【文献】
Osaka, Itaru; Abe, Toru; Shinamura, Shoji; Takimiya, Kazuo,Impact of Isomeric Structures on Transistor Performances in Naphthodithiophene Semiconducting Polymers,Journal of the American Chemical Society,2011年,Vol. 133, Iss. 17,P. 6852-6860
【文献】
大森 裕,有機分子エレクトロニクス概論,応用物理,2007年,第76巻、第5号,P. 522-526
【文献】
Pan, Hualong; Li, Yuning; Wu, Yiliang; Liu, Ping; Ong, Beng S.; Zhu, Shiping; Xu, Gu,Low-Temperature, Solution-Processed, High-Mobility Polymer Semiconductors for Thin-Film Transistors,Journal of the American Chemical Society,2007年,Vol. 129, Iss. 14,P. 4112-4113
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0048】
本発明は、下記の実施例を参照してより明確に理解されることができ、下記の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、発明の領域を制限するためのものではない。
【0049】
[実施例1]4,9−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレンの合成
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)ナフタレンの合成
【化13】
【0050】
1.5−ジヒドロキシナフタレン5.0g(31.2mmol)及び炭酸カリウム43.1g(311mmol)をDMF50mLに溶かした。これに2−エチルヘキシルブロマイド18.0g(93.2mmol)を添加し、100℃で24時間撹拌した。水で焼入れ(quenching)処理し、エチルアセテートで抽出した後、水及び塩水で順に洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムを用いて余分の水分を除去した後、カラム分離することで、標記の化合物8.0g(66.6%)を得た。
【0051】
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ7.84(d,2H,J=8.3Hz),7.37(t,2H,J=8.2Hz&7.9Hz),6.84(d,2H,J=7.6Hz),4.05(d,4H,J=5.4Hz),1.86(m,2H),1.60−1.51(m,10H),1.38−1.33(m,8H),0.99−0.88(m,10H);
Mass:m/z 384.
【0052】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレンの合成
【化14】
【0053】
メチレンクロリド100mLに1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)ナフタレン5.0g(13.0mmol)を溶かした後、ジクロロメタン50mLに臭素4.2g(26.3mmol)を溶かした溶液を0℃で1時間徐々に添加した。次いで、温度を室温に戻して3時間撹拌した。フードから残りの臭素を除去し、溶媒を減圧蒸留した後、カラム分離することで、標記の化合物5.5g(78.0%)を得た。
【0054】
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ7.71(d,2H,J=8.9Hz),7.58(d,2H,J=8.9Hz),3.92(d,4H,J=5.8Hz),1.86(m,2H),1.51−1.33(m,6H),1.32−1.10(m,10H),0.98−0.88(m,12H);
Mass:m/z 542.
【0055】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)ナフタレン−2,6−ジカルバルデヒドの合成
【化15】
【0056】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−ジブロモナフタレン1.0g(1.8mmol)をTHF20mLに溶かした後、温度を−78℃に下げて、n−ブチルリチウムを30分間徐々に添加した。−78℃で2時間撹拌した後、DMF0.46g(6.3mmol)を10分間徐々に添加し、30分間さらに撹拌した。温度を室温に戻して反応物を1時間撹拌した後、冷水で反応を終結させた。次いで、エチルアセテートで抽出し、減圧蒸留した後、カラム分離することで、標記の化合物1.1g(45.0%)を得た。
【0057】
1HNMR(400MHz,CDCl
3):δ10.61(s,2H),8.06(d,2H,J=8.8Hz),7.97(d,2H,J=8.8Hz),4.08(d,4H,J=5.9Hz),1.97(m,2H),1.71−1.55(m,7H),1.41−1.36(m,9H),1.05−0.93(m,12H).
【0058】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−(N,N−ジメチルエチレンジアミン)ナフタレンの合成
【化16】
【0059】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)ナフタレン−2,6−ジカルバルデヒド1.3g(2.9mmol)をエタノール20.0mLに溶かし、1時間撹拌した。N,N−ジメチルエチレンジアミン0.66g(7.5mmol)を添加し、25℃で24時間撹拌した後、溶媒を減圧蒸留して除去し、カラム分離することで、標記の化合物1.5g(87.7%)を得た。
【0060】
1HNMR(400MHz,CDCl
3):δ7.85(d,2HJ=8.8Hz),7.73(d,2HJ=8.8Hz),3.98(s,2H),3.82(d,4HJ=5.9Hz),3.42(q,4H,J=1.8Hz,4.8Hz&3.6Hz),2.62(q,4H,J=1.8Hz,4.6 Hz&3.6Hz),2.24(s,12H),1.89(m,2H),1.64−1.52(m,8H),1.39−1.33(m,8H),1.00−0.89(m,12H).
【0061】
3,7−ジブロモ−1,5−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ナフタレン−2,6−ジカルバルデヒドの合成
【化17】
【0062】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)−2,6−(N,N−ジメチルエチレンジアミン)ナフタレン1.0g(1.7mmol)をジエチルエーテル40mLに溶かした後、1時間撹拌した。次いで、tert−ブチルリチウム0.67g(10.4mmol)を30分間徐々に添加し、−40℃で30分間撹拌した。反応混合物を−20℃で7時間撹拌した後、温度を−78℃に下げて、0℃でジエチルエーテル30.0mLに溶かした1,2−ジブロモテトラクロロエタン3.4g(10.4mmol)をシリンダを用いて徐々に添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、25℃で15時間さらに撹拌した。TLCで反応終了を確認した後、0℃で2M塩酸水溶液100mLを添加した。次いで、1時間撹拌した後、25℃で4時間さらに撹拌した。有機層を分離して水及び塩水で順に洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて余分の水分を除去した後、カラム分離することで、標記の化合物0.25g(25.0%)を得た。
【0063】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ10.52(s,2H),8.24(s,2H),4.02(d,4H,J=5.8Hz),1.86(m,2H),1.63−1.53(m,6H),1.42−1.37(m,10H),1.05−0.94(m,12H).
【0064】
5,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジエチルエステルの合成
【化18】
【0065】
無水エタノール10mLにナトリウム0.015g(0.7mmol)を添加し、30分間撹拌した。これに、エチル−2−メルカプトアセテート0.087g(0.7mmol)を0℃で徐々に添加した。0℃で30分間撹拌した後、エタノールを希釈させ、3,7−ジブロモ−1,5−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−ナフタレン−2,6−ジカルバルデヒド0.2g(0.3mmol)を添加して、1時間撹拌した。反応混合物を16時間さらに還流撹拌した後、溶媒を除去し、カラム分離することで、標記の化合物0.125g(56%)を得た。
【0066】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.53(s,2H),8.29(s,2H),4.51(q,4H,J=7.0Hz,7.1Hz&7.0Hz),4.25(d,4H,J=5.6Hz),2.02(m,2H),1.97−1.52(m,10H),1.42−1.37(m,12H),1.05−0.88(m,12H).
【0067】
5,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレン−2,7−ジカルボン酸の合成
【化19】
【0068】
5,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレン−2,7−ジカルボン酸ジエチルエステル0.06g(0.009mmol)をTHF:メタノール0.5mL(1:1)に溶かし、水0.2mL及びリチウムヒドロキシド0.01g(0.04mmol)を添加した後、室温で8時間撹拌した。次いで、50℃で8時間さらに撹拌し、溶媒を除去した後、温度を0℃に下げて、2N HCl溶液で酸性化することで、標記の化合物0.04g(74.0%)を得た。
【0069】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ8.32(s,2H),7.97(s,2H),4.08(d,4H,J=5.2Hz),1.86(m,2H),1.65−1.40(m,8H),1.32−1.29(m,8H),1.05−0.88(m,12H).
Mass(EI):m/z 584.
【0070】
4,9−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレンの合成
【化20】
【0071】
5,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレン−2,7−ジカルボン酸0.02g(0.003mmol)をキノリン0.5mLに溶かした。反応溶液にCu0.09g(0.01mmol)を添加した後、180℃で8時間撹拌した。温度を下げた後、室温でエチルアセテートを添加し、銅を濾過して除去した。エチルアセテート層に2N HClを添加して水及び塩水で順に洗浄し、減圧蒸留した後、カラム分離することで、標記の化合物12mg(70%)を得た。
【0072】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):δ8.52(s,2H),7.51(d,2H,J=5.8Hz),7.40(d,2H,J=5.7Hz),4.13(d,4H,J=5.7Hz),1.88(m,2H),1.58−1.5(m,7H),1.48−1.41(m,9H),1.07−0.97(m,12H);
13C−NMR(500MHz,CDCl
3):δ149.7,138.3,130.4,127.3,124.7,120.3,110.8,78.4,41.1,30.6,29.3,24.0,23.3,14.3,11.4;
MS(EI):m/z 496;
Elemental Analysis Calcd.C
30H
40O
2S
2:C,72.53;H,8.12;S,12.91%.Found:C,72.46;H,8.44;S,12.92%.
【0073】
[実施例2]4,9−ビス(2−ブチルオクチルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレンの合成
【0074】
1,5−ビス−(2−エチルヘキシルオキシ)ナフタレンを合成する際に、2−エチルヘキシルブロマイドに代えて2−ブチルオクチルブロマイドを用いたことを除き、実施例1と同様の方法で合成することで、標記の化合物0.12g(67%)を得た。
【0075】
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ8.54(s,2H),7.48(d,2H,J=5.8Hz),7.35(d,2H,J=5.7Hz),4.11(d,4H,J=5.7Hz),1.96(m,2H),1.72(m,4H),1.57(m,4H),1.43(m,24H),0.98−0.88(m,12H);
13CNMR(75MHz,CDCl
3):δ149.64,138.35,130.43,127.17,124.68,120.26,110.80,78.42,39.62,32.10,31.49,31.19,29.97,29.40,27.14,23.33,22.89,14.35,14.30;
EI Mass:mass calculated for C
38H
56O
2S
2,608.37,Found 608.
【0076】
[実施例3]ポリ(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2−エチル−1−(チエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)ヘキサン−1−オン)(Poly(4,9−bis((2−butyloctyl)oxy)naphtho[2,3−b:6,7−b’]dithiophene−2−ethyl−1−(thieno[3,4−b]thiophen−2−yl)hexan−1−one、PNDTTT)の合成
(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2,7−ジイル)ビス(トリメチルスタンナン)の合成
【化21】
【0077】
実施例2で合成された4,9−ビス(2−ブチルオクチルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]−ナフタレン(0.48g、0.78mmol)をドライTHF20mLに溶かした溶液を−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(2.5M solution in hexane、1.9mL、4.72mmol)を添加した。反応溶液を30分間撹拌した後、室温で30分間撹拌した。反応溶液をさらに−78℃に冷却した後、Me
3SnCl(1M solution in hexane、4.72mL、4.72mmol)を徐々に滴下した。反応溶液をさらに30分間撹拌し、反応溶液の温度を室温に戻した後、12時間撹拌した。次いで、反応溶液に水を添加した後、溶媒層を分離した。分離した溶媒層を濃縮してヘキサンで希釈させた後、蒸留水で洗浄した。次いで、Na
2SO
4で乾燥させた後、濾過し、濾液を濃縮した。イソプロパノールを用いて再結晶することで、標記の化合物を黄色の固体として得た(0.5g、68%)。
【0078】
1H NMR(300MHz,CDCl
3,ppm):δ8.53(s,2H),7.58(d,2H,J=5.8Hz),4.15(d,4H,J=5.7Hz),2.00(m,2H),1.74(m,4H),1.60(m,3H),1.45(m,15H),1.36(m,10H),0.99−0.89(m,12H),0.46(t,18H,J=28.7Hz);
13C NMR(75MHz,CDCl
3,ppm):δ148.86,142.81,142.22,131.93,128.05,124.39,110.13,78.39,39.70,32.16,31.66,31.34,30.04,29.50,27.27,23.37,22.93,14.38,14.31;
EI Mass:calcd for C
44H
72O
2S
2Sn
2,934.59,found 934.
【0079】
ポリ(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2−エチル−1−(チエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)ヘキサン−1−オン)(PNDTTT)の合成
【化22】
【0080】
(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2,7−ジイル)ビス(トリメチルスタンナン)(291mg、0.31mmol)、1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン(131mg、0.31mmol)、及びPd(Ph
3)
4(25mg、0.02mmol)をトルエン(12mL)とDMF(3mL)の混合溶媒に溶かした反応混合物を、120℃で24時間撹拌した。反応溶液を冷却させた後、メタノール(150mL)を添加すると、沈殿が生成される。生成された固体を濾過した後、最小量のクロロホルムを用いて溶かし、メタノール(150mL)を添加してさらに沈殿させた。5時間撹拌後に生成された沈殿をソックスレーシンブル(Soxhlet thimble)に移して、メタノールで24時間,アセトンで24時間,ヘキサンで2時間ずつそれぞれ抽出した後、最後にクロロホルムを用いて回収した。回収されたクロロホルム溶液を濃縮させた後、メタノールで沈殿させ、これを濾過することで、標記の化合物を暗青色(dark blue)の固体として得た(210mg、76%)。
Mn=21,408;Mw=68,877;PDI=3.2;
【0081】
[実施例4]ポリ[(4,9−ビス((2−エチルヘキシル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン)(ヘプタデカン−9−イルチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレート}]の合成
【化23】
【0082】
実施例2で合成した化合物に代えて、実施例1で合成した4,9−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−1,6−ジチア−ジシクロペンタ[b,g]ナフタレンを用い、1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、ヘプタデカン−9−イル4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレートを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=22,116;Mw=53,440;PDI=2.4;
【0083】
[実施例5]ポリ[(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン)(2−エチルヘキシル3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレート)]の合成
【化24】
【0084】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、2−エチルヘキシル4,6−ジブロモ−3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレートを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=40,201;Mw=112,800;PDI=2.8;
【0085】
[実施例6]ポリ[1−(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2−イル)−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6(5H)−ジオン]の合成
【化25】
【0086】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、1,3−ジブロモ−5−オクチル−5H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオンを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=10,115;Mw=29,136;PDI=2.88;
【0087】
[実施例7]ポリ[2−エチルヘキシル−4−(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2−イル)セレノフェノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレート]の合成
【化26】
【0088】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、2−エチルヘキシル4,6−ジブロモセレノフェノ[3,4−b]チオフェン−2−カルボキシレートを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=24,095;Mw=94,205;PDI=3.91;
【0089】
[実施例8]ポリ[1−(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2−イル)−5−(ヘプタデカン−9−イル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6(5H)−ジオン]の合成
【化27】
【0090】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、1,3−ジブロモ−5−(ヘプタデカン−9−イル)−5H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオンを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=24,119;Mw=50,921;PDI=2.11;
【0091】
[実施例9]ポリ[1−(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン−2−イル)−5−(2−ブチルオクチル)−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6(5H)−ジオン]の合成
【化28】
【0092】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、1,3−ジブロモ−5−(2−ブチルオクチル)−5H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−ジオンを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=60,062;Mw=183,970;PDI=3.06;
【0093】
[実施例10]ポリ[1−(4−(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]−ジチオフェン−2−イル)−3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オン]の合成
【化29】
【0094】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、1−(4,6−ジブロモ−3−フルオロチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=61,018;Mw=136,054;PDI=2.23;
【0095】
[実施例11]ポリ[(4,9−ビス((2−ブチルオクチル)オキシ)ナフト[2,3−b:6,7−b’]ジチオフェン](4,7−ビス(4−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル)−[1,2,5]チアジアゾロ[3,4−c]ピリジン)の合成
【化30】
【0096】
1−(4,6−ジブロモチエノ[3,4−b]チオフェン−2−イル)−2−エチルヘキサン−1−オンに代えて、4,7−ビス(5−ブロモ−4−(2−エチルヘキシル)チオフェン−2−イル)−[1,2,5]チアジアゾロ[3,4−c]ピリジンを用いたことを除き、実施例3と同様の方法で標記の化合物を合成した。
Mn=4,372;Mw=7,184;PDI=1.64;
【0097】
[実施例12]光起電力デバイス(photovoltaic device)の製作
前記実施例3〜11から得られた高分子とPC
71BMの複合溶液(実施例3〜11で製造された高分子:PC
71BM=1:0.5〜4.0(重量比))を、1,2−ジクロロベンゼン又はコロロベンゼンを溶媒として用いて製造した。濃度は1.0〜2.0重量%に調節した。また、1,8−ジヨードオクタンを重量比1〜5%で用いた。実施例3〜11の高分子を含有する高分子光起電力デバイスを、典型的なサンドイッチ構造(ITO/PEDOT:PSS/活性層/LiF又はTiO
X/Al)を有するように製作した。ITOでコーティングされたガラス基板を、通常の洗浄工程、洗浄剤中での超音波処理、及び蒸留水、アセトン、2−プロパノールを用いた洗浄により洗った。ITO面を10分間オゾンに露出させた後、厚さ45nmのPEDOT:PSS(Baytron P)層をITO基板上にスピンコーティングした。PEDOT:PSS層をホットプレート上で140℃で10分間ベークした。活性層は、0.45μmの(PTFE)シリンジフィルタ(syringe filter)を用いて濾過した後、予め溶解させた複合溶液をスピンコーティングすることで形成した。得られたデバイス構造体上に、厚さ0.7nmのLiF電極又は厚さ2.0nmのCa電極、及び最上部電極として厚さ100nmのAlカソードを熱蒸留器内で3x10
−6torr真空下で蒸着することで、光起電力デバイスを完成した。全ての高分子光起電力セルの電流密度−電圧(J−V)特性を、Oriel 1000W solar simulatorを用いて太陽光を模擬した100mW/cm
2(AM1.5G)の照明光下で測定した。電気的データをKeithley 236 source−measure unitを用にて記録し、全ての特性は室温で測定した。照度を、NREL(National Renewable Energy Labortary)で較正された標準シリコンフォトダイオード検出器(PV measurements Inc.)を用いて補正した。IPCE(incident photon−to−current conversion efficiency)を、光源としてハロゲンランプを用いて360〜800nm(PV measurement Inc.)範囲の波長関数として測定し、標準シリコンフォトダイオードを用いて較正した。薄膜の厚さは、KLA Tencor Alpha−step IQ surface profilometerを用いて正確度±1nmで測定した。
【0098】
実施例12の測定結果を表1に示した。即ち、V
oc(open circuit voltage)、J
SC(short−circuit current density)、FF(fill factor)、及びエネルギー変換効率(η、overall conversion efficiency)の光起電力パラメータ(photovoltaic parameter)を表1に示した。
【0099】
電気光学的特性のうち、フィルファクタ及びエネルギー変換効率は、下記式1及び式2により算出した。
【0100】
【数1】
(前記式中、V
mpは最大電力点における電圧値であり、I
mpは電流密度であり、V
ocは光開放電圧であり、I
scは光短絡電流である。)
【0101】
【数2】
(前記式中、J
scは光短絡電流密度であり、V
ocは光開放電圧である。)
【0102】
UVスペクトルで表れる光学的バンドギャップは1.60〜1.78と低いため、光開放電圧が全体的に増大することを期待することができる。
【0103】
光電変換効率の測定結果から、アクセプター基の電子吸引性(electron−withdrawing effect)の強度によって光電変換効率が傾向的に変わることを確認することができる。即ち、表1に示すように、チエノチオフェン基の置換基であるエステル、ケトン、フルオロ及びケトンが置換された順に(実施例4−>実施例3−>実施例10の順)電子吸引性の強度が増加し、それにつれて効率も順に増大することが分かる。
【0104】
実施例5及び実施例10の場合も、同様の理由で同様の結果を得た。実施例4及び実施例7の効率を比較することにより分かるように、アクセプターの骨格でチオフェンがセレノフェンで置換された場合、電荷移動度が増加することを確認することができる。実施例6、実施例8、実施例9の光電変換効率の測定結果を比較すると、アクセプター基の置換体のバルキネス(bulkiness)によって効率が変化したことを確認することができる。即ち、実施例6及び実施例8は効率面では大きい変化がないが、隣り合うナフタレン−ジチオフェンのブチルオキシルロキシル基との接近性(proximity)によって高分子の分子間の接近性が影響を受けたと考えられる。これとは反対に、2−ブチルオキシル基を導入することで、隣り合うナフタレン−ジチオフェンのブチルオキシルロキシ基との接近性が阻害された実施例9の場合、効率が増大したことを確認することができる。
【0105】
したがって、ナフタレン−ジチオフェン化合物が導入された伝導性高分子でドナー−アクセプターの組合せを最適化してエネルギー変換効率(%)を極大化することで、高いエネルギー変換効率を有する高分子化合物を製造した。
【0106】
【表1】