【文献】
RAJESH RAJPAL,A NOVEL PANEL OF PROTEIN BIOMARKERS FOR PREDICTING RESPONSE TO THALIDOMIDE-BASED THERAPY IN NEWLY DIAGNOSED MULTIPLE MYELOMA PATIENTS,PROTEOMICS,2011年 4月 1日,V11 N8,P1391-1402
【文献】
TAKUMI ITO,TERATOGENIC EFFECTS OF THALIDOMIDE: MOLECULAR MECHANISMS,CELLULAR AND MOLECULAR LIFE SCIENCES,BIRKHAEUSER-VERLAG,2011年 1月 5日,V68 N9,P1569-1579
【文献】
伊藤拓水等,サリドマイド催奇性の分子機構,生化学,2011年 2月25日,Vol.83, No.2,Page.118-122
【文献】
CHAROENFUPRASERT S et al.,Identification of salt-inducible kinase 3 as a novel tumor antigen associated with tumorigenesis of ovarian cancer,Oncogene,2011年 8月18日,Vol.30, No.33,Page.3570-3584
【文献】
Galustian Christine,Lenalidomide: a novel anticancer drug wiht multiple modalities,Experts opinion on pharmacotherapy,2009年,Vol.10, No.1,Page.123-133
【文献】
Kai Uwe Chow et al.,In vivo drug-response in patients with leukemic non-Hodgkin's lymphomas is associated with in vitro chemosensitivity and gene expression profiling,Pharmacological Research,2006年,Vol.53,Page.49-61
【文献】
安藤秀樹等,「身近な話題・世界の話題」(118)セレブロン〜IMiDsの標的分子〜,血液フロンティア,2013年 8月30日,Vol.23, No,9,Page.1288-1292
【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン療法に対する多発性骨髄腫患者の抵抗性を同定又はモニタリングする方法であって、CRBN遺伝子内の突然変異の存在又は出現を決定することを含む、前記方法。
前記CRBN遺伝子内の突然変異が、CRBNのDDB1結合ドメイン内でタンパク質のアミノ酸変化249D>YDを生じさせる、コード領域中の単一ヌクレオチド多型c.745C>CAである、請求項12記載の方法。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
(2.1 癌の病理生物学)
癌は、主として、所与の正常組織に由来する異常細胞の数の増加、これらの異常細胞による隣接組織の浸潤、又は悪性細胞の所属リンパ節及び離れた部位へのリンパ行性もしくは血行性拡散(転移)を特徴とする。臨床データ及び分子生物学的研究により、癌は、特定の条件下で新生物形成へと進行し得る微小な前新生物性変化から始まる多段階プロセスであることが示されている。新生物性病変は、クローン性に発達することができ、特に、新生物性細胞が宿主の免疫監視を逃れる条件下で、浸潤、成長、転移、及び異質性の能力の増大を進展させることができる。Roitt,I., Brostoff,J及びKale,D.の文献、Immunology, 17.1-17.12(第3版, Mosby, St. Louis, Mo., 1993)。
【0004】
医学文献に詳細に記載されている膨大な種類の癌が存在する。例としては、肺、結腸、直腸、前立腺、乳房、脳、血液、及び腸の癌が挙げられる。癌の発生率は、一般人口が高齢化するにつれて、新たな癌が発生するにつれて、及び罹患しやすい人口(例えば、AIDSに感染した人又は日光に過剰に曝された人)が増加するにつれて、上昇し続ける。しかしながら、癌の治療の選択肢は限られている。例えば、血液癌(例えば、多発性骨髄腫)の症例において、特に、従来の化学療法が失敗し、骨髄移植が選択肢とならない場合、利用可能な治療選択肢はほとんどない。したがって、癌患者を治療するために使用することができる新しい方法及び組成物に対する多大な需要が存在する。
【0005】
多くの種類の癌は、血管新生として知られる過程である新血管形成を伴う。腫瘍誘導性血管新生に関与するいくつかの機構が解明されている。これらの機構のうちの最も直接的なものは、腫瘍細胞による血管新生特性を有するサイトカインの分泌である。これらのサイトカインの例としては、酸性及び塩基性線維芽細胞成長因子(a-FGF、b-FGF)、アンギオゲニン、血管内皮成長因子(VEGF)、及びTNF-αが挙げられる。或いは、腫瘍細胞は、プロテアーゼの産生、及びその後の、いくつかのサイトカインが貯蔵されている(例えば、b-FGF)細胞外マトリックスの破壊によって、血管新生ペプチドを放出することができる。血管新生は、炎症細胞(特に、マクロファージ)の動員及び炎症細胞によるその後の血管新生サイトカイン(例えば、TNF-α、b-FGF)の放出によって、間接的に誘導されることもある。
【0006】
リンパ腫は、リンパ系に原発する癌を指す。リンパ腫は、リンパ球-Bリンパ球及びTリンパ球(すなわち、B細胞及びT細胞)の悪性新生物を特徴とする。リンパ腫は、通常、リンパ節、又は限定されないが、胃もしくは腸を含む器官内のリンパ組織の集合体で発生する。リンパ腫は、場合によっては、骨髄及び血液を冒し得る。リンパ腫は、身体のある部位から他の部位へと拡散し得る。
【0007】
様々な形態のリンパ腫の治療は、例えば、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,468,363号に開示されている。そのようなリンパ腫としては、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、活性化B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞中心細胞リンパ腫、形質転換性リンパ腫、中分化型のリンパ球性リンパ腫、中間型リンパ球性リンパ腫(ILL)、びまん性低分化型リンパ球性リンパ腫(PDL)、中心細胞性リンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞リンパ腫(DSCCL)、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)、皮膚T細胞リンパ腫及びマントル帯リンパ腫、並びに低悪性度濾胞性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0008】
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、米国の男女両方について5番目に多い癌であり、2007年には、新たな症例が63,190件及び死亡が18,660件と推定された。Jemal Aらの文献、CA Cancer J Clin 2007; 57(1):43-66。NHLを発症する確率は年齢とともに増加し、また、高齢者におけるNHLの発生率は、過去10年間で着実に増加しており、米国人口の高齢化傾向に対する懸念が生じている(同上)。Clarke C Aらの文献、Cancer 2002; 94(7): 2015-2023。
【0009】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫のほぼ3分の1を占める。一部のDLBCL患者は、従来の化学療法で治癒するが、残りは、本疾患が原因で死亡する。抗癌薬は、おそらくは、成熟T細胞及びB細胞における直接的なアポトーシス誘導のために、迅速でかつ持続的なリンパ球の枯渇を引き起こす。K. Stahnke.らの文献、Blood 2001, 98:3066-3073を参照されたい。絶対リンパ球数(ALC)は、濾胞性非ホジキンリンパ腫の予後因子であることが示されており、最近の結果は、診断時のALCがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の重要な予後因子であることを示唆している。
【0010】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、その遺伝子プロファイリングパターンにより、異なる分子サブタイプ:胚中心B細胞様DLBCL(GCB-DLBCL)、活性化B細胞様DLBCL(ABC-DLBCL)、及び縦隔原発B細胞リンパ腫(PMBL)、又は分類不能型に分類することができる。これらのサブタイプは、生存、化学応答性、及びシグナル伝達経路依存性、特に、NF-κB経路の明白な違いによって特徴付けられる。D. Kimらの文献、Journal of Clinical Oncology, 2007 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 25, No. 18S(June 20 Supplement), 2007: 8082を参照されたい。Bea Sらの文献、Blood 2005; 106: 3183-90; Ngo V.Nらの文献、Nature 2011; 470: 115-9を参照されたい。そのような違いは、DLBCLにおけるより効果的でかつサブタイプ特異的な治療戦略の探索を促進している。
【0011】
白血病は、血液形成組織の悪性新生物を指す。様々な形態の白血病は、例えば、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,393,862号、及び2002年5月17日に出願された米国仮特許出願第60/380,842号に記載されている。ウイルスが、動物におけるいくつかの形態の白血病を引き起こすと報告されているが、ヒトにおける白血病の原因は、大部分が不明である。メルクマニュアル(The Merck Manual), 944-952(第17版、1999)。悪性腫瘍への形質転換は、通常、その後の増殖及びクローン性拡大を伴う2以上のステップを経て1つの細胞で生じる。いくつかの白血病では、特定の染色体転座が、一貫性のある白血病細胞形態及び特別な臨床的特徴を伴って同定されている(例えば、慢性骨髄球性白血病における9番及び22番の転座、並びに急性前骨髄球性白血病における15番及び17番の転座)。急性白血病は、大半が未分化な細胞集団であり、慢性白血病は、より成熟した細胞形態である。
【0012】
急性白血病は、リンパ芽球性(ALL)型と非リンパ芽球性(ANLL)型に分類される。メルクマニュアル(The Merck Manual), 946-949(第17版、1999)。それらは、仏-米-英(FAB)分類に従って、又はその種類及び分化度に従って、その形態学的及び細胞化学的な外観により、さらに細分化することができる。B細胞及びT細胞抗原並びに骨髄系抗原の特異的モノクローナル抗体の使用は、分類のために最も役に立つ。ALLは、主に、検査所見及び骨髄検査によって確定される小児期疾患である。ANLLは、急性骨髄性白血病又は急性骨髄性白血病(AML)としても知られ、全ての年齢層で生じ、成人の中でより一般的な急性白血病であり;それは、通常は、原因因子としての放射線照射と関連した形態である。
【0013】
慢性白血病は、リンパ球性(CLL)又は骨髄球性(CML)であるといわれる。メルクマニュアル(The Merck Manual)、949-952(第17版、1999年)。CLLは、血液、骨髄、及びリンパ系器官における成熟リンパ球の出現を特徴とする。CLLの顕著な特徴は、持続性の、絶対的リンパ球増加(>5,000/μL)、及び骨髄におけるリンパ球の増加である。大部分のCLL患者では、B細胞の特徴を有するリンパ球のクローン性拡大も見られる。CLLは、中年又は老年の疾患である。CMLにおいて、特徴的な特色は、全ての分化段階の顆粒球細胞が、血液、骨髄、肝臓、脾臓、及び他の器官において大半を占めることである。診断時に症候性の患者において、全白血球(WBC)数は、通常、約200,000/μLであるが、1,000,000/μLに達することもある。CMLは、フィラデルフィア染色体が存在するため、診断が比較的容易である。
【0014】
骨髄間質細胞は、CLLの疾患進行及び化学療法抵抗性を支持することがよく知られている。CLL細胞と間質細胞の相互作用を妨げることは、CLL化学療法のさらなる標的である。
【0015】
急性及び慢性の分類に加えて、新生物も、そのような障害を生じる細胞に基づいて、前駆性又は末梢性に分類される。例えば、その開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれている、米国特許公開第2008/0051379号を参照されたい。前駆新生物は、ALL及びリンパ芽球性リンパ腫を含み、それらがT細胞かB細胞のどちらかに分化する前にリンパ球に生じる。末梢新生物は、T細胞かB細胞のどちらかに分化したリンパ球に生じるものである。そのような末梢新生物としては、B細胞CLL、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ系組織の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞種、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及びバーキットリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。CLL症例の95パーセント超において、クローン性拡大はB細胞系統のものである。癌:腫瘍学の原理及び実践(Cancer: Principles & Practice of Oncology)(第3版)(1989)(1843-1847頁)を参照されたい。CLL症例の5パーセント未満において、腫瘍細胞は、T細胞表現型を有する。しかしながら、これらの分類にもかかわらず、正常な造血の病理学的機能障害が、全ての白血病の顕著な特徴である。
【0016】
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄中の形質細胞の癌である。通常、形質細胞は、抗体を産生し、免疫機能において重要な役割を果たす。しかしながら、これらの細胞の無制御な成長は、骨痛及び骨折、貧血、感染症、並びに他の合併症を引き起こす。多発性骨髄腫は、2番目に多い血液悪性腫瘍であるが、多発性骨髄腫の正確な原因は依然として不明である。多発性骨髄腫は、血液、尿、及び器官中に高レベルのタンパク質を生じさせ、これには、M-タンパク質及び他の免疫グロブリン(抗体)、アルブミン、並びにβ2-ミクログロブリンが含まれるが、これらに限定されない。単クローン性タンパク質の省略形であるM-タンパク質は、パラプロテインとしても知られているが、これは、特に、骨髄腫形質細胞によって産生される異常なタンパク質であり、ほぼ全ての多発性骨髄腫患者の血液又は尿中に見出すことができる。
【0017】
骨痛を含む、骨格の症状は、多発性骨髄腫の最も臨床的に顕著な症状の1つである。悪性形質細胞は、カルシウムを骨から浸出させて溶解性病変を引き起こす破骨細胞刺激因子(IL-1、IL-6、及びTNFを含む)を放出し;高カルシウム血症は、別の症状である。破骨細胞刺激因子は、サイトカインとも呼ばれ、アポトーシス、すなわち、骨髄腫細胞の死を防ぐことができる。患者の50パーセントは、X線で検出可能な骨髄腫関連骨格病変を診断時に有する。多発性骨髄腫の他の一般的な臨床症状としては、多発ニューロパチー、貧血、過粘稠、感染症、及び腎不全が挙げられる。
【0018】
骨髄間質細胞は、多発性骨髄腫の疾患進行及び化学療法抵抗性を支持することがよく知られている。多発性骨髄腫細胞と間質細胞の相互作用を妨げることは、多発性骨髄腫化学療法のさらなる標的である。
【0019】
骨髄異形成症候群(MDS)は、多様な造血幹細胞障害群である。MDSは、無効な血球産生に起因する、形態及び成熟の障害(骨髄造血不全)を有する細胞性骨髄と、末梢血血球減少と、急性白血病に進行する変動リスクとを特徴とする。メルクマニュアル(The Merck Manual), 953(第17版、1999)、及びListらの文献、1990, J Clin. Oncol. 8:1424を参照されたい。免疫調節化合物を用いたMDSの治療は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許公開第2004/0220144号に記載されている。
【0020】
固形腫瘍は、嚢胞又は液体部分を含み得るが、通常は、それらを含まない、異常な組織塊である。固形腫瘍は、良性(癌ではない)、又は悪性(癌)であり得る。異なる種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類に因んで命名されている。固形腫瘍の種類の例としては、悪性黒色腫、副腎癌、乳癌、腎細胞癌、膵臓癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、及び原発不明癌が挙げられるが、これらに限定されない。様々な種類又は病期の固形腫瘍を有する患者に一般に投与される薬物としては、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、アペシタビン(apecitabine)、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
初回治療後に完全寛解を達成する患者は、良好な治癒の見込みを有するが、応答しない又は再発する患者は、その10%未満しか、治癒又は3年よりも長く持続する応答を達成しない。Cerny Tらの文献、Ann Oncol 2002; 13 Suppl 4:211-216を参照されたい。
【0022】
リツキシマブは、正常な宿主B細胞を枯渇させることが知られている。M. Akliluらの文献、Annals of Oncology 15:1109-1114, 2004を参照されたい。リツキシマブによるB細胞枯渇の長期免疫作用、及びリンパ腫患者の再構成B細胞プールの特性は、この療法が広く使用されているにもかかわらず、十分に定義されていない。Jennifer H. Anolikらの文献、Clinical Immunology, 第122巻, 第2号, 2007年2月, 139-145頁を参照されたい。
【0023】
再発性又は不応性疾患を有する患者に対する手法は、実験的治療と、その後の幹細胞移植に大きく依存しているが、これらは、一般状態不良又は高齢の患者には適していない場合がある。したがって、NHL患者を治療するために使用することができる新しい方法に対する多大な需要が存在する。
【0024】
癌と細胞代謝の変化との間の関係は十分に確立されている。Cairns, R.A.らの文献、Nature Rev., 2011, 11:85-95を参照されたい。腫瘍細胞代謝及びその関連する遺伝子変化を理解することは、改良された癌治療法の同定につながり得る(同上)。例えば、グルコース代謝の増加による腫瘍細胞の生存及び増殖は、PIK3経路と関連があるとされており、この経路では、PTENなどの腫瘍抑制遺伝子の突然変異によって、腫瘍細胞代謝が活性化される(同上)。AKT1(別名、PKB)は、PFKFB3、ENTPD5、mTOR、及びTSC2(別名、ツベリン)との様々な相互作用によって、腫瘍細胞成長と関連するグルコース代謝を刺激する(同上)。
【0025】
転写因子HIF1及びHIF2は、しばしば腫瘍と関連する低酸素状態に対する細胞応答に大きな役割を果たす(同上)。ひとたび活性化されると、HIF1は、解糖を行なう腫瘍細胞の能力を促進する(同上)。したがって、HIF1の阻害は、腫瘍細胞代謝を緩徐化又は逆転させることができる。HIF1の活性化は、PI3K、腫瘍抑制タンパク質、例えば、VHL、コハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)、及びフマル酸ヒドラターゼと関連があるとされている(同上)。発癌性転写因子MYCも、腫瘍細胞代謝、特に、解糖と関連があるとされている(同上)。MYCは、グルタミン代謝経路による細胞増殖も促進する(同上)。
【0026】
AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)は、腫瘍細胞が増殖するために乗り越えなければならない代謝チェックポイントとして機能する(同上)。腫瘍細胞におけるAMPKシグナル伝達を抑制するいくつかの突然変異が同定されている。Shackelford, D.B.及びShaw, R.J.の文献、Nature Rev. Cancer, 2009, 9: 563-575を参照されたい。STK11は、AMPKの役割と関連する腫瘍抑制遺伝子として同定されている。Cairns, R.A.らの文献、Nature Rev., 2011, 11:85-95を参照されたい。
【0027】
腫瘍抑制因子である転写因子p53もまた、細胞代謝の調節において重要な役割を有する(同上)。腫瘍細胞におけるp53の喪失は、解糖経路に至る腫瘍細胞代謝の変化の重大な寄与因子であり得る(同上)。OCT1転写因子は、化学療法薬の別の潜在的標的であるが、これは、腫瘍細胞代謝を調節する際に、p53と協調することができる(同上)。
【0028】
ピルビン酸キナート(kinate)M2(PKM2)は、細胞代謝の変化を促進し、この変化は、細胞増殖を支持することによって、癌細胞に代謝上の利益を付与する(同上)。例えば、PKM1よりもPKM2を発現する肺癌細胞は、そのような利益を有することが分かっている(同上)。臨床において、PKM2は、いくつかの癌型において過剰発現されることが確認されている(同上)。したがって、PKM2は、腫瘍の早期検出のための有用なバイオマーカーであり得る。
【0029】
イソクエン酸デヒドロゲナーゼのIDH1及びIDH2の突然変異は、特に、膠芽腫及び急性骨髄性白血病における腫瘍発生と関連があるとされている。Mardis, E.R.らの文献、N. Engl. J. Med., 2009, 361: 1058-1066; Parsons, D.W.らの文献、Science, 2008, 321: 1807-1812を参照されたい。
【0030】
癌の発生率は、一般人口が高齢化するにつれて、新たな癌が発生するにつれて、及び罹患しやすい人口(例えば、AIDSに感染した人、高齢者、又は日光に過剰に曝された人)が増加するにつれて、上昇し続ける。したがって、限定されないが、リンパ腫、NHL、多発性骨髄腫、AML、白血病、及び固形腫瘍を有する患者を含む癌患者を治療するために使用することができる新しい方法、治療、及び組成物に対する多大な需要が存在する。
【0031】
種々の他の疾患及び障害はまた、望ましくない血管新生と関連するか、又はそれを特徴とする。例えば、増強した又は無調節な血管新生は、限定されないが、眼内新生血管疾患、脈絡膜新生血管疾患、網膜新生血管疾患、ルベオーシス(隅角の新血管形成)、ウイルス性疾患、遺伝的疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、線維症、関節炎、及び自己免疫疾患を含む、いくつかの疾患及び医学的状態に関係があるとされている。そのような疾患及び状態の例としては:糖尿病性網膜症;早産児網膜症;角膜移植拒絶反応;新生血管緑内障;水晶体後線維増殖症;及び増殖性硝子体網膜症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
したがって、望まれない血管新生を制御及び/もしくは阻害するか、又はTNF-αを含む特定のサイトカインの産生を阻害することができる化合物は、様々な疾患及び疾病の治療及び予防において有用であり得る。
【0033】
(2.2 炎症性疾患)
炎症は、宿主防御及び免疫媒介性疾患の進行において基本的な役割を果たしている。炎症応答は、損傷(例えば、外傷、虚血、及び外来粒子)並びに感染(例えば、細菌感染又はウイルス感染)に応答して、化学伝達物質(例えば、サイトカイン及びプロスタグランジン)並びに炎症細胞(例えば、白血球)を含む一連の複雑な事象により開始される。炎症応答は、血流の増加、毛細血管透過性の増加、及び食細胞の流入を特徴とする。これらの事象は、損傷又は感染の部位で腫脹、発赤、熱感(ヒートパターンの変化)、及び化膿を生じさせる。
【0034】
サイトカイン及びプロスタグランジンは炎症応答を制御し、秩序ある自己限定性のカスケードにおいて血液又は罹患組織に放出される。こうしたサイトカイン及びプロスタグランジンの放出によって、損傷又は感染の部位への血流が増加し、発赤及び熱感が生じ得る。これらの化学物質のいくつかは、組織への流体の漏出を引き起こし、腫脹を生じさせる。この防御過程は、神経を刺激し、疼痛を引き起こし得る。これらの変化は、限られた期間、関連部位に生じる場合、身体の利益のために作用する。
【0035】
腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)は、主に、免疫刺激物質に応答した単核貪食細胞によって放出されるサイトカインである。TNF-αは、分化、動員、増殖、及びタンパク質分解などのほとんどの細胞プロセスを増強することができる。低レベルでは、TNF-αは、感染体、腫瘍、及び組織損傷に対する防御を付与する。しかし、TNF-αは、多くの疾患においても役割を果たしている。哺乳動物又はヒトに投与されたとき、TNF-αは、炎症、発熱、心血管作用、出血、凝固、並びに急性感染及びショック状態において見られるのと同様の急性期応答を引き起こすか、又はこれらを悪化させる。増強された又は無調節なTNF-α産生は、いくつかの疾患及び医学的状態、例えば、癌、例えば、固形腫瘍及び血行性腫瘍;心疾患、例えば、鬱血性心不全;並びにウイルス性疾患、遺伝的疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、及び自己免疫疾患に関係があるとされている。
【0036】
アデノシン3',5'-環状一リン酸(cAMP)も、限定されないが、喘息及び炎症、並びに他の疾病などの、多くの疾患及び疾病において役割を果たしている(Lowe及びChengらの文献、Drugs of the Future, 17(9), 799-807, 1992)。炎症性白血球中のcAMPの上昇が、その活性化、並びにその後のTNF-α及びNF-κBを含む炎症性メディエーターの放出を阻害することが示されている。cAMPのレベルの増加は、気道平滑筋の弛緩も引き起こす。
【0037】
炎症応答における液性免疫要素と細胞性免疫要素の均衡の取れた繊細な相互作用によって、有害物の排除、及び損傷組織の修復の開始が可能となる。この繊細に均衡の取れた相互作用が破壊されると、炎症応答は、正常組織にかなりの損傷をもたらし得るし、また、反応を開始したもとの損傷よりも多くの害を及ぼし得る。これらの無制御な炎症応答の場合、組織損傷及び器官機能不全を予防するために、臨床的介入が必要とされる。乾癬、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、クローン病、喘息、アレルギー、又は炎症性腸疾患などの疾患は、慢性炎症を特徴とする。炎症性疾患、例えば、関節炎、関連する関節炎状態(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、及び乾癬性関節炎)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、敗血症、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、並びに慢性閉塞性肺疾患、慢性炎症性肺疾患もまた、一般的でかつ問題のある病気である。増強された又は無調節なTNF-α産生は、炎症応答において中心的な役割を果たしており、その拮抗薬の投与は、炎症性疾患の動物モデルにおいて慢性及び急性応答を遮断する。
【0038】
関節炎は、身体の関節への損傷を伴う疾病群を指し得る全身性自己免疫疾患である。100を超える様々な形態の関節炎が存在する。最も一般的な形態は、変形性関節症(変性性関節疾患)であり、他の関節炎形態は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、及び関連自己免疫疾患、例えば、狼瘡及び痛風である。関節リウマチは、関節の慢性炎症を特徴とする。滑膜組織と滑液の両方が、サイトカイン産生をもたらす炎症細胞に侵される。関節に浸潤するT細胞及び単球は、1型及び2型免疫応答マーカーの活性化の増大を示す。
【0039】
乾癬性関節炎は、皮膚と、関節と、腱、靱帯、及び筋膜の付着部とを冒す慢性炎症性関節炎状態である。Gladmanの文献、Current Opinion in Rheumatology, 「乾癬性関節炎における最新の概念(Current concepts in psoriatic arthritis)」, 2002, 14:361-366、及びRuddyらの文献、リウマチ学(Rheumatology), 第2巻, 第71章, 1071頁, 第6版, 2001。乾癬性関節炎は、一般に、乾癬に付随する(同上)。乾癬患者の約7%が乾癬性関節炎を発症する。メルクマニュアル(The Merck Manual), 448(第17版, 1999)。乾癬性関節炎は、種々の臨床パターンで現われ得る。乾癬性関節炎の5つの一般的なパターン:遠位指節間関節の関節炎、破壊性関節炎、関節リウマチと区別できない対称性多発性関節炎、非対称性少関節炎、及び脊椎関節症がある。Ruddyらの文献、1073頁。乾癬は、患者の60〜80%において、乾癬性関節炎の発症に先行すると思われる。時として、関節炎及び乾癬は同時に現われる。関節症が皮膚発疹に先行する場合もある。
【0040】
乾癬は、皮膚に現われる慢性全身性自己免疫疾患である。5種類の乾癬:尋常性乾癬、滴状乾癬、逆位乾癬、膿疱性乾癬、及び乾癬性紅皮症がある。最も一般的な形態の尋常性乾癬は、一般に、表皮の上部第一層に現われる赤色及び白色の落屑斑として見られる。しかし、皮膚症状がない患者もいる。尋常性乾癬では、皮膚は、これらの部位で急速に積み重なり、これにより、皮膚に銀白色の外観が与えられる。プラークは、肘及び膝の皮膚に頻発するが、頭皮、手掌及び足蹠、並びに生殖器を含む、任意の部位を冒し得る。湿疹とは対照的に、乾癬は、関節の外側に見られる可能性が高い。この障害は、重症度が、小さい局所的な斑から完全に身体を覆うものまで様々である慢性再発性疾病である。手指の爪及び足指の爪は、高い頻度で冒され(乾癬性爪ジストロフィー)、また、単発症状として見られることもある。乾癬は、乾癬性関節炎として知られる関節の炎症を引き起こすこともある。乾癬において、1つの仮説は、T細胞が活性化されるようになり、真皮に移動して、サイトカイン、特に、TNF-αの放出を引き起こし、これにより、炎症及びケラチノサイトの急速増殖がもたらされるというものである。
【0041】
(2.3 化合物)
異常なTNF-α産生と関連する疾患を治療するために安全かつ効果的に使用することができる化合物を提供する目的で多くの研究が実施されている。例えば、Marriott, J.B.らの文献、Expert Opin. Biol. Ther., 2001, 1(4): 1-8; G.W. Mullerらの文献、J Med Chem., 1996, 39(17): 3238-3240;及びG.W. Mullerらの文献、Bioorg & Med Chem Lett., 1998, 8: 2669-2674を参照されたい。いくつかの研究は、LPS刺激されたPBMCによるTNF-α産生を強力に阻害するその能力について選択された化合物群に焦点を合わせている。L.G. Corralらの文献、Ann. Rheum. Dis., 1999, 58:(Suppl I)1107-1113。これらの化合物は、TNF-αの強力な阻害だけでなく、LPS誘導性の単球IL1β及びIL12産生の顕著な阻害も示す。LPS誘導性IL6も、一部ではあるが、そのような化合物によって阻害される。これらの化合物は、LPS誘導性IL10の強力な刺激因子である(同上)。
【0042】
本明細書に提供される方法のための化合物としては、どちらもG.W. Mullerらに対する米国特許第6,281,230号及び第6,316,471号に記載の置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)フタルイミド及び置換2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドールが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示されるさらに他の具体的な化合物は、その各々が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第6,395,754号、第6,555,554号、第7,091,353号、米国特許公開第2004/0029832号、及び国際公開WO 98/54170号に開示されているイソインドール-イミドのクラスに属する。
【0043】
サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドは、多発性骨髄腫、リンパ腫、及び他の血液学的疾患、例えば、骨髄異形成症候群を有する患者において顕著な応答を示している。Galustian Cらの文献、Expert Opin Pharmacother., 2009, 10:125-133を参照されたい。これらの薬物は、抗血管新生特性、炎症促進性サイトカインの調節、T細胞の共刺激、NK細胞毒性の増大、直接的な抗腫瘍作用、及び幹細胞分化の調節を含む、広範囲の活性を示す。
【0044】
例えば、サリドマイド及びレナリドマイドは、新たに診断された患者、化学療法又は移植が不成功に終わった進行性疾患を有する患者、及び再発性又は不応性多発性骨髄腫を有する患者における多発性骨髄腫の治療のための重要な選択肢として浮上している。デキサメタゾンと組み合わせたレナリドマイドは、少なくとも1つの事前治療を受けた多発性骨髄腫患者の治療に対して承認されている。ポマリドマイドをデキサメタゾンと組み合わせて投与することもできる。その開示が完全に本明細書中に組み込まれている、米国特許公開第2004/0029832 A1号には、多発性骨髄腫の治療が開示されている。
【0045】
本明細書に提供される別の化合物は、以下の構造を有する、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物B」)、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形である:
【化1】
。
【0046】
化合物Bは、本明細書に提供される実施例に記載の方法によるか、又はその開示が引用により完全に本明細書中に組み込まれている、米国特許第7,635,700号に記載の通りに調製することができる。該化合物は、本明細書中の教示に基づいて、当業者に明白な他の方法に従って合成することもできる。ある実施態様において、化合物Bは、引用により完全に本明細書中に組み込まれている、2011年3月11日に出願された米国仮特許出願第61/451,806号に記載の結晶性形態である。いくつかの実施態様において、化合物Bの塩酸塩は、本明細書に提供される方法において使用される。癌及び他の疾患を化合物Bを用いて治療、予防、及び/又は管理する方法は、引用により完全に本明細書中に組み込まれている、2011年3月11日に出願された米国仮特許出願第61/451,995号に記載されている。
【0047】
(2.4 セレブロン)
タンパク質セレブロン(CRBN)は、植物からヒトまで保存されている442アミノ酸のタンパク質である。ヒトでは、CRBN遺伝子は、常染色体劣性非症候群性精神遅滞(ARNSMR)の候補遺伝子として同定されている。Higgins, J.J.らの文献、Neurology, 2004, 63:1927-1931を参照されたい。CRBNは、当初は、ラット脳のカルシウム活性化型カリウムチャネルタンパク質(SLO1)と相互作用する新規のRGS含有タンパク質として特徴付けられ、後に、AMPK7及びDDB1とともに網膜の電位依存性クロライドチャネル(CIC-2)と相互作用することが示された。Jo, S.らの文献、J. Neurochem, 2005, 94:1212-1224; Hohberger B.らの文献、FEBS Lett, 2009, 583:633-637; Angers S.らの文献、Nature, 2006, 443:590-593を参照されたい。DDB1は、最初、損傷DNA結合タンパク質2(DDB2)と会合するヌクレオチド除去修復タンパク質として同定された。その活性欠損は、色素性乾皮症相補群E(XPE)を有する患者において修復欠損を引き起こす。DDB1は、ユビキチン化、及びその後の標的タンパク質のプロテアソーム分解を媒介する多くの異なるDCX(DDB1-CUL4-X-ボックス)E3ユビキチン-タンパク質リガーゼ複合体の構成要素として機能するようにも見える。CRBNはまた、大脳皮質の疾患に対する治療剤の開発の標的として同定されている。WO 2010/137547 A1号を参照されたい。
【0048】
セレブロンは、出生異常を引き起こすサリドマイドに結合する重要な分子標的として最近同定された。Ito, T.らの文献、Science, 2010, 327:1345-1350を参照されたい。DDB1は、CRBNと相互作用することが分かり、それにより、サリドマイドと間接的に関連付けられた。さらに、サリドマイドは、CRBNの自己ユビキチン化をインビトロで阻害することができ、サリドマイドがE3ユビキチン-リガーゼ阻害剤であることが示唆された(同上)。重要なことに、この活性は、サリドマイドによって、野生型細胞では阻害されたが、サリドマイド結合を妨げる突然変異したCRBN結合部位を有する細胞では阻害されなかった(同上)。サリドマイド結合部位は、CRBN中の高度に保存されたC末端の104アミノ酸の領域に位置付けられた(同上)。CRBN中の個々の点突然変異であるY384A及びW386Aはどちらも、サリドマイド結合を欠損しており、二重突然変異体は、最も低いサリドマイド結合活性を有する(同上)。CRBNとサリドマイドの催奇形効果との関連は、ゼブラフィッシュ及びニワトリ胚の動物モデルにおいて確認された(同上)。
【0049】
CRBN、CRBN E3ユビキチン-リガーゼ複合体、又は1以上のCRBN基質に対する結合が、サリドマイド及び他の薬物の有益な効果に必要であるかどうかは、まだ立証されていない。サリドマイド及び他の薬物標的とのこれらの相互作用を理解することによって、効力及び/又は毒性の分子機構の定義が可能になり、改善された効力及び毒性プロファイルを有する薬物がもたらされ得る。
【0050】
(2.5 癌を治療する方法)
現在の癌療法は、患者の新生物性細胞を根絶するための外科手術、化学療法、ホルモン療法、及び/又は放射線治療を含み得る(例えば、Stockdaleの文献、1998, Medicine, 第3巻, Rubenstein及びFederman編, 第12章, 第IV節を参照されたい)。最近、癌療法は、生物療法又は免疫療法も含み得る。これらの手法は全て、患者にとって重大な欠点をもたらし得る。例えば、外科手術は、患者の健康が原因で禁忌となり得るか、又は患者にとって許容し得ないものとなり得る。さらに、外科手術では、新生物性組織を完全には除去することができない。放射線療法は、新生物性組織が放射線に対して正常組織よりも高い感受性を示す場合にしか効果的でない。放射線療法はまた、深刻な副作用を誘発することがしばしばある。ホルモン療法は、単剤として施されることが稀である。ホルモン療法は効果的であり得るが、それは、他の治療によって癌細胞の大部分が除去された後に、癌の再発を予防するか又は遅延させるために用いられることが多い。特定の生物療法及び他の療法は、数が限られており、発疹もしくは腫脹、発熱、悪寒、及び疲労を含むインフルエンザ様症状、消化管障害、又はアレルギー反応などの副作用をもたらし得る。
【0051】
化学療法に関して、癌の治療に利用可能な種々の化学療法剤が存在する。いくつかの癌化学療法薬は、直接的にか、又は間接的にデオキシリボヌクレオチド三リン酸前駆体の生合成を阻害することによるかのいずれかで、DNA合成を阻害することによって作用し、DNA複製及び同時に細胞分裂を妨げる。Gilmanらの文献、グッドマン及びギルマンの治療学の薬理学的基礎(Goodman and Gilman's:The Pharmacological Basis of Therapeutics), 第10版(McGraw Hill社, New York)。
【0052】
種々の化学療法剤が利用可能であるにもかかわらず、化学療法には多くの欠点がある。Stockdaleの文献、Medicine, 第3巻, Rubenstein及びFederman編, 第12章, 第10節, 1998。ほぼ全ての化学療法剤が毒性を有し、化学療法は、重度の嘔吐、骨髄抑制、及び免疫抑制を含む、重大で、かつしばしば危険な副作用を引き起こす。さらに、化学療法剤の組合せを投与しても、多くの腫瘍細胞は、化学療法剤に抵抗性があるか、又はそれに対する抵抗性を発達させる。実際、治療プロトコルで使用される特定の化学療法剤に抵抗性がある細胞は、該特定の化学療法剤が、具体的な治療で使用される他の薬物のメカニズムとは異なるメカニズムによって作用する場合であっても、該他の薬物に抵抗性があることが判明することが多い。この現象は、多剤抵抗性と呼ばれる。薬物抵抗性のために、多くの癌は、標準的な化学療法治療プロトコルに不応性であることが判明する。
【0053】
望ましくない血管新生と関連するか、又はそれを特徴とする他の疾患又は疾病も治療が困難である。しかしながら、プロタミン、ヘパイン(hepain)、及びステロイドなどのいくつかの化合物は、望ましくない血管新生と関連するか、又はそれを特徴とする特定の具体的な疾患の治療において有用であると提案されている。Taylorらの文献、Nature 297:307(1982); Folkmanらの文献、Science 221:719(1983);及び米国特許第5,001,116号及び第4,994,443号。サリドマイド及び特定のサリドマイド誘導体もまた、その多くの活性に基づいて、そのような疾患及び疾病の治療に提案されている。D'Amatoに対する米国特許第5,593,990号、第5,629,327号、第5,712,291号、第6,071,948号、及び第6,114,355号。
【0054】
それでもやはり、外科手術、放射線療法、化学療法、及びホルモン療法などの標準治療に不応性である癌及び他の疾患を治療、予防、及び管理すると同時に、従来の療法と関連する毒性及び/又は副作用を軽減又は回避する、安全かつ有効な方法が大いに必要とされている。
【0055】
(2.6 炎症性疾患を治療する方法)
炎症性疾患及び障害に対する現在の治療は、症状を制御するための対症的投薬治療及び免疫抑制剤を伴う。例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、トルメチン、スリンダク、メクロフェナメートナトリウム、ピロキシカム、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、オキサプロジン、ナブメトン、エトドラク、及びケトプロフェンは、鎮痛作用及び抗炎症作用を有する。しかしながら、NSAIDは、疾患の進行を変化させることができないと考えられている。(Tierneyら(編)、最新の医療診断及び治療(Current Medical Diagnosis & Treatment), 第37版, Appleton & Lange(1998), 793頁)。さらに、NSAIDは、消化管副作用を引き起こし、下部消化管に影響を及ぼして、穿孔を引き起こすか又は炎症性腸疾患を悪化させ、腎毒性を生じさせ、かつ出血時間を延長させることが多い。コルチコステロイドは、炎症症状を制御するために一般に使用される別のクラスの薬物である。コルチコステロイドは、NSAIDと同様に、疾患の自然な進行を変化させることがなく、したがって、活動性疾患の臨床症状は一般に、薬物を中止したときに、再び現われる。長期のコルチコステロイド療法に起因する深刻な有害反応の問題(例えば、骨粗鬆症、感染リスクの増加、食欲増加、高血圧、浮腫、消化性潰瘍、精神病)のために、その長期使用は大きく制限される。
【0056】
低用量の免疫抑制剤、例えば、細胞毒性剤を炎症性障害の治療に使用することができる。例えば、乾癬及び関節炎に対するいくつかの治療は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD、例えば、シクロスポリンA及びメトトレキサート)、抗炎症剤(TNF-α阻害剤、例えば、エタネルセプト)、並びに鎮痛薬に基づいている。
【0057】
炎症性障害及び自己免疫障害のための新しい治療が絶えず求められている。特に、現在使用されている薬剤の投薬量及び/もしくは投与頻度を低下させるか、又は現在使用されている治療をより効果的にすることができる何らかの新しい治療が絶えず求められている。
【発明を実施するための形態】
【0079】
(5.発明の詳細な説明)
本明細書に提供される方法は、セレブロンが、特定の薬物、例えば、本明細書に提供される化合物の抗増殖活性と関連するという発見に一部基づいている。いくつかの実施態様において、セレブロン(CRBN)は、本明細書に提供される化合物による疾患治療の有効性又は進展を示すバイオマーカーとして利用することができる。
【0080】
特定の理論に束縛されるものではないが、CRBN結合は、特定の化合物、例えば、本明細書に提供される化合物の抗増殖活性又はその他の活性に寄与し得るか、又は該活性に必要となりさえし得る。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物は、CRBN-DDB1及び/又はCRBN E3ユビキチン-リガーゼ複合体に直接結合する。CRBNにおける突然変異は、本明細書に提供される化合物に対する抵抗性と関連し得る。
【0081】
例えば、CRBNのレベルは、マッチした親株と比較して、ポマリドマイド抵抗性細胞株のDF15R、並びにレナリドマイド抵抗性細胞のH929 R10-1、H929 R10-2、H929 R10-3、H929 R10-4、及びMM1/Rで顕著により低かった。さらに、興味深い突然変異が、レナリドマイドに対する抵抗性を獲得していた骨髄腫株のうちの1つのCRBN遺伝子で見られたのに対し、親株では、CRBN遺伝子は、野生型であった。この突然変異は、CRBN中のDDB1結合ドメインに位置した。したがって、ある実施態様において、癌細胞、例えば、骨髄腫細胞、又は癌を有する患者の、本明細書に提供される化合物による療法に対する感受性は、CRBN発現に関連する。
【0082】
再発性又は不応性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)において、より高い応答は、胚中心B細胞様サブタイプよりも、活性化B細胞様(ABC)サブタイプで見られた。本明細書に提供されるように、DLBCL細胞株を用いて、レナリドマイド治療が、インビトロでABC-DLBCL細胞の増殖を優先的に抑制し、ヒト腫瘍異種移植モデルにおいて腫瘍成長を遅延させ、非ABC-DLBCL細胞に対する効果は最小限であることが示された。この殺腫瘍効果は、ABC-DLBCL細胞の特徴である、インターフェロン調節因子4(IRF4)の下方調節と関連していた。
【0083】
レナリドマイドによるIRF4阻害は、B細胞受容体(BCR)依存的NF-κB活性化の下方調節を引き起こした。IRF4特異的siRNAは、NF-κB活性化を低下させるレナリドマイドの効果を模倣したが、IRF4過剰発現は、NF-κB活性化を増強させ、レナリドマイドに対する抵抗性を付与した。さらに、レナリドマイド誘導性のIRF4下方調節は、CRBNの発現を必要とした。特定の理論に束縛されるものではないが、これらのデータは、レナリドマイドが、IRF4発現及びBCR-NF-κBシグナル伝達経路をCRBN依存的な様式で遮断することにより、DLBCL細胞、優先的には、ABC-DLBCL細胞に対する直接的な抗腫瘍活性を有し得ることを示している。
【0084】
CRBNタンパク質は、そのDDB1との相互作用を通じて、Cul4-E3-リガーゼ複合体の基質受容体として機能することが提案されている。本明細書に提供されるように、インビボでのユビキチン化が、多発性骨髄腫細胞における薬物応答と関連するかどうかが検討されている。H929細胞において、本明細書に提供される化合物は、30分間処理した後、K48関連の全てのポリユビキチン化を減少させるが、K-63関連のユビキチン化は減少させない。現在、2ダース近いタンパク質が、Cul4-DDB1リガーゼ2によって分解されると報告されている。いくつかの研究から、コアヒストン、DNA修復タンパク質、細胞周期調節因子、及び重要なシグナル伝達経路分子のCul4/DDB1依存的ユビキチン化が示されている。mTORC1シグナル伝達は、プロテアソーム機能、及びCUL4-DDB1ユビキチンE3リガーゼの関与を必要とする。CST Ubiscan技術を用いて、短時間の処理(1〜4時間)の後、本明細書に提供される化合物によって顕著に調節される162個の独特のユビキチン-ペプチドが同定された。対応するタンパク質は、ヌクレアソーム(nucleasome)及びクロマチン機能、タンパク質-DNAアセンブリ、並びにヒストンH2Aに関与する。本明細書に提供される化合物の作用様式におけるこの初期の修飾の関連性、及びCRBNとCUL4/DDB1活性との関係が検討されている。
【0085】
本明細書に提供されるのは、CRBNを本明細書に提供される化合物についての予測又は予後因子として用いる、癌及び炎症性疾患の治療又は管理方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌患者、例えば、リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、DLBCL、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、MDS、又は黒色腫患者を、サリドマイド、レナリドマイド、及び/又はポマリドマイドによる治療のために、CRBNレベルを予測又は予後因子として用いて選別又は特定する方法である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、サリドマイド、レナリドマイド、及び/又はポマリドマイドによる療法に対するより高い応答率を有する患者を、CRBNレベルを予測又は予後因子として用いて選択する方法である。
【0086】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、サリドマイド、レナリドマイド、及び/又はポマリドマイドによる癌又は炎症性疾患の治療に対する患者応答を予測する方法であって、生体材料を該患者から得ること、及びCRBNの有無を測定することを含む、方法である。
【0087】
一実施態様において、mRNA又はタンパク質は腫瘍から精製され、バイオマーカーの有無は、遺伝子又はタンパク質発現解析によって測定される。ある実施態様において、バイオマーカーの有無は、定量的リアルタイムPCR(QRT-PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリー、又は免疫蛍光によって測定される。他の実施態様において、バイオマーカーの有無は、酵素連結免疫吸着アッセイベースの方法(ELISA)又は当技術分野で公知の他の同様の方法によって測定される。
【0088】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌患者、例えば、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫患者における化合物(例えば、薬物)治療に対する感受性を予測する方法である。該方法は、生体試料を該患者から得ること、任意に、mRNAを該生体試料から単離又は精製すること、該mRNA転写物を、例えば、RT-PCRによって増幅させることを含み、ここで、特定のバイオマーカーのより高いベースラインレベルは、癌が、化合物(例えば、薬物)による治療に感受性がある可能性がより高いことを示す。ある実施態様において、該バイオマーカーは、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫(例えば、DLBCL)と関連する遺伝子又はタンパク質である。一実施態様において、該遺伝子は、DDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、及びNFκBからなる群から選択される。
【0089】
一実施態様において、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び/又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる治療に感受性のあるリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、MDS、又は黒色腫を有する患者を特定することは、CRBNと関連する遺伝子又はタンパク質を同定することを含む。一実施態様において、CRBNと関連する遺伝子又はタンパク質は、DDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、及びNFκBからなる群から選択される。
【0090】
一実施態様において、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び/又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる治療に感受性のあるリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、DLBCL、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、MDS、又は黒色腫を有する患者を特定することは、該患者におけるCRBN活性のレベルを測定することを含む。別の実施態様において、該患者におけるCRBN活性のレベルを測定することは、該患者から得られた細胞内のDDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、及び/又はNFκBを測定することを含む。
【0091】
一実施態様において、該化合物は、サリドマイドである。
別の実施態様において、該化合物は、レナリドマイドである。
別の実施態様において、該化合物は、ポマリドマイドである。
別の実施態様において、該化合物は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、もしくはそのエナンチオマー、又はその医薬として許容し得る塩、多形、溶媒和物、もしくは水和物である。
【0092】
一実施態様において、該癌は、多発性骨髄腫である。
別の実施態様において、該癌は、非ホジキンリンパ腫である。一実施態様において、非ホジキンリンパ腫は、活性化B細胞表現型である。
別の実施態様において、該癌は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。一実施態様において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、活性化B細胞表現型である。
別の実施態様において、該癌は、マントル細胞リンパ腫である。
別の実施態様において、該癌は、濾胞性リンパ腫である。
別の実施態様において、該癌は、急性骨髄芽球性白血病である。
別の実施態様において、該癌は、慢性リンパ球性白血病である。
別の実施態様において、該癌は、骨髄異形成症候群である。
別の実施態様において、該癌は、黒色腫である。
【0093】
さらに他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、全身性エリテマトーデス、ANCA誘導性血管炎、糸球体腎炎、急性ウェゲナー肉芽腫、重症筋無力症、シェーグレン症候群、抗リン脂質症候群、関節リウマチ、及び線維性疾患、例えば、全身性硬化症から選択される疾患又は障害を有する患者における化合物(例えば、薬物)治療に対する感受性を予測する方法である。該方法は、生体試料を該患者から得ること、任意に、mRNAを該生体試料から単離又は精製すること、該mRNA転写物を、例えば、RT-PCRによって増幅させることを含み、ここで、特定のバイオマーカーのより高いベースラインレベルは、該疾患又は障害が、化合物(例えば、薬物)による治療に感受性がある可能性がより高いことを示す。ある実施態様において、該バイオマーカーは、DDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、及びNFκBからなる群から選択される遺伝子又はタンパク質である。
【0094】
一実施態様において、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び/又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる治療に感受性のある全身性エリテマトーデス、ANCA誘導性血管炎、糸球体腎炎、急性ウェゲナー肉芽腫、重症筋無力症、シェーグレン症候群、抗リン脂質症候群、関節リウマチ、又は全身性硬化症から選択される疾患又は障害を有する患者を特定することは、CRBNと関連する遺伝子又はタンパク質の同定を含む。一実施態様において、CRBNと関連する遺伝子又はタンパク質は、DDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、及びNFκBからなる群から選択される。
【0095】
一実施態様において、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び/又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンによる治療に感受性のある全身性エリテマトーデス、ANCA誘導性血管炎、糸球体腎炎、急性ウェゲナー肉芽腫、重症筋無力症、シェーグレン症候群、抗リン脂質症候群、関節リウマチ、又は全身性硬化症を有する患者を特定することは、該患者におけるCRBN活性のレベルを測定することを含む。別の実施態様において、該患者におけるCRBN活性のレベルを測定することは、該患者から得られた細胞内のDDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、及び/又はNFκBを測定することを含む。
【0096】
一実施態様において、該化合物は、サリドマイドである。
別の実施態様において、該化合物は、レナリドマイドである。
別の実施態様において、該化合物は、ポマリドマイドである。
別の実施態様において、該化合物は、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、もしくはそのエナンチオマー、又はその医薬として許容し得る塩、多形、溶媒和物、もしくは水和物である。
【0097】
また本明細書に提供されるのは、効果的なリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、急性骨髄芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄異形成症候群、もしくは黒色腫治療の可能性を予測するか、又は1以上の化合物(例えば、薬物)による治療の有効性をモニタリングするのに有用なキットである。該キットは、固体支持体、及び生体試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのタンパク質発現を検出する手段を含む。そのようなキットは、例えば、ディップスティック、メンブレン、チップ、ディスク、検査ストリップ、フィルター、マイクロスフェア、スライド、マルチウェルプレート、又は光ファイバーを利用することができる。該キットの固体支持体は、例えば、プラスチック、シリコン、金属、樹脂、ガラス、メンブレン、粒子、沈殿物、ゲル、ポリマー、シート、球体、多糖、キャピラリー、フィルム、プレート、又はスライドであることができる。該生体試料は、例えば、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生体液、血液試料、尿試料、又は皮膚試料であることができる。該生体試料は、例えば、リンパ節生検、骨髄生検、又は末梢血腫瘍細胞の試料であることができる。
【0098】
別の実施態様において、該キットは、固体支持体、該支持体と接触している核酸(この場合、該核酸は、mRNAの少なくとも20、50、100、200、350、又はそれより多くの塩基に相補的である)、及び生体試料中の該mRNAの発現を検出する手段を含む。
【0099】
ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、バイオマーカーの発現を定量的リアルタイムPCR(QRT-PCR)、マイクロアレイ、フローサイトメトリー、又は免疫蛍光によって検出する手段を利用する。他の実施態様において、該バイオマーカーの発現は、ELISAベースの方法又は当技術分野で公知の他の類似の方法によって測定される。
【0100】
さらに他の実施態様において、本明細書に提供されるキットは、全身性エリテマトーデス、ANCA誘導性血管炎、糸球体腎炎、急性ウェゲナー肉芽腫、重症筋無力症、シェーグレン症候群、抗リン脂質症候群、関節リウマチ、及び線維性疾患、例えば、全身性硬化症から選択される疾患又は障害の効果的な治療の可能性を予測するのに有用である。
【0101】
本明細書に提供されるのは、癌患者の群を、該癌におけるCRBN発現のレベル、又はDDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、もしくはNFκB発現のレベルに基づいて、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形の投与に対する臨床応答を予測するか、該投与に対する臨床応答をモニタリングするか、又は該投与に対する患者コンプライアンスをモニタリングする目的で選択する方法であって;該癌患者が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、黒色腫、又は固形腫瘍患者から選択される、方法である。
【0102】
一実施態様において、該癌患者は、多発性骨髄腫患者である。
一実施態様において、癌患者は、非ホジキンリンパ腫患者である。一実施態様において、非ホジキンリンパ腫は、活性化B細胞表現型である。
一実施態様において、癌患者は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者である。一実施態様において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、活性化B細胞表現型である。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるDDB1発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるDDB2発現のレベルに基づく。
【0103】
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるGSK3B発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるCUL4A発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるCUL4B発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるXBP-1発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるFAS1発現のレベルに基づく。
【0104】
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるRANBP6発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるDUS3L発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるPHGDH発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるAMPK発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるIRF4発現のレベルに基づく。
一実施態様において、癌患者の群を選択する方法は、該癌におけるNFκB発現のレベルに基づく。
【0105】
また本明細書に提供されるのは、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン療法に対する多発性骨髄腫患者の抵抗性を、CRBN遺伝子内の突然変異の存在又は出現に基づいて、同定又はモニタリングする方法である。
【0106】
一実施態様において、CRBN遺伝子内の突然変異は、CRBNのDDB1結合ドメイン内でタンパク質のアミノ酸変化249D>YDを生じさせる、コード領域中の単一ヌクレオチド多型c.745C>CAである。
【0107】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形による治療に応答する患者の群を;該患者のT細胞、B細胞、又は形質細胞におけるCRBN発現のレベル、又はDDB1、DDB2、GSK3B、CUL4A、CUL4B、XBP-1、FAS1、RANBP6、DUS3L、PHGDH、AMPK、IRF4、もしくはNFκB発現のレベルに基づいて、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形の投与に対する臨床応答を予測するか、該投与に対する臨床応答をモニタリングするか、又は該投与に対する患者コンプライアンスをモニタリングする目的で選択する方法である。
【0108】
また本明細書に提供されるのは、単離されたCRBN抗体、例えば、下記の実施例6.20又は6.21に従って調製される「CRBN70」である。一実施態様において、該抗体は、ポリクローナル抗体である。別の実施態様において、該抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、該抗体は、ウサギポリクローナル抗体である。他の実施態様において、該抗体は、ウサギモノクローナル抗体である。
【0109】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、アミノ酸配列EEFHGRTLHDDDC(配列番号:1)を有するエピトープに免疫特異的に結合する単離された抗体である。別の実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列EEFHGRTLHDDDC(配列番号:1)を有するエピトープに免疫特異的に結合し、ここで、該ペプチドは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングされている。一実施態様において、該抗体は、ポリクローナル抗体である。別の実施態様において、該抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、該抗体は、ウサギポリクローナル抗体である。他の実施態様において、該抗体は、ウサギモノクローナル抗体である。ある実施態様において、該抗体は、ヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76(配列番号:1)に免疫特異的に結合する。
【0110】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:5に示すアミノ酸配列を有する重鎖を含む抗体である。他の実施態様において、該抗体は、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号:5に示すアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号:7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。ある実施態様において、該抗体は、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:9に示すアミノ酸配列を有する重鎖を含む。他の実施態様において、該抗体は、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:11に示すアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号:9に示すアミノ酸配列を有する重鎖及び配列番号:11に示すアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。ある実施態様において、該抗体は、ヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76(配列番号:1)に免疫特異的に結合する。
【0111】
また本明細書に提供されるのは、CRBN抗体(例えば、ウサギポリクローナルもしくはモノクローナル抗体CRBN70、又はヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76(配列番号:1)に結合するウサギポリクローナルもしくはモノクローナル抗体)を用いて、患者腫瘍又は宿主細胞におけるCRBNの発現レベルを測定するか、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形の投与に対する臨床応答を予測するか、該投与に対する臨床応答をモニタリングするか、該投与に対する患者コンプライアンスをモニタリングするか、或いはサリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形による治療に対する抵抗性の発生をモニタリングする方法である。一実施態様において、該CRBN抗体は、アミノ酸配列EEFHGRTLHDDD(配列番号:1)を有するエピトープに免疫特異的に結合する。一実施態様において、該CRBN抗体は、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングされているEEFHGRTLHDDD(配列番号:1)に特異的に結合する。一実施態様において、該CRBN抗体は、ポリクローナル抗体、例えば、ウサギポリクローナル抗体である。別の実施態様において、該CRBN抗体は、モノクローナル抗体、例えば、ウサギモノクローナル抗体である。
【0112】
(5.1 定義)
本明細書で使用されるように、別途規定されない限り、「治療する(treat)」、「治療する(treating)」、及び「治療」という用語は、患者が特定の癌に罹患している間に行なわれる行為であって、癌の重症度を軽減するか、又は癌の進行を遅延化もしくは緩徐化する行為を指す。
【0113】
化合物による治療に関して言及される場合の「感受性」及び「感受性のある」という用語は、腫瘍又は治療中の疾患の進行を軽減又は減少させる際の該化合物の有効性の程度を指す相対的な用語である。例えば、化合物と関連した細胞又は腫瘍の治療に関して使用される場合の「感受性の増加」という用語は、腫瘍治療の有効性の少なくとも5%、又はそれを上回る増加を指す。
【0114】
本明細書で使用されるように、別途規定されない限り、化合物の「治療的有効量」は、癌の治療もしくは管理において治療的利益をもたらすか、又は癌の存在と関連する1以上の症状を遅延もしくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、癌の治療又は管理における治療的利益をもたらす、単独の又は他の療法と組み合わせた、治療剤の量を意味する。「治療的有効量」という用語は、療法全体を改善するか、癌の症状もしくは原因を軽減もしくは回避するか、又は別の治療剤の治療効力を増強する量を包含することができる。
【0115】
本明細書で使用されるように、「効果的な患者腫瘍応答」は、患者に対する治療的利益の増加を指す。「効果的な患者腫瘍応答」は、例えば、腫瘍の進行速度の5%、10%、25%、50%、又は100%の減少であることができる。「効果的な患者腫瘍応答」は、例えば、癌の身体症状の5%、10%、25%、50%、又は100%の減少であることができる。「効果的な患者腫瘍応答」は、例えば、任意の好適な手段、例えば、遺伝子発現、細胞数、アッセイ結果などによって測定されるような、患者の応答の5%、10%、25%、50%、100%、200%、又はそれを上回る増加であることもできる。
【0116】
「可能性」という用語は、通常、事象の確率の増加を指す。患者腫瘍応答の有効性に関して使用される場合の「可能性」という用語は、通常、腫瘍進行又は腫瘍細胞成長の速度が減少する確率の増加を企図している。患者腫瘍応答の有効性に関して使用される場合の「可能性」という用語は、通常、腫瘍の治療の進展の増大の証拠となり得る、mRNA又はタンパク質発現などの、指標の増大を意味することもできる。
【0117】
「予測する」という用語は、通常、前もって決定するか又は言及することを意味する。癌治療の有効性を「予測する」ために使用される場合、例えば、「予測する」という用語は、癌治療の転帰の可能性を、治療が始まる前に、又は治療期間が実質的に進む前に、最初に決定することができることを意味する。
【0118】
本明細書で使用される「モニタリングする」という用語は、通常、活性の監視、監督、調節、観察、追跡、又は調査を指す。例えば、「化合物の有効性をモニタリングする」という用語は、患者における又は腫瘍細胞培養物における癌治療の有効性を追跡することを指す。同様に、「モニタリング」は、個々に、又は臨床試験において、患者コンプライアンスとの関連において使用される場合、患者が実際に被験薬物を処方された通りに服用していることを追跡又は確認することを指す。モニタリングは、例えば、mRNA又はタンパク質バイオマーカーの発現を追跡調査することによって行なうことができる。
【0119】
癌又は癌関連疾患の改善は、完全応答又は部分応答と特徴付けることができる。「完全応答」は、何らかの過去の異常なX線検査、骨髄、及び脳脊髄液(CSF)又は異常な単クローン性タンパク質の測定値の正常化を伴う、臨床的に検出可能な疾患の欠如を指す。「部分応答」は、新たな病巣の非存在下の、全ての測定可能な腫瘍組織量(すなわち、対象に存在する悪性細胞の数、又は腫瘍塊の測定体積もしくは異常な単クローン性タンパク質の量)の少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の減少を指す。「治療」という用語は、完全応答と部分応答の両方を企図している。
【0120】
本明細書で使用される「腫瘍」は、悪性又は良性を問わず、全ての新生物性細胞の成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性の細胞及び組織を指す。本明細書で使用される「新生物性」は、悪性又は良性を問わず、異常な組織成長をもたらす、全ての形態の調節不全の又は無調節な細胞成長を指す。したがって、「新生物性細胞」には、調節不全の又は無調節な細胞成長を有する悪性細胞及び良性細胞が含まれる。
【0121】
「癌」及び「癌性」という用語は、通常、無調節な細胞成長を特徴とする哺乳動物の生理的状態を指すか、又は該状態を言い表す。癌の例としては、血行性腫瘍(例えば、多発性骨髄腫、リンパ腫、及び白血病)、並びに固形腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
「不応性又は抵抗性」という用語は、患者が、集中治療の後でさえも、残存する癌細胞(例えば、白血病又はリンパ腫細胞)を、そのリンパ系、血液、及び/又は造血組織(例えば、骨髄)中に有する状況を指す。
【0123】
本明細書で使用されるように、本明細書で互換的に使用される「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、ペプチド結合を介して連結された、連続して並ぶ3個以上のアミノ酸のアミノ酸ポリマーを指す。「ポリペプチド」という用語には、タンパク質、タンパク質断片、タンパク質類似体、オリゴペプチドなどが含まれる。本明細書で使用されるポリペプチドという用語は、ペプチドを指すこともできる。ポリペプチドを構成するアミノ酸は、天然に由来するものであってもよく、又は合成されたものであってもよい。ポリペプチドは、生体試料から精製することができる。
【0124】
「抗体」という用語は、本明細書において最も広い意味で使用され、完全に組み立てられた抗体、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片(例えば、Fab、F(ab')2、Fv、及び他の断片)、単鎖抗体、ダイアボディ、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体などに及ぶ。「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方に及ぶ。
【0125】
「抗体」及び「免疫グロブリン」又は「Ig」という用語は、本明細書で互換的に使用することができる。「CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体」、「CRBNエピトープに免疫特異的に結合する抗体」、「CRBN抗体」、「抗CRBN抗体」という用語、及び類似の用語も、本明細書で互換的に使用されており、CRBNポリペプチド、例えば、CRBN抗原又はエピトープ(例えば、EEFHGRTLHDDD(配列番号:1)、又はヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76)に特異的に結合する、抗体及びその断片を指す。該抗体には、CRBNポリペプチドに特異的に結合する、修飾抗体(すなわち、修飾されたIgG(例えば、IgG1)定常ドメインを含む抗体)と未修飾抗体(すなわち、修飾されたIgG(例えば、IgG1)定常ドメインを含まない抗体)の両方が含まれる。CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、関連抗原と交差反応性であり得る。ある実施態様において、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、他の抗原と交差反応しない。CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、例えば、イムノアッセイ、BIAcore、又は当業者に公知の他の技術によって同定することができる。抗体又はその断片は、それが、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)などの実験技術を用いて決定した場合に、任意の交差反応性抗原に対してよりも高い親和性でCRBN抗原に結合するとき、CRBN抗原に特異的に結合する。一般に、特異的又は選択的反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、より一般には、バックグラウンドの10倍を上回る。抗体の特異性に関する考察については、例えば、Paul編, 1989, 基礎免疫学(Fundamental Immunology) 第2版, Raven Press, New York 332-336頁を参照されたい。
【0126】
本明細書に提供される抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え法により産生された抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、ラクダ化(camelized)抗体、Fab断片、F(ab'')断片、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに限定されない。特に、本明細書に提供される抗体としては、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位(例えば、抗CRBN抗体の1以上の相補性決定領域(CDR))を含む抗原結合ドメイン又は分子が挙げられる。本明細書に提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)であることができる。いくつかの実施態様において、抗CRBN抗体は、完全ヒト、例えば、完全ヒトモノクローナルCRBN抗体である。ある実施態様において、本明細書に提供される抗体は、IgG抗体、或いはそのクラス(例えば、ヒトIgG1もしくはIgG4)又はサブクラスである。
【0127】
「抗原結合ドメイン」、「抗原結合領域」、「抗原結合断片」という用語、及び類似の用語は、抗原と相互作用し、かつ結合因子に、抗原に対するその特異性及び親和性を付与するアミノ酸残基を含む抗体の部分(例えば、CDR)を指す。抗原結合領域は、任意の動物種、例えば、齧歯類(例えば、ウサギ、ラット、又はハムスター)及びヒトに由来することができる。いくつかの実施態様において、抗原結合領域は、ヒト起源である。
【0128】
抗体の「定常領域」又は「定常ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、様々なエフェクター機能、例えば、Fc受容体との相互作用を示す軽鎖及び重鎖のカルボキシ末端部分を指す。該用語は、抗原結合部位を含む、免疫グロブリンのもう一方の部分である可変ドメインと比べてより保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2、及びCH3ドメイン、並びに軽鎖のCLドメインを含む。
【0129】
本明細書で使用される「エピトープ」という用語は、抗原、例えば、CRBNポリペプチド又はCRBNポリペプチド断片の表面にあり、抗体の1以上の抗原結合領域に結合することができ、かつ動物、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)における抗原性又は免疫原性活性を有し、免疫応答を誘発することができる局所領域を指す。免疫原性活性を有するエピトープは、動物における抗体応答を誘発するポリペプチドの一部である。抗原性活性を有するエピトープは、当技術分野で周知の任意の方法によって、例えば、本明細書に記載のイムノアッセイによって決定されるような、抗体が免疫特異的に結合するポリペプチドの一部である。抗原性エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。エピトープは、通常、アミノ酸又は糖側鎖などの分子の化学的に活性のある表面基からなり、特定の3次元構造特性及び特定の電荷特性を有する。エピトープに寄与するポリペプチドの領域は、ポリペプチドの連続的アミノ酸であってもよく、又はエピトープは、ポリペプチドの2以上の非連続的領域から生じるものであってもよい。エピトープは、抗原の3次元表面特性であっても、そうでなくてもよい。本明細書に提供されるCRBNの例示的エピトープは、EEFHGRTLHDDD(配列番号:1)、又はCRBN(配列番号:13)のペプチド65-60である。
【0130】
「完全ヒト抗体」又は「ヒト抗体」という用語は、本明細書で互換的に使用されており、ヒト可変領域、及びいくつかの実施態様において、ヒト定常領域を含む抗体を指す。具体的な実施態様において、該用語は、ヒト起源の可変領域及び定常領域を含む抗体を指す。「完全ヒト」抗CRBN抗体は、ある実施態様において、CRBNポリペプチドに結合し、かつヒト生殖系列免疫グロブリン核酸配列の天然の体細胞変異体である核酸配列によってコードされる抗体も包含することができる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗CRBN抗体は、完全ヒト抗体である。「完全ヒト抗体」という用語は、Kabatらの文献、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest), 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242, 1991に記載されているヒト生殖系列免疫グロブリン配列に対応する可変及び定常領域を有する抗体を含む。完全ヒト抗体を産生する例示的な方法は、例えば、本明細書中の実施例に提供されているが、当技術分野で公知の任意の方法を使用することができる。
【0131】
「組換えヒト抗体」という語句は、組換え手段によって調製、発現、作製、又は単離されたヒト抗体、例えば、宿主細胞内にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニック及び/もしくはトランスクロモソーマルである動物(例えば、マウスもしくはウシ)から単離された抗体(例えば、Taylor, L. D.らの文献(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287-6295参照)、又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変及び定常領域を有することができる。Kabat, E. Aらの文献(1991)、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest), 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242を参照されたい。ある実施態様において、しかしながら、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(又はヒトIg配列についてトランスジェニックの動物を使用する場合、インビボ体細胞突然変異誘発)を受けるため、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、かつ該配列と関連するが、インビボのヒト抗体生殖系列レパートリー内に本来存在しない可能性がある配列である。
【0132】
「重鎖」という用語は、抗体との関連において使用される場合、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)と呼ばれる5つの異なるタイプを指す。重鎖のこれらの異なるタイプは周知であり、IgGの4つのサブクラス、すなわち、IgG1、IgG1、IgG3、及びIgG4を含め、それぞれ、抗体の5つのクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMを生じる。いくつかの実施態様において、重鎖は、ヒト重鎖である。
【0133】
「Kabat付番」という用語及び同様の用語は、当技術分野で認められており、抗体の重鎖及び軽鎖可変領域、又はその抗原結合部分において、他のアミノ酸残基よりも可変性である(すなわち、超可変性である)アミノ酸残基を付番する体系を指す。Kabatらの文献(1971) Ann. any Acad. Sci. 190:382-391、及びKabatらの文献(1991)、免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest), 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242。重鎖可変領域について、超可変領域は、通常、CDR1については、アミノ酸位置31〜35、CDR2については、アミノ酸位置50〜65、及びCDR3については、アミノ酸位置95〜102に及ぶ。軽鎖可変領域について、超可変領域は、通常、CDR1については、アミノ酸位置24〜34、CDR2については、アミノ酸位置50〜56、及びCDR3については、アミノ酸位置89〜97に及ぶ。他の付番方式は、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0134】
「軽鎖」という用語は、抗体との関連において使用される場合、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)又はラムダ(λ)と呼ばれる2つの異なるタイプを指す。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野で周知である。ある実施態様において、軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0135】
「モノクローナル抗体」という用語は、均質又は実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、各々のモノクローナル抗体は、通常、抗原上の単一のエピトープを認識する。いくつかの実施態様において、本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、単一のハイブリドーマ又は他の細胞によって産生される抗体であり、ここで、該抗体は、例えば、ELISA、又は当技術分野で公知のもしくは本明細書に提供される実施例中の他の抗原結合もしくは競合結合アッセイで決定したとき、CRBNエピトープにのみ免疫特異的に結合する。「モノクローナル」という用語は、任意の特定の抗体作製方法に限定されない。例えば、本明細書に提供されるモノクローナル抗体は、Kohlerらの文献; Nature, 256:495(1975)に記載のハイブリドーマ法によって作製されてもよく、又は例えば、本明細書に記載の技術を用いて、ファージライブラリーから単離されてもよい。クローン細胞株及びそれによって発現されるモノクローナル抗体の他の調製方法は、当技術分野で周知である。例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002) 第5版, Ausubelら編, John Wiley and Sons, New Yorkの第11章を参照されたい。他のモノクローナル抗体を作製する他の例示的な方法は、本明細書中の実施例に提供されている。
【0136】
本明細書で使用される「ポリクローナル抗体」は、多くのエピトープを有するタンパク質に対する免疫原性応答において生成された抗体集団を指し、したがって、タンパク質内の同じエピトープ及び異なるエピトープに対する種々の異なる抗体を含む。ポリクローナル抗体の産生方法は、当技術分野で公知である。例えば、分子生物学のショートプロトコル(Short Protocols in Molecular Biology)(2002) 第5版, Ausubelら編, John Wiley and Sons, New Yorkの第11章を参照されたい。
【0137】
「セレブロン」又は「CRBN」という用語及び同様の用語は、任意のCRBN、例えば、ヒトCRBNタンパク質(例えば、その各々が引用により完全に本明細書中に組み込まれている、ヒトCRBNアイソフォーム1、GenBankアクセッション番号NP_057386(配列番号:12);又はヒトCRBNアイソフォーム2、GenBankアクセッション番号NP_001166953(配列番号:13))のアミノ酸配列を含むポリペプチド(「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本明細書で互換的に使用される)、並びに関連ポリペプチドを、これらのSNP変異体を含めて指す。関連CRBNポリペプチドには、アレル変異体(例えば、SNP変異体);スプライス変異体;断片;誘導体;置換、欠失、及び挿入変異体;融合ポリペプチド;並びに種間ホモログが含まれ、これらは、ある実施態様において、CRBN活性を保持し、及び/又は抗CRBN免疫応答を発生させるのに十分である。
【0138】
「CRBN抗原」という用語は、抗体が免疫特異的に結合するCRBNポリペプチドの部分を指す。CRBN抗原は、抗体が免疫特異的に結合するCRBNポリペプチドの類似体もしくは誘導体又はその断片も指す。免疫応答を誘発することができるCRBN抗原の表面上の局所領域は、CRBN「エピトープ」である。エピトープに寄与するCRBNポリペプチドの領域は、ポリペプチドの連続的アミノ酸であってもよく、又はエピトープは、ポリペプチドの2以上の非連続的領域から生じるものであってもよい。エピトープは、抗原の3次元表面特性であっても、そうでなくてもよい。ある実施態様において、CRBNエピトープは、EEFHGRTLHDDD(配列番号:1)、又はヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76である。
【0139】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体間で配列が広範囲に異なり、かつ各々の特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性において使用される、軽鎖及び重鎖の一部、通常、重鎖のアミノ末端の約120〜130アミノ酸及び軽鎖の約100〜110アミノ酸を指す。配列の可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中しているが、可変ドメイン中のより高度に保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗体と抗原との相互作用に関与している。本明細書で使用されるアミノ酸位置の付番は、Kabat, E. A.らの文献(1991) 免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest), 第5版, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242に見られるような、EUインデックスに従う。いくつかの実施態様において、可変領域は、ヒト可変領域である。
【0140】
本明細書で使用される「発現される」又は「発現」という用語は、遺伝子の2本の核酸鎖のうちの一方の領域と少なくとも部分的に相補的なRNA核酸分子を生じる、遺伝子からの転写を指す。本明細書で使用される「発現される」又は「発現」という用語は、タンパク質、ポリペプチド、又はこれらの一部を生じる、RNA分子からの翻訳も指す。
【0141】
「上方調節される」mRNAは、通常、所与の処置又は条件によって「増加」する。「下方調節される」mRNAは、通常、所与の処置又は条件に応答したmRNAの発現のレベルの「減少」を指す。状況によっては、mRNAレベルは、所与の処置又は条件によって変化しないままであることもある。
【0142】
患者試料由来のmRNAは、薬物で処理した場合、未処理の対照と比べて「上方調節される」ことができる。この上方調節は、例えば、比較対照mRNAレベルの約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%、又はそれを上回る増加であることができる。
【0143】
或いは、mRNAは、特定の化合物又は他の薬剤の投与に応答して、「下方調節される」、すなわち、より低いレベルで発現されることができる。下方調節されたmRNAは、例えば、比較対照mRNAレベルの約99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%、又はそれ未満のレベルで存在することができる。
【0144】
同様に、患者試料由来のポリペプチド又はタンパク質バイオマーカーのレベルは、薬物で処理した場合、未処理の対照と比べて増加することができる。この増加は、比較対照タンパク質レベルの約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、90%、100%、200%、300%、500%、1,000%、5,000%、又はそれを上回るものであることができる。
【0145】
或いは、タンパク質バイオマーカーのレベルは、特定の化合物又は他の薬剤の投与に応答して減少することができる。この減少は、例えば、比較対照タンパク質レベルの約99%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、1%、又はそれ未満のレベルで存在することができる。
【0146】
本明細書で使用される「決定する」、「測定する」、「評価する(evaluating)」、「評価する(assessing)」、及び「検定する」という用語は、通常、任意の形態の測定を指し、要素が存在するか否かを決定することを含む。これらの用語は、定量的決定及び/又は定性的決定の両方を含む。評価する(Assessing)は、相対的なものであっても、絶対的なものであってもよい。「の存在を評価すること(Assessing the presence of)」は、何か存在するものの量を決定すること、及びそれが存在するか又は存在しないかを決定することを含むことができる。
【0147】
「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、又は合成により産生された化合物から構成される任意の長さのポリマーを記載するために本明細書で互換的に使用されており、該合成により産生された化合物は、2つの天然の核酸の配列特異的な様式と類似する配列特異的な様式で天然の核酸とハイブリダイズすることができる、例えば、ワトソン-クリック型の塩基対合相互作用に関与することができる。ポリヌクレオチド配列との関連において本明細書で使用されるように、「塩基(bases)」(又は「塩基」(base))という用語は、「ヌクレオチド(nucleotides)」(又は「ヌクレオチド(nucleotide)」)、すなわち、ポリヌクレオチドのモノマーサブユニットと同義である。「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、既知のプリン及びピリミジン塩基だけでなく、修飾された他の複素環塩基も含有する部分を含むことが意図される。そのような修飾には、メチル化されたプリンもしくはピリミジン、アシル化されたプリンもしくはピリミジン、アルキル化されたリボース、又は他の複素環が含まれる。さらに、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」という用語は、従来のリボース及びデオキシリボース糖だけでなく、他の糖も同様に含有する部分を含む。修飾されたヌクレオシド又はヌクレオチドは、例えば、ヒドロキシル基の1つ又は複数が、ハロゲン原子もしくは脂肪族基と置換されているか、又はエーテル、アミンなどとして官能化されている、糖部分上の修飾も含む。「類似体」は、類似構造を有する模倣体、誘導体、又は他の同類語として文献において認識される構造特徴を有する分子を指し、例えば、非天然ヌクレオチドを組み込んだポリヌクレオチド、2'-修飾ヌクレオシドなどのヌクレオチド模倣体、ペプチド核酸、オリゴマーヌクレオシドホスホネート、及び保護基又は連結部分などの付加置換基を有する任意のポリヌクレオチドを含む。
【0148】
「相補的な」という用語は、ポリヌクレオチドの配列に基づくポリヌクレオチド間の特異的結合を指す。本明細書で使用されるように、第1のポリヌクレオチド及び第2のポリヌクレオチドは、それらがストリンジェントな条件下のハイブリダイゼーションアッセイで互いに結合する場合、例えば、それらがハイブリダイゼーションアッセイで所定のレベル又は検出可能なレベルのシグナルを生じさせる場合、相補的である。ポリヌクレオチドの部分は、それらが、例えば、AがT(又はU)と対合し、GがCと対合するという従来の塩基対合則に従う場合、互いに相補的であるが、ミスマッチ配列、挿入配列、又は欠失配列の(例えば、約3塩基未満の)小領域が存在していてもよい。
【0149】
2つの核酸配列との関連における「配列同一性」又は「同一性」は、特定の比較域にわたる最大の一致を求めて整列させたときに同じである2つの配列中の残基を指し、付加、欠失、及び置換を考慮に入れることができる。
【0150】
ポリヌクレオチドとの関連におけるその様々な文法的形態の「実質的同一性」又は「相同な」という用語は、通常、ポリヌクレオチドが、参照配列と比較して、所望の同一性、例えば、少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、及び一層より好ましくは少なくとも95%を有する配列を含むことを意味する。ヌクレオチド配列が実質的に同一であることの別の指標は、2つの分子がストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズするかどうかということである。
【0151】
「単離された」及び「精製された」という用語は、物質(例えば、mRNA、抗体、又はタンパク質)が、それが存在する試料の実質的部分を含む、すなわち、該物質が、その自然な又は単離されていない状態で通常見出されるよりも多いような、該物質の単離を指す。典型的には、該試料の実質的部分は、例えば、該試料の1%超、2%超、5%超、10%超、20%超、50%超、又はそれよりも多く、通常、最大約90%〜100%を含む。例えば、単離されたmRNAの試料は、通常、全mRNAの少なくとも約1%を含む。ポリヌクレオチドを精製するための技術は当技術分野で周知であり、例えば、ゲル電気泳動、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、フローソーティング、及び密度による沈降を含む。
【0152】
本明細書で使用される「試料」という用語は、必ずしもその必要はないが、通常、関心対象の1以上の成分を含有する、流体形態の材料又は材料の混合物に関する。
【0153】
本明細書で使用される「生体試料」は、インビボ又はインサイチュで得られるか、触れられるか、又は収集される、生物学的組織又は流体起源の試料を含む、生物学的対象から得られる試料を指す。生体試料には、前癌細胞もしくは前癌組織又は癌細胞もしくは癌組織を含む生物学的対象の領域に由来する試料が含まれる。そのような試料は、哺乳動物から単離される器官、組織、画分、及び細胞であることができるが、これらに限定されない。例示的な生体試料としては、細胞ライセート、細胞培養物、細胞株、組織、口腔組織、胃腸組織、器官、オルガネラ、生物学的流体、血液試料、尿試料、皮膚試料などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい生体試料としては、全血、部分精製血液、PBMC、組織生検などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
本明細書で使用される「捕捉剤」という用語は、薬剤が均一混合物由来のmRNA又はタンパク質に結合し、それらを濃縮することを可能にするのに十分な相互作用を通じて、該mRNA又はタンパク質に結合する薬剤を指す。
【0155】
本明細書で使用される「プローブ」という用語は、特定の標的mRNAバイオマーカー配列に向けられる捕捉剤を指す。したがって、プローブセットの各プローブは、それぞれの標的mRNAバイオマーカーを有する。プローブ/標的mRNA二重鎖は、プローブをその標的mRNAバイオマーカーにハイブリダイズさせることによって形成される構造である。
【0156】
本明細書で使用されるように、「核酸」又は「オリゴヌクレオチドプローブ」という用語は、1種類以上の化学結合によって、通常、相補的な塩基対合によって、通常、水素結合形成によって、本明細書に提供されるmRNAバイオマーカーなどの、相補的配列の標的核酸と結合することができる核酸を指す。本明細書で使用されるように、プローブは、天然塩基(例えば、A、G、CもしくはT)、又は修飾塩基(7-デアザグアノシン、イノシンなど)を含むことができる。さらに、プローブの塩基は、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、ホスホジエステル結合以外の結合によって接続されていてもよい。プローブが、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーに応じて、プローブ配列との完全な相補性を欠く標的配列に結合し得ることが当業者によって理解されるであろう。プローブは、同位体、例えば、発色団、発光団(lumiphore)、色素原で直接的に標識されているか、又はストレプトアビジン複合体が後に結合し得るビオチンで間接的に標識されていることが好ましい。プローブの有無について検定することにより、関心対象の標的mRNAバイオマーカーの有無を検出することができる。
【0157】
「ストリンジェントなアッセイ条件」という用語は、アッセイで所望の特異性レベルを提供するのに十分な相補性の核酸、例えば、プローブ及び標的mRNAの結合対を生じさせるのには適合するが、通常、所望の特異性を提供するのに十分でない相補性の結合メンバー間の結合対の形成には適合しない条件を指す。「ストリンジェントなアッセイ条件」という用語は、通常、ハイブリダイゼーション条件と洗浄条件の組合せを指す。
【0158】
核酸に関する「標識」又は「検出可能な部分」は、核酸と連結させたときに、該核酸を、例えば、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的手段によって検出可能にする組成物を指す。例示的な標識としては、放射性同位体、磁気ビーズ、金属ビーズ、コロイド粒子、蛍光色素、酵素、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテンなどが挙げられるが、これらに限定されない。「標識核酸又はオリゴヌクレオチドプローブ」は、通常、核酸又はプローブの存在を、該核酸又はプローブに結合した標識の存在を検出することによって検出することができるように、リンカーもしくは化学結合を介して共有結合的に、又はイオン結合、ファンデルワールス力、静電引力、疎水性相互作用、もしくは水素結合を介して非共有結合的に、標識に結合している核酸又はオリゴヌクレオチドプローブである。
【0159】
本明細書で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」という用語は、通常、少量の核酸、RNA、及び/又はDNAが、例えば、Mullisの米国特許第4,683,195号に記載されているように増幅される手順を指す。通常、オリゴヌクレオチドプライマーを設計することができ;これらのプライマーが、増幅される鋳型の反対の鎖と配列が同一であるか又は類似するものとなるように、関心対象の領域の端又はそれを越える部分からの配列情報が利用可能である必要がある。2つのプライマーの5'末端のヌクレオチドは、増幅された材料の端と一致していてもよい。PCRを用いて、特定のRNA配列、全ゲノムDNA由来の特定のDNA配列、及び全細胞RNA、バクテリオファージ、又はプラスミド配列から転写されるcDNAなどを増幅させることができる。一般に、Mullisらの文献、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 51: 263(1987); Erlich編, PCR技術(PCR Technology)(Stockton Press, NY, 1989)を参照されたい。
【0160】
PCR法に関して本明細書で使用されるときの「サイクル数」又は「CT」という用語は、蛍光レベルが所与の設定閾値レベルを超えるPCRサイクル数を指す。CT測定値を用いて、例えば、もとの試料中のmRNAのレベルを概算することができる。CT測定値は、1つの核酸のCTを別の核酸のCTから差し引いたときの、「dCT」又は「CTの差」スコアの観点から使用されることが多い。
【0161】
本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「光学的に純粋な」という用語は、化合物の1つの光学異性体を含み、かつその化合物の他の異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物の光学的に純粋な組成物は、該化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物の光学的に純粋な組成物は、該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的な光学的に純粋な化合物は、約80重量%を超える該化合物の1つのエナンチオマー及び約20重量%未満の該化合物の他のエナンチオマー、より好ましくは、約90重量%を超える該化合物の1つのエナンチオマー及び約10重量%未満の該化合物の他のエナンチオマー、さらにより好ましくは、約95重量%を超える該化合物の1つのエナンチオマー及び約5重量%未満の該化合物の他のエナンチオマー、より好ましくは、約97重量%を超える該化合物の1つのエナンチオマー及び約3重量%未満の該化合物の他のエナンチオマー、及び最も好ましくは、約99重量%を超える該化合物の1つのエナンチオマー及び約1重量%未満の該化合物の他のエナンチオマーを含む。
【0162】
本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「医薬として許容し得る塩」という用語は、該用語が指す化合物の無毒の酸及び塩基付加塩を包含する。許容し得る無毒の酸付加塩は、当技術分野で公知の有機及び無機の酸又は塩基から誘導されるものを含み、これには、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸、アコニット酸、サリチル酸、フタル酸、エンボル酸(embolic acid)、エナント酸などが含まれる。
【0163】
性質が酸性である化合物は、様々な医薬として許容し得る塩基と塩を形成することが可能である。そのような酸性化合物の医薬として許容し得る塩基付加塩を調製するために使用することができる塩基は、無毒の塩基付加塩を形成するもの、すなわち、薬理学的に許容し得る陽イオン、例えば、限定されないが、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含む塩、及び特に、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩である。好適な有機塩基としては、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N-メチルグルカミン)、リジン、及びプロカインが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「溶媒和物」という用語は、非共有結合的分子間力によって結合された化学量論的又は非化学量論的量の溶媒をさらに含む、本明細書に提供される化合物又はその塩を意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物である。
【0165】
本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「ステレオマー的に純粋な」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、かつその化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、該化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まない。2つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、該化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まない。典型的なステレオマー的に純粋な化合物は、約80重量%を超える該化合物の1つの立体異性体及び約20重量%未満の該化合物の他の立体異性体、より好ましくは、約90重量%を超える該化合物の1つの立体異性体及び約10重量%未満の該化合物の他の立体異性体、さらにより好ましくは、約95重量%を超える該化合物の1つの立体異性体及び約5重量%未満の該化合物の他の立体異性体、及び最も好ましくは、約97重量%を超える該化合物の1つの立体異性体及び約3重量%未満の該化合物の他の立体異性体を含む。本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「ステレオマー的に濃縮された」という用語は、約60重量%を超える化合物の1つの立体異性体、好ましくは、約70重量%を超える、より好ましくは、約80重量%を超える化合物の1つの立体異性体を含む組成物を意味する。本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物を意味する。同様に、「ステレオマー的に濃縮された」という用語は、1つのキラル中心を有する化合物のステレオマー的に濃縮された組成物を意味する。
【0166】
本明細書で使用されるように、別途示されない限り、「共結晶」という用語は、結晶格子中に2以上の化合物を含有する結晶性形態を意味する。共結晶は、結晶格子中で非イオン性相互作用によって結合した2以上の非揮発性化合物の結晶性分子錯体を含む。本明細書で使用されるように、共結晶は、結晶性分子錯体が治療化合物及び1以上の追加の非揮発性化合物(本明細書では、対分子と呼ばれる)を含有する医薬共結晶を含む。医薬共結晶中の対分子は、通常、無毒な医薬として許容し得る分子、例えば、食品添加物、防腐剤、医薬賦形剤、又は他のAPIなどである。いくつかの実施態様において、医薬共結晶は、薬品の特定の物理化学的特性(例えば、溶解性、溶出速度、バイオアベイラビリティ、及び/又は安定性)を、活性医薬成分(API)の化学構造完全性を損なわずに強化する。例えば、Jonesらの文献、「医薬共結晶:物理的特性強化の新たなアプローチ:(Pharmaceutical Cocrystals: An Emerging Approach to Physical Property Enhancement」, MRS Bulletin, 2006, 31, 875-879; Traskの文献、「知的財産としての医薬共結晶の概説(An Overview of Pharmaceutical Cocrystals as Intellectual Property)」, Molecular Pharmaceutics, 2007, 4(3), 301-309; Schultheiss及びNewmanの文献、「医薬共結晶及びその物理化学的特性(Pharmaceutical Cocrystals and Their Physicochemical Properties)」, Crystal Growth & Design, 2009, 9(6), 2950-2967; Shan及びZaworotkoの文献、「医薬科学における共結晶の役割(The Role of Cocrystals in Pharmaceutical Science)」, Drug Discovery Today, 2008, 13(9/10), 440-446;及びVishweshwarらの文献、「医薬共結晶(Pharmaceutical Co-Crystals)」, J. Pharm. Sci., 2006, 95(3), 499-516を参照されたい。
【0167】
生物学的マーカー又は「バイオマーカー」は、その検出が、例えば、癌の存在などの、特定の生物学的状態を示す物質である。いくつかの実施態様において、バイオマーカーを個々に決定することができるか、又はいくつかのバイオマーカーを同時に測定することができる。
【0168】
いくつかの実施態様において、「バイオマーカー」は、疾患のリスクもしくは進行、又は所与の治療に対する疾患の感受性と相関し得る、mRNA発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施態様において、バイオマーカーは、mRNA又はcDNAなどの核酸である。
【0169】
さらなる実施態様において、「バイオマーカー」は、疾患のリスク、治療に対する感受性、又は進行と相関し得る、ポリペプチド又はタンパク質発現のレベルの変化を示す。いくつかの実施態様において、バイオマーカーは、ポリペプチドもしくはタンパク質、又はこれらの断片であることができる。特定のタンパク質の相対的レベルは、当技術分野で公知の方法によって決定することができる。例えば、抗体ベースの方法、例えば、イムノブロット、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、又は他の方法を使用することができる。
【0170】
図示された構造とその構造に与えられている名前に矛盾がある場合、図示された構造により重きが置かれることになることに留意すべきである。さらに、構造又は構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は破線で示されていない場合、該構造又は該構造の一部は、その全ての立体異性体を包含するものと解釈すべきである。
【0171】
本発明に提供される実施態様の実施は、特に示されない限り、分子生物学、微生物学、及び免疫学の従来技術を利用し、該技術は、当業者の能力の範囲内である。そのような技術は、文献において十分に説明されている。参照用の特に好適なテキストの例としては、以下のものが挙げられる: Sambrookらの文献(1989) 分子クローニング;実験マニュアル(Molecular Cloning; A Laboratory Manual)(第2版); D.N Glover編(1985) DNAクローニング(DNA Cloning), I巻及びII巻; M.J. Gait編(1984) オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis); B.D. Hames & SJ. Higgins編(1984) 核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization); B.D. Hames & S.J. Higgins編(1984) 転写及び翻訳(Transcription and Translation); R.I. Freshney編(1986) 動物細胞培養;固定化細胞及び酵素(Animal Cell Culture; Immobilized Cells and Enzymes)(IRL Press, 1986);細胞の免疫化学法及び分子生物学(Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology)(Academic Press, London); Scopesの文献(1987) タンパク質精製:原理及び実践(Protein Purification: Principles and Practice)(第2版; Springer Verlag, N.Y.);並びにD.M. Weir及びC. C. Blackwell編(1986) 実験免疫学のハンドブック(Handbook of Experimental Immunology), I巻〜IV巻。
【0172】
(5.2 臨床試験エンドポイント)
「全生存」は、無作為化から全原因による死亡までの時間と定義され、かつ包括解析集団(intent-to-treat population)において測定される。全生存は、無作為化対照試験で評価されるべきである。全生存の統計的に有意な改善の立証は、毒性プロファイルが許容し得るものである場合、臨床的に意義があるものとみなすことができ、これにより、新薬の承認がしばしば支持されてきた。
【0173】
いくつかのエンドポイントは、癌評価に基づいている。これらのエンドポイントとしては、無病生存期間(DFS)、客観的応答率(ORR)、無進行期間(TTP)、無進行生存(PFS)、及び治療成功期間(TTF)が挙げられる。これらの時間依存性エンドポイントに関するデータの収集及び解析は、間接的評価、計算、及び推定値(例えば、腫瘍測定値)に基づいている。
【0174】
一般に、「無病生存期間」(DFS)は、無作為化から全原因による癌の再発又は死亡までの時間と定義される。全生存は、ほとんどのアジュバント療法(adjuvant settings)に対する従来のエンドポイントであるが、DFSは、生存が延長し、生存エンドポイントが非実用的なものとなり得る状況における重要なエンドポイントであることができる。DFSは、臨床的利益の代用であることができるか、又はそれは、臨床的利益の直接的証拠を提供することができる。この判定は、効果の大きさ、そのリスク-利益の関係、及び疾患の状況に基づいている。DFSの定義は、特に事前に癌進行が実証されずに死亡が記録される場合、複雑になることがある。これらの事象は、疾患再発又は打ち切り事象と記録することができる。死亡についての統計解析の方法は全て何らかの制約を有しているが、全ての死亡(全原因による死亡)を再発とみなすことで、バイアスを最小化することができる。DFSは、特に、観察なしで長期間経過した後に死亡する患者の場合、この定義を用いると過大評価されることがある。長期間のフォローアップ来院頻度が試験群間で異なる場合、又は脱落例が毒性のために無作為ではない場合、バイアスが導入されることがある。
【0175】
「客観的応答率」(ORR)は、所定の量の癌縮小を最短期間示した患者の割合と定義される。応答の持続期間は、通常、初回応答時から文書により証明される癌進行まで測定される。一般に、FDAは、ORRを部分応答と完全応答の合計と定義している。このように定義すると、ORRは、薬物の抗癌活性の直接的尺度であり、これは、単群試験で評価することができる。利用可能な場合は、標準化された基準を用いて、応答を確認すべきである。種々の応答基準が適切であると考えられている(例えば、RECIST基準)(Therasseらの文献(2000) J. Natl. Cancer Inst, 92: 205-16)。ORRの有意性は、その大きさ及び持続期間、並びに完全応答(検出可能な癌の痕跡がない)の割合によって評価される。
【0176】
「無進行期間」(TTP)及び「無進行生存」(PFS)は、薬物承認のための主要エンドポイントの役割を果たしている。TTPは、無作為化から客観的な癌進行までの時間と定義され;TTPは、死亡を含まない。PFSは、無作為化から客観的な癌進行又は死亡までの時間と定義される。TTPと比べて、PFSは、好ましい規制エンドポイントである。PFSは死亡を含み、したがって、全生存とより良く相関し得る。PFSは、患者の死亡が癌進行と無作為に関連することを前提としている。しかしながら、死亡の大半が癌と無関係である状況では、TTPは、許容し得るエンドポイントであることができる。
【0177】
薬物承認を支持するエンドポイントとして、PFSは、癌成長を反映することができ、かつ生存利益の判定前に評価することができる。その判定が、後続治療によって混乱させられることはない。所与の試料サイズについて、PFSに対する効果の大きさは全生存に対する効果よりも大きくなり得る。しかしながら、存在する多くの異なる悪性腫瘍についての生存の代用としてのPFSの正式な検証は困難であり得る。データが、生存に対する効果とPFSとの相関の堅牢な評価を可能にするには不十分である場合がある。癌の治験は小規模である場合が多く、既存薬の証明済みの延命効果は、通常、わずかである。使用許可承認を支持するエンドポイントとしてのPFSの役割は、様々な癌状況において異なる。PFSの改善が直接的な臨床的利益を表すのか、臨床的利益の代用を表すのかは、効果の大きさ、及び利用可能な治療と比較した新しい治療のリスク-利益によって決まる。
【0178】
「治療成功期間」(TTF)は、無作為化から、疾患進行、治療毒性、及び死亡を含む、あらゆる理由による治療の中止までの時間を測定する複合エンドポイントと定義される。TTFは、薬物承認の規制エンドポイントとしては推奨されていない。TTFは、効力とこれらの追加変数を適切に区別するものではない。規制エンドポイントは、薬物の効力と、毒性、患者もしくは医師による中断、又は患者の不耐性とを明確に区別すべきである。
【0179】
(5.3 第二の活性剤)
本明細書に提供される化合物は、本明細書に提供される方法及び組成物において他の薬理学的活性化合物(「第二の活性剤」)と組み合わせることができる。特定の組合せは、特定のタイプの癌、並びに望ましくない血管新生及び/もしくは炎症と関連するか、又はそれらを特徴とする特定の疾患及び状態の治療において相乗的に作用すると考えられる。本明細書に提供される化合物は、特定の第二の活性剤と関連する有害作用を緩和するように作用することもでき、また、いくつかの第二の活性剤を用いて、本明細書に提供される本明細書に提供される化合物と関連する有害作用を緩和することができる。
【0180】
1以上の第二の活性成分又は活性剤は、本明細書に提供される方法及び組成物において本明細書に提供される化合物とともに使用することができる。第二の活性剤は、巨大分子(例えば、タンパク質)又は小分子(例えば、合成された無機分子、有機金属分子、もしくは有機分子)であることができる。
【0181】
巨大分子活性剤の例としては、造血成長因子、サイトカイン、並びにモノクローナル及びポリクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、巨大分子活性剤は、生体分子、例えば、天然に存在するか又は人工的に作製されたタンパク質である。本開示において特に有用であるタンパク質としては、造血前駆細胞及び免疫学的に活性のある造細胞(immunologically active poietic cell)の生存及び/又は増殖をインビトロ又はインビボで刺激するタンパク質が挙げられる。その他のものは、細胞における分化が決定した(committed)赤血球前駆体の分裂及び分化をインビトロ又はインビボで刺激する。特定のタンパク質としては、インターロイキン、例えば、IL-2(組換えIL-II(「rIL2」)及びカナリア痘IL-2を含む)、IL-10、IL-12、並びにIL-18;インターフェロン、例えば、インターフェロンα-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-I a、及びインターフェロンγ-I b;GM-CF及びGM-CSF;並びにEPOが挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
本開示の方法及び組成物で使用することができる特定のタンパク質としては:商標名NEUPOGEN(登録商標)(Amgen社, Thousand Oaks, CA)として米国で販売されている、フィルグラスチム;商標名LEUKINE(登録商標)(Immunex社, Seattle, WA)として米国で販売されている、サルグラモスチム;及び商標名EPGEN(登録商標)(Amgen社, Thousand Oaks, CA)として米国で販売されている、組換えEPOが挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
GM-CSFの組換え形態及び突然変異形態は、米国特許第5,391,485号;第5,393,870号;及び第5,229,496号に記載の通りに調製することができ;これらの文献の各々の開示は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。G-CSFの組換え形態及び突然変異形態は、米国特許第4,810,643号;第4,999,291号;第5,528,823号;及び第5,580,755号に記載の通りに調製することができ;これらの文献の各々の開示は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【0184】
本開示は、ネイティブタンパク質、天然タンパク質、及び組換えタンパク質の使用を包含する。本開示は、天然タンパク質の突然変異体及び誘導体(例えば、修飾形態)をさらに包含し、該突然変異体及び誘導体は、インビボで、それらが基づくタンパク質の薬理学的活性の少なくとも一部を示す。突然変異体の例としては、天然形態のタンパク質中の対応する残基とは異なる1以上のアミノ酸残基を有するタンパク質が挙げられるが、これに限定されない。また「突然変異体」という用語によって包含されるのは、その天然形態(例えば、非グリコシル化形態)中に通常存在する炭水化物部分を欠くタンパク質である。誘導体の例としては、ペグ化誘導体及び融合タンパク質、例えば、IgG1又はIgG3を関心対象のタンパク質又は該タンパク質の活性部分に融合させることによって形成されるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Penichet, M.L.及びMorrison, S.L.の文献、J. Immunol. Methods 248: 91-101(2001)を参照されたい。
【0185】
本明細書に提供される式Iの化合物と組み合わせて使用することができる抗体としては、 モノクローナル及びポリクローナル抗体が挙げられる。抗体の例としては、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(商標))、ペルツズマブ(OMNITARG(商標))、トシツモマブ(BEXXAR(登録商標))、エドレコロマブ(PANOREX(登録商標))、パニツムマブ、及びG250が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に提供される式Iの化合物は、抗TNF-α抗体と組み合わせるか、又は該抗体と組み合わせて使用することもできる。
【0186】
巨大分子活性剤は、抗癌ワクチンの形態で投与することができる。例えば、サイトカイン、例えば、IL-2、SCF、CXCl4(血小板因子4)、G-CSF、及びGM-CSFを分泌するか、又はこれらの分泌を引き起こすワクチンを、本開示の方法、医薬組成物、及びキットで使用することができる。例えば、Emens, L.A.らの文献、Curr. Opinion Mol. Ther. 3(1): 77-84(2001)を参照されたい。
【0187】
小分子である第二の活性剤を用いて、本明細書に提供される式Iの化合物の投与と関連する有害作用を緩和することもできる。しかしながら、いくつかの巨大分子と同様、多くは、式Iの化合物とともに(例えば、その前に、その後に、又はそれと同時に)投与したときに、相乗作用をもたらすことができると考えられている。小分子の第二の活性剤の例としては、抗癌剤、抗生物質、免疫抑制剤、及びステロイドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0188】
抗癌剤の例としては:アブラキサン;ace-11;アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アムルビシン;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビサントレン;ジメシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナールナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;セレコキシブ(COX-2阻害剤);クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジコン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ハーセプチン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン;イプロプラチン;イリノテカン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;ラパチニブ;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキセート;メトトレキセートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;パクリタキセル;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ロミデプシン;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;幹細胞治療、例えば、PDA-001;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;タキソテール;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキセート;グルクロン酸トリメトレキセート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;及び塩酸ゾルビシンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0189】
他の抗癌薬としては:20-エピ-1,25ジヒドロキシビタミンD3;5-エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アムバムスチン;アミドクス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリクス;抗背方化形態形成タンパク質-1;抗アンドロゲン、前立腺癌薬;抗エストロゲン薬;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィディコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節因子;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β-アレチン;ベタクラマイシンB;ベツリニン酸;b-FGF阻害剤;ビカルタミド;ビサントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシイミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN 700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリクス;クロルルン(chlorln);クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis-ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;サイトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジコン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;ジヒドロタキソール、9-;ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドセタキセル;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリクス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イマチニブ(例えば、GLEEVEC(登録商標))、イミキモド;免疫刺激ペプチド;インスリン様成長因子-1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール、4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;三酢酸ラメラリン-N;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトールスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球αインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖ペプチド;親油性白金化合物;リソクリンアミド7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロキソリビン;ラルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;メイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリライシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞成長因子-サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;エルビタックス、ヒト絨毛性ゴナドトロピン;モノホスホリル脂質A+マイコバクテリア細胞壁sk;モピダモール;マスタード抗癌剤;マイカペルオキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチプ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;ニルタミド;ニサマイシン;酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド抗酸化剤;ニトルリン;オブリメルセン(GENASENSE(登録商標));O
6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パクリタキセル;パクリタキセル類似体;パクリタキセル誘導体;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ポリ硫酸ペントサンナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;酢酸フェニル;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニソン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫モジュレーター;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン抱合体;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe 186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1模倣薬;セムスチン;老化由来阻害因子1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シゾフィラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンギスタチン1;スクアラミン;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;過剰活性型血管作用性腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポイエチン;トロンボポイエチン模倣薬;チマルファシン;チモポイエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;スズエチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキセート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベラレソル;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;及びジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
具体的な第二の活性剤としては、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標))、レミケード、ドセタキセル、セレコキシブ、メルファラン、デキサメタゾン(DECADRON(登録商標))、ステロイド、ゲムシタビン、シスプラチン、テモゾロミド、エトポシド、シクロホスファミド、テモダール、カルボプラチン、プロカルバジン、グリアデル、タモキシフェン、トポテカン、メトトレキセート、ARISA(登録商標)、タキソール、タキソテール、フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、ゼローダ、CPT-11、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα(例えば、PEG INTRON-A)、カペシタビン、シスプラチン、チオテパ、フルダラビン、カルボプラチン、リポソームダウノルビシン、シタラビン、ドキセタキソール、パシリタキセル(pacilitaxel)、ビンブラスチン、IL-2、GM-CSF、ダカルバジン、ビノレルビン、ゾレドロン酸、パルミトロネート(palmitronate)、ビアキシン、ブスルファン、プレドニゾン、ビスホスホネート、亜ヒ酸、ビンクリスチン、ドキソルビシン(DOXIL(登録商標))、パクリタキセル、ガンシクロビル、アドリアマイシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム(EMCYT(登録商標))、スリンダク、及びエトポシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
(5.4 治療法及び予防法)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療及び予防する方法であって、患者に、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形を投与することを含む、方法である。
【0192】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を管理する方法であって、患者に、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形を投与することを含む、方法である。
【0193】
また、本明細書に提供されるのは、以前に癌治療を受けたことがあるが、標準療法に非応答性である患者だけでなく、以前に治療を受けていない患者をも治療する方法である。一部の疾患又は障害は、特定の年齢層により多く見られるが、本発明は、患者の年齢にかかわらず、患者を治療する方法も包含する。本発明はさらに、問題になっている疾患又は状態を治療しようとして外科手術を受けたことがある患者だけでなく、外科手術を受けたことがない人をも治療する方法を包含する。癌患者は、不均一な臨床所見及び様々な臨床転帰を有するので、患者に与えられる治療は、その患者の予後によって異なり得る。熟練した臨床医であれば、過度の実験を伴うことなく、具体的な第二の薬剤、外科手術の種類、及び個々の癌患者を治療するために効果的に使用することができる非薬物ベースの標準療法の種類を容易に決定することができるであろう。
【0194】
さらに別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、望ましくない血管新生と関連するか、又はそれを特徴とする、癌以外の疾患及び障害を治療、管理、又は予防する方法であって、患者に、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形を投与することを含む、方法である。
【0195】
本明細書で使用されるように、「癌」という用語は、固形腫瘍及び血行性腫瘍を含むが、これらに限定されない。「癌」という用語は、皮膚組織、器官、血液、及び血管の疾患を指し、これには、膀胱、骨、血液、脳、乳房、子宮頸部、胸部、結腸、子宮内膜(endrometrium)、食道、目、頭部、腎臓、肝臓、リンパ節、肺、口、頸部、卵巣、膵臓、前立腺、直腸、胃、精巣、咽頭、及び子宮の癌が含まれるが、これらに限定されない。具体的な癌としては、進行悪性腫瘍、アミロイドーシス、神経芽腫、髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、多形性膠芽腫(glioblastoma multiforms)、膠芽腫、脳幹神経膠腫、予後不良悪性脳腫瘍、悪性神経膠腫、再発性悪性神経膠腫(giolma)、未分化星状細胞腫、未分化希突起膠腫、神経内分泌腫瘍、直腸腺癌、デュークスC及びD結腸直腸癌、切除不能結腸直腸癌、転移性肝細胞癌、カポジ肉腫、核型急性骨髄芽球性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、低悪性度濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、悪性胸水中皮腫症候群、腹膜癌、漿液性乳頭状癌、婦人科肉腫、軟部組織肉腫、強皮症、皮膚血管炎、ランゲルハンス細胞組織球増加症、平滑筋肉腫、進行性骨化性線維異形成症、ホルモン不応性前立腺癌、切除されている高リスク軟部組織肉腫、切除不能肝細胞癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、くすぶり型骨髄腫、無症候性骨髄腫、卵管癌、アンドロゲン非依存性前立腺癌、アンドロゲン依存性ステージIV非転移性前立腺癌、ホルモン非感受性前立腺癌、化学療法非感受性前立腺癌、甲状腺乳頭癌、濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、及び平滑筋腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
ある実施態様において、該癌は、血行性腫瘍である。ある実施態様において、該血行性腫瘍は転移性である。ある実施態様において、該血行性腫瘍は、薬物抵抗性である。ある実施態様において、該癌は、骨髄腫又はリンパ腫である。
【0197】
ある実施態様において、該癌は、固形腫瘍である。ある実施態様において、該固形腫瘍は、転移性である。ある実施態様において、該固形腫瘍は、薬物抵抗性である。ある実施態様において、該固形腫瘍は、肝細胞癌、前立腺癌、卵巣癌、又は膠芽腫である。
【0198】
癌以外の疾患及び疾病を指すために本明細書で使用される場合、「望ましくない血管新生と関連するか、又はそれを特徴とする疾患又は障害」、「望ましくない血管新生と関連する疾患又は障害」、及び「望ましくない血管新生を特徴とする疾患又は障害」という用語は、望ましくない、望まれない、又は無制御な血管新生によって引き起こされるか、それによって媒介されるか、又はそれに付随する、疾患、障害、及び疾病を指し、これには、炎症性疾患、自己免疫疾患、遺伝的疾患、アレルギー性疾患、細菌性疾患、眼内新生血管疾患、脈絡膜新生血管疾患、及び網膜新生血管疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0199】
そのような望ましくない血管新生と関連する疾患又は障害の例としては、糖尿病性網膜症、早産児網膜症、角膜移植拒絶反応、新生血管緑内障、水晶体後線維増殖症、増殖性硝子体網膜症、トラコーマ、近視、視窩、流行性角結膜炎、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾燥角膜炎、シェーグレン症、酒さ性座瘡、フィレクテヌローシス(phylectenulosis)、梅毒、脂質変性、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染症、帯状疱疹感染症、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁性表皮剥離、関節リウマチ、全身性狼瘡、結節性多発動脈炎、外傷、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、スティーブンスジョンソン病、類天疱瘡(periphigoid)、放射状角膜切開、鎌状赤血球貧血、サルコイド、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎、慢性硝子体炎、ライム病、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎、脈絡膜炎、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、シュタルガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、ルベオーシス、サルコジシス(sarcodisis)、硬化症、ソリアチス(soriatis)、乾癬、原発性硬化性胆管炎、直腸炎、原発性胆汁性肝硬変(srosis)、特発性肺線維症、及びアルコール性肝炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0200】
ある実施態様において、該化合物の治療的又は予防的有効量は、1日当たり約0.005〜約1,000mg、1日当たり約0.01〜約500mg、1日当たり約0.01〜約250mg、1日当たり約0.01〜約100mg、1日当たり約0.1〜約100mg、1日当たり約0.5〜約100mg、1日当たり約1〜約100mg、1日当たり約0.01〜約50mg、1日当たり約0.1〜約50mg、1日当たり約0.5〜約50mg、1日当たり約1〜約50mg、1日当たり約0.02〜約25mg、又は1日当たり約0.05〜約10mgである。
【0201】
ある実施態様において、該治療的又は予防的有効量は、1日当たり約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約60、約70、約80、約90、約100、又は約150mgである。
【0202】
一実施態様において、本明細書に記載の疾病に対する化合物の推奨される1日用量の範囲は、好ましくは、1日1回の単回投与としてか、又は1日を通じた分割用量で投与される、1日当たり約0.5mg〜約50mgの範囲内に収まる。いくつかの実施態様において、投薬量は、1日当たり約1mg〜約50mgの範囲である。他の実施態様において、投薬量は、1日当たり約0.5〜約5mgの範囲である。具体的な1日当たりの用量としては、1日当たり0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50mgが挙げられる。他の実施態様において、具体的な1日当たりの用量としては、1日当たり0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は4mgが挙げられる。
【0203】
具体的な実施態様において、推奨される出発投薬量は、1日当たり0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、10、15、20、25、又は50mgであることができる。別の実施態様において、推奨される出発投薬量は、1日当たり0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は4mgであることができる。この用量は、15、20、25、30、35、40、45、及び50mg/日まで増加させることができる。具体的な実施態様において、該化合物は、約25mg/日の量で癌患者に投与することができる。特定の実施態様において、該化合物は、約10mg/日の量で癌患者に投与することができる。
【0204】
ある実施態様において、該治療的又は予防的有効量は、約0.001〜約100mg/kg/日、約0.01〜約50mg/kg/日、約0.01〜約25mg/kg/日、約0.01〜約10mg/kg/日、約0.01〜約9mg/kg/日、0.01〜約8mg/kg/日、約0.01〜約7mg/kg/日、約0.01〜約6mg/kg/日、約0.01〜約5mg/kg/日、約0.01〜約4mg/kg/日、約0.01〜約3mg/kg/日、約0.01〜約2mg/kg/日、又は約0.01〜約1mg/kg/日である。
【0205】
投与される用量は、mg/kg/日以外の単位で表すこともできる。例えば、非経口投与用の用量は、mg/m
2/日と表すことができる。当業者であれば、対象の身長もしくは体重のいずれか、又はその両方を所与として、用量をmg/kg/日からmg/m
2/日に変換する方法を容易に理解するであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトの場合の1mg/kg/日の用量は、38mg/m
2/日とほぼ等しい。
【0206】
ある実施態様において、投与される化合物の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、又は約1〜約20μMの範囲の、該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。
【0207】
他の実施態様において、投与される化合物の量は、約5〜約100nM、約5〜約50nM、約10〜約100nM、約10〜約50nM、又は約50〜約100nMの範囲の、該化合物の定常状態での血漿濃度を生じるのに十分である。
【0208】
本明細書で使用されるように、「定常状態での血漿濃度」という用語は、本明細書に提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形の一定期間の投与後に達する濃度である。ひとたび定常状態に達すれば、該化合物の血漿濃度の時間依存性曲線上には、微小なピーク及びトラフしか存在しない。
【0209】
ある実施態様において、投与される化合物の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.02〜約25μM、約0.05〜約20μM、約0.1〜約20μM、約0.5〜約20μM、又は約1〜約20μMの範囲の、該化合物の最大血漿濃度(ピーク濃度)を生じるのに十分である。
【0210】
ある実施態様において、投与される化合物の量は、約0.001〜約500μM、約0.002〜約200μM、約0.005〜約100μM、約0.01〜約50μM、約1〜約50μM、約0.01〜約25μM、約0.01〜約20μM、約0.02〜約20μM、約0.02〜約20μM、又は約0.01〜約20μMの範囲の、該化合物の最小血漿濃度(トラフ濃度)を生じるのに十分である。
【0211】
ある実施態様において、投与される化合物の量は、約100〜約100,000ng
*hr/mL、約1,000〜約50,000ng
*hr/mL、約5,000〜約25,000ng
*hr/mL、又は約5,000〜約10,000ng
*hr/mLの範囲の、該化合物の曲線下面積(AUC)を生じるのに十分である。
【0212】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法の1つで治療されるべき患者は、薬物の投与前に、抗癌療法で治療されたことがない。ある実施態様において、本明細書に提供される方法の1つで治療されるべき患者は、薬物の投与前に、抗癌療法で治療されたことがある。ある実施態様において、本明細書に提供される方法の1つで治療されるべき患者は、抗癌療法に対する薬物抵抗性を発症している。
【0213】
一部の疾患又は障害は、特定の年齢層により多く見られるが、本明細書に提供される方法は、患者の年齢にかかわらず、患者を治療することを包含する。さらに本明細書に提供されるのは、問題になっている疾患又は状態を治療しようとして外科手術を受けたことがある患者だけでなく、外科手術を受けたことがない患者をも治療する方法である。癌を有する対象は不均一な臨床所見及び様々な臨床転帰を有するので、特定の対象に与えられる治療は、その患者の予後によって異なり得る。当業者であれば、過度の実験を伴うことなく、具体的な第二の治療剤、外科手術の種類、及び癌を有する個々の対象を治療するために効果的に使用することができる非薬物ベースの標準療法の種類を容易に決定することができるであろう。
【0214】
治療されている疾患及び対象の状態に応じて、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内(intracistemal)への注射又は注入、皮下注射、もしくはインプラント)、吸入、鼻腔、膣、直腸、舌下、又は局所(topical)(例えば、経皮もしくは局所(local))の投与経路によって投与することができる。該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、単独で、又は各々の投与経路に適切な、医薬として許容し得る賦形剤、担体、アジュバント、及びビヒクルを含む好適な投薬単位で一緒に、製剤化することができる。
【0215】
一実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、経口投与される。別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、非経口投与される。さらに別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、静脈内投与される。
【0216】
該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、例えば、単回ボーラス注射、又は経口錠剤もしくは丸剤などの単回用量として;或いは例えば、長時間の連続注入又は長時間の分割ボーラス用量など、長い時間をかけて送達することができる。該化合物は、必要な場合、例えば、患者が安定疾患もしくは復帰を経験するまで、又は患者が疾患進行もしくは許容できない毒性を経験するまで反復して投与することができる。例えば、固形腫瘍についての安定疾患は、通常、測定可能な病変の直交する直径が、前回の測定から25%以上増加していないことを意味する。固形腫瘍の応答評価基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)(RECIST)ガイドライン、Journal of the National Cancer Institute 92(3): 205-216(2000)。安定疾患又はその欠如は、当技術分野で公知の方法、例えば、患者の症状の評価、身体検査、X線、CAT、PET、又はMRIスキャン及び他の一般に許容される評価モダリティを用いて画像化された腫瘍の視覚化によって決定される。
【0217】
該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日1回(QD)投与するか、又は1日2回(BID)、1日3回(TID)、及び1日4回(QID)などの複数の1日用量に分割することができる。さらに、投与は、連続的(すなわち、連続日の間毎日、又は毎日)、間欠的、例えば、周期的(すなわち、数日、数週間、数カ月の薬物を与えない休止を含む)であることができる。本明細書で使用されるように、「毎日(daily)」という用語は、治療的化合物が、例えば、一定期間、各々の日に1回、又は2回以上、投与されることを意味することが意図される。「連続的な」という用語は、治療的化合物が、少なくとも10日間〜52週間途切れることなく毎日投与されることを意味することが意図される。本明細書で使用される「間欠的な」又は「間欠的に」という用語は、規則的な間隔又は不規則な間隔のいずれかで停止及び開始することを意味することが意図される。例えば、化合物の間欠的な投与は、1週間当たり1〜6日間の投与、周期的な投与(例えば、連続する2〜8週間の毎日の投与、その後、最大1週間の投与のない休止期間)、又は1日おきの投与である。本明細書で使用される「周期的(cycling)」という用語は、治療的化合物が、毎日又は連続的に、しかし、休止期間を伴って投与されることを意味することが意図される。
【0218】
いくつかの実施態様において、投与の頻度は、約1日に1回の投与から約1カ月に1回の投与の範囲である。ある実施態様において、投与は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日おきに1回、1週間に2回、毎週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回である。一実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日に1回投与される。別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日に2回投与される。さらに別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日に3回投与される。また別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日に4回投与される。
【0219】
ある実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日当たり1回、1日〜6カ月、1週間〜3カ月、1週間〜4週間、1週間〜3週間、又は1週間〜2週間投与される。ある実施態様において、該化合物、又はその医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物は、1日当たり1回、1週間、2週間、3週間、又は4週間投与される。一実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日当たり1回、1週間投与される。別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日当たり1回、2週間投与される。さらに別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日当たり1回、3週間投与される。また別の実施態様において、該化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、1日当たり1回、4週間投与される。
【0220】
(5.5 第二の活性剤との組合せ療法)
本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、本明細書に記載の疾患の治療及び/又は予防において有用な他の治療剤と組み合わせるか、又はそれと組み合わせて使用することもできる。
【0221】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、癌を治療、予防、又は管理する方法であって、患者に、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物;或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形を;1以上の第二の活性剤と組み合わせて、及び任意に放射線療法、輸血、又は外科手術と組み合わせて投与することを含む、方法である。第二の活性剤の例は、本明細書に開示されている(例えば、第5.3節を参照されたい)。
【0222】
本明細書で使用されるように、「組み合わせて」という用語は、2以上の療法(例えば、1以上の予防剤及び/又は治療剤)の使用を含む。しかしながら、「組み合わせて」という用語の使用は、療法(例えば、予防剤及び/又は治療剤)が、疾患又は障害を有する患者に投与される順序を制限するものではない。第一の療法(例えば、予防剤又は治療剤、例えば、本明細書に提供される化合物、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形)は、対象への第二の療法(例えば、予防剤又は治療剤)の投与の前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間前に)、その投与と同時に、又はその投与の後に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、もしくは12週間後に)投与することができる。三重療法も本明細書において企図される。
【0223】
患者への化合物及び1以上の第二の活性剤の投与は、同一の又は異なる投与経路によって同時に又は順次行なわれることができる。特定の活性剤に利用される特定の投与経路の好適性は、活性剤そのもの(例えば、血流に入る前に分解することなく、それを経口投与できるかどうか)、及び治療されている癌によって決まる。
【0224】
化合物の投与経路は、第二の療法の投与経路とは独立している。一実施態様において、化合物は、経口投与される。別の実施態様において、化合物は、静脈内投与される。したがって、これらの実施態様によれば、化合物は、経口又は静脈内投与され、第二の療法は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻腔内、リポソーム、吸入経由、膣、眼球内、カテーテルもしくはステントによる局所送達経由、皮下、脂肪内、関節内、髄腔内、又は低速放出剤形で投与されることができる。一実施態様において、化合物及び第二の療法は、同じ投与様式によって、経口又はIVによって投与される。別の実施態様において、化合物は、ある投与様式によって、例えば、IVによって投与され、一方、第二の薬剤(抗癌剤)は、別の投与様式によって、例えば、経口で投与される。
【0225】
一実施態様において、第二の活性剤は、静脈内又は皮下に、1日に1回又は2回、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、又は約50〜約200mgの量で投与される。第二の活性剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理されている疾患のタイプ、疾患の重症度及び病期、並びに本明細書に提供される薬物及び患者に同時に投与される他の何らかの任意の追加の活性剤の量によって決まる。ある実施態様において、第二の活性剤は、オブリメルセン(GENASENSE(登録商標))、GM-CSF、G-CSF、SCF、EPO、タキソテール、イリノテカン、ダカルバジン、トランスレチノイン酸、トポテカン、ペントキシフィリン、シプロフロキサシン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、COX-2阻害剤、IL2、IL8、IL18、IFN、Ara-C、ビノレルビン、又はこれらの組合せである。
【0226】
ある実施態様において、GM-CSF、G-CSF、SCF、又はEPOは、約5日間の間に、4週又は6週の周期で、約1〜約750mg/m
2/日、約25〜約500mg/m
2/日、約50〜約250mg/m
2/日、又は約50〜約200mg/m
2/日の範囲の量で皮下投与される。ある実施態様において、GM-CSFは、約60〜約500mcg/m
2の量で2時間かけて静脈内投与するか、又は約5〜約12mcg/m
2/日で皮下投与することができる。ある実施態様において、G-CSFは、最初に、約1mcg/kg/日の量で皮下投与することができ、全顆粒球数の上昇に応じて調整することができる。G-CSFの維持用量は、約300(より小さい患者の場合)又は480mcgの量で皮下投与することができる。ある実施態様において、EPOは、1週間当たり3回、10,000単位の量で皮下投与することができる。
【0227】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、メルファラン及びデキサメタゾンとともに、アミロイドーシスを有する患者に投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形、及びステロイドは、アミロイドーシスを有する患者に投与することができる。
【0228】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ゲムシタビン及びシスプラチンとともに、局所進行性又は転移性の移行細胞膀胱癌を有する患者に投与される。
【0229】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、第二の活性成分と組み合わせて、以下のように:テモゾロミドを再発性(relapsed)もしくは進行性の脳腫瘍、又は再発性(recurrent)神経芽腫を有する小児患者に対して;セレコキシブ、エトポシド、及びシクロホスファミドを再発性(relapsed)又は進行性のCNS癌のために;テモダールを再発性(recurrent)又は進行性の髄膜腫、悪性髄膜腫、血管周囲細胞腫、多発性脳転移、再発性(relapased)脳腫瘍、又は新たに診断された多形性膠芽腫を有する患者に対して;イリノテカンを再発性(recurrent)膠芽腫を有する患者に対して;カルボプラチンを脳幹神経膠腫を有する小児患者に対して;プロカルバジンを進行性悪性神経膠腫を有する小児患者に対して;シクロホスファミドを予後不良悪性脳腫瘍、新たに診断された又は再発性の(recurrent)多形性膠芽腫を有する患者に対して;Gliadel(登録商標)を高悪性度の再発性(recurrent)悪性神経膠腫のために;テモゾロミド及びタモキシフェンを未分化星状細胞腫のために;或いはトポテカンを神経膠腫、膠芽腫、未分化星状細胞腫、又は未分化希突起膠腫のために投与される。
【0230】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、メトトレキセート、シクロホスファミド、タキサン、アブラキサン、ラパチニブ、ハーセプチン、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン調節因子、エストロゲン受容体アンタゴニスト、及び/又はPLX3397(Plexxikon)とともに、転移性乳癌を有する患者に投与される。
【0231】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、テモゾロミドとともに、神経内分泌腫瘍を有する患者に投与される。
【0232】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ゲムシタビンとともに、再発性又は転移性の頭頸部癌を有する患者に投与される。
【0233】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ゲムシタビンとともに、膵癌を有する患者に投与される。
【0234】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、結腸癌を有する患者に、ARISA(登録商標)、アバスチン、タキソール、及び/又はタキソテールと組み合わせて投与される。
【0235】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、カペシタビン及び/又はPLX4032(Plexxikon)とともに、不応性結腸直腸癌を有する患者、或いは一次治療に失敗するか、又は結腸もしくは直腸腺癌において成績の悪い患者に投与される。
【0236】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、フルオロウラシル、ロイコボリン、及びイリノテカンと組み合わせて、デュークスC及びD結腸直腸癌を有する患者、又は転移性結腸直腸癌について以前に治療されたことがある患者に投与される。
【0237】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、不応性結腸直腸癌を有する患者に、カペシタビン、ゼローダ、及び/又はCPT-11と組み合わせて投与される。
【0238】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、カペシタビン及びイリノテカンとともに、不応性結腸直腸癌を有する患者、又は切除不能もしくは転移性結腸直腸癌を有する患者に投与される。
【0239】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、単独で、又はインターフェロンαもしくはカペシタビンと組み合わせて、切除不能もしくは転移性肝細胞癌を有する患者に投与されるか;又はシスプラチン及びチオテパとともに、原発性もしくは転移性肝臓癌を有する患者に投与される。
【0240】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ペグ化インターフェロンαと組み合わせて、カポジ肉腫を有する患者に投与される。
【0241】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、フルダラビン、カルボプラチン、及び/又はトポテカンと組み合わせて、不応性又は再発性又は高リスクの急性骨髄性白血病を有する患者に投与される。
【0242】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、リポソームダウノルビシン、トポテカン、及び/又はシタラビンと組み合わせて、好ましくない核型急性骨髄芽球性白血病を有する患者に投与される。
【0243】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ゲムシタビン、アブラキサン、エルロチニブ、ゲフチニブ(geftinib)、及び/又はイリノテカンと組み合わせて、非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0244】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、カルボプラチン及びイリノテカンと組み合わせて、非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0245】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ドキセタキソールとともに、カルボ/VP16及び放射線療法で以前に治療されたことがある非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0246】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、カルボプラチン及び/もしくはタキソテールと組み合わせて、又はカルボプラチン、パシリタキセル(pacilitaxel)、及び/もしくは胸部放射線療法と組み合わせて、非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0247】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、タキソテールと組み合わせて、IIIB期又はIV期の非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0248】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、オブリメルセン(Genasense(登録商標))と組み合わせて、小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0249】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、例えば、式Iの化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、ABT-737(Abbott Laboratories社)及び/又はオバトクラックス(GX15-070)と組み合わせて、リンパ腫及び他の血液癌を有する患者に投与される。
【0250】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、単独で、又は第二の活性成分、例えば、ビンブラスチンもしくはフルダラビンと組み合わせて、限定されないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は再発性もしくは不応性の低悪性度濾胞性リンパ腫を含む、様々なタイプのリンパ腫を有する患者に投与される。
【0251】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、タキソテール、IL-2、IFN、GM-CSF、PLX4032(Plexxikon社)、及び/又はダカルバジンと組み合わせて、様々なタイプ又は病期の黒色腫を有する患者に投与される。
【0252】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、単独で、又はビノレルビンとともに、悪性中皮腫、又は胸膜移植物もしくは悪性胸水中皮腫症候群を伴うIIIB期の非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0253】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、様々なタイプ又は病期の多発性骨髄腫を有する患者に、デキサメタゾン、ゾレドロン酸、パルミトロネート(palmitronate)、GM-CSF、ビアキシン、ビンブラスチン、メルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、IFN、パルミドロネート(palmidronate)、プレドニゾン、ビスホスホネート、セレコキシブ、亜ヒ酸、PEG INTRON-A、ビンクリスチン、又はこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0254】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、再発性又は不応性の多発性骨髄腫を有する患者に、ドキソルビシン(Doxil(登録商標)、ビンクリスチン、及び/又はデキサメタゾン(Decadron(登録商標)と組み合わせて投与される。
【0255】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、様々なタイプ又は病期の卵巣癌、例えば、腹膜癌、漿液性乳頭状癌、不応性卵巣癌、又は再発性卵巣癌を有する患者に、タキソール、カルボプラチン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、シスプラチン、ゼローダ、パクリタキセル、デキサメタゾン、又はこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0256】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、様々なタイプ又は病期の前立腺癌を有する患者に、ゼローダ、5FU/LV、ゲムシタビン、イリノテカン+ゲムシタビン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、GM-CSF、セレコキシブ、タキソテール、ガンシクロビル、パクリタキセル、アドリアマイシン、ドセタキセル、エストラムスチン、Emcyt、デンデロン(denderon)、又はこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0257】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、様々なタイプ又は病期の腎細胞癌を有する患者に、カペシタビン、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、Celebrex(登録商標)、又はこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0258】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、様々なタイプ又は病期の婦人科癌、子宮癌、又は軟部組織肉腫癌を有する患者に、IFN、COX-2阻害剤、例えば、Celebrex(登録商標)、及び/又はスリンダクと組み合わせて投与される。
【0259】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、様々なタイプ又は病期の固形腫瘍を有する患者に、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、アペシタビン(apecitabine)、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、又はこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0260】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、強皮症又は皮膚血管炎を有する患者に、セレブレックス、エトポシド、シクロホスファミド、ドセタキセル、アペシタビン(apecitabine)、IFN、タモキシフェン、IL-2、GM-CSF、又はこれらの組合せと組み合わせて投与される。
【0261】
また本明細書に包含されるのは、安全かつ効果的に患者に投与することができる抗癌薬又は抗癌剤の投薬量を増加させる方法であって、該患者(例えば、ヒト)に、そのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形を投与することを含む、方法である。この方法によって恩恵を受けることができる患者は、皮膚、皮下組織、リンパ節、脳、肺、肝臓、骨、腸、結腸、心臓、膵臓、副腎、腎臓、前立腺、乳房、結腸直腸の特定の癌、又はこれらの組合せを治療するための抗癌薬と関連する有害作用に苦しむ可能性が高い患者である。本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形の投与は、それ以外の方法では抗癌薬の量を制限することになるほどの重症度である有害作用を緩和又は軽減する。
【0262】
一実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、経口でかつ毎日、約0.1〜約150mg、約1〜約50mg、又は約2〜約25mgの範囲の量で、患者への抗癌薬の投与と関連する有害作用が発生する前に、それが発生している間に、又はそれが発生した後に投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、抗癌薬と関連する有害作用、例えば、限定されないが、好中球減少症又は血小板減少症を回避するために、特定の薬剤、例えば、ヘパリン、アスピリン、クマディン、又はG-CSFと組み合わせて投与される。
【0263】
一実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形は、望ましくない血管新生と関連するか、又はそれを特徴とする疾患及び障害を有する患者に、限定されないが、抗癌薬、抗炎症薬、抗ヒスタミン薬、抗生物質、及びステロイドを含む追加の活性成分と組み合わせて投与される。
【0264】
別の実施態様において、本明細書に包含されるのは、癌を治療、予防、及び/又は管理する方法であって、化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形を、限定されないが、外科手術、免疫療法、生物療法、放射線療法、又は癌を治療、予防、もしくは管理するために現在使用されている他の非薬物ベースの療法を含む従来の療法と併せて(例えば、該療法の前に、その間に、又はその後に)投与することを含む、方法である。本明細書に提供される化合物と従来の療法の併用は、特定の患者において予想外に効果的である独特の治療レジメンを提供することができる。理論に制限されるものではないが、式Iの化合物は、従来の療法と同時に投与されたときに、相加的又は相乗的な効果をもたらし得ると考えられる。
【0265】
本明細書中の別所で論じられているように、本明細書に包含されるのは、限定されないが、外科手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、生物療法、及び免疫療法を含む、従来の療法と関連する有害な又は望ましくない作用を軽減、治療、及び/又は予防する方法である。本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形、及び他の活性成分は、従来の療法と関連する有害作用が発生する前に、それが発生している間に、又はそれが発生した後に、患者に投与することができる。
【0266】
一実施態様において、化合物は、約0.1〜約150mg、約1〜約25mg、約2〜約10mg、又は約0.5〜約4mgの範囲の量で、経口でかつ毎日、単独で、又は本明細書に開示される第二の活性剤(例えば、第4.3節を参照)と組み合わせて、従来の療法を使用する前に、それを使用している間に、又はそれを使用した後に投与することができる。
【0267】
ある実施態様において、本明細書に提供される化合物、又はそのエナンチオマーもしくはエナンチオマーの混合物、或いはこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、又は多形、及びドキセタキソールは、カルボ/VP16及び放射線療法で以前に治療された非小細胞肺癌を有する患者に投与される。
【0268】
(5.6 医薬組成物)
医薬組成物は、個々の、単一単位剤形の調製において使用することができる。本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、立体異性体、包摂化合物、もしくはプロドラッグを含む。本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、1以上の賦形剤をさらに含むことができる。
【0269】
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、1以上の追加の活性成分を含むこともできる。任意の第二の、又は追加の活性成分の例は、本明細書に開示されている。
【0270】
単一単位剤形は、患者に対する経口投与、粘膜投与(例えば、鼻腔投与、舌下投与、膣投与、口腔投与、又は直腸投与)、非経口投与(例えば、皮下投与、静脈内投与、ボーラス注射、筋肉内投与、又は動脈内投与)、局所投与(例えば、点眼薬又は他の眼科調製物)、経皮(transdermal)又は経皮(transcutaneous)投与に好適である。剤形の例としては:錠剤;カプレット剤;カプセル剤、例えば、軟弾性ゼラチンカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;舐剤;分散剤;坐剤;散剤;エアゾール剤(例えば、鼻スプレー剤又は吸入剤);ゲル剤;懸濁剤(例えば、水性もしくは非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤、又は油中水液体型乳剤)、液剤、及びエリキシル剤を含む、患者に対する経口又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者に対する非経口投与に好適な液体剤形;局所投与に好適な点眼薬又は他の眼科調製物;並びに患者に対する非経口投与に好適な液体剤形を提供するために再構成することができる滅菌固体(例えば、結晶性又は非晶質固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0271】
本明細書に提供される剤形の組成、形状、及び種類は、通常、その用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性治療において使用される剤形は、同じ疾患の慢性治療において使用される剤形よりも多くの量のそれが含む1以上の活性成分を含むことができる。同様に、非経口剤形は、同じ疾患を治療するのに使用される経口剤形よりも少ない量のそれが含む1以上の活性成分を含むことができる。本明細書に提供される具体的な剤形が互いに異なるこれらの及びその他の方法は、当業者には明白であろう。例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第18版, Mack Publishing社, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0272】
典型的な医薬組成物及び剤形は、1以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、薬学の分野の当業者に周知であり、好適な賦形剤の非限定的な例が、本明細書に提供される。特定の賦形剤が、医薬組成物又は剤形への組込みに好適であるかどうかは、限定されないが、該剤形が患者に投与される方法を含む、当技術分野で周知の種々の因子によって決まる。例えば、経口剤形、例えば、錠剤は、非経口剤形での使用に好適でない賦形剤を含有していてもよい。特定の賦形剤の好適性は、剤形中の具体的な活性成分によっても決まり得る。例えば、いくつかの活性成分の分解を、ラクトースなどのいくつかの賦形剤によって、又は水に曝したときに加速させることができる。第1級又は第2級アミンを含む活性成分は、そのような加速的分解を特に受けやすい。結果として、本明細書に提供されるのは、あるとしても、ごく少量のラクトース、他の単糖又は二糖しか含まない医薬組成物及び剤形である。本明細書で使用されるように、「ラクトース不含」は、存在するラクトースの量が、あるとしても、活性成分の分解速度を実質的に上昇させるのに不十分であることを意味する。
【0273】
本明細書に提供されるラクトース不含組成物は、当技術分野で周知であり、かつ例えば、米国薬局方(USP) 25-NF20(2002)に記載されている賦形剤を含むことができる。一般に、ラクトース不含組成物は、活性成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤を医薬として適合し得る量及び医薬として許容し得る量で含む。一実施態様において、ラクトース不含剤形は、活性成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0274】
また本明細書に提供されるのは、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形であるが、それは、水がいくつかの化合物の分解を促進し得るからである。例えば、水(例えば、5%)の添加は、有効期間又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特徴を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として製薬技術において広く許容されている。例えば、Jens T. Carstensenの文献、薬物安定性:原理及び実践(Drug Stability: Principles & Practice), 第2版, Marcel Dekker, NY, NY, 1995, 379-80頁を参照されたい。実際、水及び熱は、いくつかの化合物の分解を加速する。したがって、製剤の製造時、取扱い時、包装時、貯蔵時、輸送時、及び使用時には、通常、水分及び/又は湿気に曝されるので、製剤に対する水の影響は、非常に重大であり得る。
【0275】
無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を用いて調製することができる。製造時、包装時、及び/又は貯蔵時に水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、ラクトースと、1級又は2級アミンを含む少なくとも1つの活性成分とを含む医薬組成物及び剤形は、無水であることが好ましい。
【0276】
無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製及び貯蔵すべきである。したがって、無水組成物は、それを好適な処方キットに含めることができるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を用いて包装されることが好ましい。好適な包装の例としては、密閉されたホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0277】
また本明細書に提供されるのは、活性成分が分解する速度を低下させる1以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形である。そのような化合物は、本明細書では「安定化剤」と呼ばれ、これには、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0278】
(5.7 経口剤形)
経口投与に好適である医薬組成物は、個別剤形、例えば、限定されないが、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット剤、カプセル剤、及び液体(例えば、フレーバーシロップ)として提示することができる。そのような剤形は、所定量の活性成分を含有しており、当業者に周知の薬学の方法によって調製することができる。一般に、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), 第18版, Mack Publishing社, Easton PA(1990)を参照されたい。
【0279】
典型的な経口剤形は、従来の医薬配合技術に従って、活性成分を少なくとも1つの賦形剤と密接に混合させて組み合わせることによって調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製物の形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。例えば、経口液又はエアゾール剤形中での使用に好適な賦形剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、及び着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、及びカプレット剤)中での使用に好適な賦形剤の例としては、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0280】
その投与の容易さのために、錠剤及びカプセル剤は、最も有利な経口投薬単位形態であり、その場合には、固体賦形剤が利用される。所望の場合、錠剤は、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。そのような剤形は、薬学の方法のいずれかによって調製することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微細に分割された固体担体、又はその両方と均一かつ緊密に混合し、その後、必要であれば、生成物を所望の体裁に成形することによって調製される。
【0281】
例えば、錠剤は、圧縮又は成形によって調製することができる。圧縮錠は、粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を、任意に賦形剤と混合して、好適な機械の中で圧縮することによって調製することができる。成形錠は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を、好適な機械の中で成形することによって作製することができる。
【0282】
本明細書に提供される経口剤形中で使用することができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形中での使用に好適な結合剤としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、天然及び合成ゴム、例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギネート、粉末化トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0283】
微結晶性セルロースの好適な形態としては、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105として販売されている材料(FMC社, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。好適な無水又は低水分の賦形剤又は添加物としては、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch 1500 LMが挙げられる。
【0284】
本明細書に開示される医薬組成物及び剤形中での使用に好適な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、通常、該医薬組成物又は剤形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
【0285】
崩壊剤を組成物中で用いて、水性環境に曝されたときに崩壊する錠剤を提供する。多過ぎる崩壊剤を含む錠剤は貯蔵中に崩壊する場合があり、一方、少な過ぎる崩壊剤を含む錠剤は、所望の速度又は所望の条件下で崩壊しない場合がある。したがって、活性成分の放出を悪く変化させるほど多過ぎることも少な過ぎることもない十分な量の崩壊剤を用いて、固体経口剤形を形成させるべきである。使用される崩壊剤の量は、製剤の種類に基づいて異なり、かつ当業者に容易に認識される。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、好ましくは、約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0286】
医薬組成物及び剤形中で使用することができる崩壊剤としては、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0287】
医薬組成物及び剤形中で使用することができる滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウレエート、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、syloidシリカゲル(Baltimore, MDのW.R.Grace社により製造されているAEROSIL200)、合成シリカの凝集エアゾール(Plano, TXのDegussa社により市販されている)、CAB-O-SIL(商標)(Boston, MAのCabot社により販売されている発熱性二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物が挙げられる。使用されるとしても、滑沢剤は、通常、それが組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント未満の量で使用される。
【0288】
一実施態様において、本発明の固体経口剤形は、本明細書に提供される化合物、無水ラクトース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチンから選択される1以上の賦形剤を含む。
【0289】
(5.8 遅延放出剤形)
活性成分は、制御放出手段によるか、又は当業者に周知である送達装置によって投与することができる。例としては、その各々が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第:3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。そのような剤形を用いて、例えば、所望の放出プロファイルを提供するためにヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、又はこれらの組合せを様々な割合で用いて、1以上の活性成分の低速又は制御放出を提供することができる。本明細書に記載のものを含む、当業者に公知の好適な制御放出製剤は、本明細書に提供される活性成分とともに使用するために容易に選択することができる。したがって、本明細書に提供されるのは、経口投与に好適な単一単位剤形、例えば、限定されないが、制御放出に適している錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤、及びカプレット剤である。
【0290】
制御放出医薬製品は全て、その非制御対応物によって達成されるものよりも薬物療法を改善させるという共通の目的を有する。理想的には、医療における最適に設計された制御放出調製物の使用は、最小限の原薬を用いて最小限の時間で疾病を治癒させるか又は制御することを特徴とする。制御放出製剤の利点としては、薬物活性の延長、投薬頻度の低下、及び患者コンプライアンスの向上が挙げられる。さらに、制御放出製剤を用いて、作用発現時間、又は薬物の血中濃度などの他の特性に影響を及ぼすことができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0291】
ほとんどの制御放出製剤は、所望の治療効果を素早くもたらす量の薬物(活性成分)を最初に放出し、このレベルの治療又は予防効果を長期間にわたって維持する他の量の薬物を徐々にかつ継続的に放出するように設計されている。この一定の薬物レベルを体内で維持するために、薬物は、代謝されて体から排泄される薬物の量を補う速度で剤形から放出されなければならない。活性成分の制御放出は、限定されないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件もしくは化合物を含む、様々な条件によって刺激することができる。
【0292】
(5.9 非経口剤形)
非経口剤形は、限定されないが、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む、様々な経路によって患者に投与することができる。その投与は、通常、汚染物質に対する患者の自然防御を回避するので、非経口剤形は、滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌することができることが好ましい。非経口剤形の例としては、注射にそのまま利用可能な液剤、注射のための医薬として許容し得るビヒクルにすぐに溶解又は懸濁させることができる乾燥品、注射にそのまま利用可能な懸濁剤、及び乳剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0293】
非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。例としては:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースと塩化ナトリウムの注射液、及び乳酸加リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0294】
本明細書に開示される活性成分の1つ又は複数の溶解性を増大させる化合物を、本明細書に提供される非経口剤形に組み込むこともできる。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体を用いて、化合物及びその誘導体の溶解性を増大させることができる。例えば、引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0295】
(5.10 局所及び粘膜剤形)
本明細書に提供される局所及び粘膜剤形としては、スプレー剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤、点眼薬もしくは他の眼科調製物、又は当業者に公知の他の形態が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), 第16版及び第18版, Mack Publishing社, Easton PA(1980 & 1990);及び医薬剤形入門(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms), 第4版, Lea & Febiger社, Philadelphia(1985)を参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに好適な剤形は、マウスウォッシュとしてか又はオーラルゲルとして製剤化することができる。
【0296】
好適な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)、並びに局所及び粘膜剤形を提供するために使用することができる他の材料は、医薬分野の当業者に周知であり、所与の医薬組成物又は剤形が適用される特定の組織によって決まる。その事実を考慮した上で、典型的な賦形剤としては、液剤、乳剤、又はゲル剤を形成するための、無毒でかつ医薬として許容し得る、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。所望の場合、湿潤剤又は保湿剤を医薬組成物及び剤形に添加することもできる。そのような追加の成分の例は、当技術分野で周知である。例えば、レミントンの医薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences), 第16版及び第18版, Mack Publishing社, Easton PA(1980 & 1990)を参照されたい。
【0297】
医薬組成物又は剤形のpHを調整して、1以上の活性成分の送達を向上させることもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は等張性を調整して、送達を向上させることもできる。ステアリン酸塩などの化合物を医薬組成物又は剤形に添加して、送達を向上させるように、1以上の活性成分の親水性又は親油性を有利に変化させることもできる。これに関して、ステアリン酸塩は、製剤用の脂質ビヒクルとしての、乳化剤又は界面活性剤としての、及び送達増強剤又は浸透増強剤としての役割を果たすことができる。活性成分の様々な塩、水和物、又は溶媒和物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0298】
(5.11 キット)
本明細書に提供されるいくつかの実施態様において、活性成分は、好ましくは、患者に、同時に投与されることも、同じ投与経路で投与されることもない。したがって、本明細書に提供されるのは、医療実践者が使用するときに、患者への適量の活性成分の投与を簡略化することができるキットである。
【0299】
一実施態様において、本明細書に提供されるキットは、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、もしくは水和物を含む。キットは、限定されないが、本明細書に開示されているものを含む、追加の活性剤をさらに含むことができる。
【0300】
本明細書に提供されるキットは、活性成分を投与するために使用される装置をさらに含むことができる。そのような装置の例としては、注射器、点滴袋、パッチ、及び吸入器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0301】
キットは、移植用の細胞又は血液、及び1以上の活性成分を投与するために使用することができる医薬として許容し得るビヒクルをさらに含むことができる。例えば、活性成分が、非経口投与用に再構成されなければならない固体形態で提供される場合、キットは、好適なビヒクルの密封容器を含むことができ、このビヒクルの中で、活性成分を溶解させて、非経口投与に好適である、微粒子を含まない滅菌溶液を形成させる。医薬として許容し得るビヒクルの例としては:注射用水USP;水性ビヒクル、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースと塩化ナトリウムの注射液、及び乳酸加リンゲル注射液;水混和性ビヒクル、例えば、限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール;並びに非水性ビヒクル、例えば、限定されないが、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0302】
(5.12 抗体)
本明細書に提供されるCRBNに免疫特異的に結合する抗体(抗CRBN抗体)としては、合成抗体、モノクローナル抗体、組換え法により産生された抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、ラクダ化抗体、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のいずれかの抗原又はエピトープ結合断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0303】
特に、本明細書に提供される抗体としては、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子の免疫学的活性部分、すなわち、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子が挙げられる。本明細書に提供される免疫グロブリン分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、又はサブクラスであることができる。具体的な実施態様において、本明細書に提供される抗体は、IgG抗体、ある実施態様において、IgG1又はIgG4である。
【0304】
また本明細書に提供されるのは、単離されたCRBN抗体、例えば、下記の実施例6.20又は6.21に従って調製される「CRBN70」である。一実施態様において、該抗体は、ポリクローナル抗体である。別の実施態様において、該抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、該抗体は、ウサギポリクローナル抗体である。他の実施態様において、該抗体は、ウサギモノクローナル抗体である。
【0305】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、アミノ酸配列EEFHGRTLHDDDC(配列番号:1)を有するエピトープに免疫特異的に結合する単離された抗体である。別の実施態様において、該抗体は、アミノ酸配列EEFHGRTLHDDDC(配列番号:1)を有するエピトープに免疫特異的に結合し、ここで、該ペプチドは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングされている。一実施態様において、該抗体は、ポリクローナル抗体である。別の実施態様において、該抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、該抗体は、ウサギポリクローナル抗体である。他の実施態様において、該抗体は、ウサギモノクローナル抗体である。ある実施態様において、該抗体は、ヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76(配列番号:1)に免疫特異的に結合する。
【0306】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:5に示すアミノ酸配列を有する重鎖、又はそのVHドメイン、VH CDR1、VH CDR2、及び/もしくはVH CDR3を含む抗体である。他の実施態様において、該抗体は、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖、又はそのVLドメイン、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号:5に示すアミノ酸配列を有する重鎖、又はそのVHドメイン、VH CDR1、VH CDR2、及び/もしくはVH CDR3;並びに配列番号:7に示すアミノ酸配列を有する軽鎖、又はそのVLドメイン、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:9に示すアミノ酸配列を有する重鎖、又はそのVHドメイン、VH CDR1、VH CDR2、及び/もしくはVH CDR3を含む。他の実施態様において、該抗体は、CRBNに免疫特異的に結合し、かつ配列番号:11に示すアミノ酸配列を有する軽鎖、又はそのVLドメイン、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、該抗体は、配列番号:9に示すアミノ酸配列を有する重鎖、又はそのVHドメイン、VH CDR1、VH CDR2、及び/もしくはVH CDR3;並びに配列番号:11に示すアミノ酸配列を有する軽鎖、又はそのVLドメイン、VL CDR1、VL CDR2、及び/もしくはVL CDR3を含む。ある実施態様において、該抗体は、ヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76(配列番号:1)に免疫特異的に結合する。
【0307】
本明細書に提供されるCRBN抗体のいずれかを本明細書に提供される方法のいずれかにおいて使用することができる。
【0308】
抗体の変異体及び誘導体には、エピトープに特異的に結合する能力を保持する抗体断片が含まれる。例示的な断片としては、Fab断片(抗原結合ドメインを含有し、かつジスルフィド結合により架橋された軽鎖と重鎖の一部とを含む抗体断片); Fab'(ヒンジ領域を介してFabと重鎖のさらなる部分とを含む単一の抗結合ドメインを含有する抗体断片); F(ab')
2(重鎖のヒンジ領域の鎖間ジスルフィド結合により接続された2つのFab'分子; Fab'分子は、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る);二重特異性Fab(その各々が異なるエピトープに対するものであり得る2つの抗原結合ドメインを有するFab分子);可変領域を含む単鎖Fab鎖、別名、sFv(10〜25個のアミノ酸の鎖により連結された抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変性抗原結合決定領域);ジスルフィド連結Fv、又はdsFv(ジスルフィド結合により連結された抗体の単一の軽鎖及び重鎖の可変性抗原結合決定領域);ラクダ化VH(VH境界のいくつかのアミノ酸が天然のラクダ抗体の重鎖で見られるものである、抗体の単一の重鎖の可変性抗原結合決定領域);二重特異性sFv(その各々が異なるエピトープに対するものであり得る2つの抗原結合ドメインを有するsFv又はdsFv分子);ダイアボディ(第一のsFvのVHドメインが第二のsFvのVLドメインと会合し、第一のsFvのVLドメインが第二のsFvのVHドメインと会合するときに形成される二量体化sFv;ダイアボディの2つの抗原結合領域は、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る);並びにトリアボディ(ダイアボディと同様の方法で形成されるが、3つの抗原結合ドメインが単一の複合体中に生成される三量体化sFv;3つの抗原結合ドメインは、同じ又は異なるエピトープに対するものであり得る)が挙げられる。抗体の誘導体には、抗体結合部位の1以上のCDR配列も含まれる。該CDR配列は、2以上のCDR配列が存在するとき、スキャフォールド上で連結することができる。ある実施態様において、抗CRBN抗体は、単鎖Fv(「scFv」)を含む。scFvは、抗体のVH及びVLドメインを含む抗体断片であり、ここで、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、scFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成するのを可能にするVHドメインとVLドメインの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvの総説については、モノクローナル抗体の薬理学(The Pharmacology of Monoclonal Antibodies), 第113巻, Rosenburg及びMoore編. Springer-Verlag社, New York, 269-315頁(1994)のPluckthunの文献を参照されたい。
【0309】
本明細書に提供されるのは、CRBNエピトープに免疫特異的に結合する抗体であって、CRBN抗原又はCRBNエピトープに免疫特異的に結合する本明細書に記載のVH及びVL鎖の誘導体を含む、抗体である。当業者に公知の標準的な技術を用いて、本発明の分子をコードするヌクレオチド配列中に突然変異を導入することができ、該技術には、例えば、アミノ酸置換を生じさせる部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発が含まれる。好ましくは、該誘導体は、もとの分子と比べて、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換、又は2未満のアミノ酸置換を含む。好ましい実施態様において、該誘導体は、1以上の予測非必須アミノ酸残基でなされる保存的アミノ酸置換を有する。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられる置換である。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。或いは、突然変異を、例えば、飽和突然変異誘発によって、コード配列の全て又は部分に沿ってランダムに導入することができ、得られる突然変異体を生体活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発の後、コードされたタンパク質を発現させることができ、該タンパク質の活性を決定することができる。
【0310】
別の実施態様において、CRBNエピトープに免疫特異的に結合する抗体は、CGN-6-1-11もしくはCGN-6-1-11、又はその抗原結合断片、例えば、VHドメイン、VLドメイン、VH鎖、もしくはVL鎖のアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。一実施態様において、CRBNエピトープに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号:5、7、9、又は11に示すアミノ酸配列と少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0311】
具体的な実施態様において、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体は、(1)配列番号:5もしくは9(H鎖)及び/又は配列番号:7もしくは11(L鎖)に示すVH及び/又はVL鎖のいずれか1つをコードするヌクレオチド配列の相補体に、ストリンジェントな条件(例えば、フィルターに結合したDNAへの、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃でのハイブリダイゼーション、その後、0.2×SSC/0.1%SDS中、約50〜65℃での1回以上の洗浄)下、極めてストリンジェントな条件(例えば、フィルターに結合した核酸への、6×SSC中、約45℃でのハイブリダイゼーション、その後、0.1×SSC/0.2%SDS中、約68℃での1回以上の洗浄)下、又は当業者に公知である他のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるVH鎖のアミノ酸配列及び/又はVL鎖のアミノ酸配列を含む(例えば、Ausubel, F.M.ら編, 1989, 分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 第I巻, Green Publishing Associates社及びJohn Wiley & Sons社, New York, 6.3.1〜6.3.6及び2.10.3頁を参照されたい)。
【0312】
抗CRBN抗体は、鳥類及び哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、又はニワトリ)を含む、任意の動物起源のものであることができる。ある実施態様において、抗CRBN抗体は、ヒト又はヒト化モノクローナル抗体である。本明細書で使用されるように、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、また、ヒト免疫グロブリンライブラリーから又はヒト遺伝子由来の抗体を発現するマウスから単離された抗体を含む。
【0313】
ある実施態様において、抗CRBN抗体は、完全ヒト抗体、例えば、CRBNポリペプチド、CRBNポリペプチド断片、又はCRBNエピトープに免疫特異的に結合する完全ヒト抗体である。そのような完全ヒト抗体は、対象に投与したときに、望まれない又は必要とされない副作用、例えば、非完全ヒト抗体(例えば、他の種に由来する抗CRBN抗体)に対する免疫応答の発生を最小限に抑えるために、完全マウス(又は他の完全もしくは部分的非ヒト種抗体)、ヒト化抗体、或いはキメラ抗体よりも有利であろう。
【0314】
本明細書に提供される抗CRBN抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、又はそれを超えて多重特異性であることができる。多重特異性抗体は、CRBNポリペプチドの異なるエピトープに特異的であることができ、又はCRBNポリペプチドと異種エピトープ、例えば、異種ポリペプチド又は固体支持体材料の両方に特異的であることができる。ある実施態様において、本明細書に提供される抗体は、CRBNポリペプチドの所与のエピトープに単一特異的であり、他のエピトープには免疫特異的に結合しない。
【0315】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、CRBNエピトープ(例えば、EEFHGRTLHDDD(配列番号:1)もしくはヒトCRBN(配列番号:12)のペプチド65-76)又はCRBN抗原に免疫特異的に結合する抗CRBN抗体、及びその使用方法である。
【0316】
当業者に公知の標準的な技術を用いて、本明細書に提供される抗CRBNをコードするヌクレオチド配列中に突然変異を導入することができ、該技術には、例えば、アミノ酸置換を生じさせる部位特異的突然変異誘発及びPCR媒介性突然変異誘発が含まれる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられる置換である。同様の電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。或いは、突然変異を、例えば、飽和突然変異誘発によって、コード配列の全て又は部分に沿ってランダムに導入することができ、得られる突然変異体を生体活性についてスクリーニングして、活性を保持する突然変異体を同定することができる。突然変異誘発の後、コードされたタンパク質を発現させることができ、該タンパク質の活性を決定することができる。
【0317】
いくつかの実施態様において、抗体は、完全ヒト抗ヒトCRBN抗体、例えば、完全ヒトモノクローナル抗体である。完全ヒト抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって産生することができる。例示的な方法は、CRBN抗原(免疫応答を誘発することができ、かつ任意にキャリアにコンジュゲートされている任意のCRBNポリペプチド)による、ヒト抗体のレパートリーを内在性免疫グロブリン産生の非存在下で産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)の免疫化を含む;例えば、Jakobovitsらの文献(1993) Proc. Natl. Acad. Sci., 90: 2551; Jakobovitsらの文献(1993) Nature, 362: 255 258(1993); Bruggermannらの文献(1993) Year in Immunol., 7: 33を参照されたい。抗CRBN抗体を産生する他の方法は、本明細書に提供される実施例中に見出すことができる。
【0318】
或いは、完全ヒト抗体は、ファージディスプレイ抗体ライブラリーのインビトロスクリーニングによって生成させることができる;例えば、引用により本明細書中に組み込まれている、Hoogenboomらの文献、J. Mol. Biol., 227: 381(1991); Marksらの文献、J. Mol. Biol., 222: 581(1991)を参照されたい。様々な抗体を含有するファージディスプレイライブラリーが記載されており、これは、当業者により容易に調製されることができる。ライブラリーは、適当な標的に対してスクリーニングし得る、多様なヒト抗体配列、例えば、ヒトFab、Fv、及びscFv断片を含有することができる。
【0319】
抗CRBN抗体には、化学的に、すなわち、抗体への任意のタイプの分子の共有結合によって、修飾されている抗体が含まれる。例えば、限定するつもりはないが、抗体誘導体には、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解的切断、細胞リガンド又は他のタンパク質への連結などによって化学修飾された抗体が含まれる。多くの化学修飾のうちのいずれかを、限定されないが、特異的な化学切断、アセチル化、ホルミル化(formulation)、ツニカマイシンの代謝的合成などを含む、公知の技術によって実施することができる。さらに、抗体は、1以上の非古典的アミノ酸を含有することができる。
【0320】
ある実施態様において、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗CRBN抗体は、当業者に公知のフレームワーク領域(例えば、ヒト又は非ヒト断片)を含む。フレームワーク領域は、例えば、天然又はコンセンサスのフレームワーク領域であることができる。いくつかの実施態様において、抗CRBN抗体のフレームワーク領域は、ヒトのものである(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストについては、引用により完全に本明細書中に組み込まれている、Chothiaらの文献、1998, J. Mol. Biol. 278: 457-479を参照されたい)。Kabatらの文献(1991) 免疫学的に関心のあるタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)(U.S. Department of Health and Human Services, Washington, D.C.)、第5版も参照されたい。
【0321】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗CRBN抗体は、キメラ又はヒト化抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される抗体は、以下の残基:(a)マウス抗体フレームワーク(すなわち、ドナー抗体フレームワーク)とヒト抗体フレームワーク(すなわち、アクセプター抗体フレームワーク)の間で相違がある希少フレームワーク残基;(b)ドナー抗体フレームワークとアクセプター抗体フレームワークの間で相違がある場合のベニエ(Venier)域残基;(c)ドナー抗体フレームワークとアクセプター抗体フレームワークの間で相違があるVH/VL境界面の鎖間充填残基;(d)ドナー抗体フレームワークとアクセプター抗体フレームワーク配列の間で相違がある正規残基、特に、マウス抗体CDRループの正規クラスの定義に極めて重要なフレームワーク領域;(e)CDRに隣接する残基;(g)抗原と相互作用することができる残基;(h)CDRと相互作用することができる残基;及び(i)VHドメインとVLドメインの間の接触残基の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くにおける1以上のアミノ酸置換を有するヒトフレームワーク領域を含む。ある実施態様において、上で特定した残基の1つ、2つ、3つ、又はそれより多くにおける1以上のアミノ酸置換を有するヒトフレームワーク領域を含む、CRBN抗原に免疫特異的に結合する抗体は、拮抗的CRBN抗体である。
【0322】
他の実施態様において、CRBN抗原及び異種ポリペプチドに免疫特異的に結合する、抗CRBN抗体を含む融合タンパク質が本明細書に提供される。
【0323】
(5.13 抗体の診断的使用)
CRBN抗原に免疫特異的に結合する、本明細書に提供される標識CRBN抗体、並びにその誘導体及び類似体を診断目的で用いて、患者におけるCRBN発現レベル又はCRBN媒介性疾患を検出、診断、又はモニタリングすることができる。
【0324】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、CRBN抗体を用いて、患者腫瘍又は宿主細胞におけるCRBNの発現レベルを測定し、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形による療法に対する臨床応答を予測する方法である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるCRBN抗体を用いて、患者腫瘍又は宿主細胞におけるCRBNの発現レベルを測定し、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形による療法に対する臨床応答をモニタリングする方法である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるCRBN抗体を用いて、患者腫瘍又は宿主細胞におけるCRBNの発現レベルを測定し、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形による療法の投与に対する患者コンプライアンスをモニタリングする方法である。また本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるCRBN抗体を用いて、患者腫瘍又は宿主細胞におけるCRBNの発現レベルを測定し、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、或いは3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン、その立体異性体、又はこれらの医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、共結晶、包摂化合物、もしくは多形による療法に対する抵抗性の発生をモニタリングする方法である。
【0325】
本明細書に提供されるのは、CRBN媒介性疾患を診断するための診断アッセイであって:(a)個体の細胞又は組織試料中のCRBN抗原のレベルを、CRBN抗原に免疫特異的に結合する1以上の本発明の抗体を用いて検定すること;及び(b)該CRBN抗原のレベルを、対照レベル、例えば、正常組織試料中のレベルと比較することを含み、それにより、CRBN抗原の対照レベルと比較した検定CRBN抗原レベルの増加が、CRBN媒介性疾患を示す、アッセイである。
【0326】
本明細書に提供される抗体を用いて、本明細書に記載の又は当業者に公知の古典的な免疫組織学的方法を用いて、生体試料中のCRBN抗原レベルを検定することができる(例えば、Jalkanenらの文献、1985, J. Cell. Biol. 101: 976-985;及びJalkanenらの文献、1987, J. Cell . Biol. 105: 3087-3096を参照されたい)。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用な他の抗体ベースの方法としては、イムノアッセイ、例えば、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)及びラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。好適な抗体アッセイ標識は、当技術分野で公知であり、これには、酵素標識、例えば、グルコースオキシダーゼ;放射性同位体、例えば、ヨウ素(
125I、
121I)、炭素(
14C)、硫黄(
35S)、トリチウム(
3H)、インジウム(
121In)、及びテクネチウム(
99Tc);発光標識、例えば、ルミノール;並びに蛍光標識、例えば、フルオレセイン及びローダミン、並びにビオチンが含まれる。
【0327】
本明細書に提供されるのは、患者におけるCRBNの検出方法である。一実施態様において、該方法は:a)対象に、CRBN抗原に免疫特異的に結合する標識抗体の有効量を(例えば、非経口的に、皮下に、又は腹腔内に)投与すること;b)該標識抗体が、CRBN抗原が発現される対象内の部位で優先的に濃縮するのを可能にする(及び未結合の標識分子がバックグラウンドレベルにまで除去される)投与後の一定時間間隔の間、待つこと; c)バックグラウンドレベルを決定すること;並びにd)バックグラウンドレベルを上回る標識抗体の検出によって、対象がCRBN発現を増加させたことが示されるように、対象において該標識抗体を検出することを含む。バックグラウンドレベルは、検出された標識分子の量と、特定の系について以前に決定された標準値との比較を含む、様々な方法によって決定することができる。
【0328】
対象のサイズ及び使用されるイメージングシステムが、診断的画像を生成させるのに必要とされるイメージング部分の量を決定することが当技術分野で理解されるであろう。放射性同位体部分の場合、ヒト対象について、注入される放射能の量は、通常、約5〜20ミリキュリーの
99Tcに及ぶ。その後、標識抗体は、特異的タンパク質を含む細胞の位置で優先的に蓄積することになる。インビボでの腫瘍イメージングは、S.W. Burchielらの文献、「放射性標識抗体及びその断片の免疫薬物動態(Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments)」(腫瘍イメージング:癌の放射化学的検出(Tumor Imaging: The Radiochemical Detection of Cancer), S.W. Burchiel及びB.A. Rhodes編, Masson Publishing社(1982)の第13章)に記載されている。
【0329】
使用される標識の種類、及び投与の様式を含む、いくつかの変数に応じて、標識抗体が対象内の部位で優先的に濃縮するのを可能にする、及び未結合の標識抗体がバックグラウンドレベルにまで除去される、投与後の時間間隔は、6〜48時間又は6〜24時間又は6〜12時間である。別の実施態様において、投与後の時間間隔は、5〜20日又は5〜10日である。
【0330】
標識分子の存在は、インビボスキャニング用の当技術分野で公知の方法を用いて対象内で検出することができる。これらの方法は、使用される標識の種類によって決まる。当業者であれば、特定の標識を検出するための適切な方法を決定することができるであろう。本発明の診断方法で使用し得る方法及び装置としては、コンピュータ断層撮影法(CT)、全身スキャン、例えば、陽電子放出断層撮影法(PET)、磁気共鳴イメージング法(MRI)、及び超音波検査が挙げられるが、これらに限定されない。
【0331】
具体的な実施態様において、分子を放射性同位体で標識し、放射応答外科的機器を用いて、患者内で検出する(Thurstonらの文献、米国特許第5,441,050号)。別の実施態様において、分子を蛍光化合物で標識し、蛍光応答スキャニング機器を用いて、患者内で検出する。別の実施態様において、分子を陽電子放出金属で標識し、陽電子放出断層撮影法を用いて患者内で検出する。さらに別の実施態様において、分子を常磁性標識で標識し、磁気共鳴イメージング法(MRI)を用いて、患者内で検出する。
【実施例】
【0332】
(6.実施例)
本発明のある実施態様を以下の非限定的な実施例によって説明する。
【0333】
(6.1 3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(レナリドマイド)の調製)
メチル2-ブロモメチル-3-ニトロベンゾエート
四塩化炭素(200mL)中のメチル2-メチル-3-ニトロベンゾエート(14.0g、71.7mmol)とN-ブロモスクシンイミド(15.3g、86.1mmol)の撹拌混合物を、2cm離れた位置にある100Wバルブでフラスコを照らしながら、穏やかに還流させて15時間加熱した。該混合物を濾過し、固体を塩化メチレン(50mL)で洗浄した。濾液を水(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、8/2)で精製すると、19g(96%)の生成物が黄色の固体として得られた: mp 70.0〜71.5℃;
【化2】
【0334】
t-ブチルN-(1-オキソ-4-ニトロイソインドリン-2-イル)-L-グルタミン
トリエチルアミン(2.9g、28.6mmol)をテトラヒドロフラン(90mL)中のメチル2-ブロモメチル-3-ニトロベンゾエート(3.5g、13.0mmol)とL-グルタミンt-ブチルエステル塩酸塩(3.1g、13.0mmol)の撹拌混合物に滴加した。該混合物を24時間加熱還流させた。冷却した混合物に、塩化メチレン(150mL)を添加し、該混合物を水(2×40mL)、ブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン中の3%CH
3OH)で精製すると、2.84g(60%)の粗生成物が得られ、これを次の反応で直接使用した:
【化3】
【0335】
N-(1-オキソ-4-ニトロイソインドリン-2-イル)-L-グルタミン
塩化水素ガスを5℃のt-ブチルN-(1-オキソ-4-ニトロ-イソインドリン-2-イル)-L-グルタミン(3.6g、9.9mmol)の塩化メチレン(60mL)撹拌溶液中に1時間バブリングした。その後、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。エーテル(40mL)を添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。スラリーを濾過し、エーテルで洗浄し、乾燥させると、3.3gの生成物が得られた:
【化4】
【0336】
(S)-3-(1-オキソ-4-ニトロイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン
無水塩化メチレン(150mL)中のN-(1-オキソ-4-ニトロイソインドリン-2-イル)-L-グルタミン(3.2g、10.5mmol)の撹拌懸濁混合物をイソプロパノール/ドライアイス浴で-40℃に冷却した。塩化チオニル(0.82mL、11.3mmol)を該冷却混合物に滴加し、その後、ピリジン(0.9g、11.3mmol)を滴加した。30分後、トリエチルアミン(1.2g、11.5mmol)を添加し、混合物を-30〜-40℃で3時間撹拌した。該混合物を氷水(200mL)に注ぎ入れ、水層を塩化メチレン(40mL)で抽出した。該塩化メチレン溶液を水(2×60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、固体残渣を酢酸エチル(20mL)でスラリー化させると、2.2g(75%)の生成物が白色の固体として生じた: mp 285℃;
【化5】
【0337】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン
メタノール(600mL)中の(S)-3-(1-オキソ-4-ニトロイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(1.0g、3.5mmol)と10%Pd/C(0.3 g)の混合物を、Parr-Shaker装置中、50psiの水素で5時間水素化した。混合物をセライトに通して濾過し、濾液を真空中で濃縮した。固体を熱い酢酸エチル中で30分間スラリー化させ、濾過し、乾燥させると、0.46g(51%)の生成物が白色の固体として得られた: mp 235.5-239℃;
【化6】
【0338】
3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンは、例えば、その全体が引用により組み込まれている、Drugs of the Future, 2003, 28(5): 425-431に提供されているような、当技術分野で公知の方法によって調製することもできる。
【0339】
(6.2 4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1H-イソインドール-1,3-ジオン(ポマリドマイド)の調製)
4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1H-イソインドール-1,3-ジオンの調製は、例えば、その各々の全体が引用により組み込まれている、米国特許第7,812,169号及び第7,709,502号に記載されている。
【0340】
カルボキシベンジルオキシ-L-グルタミン(2.8g、10mmol)の40mLの無水THF撹拌溶液中に、1,1-カルボニルジイミダゾール(1.92g、12mmol)を添加した。反応混合物を還流下で18時間加熱した。THFを蒸発させ、生成物をクロロホルムに溶解させた。クロロホルム層を水及びブラインで洗浄し、無水CaSO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させると、白色の固体が生じた。該固体生成物をエチルエーテルから結晶化させると、2.4グラムの結晶性粉末(90%)が生じた。(或いは、カルボキシベンジルオキシ-L-グルタミンを、N,N-ジメチルホルムアミド中のSOCl
2で-70℃〜0℃で1時間処理することにより環化させて、生成物を形成させることができる)。反応混合物をCHCl
3で希釈し、5%Na
2CO
3で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させると、2.5g(90%収率)のS(-)-(3-ベンジルオキシカルボニルアミノ)-グルタルイミド)が生じた。
【化7】
【0341】
S(-)-(2-ベンジルオキシカルボニルアミノ)グルタルイミド(1.2g、4.6mmol)の15mLの氷酢酸溶液中に、8mLの30%HBr/酢酸溶液を20℃で添加した。反応混合物の温度をRTにまで上昇させ、1時間撹拌した。S-(-)-2-アミノ-グルタルイミドHBrの白色の固体粉末が反応混合物中に出現し始めた。該固体を濾過し、5mLの氷酢酸、その後、エーテルで洗浄すると、1.8g(80%)の生成物が生じた。偏光計での生成物の分析から、(-)旋光、[a]
25D(c=1、水)=-37.5°が示され、該生成物がS-(-)-2-アミノ-グルタルイミドであることが確認された。DMSO-D
6中の
1H NMRから、該生成物が2-アミノ-L-グルタルイミドHBrであることが確認された。
【0342】
(4.18g、20mmolのS-(-)-2-アミノ-グルタルイミドHBrの50mLの無水DMF溶液中に、3.8 g(20mmol)の無水3-ニトロフタル酸を添加した。100mLの(氷)酢酸を添加した後、反応混合物を約70℃〜約80℃で約24時間加熱した。その後、溶媒を真空下で蒸発させると、オフホワイト色の固体が生じた。10mLのエチルアルコールを該固体に添加すると、オフホワイト色の粉末生成物が形成された。該生成物を分離し、20mLのエチルアルコールで洗浄した。
【化8】
【0343】
4-ニトロ-サリドマイド(1g、3.3mmol)を50mLのジオキサン/メタノールの4:1混合物に溶解させ、Parr水素化装置中、40psiの水素で、Pd/C 5%触媒の存在下で、約4時間水素化した。反応混合物をセライト濾過剤に通して濾過した後、溶媒を真空下で蒸発させると、黄色の粉末が生じた。生成物を酢酸エチル/ジオキサンから再結晶化させると、800mg(85%純度)のS(-)-4-アミノ-サリドマイドが生じた。
【化9】
絶対配置を、(R)-及び(S)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1H-イソインドール-1,3-ジオンの比旋光度[a]
25Dを類似の化合物であるR(+)-及びS(-)-サリドマイドと比較して決定した。偏光計での生成物の分析から、(-)旋光、[a]
25D(C=0.5、ジオキサン)=-27.70°が示され、該生成物が、S(-)-4-アミノ-2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1H-イソインドール-1,3-ジオンであることが確認された。
【0344】
2つのエナンチオマーをキラルHPLCカラムWelk-01(10mm×750mm)で分割し、CH3CN/MeOH/H20の1:1:5混合物で溶出させた。2mL/分の流速で、240nmで、それぞれ、S(-)エナンチオマーの保持時間は33.74分、R(+)エナンチオマーの保持時間は35.62分であった。
【0345】
(6.3 3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(化合物B)の調製)
水酸化カリウム(16.1g、286mmol)の水(500mL)溶液に、3-ニトロフタルイミド(25.0g、130mmol)を少しずつ0℃で添加した。懸濁液を0℃で3時間撹拌し、その後、30℃まで3時間加熱した。該溶液に、HCl(100mL、6N)を添加した。得られた懸濁液を0℃まで1時間冷却した。該懸濁液を濾過し、冷水(2×10mL)で洗浄すると、3-ニトロ-フタルアミド酸が白色の固体(24.6g、90%収率)として得られた:
【化10】
【0346】
水(118mL)中の3-ニトロ-フタルアミド酸(24.6g、117mmol)と水酸化カリウム(6.56g、117mmol)の混合物に、水(240mL)中の臭素(6mL)と水酸化カリウム(13.2g、234mmol)の混合物を0℃で添加し、次いで、水酸化カリウム(19.8g、351mmol)の水(350mL)溶液を添加した。0℃で5分後、該混合物を100℃の油浴中で1時間加熱した。反応溶液を室温に冷却し、その後、氷水浴中で30分間冷却した。該混合物に、HCl(240mL、2N)溶液を0℃で滴加し、得られた混合物を1時間保持した。該懸濁液を濾過し、水(5mL)で洗浄すると、2-アミノ-6-ニトロ-安息香酸が黄色の固体(15.6g、73%収率)として得られた: HPLC: Waters Symmetry C
18、5μm、3.9×150mm、1mL/分、240nm、CH
3CN/0.1%H
3PO
4、5分かけて5%勾配〜95%、5.83分(85%);
【化11】
【0347】
無水酢酸(15mL)中の2-アミノ-6-ニトロ-安息香酸(1.5g、8.2mmol)の混合物を、200℃で30分間、マイクロ波オーブン中で加熱した。該混合物を濾過し、酢酸エチル(20mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。固体をエーテル(20mL)中で2時間撹拌した。懸濁液を濾過し、エーテル(20mL)で洗浄すると、2-メチル-5-ニトロ-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-4-オンが淡褐色の固体(1.4g、85%収率)として得られた:HPLC: Waters Symmetry C
18、5μm、3.9×150mm、1mL/分、240nm、CH
3CN/0.1%H
3PO
4、5分で5%勾配〜95%、5.36分(92%);
【化12】
【0348】
5-ニトロ-2-メチル-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-4-オン(0.60g、2.91mmol)と3-アミノ-ピペリジン-2,6-ジオン塩化水素(0.48g、2.91mmol)のピリジン(15mL)懸濁液を各々含む2本のバイアルを、170℃で10分間、マイクロ波オーブン中で加熱した。該懸濁液を濾過し、ピリジン(5mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮した。得られた混合物を、HCl(30mL、1N)、酢酸エチル(15mL)、及びエーテル(15mL)中で2時間撹拌した。該懸濁液を濾過し、水(30mL)及び酢酸エチル(30mL)で洗浄すると、暗褐色の固体が得られ、これをメタノール(50mL)とともに室温で一晩撹拌した。該懸濁液を濾過し、メタノールで洗浄すると、3-(2-メチル-5-ニトロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンが黒色の固体(490mg、27%収率)として得られた。該固体をさらに精製することなく次の工程で使用した。
【0349】
DMF(40mL)中の3-(2-メチル-5-ニトロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(250mg)とPd(OH)
2炭素(110mg)の混合物を水素(50psi)下で12時間振盪させた。該懸濁液をセライトのパッドに通して濾過し、DMF(10mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、得られた油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、メタノール/塩化メチレン)で精製すると、3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオンが白色の固体(156mg、69%収率)として得られた: HPLC: Waters Symmetry C
18、5μm、3.9×150mm、1mL/分、240nm、10/90 CH
3CN/0.1%H
3PO
4、3.52分(99.9%); mp:293〜295℃;
【化13】
【0350】
(6.4 直接的な化合物標的の同定)
サリドマイド及び他の関連薬物の直接的な標的を同定するために、本発明者らは、親和性精製技術を開発している。Affigel-10(Affigel 1mg当たり10μmolの薬物)にカップリングさせた化合物対照(「化合物A」)を親和性精製実験に用いた。
【化14】
【0351】
化合物A-Affigelへの結合、次いで、遊離の化合物Aを用いた溶出により、タンパク質をJurkat T細胞ライセートから単離した。クマシー染色したバンドを切り出し、配列解析のためにHarvard Microchemistry Facilityに送付した。タンパク質をタンパク質分解により消化し、マイクロキャピラリー逆相HPLCナノ-エレクトロスプレータンデム質量分析により、Finnigan LCQ DECA四重極イオントラップ質量分析計で分析した。MS/MSスペクトルを、アルゴリズムSequest及び他のプログラムを用いて既知の配列と関連付け、その後、ペプチド配列を、既知のタンパク質とのコンセンサスについて科学者が精査し、結果を忠実度について手作業で確認した。
【0352】
結果のまとめ: DDB1(DNA損傷結合タンパク質1(XPCE、ヒト))を、化合物A固定化ビーズを用いて、Jurkat抽出物から親和性精製した。DDB1は、例えば、最も代表的な第二のタンパク質であるグリコーゲン分岐酵素(55ペプチド)と比べて、溶出画分中で極めて代表的なものであった(108ペプチド)。DDB1はCRBNと直接相互作用し、CRBNへのその結合によってプルダウンされた可能性がある。
【0353】
(6.5 CRBN siRNAは、感受性多発性骨髄腫細胞株においてCRBNをノックダウンした)
レナリドマイドMOAにおけるセレブロン(CRBN)の役割を、2つのレナリドマイド感受性多発性骨髄腫細胞株、H929及びU266B1におけるノックダウン実験を用いて確認した。CRBNの下方調節は、薬物誘導性の細胞周期停止、腫瘍抑制因子の活性化、腫瘍遺伝子の阻害、並びに遺伝子発現プロファイル及びユビキチン化の全体的変化を抑制することが分かった。
【0354】
CRBNに対する10種の異なる単一及びプールsiRNAをH929細胞及びU266B1細胞で評価した。RT-PCRを用いて、24及び48時間のトランスフェクション後のノックダウン効率を検討した。これらの結果から、CRBN-siRNA-1、CRBN-siRNA-7、CRBN-siRNA-9、CRBN-siRNA-10、及びCRBN-siRNA-11が、他のsiRNA及び模擬siRNAと比べて、CRBN mRNAの発現を有意に低下させることが示された(表1)。
【表1】
【0355】
(6.6 CRBNのノックダウンは、多発性骨髄腫細胞における薬物の抗増殖効果を抑制する)
レナリドマイド及びポマリドマイドなどの薬物は、G1期での細胞周期停止と、その後の生存能力の低下を誘導することにより、MM細胞に対する直接的な抗増殖活性を有する。レナリドマイド及び他の薬物の抗増殖活性におけるCRBNの役割を調べるために、H929細胞及びU266B1細胞という2つの感受性骨髄腫株に、CRBN-siRNA又は対照siRNAを、24、48、72、及び96時間トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞をDMSO(0.1%)、ポマリドマイド(1μM)、及びレナリドマイド(10μM)で、1、2、3日間処理し、CRBNタンパク質、mRNA発現に対する化合物の効果、並びに細胞周期及び増殖に対する効果を評価した。RT-PCR及びウェスタンブロットアッセイから、CRBN siRNAがCRBNをノックダウンすることが示された。CRBNの下方調節は、RT-PCR、及びCRBN70抗体を用いたウェスタンブロットにより確認された(
図1)。レナリドマイド及びポマリドマイドによる処理は、CRBNのmRNA発現にも、タンパク質発現にも、それほど影響を及ぼさなかった。
【0356】
レナリドマイド及びポマリドマイドは、対照模擬物及び陰性対照siRNAをトランスフェクトした細胞において、S期の細胞の数の減少として測定される、それぞれ、40%及び50%の細胞周期進行の遅延を誘導した(3日間の処理の平均阻害)(
図2A及び2B)。CRBNのノックダウンは、U266B1細胞において、レナリドマイド及びポマリドマイドによって誘導される細胞周期進行の遅延を顕著に抑制した(同上)。
【0357】
H929細胞におけるCRBNの効果も評価した。H929細胞に、模擬物、陰性対照siRNA、及びCRBN-siRNA-7を、24、48、72、及び96時間トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を、DMSO(0.1%)、ポマリドマイド(1μM)、レナリドマイド(10μM)、又は3-(5-アミノ-2-メチル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ピペリジン-2,6-ジオン(「化合物B」)で、1、2、3日間処理し、細胞周期及び増殖に対する効果を調べた。レナリドマイド、ポマリドマイド、及び化合物Bは、72時間の処理の後、対照模擬物及び陰性対照siRNAをトランスフェクトした細胞において、S期の細胞の数の減少として測定される細胞周期進行の遅延を誘導した(
図2C)。CRBNのノックダウンは、H929細胞において(
図2C)、免疫調節薬によって誘導される細胞周期進行の遅延を、レナリドマイドについては50%から4%へ、ポマリドマイドについては70%から15%へ、及び化合物Bについては65%から22%へと顕著に抑制した。
【0358】
(6.7 CRBNのノックダウンは、薬物の細胞周期、腫瘍抑制因子、及びアポトーシスタンパク質に対する効果を抑制した)
薬物によって誘導される細胞周期停止に対するCRBNの効果をさらに調べるために、本発明者らは、RT-PCR及びウェスタンブロット解析を用いて、重要な細胞周期及びアポトーシス調節因子のレベルを測定した。U266B1細胞に、模擬物、陰性対照siRNA、CRBN-siRNA-7、及びCRBN-siRNA-11を、24、48、72、及び96時間トランスフェクトした(
図3A)。トランスフェクションの24時間後、細胞を、DMSO(0.1%)、ポマリドマイド(1μM)、及びレナリドマイド(10μM)で、1、2、3日間処理し、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害因子p21
WAF-1のmRNA及びタンパク質レベルに対する効果を評価した。レナリドマイド及びポマリドマイドによって誘導される細胞周期停止は、U2669におけるp21
WAF-1の上方調節に依存的であることが示された。本発明者らの結果から、p21が、対照模擬物及び陰性対照siRNAをトランスフェクトした細胞において、レナリドマイド及びポマリドマイドによって上方調節されることが示され(
図3C)、これにより、S期細胞の減少が、レナリドマイド及びポマリドマイドによるG1停止によって起こることが示された(
図3B)。しかしながら、CRBNのノックダウンは、p21
WAF-1の誘導を妨げ、これにより、良好なG1停止の抑制及びS期進行の再開が示された(
図3C及び3D)。
【0359】
H929細胞において、薬物によるG1期での細胞周期停止は、腫瘍抑制因子pRbのリン酸化、並びに腫瘍遺伝子及び骨髄腫生存因子IRF4の低下と同時に起こる。ウェスタンブロット解析から、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び化合物Bが、pRBのリン酸化(
図4A及び4B)、並びにタンパク質IRF4の全レベル(
図4C及び4D)を減少させることが示された。これらの薬物の効果は、CRBNのノックダウンによって低下し、これにより、これらの薬物による細胞周期進行の阻害がCRBNタンパク質を必要とすることが示唆された。
【0360】
(6.8 CRBNのノックダウンは、遺伝子発現に対するレナリドマイド及びポマリドマイドの効果を阻害する)
マイクロアレイ技術を用いた遺伝子発現プロファイルから、DMSO処理した対照と比べて、ポマリドマイド(1μM)又はレナリドマイド(10μM)で処理した、陰性対照siRNAをトランスフェクトしたU266B1細胞において示差的に調節される759又は609個の遺伝子が同定された(±1.7倍; P<0.05 ANOVA p値)(
図5A及び5B)。
【0361】
ポマリドマイドにおける下方調節遺伝子の代表的で重要な遺伝子オントロジー(GO)クラスとしては:細胞周期(87遺伝子;P=5.2E-56)、有糸分裂(43遺伝子;P=1.2E-39)、細胞骨格(58遺伝子;P=2.6E-16)、及びDNA損傷刺激に対する応答(36遺伝子;P=1.8E-21)が挙げられる。上方調節遺伝子の代表的で重要な遺伝子オントロジー(GO)クラスとしては:抗原プロセシング及び提示(12遺伝子;P=2.8E-17)、免疫応答(35遺伝子;P=5.70E-14)、及び細胞死(50遺伝子;P=1.7E-10)が挙げられる。
【0362】
レナリドマイドにおける上方調節遺伝子の代表的で重要な遺伝子オントロジー(GO)クラスとしては:抗原プロセシング及び提示(11遺伝子;P=1.9E-16)、免疫応答(37遺伝子;P=3.9E-13)、及び細胞死(55遺伝子;P=1.0E-10)が挙げられる(表4及び5)。U266における細胞周期及び遺伝子発現プロファイルに対するレナリドマイド及びポマリドマイドの効果は、4つの異なるsiRNAを用いたCRBNのノックダウンによって抑制された(
図5A〜5C)。
【0363】
(6.9 CRBNレベルは、レナリドマイド又はポマリドマイドに抵抗性の多発性骨髄腫細胞で減少している)
レナリドマイドベースの療法の開発によって、臨床応答が顕著に改善されているが、ほとんどの多発性骨髄腫患者は、結局、再発するか、又はその治療レジメンに不応性になる。レナリドマイド抵抗性に関与する潜在的機構を評価するために、レナリドマイドの抗増殖効果に抵抗性の多発性骨髄腫細胞株が開発されている。
【0364】
レナリドマイド、ポマリドマイド、及び他の免疫調節剤の抗増殖応答に対するCRBNの重要性のために、CRBNタンパク質のレベルを、マッチした親感受性株のペアにおいて、レナリドマイド又はポマリドマイド抵抗性を獲得した細胞と比較した。CRBNが、レナリドマイド及びポマリドマイドの抗増殖活性に必要であることと一致して、CRBNタンパク質のレベルは、マッチした親株と比べて、ポマリドマイド抵抗性細胞株のDF15R及びレナリドマイド抵抗性細胞のH929 R10-1、H929 R10-2、H929 R10-3、H929 R10-4、及びMM1/Rにおいて有意に低かった(表2)。
【表2】
【0365】
(6.10 ヒト細胞株及び初代細胞由来のCRBN、DDB1、及びGSK3のゲノムDNAシークエンシング)
標的遺伝子CRBN、DDB1、及びGSK3Bを種々のヒト細胞株及び初代細胞からシークエンシングした。CRBN遺伝子のシークエンシングにより、親細胞には存在しないレナリドマイド抵抗性ヒト細胞株中の突然変異が同定された。
【0366】
配列エンリッチメント、NexGenシークエンシング、及びデータ解析から、下の表3〜6に示す結果が得られた。各表には、データが得られた細胞株が記載されている。参照ヌクレオチドは、その位置の野生型ヌクレオチドを表す。「被覆率」は、その位置での読取りの総数を表す。全体の突然変異スコア(「スコア」)は、Phredスコアの概念に基づいており、最大値30は、突然変異コールが誤りである確率が1/1000であり;20は、該確率が1/100であり;かつ10は、該確率が1/10である。しかしながら、スコアは、突然変異が高い確率で偽の突然変異であるということを必ずしも意味するものではない。低いスコアは、突然変異を、絶対的な確実さでは、真の突然変異と呼ぶことができないことを示唆するに過ぎない。「突然変異コール」は、ヌクレオチド変化を示す。例えば、T>TGは、基準となるTからT及びGへのヘテロ接合変化を示す。T>Gは、基準となるTからGへのホモ接合変化を示す。「c.」という用語は、コード配列を指し、一方、「IVS」は、イントロン変異体を指す。「アミノ酸変化」の列は、「突然変異コール」の列と同様の表記法を使用している。
【0367】
結果
27細胞株の大規模配列解析において、エキソン突然変異よりも多くのイントロン突然変異が見出された。多発性骨髄腫細胞株のANBL-6は、野生型では見られない、レナリドマイド抵抗性株のCRBN中の突然変異を示した。ANBL-6.wtをDMSOのみで処理すると、CRBNコード配列は、参照と正確に一致した。しかしながら、10μMレナリドマイドに対する抵抗性を有するANBL-6.R10Rでは、コード領域中のSNPであるc.745C>CAが、タンパク質のアミノ酸変化249D>YDを生じさせた。このアミノ酸変化は、CRBNのDDB1結合ドメインに位置した。
【0368】
HepG2及びJeKo-1のCRBNコード領域中に見出されるサイレント突然変異は、ヘテロ接合のc.735A>AGであり、KMS-12-BMでは、ホモ接合のc.735A>Gであった。細胞株OPM2は、CRBNのコード領域中に異なるサイレント突然変異、c.1209C>CTを有していた。これらのSNPによって生じるアミノ酸変化はなかった。
【0369】
DDB1についてのシークエンシングの結果から、ANBL-6.wt細胞株とANBL-6.R10R細胞株の両方においてアミノ酸変化303E>EDを生じさせるコード領域中のSNP c.909T>TAが明らかになった。異なるSNPは、アミノ酸配列を715V>VIに変化させるDDB1コード領域中の突然変異c.2143C>CTとして、Jurkat細胞株で見出された。
【0370】
ANBL-6.wt、ANBL-6.R10R、及びSH-SY5YのDDB1コード領域中にc.153G>GAとして見出されるサイレント突然変異は、アミノ酸配列を変化させなかった。健常ドナー由来のPBMCの試料も、アミノ酸配列を変化させないDDB1コード領域中のサイレント突然変異c.2265G>GAを有していた。
【0371】
1つのGSK3β突然変異がPMBC試料で見出された。コード領域中の突然変異c.1187C>CTは、アミノ酸変化396R>RQを生じさせた。この突然変異は、キナーゼドメインに位置しなかった。他の突然変異を表11に示す。これらのほとんどは、低い被覆率を有する。これは、これらの領域を標的とするプライマー及び/又はシークエンシングエラーが原因である可能性がある。
【0372】
CRBN、DDB1、及びGSK3-βの中に、これらのMM細胞株のレナリドマイド又はポマリドマイドに対する抵抗性と相関する一貫した突然変異がないことが分かったが、レナリドマイド抵抗性ANBL-6 MM細胞で観察された249D>YD CRBN突然変異などの散発性突然変異は、臨床状況でそのような遺伝子中に生じ得、かつ抵抗性のメカニズムを構成し得る多型のタイプを例示するものである。この仮説を確認又は否定するためには、さらなる研究が必要であろう。
【表3】
【0373】
【表4】
【0374】
【表5】
【0375】
【表6】
【0376】
(6.11 薬物とユビキチンプロテアソーム系の関係の検討)
ポリユビキチン鎖に対する特異的抗体を用いて、免疫調節薬の全体的なユビキチン化レベルに対する効果を検討した。H929細胞を、レナリドマイド(1μM)、ポマリドマイド(1μM)、又はプロテアソーム阻害剤MG132で処理した。30分後、細胞を免疫蛍光のために処理した。K63関連のポリユビキチン化の全体的なレベルをCellomicsで定量した。
図7A及び7Bに示すように、免疫調節薬は、H929において、K48関連の全てのポリユビキチン化を減少させるが、K-63関連のユビキチン化を減少させない。
【0377】
(6.12 薬物のユビキチン化及びタンパク質存在量の全体的変化に対する効果の検討)
レナリドマイド及びポマリドマイドのタンパク質ユビキチン化に対する効果を、CST Ubiscan技術を用いて調べた。処理した試料をユビキチン化ペプチドの濃縮及びLC/MS/MSによる定量のためにCell Signaling Technologyに送付した。生の強度をこの解析に用いて、薬物、又はプロテアソーム阻害剤MG132と併用した薬物によって顕著に調節されるペプチドを同定した。解析から、MG132と比べて、レナリドマイド及びポマリドマイドのユビキチン化ペプチドに対する効果が小さいことが示された。MG132との組合せでは、(その対照と比べて)より多くのユビキチン化ペプチドが観察された。162個の独特のユビキチン化ペプチドが、レナリドマイド及びポマリドマイド単独によって、又はMG132との併用で、1時間又は4時間で顕著に上方調節された。これらのペプチドは、176個の独特のタンパク質に相当する。上位のいくつかのグループは、以下のものである:ヌクレオソーム、クロマチン、タンパク質-DNA複合体アセンブリ、ヒストンH2A。176個のタンパク質の中で、本発明者らは、「ユビキチン-タンパク質リガーゼ活性」のカテゴリーに属する5つのタンパク質を見出した。それらは、MDM2、HERC2、UBE2D3(ポマリドマイドのみによる)、UBE2N(レナリドマイドのみ)、UBE2M(両方)である。条件により分類されたヒットの結果を
図8及び9(MG132と併用しないもの)及び
図10及び11(MG132と併用するもの)に示す。
【0378】
(6.13 初代T細胞における薬物誘導性TNFα及びIL-2に対するCRBNノックダウン効果)
これらの検討では、ヒトT細胞を血液から単離し、1μg/mlのPHA-Lで37℃で処理した。24時間の刺激の後、T細胞を、表示されたsiRNAによるsiRNAトランスフェクションに供した。24時間のトランスフェクションの後、ノックダウン効率をqRT-PCRで解析し、残りのトランスフェクト細胞を、OKT3を予め結合させておいた96ウェルプレートに播種し、DMSO、又は1及び10μMのサリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及びフタルイミドで、二連で37℃で48時間処理した。48時間後、上清を収集し、TNFα及びIL-2産生についてELISAで試験した(
図12A〜12D)。このデータは、CRBNのsiRNAノックダウンが、抗CD3で刺激した初代ヒトT細胞における薬物誘導性のTNFα及びIL-2産生を抑制することを示している。
【0379】
(6.14 Cul4AとCul4Bを一緒にノックダウンすると、T細胞におけるレナリドマイド、ポマリドマイド、又は化合物B誘導性のTNFα及びIL-2誘導が一部抑制される)
薬物処理前のCul4Aノックダウン効率を測定した。Cul4A遺伝子発現は、Cul4A siRNA-1及びCul4A+Cul4B siRNAによって、それぞれ、82%及び76%ノックダウンされた(
図13A)。Cul4B遺伝子発現は、Cul4B及びCul4A+Cul4B siRNAによって、それぞれ、70%及び63%抑制された。Cul4A又はCul4Bの個別のノックダウンは、10μMのレナリドマイド、ポマリドマイド、又は化合物Bによって誘導されるT細胞のTNF-α又はIL-2産生に対して全く効果がなかった(
図13B及びC)。しかしながら、Cul4AとCul4Bのダブルノックダウンは、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び化合物Bによる化合物誘導性TNF産生の上昇の、有意ではあるが、部分的な逆転をもたらした(
図13B)。Cul4AとCul4Bがノックダウンされると、IL-2誘導が逆転する傾向がある(
図13C)。これらのデータは、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び化合物Bによって媒介されるT細胞共刺激がCul4A及びCul4Bの発現に依存的であること、及びこれらのタンパク質がT細胞において重複する機能を果たしていることを示唆している。
【0380】
(6.15 リンパ腫細胞におけるCRBN発現及びレナリドマイドに対する感受性)
ベースラインCRBN発現と対比したレナリドマイドの抗増殖活性をびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)細胞株で調べた。以下のDLBCL細胞株:OCI-Ly10-NCI、U2932、OCI-Ly-3、DB、RIVA、TMD8、Toledo、OCI-Ly-19、Pfeiffer、WSU-DLCL2、Karpas-1106P、及びSU-DHL-4を、レナリドマイドに対する感受性について評価した。結果を
図14に示す。
【0381】
(6.16 CRBN-DDB1複合体の調製)
CRBNをpBV-ZZ-HT-LIC及びpBV-notag-LICにクローニングするためのプライマーを設計した。2つのプライマー、「CRBN_For」及び「CRBN_Rev」を調製した。
【化15】
【0382】
これらのプライマーを用いて、cDNAライブラリーからCRBN遺伝子を増幅させた。産物をゲル精製し、TTPのみの存在下でT4 DNAポリメラーゼで処理し、ライゲーション非依存的クローニングに適合する一本鎖末端を作製した。その後、CRBN DNAをpBV-ZZ-HT-LICにアニールさせて、CRBN_034を作製した(
図15A)。
【0383】
DDB1については、2つのプライマー、「DDB1_For」及び「DDB1_Rev」を調製した。
【化16】
【0384】
DDB1_Revは、DDB1のC末端にStrepTagを付加する。DDB1遺伝子をcDNAライブラリーから増幅させ、ゲル精製し、TTPの存在下でT4ポリメラーゼで処理した。その後、DDB1遺伝子をpBV-notag-LICにアニールさせて、プラスミドDDB1_004を作製した(
図15B)。
【0385】
バキュロウイルスにおけるコンストラクトの発現、及び精製
コンストラクトを昆虫細胞内での発現について試験した。組換えpBV-HT-LIC及びpBV-GST-LICプラスミドをDH10Bacに形質転換して、バクミド(bacmid)を産生した。組換えの完全性は、ブルー-ホワイトスクリーン及びPCRによって追跡調査された。これらの組換えバクミドを用いて、1ウェル当たり9×105個のSf9接着細胞を無血清Grace培地中でトランスフェクトした。トランスフェクション後、抗生物質及びグルタミンを含む新鮮なGrace培地を添加した。
【0386】
感染後、顕微鏡下で細胞単層を観察した。5〜7日後、上清を保存し(P1ウイルス)、ペレットを組換えタンパク質発現について解析した。ウイルス増幅は、1ウェル当たり4mlの2×106 Sf9細胞/mlを含む24ディープウェルプレート中で行なわれた。アリコートを取り出し、タンパク質発現の反応速度を評価した。4日後、プレートを遠心分離し、上清を保存し(P2ウイルス)、ペレットを、タグ化タンパク質のミニスケール精製によって解析した。最終的に、ウイルスを、抗生物質及びグルタミンを含む750mlのGrace培地中で増幅させ、上清をP3ウイルスとして保存した。ペレットを保存し、Amersham Biosciences社製のAKATxpress又はAKTA purifierのどちらかを用いて精製した。
【0387】
精製
CRBN-DDB1を含む細胞ペーストを、50mM Tris pH 8.0、500mM NaCl、20mMイミダゾール、10%グリセロール、及び2mM DTT、並びにプロテアーゼ阻害剤を含むバッファー中で溶解させた。その後、ライセートを遠心分離により清澄化した。その後、タグ化タンパク質を、Amersham Biosciences社製のAKTA Expressを用いて、上清から精製した。5ml HisTrap HPカラムを親和性工程に使用し、一方、16mm×60cm Sephacryl S-200 HRをサイズ排除工程に使用した。カラムに充填した後、カラムを20容量の溶解バッファーで洗浄し、その後、10カラム容量の50mM Tris pH 8.0、1000mM NaCl、40mMイミダゾール、10%グリセロール、及び2mM DTTで洗浄した。結合したタンパク質の溶出を、500mMイミダゾールを含む溶解バッファーを用いて実施した。溶出されたタンパク質を、25mM Tris pH 8.0、200mM NaCl、5%グリセロール、及び2mM DTTで平衡化したゲル濾過カラムに直接注入した。画分を4〜20%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により解析した。
【0388】
CRBNとDDB1の両方を含む画分をプールし、トロンビンで消化して、CRBNからZZ-HTタグを取り除いた。消化は、4℃で5〜6時間、1:2000(重量/重量)のトロンビン及びCRBN-DDB1を用いて実施した。切断されたCRBN-DDB1を25mM Tris pH 8.0、5%グリセロール、及び2mM DTTに希釈し、25mM Tris pH 8.0、75mM NaCL、5%グリセロール、及び2mM DTT中で平衡化した8ml MonoQカラム(Amersham-Pharmacia社)に充填した。充填後、カラムを2容量の25mM Tris pH 8.0、75mM NaCl、5%グリセロール、及び2mM DTTで洗浄し、結合したタンパク質を、75mMから400mMへの勾配を用いて、25mM Tris pH 8.0、5%グリセロール、及び2mM DTT中で溶出させた。
【0389】
最終的なゲル濾過を行なって、CRBN-DDB1複合体を精製した。MonoQからプールされた画分を140ml S200HRゲル濾過カラムに充填し、25mM Tris pH 8.0、200mM NaC、5%グリセロール、及び2mM DTT中を移動させた。画分を解析し、陽性画分をプールし、約15mg/mlにまで濃縮した。アリコートを-80℃で貯蔵した。
【0390】
(6.17 Ubiscanユビキチン化実験)
1時間及び4時間のユビキチン化実験の結果を
図17〜22に示す。これらの図は、特定のペプチドが、レナリドマイド及び/又はポマリドマイドによって調節されることを示している。
【0391】
図23の表は、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び化合物BについてのUbiscanデータの結果を示している。Ub-タンパク質のIKZF3、RPL19、PCM1、及びNEDD8は、U266ではRev及びPomにより、T細胞では化合物Bにより、共通して大量に増加した。タンパク質GNB2L1及びHNRNPRは、U266ではRev及びPomにより、T細胞では化合物Bにより、共通して大量に減少した。
【0392】
化合物BによるT細胞の処理により、(DMSO対照と比べて)より多い量の2つのユビキチン化ペプチド、SECTM1及びZC3H15が得られた。
【0393】
レナリドマイドとポマリドマイドと化合物Bで共通するタンパク質: IKZF3、RPL19、PCM1、NEDD8、GNB2L1、及びHNRNPR。
【表7】
【0394】
【表8】
【0395】
【表9】
【0396】
【表10】
【0397】
(6.18 活性化B細胞様サブタイプのDLBCLにおけるレナリドマイドの効力は、IRF4及びCRBNの発現に依存的である)
(細胞増殖アッセイ)
3H-チミジン取込みアッセイを用いて細胞増殖を評価した。簡潔に述べると、対数的に成長するDLBCL細胞を、96ウェル培養プレート中で、表示された濃度のレナリドマイド又はDMSO対照を含む完全培地に入れて培養した。37℃で5日間のインキュベーションの後、1μCiの
3H-チミジン(GE Healthcare Biosciences社, Piscataway, NJ)を、各ウェルに、インキュベーションの最後の5時間添加した。その後、細胞を、セルハーベスター(Tomtec社, Hamden, CT)を用いて、UniFilter GF/Cフィルタープレート(PerkinElmer社, Waltham, MA)上に回収し、該プレートを一晩乾燥させておいた。その後、各ウェルの
3H-チミジン取込みを、TopCount NXTマイクロプレートシンチレーション・ルミネッセンスカウンター(Packard BioScience社, Meriden, CT)を用いて測定した。細胞増殖の阻害パーセントを算出し、DMSO対照に対して正規化した。
【0398】
(タンパク質発現解析)
細胞を試験化合物又は0.1%DMSOで表示された時間処理した。インキュベーション後、細胞を収集し、遠心分離でペレット化し、10mM Tris-HCl pH 8.0、10mM EDTA、150mM NaCl、1%NP-40、0.5%SDS、1mM DTT、1mM Na
3VO
4に加え、完全プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Applied Science社, Indianapolis, IN)を含む0.1mlの溶解バッファー中で直ちに溶解させ、その後、Qiashredder(商標)(Qiagen社, Valencia, CA)で1分間処理し、ドライアイス上で凍結させた。試料を6×SDS試料バッファーで希釈し、その後、5分間煮沸した。1レーン当たり約30μlのこの混合物を、Criterion Precast 4〜12%Tris-HClゲル(Bio-Rad社, Hercules, CA)に充填し、電気泳動させ、ニトロセルロースメンブレン(Bio-Rad社, Hercules, CA)に転写した。該メンブレンを、ブロッキングバッファー(LI-COR Biosciences社, Lincoln, Nebraska)を用いて室温で1時間ブロッキングし、その後、BCL-10、IRF4、CRBN、又はβ-アクチンのいずれかに対する抗体とともに、4℃で一晩インキュベートした。メンブレンを洗浄し、IRDye二次抗体(1:30,000)とともに室温で1時間インキュベートした。その後、シグナル検出のために、Odyssey(登録商標)赤外線イメージングシステム及びソフトウェア(LI-COR Biosciences社, Lincoln, NE)を用いる、標準的なプロトコルに従った。
【0399】
(NF-κB活性アッセイ)
対数的に成長するDLBCL細胞を表示された試験薬剤で処理した。核抽出物を、核抽出物キット(Active Motif社, Carlsbad, CA)を用いて調製し、タンパク質濃度をビシンコニン酸アッセイ(Thermo Scientific社, Rockford, IL)により決定した。NF-κB活性の検出は、製造業者(Active Motif社)の指示に従って、感受性オリゴに基づく比色酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)法を用いて実施した。簡潔に述べると、DLBCL細胞の核抽出物を、1コピーのNF-κBコンセンサス結合配列を含む野生型DNAオリゴヌクレオチドがコーティングされた96ウェルプレートにハイブリダイズさせた。その後、結合したNF-κBタンパク質を、p50、p65(Rel A)、又はp70サブユニットに特異的な抗体で検出した。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートした二次抗体を添加し、その後、プレートを、分光光度法により、655nmの参照波長とともに450nmで読み取った。NF-κB活性をOD450/655nmに基づいて算出した。
【0400】
NF-κB駆動性ルシフェラーゼレポーター遺伝子アッセイのために、細胞に、pGL4.32[luc2P/NF-κB-RE/Hygro]プラスミド(Promega社, Madison, WI)を、製造業者のプロトコル(Amaxa Biosystems社, Gaithersburg, MD)に従って、NucleofectorキットV及びプログラム013を用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を試験薬剤で2日間処理し、Dual-Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社)を用いて、ライセートを調製した。各試料のルシフェラーゼ活性を、TopCount NXTマイクロプレートシンチレーション・ルミネッセンスカウンター(Packard BioScience社)を用いて測定した。
【0401】
(リアルタイム定量的逆転写酵素-PCR解析)
48時間の細胞処理の後、全RNAを、RNeasy(登録商標)ミニキットで、QiaCube(商標)システム(Qiagen社, Valencia, CA)を用いて精製した。25〜100ngの全RNAを用いたリアルタイム定量的RT-PCRを、標準的な方法(Applied Biosystems社)に従って、逆転写キット及び関心対象の遺伝子に特異的なTaqman(登録商標) PCRプローブを用いて実施した。産物の量を、内在性ハウスキーピング遺伝子としてのグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼに対して正規化した。遺伝子発現の増加倍率を、比較Ct法(2
-ΔΔCt)を用いて算出した。
【0402】
(IRF4の過剰発現及びノックダウンのためのエレクトロポレーション)
IRF4をノックダウンするために、Nucleofector(登録商標)キットVをトランスフェクションに用いて、細胞に、IRF4、CRBNに対するSilencer(登録商標) Select siRNA(低分子干渉RNA、Applied Biosystems社)、又はSilencer(登録商標) Select陰性対照siRNAを、0.2〜1μMの最終濃度でトランスフェクトした。IRF4過剰発現のために、上述のCell Line NucleofectorキットVを用いて、細胞に、IRF4-又は緑色蛍光タンパク質(GFP)-サイトメガロウイルス(CMV)発現プラスミド(OriGene Technologies社, Rockville, MD)を24時間トランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、細胞を、ルシフェラーゼアッセイ、RT-PCR遺伝子発現解析、及びウェスタンブロットの前に、レナリドマイドで2日間処理した。
【0403】
(ヒト腫瘍異種移植モデル)
雌のCB17重症複合免疫不全(SCID)マウス(6〜12週齢)をCharles River Laboratory(Wilmington, MA)から入手し、マイクロアイソレーターケージ内で滅菌条件下で維持した。100%Matrigel(Becton Dickinson社, San Jose, CA)中の合計10×10
6個のOCI-Ly10 DLBCL細胞をマウスの右脇腹に皮下注射した。マウスを、腫瘍の出現について、週に2又は3回モニタリングした。腫瘍が100〜150mgの平均サイズに達したら、各群の10匹のマウスを、ビヒクル(脱イオンH
2O中の0.5%カルボキシメチルセルロース:0.25%Tween 80)又は表示された用量のレナリドマイド(qd×28、p.o.)もしくは陽性対照ビンクリスチン(q4d×4、i.v.)のいずれかで処置した。マウスを健康状態及び腫瘍成長について毎日モニタリングした。全てのマウスの腫瘍をデジタルキャリパーで測定し、体積を以下の式で算出した:腫瘍体積(mm
3)=長さ(mm)×幅(mm)
2。腫瘍サイズが1000mm
3を超えた場合、マウスを屠殺した。
【0404】
(統計分析)
多重群比較のための解析を、一元配置分散分析と、その後のダネットの事後検定を用いて実施し、相関解析を、GraphPad Prism(登録商標)バージョン5.01(San Diego, CA)を用いる両側P値ピエソン検定を用いて実施した。P<.05の値を全ての解析において有意とみなした。
【0405】
(結果)
(6.18.1 ABC-DLBCL細胞は、非ABC-DLBCL細胞よりもレナリドマイドに対して感受性が高い)
特定の患者集団におけるDLBCL療法に対するレナリドマイドの位置を定義するために、及び効力の分子メカニズムを理解するために、この検討においてDLBCL細胞株のパネルを収集した。細胞株のDLBCLサブタイプを、文献情報(Lenz Gらの文献、Proc Natl Acad Sci U S A 2008; 105: 13520-5)、並びに細胞内NF-κB活性又はIRF4発現を含む分子解析、及び活性化B細胞の重要なシグナチャー遺伝子の遺伝子発現プロファイリングに基づいて確認した。
図24A〜24Cを参照されたい。DLBCL細胞株の細胞増殖は、0.01〜100μMの濃度範囲のレナリドマイドによる処理によって様々な程度に阻害されることが分かった。レナリドマイドは、PBML及びGCB-DLBCL細胞の増殖に対して最小限の効果しか有さなかったが、OCI-Ly3を除く、ABC-DLBCL細胞株の増殖を顕著に阻害した。
図24を参照されたい。レナリドマイド処理は、OCI-Ly10などの感受性細胞株のアポトーシスも誘導した。
図26を参照されたい。
【0406】
(6.18.2 レナリドマイドは、ABC-DLBCL細胞におけるIRF4発現を低下させる)
ABC-DLBCL細胞に対するレナリドマイドの分子メカニズムを理解するために、これらの細胞におけるIRF4発現に対するレナリドマイドの効果を調べた。1〜3日間のレナリドマイド処理により、U2932及びOCI-Ly10などの感受性細胞株では、IRF4タンパク質レベルが有意に下方調節されるが、非感受性株OCI-Ly3細胞ではそうならないことが分かった。
図27A〜Cを参照されたい。レナリドマイドによって誘導されるIRF4発現の減少は、早くも薬物処理1日で起こり、B細胞でのBCR関与によるNF-κB活性化に関与する2つの重要な酵素であるMALT1及びPKCβの阻害剤(それぞれ、zVRPR-fmk及びLY-333,531)の反応速度と同様の反応速度であった。OCI-Ly3細胞では、レナリドマイドも、PKCβ阻害剤も、1〜3日の処理の間、IRF4レベルに対する目に見える効果はなかった。しかしながら、MALT1阻害剤は、OCI-Ly3細胞でIRF4発現を抑制し、処理の2〜3日後に完全な阻害が観察された。まとめると、これらのデータは、レナリドマイドによって媒介されるIRF4発現の阻害が重要なメカニズムであり得、薬物に対する細胞感受性に関連するように見えることを示唆している。
【0407】
(6.18.3 レナリドマイドは、ABC-DLBCL細胞のCARD11-BCL-10-MALT1複合体活性を低下させる)
本発明者らのDNAシークエンシングデータから、レナリドマイド非感受性ABC-DLBCL株のOCI-Ly3には、コイルドコイルドメインをコードするエキソン内にCARD11の独特の点突然変異があるが、レナリドマイド感受性ABC-DLBCL株のOCI-Ly10、U2932、TMD8、及びRivaにはそれがないという以前の報告(Lenz, G.らの文献、Science 2008, 319: 1676-9)が確認された。
図28を参照されたい。この突然変異は、BCRシグナル伝達経路のCARD11-BCL-10-MALT1(CBM)複合体の構成的形成及び活性化を引き起こし、リンパ腫細胞におけるNF-κB過剰活性化をもたらすことが報告されている。Lenz, G.らの文献、Science 2008, 319: 1676-9; Thome, M.らの文献、Cold Spring Harb Perspect Biol. 2010; 2: a003004を参照されたい。これらの細胞でのレナリドマイド誘導性IRF4阻害におけるCBM複合体の潜在的関与を調べるために、該複合体の活性に対するレナリドマイドの効果を、MALT1パラカスパーゼ酵素活性を測定することにより調べた。MALT1は、BCL-10及びCARD11との会合によって活性化されて、活性型CBM複合体を形成し、その後、その結合パートナー、例えば、BCL-10を切断する。
図29A〜Cを参照されたい。
【0408】
特定のMALT1阻害剤及びPKCβ阻害剤の効果と同様に、レナリドマイドは、MALT1誘導性のBCL-10切断を濃度依存的な様式で感受性ABC-DLBCL細胞株のOCI-Ly10及びU2932において阻害した。時間-反応速度研究から、MALT1-及びPKCβ-阻害剤は、処理して1日以内にBCL-10切断に影響を及ぼすが、レナリドマイドによるBCL-10切断の顕著な阻害は、処理の2日後に起こることが明らかになった。
図29A及び29Bを参照されたい。MALT1阻害剤とは異なり、おそらくは、CBM複合体の過剰活性化を引き起こすCARD11突然変異のために、PKCβ阻害剤にも、レナリドマイドにも、OCI-Ly3細胞でのBCL-10切断に対する効果がなかった。
図29Cを参照されたい。これらのデータは、レナリドマイドが、PKCβ阻害剤と同様に、感受性ABC-DLBCL細胞においてCBM複合体形成/活性化又は他の上流の事象を顕著に遮断することができることを示唆している。
【0409】
(6.18.4 レナリドマイドは、ABC-DLBCL細胞のNF-κB活性を低下させるが、非ABCサブタイプ細胞のNF-κB活性を低下させない)
様々なDLBCL細胞のNF-κB活性に対するレナリドマイドの効果を、コンセンサス配列へのNF-κBサブユニットタンパク質結合のレベル及びNF-κB駆動性ルシフェラーゼ活性を測定することにより調べた。予想通り、ABC-DLBCL細胞のNF-κBは、非ABC-DLBCLと比べて、NF-κB DNA結合の増大を示した。
図24Bを参照されたい。NF-κB駆動性ルシフェラーゼアッセイは、レナリドマイドが、2日間の薬物処理後、NF-κBの転写活性をレナリドマイド感受性ABC-DLBCL細胞株のOCI-Ly10及びU2932において32〜56%阻害することを示した。
図30Aを参照されたい。レナリドマイドはまた、Rel A/p65、p50、及びc-rel/p70 NF-κBサブユニットによるDNA結合を濃度依存的な様式でいくつかのABC-DLBCL細胞株において一部阻害したが、その効果は、対照IKKα/β阻害剤のCC-415501ほど強力ではなかった。
図30B及び30Cを参照されたい。対照的に、レナリドマイドは、GCB-DLBCL株においても、正常末梢血単核細胞においても、NF-κB DNA結合に対する効果がなかった。CARD11突然変異を含有するレナリドマイド非感受性ABC-DLBCL OCI-Ly3株は、IKKα/β阻害剤によってのみ顕著なNF-κB阻害を示し、レナリドマイドによる該阻害は示さなかった。
図30B及び30Cを参照されたい。これらのデータは、レナリドマイドが、感受性ABC-DLBCL細胞においてCBM複合体又は上流の事象でNF-κBシグナル伝達を阻害することを示唆している。
【0410】
(6.18.5 感受性ABC-DLBCL細胞におけるIRF4発現の変化は、レナリドマイドに対する抵抗性を付与する)
BCR-NF-κBシグナル伝達におけるIRF4発現の依存性役割、及びIRF4に対するレナリドマイド処理の結果として起こる効果を調べた。レナリドマイド感受性ABC-DLBCL細胞に、IRF4特異的siRNA又はIRF4-CMVベースの発現プラスミドをトランスフェクトして、IRF4発現を調節した。U2932又はOCI-Ly10細胞にIRF4 siRNAをトランスフェクトして、IRF4の発現をノックダウンした場合、NF-κB転写活性は、36〜53%低減した。
図31Aを参照されたい。したがって、IRF4 siRNAは、これらの細胞においてNF-κBに対するレナリドマイドの効果を模倣した。IRF4 siRNAをトランスフェクトした細胞にレナリドマイドを添加すると、NF-κB転写活性のさらに一層の下方調節がもたらされた。
【0411】
IRF4 siRNAトランスフェクションとは対照的に、IRF4をこれらの細胞で24時間過剰発現させると、NF-κB活性が、3.6〜7.9倍、顕著に増大した。
図31Bを参照されたい。さらに、IRF4過剰発現は、CBM構成要素BCL-10のタンパク質発現レベルを減少させた。
図31Cを参照されたい。さらに、IRF4過剰発現は、U2932細胞とOCI-Ly10細胞の両方において、レナリドマイド及びPKCβ阻害剤の効果を中和したが、NF-κB駆動性ルシフェラーゼ発現に対するIKK阻害剤の効果は中和しなかった。
図31Dを参照されたい。したがって、BCR-NF-κB経路に対するIRF4のポジティブフィードバック効果は、PKCβとIKKの中間点にあるように思われた。
【0412】
(6.18.6 セレブロンは、ABC-DLBCL細胞に対するレナリドマイド効果に必要である)
セレブロンは、サリドマイドの催奇形性の一次メディエーターであることが示されている。レナリドマイド及びポマリドマイドの抗骨髄腫活性及び免疫調節活性におけるその重要な役割のために、DLBCLのレナリドマイド感受性におけるセレブロンの役割を調べた。ABC-DLBCL細胞において、siRNAによるCRBNのノックダウンは、これらの細胞のIRF4発現、BCL-10切断、NF-κB活性、及び増殖に対するレナリドマイドの阻害効果の抑制によって示されるような、レナリドマイドに対する抵抗性を付与したが、PKCβ及びIKKに対する阻害剤の活性は、影響を受けないままであった。
図32A〜32Dを参照されたい。これらのデータは、ABC-DLBCL細胞に対するレナリドマイドの抗腫瘍効果が、セレブロンの存在を必要とすることを示している。
【0413】
(6.18.7 レナリドマイドは、OCI-Ly10マウス異種移植モデルにおいてIRF4/NF-κBシグナル伝達を下方調節する)
ABC-DLBCLにおけるインビボでのNF-κB/IRF4シグナル伝達のレナリドマイド媒介性阻害の重要性を確認するために、皮下OCI-Ly10異種移植モデルを確立した。3〜30mg/kg(po、qdX28)のレナリドマイドは、このモデルにおいて腫瘍サイズを有意に減少させた(p<0.01)。
図33Aを参照されたい。試験中のマウス重量に基づき、レナリドマイドの顕著な毒性は観察されなかった。ビヒクル対照群と比較して、7日間のレナリドマイド処理は、IRF4発現及びBCL-10切断を15〜35%低下させた(p<0.05)。
図33Bを参照されたい。これらのデータは、レナリドマイドが、インビボでIRF4発現を低下させることができ、かつABC-DLBCLモデルにおいて腫瘍成長を遅延させることを示し、これにより、臨床試験でのABC-DLBCLの治療における治療薬としてのレナリドマイドの潜在的価値が裏付けられる。
【0414】
(6.18.8 DLBCL細胞のIRF4及びCRBNベースラインmRNAレベル並びに「ABCスコア」は、レナリドマイドに対する感受性と相関する)
多数の研究により、非ABCサブタイプと比べたABC-DLBCL細胞のより大きいレナリドマイド感受性が示されているので、レナリドマイドに対する治療応答を予測する潜在的バイオマーカーを検討した。様々なサブタイプの11種のDLBCL細胞株からのプールされたインビトロのデータは、DLBCLサブタイプのレナリドマイド感受性が、IRF4及びCRBN mRNA発現のベースラインレベルと極めて相関することを示した。さらに、Staudtら(Ann. Rev. Med., 2002, 53: 303-18)によって提唱されたABC-DLBCL細胞のシグナチャー遺伝子のベースラインレベルに基づいて算出される全体的な「ABCスコア」は、レナリドマイド活性と相関したが、これは、このサブタイプの独特の感受性をさらに裏付けるものである。
図34A及び25を参照されたい。レナリドマイド感受性ABC-DLBCL細胞株は、GCB-DLBCL細胞株よりも高いCRBN及びIRF4 タンパク質レベルを発現する傾向があった。
図34Bを参照されたい。特に、レナリドマイド抵抗性OCI-Ly3 ABC-DLBCL細胞株は、CRBNタンパク質発現を欠いていた。これらのデータは、臨床試験で見られるABC-DLBCLにおけるレナリドマイドの優先的な効力を裏付け、かつ「ABCスコア」、又はIRF4もしくはCRBNそれ自体の発現が、レナリドマイド効力の予測のための潜在的なバイオマーカーとしての役割を果たし得ることを示唆している。
【0415】
(6.19 ポリクローナルCRBN70抗体)
ウサギポリクローナル抗体CRBN70は、ウサギにCRBNペプチド配列EEFHGRTLHDDD(配列番号:1)を接種することにより作製された。このペプチド配列では、該ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)にカップリングするために、C末端システインEEFHGRTLHDDD
C(下線)がさらに使用されている。
【表11】
【0416】
該抗体を作製するために使用された配列番号:1に示すペプチドは、CRBNアイソフォーム1(NP_057386)(配列番号:12)のアミノ酸65-76(太字)に対応する:
【化17】
【0417】
CRBNのアイソフォーム2 (GenBankアクセッション番号NP_001166953; 配列番号:13)は、アラニン(下線)の消失をもたらす代替インフレームスプライス部位を使用しているが、他の変化はないことに留意されたい:
【化18】
【0418】
ポリクローナルCRBN70抗体を精製した。その後、精製した抗体の力価を、固相に結合したペプチド又はタンパク質に対する間接ELISAで測定して、溶出後の抗体の反応性、及び血清中に残存する抗体(フロースルー)の量を測定した。
【表12】
【0419】
溶出液「力価」は、CRBN70抗体がCRBN抗原を効果的に検出することができる最小濃度を示す。「フロースルー」力価は、血清をカラムに通した後に血清中に残存する抗体の反応性を表す。
【0420】
(6.20 抗CRBN抗体のVH及びVLの配列)
ウサギをヒトCRBN(配列番号:12)のアミノ酸配列65-76(配列番号:1)でプライミングし、IgGサブタイピング及びモノクローナル抗体作製のために、脾臓を摘出した。
【0421】
2つのCGN-6ハイブリドーマクローン由来のIgG重鎖及び軽鎖は、Epitomicsによってシークエンシングされた。この2つのクローンをCGN-6-1-11及びCGN-6-4-5とした。
【0422】
RabMAb IgG分子クローニングの簡単な方法の説明:
ハイブリドーマ細胞由来のメッセンジャーRNA(mRNA)を、製造業者の推奨するプロトコルに従ってTURBOCAPTUREキット(Qiagen社:カタログ#72232)を用いて単離し、その後、オリゴ-dTプライマーを用いてcDNAに逆転写した。重鎖の可変領域(VH)を独自のプライマーOYZ64-2及びOYZvh3を用いてPCR増幅させた。軽鎖全体(LC)を、独自のプライマーOYZ62及びOYZ71を用いてPCR増幅させた。PCR産物を1%アガロースゲル上で分離し、その後、Qiagenゲル精製キット(Qiagen社:カタログ#28704)を用いて精製し、精製したDNA断片をシークエンシングに供した。
CGN-6-1-11-重鎖ヌクレオチド配列(配列番号:4)
【化19】
CGN-6-1-11-重鎖タンパク質配列(配列番号:5)
【化20】
CGN-6-1-11-軽鎖ヌクレオチド配列(配列番号:6)
【化21】
CGN-6-1-11-軽鎖タンパク質配列(配列番号:7)
【化22】
CGN-6-4-5-重鎖ヌクレオチド配列(配列番号:8)
【化23】
CGN-6-4-5-重鎖タンパク質配列(450アミノ酸)(配列番号:9)
【化24】
CGN-6-4-5-軽鎖ヌクレオチド配列(配列番号:10)
【化25】
CGN-6-4-5-軽鎖タンパク質配列(配列番号:11)
【化26】
【0423】
CGN6-1-11及びCGN 6-4-5抗体の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列アラインメントを
図35(重鎖)及び36(軽鎖)に提供する。
【0424】
(6.21 モノクローナル抗CRBN抗体のCGN-6-4-5を用いたイムノブロット及び免疫蛍光)
ウサギモノクローナル抗体CGN-6-4-5は、変性イムノブロット上の全長51kDaのヒトCRBNタンパク質を特異的に認識する。
【0425】
(共焦点顕微鏡免疫蛍光:)
CGN-6-4-5を1:1000希釈した。DF15及びDF15R細胞の例示的な細胞染色を
図37に示す。特に、
図37A及び37Bは、1μg/mlのCGN-6-4-5抗体(緑)(A)又はCGN-6-4-5抗体/CRBNブロッキングペプチド混合物(1:5の過剰比)(B)を用いたDF15(左パネル)及びDF15R細胞(右パネル)の共焦点免疫蛍光解析を示している。核染色は、Dapi(青)を用いて実施した。
【0426】
(イムノブロット)
CGN-6-4-5を1:10,000希釈で0.1%Tween PBSバッファーに希釈した。内在性CRBNを含む骨髄腫細胞(DF15)、CRBNを含まないDF15R、及び組換えflagタグ化CRBNを発現するHEK293細胞を用いた例示的なイムノブロットを
図38に示す。ペプチド中和を、抗体と5倍(重量による)過剰のブロッキングペプチドとを500μlのPBS中で組み合わせ、一定の回転で、室温で2時間インキュベートすることにより実施した。
【0427】
(6.22 サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドは、グルタルイミド部分を介してCRBNに結合する)
サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及び構造的に類似した化合物のCRBN結合のメカニズムを解明するために、フタルイミド及びグルタルイミドのCRBNへの結合を調べた。グルタルイミドはCRBNに結合したが、フタルイミドは結合しなかった。したがって、これらの結果は、サリドマイド、レナリドマイド、及びポマリドマイドが、グルタルイミド部分を介してCRBNに結合するという仮説を裏付けるものである。
図39Aを参照されたい。
【0428】
(6.23 メチル-ポマリドマイドのCRBN結合はエナンチオ選択的である)
CRBN結合がエナンチオ選択的であるかどうかを決定するために、S-メチル-ポマリドマイド及びR-メチル-ポマリドマイドの結合を調べた。S-メチル-ポマリドマイドは、R-メチル-ポマリドマイドリミドよりも大きいCRBNに対する親和性を有していた。
図39Bを参照されたい。
【化27】
【0429】
上記の実施例は、当業者に、特許請求された実施態様の作製方法及び使用方法の完全な開示及び説明を与えるために提供されているのであって、本明細書に開示されている事物の範囲を限定することを意図するものではない。当業者に明白である修飾は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。本明細書に引用されている刊行物、特許、及び特許出願は全て、各々のそのような刊行物、特許、又は特許出願が具体的かつ個別的に引用により本明細書中に組み込まれることが示されているかのように、引用により本明細書中に組み込まれる。