特許第6016886号(P6016886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6016886溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物、その製造法および該溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016886
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物、その製造法および該溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物の使用
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/14 20060101AFI20161013BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20161013BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   C09D133/14
   C09D7/12
   B05D7/24 302P
【請求項の数】16
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-504320(P2014-504320)
(86)(22)【出願日】2012年4月12日
(65)【公表番号】特表2014-517852(P2014-517852A)
(43)【公表日】2014年7月24日
(86)【国際出願番号】EP2012056662
(87)【国際公開番号】WO2012140131
(87)【国際公開日】20121018
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】11162061.3
(32)【優先日】2011年4月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/474,300
(32)【優先日】2011年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エゴン ヴェーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター マイエンフェルス
【審査官】 村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−527287(JP,A)
【文献】 特開昭60−047075(JP,A)
【文献】 特開昭62−197184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00;
101/00−201/10
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− (A)
− (A1)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、60〜200mg KOH/gのOH価および15℃〜100℃のガラス転移温度Tgを有する、少なくとも1つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを30〜99質量
− (A2)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、60〜200mg KOH/gのOH価および−100℃〜−20℃のガラス転移温度Tgを有する、少なくとも1つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを1〜70質量%
からなるOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分、
− (B)OH基に対して反応性の官能基を有する、少なくとも1つの架橋剤を含む架橋剤成分
ならびに
− (C)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、少なくとも1つのポリアミドを0.02〜1.2質量%、
− (D)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、ポリイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物である、少なくとも1つの尿素化合物を0.04〜2.9質量%
を含有する溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)が70〜180mg KOH/gのOH価を有することを特徴とする、請求項1記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項3】
架橋成分(B)が架橋剤として少なくとも1つのポリイソシアネートおよび/または少なくとも1つのアミノプラスト樹脂を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項4】
架橋成分(B)中の架橋剤がポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1または2記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が三量体のヘキサメチレンジイソシアネートであることを特徴とする、請求項3または4記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項6】
前記架橋剤がビウレット基を有するポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項3または4記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネートがブロックされていないことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項に記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項8】
前記溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物が二成分系クリヤーラッカー被覆組成物であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項9】
ポリアミド(C)が合成ポリアミドワックスであることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項10】
ポリアミド(C)がモノマーのポリアミンと1分子当たり16〜20個のC原子を含む(ヒドロキシ)脂肪酸との反応生成物であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項に記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物を製造する方法であって、含まれている成分を混合することによる、上記方法。
【請求項12】
OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)を、架橋剤成分(B)を除く、さらなる成分と混合し、少なくとも1つの有機溶剤が添加された架橋剤成分(B)を基体上への塗布の30分以内に初めて混入することを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記尿素化合物を、当該尿素化合物とポリエステルおよび/または(メタ)アクリレート(コ)ポリマーおよび少なくとも1つの有機溶剤との混合物を含むペーストの形で添加することを特徴とする、請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記ポリアミドを、当該ポリアミドと(メタ)アクリレート(コ)ポリマーおよび少なくとも1つの有機溶剤との混合物を含む分散液の形で添加することを特徴とする、請求項11から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
塗布および引続く40〜190℃の温度での熱硬化により、硬化されたクリヤーラッカー塗膜を基体上に製造するための、請求項1から10までのいずれか1項に記載の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物の使用。
【請求項16】
硬化されたクリヤーラッカー塗膜をプラスチック基体上に製造することを特徴とする、請求項15記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤としての少なくとも2つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、少なくとも1種類の合成ポリアミドワックス粒子、ポリイソシアネートの付加生成物としての少なくとも1つの尿素化合物および1つのモノアミンならびにOH基に対して反応性の官能基を有する1つの架橋剤を含有する溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物に関する。更に、本発明は、前記クリヤーラッカー被覆組成物の製造ならびに様々な基体を被覆するための前記クリヤーラッカー被覆組成物の使用に関する。
【0002】
現在の自動車塗装においては、例えば金属またはプラスチックから製造された車体および車体部品のような様々な基体が塗装される。その際に、しばしば多層塗膜が形成される。金属基体の多層塗膜は、しばしば電着塗膜、フィラー塗膜、下塗り塗膜およびクリヤーラッカー塗膜から成る。プラスチック基体の場合には、単層の塗膜または同様に多層塗膜が形成されている。後者の場合には、プラスチック塗膜において使用可能な通常のフィラー組成物、単層上塗り塗料組成物、下塗り塗料組成物およびクリヤーラッカー被覆組成物が使用され、これらの選択および使用は、当業者に公知である。
【0003】
現在の自動車工業の範囲内で塗膜に課せられている高い技術的要求、ならびにそれぞれの個々の上記塗料層の機能および技術的性質は、当業者に公知である。その際に、殊にクリヤーラッカー塗膜は、本質的な技術的性質、例えば光沢および艶もしくは画像の識別可能性(DOI、画像の識別)、耐候性ならびに結露水に対する安定性および白色の薄膜(Weissanlaufen)を形成する。前記性質にとって最も重要なことは、クリヤーラッカー塗膜の形成に必要なクリヤーラッカー被覆組成物が優れた塗布特性を有することである。すなわち、殊に前記被覆組成物は、良好な均展を有しなければならない。これは、クリヤーラッカー被覆組成物がこのような流れ特性を有しなければならず、基体上への当該クリヤーラッカー被覆組成物の塗布後に、例えばスプレーミストによって生じた起伏が解消され、それによって塗膜の平滑な表面が生じることを意味する。他方において、同様に、前記被覆組成物が良好な流れ挙動を有することは、重要なことである。当業者に公知であるように、基体上への前記被覆組成物の塗布後に、当該被覆組成物がなお液体の状態で存在する限り、垂れ形成の危険が存在する。その際に、塗布された、なお液体の被覆組成物は一部が沈降していると考えられる。それによって、まさに目立った塗装不足が後に硬化された塗膜中に生じる。垂れ形成の傾向は、選択された湿式層厚と超比例的に上昇し、したがって前記湿式層厚は、相応して選択すべきである。しかし、前記湿式層厚は、基体表面の完全な被覆を保証しかつ表面品質に対する要件を満たすために、少なく選択しすぎる必要はない。自動車塗装の範囲内でしばしば発生するように、完全に形成された対象(例えば、ボディー、ドアまたはバンパー)の塗装の場合には、垂れ形成の問題がしばしば起こる。それというのも、この場合には、全面を水平の位置で塗装することは、不可能であるからである。
【0004】
まさに、自動車塗装の範囲内で大きな役割を演じる、さらなる問題は、前記被覆組成物の塗装ライン安定性(Ringleitungstablitaet)である。塗布プラントにおいて絶えず循環させることによって、前記被覆組成物は、繰り返される負荷または剪断応力に晒されており、しばしばレオロジー特性、例えば粘度の重大な変化をまねき、それによって上記の塗布特性に不利な影響を及ぼしうる。
【0005】
従来公知の溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物は、しばしば、良好な均展を保証しかつその際に当該クリヤーラッカー被覆組成物から製造されたクリヤーラッカー塗膜における垂れ形成を回避させる状態にはない。前記問題を解決するために、自動車製造業者は、しばしばクリヤーラッカー塗膜の層厚を減少させるが、しかし、このことは、基本的な使用技術的性質、例えば上塗り塗料の有効寿命、均展性、光沢、画像の識別可能性ならびに耐候性およびUV安定性を著しく損ない、かつクリヤーラッカー塗膜の艶消しをまねきうる。クリヤーラッカー製造業者の側から、より大量のレオロジー助剤またはレオロジー制御添加剤、例えばWO 94/22968A1、欧州特許出願公開第0276501号明細書A1、欧州特許出願公開第0249201号明細書A1またはWO 97/12945A1から公知の、例えば一定の尿素アダクトをベースとするサグ制御剤(Sag Control Agents)(SCA)を添加することによって前記問題を回避させることが試みられている。同様に、例えば欧州特許出願公開第0008127号明細書A1に開示されているような架橋されたポリマーミクロ粒子、無機層状ケイ酸塩、例えばアルミニウム−マグネシウムケイ酸塩、モンモリロン石タイプのナトリウム−マグネシウム層状ケイ酸塩およびナトリウム−マグネシウム−フッ素−リチウム層状ケイ酸塩、ケイ酸、例えばAerosile(登録商標);またはイオン性基および/または結合性相互作用を有する基(assoziativ wirkenden Gruppen)を有する合成ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸コポリマーもしくはエチレン−無水マレイン酸コポリマーおよびそれらの誘導体、または疎水性に変性されたエトキシル化ウレタンもしくはエトキシル化ポリアクリレートが使用される。しかし、前記使用は、上塗り塗料の有効寿命の劣化をまねく。それというのも、例えばクリヤーラッカーの均展性が損なわれるからである。
【0006】
溶剤含有被覆剤のための増粘剤としてのポリアミドの使用は、Johan Bielemanの教科書"Lackadditive",Wiley−VCH,Weinheim,New York,1998,第62頁、ならびにWO 04/11139から公知である。
【0007】
更に、例えばC.H.Eebsloeh,DISPARLON 6900−29X,1986 10月の技術的説明書11.20.3から、溶剤をベースとする樹脂系(例えば、クリヤーラッカー)のための垂れ防止剤/沈降防止剤としての合成ポリアミドワックス、溶剤、エポキシ樹脂からなる厚膜被覆、タールエポキシ樹脂混合物、タールポリウレタン混合物およびクロロゴム、自動車用塗料におけるアルミニウム顔料、錆防止塗装における重質顔料およびカーペット裏面被覆およびゲル被覆(ガラス繊維プラスチック)からなる膨潤された粒子を使用することは、公知である。WO 2004/111139A1においては、ヘキシルアミンをベースとする尿素化合物とレオロジー助剤としてのポリアミドワックス粒子との組合せが使用されている。しかし、また、合成ポリアミドワックスからなる膨潤された粒子または当該粒子と記載された尿素化合物との組合せの使用によって、前記で話題にされた問題を満足のいくように解決し、かつ塗布特性、例えば剪断応力に対する良好な安定性と一対の均展性および垂れ形成ならびに塗装特性、例えば良好な結露水に対する安定性の良好なバランスを達成することには成功していない。
【0008】
それゆえに、本発明の課題は、公知技術水準の欠点をもはや有さず、塗布特性の均展性と垂れ形成との優れたバランスを有し、その結果、硬化後に生じる、基体上のクリヤーラッカー塗膜が高い光学的品質、例えば高い光沢を有するクリヤーラッカー被覆組成物を提供することである。それとともに、硬化された塗膜は、結露水に対する良好な安定性および白色の薄膜を有するべきである。その上、殊に自動車塗装の範囲内での使用のために被覆剤に課されている、さらなる重要な技術的要件を満たすべきである。殊に、クリヤーラッカー被覆剤は、良好な塗装ライン安定性または剪断応力時の安定性を有するべきであり、すなわち当該クリヤーラッカー被覆剤のレオロジー特性の特徴、殊に粘度は、作用する剪断応力にも拘わらず強く変化しすぎてはならない。こうして、上記の塗布特性は、例えば塗装ラインプラントにおけるより長い循環にも拘わらず維持されたままであるべきである。
【0009】
本発明の範囲内で、前記課題は、
− (A)
− (A1)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、60〜200mg KOH/gのOH価および15℃〜100℃のガラス転移温度Tgを有する、少なくとも1つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを30〜99質量%、
− (A2)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、60〜200mg KOH/gのOH価および−100℃〜−20℃のガラス転移温度Tgを有する、少なくとも1つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを1〜70質量%
からなるOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分、
− (B)OH基に対して反応性の官能基を有する、少なくとも1つの架橋剤を含む架橋剤成分
ならびに
− (C)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、少なくとも1つのポリアミドを0.02〜1.2質量%
− (D)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、ポリイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物である、少なくとも1つの尿素化合物を0.04〜2.9質量%
を含有する溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物によって解決しえたことが判明した。
【0010】
以下、溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物は、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物と呼称する。本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、剪断応力に対する良好な安定性を有し、その上、優れた塗布特性を有する。基体上への塗布後に、適切な均展性とごく僅かな垂れ傾向との良好なバランスが達成され、その結果、硬化されたクリヤーラッカー塗膜は、例えば良好な光沢を有する。その上、良好な結露水に対する安定性が達成される。基体として、卓越して金属またはプラスチックから製造された、自動車塗装の範囲からの車体および車体部品が適しており、これらは、しばしば複雑に形成されている。前記クリヤーラッカー被覆組成物は、単独でかまたは多層塗膜の範囲内で金属基体またはプラスチック基体を被覆するクリヤーラッカー塗膜の構成のために使用することができる。
【0011】
本発明の範囲内で、別記しない限り、不揮発分(固体)の測定のために、それぞれ一定の条件が選択された。不揮発分の測定のために、単数のそれぞれの成分または複数のそれぞれの成分1gの量が130℃で1時間加熱され、室温へ冷却され、かつ次に再び計量される。
【0012】
本発明の範囲内で、ヒドロキシル価またはOH価は、1グラムのそれぞれの成分のアセチル化の際に結合された、酢酸のモル当量である、水酸化カリウムのミリグラムでの量を規定する。ヒドロキシル価は、本発明の範囲内で、別記しない限り、DIN 53240−2(ヒドロキシル価の測定−第2部:触媒を用いる方法 Determination of hydroxyl value−Part 2:Method with catalyst)に従って、試験的に滴定によって測定される。
【0013】
ガラス転移温度Tgは、本発明の範囲内で試験的にDIN 51005"熱分析(Thermische Analyse)−概念(Begriffe)"およびDIN 53765"熱分析(Thermische Analyse)−動的示差走査熱量測定(Dynamische Differenzkalorimetrie)(DDK)"に準拠して測定される。その際に、10mgの試料は、試料小皿中に計量供給され、かつDSC装置中に導入される。前記試料は、開始温度に冷却され、それに引き続いて第1の測定運転および第2の測定運転が50ml/分の不活性ガス洗浄(N2)の際に10K/分の加熱速度で実施され、その際に前記の測定運転の間に元通りに開始温度に冷却される。前記測定は、通常、予想されるガラス転移温度よりも約50℃低い温度ないし当該ガラス転移温度よりも約50℃高い温度で行なわれる。本発明の範囲内でDIN 53765、項目8.1に準拠して、比熱容量(0.5ΔCp.)が変化して半分に到達している、第2の測定運転における温度は、ガラス転移温度と呼称される。このガラス転移温度は、DSC図(温度に対する熱流のプロット)から算出され、かつ前記測定曲線を有するガラス転移前およびガラス転移後の外挿基線間の中心線の交点の温度である。
【0014】
(A)OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分
前記クリヤーラッカー被覆組成物は、OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)を含有する。前記成分(A)は、さらに下記に規定された、少なくとも1つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A1)ならびにさらに下記に規定された、少なくとも1つのOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A2)を含む。
【0015】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマーとは、周知のように、様々なアクリレートモノマーおよび/またはメタクリレートモノマーから構成されている、ポリマーの有機化合物であると解釈される。(メタ)アクリレートの名称は、本発明の範囲内でアクリレートおよび/またはメタクリレート、またはアクリレートおよび/またはメタクリレートを含むかまたはこれらから構成されている化合物を表わす。このようなアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーの例として、様々なアルキル(メタ)アクリレートおよびシクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば当業者に公知の化合物エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレートもしくはラウリルメタクリレート、シクロアルキルアクリレートならびにシクロペンチルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびシクロヘキシルメタクリレートを挙げることができる。
【0016】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)は、OH官能性であり、かつ60〜200mg KOH/g、特に70〜180mg KOH/g、殊に有利に80〜160mg KOH/gのOH価を有する。それに応じて、ポリマー骨格中には、一定の割合の、OH基を有しかつそれによって(メタ)アクリレート(コ)ポリマー結合剤のOH官能性を構成するアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーが組み入れられている。
【0017】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)を製造するための、ヒドロキシル基を含む構成単位として、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレートならびに殊に4−ヒドロキシブチルアクリレートおよび/または4−ヒドロキシブチルメタクリレートが使用される。
【0018】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のための、さらなる構成単位として、ビニルトルエン、α−メチルスチレンまたは殊にアクリル酸もしくはメタクリル酸のスチレン、アミドもしくはニトリル、ビニルエステルまたはビニルエーテル、ならびに二次的量で、殊にアクリル酸および/またはメタクリル酸が使用されてよい。
【0019】
少なくとも1つの(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)は、15℃〜100℃、特に20℃〜70℃、殊に有利に25℃〜50℃のガラス転移温度Tgを有する。少なくとも1つの(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A2)は、−100℃〜−20℃、特に−90℃〜−35℃、殊に有利に−80℃〜−45℃のガラス転移温度Tgを有する。当該分野での当業者に公知であるように、(メタ)アクリレート(コ)ポリマーのガラス転移温度は、例えば含まれているモノマーの性質およびポリマーに対する当該モノマーの割合によって決定される。相応する選択は、当業者によって多大な費用なしに行なわれうる。
【0020】
OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対する(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)の割合は、本発明によれば、30〜99質量%、特に55〜95質量%、殊に70〜90質量%である。
【0021】
OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対する(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A2)の割合は、本発明によれば、1〜70質量%、特に5〜45質量%、殊に10〜30質量%である。
【0022】
特に、全被覆組成物の不揮発分の質量に対する(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの割合は、より低いガラス転移温度を有する(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの割合よりも大きい。好ましくは、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)の割合は、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A2)の割合に対して2倍を上回る高さである。
【0023】
有利に、全被覆剤組成物に対するOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の割合は、それぞれ全クリヤーラッカー被覆組成物の不揮発分に対して、40〜90質量%、特に有利に50〜80質量%である。
【0024】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)の分子量は、当業者によく知られた範囲内にあり、かつ最終的に制限されない。有利に、数平均分子量Mnは、1000〜20000g/mol、殊に1000〜10000g/molである。
【0025】
数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、40℃で高圧液体クロマトグラフィー用ポンプまたは屈折率検出器を用いて測定される。溶離剤として、テトラヒドロフランが1ml/分の溶離速度で使用された。較正はポリスチレン標準を用いて実施される。
【0026】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)として、通常、市場で入手可能なものが使用されてよいし、それら自体製造された(メタ)アクリレート(コ)ポリマーが使用されてもよい。市販の(メタ)アクリレート(コ)ポリマーとして、例えば製品シリーズ"Macrynat"のポリアクリレート(Cytec Surface Specialities社)または市販の製品Setalux 1756 VV−65(Nuplex Resins社)を挙げることができる。
【0027】
(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)の製造は、方法技術的な特殊性を有さず、例えばプラスチック分野で通例の公知の、団塊中、溶液中、エマルション中、ミニエマルション中またはミクロエマルション中で連続的または非連続的に、ラジカル的に開始される共重合の方法を用いて、常圧下または過圧下で攪拌容器、オートクレーブ、管状反応器、ループ型反応器またはテイラー反応器(Taylorreaktor)中で特に50〜200℃の温度で行なわれる。
【0028】
適当な共重合法の例は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19709465号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19709476号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2848906号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19524182号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19828742号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19628143号明細書A1、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19628142号明細書A1、欧州特許出願公開第0554783号明細書A1、WO 95/27742 A1、WO 82/02387 A1またはWO 98/02466 A1中に記載されている。しかし、前記共重合は、反応媒体としてのポリオール(熱的に硬化可能な反応性希釈剤)中で実施されてもよく、例えばこのことは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19850243号明細書A1中に記載されている。
【0029】
適当な脂肪族開始剤の例は、ジアルキルペルオキシド、例えばジ−t−ブチルペルオキシドまたはジクミルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、例えばクメンヒドロペルオキシドもしくはt−ブチルヒドロペルオキシド、過酸エステル、例えばt−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペル−3,5,5−トリメチルヘキサノエートもしくはt−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ペルオキソジカーボネート、カリウムペルオキソジスルフェート、ナトリウムペルオキソジスルフェートもしくはアンモニウムペルオキソジスルフェート、アゾ開始剤、例えばアゾジニトリル、例えばアゾビスイソブチロニトリル、C−C切断開始剤、例えばベンズピナコールシリルエーテル、または非酸化開始剤と過酸化水素との組合せである。前記開始剤の組合せが使用されてもよい。
【0030】
適当な開始剤のさらなる例は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19628142号明細書、第3頁第49行〜第4頁第6行中に記載されている。更に、クリヤーラッカー被覆組成物中には、OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の化合物とは異なる、さらなるモノマー、オリゴマーおよびポリマーの、主にポリマーの有機化合物が結合剤として含有されていてよい。結合剤とは、さらに下記された架橋剤の他に被覆組成物中で主に被膜形成の要因である、当該分野での当業者によく知られた化合物であると解釈される。それゆえに、これには、さらに上記された(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)も属する。周知のように、僅かだけ、すなわち例えば少なくとも2〜10個のモノマー単位が互いに結合されている成分は、オリゴマー化合物と呼称される。それゆえに、ポリマー化合物は、例えば10個を上回るモノマー単位が結合され、かつその際に使用されるモノマーのモル質量に依存して、数平均分子量がしばしば例えば1000g/molを上回る化合物である。当業者に公知であるように、このようなポリマー化合物は、例えばランダムに、交互におよび/またはブロック状に構成され、直鎖状、分枝鎖状および/または櫛形に構成された、少なくとも1つのモノマー化合物の(コ)ポリマーである。最後に、さらに上記された(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)ならびにさらに下記された架橋剤を除いて、前記に関連して当業者に公知である、全ての、モノマー有機化合物、オリゴマー有機化合物およびポリマー有機化合物、主にポリマー有機化合物がこれに該当する。
【0031】
殊に、さらなるランダムに、交互におよびブロック状に構成され、直鎖状、分枝鎖状および/または櫛形に構成された、エチレン性不飽和モノマーの(コ)ポリマーが含まれていてよい。記載されたOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)の他に、例えば(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)とは異なる、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のさらに上記されたガラス転移温度およびOH価とは異なるガラス転移温度Tgおよび/またはOH価を有する、さらなる(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)は、クリヤーラッカー被覆剤組成物中に含有されていてもよい。
【0032】
また、エチレン性不飽和モノマーのさらなる適当な(コ)ポリマーの例は、既に詳細に記載された(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの他に部分的に鹸化されたポリビニルエステルである。
【0033】
ポリ付加樹脂および/またはポリ縮合樹脂が結合剤として含有されていてもよい。適当なポリ付加樹脂および/またはポリ縮合樹脂の例は、ポリエステル、アルキド、ポリウレタン、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリエーテル、エポキシ樹脂−アミン付加物、ポリ尿素、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタンまたはポリエステル−ポリエーテル−ポリウレタンである。
【0034】
OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の化合物とは異なる、結合剤としての、さらなる、モノマー有機化合物、オリゴマー有機化合物およびポリマー有機化合物、主にポリマー有機化合物の割合は、特に、OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して最大20質量%である。
【0035】
周知のように、記載された、結合剤としての、モノマー有機化合物、オリゴマー有機化合物およびポリマー有機化合物、主にポリマー有機化合物は、熱的に硬化されてよいし、および/または化学線で硬化されてよい。前記有機化合物は、自己架橋性であってもよいし、および/または異質架橋性であってもよく、すなわち一定の架橋反応に必要とされる2個の官能基は、有機化合物中で結合剤自体として含まれており、および/または前記有機化合物は、一定の架橋反応に対して2個の必要とされる官能基の一方だけを含み、かつ架橋剤を使用して架橋し、当該架橋剤は、補助的な官能基を含み、かつさらに下記に記載される。
【0036】
当業者によく知られている前記硬化プロセスの詳細な記載については、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York,1998,第274〜276頁、ならびに第542〜544頁に指摘されている。
【0037】
既に述べたように、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)は、OH官能性であり、すなわちOH基を含む。当業者に公知であるように、官能基としてのOH基により、結合剤中で架橋反応を生じさせることは、可能である。本発明の範囲内で、架橋剤の補助的な官能基で本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の三次元架橋、すなわち硬化を生じさせるために、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のOH基が利用される。相応して、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)は、これらの存在するOH基に関連して、主に異質架橋性として解釈することができ、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、OH基に対して反応性の官能基を有する、少なくとも1つの架橋剤を含む架橋成分(B)を含有する。
【0038】
(B)架橋成分
前記クリヤーラッカー被覆組成物は、架橋成分(B)を含有する。本発明の範囲内で、含有されている全ての架橋剤の総和が架橋成分(B)として考えられており、その際に架橋剤を用いる場合には、殊に上記の結合剤の官能基と一緒に架橋反応を生じうる、全てのモノマー有機化合物、オリゴマー有機化合物およびポリマー有機化合物が考えられ、すなわちこのために、補助的な官能基を有する。
【0039】
架橋剤成分(B)がOH基に対して反応性の官能基を有する、少なくとも1つの架橋剤を含有することは、本発明にとって基本的なことである。このような架橋剤として、殊にブロックされていないポリイソシアネート、部分的にブロックされたポリイソシアネートおよび/またはブロックされたポリイソシアネートならびにアミノプラスト樹脂が使用される。ブロックされていないポリイソシアネートを使用することは、殊に好ましい。本発明の範囲内で、架橋剤としてのポリイソシアネートとは、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を含む有機化合物であると解釈される。原理的に1分子当たり全部で少なくとも2個のイソシアネート基を含む有機化合物を使用することができる。例えば、ポリオールおよびポリアミンおよびポリイソシアネートからなる、イソシアネート基を含む反応生成物が使用されてもよい。
【0040】
また、脂肪族または脂環式のポリイソシアネート、特にジイソシアネート、殊に有利に脂肪族ジイソシアネートが使用可能であるが、しかし、殊にヘキサメチレンジイソシアネート、二量化されたヘキサメチレンジイソシアネートおよび/または三量化されたヘキサメチレンジイソシアネートが使用可能である。
【0041】
適当なポリイソシアネートのさらなる例は、イソホロンジイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネートもしくはジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、例えばHenkel社の商品名DDI 1410で販売されている、二量体脂肪酸に由来するジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,7−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルヘプタンもしくは1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピル)シクロヘキサンまたはこれらのポリイソシアネートからなる混合物である。
【0042】
同様に、例えばテトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ジ(イソシアナトメチル)−ベンゼン、1,5−ジメチル−2,4−ジ(イソシアナトエチル)−ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ジ(イソシアナトメチル)−ベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジ(イソシアナトメチル)−ベンゼン、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートを挙げることができる。
【0043】
殊に好ましい実施態様において、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネートの三量体は、架橋剤として使用され、これは、例えばDesmodur N 3390(Bayer MaterialScience)またはBasonat HI 190(BASF SE)の名称で市販品として入手可能である。
【0044】
適当なポリイソシアネートのさらなる例は、脂肪族的に結合された遊離イソシアネート基、脂環式的に結合された遊離イソシアネート基、芳香脂肪族的に結合された遊離イソシアネート基および/または芳香族的に結合された遊離イソシアネート基を有する、有機ポリイソシアネート、殊にいわゆる塗料用ポリイソシアネートである。有利に、1分子当たり2〜5個のイソシアネートを有しかつ100〜10000mPa.s(23℃で)、特に100〜5000mPa.s、殊に100〜2000mPa.sを有するポリイソシアネートが使用される。任意に、ポリイソシアネートには、さらに微少量の有機溶剤を、有利に純粋なポリイソシアネートに対して1〜25質量%添加することができ、こうしてイソシアネートの混入可能性を改善し、かつ任意にポリイソシアネートの粘度を上記範囲内の値に低下させることができる。ポリイソシアネートに添加するのに適した溶剤としては、例えばエトキシエチルプロピオネート、アミルメチルケトンまたはブチルアセテートである。更に、ポリイソシアネートは、通常の公知の方法で親水性または疎水性に変性されていてよい。
【0045】
例えば、ポリオールと過剰のポリイソシアネートとの反応によって製造されてよくかつ有利に低粘度である、イソシアネート基を含むポリウレタンプレポリマーも適している。適当なポリイソシアネートのさらなる例は、イソシアヌレート基、ビウレット基、アロファネート基、イミノオキサジアジンドン基、ウレタン基、尿素基および/またはウレトジオ基を有するポリイソシアネートである。ウレタン基を有するポリイソシアネートは、例えばイソシアネート基の一部分をポリオール、例えばトリメチロールプロパンおよびグリセリンと反応させることによって得られる。
【0046】
適当なイソシアネートのさらなる例は、"Methoden der organischen Chemie",Houben−Weyl,第14/2巻,第4版,Georg Thieme Verlag,Stuttgart 1963,第61〜70頁,W.Siefken,Liebigs Ann.Chem.562,75〜136,欧州特許出願公開第101832号明細書または米国特許第3290350号明細書、米国特許第4130577号明細書および米国特許第4439616号明細書中に記載されている。
【0047】
上記ポリイソシアネートは、遊離形で存在する、すなわちブロックされていない架橋剤である。この遊離ポリイソシアネートは、たいてい、当業者に公知であるように、多成分被覆系において、殊に二成分被覆系において使用される。本発明に関して、このことは、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の成分(A)および架橋剤成分(B)が二成分系クリヤーラッカー被覆組成物の場合に互いに別々に貯蔵され、クリヤーラッカー被覆組成物の塗布の直前に初めて一緒にすることを意味する。これは、結合剤、殊に(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のOH基、および遊離ポリイソシアネート架橋剤の早期の架橋を避けるためであると思われる。
【0048】
しかし、上記したように、同様にブロックされているポリイソシアネートの使用は、可能である。このブロックされたポリイソシアネートは、架橋剤として、本発明の範囲内で一成分系クリヤーラッカー被覆組成物の場合に使用され、すなわちOH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)と架橋剤成分(B)は、互いに混合して貯蔵され、かつ塗布直前で初めて互いに混合されるものではない。遊離イソシアネートとは異なり、ブロックされたポリイソシアネート架橋剤は、三次元網状組織を構成させるために、より高い温度で初めて結合剤の官能基、殊に(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のOH基と反応させることができ、それによって前記被覆組成物の硬化を生じる。勿論、このようなブロックされたポリイソシアネート架橋剤は、副次的な量でも、多成分系、殊に二成分系中で一緒に使用されうる。本発明の範囲内で、"副次的な量"は、主要な架橋反応を損なわないかまたは全く妨害しない割合を意味する。
【0049】
周知のように、そのための理由は、ブロックされた架橋剤が高められた温度(ほぼ80℃を上回り100℃まで)で初めて前記被覆組成物の硬化を生じさせ、前記温度で初めてブロック剤をイソシアネート官能基から分離させ、その結果、このイソシアネート官能基が次に結合剤の補助基、殊に(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のOH基と反応しうることにある。
【0050】
典型的なブロック剤は、例えばフェノール、アルコール、オキシム、ピラゾール、アミンおよびCH酸化合物、例えばメロン酸ジエチルエステルである。ブロック剤は、典型的には、遊離NCO基を記載されたブロック剤と、例えば触媒、例えばジブチル錫ジラウレートまたは錫(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)の存在下で反応させることによって実施される。ブロック剤および相応する変換反応は、当業者に公知であり、かつ例えば米国特許第4444954号明細書中に詳細に記載されている。好ましくは、ブロック剤として、カプロラクタム、ブタノンオキシム、アセトンオキシム、マロン酸ジエチルエステル、ジメチルピラゾールまたはフェノールを使用することができる。
【0051】
更に、本発明の範囲内で好ましくは、アミノプラスト樹脂が架橋剤として使用されうる。殊に、通常の公知のアミノプラスト樹脂、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂および尿素−ホルムアルデヒド樹脂がこれに該当する。好ましくは、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が使用される。典型的には、前記樹脂は、低級アルコール、たいていメタノールおよび/またはブタノールでエーテル化された形で使用される。適当なアミノプラスト樹脂は、例えばヘキサメトキシメチルメラミンである。
【0052】
しかし、別のアミンとアミドとの縮合生成物、例えばトリアジン、ジアジン、トリアゾール、グアニジン、グアニミン(Guanimin)ならびにアルキル置換およびアリール置換されたメラミンを含む、このような化合物のアルキル置換およびアリール置換された誘導体のアルデヒド縮合物は、同様に使用されてよい。このような化合物の若干の例は、N,N’−ジメチル尿素、ベンゾ尿素、ジシアンジアミド、ホルマグアナミン(Formaguanamin)、アセトグアナミン、アンメリン、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、6−メチル−2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、3,5−ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2−メルカプト−4,6−ジアミノピリミジン、3,4,6−トリス(エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、トリス(アルコキシカルボニルアミノ)−トリアジンおよび類似物である。勿論、ホルムアルデヒドとの縮合生成物の他に、別のアルデヒドとの縮合生成物も使用可能である。
【0053】
通常の公知のアミノプラスト樹脂もこれに該当し、当該アミノプラスト樹脂のメチロール基および/またはメトキシメチル基は、部分的にカルバメート基またはアロファネート基により脱官能化されていてよい。この種の架橋剤は、米国特許第4710542号明細書および欧州特許第0245700号明細書B中、ならびにAdvanced Organic Coatings Science and Technology Series,1991,第13巻,第193〜207頁中のB.Singhおよび共同研究員、"Carbamylmethylated Melamines,Novel Crosslinkers for the Coatings Industry"の記事中に記載されている。
【0054】
本発明の範囲内で適したアミノプラスト樹脂は、例えばCymel、Luwpal、Maprenal、ResimeneおよびBeetleの商品名で市場で入手可能である。
【0055】
好ましいイソシアネート基を含む架橋剤の場合には、少なくとも1つの架橋剤は、特に、さらに上記された、結合剤として使用される化合物、殊にすなわち(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のヒドロキシル基の全体量と比較して、使用される架橋剤の反応性NCO基の全体量が過剰で存在するような量で使用される。特に有利には、結合剤として使用される化合物のヒドロキシル基対少なくとも1つの架橋剤のNCO基の比は、1:1〜1:1.5、特に有利に1:1.05〜1:1.25、殊に1:1.05〜1:1.15である。
【0056】
好ましくは、前記の全被覆剤組成物に対する架橋剤成分(B)の割合は、それぞれ前記の全クリヤーラッカー被覆組成物の不揮発分に対して、10〜50質量%、特に有利に20〜40質量%である。
【0057】
(C)ポリアミド
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、少なくとも1つのポリアミドをレオロジー助剤として含有する。ポリアミドとは、少なくとも2つのアミド構造を分子中に含む有機化合物であると解釈される。この種の化合物は、例えばポリカルボン酸をポリアミンおよび/またはモノアミンと反応させることによって製造されうるか、またはポリアミンをモノカルボン酸と反応させることによって製造されうる。
【0058】
好ましくは、ポリアミドは、合成ポリアミドワックスである。合成ワックスとは、当業者にとって通例の、一定の物理的性質を有する合成有機生成物であると解釈される。前記合成有機生成物には、殊に、当該合成有機生成物が20℃までで混練可能であり、固体ないし脆く硬質であり、粗大ないし微結晶質であるが、しかし、ガラス状ではないことが含まれる。前記合成有機生成物は、たいてい40℃を上回ると初めて分解なしに溶融し、かつ当該合成有機生成物の溶融点を上回ると溶融液状の低粘度の状態に変わる。このコンシステンシーは、著しく温度依存性である。
【0059】
記載されたワックス状特性を有し、かつそれによってポリアミドワックスと呼称されるポリアミドは、例えばポリアミンと脂肪酸、殊に1分子当たり16〜20個のC原子を有する脂肪酸との反応によって得られるポリアミドである。このようなポリアミドまたはポリアミドワックスを製造するためのポリアミンとして、例えば1個を上回るアミノ基を有する、モノマーの有機化合物(モノマーのポリアミン)、例えば1,6−ヘキサメチレンジアミンがこれに該当する。それゆえに、このような合成ポリアミドワックスは、有利に本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物中に使用される。レオロジー助剤として特に好ましいポリアミドまたは合成ポリアミドワックスは、1,6−ヘキサメチレンジアミンと1分子当たり16〜20個のC原子を有する脂肪酸および/またはヒドロキシ脂肪酸、殊にヒドロキシ脂肪族、有利に12−ヒドロキシステアリン酸との反応生成物である。
【0060】
殊に、好ましいポリアミドワックスは、粒子の形で使用される。このようなポリアミドワックス粒子の典型的な平均粒度は、例えば100μm以下、特に有利に80μm以下、殊に有利に60μm以下、殊に50μm以下であってよい。特に、5〜40μmの範囲が殊に好ましい。その際に、平均粒度は、レーザー回折法によって測定される。
【0061】
本発明により使用すべき合成ポリアミド、殊に好ましいポリアミドワックス粒子は、それ自体として、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物に添加されてよい。それにも拘わらず、前記ポリアミドワックス粒子を典型的な有機溶剤(C)中、殊にアルコールおよび/またはキシレン中の分散液の形で添加することは、好ましい。前記分散液の不揮発分は、幅広く変動することができる。特に、前記分散液は、本発明により使用すべきポリアミド(C)、殊にポリアミドワックス粒子を、それぞれ前記分散液の全体量に対して、5〜40質量%、有利に10〜30質量%、殊に15〜25質量%の量で含有する。様々なポリアミドワックス粒子のこのような分散液は、例えば市場でDisparlon(King Industries社、USA、Kusumoto社、日本またはErbsloeh社、ドイツ連邦共和国)の商品名で入手可能である。
【0062】
本発明の範囲内で、ヒドロキシステアリン酸および1,6−ヘキサメチレンジアミンをベースとするポリアミドワックス粒子を、有機溶剤中の、上記したような分散液の形で使用することは、殊に好ましい。相応する市販製品は、Disparlon 6900−20X(Erbsloeh社)の名称で入手可能である。
【0063】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物中のポリアミド(C)、殊にポリアミドワックスをペーストの形で使用することは、特に好ましい。前記ペーストは、ポリアミドの他に、さらに上記したような(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、例えば(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および/または(A2)ならびに少なくとも1つの典型的な有機溶剤、例えばアルコールおよび/または芳香族溶剤、例えばキシレンおよび/またはソルベントナフサを含有する。特に、前記ペーストは、それぞれ当該ペーストの全体量に対して、上記したような(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを20〜60質量%、有利に25〜55質量%、殊に30〜50質量%含有し、ポリアミドを3〜9質量%、有利に4〜8質量%、殊に5〜7質量%含有し、ならびに少なくとも1つの典型的な有機溶剤を含有する。
【0064】
このようなペーストは、特別な方法による費用なしに通常の公知の混合方法および装置を用いて前記成分を混合しかつ均一にすることによって製造されうる。殊に、上記したような、ポリアミドワックス粒子(例えば、Disparlon 6900−20X、Erbsloeh社)の分散液は、(メタ)アクリレート(コ)ポリマーと、前記ペーストに対して個々の成分の上記した割合が生じるような割合で混合されうる。
【0065】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、本発明によれば、OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、少なくとも1つのポリアミドを0.02〜1.2質量%、有利に0.1〜1質量%含有する。
【0066】
(D)ポリイソシアネートとモノアミンとの付加生成物としての尿素化合物
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、ポリイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物である、少なくとも1つの尿素化合物をさらなるレオロジー助剤として含有する。
【0067】
ポリイソシアネートとして、原理的に、1分子当たり全部で少なくとも2個のイソシアネート基を含む有機化合物が使用されてよい。また、例えばポリオールとポリアミンとポリイソシアネートとの、イソシアネート基を含む反応生成物が使用されてよい。特に、ジイソシアネート、殊に有利に脂肪族ジイソシアネート、殊にヘキサメチレンジイソシアネートが使用される。使用可能なポリイソシアネートの例として、次のものが挙げられる:テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−(2,4−ω−ジイソシアナト−メチル)−ベンゾール、1,5−ジメチル−(2,4−ω−ジイソシアナト−エチル)−ベンゾール、1,3,5−トリメチル−(2,4−ω−ジイソシアナト−メチル)−ベンゾール、1,3,5−トリエチル−(2,4−ω−ジイソシアナト−メチル)−ベンゾール、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、−ジイソシアネート。
【0068】
尿素基を含む化合物は、特に、少なくとも1つの、典型的にさらに下記した有機溶剤ならびに少なくとも1つの、結合剤として使用可能なポリエステルおよび/または結合剤として使用可能な(メタ)アクリレート(コ)ポリマーと混合したペーストの形で、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物中で使用される。すなわち、尿素化合物の製造は、例えば直接に(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの存在下で行なうことができる。その際に、例えばベンジルアミンを有機溶剤中または有機溶剤からなる混合物中の(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの溶液に添加し、次にポリイソシアネートを添加することが優先される。当該有機溶剤は、さらに下記されており、かつ殊に、反応の際に存在する成分、すなわちベンジルアミン、少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つの(メタ)アクリレートとの相互作用を損なわないように選択される。その際に、例えば、ポリイソシアネート、または尿素化合物がさらに遊離イソシアネート基を含む限り、尿素化合物と(メタ)アクリレート(コ)ポリマーとの結合が生じうる。これは、例えば(メタ)アクリレート(コ)ポリマーがOH基を含む場合である。更に、前記ペーストは、本発明により使用すべき尿素化合物で変性されている(メタ)アクリレート(コ)ポリマーを含有する。すなわち、前記尿素化合物は、少なくとも貢献度に応じて(メタ)アクリレート(コ)ポリマーと尿素化合物との付加生成物の形で使用される。前記クリヤーラッカー被覆組成物に対する尿素化合物のさらに下記した割合は、この場合に専ら尿素化合物に対するものであり、かつ尿素化合物と(メタ)アクリレート(コ)ポリマーとからなる生成物に対するものではない。
【0069】
こうして得られたペースト、すなわち尿素基を含むレオロジー助剤および(メタ)アクリレート(コ)ポリマーと有機溶剤との混合物、または尿素基を含むレオロジー助剤および(メタ)アクリレート(コ)ポリマーと有機溶剤とからなる化合物は、さらに、本発明による溶剤含有クリヤーラッカー被覆組成物中で使用される。
【0070】
ポリイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物としての尿素化合物は、(メタ)アクリレート(コ)ポリマーとの混合物として、例えばSetalux 91756(Nuplex Resins社)の商品名として入手可能であり、かつ直ちに本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物中に使用されうる。
【0071】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、本発明によれば、OH官能性(メタ)アクリレート(コ)ポリマー成分(A)の不揮発分の質量に対して、ポリイソシアネートとベンジルアミンとの付加生成物である、少なくとも1つの尿素化合物を0.04〜2.9質量%、特に0.3〜1.5質量%含有する。
【0072】
その上、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、少なくとも1つの有機溶剤を含有する。有機溶剤として、殊に、前記クリヤーラッカー被覆組成物中で化合物(A)および(B)に対して化学的に不活性でありかつ本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物から製造されたクリヤーラッカー塗膜の場合も(A)および(B)と反応しない有機溶剤が適している。
【0073】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の架橋を妨害せず、および/または本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物のその他の成分と化学反応を生じる有機溶剤が使用される。従って、当業者は、適当な溶剤を当該溶剤の公知の溶解能および反応性につき簡単に選択することができる。
【0074】
このような溶剤の例は、脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ(Sovesso)100またはHydrosol(登録商標)(ARAL社)、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンもしくはメチルアミルケトン、エステル、例えば酢酸エチルエステル、酢酸ブチルエステル、ブチルグリコールアセテート、酢酸ペンチルエステルもしくはエチルエトキシプロピオネート、前記溶剤からのエーテルまたは混合物である。
【0075】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、有機溶剤を、特に30〜70質量%、有利に40〜60質量%含有する。
【0076】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、溶剤を含む。このことは、殊に、前記クリヤーラッカー被覆組成物が当該組成物の全体量に対して、水を1質量%以下、有利に最大0.5質量%、殊に有利に最大0.25質量%含有することを意味する。それに関して、前記クリヤーラッカー被覆組成物中に含有されている有機溶剤または溶剤混合物が当該溶剤に対して、最大1質量%、特に有利に最大0.5質量%の含水量を有することは、好ましい。
【0077】
更に、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、少なくとも1つの、通常の公知の塗料添加剤を、それぞれ当該クリヤーラッカー被覆組成物の不揮発性成分に対して、有効量で、すなわち特に最大30質量%まで、特に有利に最大25質量%まで、殊に最大20質量%までの量で含有することができる。
【0078】
適当な塗料添加剤の例は、次のとおりである:
− 殊に、UV吸収剤;
− 殊に光安定剤、例えばHALS化合物、ベンズトリアゾールまたはオキサルアニリド;
− 非被覆性の透明充填材、例えばSiO2ナノ粒子、硫酸バリウム、酸化ジルコニウムおよびアエロジル;
− ラジカル捕捉剤;
− スリップ添加剤;
− 重合抑制剤;
− 消泡剤;
− 公知技術水準から一般的に公知である反応性希釈剤;
− 湿潤剤、例えばシロキサン、フッ素含有化合物、カルボン酸半エステル;
− 燐酸エステル、ポリアクリル酸およびそのコポリマー、またはポリウレタン;
− 付着助剤、例えばトリシクロデカンジメタノール;
− 被膜形成助剤、例えばセルロース誘導体;
− および/または難燃剤。
【0079】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の他に、本発明のさらなる対象は、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の製造である。
【0080】
この製造は、方法的に特殊性を有しないが、しかし、前記成分を通常の公知の混合方法および装置、例えば攪拌容器、攪拌型ミル、押出機、混練機、ウルトラターラックス(Ultraturrax)、インライン型ディソルバー、静的混合機、歯冠型ディスパゲーター(Zahnkranzdispergator)、放圧ノズルおよび/またはマイクロフルダイザーを用いて、任意に化学線の遮断下に混合しかつ均一にすることによって行なわれる。
【0081】
好ましい二成分系クリヤーラッカー被覆組成物の場合、すなわち殊に架橋剤成分(B)中の架橋剤として、ブロックされていないポリイソシアネートを使用する場合には、結合剤の早期の架橋、殊に(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(A1)および(A2)のOH基ならびに遊離ポリイソシアネート架橋剤の早期の架橋を避けるために、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の成分(A)および架橋剤成分(B)を互いに別々に貯蔵し、前記クリヤーラッカー被覆組成物の塗布の直前で初めて一緒にしかつ混合することは、重要である。二成分系クリヤーラッカー被覆組成物の場合には、普通に、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の上記成分、殊にレオロジー助剤(C)および(D)ならびに有機溶剤および任意に存在する塗料添加剤を成分(A)と混合し、かつ任意に貯蔵する。次に、前記混合物には、たいてい有機溶剤と混合して存在する架橋剤成分(B)が本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の塗布直前に混和される。塗布直前の混和とは、本発明の範囲内で塗布前の混和が最大30分以内、有利に最大15分以内であると解釈することができる。
【0082】
本発明のさらなる対象は、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の使用である。本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物は、殊に様々な基体上にクリヤーラッカー塗膜を製造するために、自動車塗装における使用に適しており、かつそれに応じて使用される。
【0083】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の塗布は、全ての通常の塗布方法、例えばスプレー、ナイフ塗布、刷毛塗り、注型、浸漬、含浸、滴下またはロール塗布によって行なうことができる。その際に、被覆すべき基体それ自体は、静止されてよく、この場合には、塗布装置または塗布プラントが可動される。その間に、被覆すべき基体、殊にコイルは、可動されてもよく、その際に塗布プラントは、基体に対して相対的に静止されるかまたは適当な方法で可動される。
【0084】
特に、スプレー塗布方法、例えば圧縮空気スプレー(空気圧塗布装置(Pneumatische Applikationsanlagen))、エアレススプレー、高速回転、静電スプレー塗装(ESTA)が、任意にホットスプレー塗装、例えばホットエアホットスプレーと関連して使用される。
【0085】
好ましくは、前記層厚は、硬化された乾燥状態で20〜70μmである。
【0086】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の塗布後および硬化前に、或る程度の静止時間または蒸発時間を生じさせることができる。この静止時間は、例えば均展のため、および塗料層の脱ガス化のため、または揮発性成分、例えば溶剤の蒸発のために使用される。静止時間は、これに関連して塗料層の損傷または変化、例えば早期の完全な架橋が生じない限り、高められた温度の使用によって、および/または減少された空気湿度によって支持されることができ、および/または短縮されることができる。
【0087】
基体上での本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の塗布および任意に蒸発時間の後に、硬化が生じ、それによってクリヤーラッカー塗膜が形成される。
【0088】
本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の熱硬化および/または化学線による硬化は、方法上の特殊性を有しないが、通常の公知の方法、例えば空気循環炉中での加熱またはIR灯での照射により行なわれる。これに関連して、熱硬化は、段階的に行なうこともできる。さらなる硬化方法は、近赤外線(NIR線)での硬化である。本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物の熱硬化は、殊に好ましい。前記熱硬化は、たいてい30〜200℃、特に有利に40〜190℃、殊に50〜180℃の温度で1分間〜10時間、特に有利に2分間〜5時間、殊に3分間〜3時間の間に行なわれる。有利に使用される二成分系クリヤーラッカー被覆組成物の場合には、熱硬化は、有利に20分間〜60分間の間に80℃〜160℃で行なわれる。基体としての金属を用いると、熱硬化は、有利に100℃〜160℃で20〜40分間行なわれる。好ましい基体としてプラスチックを用いると、熱硬化は、60〜100℃で30〜60分間行なわれる("低温焼付(low−bake)"法)。
【0089】
前記基体は、直接に被覆される(単層塗装)か、またはクリヤーラッカー層は、既に存在する、先に塗布されかつ任意に乾燥されたかまたは硬化された塗料層上に形成され、その際にさらに多層塗膜が生じる。前記基体は、有利に、自動車の組立において自動車用増設部品の製造に使用されるような金属基体またはプラスチック基体、PP/EPDM、ポリアミド、ABSである。プラスチック基体は、殊に好ましい。
【0090】
金属基体の場合には、クリヤーラッカー塗膜は、有利に電着塗膜、フィラー塗膜、下塗り塗膜および本発明によるクリヤーラッカー塗膜を含む多層塗膜の範囲内で好ましい。プラスチック基体の場合には、単層塗膜または同様に多層塗膜が形成される。後者の場合には、通常の、プラスチック塗装に使用可能なフィラー被覆組成物、単層上塗り塗料被覆組成物、下塗り塗料被覆組成物およびクリヤーラッカー被覆組成物が使用され、これらの被覆組成物の選択および使用は、当業者に公知である。
【実施例】
【0091】
例:
製造例1.(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの合成
158〜172℃の沸騰範囲を有する芳香族炭化水素画分94.5gと開始剤ジ−t−ブチルペルオキシド57.9gとの開始剤溶液からなるプレミックスを調製する。この混合物を滴下漏斗中に移す。
【0092】
第2の滴下漏斗中にエチルヘキシルアクリレート1869.9gとヒドロキシエチルアクリレート684.6gとからなるプレミックスを供給する。攪拌機、第2の滴下漏斗(開始剤溶液用とモノマー混合物用にそれぞれ1個ずつ)、窒素導入管、内部温度計および還流冷却器を装備した、4 lの湿潤容量を有する実験室用反応器中に、158〜172℃の沸騰範囲を有する芳香族炭化水素画分1022.4gを予め装入する。
【0093】
予め装入した溶剤を150℃に加熱する。この温度を達成した後、前記モノマー混合物を4時間内で、および前記開始剤混合物を4 3/4時間内で同様に攪拌しながら受け器に供給する。その際に、最初の開始剤の供給は、最初のモノマー供給の15分前に行なわれ、引続き連続的にさらに4.5時間に亘って行なわれる。前記モノマー混合物の添加は、連続的に4時間に亘って行なう。重合の間に発熱反応が発生し、その際に前記温度は、さらに冷却により150℃に維持することができる。前記添加の終結後に、前記混合物をさらに150℃で1時間維持し、かつその後に冷却する。
【0094】
生じるメタクリレートコポリマー溶液を67質量%を有する芳香族炭化水素画分で(空気循環炉:130℃で1時間)調節する。
【0095】
こうして製造された(メタ)アクリレート(コ)ポリマーは、131mg KOH/gのOH価、−70℃のガラス転移温度Tgおよび67質量%の不揮発分を有していた。
【0096】
製造例2.ポリアミドワックス粒子(C)を含有するポリアミド増粘剤ペーストの調製
Erbsloeh社のDisparlon 9600−29X1 30質量部とCytec Surface Specialities社のMacrynal SM510 N2 70質量部を混合し、かつ実験室用ミル中で均一にした。
【0097】
1有機溶剤(アルコール、キシレン)中のポリアミドワックス粒子の分散液。この分散液の不揮発分は、20質量%である。
2有機溶剤(酢酸ブチルエステル、キシレン、ソルベントナフサ)中の、150mg KOH/gのOH価および36℃のガラス転移温度Tgを有する(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの分散液。この分散液の不揮発分は、60質量%である。
【0098】
クリヤーラッカー被覆組成物の製造
第1表によれば、比較組成物1および2ならびに組成物3は、これらの成分の混合および生じる混合物の均一化によって製造される。前記組成物は、品質の損失なしに数週間に亘って貯蔵することができた。前記組成物を、それぞれ三量体のヘキサメチレンジイソシアネートをベースとするイソシアネートベースの架橋剤(この架橋剤溶液の組成:Bayer MaterialScience社のDesmodur N 3390および同量部の酢酸ブチルエステルならびに158℃〜172℃の沸点を有する芳香族炭化水素画分、その結果、68質量%の不揮発分が生じる)と混合し、かつ10分以内にさらに下記したように基体上に塗布した。第1表の混合物1、2および3対架橋剤溶液の混合比は、下塗り塗料100質量部対架橋剤溶液30質量部であった。全てのクリヤーラッカー被覆組成物を酢酸ブチルエステルでスプレー粘度(23℃でISO4カップ中で38秒)に調節した。
【0099】
【表1】
【0100】
1.Cytec Surface Specialities社のMacrynal SM510 N(不揮発分:60質量%、OH価(樹脂)=150mg KOH/g、Tg(樹脂)=36℃)。
2.製造例1に記載の(メタ)アクリレート(コ)ポリマー(不揮発分:67質量%、OH価(樹脂)=131mg KOH/g、Tg(樹脂)=−70℃)。
3.Nuplex Resins社のSetalux 1756 VV−65(Solvesso 100中の(メタ)アクリレート(コ)ポリマーの64〜66%の溶液、不揮発分:65質量%、OH価(樹脂)=91mg KOH/g、Tg(樹脂)=35℃)。
4.Nuplex Resins社のSetalux 91756 VS−60(尿素で変性したアクリレート樹脂;アミン成分としてのベンジルアミン(不揮発性尿素作用物質の含量約3.3〜4.0質量%)とのSetalux 1756をベースとする混合物(不揮発分:56質量%))。
5.製造例2に記載のポリアミド増粘剤ペースト
6.市販の均展添加剤
7.市販のUV吸収剤
8.市販のUV吸収剤。
【0101】
クリヤーラッカー塗膜の製造および性質ならびに前記組成物の性質
前記クリヤーラッカー被覆組成物の塗布を、空気圧によりケーネ(Koehne)社製の自動装置を用いて行なった。引続き、塗布された組成物1、2および3をそれぞれ90℃で30分間硬化させた。さらに、なおWO 2004111139のV5に記載のさらなる比較組成物を製造し(クリヤーラッカー被覆組成物4)、ケーネ(Koehne)社製の自動装置を用いて空気圧により塗布し、かつWO 2004111139の試験規定に応じて140℃で30分間硬化させ、それによってクリヤーラッカー塗膜4を製造した。
【0102】
前記クリヤーラッカー被覆組成物を、楔形のカーソルパネル(Laeufertafeln)を設置するために塗布した。これに関して、前記クリヤーラッカー被覆組成物は、それぞれ焼き付けた塗膜中で10〜60μmの層厚範囲を覆った。
【0103】
前記カーソルの安定性は、対角線上に並んだ孔を有する寸法320×600mmのコイルで被覆された試験パネル上で確認された。前記カーソルの安定性は、並んだ孔のカーソルの長さに依存してそれぞれの乾燥されたクリヤーラッカー塗膜の層厚を算出することにより評価された。
【0104】
均展性または外観を確認するために、前記クリヤーラッカー被覆組成物を一定の乾燥層厚でそれぞれ20μmおよび35μmで寸法500×200mmの、コイルで被覆された、孔のない試験パネル上に塗布し、かつ硬化させた。評価は、ウェーブスキャン測定(ロングウェーブ/ショートウェーブ)により記載された層厚範囲内で行なわれた。
【0105】
前記クリヤーラッカー塗膜の白色の薄膜に対する安定性は、結露水に対する負荷をDIN EN ISO 6270−2に従い240時間試験しかつ引続き負荷されていない試験体と負荷された試験体との比較で染みの形成または変色(白色の薄膜)に対してクリヤーラッカー塗膜を視覚的に(目視的に)評価することによって確認した。
【0106】
前記組成物1〜4の剪断安定性に対する試験を、攪拌速度U=20min-1で数日間(7日間)攪拌することによって実施した。それに引き続いて、負荷されていない試験体ならびに攪拌試験において7日間負荷された試験体の、回転式レオメーター(2D法)での時間に依存した粘度の測定を行なった。それに関して、試験すべき塗料パターンを最初に23℃で約10分間温度調節し、引続き1000sec-1の剪断速度で5分間負荷し(負荷段階)、その後に直ちに(脱負荷段階)8分間1sec-1の剪断速度に切り替える。前記粘度の時間に依存する変化を評価することをもとにして、前記材料のレオロジー損傷を。先行する攪拌負荷によって10秒後および60秒後の勾配につき確認する。先行する攪拌負荷によって、攪拌負荷されていない試験体と比較して勾配挙動における低下を確認することができる場合には、別の試験体と比較してどの試験体が剪断安定性であるのかを様々な試験体の比較で百分率での勾配損失によって確認することができる。
【0107】
前記クリヤーラッカー試験体の貯蔵安定性の試験は、当該クリヤーラッカー試験体を室温(23℃)で、および高められた貯蔵温度(40℃)で数日間ないし二三週間の期間に亘って行なった。引続き、前記試験体を流出粘度により、または回転粘度計によるレオロジー測定により測定し、かつ互いに比較した。更に、流出時間の差および変化から、またはレオロジー挙動の差および変化から、それぞれの試験体の様々な貯蔵条件の際に粘度挙動およびレオロジー挙動における変化が可能であり、例えば新しい試験体と比較した流出時間の百分率での上昇が可能である。
【0108】
【表2】
【0109】
第2表に示された結果は、本発明によるクリヤーラッカー被覆組成物から製造されたクリヤーラッカー塗膜が塗布特性の均展性と垂れ形成との優れたバランスを有し、それによって高い視覚的品質を有することを証明する。それと共に、本発明によるクリヤーラッカー塗膜は、結露水に対する良好な安定性を有する。同時に、前記組成物3は、せん断応力および長時間の貯蔵の際に受け入れることができる安定性を有し、すなわち前記組成物のレオロジー特性の特徴または粘度は、せん断応力時にほんの僅かだけ変化する。