストを構成するフラックス中の溶剤の減圧下での揮散を抑えることで、ソルダペーストの粘性の変化を抑えることを見出した。
【0025】
本発明は、フラックスとはんだ粉末が混合されて生成され、開口部が形成されたマスク部材を介して基板にスキージで印刷されるソルダペーストの印刷方法であって、マスク部材とスキージとの間に所定の隙間が設けられた状態として、減圧状態前記マスク部材と前記スキージとの間の隙間を保ちながら前記スキージを移動させて、前記減圧状態で前記開口部及び前記マスク部材上に前記スキージでソルダペーストを供給して、前記開口部にソルダペーストを供給すると共に、前記マスク部材上及びソルダペーストが供給された前記開口部上にソルダペーストの被膜を形成した後、ソルダペーストが供給された前記開口部上で被膜を形成しているソルダペーストを、前記減圧状態から大気圧に開放することにより、大気圧下で前記開口部に充填し、その後、前記マスク部材に前記スキージまたは前記スキージと異なる他のスキージを密着させた状態とし、大気圧下で前記スキージまたは前記他のスキージを移動させて、前記マスク部材上及び前記開口部上のソルダペーストの余剰分を前記スキージまたは前記他のスキージで掻き取るソルダペーストの印刷方法である。
【0026】
ソルダペーストは、粘度を50〜150Pa・s、チキソ比を0.3〜0.5とすることが好ましい。また、ソルダペーストは、減圧下での揮散が抑えられる沸点を持つ溶剤を含むフラックスと、はんだ粉末が混合されて生成される。フラックスは、沸点が240℃以上の溶剤が用いられ、溶剤はオクタンジオールであることが好ましい。
【0027】
本発明では、開口部が形成されたマスク部材にソルダペーストが供給され、所定の減圧下で基板にソルダペーストの印刷が行われる。減圧下での印刷の後、基板の置かれる環境を大気圧とすることで、ソルダペーストが大気圧で開口部に充填される。減圧下での印刷では、マスク部材上に所定の厚さでソルダペーストの被膜を形成することで、基板の置かれる環境を大気圧とすることにより、マスク部材上のソルダペーストの被膜を利用して、ソルダペーストが大気圧で開口部に充填される。
【0028】
フィルム法では、マスク部材上の余剰分のソルダペーストを掻き取り、基板を加熱してソルダペーストを溶融させてはんだバンプを形成した後、マスク部材を基板から剥離する。スクリーン印刷法では、マスク部材上の余剰分のソルダペーストを掻き取り、マスク部材を基板から離脱させた後、電子部品等が搭載され、基板を加熱することではんだ付けが行われる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のソルダペーストの印刷方法は、所定の減圧状態で基板にソルダペーストの印刷を行って、マスク部材の開口部にソルダペーストを供給した後、基板を大気圧下に置くことで、開口部内に空間がある場合でも、大気圧でソルダペーストを開口部に充填することができる。

【0030】
これにより、フィルム法においては、はんだバンプの高さのばらつきを抑制することができると共に、はんだバンプが形成されないミッシングバンプを抑制することができる。
【0031】
また、スクリーン印刷法においては、微小開口であっても確実に印刷量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施の形態のはんだ印刷機の一例を示す構成図である。
図2】本実施の形態のはんだ印刷機の制御機能の一例を示す機能ブロック図である。
図3】本実施の形態におけるソルダペーストの印刷方法の一例を示す動作説明図である。
図4】真空状態での放置時間と減量の関係を示すグラフである。
図5】ソルダペーストの粘性とはんだバンプの高さの関係を示すグラフである。
図6】ソルダペーストの粘性とはんだバンプの高さの関係を示すグラフである。
図7】実施例としてのはんだバンプの形成状態を示す顕微鏡写真である。
図8】実施例としてのはんだバンプの形成状態を示す顕微鏡写真である。
図9】比較例としてのはんだバンプが形成されなかった状態を示す顕微鏡写真である。
図10】従来におけるスクリーン印刷法の一例を示す動作説明図である。
図11】従来におけるフィルム法の一例を示す動作説明図である。
図12】従来の問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<本実施の形態のソルダペーストの組成例>
本実施の形態のソルダペーストは、マスク部材としてスクリーンを使用したスクリーン法、あるいは、マスク部材としてフィルムを使用したフィルム法で基板に印刷される。本実施の形態のソルダペーストは、スクリーン法またはフィルム法での印刷が、所定の減圧状態、本例では真空状態で行われる。
【0034】
本実施のソルダペーストは、真空状態での揮散が抑えられる成分の溶剤を含むフラックスが、はんだ粉末と混合されて生成される。また、本実施のソルダペーストは、真空状態での印刷では、スキージによる押圧力でスクリーンまたはフィルムの開口部に押し込まれ、かつ、真空状態から大気圧に開放されると、大気圧で開口部に押し込まれる粘性を持つ。
【0035】
物質の揮散の度合いはその物質の蒸気圧に依存する。ある物質のある温度における蒸気圧は一意に決まり、蒸気圧が外圧と等しくなる温度である沸点で物質の揮散が最大となる。一般的に、真空状態での物質の揮散は、沸点が高い物質の方が沸点が低い物質より抑えられる傾向がある。
【0036】
そこで、本実施の形態のソルダペーストでは、沸点が所定温度以上の溶剤を含むフラックスを用いる。本例では、沸点が240℃以上の溶剤を用いることが好ましく、例えば、沸点が243.2℃のオクタンジオールを用いる。
【0037】
また、ソルダペーストの粘性においては、スキージによる押圧力と大気圧でスクリーンまたはフィルムの開口部にソルダペーストを充填できるようにし、特に、微小開口であってもソルダペーストを充填できるようにするため、粘度を低くすることが好ましい。更に、変位に対する応力が少ない低いチキソ比であることが好ましい。本例では、ソルダペーストの粘度を50〜150Pa・s、チキソ比を0.3〜0.5とすることが好ましい。
【0038】
<本実施の形態のはんだ印刷機の構成例>
図1は、本実施の形態のはんだ印刷機の一例を示す構成図で、マスク部材としてフィルムを使用したフィルム法に適用した場合を示すものである。本実施の形態のはんだ印刷機1Aは、基板11にソルダペーストSの印刷を行う印刷機構2と、印刷機構2でソルダペーストSが印刷される基板11を支持する基板支持機構3と、印刷機構2及び基板支持機構3が収容される印刷室4を備える。
【0039】
はんだ印刷機1Aでは、基板11の所定の位置にソルダペーストSを印刷するため、基板11に貼着されるフィルム状のフィルム12が用いられる。フィルム12は感光性を有し、所定の波長域の光、本例では紫外線(UV)の照射で硬化する性質を持つ。基板11は、ソルダペーストSが印刷される面にフィルム12が貼着され、ソルダペーストSを印刷する電極部の位置以外に紫外線が照射される。
【0040】
基板11では、紫外線が照射された部位のフィルム12が硬化して、ソルダペーストSを印刷しない位置がフィルム12で被覆される。また、基板11では、紫外線が照射されない部位のフィルム12が薬剤等で除去されることで、ソルダペーストSが印刷される電極等の位置に合わせて、所定の大きさの開口部13が形成される。
【0041】
印刷機構2は、フィルム12が貼着された基板11に沿った所定の印刷方向に移動して、ソルダペーストSの充填と掻き取りを行う第1のスキージ20a及び第2のスキージ20bを備える。また、印刷機構2は、第1のスキージ20a及び第2のスキージ20bが設けられたスキージ部21と、第1のスキージ20a及び第2のスキージ20bを所定の印刷方向に移動させるスキージ移動機構22を備える。
【0042】
第1のスキージ20aと第2のスキージ20bは、ゴム、樹脂または金属等の単一の材料による板状の部材、あるいは、フィルム12と接する部位がゴムで構成され、他の部位が金属で構成される等、これらの材料を組み合わせてなる板状の部材で構成される。
【0043】
印刷機構2は、スキージ移動機構22によって移動するスキージ部21の移動方向が、ガイド部材22aでガイドされ、フィルム12が貼着された基板11に沿ってスキージ部21が往復移動可能に構成される。印刷機構2は、スキージ部21の往復移動によって、第1のスキージ20aと第2のスキージ20bが、フィルム12が貼着された基板11に沿った第1の印刷方向FAと、第1の印刷方向FAと逆向きの第2の印刷方向FBに移動する。
【0044】
印刷機構2は、第1のスキージ20aを昇降させる第1のスキージ昇降機構23aと、第2のスキージ20bを昇降させる第2のスキージ昇降機構23bを、スキージ部21に備える。
【0045】
印刷機構2は、第1のスキージ昇降機構23aによって、第1のスキージ20aが昇降方向UAに移動し、フィルム12が貼着された基板11に対して第1のスキージ20aが離接する方向に移動する。
【0046】
印刷機構2は、昇降方向UAに沿った第1のスキージ20aの移動量が制御されることで、第1のスキージ20aの下端とフィルム12との距離H、フィルム12に対して第1のスキージ20aの成す角であるアタック角、及び、第1のスキージ20aによるフィルム12に対する押圧力等が調整可能に構成される。
【0047】
印刷機構2では、第2のスキージ20b側も同様の構成で、第2のスキージ昇降機構23bによって、第2のスキージ20bが昇降方向UBに移動し、フィルム12が貼着された基板11に対して第2のスキージ20bが離接する方向に移動する。
【0048】
印刷機構2は、昇降方向UBに沿った第2のスキージ20bの移動量が制御されることで、第2のスキージ20bの下端とフィルム12との距離H、フィルム12に対して第2のスキージ20bの成す角であるアタック角、及び、第2のスキージ20bによるフィルム12に対する押圧力等が調整可能に構成される。
【0049】
印刷機構2は、第1のスキージ昇降機構23aと第2のスキージ昇降機構23bがスキージ部21に備えられることで、第1のスキージ20aと第2のスキージ20bが、独立して昇降方向に移動すると共に、昇降方向における位置を設定された位置で保ち、所定の印刷方向へ移動する。
【0050】
基板支持機構3は、フィルム12が貼着された基板11が載置されるステージ30と、ステージ30を移動させるステージ移動機構31を備える。ステージ30は、フィルム12が貼着された任意の大きさの基板11を、着脱可能に保持するクランプ機構32を備える。ステージ移動機構31は、ステージ30を昇降及び水平移動させる機構を備え、フィルム12が貼着された基板11の位置合わせが行われる。
【0051】
印刷室4は、上述した印刷機構2と基板支持機構3が収容される空間で構成され、真空ポンプ40とバルブ41を備える。印刷室4は、バルブ41を閉じることで気密性が保たれ、真空ポンプ40により排気が行われることで、所望の真空状態となる。また、印刷室4は、バルブ41を開くことで、真空状態から大気圧に開放される。
【0052】
<本実施の形態のはんだ印刷機の機能構成例>
図2は、本実施の形態のはんだ印刷機の制御機能の一例を示す機能ブロック図である。はんだ印刷機1Aは、マイクロコンピュータ等で構成される制御部100を備える。制御部100は制御手段の一例で、記憶部100aに記憶されたプログラムを実行して、操作部100bでの設定に基づき、基板にソルダペーストを印刷する一連の処理を行う。
【0053】
制御部100は、基板11にソルダペーストSを印刷する一連の処理を実行するプログラムで予め設定された工程に従い、真空ポンプ40とバルブ41を制御して、図1に示す印刷室4を、真空状態と大気圧に開放された状態に切り替える。
【0054】
また、制御部100は、スキージ移動機構22を制御して、図1で説明した第1のスキージ20a及び第2のスキージ20bを、第1の印刷方向FAと第2の印刷方向FBに移動させる。更に、制御部100は、第1のスキージ昇降機構23aを制御して、第1のスキージ20aを昇降方向UAに移動させ、第2のスキージ昇降機構23bを制御して、第2のスキージ20bを昇降方向UBに移動させる。また、制御部100は、ステージ移動機構31を制御して、ステージ30を昇降及び水平移動させる。
【0055】
制御部100は、印刷室4を真空状態とする工程では、基板11に貼着されたフィルム12の開口部13に、第1のスキージ20aまたは第2のスキージ20bの印刷方向の動きでソルダペーストSを充填する。また、フィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填する第1のスキージ20aまたは第2のスキージ20bの印刷方向の動きで、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成する。
【0056】
このため、制御部100は、印刷室4を真空状態とする工程では、第1のスキージ20aまたは第2のスキージ20bの下端と、フィルム12との間に、所定の隙間が設けられた状態とする。
【0057】
すなわち、制御部100では、第1のスキージ20aの下端とフィルム12との間の距離Hが、第1のスキージ20aの第1の印刷方向FAの動きで、フィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填でき、かつ、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成できる所定の隙間に設定される。
【0058】
あるいは、制御部100では、第2のスキージ20bの下端とフィルム12との間の距離Hが、第2のスキージ20bの第2の印刷方向FBの動きで、フィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填でき、かつ、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成できる所定の隙間に設定される。
【0059】
一方、制御部100は、印刷室4を大気圧に開放された状態とする工程では、フィルム12上で被膜を形成しているソルダペーストSを、大気圧でフィルム12の開口部13に充填する。また、第1のスキージ20aまたは第2のスキージ20bの印刷方向の動きで、フィルム12上のソルダペーストSの被膜を掻き取る。
【0060】
このため、制御部100は、印刷室4を大気圧に開放された状態とする工程では、第1のスキージ20aまたは第2のスキージ20bを、フィルム12に押圧された状態とする。
【0061】
すなわち、制御部100では、第1のスキージ20aの第1の印刷方向FAの動きで、フィルム12上のソルダペーストSの被膜を掻き取ることができるように、フィルム12に対する第1のスキージ20aのアタック角、及び押圧力等が設定される。
【0062】
あるいは、制御部100では、第2のスキージ20bの第2の印刷方向FBの動きで、フィルム12上のソルダペーストSの被膜を掻き取ることができるように、フィルム12に対する第2のスキージ20bのアタック角、及び押圧力等が設定される。
【0063】
制御部100は、第1のスキージ20a及び第2のスキージ20bの往復移動でソルダペーストSの印刷を行う設定では、第1のスキージ20aと第2のスキージ20bの一方で、フィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填すると共に、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成する。また、第1のスキージ20aと第2のスキージ20bの他方で、フィルム12上のソルダペーストSの被膜を掻き取る。
【0064】
本例では、制御部100は、印刷室4を真空状態とする工程では、第1のスキージ20aの下端とフィルム12との間に所定の隙間が設けられた状態とすると共に、第2のスキージ20bを上方に退避させる。そして、第1の印刷方向FAに移動させた第1のスキージ20aで、フィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填すると共に、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成する。
【0065】
また、制御部100は、印刷室4を大気圧に開放された状態とする工程では、第2のスキージ20bをフィルム12に押圧された状態とすると共に、第1のスキージ20aを上方に退避させる。そして、第2の印刷方向FBに移動させた第2のスキージ20bで、フィルム12上のソルダペーストSの被膜を掻き取る。
【0066】
<本実施の形態のはんだ印刷機の動作例>
図3は、本実施の形態におけるソルダペーストの印刷方法の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して、本実施の形態のはんだ印刷機におけるソルダペーストSの印刷動作について説明する。
【0067】
基板11は、上述したように、ソルダペーストSが印刷される面にフィルム12が貼着され、ソルダペーストSを印刷する電極14等の位置を覆い紫外線が照射される。基板11では、図3(a)に示すように、紫外線が照射された部位のフィルム12が硬化して、ソルダペーストSを印刷しない位置がフィルム12で被覆される。また、基板11では、紫外線が照射されない部位のフィルム12が薬剤等で除去されることで、ソルダペーストSが印刷される電極14等の位置に合わせて、所定の大きさの開口部13が形成される。
【0068】
はんだ印刷機1Aでは、フィルム12が貼着された基板11がステージ30にセットされる。制御部100は、ステージ移動機構31を制御して、ステージ30を昇降及び水平移動させ、フィルム12が貼着された基板11の位置合わせを行う。
【0069】
制御部100は、印刷室4を真空状態とする工程では、第1のスキージ昇降機構23aを制御して、第1のスキージ20aを昇降方向UAに移動させ、基板11に貼着されたフィルム12と、第1のスキージ20aとの間に所定の隙間が設けられた状態とする。
【0070】
すなわち、制御部100は、第1のスキージ20aの下端とフィルム12との間の距離Hを、第1のスキージ20aの第1の印刷方向FAの動きで、フィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填でき、かつ、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成できる所定の隙間とする。本例では、第1のスキージ20aの下端とフィルム12との間の距離Hは、約1mmに設定される。なお、印刷室4を真空状態とする工程では、第2のスキージ20bを上方に退避させる。
【0071】
制御部100は、バルブ41を閉じることで印刷室4を気密が保たれた状態とし、真空ポンプ40を駆動して印刷室4内の排気を行うことで、印刷室4内を所定の真空状態とする。
【0072】
制御部100は、スキージ移動機構22を制御して、基板11に貼着されたフィルム12と第1のスキージ20aとの間の隙間を保ち、第1のスキージ20aを第1の印刷方向FAに移動させる。これにより、図3(b)に示すように、フィルム12上に供給されたソルダペーストSは、フィルム12の開口部13に充填されると共に、フィルム12上にソルダペーストSの被膜が形成される。本例では、フィルム12上のソルダペーストSの被膜は、約1mmの厚さを持つ。
【0073】
ここで、開口部13が微小になり、アスペクト比が0.5を超えるような場合、スキージによる押圧では、真空下での印刷であっても、図3(c)に示すように、ソルダペーストSと開口部13の底との間に隙間15が残り、ソルダペーストSが開口部13の底の電極14に接触しない状態となることがある。
【0074】
そこで、大気圧を利用して、ソルダペーストSを開口部13に充填する。すなわち、制御部100は、バルブ41を開くことで、印刷室4を真空状態から大気圧に開放する。
【0075】
印刷室4を真空状態から大気圧に開放することで、ソルダペーストSと開口部13の底との間に隙間15が形成されている場合、この隙間15内が負圧となり、フィルム12上で被膜を形成しているソルダペーストSが、図3(d)に示すように、大気圧Pで開口部13に押し込まれる。
【0076】
印刷室4を真空状態とする工程で、フィルム12上に所定の厚さでソルダペーストSの被膜を形成しておくことで、印刷室4を大気圧に開放する工程で、フィルム12の厚さ方向においても開口部13の全体をソルダペーストSで埋めることができる。
【0077】
制御部100は、印刷室4を大気圧に開放された状態とする工程では、第2のスキージ昇降機構23bを制御して、第2のスキージ20bを昇降方向UBに移動させ、基板11に貼着されたフィルム12に第2のスキージ20bが押圧された状態とする。
【0078】
すなわち、制御部100は、フィルム12に対する第2のスキージ20bのアタック角、及び押圧力等を、第2のスキージ20bの第2の印刷方向FBの動きで、フィルム12上のソルダペーストSの被膜を掻き取ることができる値に設定する。なお、印刷室4を大気圧に開放された状態とする工程では、第1のスキージ20aを上方に退避させる。
【0079】
制御部100は、スキージ移動機構22を制御して、基板11に貼着されたフィルム12に第2のスキージ20bを密着させた状態を保ち、第2のスキージ20bを第2の印刷方向FBに移動させる。これにより、図3(e)に示すように、フィルム12上に残るソルダペーストSの被膜を余剰分が掻き取られる。
【0080】
以上の印刷工程では、印刷室4を真空状態から大気圧に開放された状態に切り替えることで、開口部13が微小であっても、スキージによる押圧力と大気圧を利用して、ソルダペーストSをフィルム12の開口部13に確実に充填できる。
【0081】
フィルム12の開口部13にソルダペーストSが充填された基板11は、リフロー炉で加熱されることでソルダペーストSを溶融させてはんだバンプが形成され、はんだバンプを形成する工程の後、フィルム12を剥離する。これにより、基板11の電極14にはんだバンプが形成される。ソルダペーストSの印刷工程で、ソルダペーストSをフィルム12の開口部13に確実に充填できることで、基板11の各電極14等に、確実にはんだバンプを形成することができる。
【0082】
ここで、鋼板によるスクリーンを利用したスクリーン法では、基板にソルダペーストを印刷した後、基板からスクリーンを離し、基板単体でリフロー炉での加熱が行われる。電極の狭ピッチ化が進み、スクリーンに形成される開口部が微小になると、開口部にソルダペーストが確実に充填されていても、スクリーンを基板から離すとき、ソルダペーストがスクリーンの開口部に残り、基板から離れてしまうことがある。
【0083】
これに対し、フィルム12を使用したフィルム法では、上述したようにはんだ印刷機1Aを使用してフィルム12の開口部13にソルダペーストSを充填した後、フィルム12が貼着された状態で基板11をリフロー炉で加熱する。そして、基板11を加熱することでソルダペーストSを溶融してはんだバンプを形成した後、フィルム12を剥離する。これにより、はんだバンプは基板11の電極14側に残り、フィルム12側に付いて電極14から剥離することが抑制される。
【0084】
なお、以上の印刷方法では、印刷室4を真空状態とする工程では、第1のスキージ20aとフィルム12の間に所定の隙間を設けることで、フィルム12上にソルダペーストSの被膜を形成するようにした。これに対して、印刷室4を真空状態とする工程で、第1のスキージ20aをフィルム12に密着させてソルダペーストSの印刷を行っても良い。
【0085】
真空状態で第1のスキージ20aをフィルム12に密着させてソルダペーストSの印刷を行った後、印刷室4を大気圧に開放すると、ソルダペーストSと開口部13の底との間に隙間が形成されている場合、この隙間15内が負圧となり、開口部13に充填されているソルダペーストSが、大気圧で開口部13に押し込まれる。大気圧で開口部13に押し込まれることによるソルダペーストSの不足分は、大気圧下での第2のスキージ20bによる動作で充填される。
【実施例】
【0086】
本実施の形態のソルダペーストSは、上述したように、はんだ印刷機1Aの印刷室4を真空状態にして、基板11に印刷される。このように、ソルダペーストSは、大気圧に対して減圧環境に晒されるため、ソルダペースト中のフラックスが減圧によって揮散しないこと、及び、印刷室4が減圧状態から大気圧に開放されると、短時間で開口部13内がソルダペーストSで埋まるような粘性にする必要がある。
【0087】
ソルダペーストSに使用するフラックスは、固形分と溶剤で構成されており、溶剤が真空状態で揮散すると、印刷室4を真空状態として印刷をしている間にソルダペーストSが粘度変化を起こして、印刷性を不安定にさせる。そこで、真空状態での印刷で溶剤の揮散が発生しにくいものを選定する目的で、真空中での溶剤の揮散度を検証した。
【0088】
約10ccの溶剤をシャーレに載せ、載せた溶剤の重量を量っておく。これを5Paの真空状態に放置し、1時間おきに大気圧に戻して減量した分を測定する。溶剤は、以下の表1に示すように、沸点の異なる3種類を選んで、溶剤の種類による減量の大きさを測定した。
【0089】
【表1】
【0090】
図4は、真空状態での放置時間と減量の関係を示すグラフである。図4に示すように、溶剤の沸点によって減量の度合いが異なり、沸点の低い溶剤の方が減量が大きく、沸点の高い溶剤の方が真空状態での揮散が少ないことが判った。
【0091】
上述した真空中での揮散度の検証結果から、ソルダペーストSに使用するフラックスに含まれる溶剤を、沸点が240℃以上の溶剤、本例では沸点が243.2℃のオクタンジオールとし、以下の表2に示す組成率でフラックスを生成した。なお、以下に示す各組成率は質量%である。
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示すA〜Cのフラックスと、はんだ粉末(組成:Sn-3Ag-0.5Cu, 粒径: 6μm以下)を混合し、フラックスが質量%で12%になるようにソルダペーストを生成した。このソルダペーストの粘度及びチキソ比を計測した。
【0094】
粘度及びチキソ比の計測は、二重円筒管型回転粘度計を使用する。粘度計に試料をセットし、ソルダペーストを25℃ に調整する。以下の表3に示す回転数及び計測時間で順次粘度を測定する。Dを粘度値とし、3回転時と30回転時の粘度から以下の(1)式でチキソ比を求めた。
【0095】
【表3】
【0096】
【数1】
【0097】
表2に示すA〜Cのフラックスを使用して生成したソルダペーストの粘度とチキソ比を以下の表4に示す。
【0098】
【表4】
【0099】
次に、フィルムが貼着された基板として、以下の表5に示す仕様のシリコンウェハを用意し、表4に示す3種類の粘性のソルダペーストを開口部に充填し、250℃のホットプレート上ではんだを溶解させて、はんだバンプを形成させた。その後、炭化水素系洗浄液でフラックス残渣を洗い落とし、超音波顕微鏡でバンプ高さを測定した。計測点数は30点とした。
【0100】
【表5】
【0101】
実施例として、真空状態と大気圧に開放された状態の切り替えが行える上述した図1に示すようなはんだ印刷機を用い、印刷室4を真空状態とすると共に、スキージと印刷面との間に所定の隙間、本例では1mm程度の隙間を形成して印刷を行い、ソルダペーストを開口部にスキージの押圧力で充填すると共に、ソルダペーストの被膜を形成した。次に、印刷室を真空状態から大気圧に開放し、ソルダペーストを大気圧で開口部に充填すると共に、印刷面にスキージを密着させて余剰分のソルダペーストを掻き取った。比較例として、同じはんだ印刷機を使用し、真空状態での印刷を行わない条件で、大気圧下での印刷を行い、両者の比較を行った。
【0102】
図5及び図6は、ソルダペーストの粘性とはんだバンプの高さの関係を示すグラフであり、図5は、開口部のアスペクト比が1.3の場合、図6は、開口部のアスペクト比が1.67の場合を示す。
【0103】
また、図7及び図8は、実施例として、はんだバンプの形成状態を示す顕微鏡写真で、図7はアスペクト比が1.3の場合におけるバンプ形成状態を示し、図8はアスペクト比が1.67の場合におけるバンプ形成状態を示す。図9は、比較例として、はんだバンプが形成されなかった状態を示す顕微鏡写真である。
【0104】
図5及び図6のグラフでは、矢印の上限はバンプ高さの最大値(max)で、矢印の下限はバンプ高さの最小値(mim)である。バンプ高さの平均をグラフにプロットした。バンプ高さの計測結果から、アスペクト比が大きくなると、バンプ高さがゼロになる、つまり、図9に示すようなはんだバンプが形成されないミッシングバンプEの発生頻度が増すことが判る。
【0105】
また、真空状態と大気圧に開放する状態を切り替えての印刷と、大気圧状態のみでの印刷では、真空状態と大気圧に開放する状態を切り替えての印刷の方が、バンプ高さが高くかつ安定していることが判る。これは真空状態と大気圧に開放する状態を切り替えての印刷の方が、開口部にソルダペーストが安定して埋め込まれることを意味している。
【0106】
一方、ソルダペーストの粘性においては、表4に示す粘性Aのソルダペーストと粘性Bのソルダペーストでは、真空状態と大気圧に開放する状態を切り替えての印刷を行った場合、図5及び図6に示すように、アスペクト比の大小にかかわらず安定したバンプ高さになっていることが判る。これに対して、粘性Cのソルダペーストでは、アスペクト比が大きくなると、バンプ高さが低くなる。
【0107】
以上の検証結果から、真空状態と大気圧に開放する状態を切り替えての印刷を行う場合、適切なソルダペーストの粘性を選択することで、安定したバンプが形成できることが判った。本例では、フラックス中の溶剤を沸点が240℃以上のオクタンジオールとし、ソルダペーストの粘度を50〜150Pa・s、チキソ比を0.3〜0.5とすれば、アスペクト比の大小にかかわらず、ソルダペーストをフィルムの開口部に確実に充填できる。これにより、開口部が微小であっても、基板の電極に、確実にはんだバンプを形成することができ、はんだバンプの高さのばらつきを抑制することができる他、ミッシングバンプが抑制できることが判った。
【0108】
一方、スクリーン印刷法に適用すれば、アスペクト比の大小にかかわらず、確実に印刷量を確保することができることが判った。
【0109】
ここで、フラックスを構成する溶剤の沸点が高いと、ソルダペーストを溶融させるための加熱時に揮発しにくくなり、液状のフラックス残渣となる。このため、残渣の洗浄が容易となる。このように、フラックス残渣を洗浄して除去する用途では、フラックスを構成する溶剤の沸点が高いと、フラックス残渣の洗浄が容易になるという効果も得られる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のソルダペーストは、狭ピッチで多数のはんだバンプが形成される電子部品の製造に適用される。
【符号の説明】
【0111】
1A・・・はんだ印刷機、2・・・印刷機構、3・・・基板支持機構、4・・・印刷室、20a・・・第1のスキージ、20b・・・第2のスキージ、22・・・スキージ移動機構、23a・・・第1のスキージ昇降機構、23b・・・第2のスキージ昇降機構、40・・・真空ポンプ、41・・・バルブ、100・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図10
図11
図12
図7
図8
図9